JP2957450B2 - 異形棒鋼の圧延方法 - Google Patents

異形棒鋼の圧延方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄筋等に使用される異
形棒鋼を得るための圧延方法に関し、特に、長手方向に
延びるリブを4本有する異形棒鋼を2ロール圧延機によ
って安定的に得ることのできる方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来の異形棒鋼としては、図6((a)
は側面図、(b)はそのX−X線断面図)に示すよう
に、丸棒材の周面に、周方向に沿った多数の凸部(節)
12が長手方向にほぼ等間隔で、長手方向に沿った二本
の凸部(リブ)4が断面円の周方向で180°離れた位
置に形成されているものが一般的である。
【0003】このような異形棒鋼5は、一対二個のロー
ルを対向配置した2ロール圧延機が複数台直列に配列さ
れた熱間連続圧延設備によって製造され、図7(正面
図)および図8((a)は展開図、(b)はそのY−Y
線断面図)に示すように、最終仕上用の孔型を形成する
両仕上ロールR1 ,R2 には、断面円弧状の周溝3に、
周方向と直交する節溝2が形成してある。この孔型に、
上流側の圧延機列によって断面が楕円に圧延された素材
Sを通すことにより、丸棒材の周面に、節溝2に応じた
節12と、素材SのロールR1 ,R2 間からの噛み出し
により生じるリブ4とが形成される。
【0004】また、異形棒鋼の節は長手方向に対して斜
めに配置される場合もあり、その場合には、図9に示す
ように、仕上ロールRの周面の節溝2が、周方向に対し
て所定角度αだけ傾けて形成されている。図9において
(a)は仕上ロールRの孔型部の展開図であり、(b)
はそのZ−Z線断面図である。この場合でも、得られる
異形棒鋼のリブは、仕上ロールR間からの噛み出しによ
って形成される二本のみである。
【0005】近年、このような異形棒鋼を加工機械で曲
げることが行われているが、リブが二本しかないと、加
工機械の送り装置や支持装置で異形棒鋼の表面を安定的
に支持することが困難であるため、円周方向にほぼ等間
隔に四本のリブを有する異形棒鋼が求められている。ま
た、異形棒鋼は鉄筋コンクリート用の鉄筋として使用さ
れるが、リブが四本あるとコンクリートとの付着力が高
くなるという利点もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、四本の
リブを有する異形棒鋼を製造する技術は確立していな
い。例えば、本出願人等が以前出願した技術(特願平6
−119067号公報参照)によれば最終仕上圧延機に
4ロール圧延機を用いることにより、四本のリブを有す
る異形棒鋼を製造することは可能であるが、最終仕上圧
延を2ロール圧延機で行うことによって四本のリブを形
成することは実用化されていない。
【0007】本発明は、このような点に着目してなされ
たものであり、最終仕上圧延を2ロール圧延機で行うこ
とによって節と四本のリブが形成された異形棒鋼を得る
ことを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明は、一対二個のロールを対向配置し
た2ロール圧延機が複数台直列に配列された熱間連続圧
延設備の最終仕上圧延機で、送給される素材の周面に対
して、ロール周面の周溝と交差するように設けた節溝に
より節を形成し、且つロール間からの噛み出しによりリ
ブを形成する異形棒鋼の圧延方法において、前記周溝お
よび節溝に加えて、前記周溝の溝幅方向中心部に、周方
向に直交する断面が台形状であって、その平行な二辺が
深さ方向に位置し且つ底側の辺が短いリブ用底溝を設け
た一対二個のロールを用いて、最終仕上圧延を行うこと
を特徴とする異形棒鋼の圧延方法を提供する。
【0009】この方法によれば、ロール間からの噛みだ
しによって形成される二本のリブに加えて、各ロールに
形成されたリブ用底溝によって二本のリブが形成され
る。リブ用底溝によるリブは前記周溝の溝幅方向中心部
に設けてあるため、円周方向に等間隔またはほぼ等間隔
に四本のリブが形成された異形棒鋼が得られる。請求項
2の発明は、請求項1の方法において、前記ロールは、
例えば図1に示すように、前記リブ用底溝1の底面を節
溝2の底面と一致させ、且つ節溝2を前記周溝3(溝幅
方向中心線L0 )に対して直角に形成したものであると
ともに、、図2に示すように、前記噛み出しによるリブ
4a,4b間の幅H1 が節溝2の断面円の直径A1 に一
致するまたはほぼ一致するように圧延を行うことを特徴
とするものである。
【0010】この方法によれば、四本のリブ4a〜4d
が円周方向に等間隔またはほぼ等間隔に形成されること
に加えて、全てのリブの外周面が節の外周面と一致また
はほぼ一致するとともに、節がリブに対して直角に形成
される。請求項3の発明は、請求項2の方法において、
図2に示すように、リブ用底溝1の深さが製品の平均径
の10%以下である場合に、前記リブ用底溝1の断面を
なす台形が等脚台形であってその平行でない二辺のなす
角度θが10°以上であり、且つ当該リブ用底溝1の底
側の溝幅bが前記平均径の4%以上であることを特徴と
するものである。
【0011】前記製品の平均径とは、異形棒鋼の節およ
びリブを除いた丸棒部分の平均直径を意味する。ここ
で、図2に示すように、素材Sの進行速度はロール
1 ,R2 の周面における回転速度に一致するが、周溝
3のリブ用底溝1の開口側の角部aは回転半径が小さい
ために、この角部aでの回転速度は素材Sの進行速度よ
り遅くなる。そのため、この角部aは圧延時に無理な力
がかかって割れやすいが、リブ用底溝1の形状を前述の
ように限定することにより、割れ難くすることができ
る。
【0012】実際に前記角度θと溝幅bとを変化させて
ロールの角部aに割れが生じるかどうかを調べたとこ
ろ、リブ用底溝1の深さをJIS規格の上限である製品
平均径の10%とした場合には、図3のグラフに示すよ
うな結果になった。このグラフから、リブ用底溝1の深
さが製品平均径の10%である場合には、角度θが10
°以上であり、且つ溝幅bが製品平均径の4%以上であ
ればロール割損が生じないことが分かる。また、リブ用
底溝1の深さは浅い方がロールに割れが生じ難いため、
リブ用底溝1の深さが製品平均径の10%未満である場
合にも、角度θが10°以上であり、溝幅bが製品平均
径の4%以上であればロール割損が生じないことにな
る。
【0013】なお、リブ用底溝1の溝幅bは広い方が、
角度θは大きい方がロールはより割れ難くなるが、これ
らの上限値はJIS等で定められた製品規格によって設
定される。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づき説明する。図4は、この実施形態において、最
終仕上用2ロール圧延機の一対のロールで形成される孔
型を示す正面図であり、前出の図1は、この実施形態に
おけるロールの溝面側を示す展開図(a)とそのD−D
線断面図(b)である。
【0015】これらの図に示すように、同形状のロール
1 ,R2 は、周面に断面円弧状の周溝3が形成され、
この周溝3には、周方向に垂直に所定の幅で節溝2が刻
んである。この節溝2は、周溝3の周方向に沿って等間
隔で形成されている。また、周溝3の溝幅方向中心線L
0 に沿って、周方向(溝幅方向中心線L0 )に直交する
断面が等脚台形であるリブ用底溝1が、周方向全体に渡
って形成されている。この台形の平行な二辺はリブ用底
溝1の深さ方向に位置し、底側の辺が短くなっている。
【0016】このリブ用底溝1の底面は節溝2の底面と
一致しており、図4に示すように、深さc=0.85m
m、孔型の直径(製品の平均径)A2 =15.9mm、
断面をなす等脚台形の平行でない二辺のなす角度θ=6
0°、底側の溝幅b=2.0mmである。また、ロール
1 ,R2 周面の周溝3との境界部分には傾斜部3aが
形成され、ロール隙間d=2.0として、両ロール
1 ,R2 の傾斜部3a同士がなす角度β=60°とし
た。ここで、リブ用底溝1の深さcは製品の平均径A2
の5.3%に、リブ用底溝1の底側の溝幅bは製品の平
均径A2 の13%にそれぞれ相当する。
【0017】このような2ロール圧延機を最終仕上圧延
機とし、通常の2ロール圧延機列で所定の外径寸法とな
るまで圧延された丸棒材を、前出の図2に示すように、
噛み出しによるリブ4a,4bの幅H1 が節溝2の断面
円の直径A1 に一致するように仕上圧延を行ったとこ
ろ、ロール割損のトラブルもなく、四本のリブが円周方
向にほぼ等間隔に形成され、全てのリブの外周面が節の
外周面に一致し、節がリブに対して直角に形成された異
形棒鋼が得られた。
【0018】得られた異形棒鋼は、図5に示すように、
加工機械の送り装置であるフィードローラ6に確実に支
持されて、正確に送られる。すなわち、この異形棒鋼5
は、四本のリブ4が円周方向にほぼ等間隔に形成されて
いるため、異形棒鋼5が(a)〜(c)のように回転し
ても、フィードローラ6の各溝面6aに少なくとも一本
のリブ4が常に当たるようになる。
【0019】また、節がリブに対して直角であるため、
曲げ加工時にねじれが生じないという利点もある。ま
た、前記実施形態では、リブ用底溝1の深さcは製品の
平均径A2 の5.3%に、リブ用底溝1の底側の溝幅b
は製品の平均径A2 の13%としたことにより、ロール
割損のトラブルの発生がなく安定的に四本リブを有する
異形棒鋼が得られた。
【0020】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、節と四本のリブが形成された異形棒鋼が、最終仕上
圧延を2ロール圧延機で行うことによって得られる。こ
れにより、従来のリブが二本の異形棒鋼の圧延設備にお
いて、最終仕上用2ロール圧延機のロールの孔型形状を
変えるだけでリブが四本の異形棒鋼を得ることができる
ため、製造コストが大幅に高くならない。
【0021】特に、請求項2の方法によれば、機械加工
に適した形状の異形棒鋼が得られる効果がある。また、
請求項3の方法によれば、ロール割損が生じ難いため、
節と四本のリブが形成された異形棒鋼が安定的に得られ
るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における最終仕上用2ロー
ル圧延機のロールの溝面側を示す図であり、(a)は展
開図、(b)はそのD−D線断面図に相当する。
【図2】本発明の作用を説明するための、最終仕上用2
ロール圧延機のロールで形成される孔型を示す正面図で
ある。
【図3】本発明の作用を説明するためのグラフである。
【図4】本発明の一実施形態における最終仕上用2ロー
ル圧延機のロールで形成される孔型を示す正面図であ
る。
【図5】本発明の一実施形態で得られた異形棒鋼のフィ
ードローラ内での状態を示す図であり、(a)〜(c)
はそれぞれ異なる状態を示す。
【図6】従来の異形棒鋼の一例を示す図であり、(a)
は側面図、(b)はそのX−X線断面図に相当する。
【図7】図6の異形棒鋼を得るための最終仕上用2ロー
ル圧延機のロール対の一例を示す概要図である。
【図8】図7のロールを示す展開図(a)と、そのY−
Y線断面図(b)である。
【図9】従来の異形棒鋼圧延に使用される最終仕上孔型
の別の例を示す図であり、(a)は展開図、(b)は
(a)のZ−Z線断面図に相当する。
【符号の説明】 1 リブ用底溝 2 節溝 3 周溝 4 リブ 4a〜4dリブ 5 異形棒鋼 12 節 R,R1 ,R2ロール S 素材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B21B 1/16 B21B 27/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対二個のロールを対向配置した2ロー
    ル圧延機が複数台直列に配列された熱間連続圧延設備の
    最終仕上圧延機で、送給される素材の周面に対して、ロ
    ール周面の周溝と交差するように設けた節溝により節を
    形成し、且つロール間からの噛み出しによりリブを形成
    する異形棒鋼の圧延方法において、 前記周溝および節溝に加えて、前記周溝の溝幅方向中心
    部に、周方向に直交する断面が台形状であって、その平
    行な二辺が深さ方向に位置し且つ底側の辺が短いリブ用
    底溝を設けた一対二個のロールを用いて、最終仕上圧延
    を行うことを特徴とする異形棒鋼の圧延方法。
  2. 【請求項2】 前記ロールは、前記リブ用底溝の底面を
    節溝の底面と一致させ、且つ節溝を前記周溝に対して直
    角に形成したものであるとともに、前記噛み出しによる
    リブ間の幅が節溝の断面円の直径に一致するまたはほぼ
    一致するように圧延を行うことを特徴とする請求項1記
    載の異形棒鋼の圧延方法。
  3. 【請求項3】 前記リブ用底溝の深さが製品の平均径の
    10%以下である場合に、前記リブ用底溝の断面をなす
    台形が等脚台形であってその平行でない二辺のなす角度
    が10°以上であり、且つ当該リブ用底溝の底側の溝幅
    が前記平均径の4%以上であることを特徴とする請求項
    2記載の異形棒鋼の圧延方法。
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