JP2961400B2 - 大型コンクリートブロックの設置法並びに大型コンクリートブロックの設置用ヤジロベー支承体 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、擁壁、排水溝、排
水トンネルなどを作るときに使用する擁壁ブロック、排
水溝ブロック、柵渠溝ブロック、ボックスカルバートな
どの大型コンクリートブロックの設置法並びに大型コン
クリートブロックの設置用ヤジロベー支承体に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
例えば擁壁ブロックを施工するに当たっては、この擁壁
ブロックをトラックレーンなどで基礎面上に降ろし、所
定の位置に前後を合わせて隣のコンクリートブロックと
並べた上、擁壁板の左右側端部同志を正しく突き合わせ
ていたが、基礎面上が必ずしも平らでないから夫々の擁
壁板の左右側縁を正しく突き合わせた上擁壁板の前面を
面一に並べることは極めて困難であった。

【０００３】そのため施工の都度擁壁ブロックをトラッ
ククレーンなどで吊り上げ、基礎面と底板との間に介在
物を介入し、押動して側縁を正しく突き合わせ且つ擁壁
板の前面が面一になるように是正しているが、この擁壁
ブロックが大型であるため大変厄介な作業となり、それ
だけ作業能率を低下させる欠点があった。

【０００４】そこで、本発明者は、特公平７−７２４２
０号のようにコンクリートブロックの底板の下面重心位
置に突部を設け、クレーンなどを使用することなく、こ
の突部を支点にして基礎面上でコンクリートブロックを
揺動したり、ずり動かしたりして容易に所定位置に正し
く設置することのできるコンクリートブロックを提案
し、これが非常に好評を得ている。

【０００５】本発明は、コンクリートブロックの底板下
面に突部を設けるのではなく、基礎面上に突部や断面逆
折り返し状の長い支承桟材を設ける着想に基づいてコン
クリートブロックの施工を実施した結果、この方法が施
工的にも能率的にも非常に素晴らしい結果が得られるこ
とを見い出し、この大型コンクリートブロックの設置法
並びに大型コンクリートブロックの設置用ヤジロベー支
承体を提案するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】添付図面を参照して本発
明の要旨を説明する。

【０００７】大型のコンクリートブロックａを設置する
基礎面１の、コンクリートブロックａの下面重心位置２
若しくは近傍が当接する位置に、断面逆折り返し状の長
い支承桟材ｂ'を一本コンクリートブロックａの並設方
向に設置し、この支承桟材ｂ'の突頂部３'上に、コンク
リートブロックａの重心位置２若しくは近傍を合わせる
ようにしてコンクリートブロックａを載置し、コンクリ
ートブロックａの底板４を所定の水平状態若しくは傾斜
状態に保持せしめ、基礎面１とコンクリートブロックａ
の底板４の下面との間隙５にコンクリートモルタル，セ
メントモルタル，樹脂モルタルなどの硬化剤７を充填し
て基礎面１上にコンクリートブロックａを設置すること
を特徴とする大型コンクリートブロックの設置法に係る
ものである。

【０００８】また、基礎面１に載置固定する断面逆折り
返し状の支承桟材ｂ'にコンクリートブロックａの重心
部若しくは近傍を支承して、コンクリートブロックａに
ヤジロベー作用を付加する突頂部３'を設けたことを特
徴とする大型コンクリートブロックの設置用ヤジロベー
支承体に係るものである。

【０００９】

【発明の実施の形態】最良と考える本発明の実施の形態
（発明をどのように実施するか）を、図面に基づいてそ
の作用効果を示して簡単に説明する。 ・請求項１の発明の実施の形態 コンクリートブロックａを載置する基礎面１の、コンク
リートブロックａの下面重心位置２若しくは近傍が当接
する位置に、長い支承桟材ｂ'を一本コンクリートブロ
ックａの並設方向に設置し、この長い支承桟材ｂ'の突
頂部３'上にコンクリートブロックａの重心位置２若し
くは近傍を合わせるようにしてコンクリートブロックａ
を載置する。

【００１０】この際、コンクリートブロックａが所定の
位置よりわずかにずれている場合は、突頂部３'を支点
とするヤジロベー作用によりコンクリートブロックａを
このコンクリートブロックａの前後方向に揺り動かした
り、ずり動かすことが容易に行われる。

【００１１】続いて、この正しい状態に是正したコンク
リートブロックａの底板４の下面と基礎面１との間隙５
にコンクリートモルタル，セメントモルタル，樹脂モル
タルなどの硬化剤７を充填して基礎面１上にコンクリー
トブロックａを設置する。 ・請求項２の発明の実施の形態 基礎面１上に断面逆折り返し状の支承桟材ｂ'を載置固
定し、この支承桟材ｂ'の突頂部３'上にコンクリートブ
ロックａの下面の重心部若しくは近傍を合わせるように
してコンクリートブロックａを載置すると、この突頂部
３'を支点とするヤジロベー作用によりコンクリートブ
ロックａを前後方向に揺り動かしたり、ずり動かすこと
ができ、コンクリートブロックａを常に正しい状態に是
正することが簡易に行い得ることになる。

【００１２】

【実施例】図面は、本発明の好適な実施の一例を示して
いる。

【００１３】本実施例は、請求項１記載の発明にも、請
求項２記載の発明にも属するもので、大型のコンクリー
トブロックａを設置する基礎面１の、コンクリートブロ
ックａの下面重心位置２若しくは近傍が当接する位置
に、断面逆折り返し状の長い支承桟材ｂ'を一本コンク
リートブロックａの並設方向に設置し、この支承桟材
ｂ'の突頂部３'上に、コンクリートブロックａの重心位
置２若しくは近傍を合わせるようにしてコンクリートブ
ロックａを載置し、コンクリートブロックａの底板４を
所定の水平状態若しくは傾斜状態に保持せしめ、基礎面
１とコンクリートブロックａの底板４の下面との間隙５
にコンクリートモルタル，セメントモルタル，樹脂モル
タルなどの硬化剤７を充填して基礎面１上にコンクリー
トブロックａを設置したものである。

【００１４】支承桟材ｂ'は、図１，図２に示すように
一本のＬ状アングル材を採用し、このアングル材の角部
が基礎面１上に突出状態となるように基礎面１に埋め込
み形成して、この突出角部を突頂部３'とする構成でも
良いし、図３に示すように一本のＵ状チャンネル材を採
用し、このチャンネル材を逆Ｕ状に配してこの上面部が
基礎面１上に突出状態となるように基礎面１に埋め込み
形成して、この突出面部を突頂部３'とする構成でも良
い。このようにアングル材やチャンネル材を用いて支承
桟材ｂ'を構成すると部品コスト安となる。また、この
他の構造のものを採用して支承桟材ｂ'を構成しても良
い。

【００１５】この支承桟材ｂ'の突頂部３'の突出高さに
ついても、使用するコンクリートブロックａの大きさに
応じて適宜設計可能である。

【００１６】突頂部３'を支点としてコンクリートブロ
ックａを正しい位置に、且つ正しい姿勢に是正したら、
その状態を保つべく底板４と基礎面１との間隙５に楔な
どの適当なスペーサー９を介したりして姿勢を保持せし
め、この間隙５に硬化剤７を詰め込んでコンクリートブ
ロックａを基礎面１上に固定する。

【００１７】この硬化剤７は、注入口８から間隙５に注
入しても良いし、コンクリートブロックａの底板４の脇
から間隙５に注入しても良い。

【００１８】また、硬化剤７注入時には、硬化剤７が脇
から流れ出ないように間隙５の周りに漏れ止め板を配し
たり、間隙５の周りを土などで埋めておくと良い。

【００１９】このコンクリートブロックａを正しい状態
に設置するには水準器を併用することが望ましい。

【００２０】図中符号16は砂利、17は栗石である。

【００２１】

【発明の効果】・請求項１の発明の効果 本発明は上述のように構成したから、コンクリートブロ
ックを基礎面上に載置し、擁壁板の左右側端部をぴった
りと突き合わせ且つ擁壁板の前面を面一となるように正
しい位置及び正しい姿勢で並設する際、そのコンクリー
トブロックは基礎面上に突出している突頂部だけに接触
して支承されているから、この突頂部を支点とするヤジ
ロベー作用によりコンクリートブロックをわずかな力で
前後方向にゆり動かすこともできるし、またこれにより
わずかな力で前後方向にずり動かすこともできることに
なる。

【００２２】従って、隣同志のコンクリートブロックの
擁壁面を面一にすることが簡単にできるから施工能率が
極めて向上することになる。

【００２３】また、この基礎面に設置する支承桟材によ
って従来から使用されている既存のコンクリートブロッ
クにヤジロベー作用による本発明の設置法を実施できる
し、この支承桟材が例えば既存のアングル材やチャンネ
ル材で構成し得るため、部品コストも掛からず、その
上、例えば単に支承桟材を基礎面施工時に埋め込み形成
するだけで簡易に基礎面に突頂部を設けることができる
など極めて秀れた大型コンクリートブロックの設置法と
なる。 ・請求項２の発明の効果 本発明は上述のように構成したから、本発明の支承桟材
を基礎面上に設置固定し、この支承桟材の突頂部上にコ
ンクリートブロックの下面の重心部若しくは近傍を合わ
せるようにしてコンクリートブロックを載置するだけ
で、このコンクリートブロックに突頂部を支点とするヤ
ジロベー作用により請求項１の発明と同様なコンクリー
トブロックの設置法を実施できる秀れた大型コンクリー
トブロックの設置用ヤジロベー支承体となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施例の施工状態を示す側面図である。

【図２】本実施例のアングル材を用いて構成した支承桟
材の基礎面への埋め込み設置状態を示す斜視図である。

【図３】本実施例のチャンネル材を用いて構成した支承
桟材の基礎面への埋め込み設置状態を示す斜視図であ
る。

【符号の説明】

ａ コンクリートブロック ｂ' 支承桟材 １ 基礎面 ２ 重心位置 ３' 突頂部 ４ 底板 ５ 間隙 ７ 硬化剤

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 大型のコンクリートブロックを設置する
   基礎面の、コンクリートブロックの下面重心位置若しく
   は近傍が当接する位置に、断面逆折り返し状の長い支承
   桟材を一本コンクリートブロックの並設方向に設置し、
   この支承桟材の突頂部上に、コンクリートブロックの重
   心位置若しくは近傍を合わせるようにしてコンクリート
   ブロックを載置し、コンクリートブロックの底板を所定
   の水平状態若しくは傾斜状態に保持せしめ、基礎面とコ
   ンクリートブロックの底板の下面との間隙にコンクリー
   トモルタル，セメントモルタル，樹脂モルタルなどの硬
   化剤を充填して基礎面上にコンクリートブロックを設置
   することを特徴とする大型コンクリートブロックの設置
   法。
2. 【請求項２】 基礎面に載置固定する断面逆折り返し状
   の支承桟材にコンクリートブロックの重心部若しくは近
   傍を支承して、コンクリートブロックにヤジロベー作用
   を付加する突頂部を設けたことを特徴とする大型コンク
   リートブロックの設置用ヤジロベー支承体。