JP2955491B2 - 溶融炭酸塩燃料電池用アノードの製造方法 - Google Patents
溶融炭酸塩燃料電池用アノードの製造方法Info
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Description
ten Carbonate Fuel Cell;以下MCFCと称する)用
アノード(anode)の製造方法に関し、詳細には、MCF
C用アノードとして使用されるニッケル電極の耐クリー
プ性と電極の性能とを向上させるために、純粋なニッケ
ル粉末とニッケルコーティングされたアルミナ(Al2O3)
粉末とを含んでいるMCFC用アノードの製造方法に関
するものである。
電気化学的に反応させて生じるエネルギーを直接電気エ
ネルギーに変換させる新たな発電システムであって、2
つの電極と電解質より構成されていて一般的な電池と類
似であるが、一般的な電池との根本的な差異点は、適当
な反応物である燃料と酸化剤とが連続的に供給されるこ
とである。このような燃料電池は、電力用発電設備,航
空宇宙基地の電源,海上又は海岸における無人施設の電
源,固定又は移動無線の電源,自動車用電源,家庭用電
気器具の電源又はレジャー用電気器具の電源などとして
関心深く研究されてきた。
至700℃)で作動する溶融炭酸塩電解質型燃料電池、
200℃近くで作動する燐酸電解質型燃料電池、常温乃
至約100℃以下で作動するアルカリ電解質型燃料電
池、又は1000℃以上の高温で作動する固体電解質型
燃料電池などがある。MCFCは、多孔性ニッケルより
なるアノードと、Liでドープされた多孔性ニッケル酸
化物よりなるカソード(Cathode)と、電解質としてリチ
ウム及び炭酸カリウムが適切なモル比で満たされたリチ
ウムアルミネートマトリックスとから構成される。この
電解質は、500℃付近で溶融イオン化され、ここで生
成された炭酸イオン(CO3 2-) が電極間で電荷を運ぶよう
になる。水素はアノード領域で消耗されて水,二酸化炭
素及び電子を生成し、電子が外部回路を通じてカソード
に流れて所望の電流を生成する。
及び銅をベースとした多孔性アノードを使用する。前に
も言及したように、MCFCは650℃程度の高温で作
動し、電極と電解質マトリックス間の接触を向上させる
ために加圧されるだけでなく、高い電圧や電流を得るた
めに電池を直列又は並列に連結して使用するスタック
(stack)方式によって多数層が積層されるので、スタッ
ク自体の荷重による圧力までが加えられるようになり、
特にアノードのクリープ変形(creep deformation)が発
生するようになる。アノードのクリープ変形は、粒子の
再配列,焼結及び転位運動(dislocation movement) の
少なくとも3種のメカニズムの組合により発生する永久
変形である。即ち、電極の各部分の不均一なクリープに
より、微細気孔が減少して電極の反応面積が減るように
なるだけでなく、電極及び電解質要素間の接触が不良と
なって燃料ガス漏出の危険を起こすなど、多方面で電極
の性能が低下する。
のような望ましくないクリープ変形を防止するために各
種の方法が試みられてきた。このような方法の1つとし
て、ニッケルにクロム又はアルミニウムなどを添加して
アノードを製造する方法がある。例えば、100psi ,
650℃で100時間の間クリープ試験を施すと、純粋
な多孔性ニッケル電極では30〜50%程度にクリープ
が発生するのに対して、ここに LiAlO2 を添加した Ni-
LiAlO2の場合は14〜35%、クロムを10%添加した
Ni-Cr(10%)では5〜10%、アルミニウムを10
%添加した Ni-Al(10%)では約2%までクリープの
発生が低下するのが見られる。しかしながら、MCFC
を大容量システムで開発して長時間( 40,000 時間程
度) の間作動させるにはまだ満足できる状態ではない。
使用されたが、クロムの価格が高いという点のため、ニ
ッケルにアルミニウムを添加する方向に研究が進んでい
る。ニッケルにアルミニウムを添加すればクリープの発
生が2%以下に減少されるだけでなく、クロムに比して
アルミニウムの価格が低廉であるという長所がある。ニ
ッケルにアルミニウムやクロムなどを添加した Ni-Alア
ノード又は Ni-(Al,Cr) アノードは、ニッケルと添加さ
れる金属との合金粉末を作った後にキャスティング方法
によりグリーンシート(green sheet)を作るようにする
と、既存のアノード製造工程と同一な工程により製造し
うる。しかし、この方法にはニッケルと金属の微合金粉
末が作りにくいという問題点がある。
するために開発された方法の一つに、通常ベース金属−
合金金属組成物に使用される合金金属を内部的に酸化さ
せる方法がある。例えば、アメリカ特許第 4,315,777号
は、合金粉末と酸化物ベース金属との混合物粉末を熱処
理して合金金属を内部的に酸化させる方法を開示してい
るが、形成された物質の密度が非常に高くて多孔性アノ
ード構造として使用するには適切でない。
気圧下で合金金属を内部的に酸化させることにより構造
的に安定した Ni-Crアノードを形成する方法を開示して
いるが、この方法は Ni-Crアノードの形成のみに限定さ
れる。前記のような問題点を改善した方法としては、ア
メリカ特許第 4,999,155号がクリープ抵抗性の改善され
たMCFC用アノードを製造する方法を開示している。
即ち、ベース金属粉末と合金金属粉末とをバインダ及び
溶媒と混合してキャスティングした後、乾燥・焼結して
多孔性アノード構造を成形し、ベース金属は還元され合
金金属は酸化される条件下で合金金属を内部的に酸化さ
せることにより、内部に酸化物の粒子を形成させる。
ては、ベース金属及び合金金属を含む合金を形成し、熱
処理して合金の表面を酸化させた後、酸化された合金を
焼結と同時に内部酸化させる方法がある。この方法で合
金金属をベース金属に導入する方法としては、ベース金
属粉末と合金金属粉末とをテープキャスティングし、焼
結して合金金属をベース金属に拡散させる方法や、ベー
ス金属粉末をテープキャスティングした後に焼結して多
孔性構造とした後、蒸着又はパックセメンテーション
(pack cementation) を施す方法が開示されている。
末をバインダ及び溶媒と混合してキャスティングした
後、乾燥・焼結して多孔性ニッケル焼結体を製造し、次
にアルミニウムなどの合金金属粉末,活性剤である塩及
び不活性の賦形剤より構成されるパック(pack) の中に
前記多孔性ニッケル焼結体を入れ、H210%/N290%
雰囲気で900℃程度まで昇温させてパックセメンテー
ションを施すことによりNi-Al 合金を形成し、続けて p
H2O/pH2 20以上の湿潤な雰囲気で600乃至800℃
の温度で内部酸化させる工程を経るようになる。しか
し、この方法によると、たとえクリープ変形を減少させ
る効果は優れているとしても、ニッケルベース金属でグ
リーンシートを製造した後、乾燥,焼結,パックセメン
テーション及び内部酸化工程という極めて複雑な工程を
経なければならないので、実用性がないという問題点が
ある。
合金粉末を基礎とするアノードとこれを製造する方法に
関するものが主であったので、合金方式により発生する
問題を完全に解決するには十分でなかった。
数の問題点を考慮して、本発明の目的は、セラミック粉
末であるアルミナパウダー表面をニッケルでコーティン
グしたニッケルコーティングされたアルミナ粉末と、純
粋なニッケル粉末とを混合することにより、工程の複雑
さや材料製造の難しさ等を伴なわない溶融炭酸塩燃料電
池用アノードの製造方法を提供することにある。
めに、本発明の溶融炭酸塩燃料電池用アノードの製造方
法は、純粋なニッケル粉末とニッケルコーティングされ
たアルミナ粉末とを混合して溶融炭酸塩燃料電池用アノ
ードを製造する製造方法であって、エタノールにニッケ
ルアセテートを所定のモル比で入れ、更にニッケルアセ
テートに対して所定のモル比で蒸留水を入れて還流させ
ることにより、アルミナ粉末の表面をコーティングする
ためのニッケルコーティング液を製造する工程と、アル
ミナ粉末の表面を前処理した後、前記ニッケルコーティ
ング液でコーティングする工程と、前記コーティング工
程で得たニッケールコーティングされたアルミナ粉末と
純粋なニッケル粉末とを所定の比率で混合して、電極の
グリーンシートを製造する工程と、該電極のグリーンシ
ートを乾燥させた後に還元雰囲気で焼結して、多孔性の
溶融炭酸塩燃料電池用アノードを完成する工程とを含む
ことを特徴とする。
グしたニッケルコーティングされたアルミナ粉末と純粋
なニッケル粉末を混合することにより、従来のニッケル
金属合金粉末のアノード及びその製造過程に伴う多数の
問題点を解決し、電極の性能及び耐クリープ性の面でも
顕著に改善されたMCFC用アノードが製造できる。
を詳細に説明する。本発明の実施においては、アルミナ
粉末表面のコーティングに使用されるニッケルコーティ
ング液を製造する工程において、ニッケルアセテート対
エタノールとのモル比及びニッケルアセテート対蒸留水
とのモル比が、共に1:7乃至1:15の範囲であるこ
とが望ましく、さらに好ましくは共に1:10のモル比
で混合される。この際の還流温度は約80℃で維持され
る。
上ではニッケルが水酸化ニッケルに変化して微細な粒子
の形態で溶液に分散されるため溶液が混濁するようにな
るので、このような現象を防止するために酸を添加する
酸処理がなされる。硝酸のような強酸が溶液に添加され
ることにより透明な溶液が得られ、この際のpHは3程度
で維持される。
ィング液でコーティングする前になされる前処理は、ニ
ッケルコーティング液が酸処理により酸性を呈すること
を考慮して両者の反応性を向上させるために塩基処理を
施すことであり、特に NaOHを使用することが望まし
い。又、アルミナ粉末の表面を前記ニッケルーコーティ
ング液でコーティングする工程において、本発明の望ま
しい実施例によると、ニッケルコーティング液にアルミ
ナ粉末を入れて超音波で1時間程度攪拌した後、沈殿物
を分離して乾燥させた後、熱処理して還元雰囲気で還元
させることにより、ニッケルコーティングされたアルミ
ナ粉末が得られる。
ては、ニッケールコーティングされたアルミナ粉末と純
粋なニッケル粉末とを所定の比率で混合し、結合剤,分
散剤,可塑剤,解膠剤(peptizing agent),溶媒を含む
アノードを製造するに必要な通常の物質を混合してボー
ルミーリングし、テープキャスティングすることにより
電極のグリーンシートが製造される。この際、純粋なニ
ッケル粉末とニッケルコーティングされたアルミナ粉末
との混合比率は、生成される混合物に対してアルミニウ
ムの重量比がほぼ4〜6%になるように調節する。
おいては、通常の焼結温度範囲内の比較的高い温度であ
る800〜900℃で、比較的短時間である10〜30
分の間還元雰囲気で焼結することが望ましい。以下、実
施例を通じてさらに詳細に説明する。但し、下記の実施
例は本発明の例示に過ぎず、本発明をこれに制限するも
のではない。 <実施例1>本発明の製造方法に従って、次のような順
序でアノードを製造した。
1:10のモル比で混合し、この混合物にニッケルアセ
テートに対して蒸流水を1:10のモル比で混合して、
80℃で還流させた。 2)前記還流溶液にニッケルに対する硝酸のモル比が1
以上となるように硝酸を添加することにより、透明な溶
液を得た。この際のpHは3程度であった。
後、溶媒を徐々に蒸発させて最初の嵩の1/3程度に濃
縮させて、アルミナ粉末の表面をコーティングするニッ
ケルコーティング液を得た。 4)5μm 及び/ 又は1μm のアルミナ粉末を3N NaO
H 溶液に2時間浸すことにより NaOH による前処理を施
した。
処理されたアルミナ粉末を入れて、越音波で1時間攪拌
した。その後、アルミナ粉末を分離して空気中で10時
間乾燥させ400℃で3時間熱処理した後、450℃水
素/窒素雰囲気で還元させて、ニッケルコーティングさ
れたアルミナ粉末を得た。 6)ニッケルコーティングされたアルミナ粉末と純粋な
ニッケル粉末(INCO 255 Ni)とを混合( 生成される混合
物でアルミナの比率が5%になるように混合)し、ここ
に結合剤,分散剤,可塑剤,解膠剤,溶媒を含むアノー
ドを製造するに必要な通常の物質を混合して48時間程
度ボールミーリングし、テープキャスティングして電極
のグリーンシートを製造した。
30分程度水素/窒素(2/8)雰囲気で焼結して、多
孔性のMCFC用アノードを製造した。図1は、実施例
1により製造されたニッケルコーティングされたアルミ
ナ粉末のSEM(走査電子顕微鏡)写真であり、図2
は、このX線回折分析チャートを示す図である。これら
2つの図により、アルミナ粉末の表面にニッケルがコー
ティングされていることが確認される。
て、図3に示した装置を利用して単位電池実験を施し
た。Alの含量が重量比で5%含まれ、Niコーティングさ
れたアルミナ粉末と INCO 255 Ni粉末が混合されてい
る、実施例1から得た電極をMCFCのアノードとして
使用し、水素/ 二酸化炭素=8/2 ,二酸化炭素/ 酸素=
6/4の比率でガスを供給して、電圧と電流密度とで表現
される図4のポラライゼーション曲線を得た。
利用する場合には0.7V, 250 mA/cm2 以上の電流密度を
得ることができるが、これは従来(0.7V, 150 mA/cm2
程度) に比して電極の性能が大いに向上されたことを意
味する。また、本実施例によるMCFC用アノードの機
械的な強度に対する性質をテストするために、図5に示
した装置を利用して耐クリープ性を試験した。図5のク
リープ試験装置を見ると、Sは電極試片、Tは熱電対
(thermocouple) 、Iはダイアルインジケータ(dial i
ndicator) 、Cはコンプレッサ(compressor) を示し、
Gは気体出口を示す。
ープ性を試験した結果はクリープ率が約2%程度で、既
存の純粋なニッケル電極のクリープ率(30〜35%)
に比してクリープ率に対する抵抗力が非常に高いことが
分かった。 <実施例2>ニッケルアセテートとエタノール及び蒸留
水のモル比をそれぞれ1:12として、実施例1と同様
にアノードを製造してその性能をテストした。 <比較例1>ニッケルアセテートとエタノール及び蒸留
水のモル比をそれぞれ1:20として、実施例1と同様
にアノードを製造してその性能をテストした。 <比較例2>NaOHによる前処理過程を経なかった点を除
いては、実施例1と同様にアノードを製造してその性能
をテストした。 <実施例3>グリーンシートを製造する工程で、生成さ
れる混合物でのアルミニウム重量%が6%となるよう
に、純粋なニッケル粉末とニッケルコーティングされた
アルミナ粉末とを混合した点を除いては、実施例1と同
様にアノードを製造してその性能をテストした。 <比較例3>グリーンシートを製造する工程で、生成さ
れる混合物でのアルミニウムの重量%が7%となるよう
に、純粋なニッケル粉末とニッケルコーティングされた
アルミナ粉末とを混合した点を除いては、実施例1と同
様にアノードを製造してその性能をテストした。
アノードに対して電極の性能及び耐クリープ性を調べた
結果からは、純粋なニッケル粉末とニッケルコーティン
グされたアルミナ粉末との混合比率が所定の範囲(生成
される混合物でアルミニウムが占める重量比として4〜
6%)内で調節される場合に、望ましい結果が得られる
ことが分かった(実施例1,3及び比較例3参照)。
アセテートに対してエタノール及び蒸留水が共に1:7
乃至1:15のモル比で混合されている場合に、ニッケ
ルコーティングが望ましくなされ、共に1:10のモル
比で混合される場合に、特に望ましい結果が得られた
(実施例1,2及び比較例1参照)。更に、前処理する
ことによりアルミナ粉末に対するニッケルコーティング
液のコーティング反応性が非常に増加された(実施例1
及び比較例2参照)。
グされたアルミナ粉末と純粋なニッケル粉末とを利用す
る本発明による溶融炭酸塩燃料電池用アノードの製造方
法によれば、従来のニッケル金属合金粉末のアノード及
びその製造過程に伴う多数の問題点(工程の複雑さや材
料製造の難しさ等)を解決しただけでなく、電極の性能
及び耐クリープ性の面でも顕著に改善された、好適な材
料のかつ材料重量比からなる溶融炭酸塩燃料電池用アノ
ードが得られる。
コーティングされたアルミナ粉末の走査電子顕微鏡写真
である。
コーティングされたアルミナ粉末のX線回折分析チャー
トである。
の模式図である。
利用した単位電池の実験を通じて得た、電極の性能を示
すポラライゼーショングラフ(IV graph) を示す図であ
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 純粋なニッケル粉末とニッケルコーティ
ングされたアルミナ粉末とを混合して溶融炭酸塩燃料電
池用アノードを製造する製造方法であって、エタノール
にニッケルアセテートを所定のモル比で入れ、更にニッ
ケルアセテートに対して所定のモル比で蒸留水を入れて
還流させることにより、アルミナ粉末の表面をコーティ
ングするためのニッケルコーティング液を製造する工程
と、アルミナ粉末の表面を前処理した後、前記ニッケル
コーティング液でコーティングする工程と、 前記コーティング工程で得たニッケールコーティングさ
れたアルミナ粉末と純粋なニッケル粉末とを所定の比率
で混合して、電極のグリーンシートを製造する工程と、 該電極のグリーンシートを乾燥させた後に還元雰囲気で
焼結して、多孔性の溶融炭酸塩燃料電池用アノードを完
成する工程とを含むことを特徴とする製造方法。 - 【請求項2】 ニッケルアセテート対エタノール及びニ
ッケルアセテート対蒸留水とが共に1:7乃至1:15
の範囲のモル比で混合されることを特徴とする請求項1
記載の製造方法。 - 【請求項3】 前記アルミナ粉末表面の前処理が塩基に
よる前処理であることを特徴とする請求項1記載の製造
方法。 - 【請求項4】 前記アルミナ表面の前処理に利用される
塩基が NaOH であることを特徴とする請求項3記載の製
造方法。 - 【請求項5】 前記電極のグリーンシートを製造する工
程において、前記純粋なニッケル粉末とニッケルコーテ
ィングされたアルミナ粉末とが、これらの混合物におけ
るアルミニウムの重量比がほぼ4〜6%となるように混
合されることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
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