JP2960853B2 - コーヒーミル - Google Patents

コーヒーミル

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JP2960853B2
JP2960853B2 JP13356694A JP13356694A JP2960853B2 JP 2960853 B2 JP2960853 B2 JP 2960853B2 JP 13356694 A JP13356694 A JP 13356694A JP 13356694 A JP13356694 A JP 13356694A JP 2960853 B2 JP2960853 B2 JP 2960853B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は粉砕装置に係り、特に、
コーヒー豆、穀類等の食品を粉砕する場合に好適な新規
の粉砕機構に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から粉砕装置には種々の構造をもつ
ものがあるが、コーヒーミルとして最も一般的なもの
は、図5(a)に示す円盤状のグラインダを用いるもの
である。この装置は、固定側円盤1に一体成形された導
入管部1aからコーヒー豆が供給され、モータに連結さ
れた可動側円盤2との間で粉砕されるようになってい
る。固定側円盤1及び可動側円盤2の表面上には多数の
突起が形成され、可動側円盤2が図中矢印Aに示すよう
に回転すると、コーヒー豆は突起によりすり潰される。
この突起は、例えば図中2a,2b,2cのように可動
側円盤2の表面上にその動径方向に向けて次第に細かく
形成され、コーヒー豆の破片が円盤間の中心から周縁に
進むに従って徐々に粉砕されるように構成されている。
粉砕されたコーヒー粉は図中矢印Bに示す経路を通り遠
心力により円盤の外側に導出される。
【0003】また、他のコーヒーミルとして、相互に平
行に配設された2つの回転軸3,4の周面上に断面V形
の環状溝5,6を設け、回転軸3と4を逆方向に回転さ
せてコーヒー豆を2つの回転軸3,4の間に巻き込むよ
うにして粉砕するものもある。この場合、2つの回転軸
に形成された環状溝5,6は、その谷部5a,6aが他
方の山部5b,6bに対向するように配置されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記図5(a)のコー
ヒーミルにあっては、図6に示す粒度分布のグラフXに
示すように粒度32以上のものが多く含まれており、コ
ーヒー豆を粉砕して形成された挽き粉の中に多くの微粉
が含まれるという問題点がある。この微粉においてはコ
ーヒー豆の組織が破壊されている場合が多いので、コー
ヒーの抽出量が低下する原因となり、しかも、この微粉
はコーヒーミルの内部に付着し易いので、挽き粉として
外部に取り出せる量が減少するという問題点もある。
【0005】一方、上記図5(b)のコーヒーミルにあ
っては、2つの回転軸の間にコーヒー豆を巻き込みなが
ら環状溝5,6によりひきつぶすようになっているた
め、両回転軸3,4の間隔を小さくすると挽き粉の表面
が回転軸の環状溝間に挟まれて擦られるので、上記と同
様に微粉が発生するとともに挽き粉の表面組織が破壊さ
れ、コーヒーの抽出量が低下するという問題点がある。
逆に両回転軸間の間隔を広くとると、環状溝5,6の谷
部5aと山部6bとの間の距離と、環状溝の山部5bと
6bとの間の距離とが大きく異なるため、図6のグラフ
Yに示すように粒度にばらつきが発生する。この粒度分
布は、挽き粉からのコーヒーの抽出状態を設定しにく
く、良好な液の抽出が困難である。
【0006】上記2種類のコーヒーミルで発生する微粉
又は表面の擦られた挽き粉は、粉砕時の応力により組織
が破壊されているか、または表面が摩擦により加熱され
ているので、コーヒー成分に変成が生じ、コーヒーの香
りや味を悪化させる原因となる。
【0007】そこで本発明は上記問題点を解決するもの
であり、その課題は、粉砕時に被粉砕物を均一な粒度に
粉砕でき、被粉砕物の表面を擦って組織破壊や変成の発
生を防止する新規の粉砕装置を得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、リードを持つ
螺旋状に形成された溝部若しくは条部を備えた周面を各
々有する一対の回転軸体を、溝部若しくは条部が相互に
接触しない程度に近接させて略平行に配設し、一対の回
転軸体を相互に逆回転させ、回転軸体の配設面の一側を
被粉砕物の導入側として、被粉砕物を回転軸体の間に巻
き込みながら粉砕するものである。
【0009】ここで、一対の回転軸体を、相互に対向す
る溝部若しくは条部の軸線方向への移動速度が相互に異
なるように回転駆動することが好ましい。
【0010】また、装置構成としては、リードを持つ螺
旋状に形成された溝部若しくは条部を備えた周面を各々
有し、溝部若しくは条部が相互に接触しない程度に近接
させて略平行に配設された一対の回転軸体と、一対の回
転軸体を相互に逆回転させる回転駆動手段とを設けるも
のである。
【0011】ここで、回転駆動手段により、一対の回転
軸体を、相互に対向する溝部若しくは条部の軸線方向へ
の移動速度が相互に異なるように回転駆動することが好
ましい。
【0012】また、一対の回転軸体における溝部若しく
は条部の螺旋の条数を相互に異ならせるとともに、溝部
若しくは条部の軸線方向における形成ピッチを相互に略
同一に形成することが好ましい。
【0013】さらに、一対の回転軸体の溝部若しくは条
部を相互に逆回りの螺旋状に形成することが好ましい。
【0014】
【作用】請求項1又は請求項3によれば、溝部若しくは
条部が螺旋状に形成されているため、回転軸体の回転に
伴って両回転軸体の衝合部における螺旋溝が回転軸体の
軸線方向に移動するので、比粉砕物に対して軸線方向に
破砕力を加えることができ、比粉砕物に対する摩擦や圧
迫を低減して、微粉の発生や挽き粉の表面の破壊や変成
を防止することができる。
【0015】請求項2又は請求項4によれば、相互に対
向する溝部若しくは条部の軸線方向への移動速度が相互
に異なるように回転駆動されるので、回転とともに対向
する溝部若しくは条部の相対的な位置関係が変動するこ
とにより、回転軸体の間隔と溝部若しくは条部の形状と
に対応したほぼ一定の開口部が挽き粉の通過部として与
えられるので、挽き粉の粒度のばらつきを抑制すること
ができる。
【0016】請求項5によれば、溝部若しくは条部の条
数を変えることにより、対向する溝部若しくは条部のリ
ードを変えることができ、しかも溝部若しくは条部の形
成ピッチは相互に同一にできるから、粒度のばらつきを
抑制しながら対向する溝部若しくは条部の移動速度の差
を充分に確保でき、微粉の発生や挽き粉の表面の破壊や
変成を確実に防止できる。
【0017】請求項6によれば、一対の回転軸体の溝部
若しくは条部の螺旋形状を逆回りに形成することによ
り、回転軸体の回転に伴う衝合部における溝部若しくは
条部の移動方向を同一方向にすることができ、被粉砕物
を回転軸体の軸線方向に誘導しながら粉砕することがで
きる。したがって、回転軸体の軸線方向の一部に被粉砕
物を供給しても回転軸体の全長を利用して粉砕すること
ができる。
【0018】上記各手段においては、回転軸体の間隔及
び/又は螺旋溝のピッチを順次低減させた2組以上(多
段)の回転軸体の対を設け、順次粗粒から細粒へ粉砕し
ていくことが粉砕効率と品質の向上を図る上で望まし
い。また、このように多段に構成した場合、先の回転軸
体の対においては衝合部における螺旋溝の移動方向を同
一の所定方向とし、後の回転軸体の対においては、同移
動方向を同一の所定方向とは逆の方向に設定することに
より、当該移動方向に沿って被粉砕物をジクザグ状に移
動させながら粉砕することができるので、回転軸体の軸
線方向の長さを有効に利用でき、挽き粉を効率良く粉砕
できる。
【0019】
【実施例】次に、図面を参照して本発明に係る第1実施
例を説明する。図1は本実施例の基本構成を示す説明図
である。図1(a)に示すように、本実施例では、金
属、セラミック、硬質樹脂等の硬質材料から成る一対の
回転軸体10,20を平行に配設し、それぞれの回転軸
体10,20の周面上に所定のリード及びピッチをもつ
断面V字型の螺旋溝11,21を形成している。回転軸
体10と回転軸体20とは相互に逆回転しているので、
上方から両回転軸体の間にコーヒー豆7を供給すると、
コーヒー豆は両者の間に巻き込まれながら粉砕され、挽
き粉8となって両回転軸体の間から下方に落下する。
【0020】図1(b)は、図1(a)に示した2つの
回転軸体10,20を上方から見た状態を示すものであ
る。回転軸体10,20にはそれぞれ同一ピッチの螺旋
溝11,21が形成されており、両者とも右回りの螺旋
状に形成されている。両回転軸体が逆方向に回転するこ
とにより、両者が対向する部分(以下、衝合部とい
う。)の螺旋溝は、図中矢印C,Dに示すようにそれぞ
れ逆方向に移動する。したがって、両者の衝合部に供給
されたコーヒー豆は、螺旋溝11,21の谷部11a,
21aと山部11b,21bとの間に形成されたフラン
ク(傾斜面)に挟まれ、引きちぎられるようにして粉砕
される。
【0021】図1(c)は図1(b)に示した実施例と
は異なる変形例を示すものであり、上記と同様に回転軸
体10には螺旋溝11が形成されているが、回転軸体2
0’には、左回りの螺旋状に形成された螺旋溝22が形
成されている。螺旋溝22の形成ピッチは螺旋溝11と
同一である。この例では、回転軸体10と回転軸体2
0’とを同一の回転速度で逆回転させると、図中矢印
E,Fのように、衝合部における螺旋溝11と螺旋溝2
2とは同方向に移動する。したがって、衝合部に供給さ
れたコーヒー豆は、螺旋溝の移動方向に誘導されて図中
下側に移動しながら粉砕される。
【0022】この場合、リードをもつ螺旋溝11,22
は、被粉砕物、例えばコーヒー豆を図中矢印方向に移動
させながら粉砕するので従来の環状溝の粉砕状態とは異
なり回転軸体とコーヒー豆との摩擦は少なくなる。しか
し、より完全に粉砕時の摩擦を低減させるためには、回
転軸体10と20’との回転数に差を設けることによ
り、上記図1(b)に示すものと同様に螺旋溝11の移
動速度と螺旋溝22の移動速度に差を与える必要があ
る。
【0023】この変形例においては、対向する螺旋溝1
1,22の双方が同一方向に移動するので、例えば、回
転軸体10,20’の軸線方向の端部にコーヒー豆を供
給し、供給されたコーヒー豆を螺旋溝の移動に従って回
転軸体の軸線方向に誘導しながら1か所に集中させるこ
となく回転軸体の軸線方向の全長を使用して粉砕するこ
とができ、粉砕速度の向上を図ることができる。
【0024】図1に示す各例では、螺旋溝のリードによ
り衝合部における螺旋溝はそれぞれ所定の方向に移動す
るので、コーヒー豆は移動する螺旋溝のフランクにより
移動させられながら破砕されるので、従来のように擦ら
れることによる微粉の発生を押さえることができ、しか
も、リードをもつ螺旋溝が形成されているので、衝合部
においてフランクが移動しながらコーヒー豆を粉砕する
ため、挽き粉の表面に圧迫若しくは摩擦による組織破壊
が発生せず、良好な挽き粉を形成できる。
【0025】さらに、コーヒー豆を粉砕する場合には豆
に付着しているシルバースキンと呼ばれる薄皮も同時に
粉砕されてしまう場合が多いが、この薄皮はコーヒーの
苦みの元になる。本実施例の装置では、シルバースキン
は粉砕時に豆本体から分離され、粉砕されずにほぼその
まま装置下方に堆積した挽き粉の上に落下する。この状
態で挽き粉に空気を当てシルバースキンのみを吹き飛ば
すことによりシルバースキンをほぼ全て除去することが
できる。
【0026】また、本実施例では、螺旋溝11,21が
リードを備え、回転軸体10,20の回転に伴って螺旋
溝が軸線方向に移動するので、対向する螺旋溝11と1
2とが噛み合わないように所定の間隔dを確保する必要
がある。ここで、両回転軸体間の衝合部において対向す
る螺旋溝は相互に異なる速度(速度の絶対値又は方向が
異なる。)で回転軸体の軸線方向に移動するので、コー
ヒー豆の挽き粉が通過できる衝合部における開口面積
は、回転軸体の螺旋溝の溝空間と、図1(b)に示す両
回転軸体の間隔dにより決定される。本実施例では断面
V形の螺旋溝が形成されているので、挽き粉の通過でき
る開口は略三角形状となる。したがって、従来よりも開
口部を通過して形成される挽き粉の粒度が均一化され
る。なお、挽き粉の粒度は、対向する螺旋溝の深さ、形
成ピッチ、移動速度の差、間隔dにより調整することが
できる。
【0027】本実施例と従来の挽き粉の表面の相違は、
拡大鏡を用いることにより容易に判別できる。すなわ
ち、本実施例においては、挽き粉の表面は破断面そのま
まであり光沢のない粗面となっているのに対し、上記従
来のいずれかの方法で挽いた挽き粉においては、表面の
多くが光沢のある平滑面となっている。このような平滑
面は粉砕時に挽き粉の表面が擦られたり、圧迫されたり
することにより形成されると考えられる。このような平
滑面からはコーヒー成分の抽出が困難であり、しかも、
平滑面上の組織は摩擦や圧迫等により破壊されたり、変
成されていたりする場合が多いので、コーヒーの香りや
味に影響を与える。本実施例ではこのような面が発生せ
ず、挽き粉の表面が破断されたままの状態に維持されて
いるので、上記のような影響はなく、素材の品質を維持
することができる。
【0028】次に、本発明に係る第2実施例を説明す
る。図2(a)に示すように、本実施例は回転軸体3
0,40から成り、回転軸体30の周面には右回りの螺
旋状に形成された螺旋溝31が形成され、回転軸体40
の周面には右回りの螺旋状に形成された2条の螺旋溝4
1,42が形成されている。螺旋溝41,42はそれぞ
れ螺旋溝31のリードの2倍のリードを備えており、螺
旋溝41,42を併せて見た場合、上記螺旋溝31と同
一の形成ピッチになるように形成されている。両回転軸
体30,40は相互に逆回転されられ、衝合部における
螺旋溝はそれぞれ図中矢印G,Hに示すように逆方向に
移動する。
【0029】この実施例では、回転軸体30と回転軸体
40には共に右回りの螺旋溝が形成されているが、回転
軸体40が2条の螺旋溝を有する点で異なる。螺旋溝を
2条にすることにより、溝の形成ピッチを増大させるこ
となく螺旋溝のリードを大きくとることができ、両回転
軸体の衝合部における螺旋溝の軸線方向に対する移動速
度を増加させることができる。すなわち、通常リードを
大きくとると形成ピッチも増大し、挽き粉の通過する空
隙も大きくなってしまうから、リード量と挽き粉の粗さ
とを無関係に設定することはできない。しかし、本実施
例によれば、挽き粉の通過する空隙を一定に保ちながら
螺旋溝のリードを変更して、螺旋溝の移動速度の差を調
整し、挽き粉の形成状態を最適化することができる。
【0030】上記の場合、回転軸体30と回転軸体40
の回転数を2対1とし、衝合部における螺旋溝31の移
動速度と螺旋溝41,42の移動速度とを同一にするこ
ともできる。しかし、上述のように螺旋溝の移動速度差
により粉砕状態をより改善するためには、両者の回転数
比は2対1とは異なる値にすることが望ましい。
【0031】図2(b)には上記実施例の回転軸体40
の代わりに、左回りの螺旋状に各々形成された3条の螺
旋溝51,52,53を備えた回転軸体50を用いた例
を示す。回転軸体50の螺旋溝51,52,53のリー
ドは回転軸体30の螺旋溝31のリードの3倍であり、
螺旋溝51,52,53を併せた溝の形成ピッチは螺旋
溝31の形成ピッチと同一である。この実施例では、回
転軸体30と回転軸体50の回転数は任意に設定でき、
回転軸体30の回転数を回転軸体50の回転数の3倍に
設定することにより、衝合部における螺旋溝の移動速度
を同一にすることができるが、螺旋溝の移動速度差を得
るためには両者の回転数比をこの値からずれた値に設定
することが望ましい。
【0032】図3及び図4は本発明に係る破砕装置の第
3実施例を示すものである。この実施例は、上記実施例
に示した一対の回転軸体から成る破砕器を複数組み合わ
せたコーヒーミル60を構成するものである。最上部に
取付けられたガイド板61は金属板を矩形の筒状に形成
し、この筒形状を下方に向けて窄め、下端に開口を備え
た形状をもつ。このガイド板61の下方には、一対の回
転軸体62,63が平行に配設されている。この回転軸
体62の周面には左回りの3条の螺旋溝62a,62
b,62cが形成されている。一方、回転軸体63の周
面には右回りの1条の螺旋溝63aが形成されている。
螺旋溝62a,62b,62cのそれぞれのリードは螺
旋溝63aのリードの3倍に設定され、螺旋溝62a,
62b,62cを併せた形成ピッチは螺旋溝63aの形
成ピッチと同一に設定される。
【0033】回転軸体62,63の下にはガイド板68
が取付けられ、ガイド板68の下端寄りに平行に配設さ
れた一対の回転軸体64,65が取付けられている。回
転軸体64の周面には左回りの3条の螺旋溝64a,6
4b,64cが形成され、回転軸体65の周面には右回
りの1条の螺旋溝65aが形成されている。螺旋溝64
a,64b,64cのそれぞれのリードは螺旋溝65a
のリードの3倍に設定され、螺旋溝64a,64b,6
4cを併せた形成ピッチは螺旋溝65aの形成ピッチと
同一に設定されている。
【0034】回転軸体64,65の下方にはガイド板6
9が取付けられ、このガイド板69の下端寄りには一対
の回転軸体66,67が平行に配設されている。回転軸
体66の周面には左回りの3条の螺旋溝66a,66
b,66cが形成され、回転軸体67の周面には右回り
の1条の螺旋溝67aが形成されている。回転軸体6
6,67の下方には収容箱70が配置されている。な
お、上記各螺旋溝の形状は断面V字状であるが、その山
部の頂点は磨耗防止のために多少丸みを与えられてい
る。
【0035】上記各ガイド板61,68,69及び回転
軸体62,63,64,65,66,67は、図4に示
す支持板77,78により支持されており、支持板7
7,78を固定する基盤上にはモータ79が搭載されて
いる。モータ79の出力ギア71は、回転軸体67に連
結された駆動ギア72に噛合し、駆動ギア72は駆動ギ
ア73に噛合している。駆動ギア73は駆動ギア74に
噛合し、駆動ギア74は駆動ギア75及び駆動ギア76
に噛合する。駆動ギア76は駆動ギア77に噛合してい
る。
【0036】上記モータ79は、駆動ギア72,73,
74,75,76,77を介して、回転軸体62,6
4,66と回転軸体63,65,67とを2対1の速度
比で回転駆動する。回転軸体62,64,66は左回り
の3条の螺旋溝をそれぞれ有し、回転軸体63,65,
67は右回りの1条の螺旋溝をそれぞれ有するので、例
えば螺旋溝62a,62b,62cは、衝合部において
これに対向する螺旋溝63aと同一の軸線方向に、螺旋
溝63aよりも多少早い速度で移動する。この状況は、
他の螺旋溝についても同様である。
【0037】上記実施例のガイド板61内にコーヒー豆
を供給すると、コーヒー豆は螺旋溝62a,62b,6
2c,63aの移動に従って図4の右側に誘導されなが
ら次第に回転軸体の間に引き込まれて粉砕され、挽き粉
は両回転軸体の間からガイド板68上に落下する。次
に、挽き粉はガイド板68上を滑り落ち、回転軸体6
4,65の間に供給される。回転軸体64,65は、そ
の外径寸法、螺旋のリードや形成ピッチ等が回転軸体6
2,63とそれぞれ同一になるように形成されている
が、回転軸体64と65の間隔がやや狭くなるように配
設されている。この回転軸体64と65の間において
は、挽き粉は螺旋溝64a,64b,64c,65aの
移動に従って図4の左側に誘導されながら次第に両回転
軸体の間に引き込まれて、より細かく粉砕される。
【0038】回転軸体64,65により粉砕された挽き
粉は、ガイド板69上に落下し、ガイド板69の上を滑
り落ちて回転軸体66,67の間に供給される。回転軸
体66,67に形成された螺旋溝66a,66b,66
c,67aの形成ピッチは上記螺旋溝62a,62b,
62c,63a,64a,64b,64c,65aより
も小さく設定されていて、回転軸体66と67の間隔も
狭く設定されている。ここでは螺旋溝66a,66b,
66c,67aの移動に従って挽き粉が図4の右側に誘
導されながら両回転軸体の間に引き込まれ、さらに細か
く粉砕されて収容箱70の中に落下する。
【0039】この実施例においては、一対の回転軸体か
ら成る粉砕機構が複数段設けられ、コーヒー豆を次第に
細かく粉砕するようになっている。このように構成する
ことにより、豆の破断面を摩擦等により破壊することな
く、しかも効率良く粉砕することができ、挽き粉の粒度
の均一性も高めることができる。
【0040】ただし、例えば中段の処理速度が遅いため
に回転軸体64,65の上から挽き粉が溢れ出るおそれ
があるから、このようなことがないように上下各段の粉
砕速度を相互に調和させる必要があり、さらに、いずれ
かの段において挽き粉が急激に粉砕されないように各段
前後の挽き粉粒度の変化の度合いをほぼ同様にする必要
がある。これらを調整するには、各段における回転軸体
の回転速度や回転軸体の間隔、螺旋溝の形成ピッチやリ
ードを相互に適宜設定する必要がある。
【0041】上記実施例では上段と中段においては回転
軸体及び螺旋溝を同一として回転軸体の間隔のみを変更
し、中段と下段においては、螺旋溝の形成ピッチと回転
軸体間の間隔を変更しているが、回転軸体の回転速度や
間隔、螺旋溝の形成ピッチやリード、対向する一対の回
転軸体にそれぞれ形成された螺旋溝の条数の組合せ等を
各段において適宜に変更することにより、各段相互間の
調和をとりながら挽き粉形成状態の最適化を図ることも
可能である。
【0042】本実施例では、上段にて粗挽き、中段にて
中挽き、下段にて細挽きの挽き粉を形成するように設定
することも可能であり、この場合には、ガイド板68を
外してガイド板68’を取付けることにより粗挽き粉が
得られ、ガイド板69を外してガイド板69’を取付け
ることにより中挽き粉が得られる。各段の回転軸体の径
や軸線方向の長さは、必要な粉砕速度を得るために適宜
設定される。なお、対向する一対の回転軸体の軸線方向
の長さは相互に等しいことが望ましいが、回転軸体の径
は、相互に異なっていてもよい。
【0043】上記各実施例においては、リードをもつ螺
旋溝を備えた回転軸体を対向させ、その間にばいせん後
のコーヒー豆を供給することにより、図5(b)に示す
従来例とは異なり、螺旋溝が軸線方向に移動するために
被粉砕物が軸線方向に応力を受けるとともに対向する螺
旋溝が異なる速度で移動するため、微粉の発生を押さえ
ることができる。また、対向する螺旋溝が噛み合うこと
なく相対的な位置関係が時間とともに変化していくの
で、挽き粉の通過する開口面積は螺旋溝の形状と回転軸
体の間の間隔のみにより一定に定まるので、従来のよう
な微粉の発生や粒度のばらつきを抑制することができ、
図6に示すグラフZのような理想に近い粒度分布を実現
することができる。
【0044】上記各実施例において螺旋溝は断面V字状
に形成されているが、螺旋溝の断面形状は櫛状、波状、
凹凸状のいずれの形状としてもよい。ただし、摩擦を与
えずに容易に破断できる点では上記実施例のようにV字
形又は逆V字形状が最も好ましい。また、本実施例のよ
うに溝部若しくは条部(リブ、鍔のような形状のもの)
が連続して形成されている必要は必ずしもなく、例えば
溝部又は条部が所定間隔で形成され、溝部又は条部の間
には平坦部が存在していてもよい。
【0045】本発明は、コーヒー豆にかぎらず、各種豆
類、穀類等の他の食品の粉砕にも効果があり、例えばそ
ば粉の生産等においても、そば粉の風味を保ちつつ均質
な粉を生成することが可能である。また、食品に限ら
ず、摩擦時の応力や熱等による材質の変化や、粒度のば
らつきが問題となる各種素材の粉砕にも広く適用できる
ことは明らかであり、きわめて顕著な効果を奏するもの
である。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、溝
部若しくは条部が螺旋状に形成されているため、回転軸
体の回転に伴って両回転軸体の衝合部における螺旋溝が
回転軸体の軸線方向に移動するので、比粉砕物に対して
軸線方向に破砕力を加えることができ、比粉砕物に対す
る摩擦や圧迫を低減して、微粉の発生や挽き粉の表面の
破壊や変成を防止することができる。
【0047】また、相互に対向する溝部若しくは条部の
軸線方向への移動速度が相互に異なるように回転駆動す
れば、回転とともに対向する溝部若しくは条部の相対的
な位置関係が変動することにより、回転軸体の間隔と溝
部若しくは条部の形状とに対応したほぼ一定の開口部が
挽き粉の通過部として与えられるので、挽き粉の粒度の
ばらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施例の構成を示す概略断面
図(a)、概略一部平面図(b)、及び変形例を示す概
略一部平面図(c)である。
【図2】本発明に係る第2実施例の構成を示す概略一部
平面図(a)、及び変形例を示す概略一部平面図(b)
である。
【図3】本発明に係る第3実施例の構成を示す概略構成
図である。
【図4】同第3実施例の構成を示す側面図である。
【図5】従来のコーヒーミルにおける粉砕部の原理を示
す概略説明図(a)、(b)である。
【図6】従来のコーヒーの挽き粉の粒度分布と、理想的
な粒度分布とを比較して示すグラフである。
【符号の説明】
10,20 回転軸体 11,21,22 螺旋溝 11a,21a,22a 谷部 11b,21b,22b 山部

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コーヒー豆を粉砕するためのコーヒーミ
    ルであって、 リードを持つ螺旋状に形成された溝部若しくは条部を備
    えた周面を各々有し、前記溝部若しくは条部が相互に接
    触しない程度に近接させて略平行に配設された一対の回
    転軸体と、該一対の回転軸体を相互に逆回転させる回転
    駆動手段とを備え、 前記回転駆動手段は、コーヒー豆の破砕時において、前
    記一対の回転軸体を、相互に対向する前記溝部若しくは
    条部の軸線方向への移動速度が相互に異なるように回転
    駆動するように構成され、 前記回転軸体の間隔及び/又は螺旋溝のピッチを順次低
    減させた2組以上の前記回転軸体の対を設け、コーヒー
    豆を順次粗粒から細粒へ粉砕していくことを特徴とする
    コーヒーミル。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記回転軸体の各対
    においては衝合部における前記螺旋溝の移動方向を同一
    方向に設定し、先の回転軸体の対における前記螺旋溝の
    移動方向と後の回転軸体の対における前記螺旋溝の移動
    方向とを逆方向に設定することを特徴とするコーヒーミ
    ル。
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