JP2955978B2 - 造作材 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】表面に化粧シートを貼着した巾
木、廻り縁、ドア、窓用の開口部枠などの造作材。

【０００２】

【従来技術およびその問題点】造作材は一般に木材を加
工して用いられるが、棒状として使用されるため、木取
りが難しく吸湿、乾燥に伴う膨張、収縮、更にねじれ、
反り、割れ等が発生する。

【０００３】これらの膨張、収縮を防ぐため、木材を芯
材として用い、芯材の周囲に表面に紙、合成樹脂シー
ト、布等の可撓性を有する表面材を貼着してなるパーテ
ィクルボード、合板からなる化粧板をその裏面にＶ溝加
工を施し、折曲げ接着したものが提供されている。しか
し、この提案では芯材、化粧板を用いＶ溝加工、折曲げ
接着しなくてはならず、生産性が低くコストの高いもの
であった。

【０００４】また、パーティクルボード、合板を基板と
しその表面を任意加飾した後、紙、合成樹脂シート、布
等の可撓性の表面材を貼着した先に示した化粧板、基板
に用いられるパーティクルボード、合板はその表面がポ
ーラスであるため、表面材を貼着する際、目止め処理を
施し平滑面を得てから行なう必要がある。

【０００５】

【技術的手段】単一の板内の少なくとも表層に比重の高
い硬質層２を有する中比重繊維板を硬質層２を残すよう
に硬質層２から中間層にかけて加飾を施して所定形状の
造作材基材１とするとともに、施工時に顕出する造作材
基材１の硬質層２を含む表全面を化粧シート状物３で被
覆した造作材。

【０００６】

【構成の説明】少なくとも表面に比重の高い硬質層２を
設げられた中比重繊維板を基板１とする。中比重繊維板
は比重が０．４〜０．８であり，軽量であって作業性、
取扱い性に優れる。また、少なくともその表面に露出さ
れる比重の高い硬質層は比重０．８〜１．５であって、
その厚みは０．３〜５ｍｍ程度に設けられる。硬質層２
は表面のみならず表裏面に設けられてもよい。

【０００７】中比重繊維板は例えば、乾式法による木質
繊維板の製造工程において、解繊され接着剤等を添加、
乾燥された木質繊維をフォーミング装置によりスクリー
ンコンベア上に堆積し、仮圧締して木質繊維マットを
得、次いで一定寸法に裁断して定尺木質繊維マットとし
た後、これを加熱圧締することによって得られるもので
あるが、上記製造工程において木質繊維に対する接着剤
の添加量を多くし、あるいは木質繊維の含水率を高くす
れば、表面また表裏面の硬質層の層厚がより大きく形成
される。

【０００８】また、定尺木質繊維マットの上面または下
面に水を塗布し、あるいは不織布、紙、布等の保水性の
あるシート状物に含水させたものを該木質繊維マットの
上面または下面に載置し、この状態で加熱すると表裏部
の含水率が高められた状態で加熱圧締されることとなる
ため、表面または表裏面の硬質層の層厚がより大きく形
成される。

【０００９】このようにして、表面に所定層厚の硬質層
２を有する中比重繊維板が得られる。得られた中比重繊
維板においては、加熱圧締時の接着剤のプレキュアによ
る低比重の薄表層が形成されるため、少なくとも表面側
をサンディングして該低比重薄表層を除去し硬質層を露
出させる。

【００１０】中比重繊維板は、任意幅に切断されるとと
もに、表面側に硬質層を残し、なおかつ硬質層から厚さ
方向の中間層にかけて面取り加工、溝切り加工等の加飾
を施し、巾木、廻縁、ドアまたは窓用の開口部枠等の所
定形状の造作材基材とする。任意加飾を施された中比重
繊維板からなる造作材基材の造作材としてその施工時に
顕出する表全面に接着剤を塗布する。接着剤の塗布面を
予めシーラー処理、下塗り処理を施してもよい。

【００１１】接着剤としては、酢酸ビニール樹脂系、ポ
リエチレン樹脂系、エポキシ樹脂系、ユリア樹脂系、メ
ランミン樹脂系、アクリル樹脂、フェノール樹脂系、イ
ソシアネート等を単独であるいは任意混合また変性して
用いる。また、接着剤は必要に応じてタルク、炭カル、
クレー、チタン、金属粉等の無機質粉末小麦粉、木粉、
プラスチック粉、着色剤や天然精油、合成香料などの芳
香剤、消臭剤、防虫剤、防カビ剤、害虫忌避剤等を添加
混合して用いても良く、着色、隠蔽効果、森林浴効果、
芳香効果、消臭効果、防虫効果、害虫忌避効果、防菌効
果を付与しても良い。それら薬剤の添加は、薬剤を直に
あるいはエマルジョン化してまたはマイクロカプセル化
して添加混合される。

【００１２】つぎに接着剤を塗布された基板１の表面
に、化粧シート状物３を載置して貼着する。化粧シート
状物３は、ツキ板、人工ツキ板またはそれら裏面に和
紙、洋紙、不織布、寒冷紗等の裏打ち材を貼着したもの
また、それら表面を任意着色したもの、あるいは化粧
紙、化粧樹脂含浸紙、化粧合成樹脂シートまたフィルム
等が用いられる。

【００１３】化粧シート状物は、ラッピング装置、ラミ
ネート装置などを用いて圧締装着される。造作材基材へ
のシート状物の貼着は施工時に顕出する造作材基材の表
全面および施工時にかくれる造作材基材にまで被覆して
も何等問題はない。

【００１４】また、造作材基材１の表面に溝４ａ，４ｂ
が刻設されるものについては、該溝内を含む表全面をシ
ート状物３で被覆してもよいし、該溝を除く表全面にシ
ート状物３で被覆してもよい。溝の形成は予じめ造作材
基材１に溝４ａ，４ｂを刻設し、後に化粧シート状物３
を被覆しても、造作材基材１を化粧シート状物３で被覆
した後に、溝４ａ，４ｂを刻設して形成してもよい。

【００１５】このようにして、少なくとも表面に比重の
高い硬質層２が設けられた中比重繊維板を所定形状の造
作材基材１とするとともに、施工時に顕出する造作材基
材１の表全面を化粧シート状物３で被覆した造作材が得
られた。硬質層２が表面に設けられるため硬く造作材と
してキズがつきにくい。

【００１６】中比重繊維板を造作材基材１として用いた
場合以外、合板、パーティクルボード、単板積層材、フ
レークボード、ストランドボード、単板、集成材の表裏
面あるいは四周面に硬質層を有する中比重繊維板を貼着
したものを造作材基材として用いることもできる。

【００１７】

【発明の効果】硬質層２を有する中比重繊維板を造作材
基材１として用いているため、表面にキズがつきにく
い。

【００１８】

【実施例】以下、本発明造作材を各々の建具に適用した
場合の実施例について説明する。図１ａは本発明造作材
を台形の開口枠に用いた場合を示し、両側の硬質層から
中間層にかけて面取り加工が施された基材１には表面に
硬質層２が設けられ、化粧シート状物３が硬質層２を含
む表面及び木口面の加飾部、裏面の一部にかけてを被覆
する。すなわち、施工時に顕出する表全面を化粧シート
状物で被覆する。

【００１９】図１ｂは半台形の開口枠に本発明造作材を
用いた場合を示す。

【００２０】図２ａ，ｂ，ｃは幅木に本発明造作材を用
いた場合を示す。図２ａは表面に化粧シート状物３に被
覆された溝４ａを有し、図２ｂは一側木口面が斜面を、
他側木口面に相決り加工を施した場合を示す。図２ｃは
表面に化粧シート状物３に被覆されない溝４ｂ、一側木
口面に実加工を施した場合を示す。

【００２１】図３はドア枠に本発明造作材を用いた場合
を示す。図３ａは表面に化粧シート状物３に被覆されな
い溝４ｂを設け、図３ｂはドア枠の戸当たり部材に本発
明造作材を適用した場合である。４ｃは溝４ｂに嵌合す
る突起である。図４は同じく沓摺りに、図５は廻り縁
に、図６はケーシングに本発明の造作材を適用した場合
を示す。

【図面の簡単な説明】

【図１】ａ．本発明造作材を開口枠に用いた場合の断面
図で、台形の開口枠に用いた場合を示す。 ｂ．同じく半台形の開口枠に用いた場合を示す。

【図２】ａ．同じく幅木の表面に溝４ａを設けた場合を
示す。 ｂ．同じく一側木口面に相決り加工を施した場合を示
す。 ｃ．同じく実加工した場合を示す。

【図３】ａ．同じくドア枠に用いた場合を示す。 ｂ．同じくドア枠の戸当りに用いた場合を示す。

【図４】 同じく沓摺りに用いた場合を示す。

【図５】 同じく廻縁に用いた場合を示す。

【図６】 同じくケーシングに用いた場合を示す。

【符号の説明】

１：基材、２：硬質層、３：化粧シート状物、４ａ：シ
ート状物で被覆した溝、４ｂ：シート状物で被覆しない
溝、４ｃ：突起（図３ｂ）。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 単一の板内の少なくとも表層に比重の高
   い硬質層を有する中比重繊維板を硬質層を残すように硬
   質層から中間層にかけて加飾を施して所定形状の造作材
   基材とするとともに、施工時に顕出する造作材基材の硬
   質層を含む表全面を化粧シート状物で被覆したことを特
   微とする造作材。