JP2959263B2 - 熱可塑性樹脂への金属線材の固定方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂への金属線材の固定方法

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JP2959263B2
JP2959263B2 JP6014192A JP6014192A JP2959263B2 JP 2959263 B2 JP2959263 B2 JP 2959263B2 JP 6014192 A JP6014192 A JP 6014192A JP 6014192 A JP6014192 A JP 6014192A JP 2959263 B2 JP2959263 B2 JP 2959263B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱可塑性樹脂への金属線
材の固定方法に係り、特に、電子部品等の外装材等とし
て使用される熱可塑性樹脂よりなる各種部材に端子又は
リード線等の金属線材を容易かつ効率的に、高強度に固
定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子部品の外装材等の熱可塑性樹
脂製部材にリード線を固定する場合、熱可塑性樹脂自体
には接着性がないため、図2(a)に示す如く、リード
線11の途中に突起11aを設けておくか、或いは、図
2(b)に示す如く、リード線11を予め曲げて曲折部
11bを形成しておき、これを熱可塑性樹脂12中に埋
め込んで固定強度を確保している。
【0003】しかして、このようなリード線11を熱可
塑性樹脂12中に埋め込む方法としては、 リード線を金型に予め配置して熱可塑性樹脂を注入
して硬化させる方法(インサート成型法)。又は リード線を熱可塑性樹脂成型品に圧入する方法。 がある。更に、リード線の固定強度を高めるために、接
着剤が必要とされる場合もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の方法では、
リード線の前加工が必要であったり、固定強度確保のた
めに接着剤が必要であるという欠点がある。しかも、上
記従来のリード線埋め込み法のうち、のインサート成
型法では、金型内に配設するリード線等に高い寸法精度
が要求される。しかも、既に他の部品に取り付けられて
いるリード線を金型内に配設してインサート成型するこ
とは、その工程上困難である。
【0005】また、の方法では、線径の細いリード線
を圧入することは困難であり、また、と同様に、既に
他の部品に取り付けられているリード線を圧入すること
は難しいという欠点がある。しかも、の方法では、固
定強度が十分でないという欠点もある。
【0006】本発明は上記従来の問題点を解決し、熱可
塑性樹脂よりなる各種部材に様々な金属線材を、容易か
つ効率的に、高い固定強度にて固定することができる熱
可塑性樹脂への金属線材の固定方法を提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の熱可塑性樹脂へ
の金属線材の固定方法は、それぞれ少なくとも一端面が
熱可塑性樹脂よりなる第1の部材と第2の部材の該一端
面どうしの間に金属線材を挟み込んで固定する方法にお
いて、該第1の部材の前記端面に前記金属線材の長手方
向と交叉方向に延在する凸部を設け、該第2の部材の前
記端面に該凸部が嵌合する形状の凹部を設けておき、該
金属線材を該凸部及び凹部の合せ面に沿って曲げるよう
にして、該第1の部材と第2の部材との間に該金属線材
を挟み込み、加熱により両部材を融着させると共に該金
属線材を固着させるようにしたことを特徴とする。
【0008】以下に図面を参照して本発明を詳細に説明
する。図1(a)、(b)、(c)は、本発明の熱可塑
性樹脂への金属線材の固定方法の一実施方法を示す断面
図、図3は同斜視図である。
【0009】本実施例の方法では、熱可塑性樹脂製の部
材1、2の一端面どうし間に金属線材3を挟み込んで固
定するに当り、図1(a)及び図3に示す如く、予め部
材1の線材固定端面に凸条1Aを形成し、一方、部材2
の線材固定端面に該凸条(1Aと嵌合可能な凹溝2Bを
形成しておく。しかして、金属線材3をこのような両部
材1、2間に、凸条1A及び凹溝2Aの延在方向に直交
する方向に挟んで、両部材1、2を矢印A方向に加圧す
ることにより、図1(b)に示す如く、金属線材3を部
材1の凸条1A及び部材2の凹溝2Aの合せ面に沿って
曲げる。この状態で合わ面近傍を加熱することにより当
該部分の熱可塑性樹脂を溶融させて、図1(c)に示す
如く、両部材1、2を融着させると共に、金属線材3を
固着する。
【0010】本発明において、熱可塑性樹脂製部材を構
成する熱可塑性樹脂の種類や部材形状等には特に制限は
なく、また、形成する凸部や凹部の形状、大きさ等につ
いても、金属線材の変形により、十分な固着強度が得ら
れる程度であれば良く、特に制限はない。例えば、凸条
や凹溝の断面形状(その延在方向と直交する断面形状)
は四角形状に限らず、三角形状や半円形状であっても良
い。また、凸部や凹部は、その延在方向に沿う断面形状
が異形のものであっても良い。また、凸部及び凹部はそ
れぞれ2個以上ずつ設けても良い。また、凸部及び凹部
の延在長さについても、必ずしも部材端面の全長さにわ
たって設ける必要はなく、金属線材の線径等に応じて十
分な固定強度が確保できる長さに適宜形成すれば良い。
【0011】一方、金属線材の形状、材質、線径、被覆
の有無についても特に制限はなく、加圧により、部材の
端面の凸部及び凹部の合せ面に沿って容易に曲がるもの
であれば良い。
【0012】また、熱可塑性樹脂部材の加熱溶着方法と
しても特に制限はないが、通常の場合、超音波溶着を行
なうのが好適である。
【0013】
【作用】本発明の方法においては、金属線材を部材の凸
部と凹部の合せ面に沿って曲げるようにして両部材間に
挟み込むことにより、金属線材の曲折部を形成するた
め、従来の如く、固定強度を確保するための突起や折曲
部を形成するために、金属線材の前加工を行なう必要が
ない。
【0014】しかも、折曲部を形成して変形させた状態
で挟み込んだ金属線材を、熱可塑性樹脂の加熱溶着によ
り固定するため、引張力に対する抵抗、即ち、金属線材
と熱可塑性樹脂製部材との摩擦強度が著しく大きく、極
めて高強度な固定構造とすることができる。
【0015】従って、本発明の方法においては、接着剤
を用いることなく、大きな固定強度を確保することがで
きるが、接着剤を用いても良いことは言うまでもない。
【0016】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0017】実施例1 図1、3に示す方法により、直径0.8mmの軟銅線の
固定を行なった。即ち、図示の如く、凸条1Aを設けた
熱可塑性樹脂製部材1と凹溝2Aを設けた熱可塑性樹脂
製部材2との間に軟銅線3を挟んで矢印A方向に加圧し
て超音波溶着を行なった。なお、凸条1A及び凹溝2A
は、高さ又は深さa=1.0mm、幅b=1.0mmで
あり、長さc=10mmにわたって形成した。
【0018】その後、固定された軟銅線の引張強度を調
べ、結果を表1に示した。
【0019】比較例1 実施例1において、部材1、2の代りに、図4に示す如
く、凸条、凹溝を形成していない、端面が平坦な熱可塑
性樹脂製部材4、5を用いたこと以外は、実施例1と同
様にして軟銅線3を挟んで加熱し、超音波溶着を行なっ
て溶着を行ない、軟銅線の引張強度を調べた。結果を表
1に示す。
【0020】表1より、本発明の方法によれば、高い固
定強度が得られることが明らかである。
【0021】
【表1】
【0022】実施例2 図5に示す如く、断面三角形状の凸条6Aを2本設けた
熱可塑性樹脂製部材6と、断面三角形状の凹溝7Aを2
本設けた熱可塑性樹脂製部材7との間に、直径0.6m
mのCP線8を挟んで、実施例1と同様に加圧、超音波
溶着を行なって、CP線8の固定を行ない、その引張強
度を調べた。結果を表2に示す。なお、凸条6A、凹溝
7Aの高さ又は深さa、幅b、長さcは実施例1と同様
な値とした。
【0023】比較例2 図6に示す如く、直径0.6mmの貫通孔9Aを設けた
熱可塑性樹脂製部材9の貫通孔9Aに、最大幅dが0.
8mmとなるつぶし部分10Aを設けた、直径0.6m
mのCP線10を、つぶし部分10Aが熱可塑性樹脂製
部材9の中央に位置するように圧入した。このCP線1
0の引張強度を調べ、結果を表2に示した。
【0024】表2より、本発明の方法によれば、圧入法
よりも、固定強度が著しく向上することが明らかであ
る。
【0025】
【表2】
【0026】なお、上記の例では、凸部として凸条を、
凹部として凹溝を設ける場合について例示したが、凸
部、凹部は、図7、図8に示すような形状のものであっ
ても良い。なお、図7、8において、21、22、3
1、32は部材、23は金属線材、21A、31Aは凸
部、22A、32Aは凹部である。
【0027】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の熱可塑性樹
脂への金属線材の固定方法によれば、端子やリード線等
の金属線材を、前加工や接着剤を要することなく、単に
所定形状に成型された熱可塑性樹脂部材間に挟んで加圧
溶着させるという非常に容易な作業で、極めて高強度に
固定することができる。
【0028】本発明の方法によれば、金属線材の線径等
に制限を受けることなく、また、既に他の部材に固定さ
れた金属線材をも熱可塑性樹脂製部材に容易かつ効率的
に、低コストにて固定することができ、その工業的有用
性は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱可塑性樹脂への金属線材の固定方法
の一実施例を示す断面図である。
【図2】従来法を示す断面図である。
【図3】図1(a)の状態を示す斜視図である。
【図4】比較例1の方法を示す斜視図である。
【図5】実施例2の方法を示す斜視図である。
【図6】比較例2の方法を示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施例を示す斜視図である。
【図8】本発明の一実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1、2、6、7 熱可塑性樹脂製部材 1A、6A 凸条 2A、7A 凹溝 3 金属線材

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれ少なくとも一端面が熱可塑性樹
    脂よりなる第1の部材と第2の部材の該一端面どうしの
    間に金属線材を挟み込んで固定する方法において、 該第1の部材の前記端面に前記金属線材の長手方向と交
    叉方向に延在する凸部を設け、該第2の部材の前記端面
    に該凸部が嵌合する形状の凹部を設けておき、 該金属線材を該凸部及び凹部の合せ面に沿って曲げるよ
    うにして、該第1の部材と第2の部材との間に該金属線
    材を挟み込み、加熱により両部材を融着させると共に該
    金属線材を固着させるようにしたことを特徴とする熱可
    塑性樹脂への金属線材の固定方法。
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