JP2956845B2 - 電力変換装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） 本発明は、一時停電があった場合における交換電動機
の再起動方式を改良した電力変換装置に関する。

（従来の技術） 電力変換装置は一般に交流電動機の可変速駆動に用い
られている。このように交流電動機を負荷とする場合、
電源に一時的な停電が生じた際に交流電動機は直ちに停
止せず慣性によって徐々に回転速度を低下させるため、
停電から復帰した時には交流電動機の回転数に合わせた
周波数で電力変換装置を再起動させることが必要であ
る。ここで従来の電力変換装置における再起動方法を第
３図を用いて説明する。

１は主回路,2は制御回路,3は周波数設定回路で制御回
路２は、電源４からの電力を周波数設定回路３により制
定された周波数により交流電動機５に供給するように主
回路１を制御する。６は電圧検出回路で、これは交流電
動機５の運転中に一時的な停電が生じたときに、電源４
の電圧低下を検出して制御回路２のリセット端子RSTに
電圧低下信号を出力することにより制御回路２の動作を
停止させ、その停電から復帰したときには、電源４の電
圧の立上りを検出して制御回路２のリセット端子RSTに
復電検出信号を出力する。７は回転速度検出演算回路
で、これは絶縁回路８を介して交流電動機５の入力側に
接続され、電圧検出回路６から制御回路２に復電検出信
号が与えられたときにフリーランしている交流電動機５
の電子巻線に誘導される電圧の周波数に基き交流電動機
５の回転速度を所定の時間間隔で２回検出すると共に、
その検出された両回転速度に基き速度変化率△F/△taを
線形近似で演算して、この速度変化率に基き電力再供給
時の周力周波数を制御回路２に与え再起動を行なってい
た。

（発明が解決しようとする課題） 従来の電力変換装置における交流電動機の再起動方式
は上述したように行なわれているため、交流電動機の回
転速度が高いとき（1000rpm以上）に一時的な停電が生
じ、復帰するまでの時間が非常に短かいとき（300msec
以下）交流電動機は風損等の影響を受け、直線的に回転
速度は減少せず、第４図のように減少する。このため、
電源復帰後、交流電動機５の回転速度を検出し、線形演
算する回転速度検出演算回路７により制御回路２に与え
られる出力周波数は実際の交流電動機５の回転周波数に
比べ、低くなり、電力再供給時に交流電動機５からの過
大な回生電流が流れ込み、電力変換装置の過電流保護機
能が働き、再起動できないという問題があった。

本発明は、上記のような問題点を解消するためになさ
れたもので、交流電動機の回転速度が高いときで、一時
的な停電から復帰までの時間が非常に短かいときにおい
ても、交流電動機や電力変換装置に過大な電流が流れる
ことを未然に防止することができる電力変換装置を提供
することを目的とする。

［発明の構成］ （課題を解決するための手段） すなわち、本発明は、上記目的を達成するために、交
流電動機の運転中に生じた一時停電から復帰したときに
交流電動機の回転速度を所定の時間間隔で任意回検出
し、この検出された回転速度に基づき速度変化率を演算
する回転速度検出演算手段と、電源が停電から復帰した
際に電圧検出回路により出力される復電検出信号を交流
電動機の停電後の回転速度が二次関数的な減少を行う期
間だけ遅延させて回転速度検出演算手段に与えることに
より、回転速度検出演算回路の回転速度検出開始を遅延
させる遅延手段を備えた電力変換装置を提供する。

（作用） 以上のように構成された本発明における電力変換装置
は、一時停電から復帰した際に交流電動機の回転速度検
出開始を遅延手段によって遅延させるため、交流電動機
の風損、機械損等の影響による回転速度の二次関数的な
減少の影響を無くし、より正確に交流電力の再供給時に
おける適切な出力周波数を予測できる。

（実施例） 以下、本発明の一実施例につき第１図を参照して説明
する。なお、第２図と同一部分には同一符号を付し詳細
な説明は省略する。

第１図において、９は遅延回路である。遅延回路９
は、一時停電から復帰したとき、電圧検出回路６により
出力される復電検出信号を遅延し、回転速度検出演算回
路７の回転速度検出開始を遅延させる。この遅延回路９
により交流電動機の風損等の影響による回転速度の二次
関数的な減少中での回転速度検出を行わないため、回転
速度検出演算回路７は線形近似計算により正確に電力再
供給時の周波数を予測することができる。

交流電動機が風損等の影響を受け、フリーラン時に回
転速度が二次関数的に減少する時間は、フリーラン開始
から約１秒までである。従って、遅延回路９の遅延時間
を１秒程度に選ぶことにより、交流電動機や電力変換装
置に課題な電力を流すことなく交流電動機を再起動する
ことができる。

なお、上記実施例ではハードウェア構成にて説明した
が、制御回路2,回転数検出演算回路7,遅延回路９の部分
をマイクロコンピュータのソフトウェアによっても容易
に実現できる。その場合のソフトウェアのフローチャー
トを第２図に示す。同図で、時間待ちの部分が遅延回路
９に相当する。

［発明の効果］ 以上のように、本発明によれば、一時停電から復帰し
た際に交流電動機の回転速度検出開始を遅延回路によっ
て遅延させるため、交流電動機の回転速度が高いときで
一時停電から復帰までの時間が非常に短かいときにおい
ても交流電動機や電力変換装置に過大な電力を流すこと
なく、交流電動機を再起動することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の一実施例を示すブロック図、第２図
は、他の実施例を示すフローチャート、第３図は、従来
のブロック図、第４図は、交流電動機の速度減少特性図
である。 図面中、１は主回路、４は電源、５は交流電動機、６は
電圧検出回路、７は回転速度検出演算回路、９は遅延回
路である。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】電源からの電力を周波数設定回路による設
   定周波数の交流電力に変換して交流電動機に供給する主
   回路と、 この主回路を前記設定周波数に基づき制御する制御回路
   と、 前記交流電動機の運転中に生じた一時停電から復帰した
   際に前記制御回路に復電検出信号を出力する電圧検出回
   路と、 前記復電検出信号が与えられた際に、前記交流電動機の
   回転速度を所定の時間間隔で任意回検出し、この検出さ
   れた回転速度に基づき速度変化率を演算する回転速度検
   出演算手段とを有し、この回転速度検出演算手段による
   演算結果に基づき前記交流電動機に交流電力を再供給す
   る電力変換装置において、 前記電源が停電から復帰した際に前記電圧検出回路によ
   り出力される前記復電検出信号を前記交流電動機の停電
   後の回転速度が二次関数的な減少を行う期間だけ遅延さ
   せて前記回転速度検出演算手段に与えることにより、前
   記回転速度検出演算回路の回転速度検出開始を遅延させ
   る遅延回路を設けたことを特徴とする電力変換装置。