JP2959711B2 - 電子ビーム描画方法および装置 - Google Patents
電子ビーム描画方法および装置Info
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Description
試料上で偏向制御し、LSIパターン等を描画する電子
ビーム描画方法および装置に関し、特に偏向信号のS/
N比を低下させることなく電子ビーム偏向制御回路を高
速化して、ウェーハ毎の処理時間を短縮できる電子ビー
ム描画方法および装置に関する。
理能力(スループット)を向上するためには、電子ビー
ムの照射位置を決定する偏向制御回路の高速化が必要不
可欠である。その中でも、偏向器に所望の電圧もしくは
電流を供給する偏向信号増幅器(偏向アンプ)の応答速
度(スルーレート)を高速化して出力が所望の出力値の
規定精度範囲内に整定するまでの時間(セットリングタ
イム)を短縮することが特に重要である。何故ならば、
このセットリングタイムが長いと露光を行えない無駄時
間が増加し、露光周期(ショットサイクル)を低下させ
てしまうためである。ここで、セットリングタイムと
は、偏向アンプの出力信号の所望の電圧に到達するまで
立上り時間であって、1つの描画が終了すると次の描画
のために再度のセットリングタイムが必要となるため、
応答速度の高速化にはこの立上り時間の短縮化が必要で
ある(図2(d)のdt2参照)。
めには、応答速度が速いデバイスを作ることが最も効果
的な方法であるが、従来においては、コストや信頼性な
どの点から市販されているデバイスに高速化のための手
段を施して使用することが一般的に行われている。従
来、考案されている高速化の方法としては、例えば特開
平5-325857号公報や特開平5-326382号公報に記載の方法
のように、複数の増幅器を組み合わせ、それぞれの出力
を逐次切り替えて偏向信号とすることにより偏向アンプ
のセットリングタイムを露光時間に隠してしまうという
方法、つまり1つのアンプの出力が立上るまで前のアン
プを使用し、立上りが完了し所望の電圧が出力されてい
る間に次のアンプを立上げて、順次重複させる方法が用
いられる。また、別の方法としては、セットリングタイ
ムを短縮するように補正信号を生成し、偏向信号に加算
する方法が考案されている(例えば、特開平4-370637号
公報参照)。具体的には、偏向アンプ出力を微分するこ
とにより得られるパルス状の信号を加算することによ
り、立ち上がりまたは下がり部分の応答をより高速化す
るという方法、つまり微分することによりパルス状電圧
波形を発生させ、これを立上りまたは立下り波形の特に
滑らかな部分に加算して、全体的に急な勾配で直線的な
波形に変形させる方法である
のうち、特に前者の方法、すなわち特開平5-325857号公
報や特開平5-326382号公報などに記載された方法では、
出力切り替え部におけるスイッチ回路の応答速度が遅く
なったり、切り替え時にノイズや振動が発生したりする
と、アナログスイッチのセットリングタイムが長くなっ
て、これが実際の偏向信号のセットリングタイムを決定
する主要因となってしまう。したがって、高速応答可能
な高精度アナログスイッチが必要となる。また、従来技
術の後者の方法、すなわち特開平4-370637号公報に記載
された微分信号補正方法は、偏向アンプ出力の微分信号
を偏向信号に加算することにより、立ち上がりまたは下
がり部分の応答をより高速化するというものであるが、
偏向アンプ出力の立ち上がりまたは下がり変化時の高周
波成分と同時に周波ノイズ成分も抽出され偏向信号に加
算されてしまい、偏向信号のS/N比が低下してしまうと
いう問題があった。そこで本発明の目的は、これら従来
の課題を解決し、偏向信号のS/N比を向上させながら
偏向制御を高速化して、ウェーハ毎の処理時間の短縮
と、描画装置のスループットの向上と、半導体デバイス
の短期間での製造を可能にする電子ビーム描画装置およ
び方法を提供することにある。
め、本発明の電子ビーム描画装置では、ディジタル・ア
ナログ変換器(DAC)の出力信号と電荷粒子を偏向する
偏向アンプの出力信号との差分信号を抽出し、これを偏
向アンプの出力信号に加算することにより、立上り波形
の補正を行う。すなわち、デジタル・アナログ変換器の
セットリングタイムは偏向アンプのセットリングタイム
と比較して十分に早く、偏向アンプ出力に対してディジ
タル・アナログ変換器の出力は理想的な矩形波信号とし
て扱うことが可能である。したがって、本願発明では、
上記の点に着目して、偏向アンプ出力とデジタル・アナ
ログ変換器の出力との差信号をセットリングタイムを短
縮するための補正信号としている。その結果、従来のよ
うに、偏向信号のS/N比を低下させることがないとい
う利点がある。
より詳細に説明する。図1は、本発明の一実施例を示す
電子ビーム描画装置の要部構成図である。図1におい
て、101は電子ビーム鏡体、107はデジタル・アナ
ログ変換器、109は偏向器104に加える信号を増幅
する増幅部、110は本発明により新たに設けられた補
正信号生成部、113は補正信号生成部110で生成さ
れた補正信号を増幅部の出力に加算するための加算部で
ある。このように、本発明では、従来方法のように高周
波信号を微分する等の技術を用することなく、補正信号
としてデジタル・アナログ変換器の出力と増幅部アンプ
の出力の差分を抽出する方法を用いているので、偏向信
号のS/N比を低下させることがない。電子ビーム鏡体
101では、電子銃102から電子ビーム103を半導
体ウェハ等の試料105に照射して、LSI等のデバイ
スを製造する。104は、電子ビームに偏向を与える偏
向器である。この偏向器104に加える偏向信号117
をデバイス毎に所望の出力値に高速で立上らせるため
に、先ずビーム偏向データ(DEF)106をクロック
114とともにデジタル・アナログ変換器107に与え
る。このビーム偏向データ106は、電子ビーム103
を試料105上の所望の位置に位置決めするためのもの
である。ビーム偏向データ106は、デジタル・アナロ
グ変換器107によりアナログ電圧信号108に変換さ
れる。
状態Viから終状態Vfに立上るために要する時間(整定時
間)、すなわちデジタル・アナログ変換器107のセッ
トリングタイムは、デジタル・アナログ変換器107に
与えられる変換開始クロック114を基準としてdt1
(秒)である(図2(c)参照)。次に、アナログ電圧
信号108は、増幅部109により電子ビーム103を
偏向器104で所望の距離だけ偏向するために必要な電
圧または電流値にまで増幅される。このとき、増幅部1
09の出力が初期状態Vampiから終状態Vampfに立上るた
めに要する時間(整定時間)は、増幅部109内のアン
プのセットリングタイムによって決定される。これは、
変換開始クロック114を基準としてdt2(秒)(図2
(d)参照)である。
差分抽出回路111と振幅設定回路112から構成され
ており、先ず差分抽出回路111ではデジタル・アナロ
グ変換器107のアナログ出力108と増幅部109の
出力116とを減算して、その差分を抽出する。次に、
振幅設定回路112では、差分抽出回路111の出力を
受け取って、その差分の振幅を設定する。このように、
補正信号生成部110においては、これら2つの信号か
ら応答性を補正するための補正信号115を生成する。
デジタル・アナログ変換器107のセットリングタイム
dt1と増幅部109内のアンプのセットリングタイムdt
2の間にはdt1<dt2が成り立つので(図2(c),
(d)参照)、増幅部109内のアンプに対してデジタ
ル・アナログ変換器107の出力信号は理想矩型波信号
とみなすことができる。したがって、アナログ電圧信号
108と増幅部109の出力信号の差成分は理想応答性
からのずれ量を示し、増幅部109の応答性を理想的に
するための補正信号として扱うことができる。実際に
は、増幅部109のアンプで増幅した分だけ増幅部10
9の出力信号の方が振幅が大きいので、元の信号に戻し
て差をとる。ここで生成された補正信号115は、加算
部113において、増幅部出力信号116に加算され
る。以上のようにして、応答性補正がなされた偏向信号
117は電子ビーム鏡体101の偏向器104に供給さ
れる。
作タイムチャートである。図2の(a)はデジタル・ア
ナログ変換器107に供給される偏向データ106、
(b)はデジタル・アナログ変換器107に対する変換
開始クロック信号114、(c)はデジタル・アナログ
変換器107の出力のアナログ電圧信号108、(d)
は増幅部109内のアンプの出力信号116、(e)は
生成された補正信号115、(f)は補正された偏向信
号117である。偏向データ(a)の切り替わりから時
間dt0の後に、デジタル・アナログ変換器107に対し
て変換開始クロック信号(b)が与えられる。デジタル
・アナログ変換器107のアナログ電圧信号(c)は、
変換開始クロック信号(b)の立上りを基準としてdt1
後に、偏向データ(a)に対応する電圧Vfに整定する。
偏向アンプ109の出力信号(d)は、変換開始クロッ
ク信号(b)の立上り時刻を基準としてdt2後に所望の電
圧Vampfに整定する。この時間dt2が増幅部109のアン
プ出力116の本来の立上り時間であって、これではセ
ットリングタイムが長過ぎるため、高速化が必要とな
る。ここで、デジタル・アナログ変換器107のアナロ
グ電圧信号(c)と増幅部109内のアンプの出力信号
(d)の振幅をあわせて差をとることにより、補正信号
(e)が生成される。この補正信号(e)は、増幅部内ア
ンプの出力信号(d)に加算される。この結果、偏向信
号のセットリングタイムは、補正前がdt2であるのに対
し補正後はdt3に短縮される。
するための具体例を示す図である。デジタル・アナログ
変換器304は図1の107に、アンプa301は図1
の109に、アンプb302は図1の補正信号生成部1
10に、アンプc303は図1の加算部113に、それ
ぞれ対応している。デジタル・アナログ変換器304は
出力電圧振幅±1V、セットリングタイム(tset)30ns
ecである。アンプ(AMPa)301、(AMPb)302、
(AMPc)303は、この場合全て同一の規格であって、
出力電圧振幅±10V、セットリングタイム150nsec
である。各抵抗R1〜R10(単位はΩ)およびコンデ
ンサC1(単位はpF)は図に示す通りの値を備えてい
る。先ず、電子ビームを試料上の所望の位置に位置決め
するためのビーム偏向データ300がデジタル・アナロ
グ変換器304に与えられる。デジタル・アナログ変換
器304により、偏向データ300は電圧信号305に
変換される。このとき、電圧信号305は変換開始から
30nsecで目標出力電圧値に整定する。
301により必要な電圧値まで増幅される。この例の場
合、増幅率は10倍であり、最大出力が±10Vとな
る。アンプ(AMPa)301の増幅出力信号306は、1
50nsecで目標出力電圧値に整定する。次に、電圧信号
305と、増幅出力信号306を抵抗R4、R5により
分圧した分圧信号308をアンプ(AMPb)302におい
て加算する。この場合、電圧信号305の極性と分圧信
号308の極性は反転しているため、アンプ(AMPb)3
02の出力においては両信号の差成分、つまり応答性補
正信号307が得られる。得られた応答性補正信号30
7は、最終段のアンプ(AMPc)303において増幅出力
信号306に加算される。ここでは、抵抗R9の値を適
当に設定することにより、応答性補正信号307と増幅
出力信号306の加算比を最適化している。シミュレー
ションでは、以上のようにして応答性補正を行った結
果、偏向信号309のセットリングタイムは80nsecに
短縮された。
て半導体デバイスを製造する場合の製造過程を説明する
図である。先ず、Nマイナスシリコンウエーハ501に
通常の方法でPウエル層502、P層503、フィール
ド酸化膜504、多結晶シリコン/シリコン酸化膜ゲー
ト505、P高濃度拡散層506、N高濃度拡散層50
7、などを形成した(図4(a)参照)。次に、通常の
方法でリンガラス(PSG)の絶縁膜508を被着し
た。さらに、その上にフォトレジスト509を塗布した
(図4(b)参照)。この状態のウエーハに対して、本
発明の電子ビーム描画装置によりコンタクトホールの加
工をおこなった。所望の大きさに成形された断面を持つ
電子ビーム510をコンタクトホールを形成すべき位置
に順次偏向し、露光をおこなった。この実施例の場合、
Ha、Hb、Hc、Hdの順に露光した(図4(c)参照)。本
発明の電子ビーム描画装置では、偏向器に偏向電圧(電
流)を与える偏向アンプのセットリングタイムが補正に
より従来よりも短くなっている。したがって、露光サイ
クルが短縮され、ウエーハ毎の処理時間を短縮すること
ができた。この後、現像処理をおこなった結果、図4
(d)に示すようにホールパターン511が形成され
た。以上に示したように、本発明の電子ビーム描画装置
においては電子ビームの偏向制御が高速化されるため、
ウエーハ毎の処理時間を短縮できた。したがって、LS
Iを短期間で製造することが出来た。
電子ビーム描画装置における電子ビームの偏向制御が高
速化されるため、偏向信号のS/N比を低下させること
なくウエーハ毎の処理時間が短縮され、電子ビーム描画
装置のスループットが向上する。したがって、LSIな
どを短期間で製造することが可能である。
要部構成図である。
である。
バイスを製造する場合の順序説明図である。
ム、104…偏向器、105…試料、106…偏向データ、107…
デジタル・アナログ変換器(DAC)、108…アナログ電圧
信号、109…増幅部、110…補正信号生成部、111…差分
抽出、112…振幅設定、113…加算部、114…変換開始ク
ロック、115…補正信号、116…増幅部出力信号、117…
偏向信号、301…アンプ(AMPa)、302…アンプ(AMPb)、
303…アンプ(AMPc)、305…電圧信号、304…デジタル
・アナログ変換器(DAC)、306…増幅出力信号、307…
応答性補正信号、308…分圧信号、309…偏向信号、502
…Pウエル層、503…P層、501…Nマイナスシリコンウ
エーハ、504…フィールド酸化膜、505…多結晶シリコン
/シリコン酸化膜ゲート、506…P高濃度拡散層、507…
N高濃度拡散層、508…リンガラス(PSG)の絶縁
膜、509…フォトレジスト、510…電子ビーム、511…ホ
ールパターン。
Claims (6)
- 【請求項1】 デジタルデータをディジタル・アナログ
変換器により電圧または電流信号に変換し、さらに増幅
器により所望の大きさに増幅した該信号を静電または電
磁偏向器に偏向信号として印加することにより荷電粒子
を偏向し、照射位置決めを行う電子ビーム描画方法にお
いて、 前記ディジタル・アナログ変換器の出力信号と前記増幅
器の出力信号の差分信号を抽出するステップと、 該差分信号を前記増幅器の出力信号に加算し、これを偏
向信号とするステップとを有することを特徴とする電子
ビーム描画方法。 - 【請求項2】 請求項1に記載の電子ビーム描画方法に
おいて、 前記差分信号の振幅が、前記増幅器の出力整定時間を最
も短くするように最適に設定されることを特徴とする電
子ビーム描画方法。 - 【請求項3】 デジタルデータを電圧または電流信号に
変換するディジタル・アナログ変換器と、変換された電
圧または電流信号を増幅する増幅器と、増幅された電圧
または電流信号を静電または電磁偏向器に偏向信号とし
て印加することにより電子ビームを偏向し、試料に照射
位置決めを行い、露光する電子ビーム描画装置におい
て、 前記ディジタル・アナログ変換器の出力信号と前記増幅
器の出力信号の差分信号を抽出する補正信号生成部と、 該差分信号を前記増幅器の出力信号に加算し、これを偏
向信号とする加算部とを備えることを特徴とする電子ビ
ーム描画装置。 - 【請求項4】 請求項3に記載の電子ビーム描画装置に
おいて、 前記差分信号を抽出する際の前記増幅器の出力信号の振
幅を、前記ディジタル・アナログ変換器の出力信号の振
幅と等しくなるように、前記増幅器の出力信号を分圧す
るための分圧器を備えたことを特徴とする電子ビーム描
画装置。 - 【請求項5】 請求項3に記載の電子ビーム描画装置に
おいて、 前記差分信号を前記増幅器の出力信号に加算する際に、
該差分信号と該増幅器出力信号の加算比を最適化するた
め、該差分信号の振幅を所定値に設定する抵抗器を備え
ることを特徴とする電子ビーム描画装置。 - 【請求項6】 デジタルデータをディジタル・アナログ
変換器により電圧または電流信号に変換し、さらに該電
圧または電流信号を増幅器により所望の大きさに増幅
し、増幅された該信号を静電または電磁偏向器に偏向信
号として印加して電子ビームを偏向して照射位置決めを
行い、露光を行う電子ビーム描画方法により製造される
半導体デバイスにおいて、 前記ディジタル・アナログ変換器の出力信号と前記増幅
器の出力信号の差分信号を抽出し、該差分信号を前記増
幅器の出力信号に加算し、加算された信号を上記静電ま
たは電磁偏向器の偏向信号とすることにより製造される
ことを特徴とする半導体デバイス。
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JP9126780A JP2959711B2 (ja) | 1997-05-16 | 1997-05-16 | 電子ビーム描画方法および装置 |
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JPH10321500A JPH10321500A (ja) | 1998-12-04 |
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JP9126780A Expired - Fee Related JP2959711B2 (ja) | 1997-05-16 | 1997-05-16 | 電子ビーム描画方法および装置 |
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1997
- 1997-05-16 JP JP9126780A patent/JP2959711B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH10321500A (ja) | 1998-12-04 |
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