JP2955233B2 - 表面が平滑化されたホスファースクリーン - Google Patents

表面が平滑化されたホスファースクリーン

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JP2955233B2 JP8170212A JP17021296A JP2955233B2 JP 2955233 B2 JP2955233 B2 JP 2955233B2 JP 8170212 A JP8170212 A JP 8170212A JP 17021296 A JP17021296 A JP 17021296A JP 2955233 B2 JP2955233 B2 JP 2955233B2
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  • Luminescent Compositions (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、生化学的分析法
および生化学的検出法の技術分野に属し、特にオートラ
ジオグラフィー画像を記録するために用いられるホスフ
ァースクリーンに関する。
【0002】
【従来の技術】巨大分子(高分子)の検出およびイメー
ジングは、例えばタンパク質分析やDNA配列決定、そ
れに遺伝子マッピングなど、分子生物学研究室でなされ
る多くの手法のうちでも必須の部分である。検出および
イメージングは、一般に、放射線種を用いて対象となる
分子をラベリングし、フィルムまたはスクリーン上にそ
の分子から放出される放射線を記録することによって行
われる。
【0003】ホスファースクリーン(蛍光板)は、記録
媒体としてX線フィルムに代わるものとして最近用いら
れるようになってきているが、走査可能な性能を有して
いるものである。これは、操作技術者が記録されたデー
タをコンピュータのハードドライブやフロッピーディス
クやCD−ROMなどの磁気媒体または光学媒体に保存
することを可能とするものである。記録された情報は、
電気的に伝送することができ、コンピュータによって分
析したり、操作したりすることによって、高レベルで詳
細精密な情報を提供することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ホスファースクリーン
は、通常は、液体樹脂にホスファー(蛍光体)粒子を分
散したスラリーで個体基板を被覆し、続いてその樹脂を
硬化して固体層にすることによって形成される。その時
にホスファー層に保存される画像(イメージ)の質は、
サンプルとそのホスファー層の表面との間のギャップに
依存するとともに、そのホスファー層自体の質にも依存
している。そのギャップを小さくすることによって、そ
のサンプルから放出されたシグナルがホスファー層に達
する前に分散する範囲を狭くし、画像の鮮鋭さを最大に
することができる。ホスファー層の表面に関して言え
ば、低エネルギーのシグナルはホスファー層の中にほん
の数マイクロメートル入り込むだけであるので、表面が
滑らかな平面でなくなったとたんに、低エネルギーシグ
ナルから記録される画質に影響が出る。例えば、14Cシ
グナルについては、ホスファー層の表面の20マイクロ
メートル内にそのシグナルの90%が保持されているの
に対して、3H シグナルでは、同じ比率のシグナルは表
面の2マイクロメートル内に存在している。したがっ
て、表面のでこぼこは、ホスファー層の深さにかかわら
ず、画像の質に影響を与えるし、また、これらの表面の
でこぼこの影響は、サンプルと表面との間のギャップが
狭くなるにつれて、増大される。
【0005】そのスクリーンの感度に影響を与えるもう
一つのファクターは、ホスファー粒子のサイズである。
大きな粒子は、小さな粒子よりも感度が高い。最も感度
の高い粒子は、直径10マイクロメートル以上の大きさ
のものである。このサイズの粒子およびそれ以上のサイ
ズの粒子は、粗くて平坦でない表面を作る傾向にある。
また、これらの粒子は、表面から容易に脱落するが、そ
れにより表面の平坦性を更に損なうことになる。
【0006】上述したような従来の方法においては、ス
ラリーが乾燥するにつれて粒子が不規則に納まってい
く。結果的にできるホスファー層の表面は、粒子のサイ
ズ、そして樹脂の均一性、粘性そして濃度が粒子の納ま
り挙動およびスラリーの乾燥の仕方に影響を与えるの
で、それに依存してして変わってくる。表面輪郭のでこ
ぼこは、表面から突き出ているぎざぎざして尖った端部
を有するホスファー粒子の結果生じている。
【0007】画像が不鮮明になることに加えて、このよ
うな表面のでこぼこは、その表面の上に保護フィルムを
施すことを困難にする。保護フィルムは、湿気および物
理的な摩耗からその表面を保護する。ここで、湿気は、
ホスファーの化学的な質の低下をもたらし、また物理的
な摩耗は、スクリーンが最良の効果で用いられる前に除
去しておかなければならない屑で表面を汚してしまう。
表面から突き出ている粒子は、保護フィルムに穴を開け
てしまい、それにより雰囲気中の湿気がその保護フィル
ムを突き抜けて下層のホスファー層に到達する経路が形
成される。また、表面における大きな突出粒子が取り除
かれると、表面形状に大きな不連続を生じ、同時にフィ
ルムに大きなギャップを生じる。
【0008】保護フィルムで完全にホスファー層が被覆
されている場合であっても、保護フィルムを塗布する技
術でホスファー表面の形状異常は補い得ない。ホスファ
ー表面の窪みは、盛り上がっている領域よりも堆積する
フィルムの量をより多く受ける傾向があり、保護フィル
ムの厚みの違いは、10マイクロメートルから20マイ
クロメートルにもなるであろう。3Hのように非常に弱
い放射体では、フィルムの厚みが1.0マイクロメート
ル違うだけで、50%以上ものシグナルの減衰が起こる
ことになる。
【0009】
【課題を解決するための手段】従来の鋳造手法を変形す
ることによって、平滑な表面のホスファー層を有するホ
スファースクリーンを形成できることがここに発見され
たのである。このような変形によって、ホスファー層
は、シート上で固体化でき、シートに結合することなく
取り外し可能な具合に付着するようなシートに塗布され
る。なお、この明細書において、「塗布する」という表
現は、狭義の「塗布」のみならず、広く「下地となる部
材の表面に載置すべきものを施し、そこにくっ付けて残
す」ことおよび類似の概念を意図している。このホスフ
ァー層の露出している表面は、次いで、最終品であるホ
スファースクリーンの支持体を形成する基板に接合(接
着結合)される。ホスファー層の反対側の表面に接合す
るシートは、そのスクリーンが用いられるまで保護膜と
して保持され、その時点でそのシートが容易に取り外さ
れる。ホスファー層の付着形成は、ホスファーを液体状
で、好ましくは従来技術のようなスラリー状で、そのシ
ートに塗布することによって行われ、ホスファー粒子が
鋳造シートに対して沈降して納まる結果、シート表面に
実質的に滑らかで平らな粒子界面ができる。この界面
は、基板がホスファー層のもう一方の側に接着されてシ
ートが取り外されたときに、ホスファー層の露出面とな
る。この露出面は、次いで、保護フィルムで被覆しない
で使ってもよいし、被覆して使ってもよい。この保護フ
ィルムは、たやすく実質的に均一な厚みのフィルムに形
成される。
【0010】この発明のこれらの特徴や利点、それにこ
の他の特徴や利点については、以下に詳細に説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】取り外し可能なシートにホスファ
ー層を付けるのは、液体状形態のホスファーを利用して
行われる。好ましい液状物は、ホスファー粒子を水溶液
あるいは有機溶液中に混合したスラリーである。特に好
ましいのは、一旦そのシートに液状物が塗布されると透
明な結着剤として働くように、硬化その他の方法で固体
化することができるような液体状樹脂の中に入れたスラ
リーであることが好ましい。
【0012】樹脂の選択は、余り重要ではなく、いろい
ろなものを用いることができる。例えば、ポリエステル
類、ポリアルキレン類、ポリアクリレート類、ポリアク
リレートエステル類、ポリビニルアセテート類、ポリビ
ニルアルコール類、ポリビニルブチラール、ポリカーボ
ネート類、セルローストリアセテート、ポリスチレン、
ポリウレタン類、ポリアミド類、ポリユリア類、エポキ
シ類、フェノキシ樹脂類、ポリカプロラクトン類、ポリ
アクリロニトリル、ビニルクロライドとイソブチルエー
テルまたはビニルプロピオネートとの共重合体、それに
スチレンとアクリレートあるいはアクリロニトリルある
いはエチレンクロライドとの共重合体である。ポリアク
リレートエステル類やポリメチルメタクリレート、ポリ
エチルメタクリレート、それにポリビニルブチラールが
好ましい。
【0013】スラリーをシートに塗布する前の樹脂は、
部分的に硬化していてもよいし、液体であるかまたは穏
やかに加熱するか不活性な溶媒に溶解することによって
液体になるものであるかのいずれかであってもよい。あ
るいは、樹脂は、塗布される前に充分に硬化していて不
活性溶媒によって液体にされるものであってもよい。そ
の溶媒の除去は、汎用の方法によって行われる。よく行
われるのは、必要に応じて加熱がなされるエバポレーシ
ョンによる方法である。これらの要件を満たすいかなる
従来の溶媒でも使用可能で、最適な選択は樹脂による。
例としては、水、エタノール、プロパノール、メチルセ
ロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、キシレン、ク
ロロベンゼン、アセトン、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン、テトラハイドロフラン、ジオキサ
ン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレン
グリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチレング
リコールモノメチルエーテル、ブチレングリコールモノ
メチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ
メチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエー
テルアセテート、クロロホルム、それにトリクロロエチ
レンである。
【0014】この発明で用いられるホスファー(燐光
物質)は、燐光を発生する性質のある材料のうちでいろ
いろ用いることができる。これらの材料には、天然のミ
ネラルや生物学的化合物があり、もちろん合成された材
料や混合物でもよい。例えば、Ca5(PO43(F,
Cl):Sb(III),Mn(II)やSr5(P
43(Cl):Eu(II)、Sr5(PO4
3(F,Cl):Sb(III),Mn(II)、それ
に[SrEu(II)]5(PO43Clなどの金属ハ
ロホスフェート類、Y23:Eu(III)やSrB4
7:Eu(II)、BaMg2Al1627:Eu(I
I)、Y(VO4):Eu(III)、Y(VO4)PO
4:Eu(III)、Sr227:Eu(II)、Sr
MgP27:Eu(II)、Sr3(PO42:Eu
(II)、Sr5Si4Cl610:Eu(II)、Ba2
MgSi27:Eu(II)、GdOS:Tb(II
I),LaOS:Tb(III)、LaOBr:Tb
(III)、LaOBr:Tm(III)、そしてBa
(F,Cl)2:Eu(II)などの他の希土類活性化
ホスファー(rare-earth-activated phosphors)、Ce
0.65Tb0.35MgAl1119などの他のアルミ酸塩ホス
トホスファー、Zn2SiO4:Mn(II)などの珪酸
塩ホストホスファー、それにY0.79Yb0.20Er0.01
3、La0.86Yb0.12Er0.023、及びY0.639Yb
0.35Tm0.0013などのフッ化物ホストホスファーであ
る。さらに他の材料は、アルカリ土類金属の硫化物及び
セレン化物である。これらの材料は、その酸化物や硫化
物あるいはフッ化物にされるほか、適宜、サマリウムや
ユーロピウム、セリウム、あるいはこれらの元素を組合
せてドープされる。また、ほかの適宜用いられる成分と
しては、例えば、リチウムフッ化物やバリウム硫化物、
あるいはその両方などの可融性の塩がフラックスとして
用いられる。
【0015】スラリーに含まれるホスファー粒子のサイ
ズは、さまざまに変えることができるが、上述したよう
に、その感度は粒子のサイズが大きくなるほど良くな
る。この発明は、広い意味で、約10マイクロメートル
〜約100マイクロメートルの範囲の直径のホスファー
粒子に応用できる。中でも、約15マイクロメートル〜
約75マイクロメートルの範囲内の大きさが好ましく、
さらに約20マイクロメートル〜約45マイクロメート
ルの範囲内の大きさが最も好ましい。
【0016】スラリーは、ホスファー粒子が急速に沈降
し納まるのを妨げるための分散剤や、クラックや層間剥
離を生じる危険性を低減したホスファー層を作るための
可塑剤などの添加成分を含んでいてもよい。これらの目
的を達成するために、従来から知られている種々の材料
のうちからいずれでも選択して用いることができる。分
散剤の例を挙げると、ホスフェートエステル類、ポリア
クリレート類、ポリメタクリレート類、ポリマレアート
類、縮合ホスフェート類、ポリスルホネート類、スルホ
ン化重縮合化物、タンニン類、リグニン類、グルコシド
類、それにアルギン酸塩がある。また、可塑剤の例とし
ては、ジイソブチルアジピン酸塩やジ−n−ヘキシルア
ジピン酸塩、ビス(2−エチルヘキシル)アジピン酸
塩、ビス(2−ブトキシエチル)アジピン酸塩、ビス
(2−エチルヘキシル)アゼライン酸塩、ジエチレング
リコールジベンゾエート、トリ−n−ブチルクエン酸
塩、ジエチレングリコールジペルアルゴネート、メチル
フタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグ
リコレート、水素化ターフェニル類、塩素化パラフィ
ン、ジ−2−エチルヘキシルイソフタレート、ブチルオ
レエート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホス
フェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェー
ト、塩素化ポリホスホネート、ジメチルフタレート、ジ
ブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ブチルシク
ロヘキシルフタレート、アジピン酸ポリエステル、アゼ
ライン酸ポリエステル、メチルリシノール酸塩、ビス
(2−エチルヘキシル)セバシン酸塩、n−ブチルステ
アリン酸塩、スクロースアセテート−イソブチレート、
N−エチル−(o,p)トルエンスルホンアミド、ジブ
チル酒石酸塩、ビス(2−エチルヘキシル)テレフタレ
ート、トリス(2−エチルヘキシル)トリメリテート、
およびカンファーがある。
【0017】ホスファースラリーの調合の一例では、ま
ずホスファーは、RD−55が用いられる。これは、セ
リウムとサマリウムで活性化されたストロンチウム硫化
物で、粒子径が20−45マイクロメートルのものであ
る。また、結着剤(バインダー)は、アクリロイドA−
10SあるいはB−72結着剤が用いられる。これは、
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中
にアクリル系バインダーが重量比で30−40%の固体
濃度となるように溶解されたもの(アメリカ合衆国ペン
シルバニア州フィラデルフィア所在のロームアンドハー
スカンパニー(Rohm and Haas Co.)から入手できる)
である。また、添加する溶媒は、プロピレングリコール
モノメチルエーテルアセテートである。また、分散剤
は、TRITON(登録商標)X−100(アメリカ合
衆国コネチカット州ダンベリー所在のユニオンカーバイ
ドコーポレイション(Union Carbide Corporation))
またはWITCO(登録商標)PS−21A(アメリカ
合衆国ニューヨーク州ニューヨーク所在のウィットココ
ーポレイション(Witco Corp.))である。さらに、可
塑剤は、ジオクチルフタレートである。分散剤や可塑剤
を混合しないときの典型的な配合割合は、ホスファーが
重量割合で80部、そして結着剤溶液および添加溶媒の
それぞれが重量割合で20部である。分散剤および可塑
剤を用いる場合は、典型的な配合割合は、ホスファーが
重量割合で80部、結着剤溶液および添加溶媒のそれぞ
が重量割合で14部、分散剤が重量割合で0.4部、そ
して可塑剤が重量割合で0.8部である。なお、これら
は、単に例として挙げたに過ぎない。当業者にとって、
他の割合の配合も容易に分かるであろう。
【0018】液体状のホスファー層が塗布される取り外
し可能なシートは、ただそのシート材料が不活性であ
り、結着剤を硬化するために必要ないかなる条件にも耐
え、そしてそれ自体が結着剤に結合しないかあるいは結
着剤に結合しない材料で被覆されているかでありさえす
れば、広範な種類の材料のうちのいずれでもよい。その
シートは、皮めくり式に簡単に取り外しできるように曲
げ得るシートであることが好ましい。
【0019】このシートは、紙かあるいはプラスチック
であることが好ましく、広範な種々のプラスチックが用
いられ得る。例としては、アクリル酸ポリマー類(代表
的なものは、ポリ(メチルメタクリレート))、セルロ
ース化合物類(例えば、セルロースアセテート、セルロ
ーストリアセテート、セルロースアセテートブチレー
ト、それにセルロースアセテートプロピオネート)、フ
ルオロプラスチック類(例えば、ポリ(ビニルフルオラ
イド)、ポリ(ビニリデンフルオライド)、ポリトリフ
ルオロクロロエチレン共重合体、それにポリ(テトラフ
ルオロエチレン))、アイオノマー樹脂類、ビニル樹脂
類(例えば、ポリ(ビニルクロライド)、ポリ(ビニル
アルコール)、ポリ(ビニルフロライド)、ビニルクロ
ライド−ビニルアルコール共重合体、それにポリ(ビニ
リデンクロライド))、ポリエステル類(代表的なもの
は、ポリエチレンテレフタレート)、ポリウレタン類、
ポリブチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリ
イミド、ポリプロピレン、それにポリスチレンである。
【0020】このシートの厚みは、重要ではないが、液
体状のホスファーを塗布できる程度には充分厚く、しか
ながらホスファー層が一旦基板にラミネートされた後、
容易に取り外しできるように充分な柔軟性を呈する程度
に充分に薄くありさえすればよい。典型的な厚さとして
は、2〜5ミル(50〜125マイクロメートル)であ
る。
【0021】好適に用いられる剥離材料には、剥離の目
的で従来からよく知られている広範な種々の材料のうち
のいずれもが含まれる。例としては、シリコン類(代表
的なものは、ジメチルシロキサンポリマー類)、ワック
ス類(例えば、石油ワックス類、カルナウバワックス
類、鯨ろう、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウ
ム、それにステアリン酸マグネシウム)、フルオロカー
ボン類(オイル、ワックス、分散液の形態のもの)、ポ
リ(ビニルアセテート)やポリ(ビニルアルコール)な
どのポリマーのある種の液状形態(例えば、溶液)のも
の、それにタルク、マイカ、溶融シリカ、カオリン、そ
してアタプルガイト(attapulgite)などの固体材料で
ある。
【0022】シートへの液体状ホスファーの塗布は、従
来から知られたいずれかの方法により行われる。それ
は、例えば、被膜の厚みを制御するための調節刃を用い
たテープキャスティング装置を用いる方法である。一旦
被膜が塗布されると、液体は固体化するに任せられる。
その際には、乾燥工程、有機溶媒除去工程、硬化工程、
あるいはこれらの工程を組み合わせて行なうことができ
る。
【0023】一旦ホスファー層が固体化すると、その層
の露出表面は、ホスファースクリーンの支持体として最
終的に機能する基板に接着結合される。この基板は、堅
い材料のいずれかからなり、接着結合は剥がれない結合
となるいずれかの方法によって達成されればよい。好ま
しい支持体材料は、プラスチック、ガラス、紙、金属、
それに酸化物などの金属化合物である。アルミニウム、
スチール、マグネシウムなどの金属が特に好ましく、中
でもアルミニウムが最も好ましい。ホスファー層を基板
に結合する接着剤の例としては、エポキシ系、フェノー
ル樹脂系、アクリル系、それにウレタン系のものが挙げ
られる。接着剤を塗布する方法として特に便利な方法
は、両側に接着剤を被覆した中介シートを用ることによ
り、ホスファー層と基板の間にその接着剤被膜を設けた
シートを挟み込んで、裏フィルムを取り付けたホスファ
ー層を基板にラミネートすることでなされる。このフィ
ルム裏打ちホスファーシートは、そのシートに折曲げ性
や柔軟性が必要とされるような応用に対しては、堅い基
板なしでも有用である。
【0024】一旦フィルム裏打ちホスファー層が基板に
ラミネートされると、裏フィルムを取り外すことがで
き、そこには滑らかなホスファー表面が残ることにな
る。その際、ホスファー表面を保護することが必要であ
れば、ホスファーを摩耗や湿気に曝されたりすることか
ら保護できるように、保護被膜で被覆することができ
る。種々の材料の保護フィルムがこれまでに開示されて
おり、シリコンジオキサイド(Si22)、アルミナ
(Al23)、インジウムオキサイド(InO2)、ポ
リエステル類(例えば、MYLAR(登録商標)アメリ
カ合衆国デラウエア州ウイルミントン所在のデュポンデ
ネモアスカンパニー(DuPont de Nemours Co.))、セ
ルロースアセテート、ポリメチルメタクリレート、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリエチレン、それにパリレ
ン類が含まれる。パリレン類の例としては、ポリ(1,
4−ジメチルベンゼン)、ポリ(2−クロロ−1,4−
ジメチルベンゼン)、それにポリ(1,5−ジクロロ−
2,4−ジメチルベンゼン)がある。このフィルムは、
従来から汎用されている方法によって塗布する(つけ
る)ことができる。プラズマ被膜法は、とりわけ効果的
に行われる方法である。
【0025】この発明の思想を実行する一つの方法が図
面に示されている。図1には、ホスファースラーリー1
1がキャリアフィルム12上に調節刃13を用いて塗布
される過程が示されている。スラリー11は、樹脂、分
散剤、可塑剤、それにこれらの三つの成分それぞれに対
して用いられる溶媒とからなる液体相14と、このスラ
リー全体に均一に分散しているホスファーの固体粒子1
5とを含んでいる。キャリアフィルム12は、剥離材料
16で被覆されている。一例として、0.008インチ
(203μm)〜0.028インチ(712μm)の範
囲内の厚みの被膜を用いることができるが、その最適な
厚みは、この系の他のパラメーターが変わるにつれて変
わる。図2には、キャリアフィルム12に、溶媒を除去
し樹脂を硬化させることによって得られた固体のホスフ
ァー樹脂層21を備えたものが示されている。上記に示
した厚みの被膜は、例えば窒素気流下で約1時間乾燥さ
せた時のもので、更に12時間硬化するまで放置され
る。この放置の間に、ホスファー粒子15は、樹脂層2
1とキャリアフィルム12の表面との間の界面で高濃度
となるように、樹脂層21の底部に一部分が沈降して納
まる。
【0026】図3には、接着剤被膜が施された介在シー
ト30が、硬化したホスファー層21の上に載っている
ところが示されている。ここで、ホスファー層21には
キャリアフィルム12が付着したままになっている。介
在シート30は、両面が接着剤32,33の層で被覆さ
れ、剥離ライナー34,35で保護されているプラスチ
ックフィルム31で構成されている。このタイプのプラ
スチックフィルムの一例は、アメリカ合衆国マサチュー
セッツ州 スペンサー所在のフレックスコンカンパニー
インコーポレイテッド(Flexcon Co., Inc.)から入
手できるDFM−200Cとして製作されたようなプラ
スチックフィルムであり、それは両面がV−23アクリ
ル系感圧接着剤と剥離ライナーとしてのシリコン被膜の
紙とで被覆されている。このフィルム30をホスファー
層21に載せる前に上側の剥離ライナー34を取り外
し、露出した接着剤層32がホスファー層21の露出し
た表面36に直接置かれる。すなわち、このホスファー
層21の露出した表面36は、樹脂が硬化する間に起こ
った沈降によりホスファー粒子が集結している界面の反
対側の表面である。このホスファー層21と接着剤被膜
が施されたプラスチックフィルム30とは加圧ロールで
一体にラミネートされ、図4に示す様な積層体を形成す
る。次いで、この積層体は所望の大きさと形状に切断さ
れた後、プラスチックフィルムの下側の剥離ライナー3
5が矢印で示されているように取り外され、それにより
下側の接着剤層33が露出する。
【0027】次に、この下側の接着剤層33が、図5に
示されているように、平らな陽極酸化アルミニウム板4
0の表面と接触するように置かれる。そして、そのアル
ミニウム板40は、プラスチックフィルム31とホスフ
ァー層21に接着剤33を介してラミネートされる。出
来上がったスクリーンは、50℃で48時間乾燥され
る。次いで、キャリアフィルム12が、図5に矢印で示
すように、剥がされると、ホスファー層21の平滑面4
1が露出する。すなわち、この面41には、ホスファー
粒子が集結している。次に、この滑らかなホスファー層
表面41に保護フィルム42が施される。
【0028】以上は、主として図解の目的で提供したも
のである。ここに記載の方法および積層体の材料、寸
法、比率、製造工程、それに他のパラメーターは、この
発明の精神および範囲から外れることなく、種々に変形
あるいは置換できることが、当業者にとって容易に明ら
かであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 剥離材料を被覆したシートにホスファー層が
塗布されているところの断面図である。
【図2】 シートの上のホスファー層が固体化した後の
断面図である。
【図3】 図2に示した裏シート付きのホスファー層
に、接着剤と剥離ライナーとを両面に被覆したプラスチ
ックフィルムを付けるところであって、剥離ライナーの
一枚が剥離される途中であるところを示す断面図であ
る。
【図4】 プラスチックフィルムにラミネートされた裏
シート付きのホスファー層の倒立した状態であって、残
りの剥離ライナーが取り外されている途中であるところ
を示す断面図である。
【図5】 図4の積層体にさらに固体支持板をラミネー
トし、ホスファー層の表面を被覆しているシートが取り
外されている途中であるところを示す断面図である。
【図6】 図5に示した積層体のホスファー表面に保護
フィルムを載せた積層体の断面図である。
【符号の説明】
11…ホスファースラーリー、12…キャリアフィル
ム、13…調節刃、14…液体相、15…ホスファー粒
子、16…剥離材料、21…ホスファー層、30…介在
シート、31…プラスチックフィルム、32,33…接
着剤層、34,35…剥離ライナー、36…表面、40
…アルミニウム板、41…平滑面、42…保護フィル
ム。
フロントページの続き (72)発明者 ドナルド イー. ゲフロイ アメリカ合衆国 カリフォルニア州 95616 デイビス メドウブルックドラ イブ 27343 (56)参考文献 特開 昭54−37466(JP,A) 特公 昭45−26657(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G21K 4/00

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に平面状のホスファー表面を有す
    るホスファーイメージングスクリーンの形成方法であっ
    て、 (a)表面が平滑化されたシートに、液体状でホスファ
    ーを塗布しその塗布されたホスファーを固体化すること
    によって、前記シートに付着はしているが結合はしてい
    ない具合にホスファー層を形成し、もって露出している
    側とシートで保護されている側を持ったホスファー層を
    形成する工程と、 (b)前記ホスファー層の前記露出している側を基板に
    結合して、シートで保護されているホスファー層と基板
    との積層体を形成する工程と、 (c)前記表面が平滑化されたシートを前記シートで保
    護されているホスファー層と基板との積層体から取り外
    して実質的に平面状のホスファー表面を後に残す工程と
    を備えてなる方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のホスファーイメージン
    グスクリーンの形成方法であって、 前記(a)の工程は、結合剤と揮発性溶媒の溶液中にホ
    スファー粒子を混入したスラリーとして前記ホスファー
    を塗布することにより、前記平滑な表面のシートに被膜
    を形成する工程と、その被膜から前記溶媒を揮発させる
    工程を含んでなることを特徴とする方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のホスファーイメージン
    グスクリーンの形成方法であって、 前記(a)の工程は、前記平滑な表面のシートが実質上
    水平位置に置かれていて、前記スラリーが前記平滑な表
    面のシートの上面に塗布されることを特徴とする方法。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載のホスファーイメージン
    グスクリーンの形成方法であって、 前記ホスファー粒子は、約10マイクロメートル〜約1
    00マイクロメートルの平均直径を有することを特徴と
    する方法。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載のホスファーイメージン
    グスクリーンの形成方法であって、 前記基板は、堅い固体であり、 前記(b)の工程は、重合性の接着剤でその基板に前記
    ホスファー層を結合する工程を含んでなることを特徴と
    する方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のホスファーイメージン
    グスクリーンの形成方法であって、 前記(b)の工程は、前記接着剤を予め両面に被覆した
    中間シートを前記ホスファー層と前記堅い固体の基板と
    の間に介在させて、前記ホスファー層を前記堅い固体の
    基板にラミネートする工程を含んでなることを特徴とす
    る方法。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載のホスファーイメージン
    グスクリーンの形成方法であって、さらに、 (d)前記実質的に平面状のホスファー表面に放射線透
    過性の保護被覆を塗布する工程を備えてなる方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載のホスファーイメージン
    グスクリーンの形成方法であって、 前記保護被覆は、ポリ(1,4−ジメチルベンゼン)、
    ポリ(2−クロロ−1,4−ジメチルベンゼン)および
    ポリ(1,5−ジクロロ−2,4−ジメチルベンゼン)
    の中から選択されたパリレン重合体であることを特徴と
    する方法。
  9. 【請求項9】 請求項7に記載のホスファーイメージン
    グスクリーンの形成方法であって、 前記保護被覆は、シリコンジオキサイド、アルミナおよ
    びインジウムオキサイドの中から選択された材料である
    ことを特徴とする方法。
  10. 【請求項10】 請求項1に記載のホスファーイメージ
    ングスクリーンの形成方法であって、 前記ホスファーは、アルカリ土類金属の硫化物およびセ
    レン化物の中から選択された材料であることを特徴とす
    る方法。
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