JP2953477B2 - クロストリジウム・ヒストリティカムからの組換えプロティナーゼ並びに細胞及び細胞群の単離のためのその使用 - Google Patents

クロストリジウム・ヒストリティカムからの組換えプロティナーゼ並びに細胞及び細胞群の単離のためのその使用

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、クロストリジウム・ヒストリティカム(Cl
ostridium histolyticum)からの組換えプロティナーゼ
(中性プロティアーゼ、NP)並びに細胞及び細胞群の単
離のためのその使用に関する。
クロストリジウム・ヒストリティカムからのタンパク
質分解性酵素が、組織を消化し、そして個々の細胞又は
細胞群(例えば、島(islets))を単離するために使用
される(島:Sutton et al.,Transplantation 42(198
6)689−691;肝臓:Quibel et al.,Anal.Biochem.154(1
986)26−28;骨:Hefley et al.,J.Bone Mineral Res.2
(1987)505−516;Holzinger et al.,Immunology Lette
rs 35(1993)109−118)。2つの異なるコラゲナーゼ
型が、クロストリジウム・ヒストリティカムから知られ
ている(M.F.French et al.,J.Protein Chemistry 11
(1992)83−97)。
I型及びII型コラゲナーゼの各種イソ形態(isoform
s)に加えて、クロストリジウム・ヒストリティカムか
らの中性プロテアーゼ(NP)であって、その最適活性が
中性pH範囲内にあり、そしてカゼイン及び変性コラーゲ
ン(Azocoll)を解裂するものも、知られている(Mandl
et al.,J.Clin.Invest 32,1953,1323−1329;Sparrow
& McQuade,Biochim.Biophys.Acta 302,1973,90−94;He
fley,J.Bone Mineral Res.2,1987,505−516)。この中
性プロテアーゼは、さまざまな組織の消化における補助
的酵素として必要であると認められている(骨:Hefley
et al.,Exp.Cell Res.149,1983,227−236;膵臓:Wolters
et al.,Diabetologica 35,1992,735−742)。NPは、約
35kDの分子量(SDSゲル電気泳動)をもつ。
大規模で細胞及び細胞群を単離するために中性プロテ
アーゼを使用するために、再現可能な質及び多量におい
てその中性プロテアーゼを提供することが必要である。
これは、組換え製造方法によって可能である。
それ故、本発明の目的は、クロストリジウム・ヒスト
リティカムからの中性プロテアーゼの活性を有するタン
パク質をコードする核酸及びそれらの組換え製造のため
の方法を提供することである。
本発明は、クロストリジウム・ヒストリティカムから
の中性プロテアーゼの活性を有するタンパク質をコード
する核酸であって、それが、 a)配列番号:3からのヌクレオチド1027−1965のDNA又
はそれに相補的なDNA、 b)配列番号:3からのヌクレオチド1027−1965のDNAと
ハイブリダイズする核酸、及び c)その遺伝子コードの縮重を伴わずに、a)又はb)
に述べた核酸の中の1とハイブリダイズするであろう核
酸、 から成る群から選ばれることを特徴とする核酸により達
成される。
配列番号:3からのヌクレオチド1027−1965をもつ核酸
が好ましい。この核酸に比較して、例えば、約60ヌクレ
オチド程、好ましくは、その5′末端において短縮又は
延長されているものも好適である。ヌクレオチド970−1
965の延長された核酸であって、上記プロテアーゼのプ
ロ形態に対応するものが、特に好ましい。短縮された核
酸は、タンパク質分解により、好ましくは、自己タンパ
ク質分解によりプロセスされたタンパク質に対応する。
中性プロテアーゼの活性は、当業者に知られており、
そしてMandle et al.(1953)Sparrow and McQuade(19
73)and Hefley(1989)。中性プロテアーゼは、カゼイ
ン及び変性コラーゲンを解裂させる。
本発明の意味におけるハイブリダイゼーションは、例
えば、J.Sambrook in Molecular Cloning,Cold Spring
Harbor Laboratory(1989)及びB.D.Hames,S.G.Higgin
s,Nucleic Acid Hybridization−A practical approach
(1985),IRL−Press,Oxford,Englandにより言及されて
いるような当業者に馴染みのある通常のストリンジェン
ト条件下でのハイブリダイゼーションとして理解され
る。通常、上記の標準的なプロトコールが、上記刊行物
中に記載されたハイブリダイゼーションのために使用さ
れる。
“ストリンジェント条件”は、好ましくは、50℃にお
ける2.0×SSCでのその後の洗浄段階を伴う、約45℃にお
ける6.0×SSC中でのハイブリダイゼーションとして理解
される。このストリンジェンシーを調整するために、そ
の洗浄段階において、低ストリンジェンシーのための50
℃における2.0×SSC〜高ストリンジェンシーのための50
℃における0.2×SSCの塩濃度が選ばれることができる。
さらに、その洗浄段階の温度は、室温(22℃、低ストリ
ンジェンシー)〜約65℃(高ストリンジェンシー)の間
に設定されることができる。このストリンジェント・ハ
イブリダイゼーション条件は、好ましくは、少なくと
も、75%のホモロジー、好ましくは、90%のホモロジー
が、そのアミノ酸配列において得られるように選ばれ
る。
DNA又はRNAが、本発明の意味において、核酸として好
適である。この場合、RNAは、本発明に係るDNAに相補的
である。本発明に係る核酸は、合成、半合成又は組換え
起源をもつことができる。
中性プロテアーゼのクローニングのための通常の方法
が、使用されることができないことが判明している。そ
の中性プロテアーゼの精製後、ペプチド配列が決定さ
れ、そして縮重DNA配列が通常のやり方でそれから得ら
れる場合、オリゴヌクレオチドとして、中性プロテアー
ゼ活性をもつタンパク質をコードしないPCR反応におけ
る断片の単離を導く配列が、得られる。
例えば、ペプチド配列NP23(その中で、AspがAlaの代
わりに位置3においても存在することができるところの
配列番号:8)及びNP44(配列番号:4)は、上記中性プロ
テアーゼの部分的配列決定から得られた。これらのペプ
チドから得られた縮重プライマーを使用して、中性プロ
テアーゼをコードしない300bpの断片が、PCR反応におい
て得られる。ペプチドNP44単独から得られた縮重プライ
マーを使用して、同じく上記中性プロテアーゼをコード
しないサイズ約400bpの断片が得られる。また、ペプチ
ドNP86(配列番号:10)に基づくプライマー86−1F(配
列番号:11)の使用は、中性プロテアーゼに無関係な350
bp断片をもたらす。
このように、ペプチド配列から得られたプライマーを
用いてのスクリーニングは、中性プロテアーゼの場合に
おいては有用な結果を簡単には導かない。
しかしながら、驚ろくべきことに、プライマー23F
(配列番号:9)と86−1R(配列番号:12)の組合せが、
中性プロテアーゼ遺伝子の一部であり、そして標識付け
及びスクリーニングのために使用されることができる約
320bp断片をもたらした。しかしながら、この標識され
た部分の助けを借りてさえ、上記中性プロテアーゼ遺伝
子のさらなる部分をもつクローンを探り出すことはでき
なかった。そのクローニング方法のさらなる修飾によっ
て始めて、そのコーディングDNAを見つけ出すことがで
きた。
上記組換えプロテアーゼの製造は、当業者に馴染みの
方法に従って行われることができる。このために、その
プロテアーゼの活性を有するタンパク質を産生すること
ができるDNAが、まず、製造される。
a)配列番号:3からのヌクレオチド1027−1965のDNA又
はそれに相補的なDNA、 b)配列番号:3からのヌクレオチド1027−1965のDNAと
ハイブリダイズする核酸、及び c)その遺伝子コードの縮重を伴わずに、a)又はb)
に述べた核酸の中の1とハイブリダイズするであろう核
酸、 から成る群から選ばれるようなDNAが、選択され、そし
て発現ベクター内に挿入される。このようなベクター
は、そのNP配列に加えてそのDNAを発現するために必要
なプロモーター/オペレーター要素を含む。上記NP配列
及び上記プロモーター/オペレーター要素を含む上記ベ
クターを、NPのDNAを発現することができる宿主株内に
伝達させる。この宿主細胞を、そのベクターの増幅に好
適な条件下で培養し、そしてNPを単離する。この方法に
おいて、好適な手段は、それがNP特性を示すところの活
性な3次構造を、そのタンパク質が採用することができ
ることを保証する。
この方法においては、その発現されたタンパク質が、
配列番号:5中に示すものと全く同じNPアミノ酸配列を含
む必要はない。本質的に同一の配列を含み、そして類似
の特性をもつタンパク質が、等しく好適である。配列番
号:1と配列番号:2は、好ましいDNA断片を示す。配列番
号:3からのヌクレオチド1027−1965のDNAが好ましい。
この配列に比較して、好ましくはその5′末端におい
て、例えば、好ましくは約60ヌクレオチド程短縮又は延
長された核酸も好適である。ヌクレオチド970−1965の
延長された核酸であって、そのプロテアーゼのプロ形態
に対応するものが、特に好ましい。短縮された核酸は、
タンパク質分解され、好ましくは、自己タンパク質分解
され、プロセスされたタンパク質に対応する。
上記タンパク質の核酸配列は、修飾されることもでき
る。このような修飾は、例えば: −ライゲーション、クローニング及び突然変異誘発の
段階を容易にするための制限酵素のさまざまな認識配列
を導入するための核酸の修飾、 −宿主細胞のための好ましいコドンを取り込むための
核酸の修飾、 −宿主細胞内での発現を最適化するための追加のオペ
レーター要素による核酸の延長、 である。
本発明は、さらに、原核又は真核宿主細胞内での外来
核酸の発現によるクロストリジウム・ヒストリティカム
からのNPの特性をもつポリペプチドの生産及びその所望
のポリペプチドの単離方法であって、そのペプチドをコ
ードするDNAが: a)配列番号:3からのヌクレオチド1027−1965のDNA又
はそれに相補的なDNA、 b)配列番号:3からのヌクレオチド1027−1965のDNAと
ハイブリダイズする核酸、 c)その遺伝子コードの縮重を伴わずに、a)又はb)
に述べた核酸の中の1とハイブリダイズするであろう核
酸、 から成る群から選ばれることを特徴とする方法に関す
る。
配列番号:3からのヌクレオチド1027−1965のDNAが、
好ましくは使用される。生物学的に機能性のプラスミド
又はウイルスDNAベクターであって、本発明に係る核酸
を含むものが、上記の発現のために使用される。真核又
は原核宿主細胞は、このベクターにより安定的に形質転
換され又はトランスフェクトされる。
上記タンパク質は、好ましは、微生物、特に原核細胞
内で、そして本願においては、E.コリ(E.coli)内で発
現される。
発現ベクターは、上記宿主生物内での上記タンパク質
の発現を可能にするプロモーターを含まなければならな
い。このようなプロモーターは、当業者に知られてお
り、そして例えば、lacプロモーター(Chang et al.,Na
ture 198(1977)1056)、trp(Goeddel et al.,Nuc.Ac
ids Res.8(1980)4057)、λPLプロモーター(Shimata
ke et al.,Nature 292(1981)128)及びT5プロモータ
ー(米国特許第4,689,406号)である。例えば、tacプロ
モーター(米国特許第4,551,433号)のような合成プロ
モーターも好適である。結合プロモーター系、例えばT7
−RNAポリメラーゼ/プロモーター系(Studier et al.,
J.Mol.Biol.189(1986)113)も好適である。バクテリ
オファージ・プロモーターと上記微生物のオペレーター
領域から成るハイブリッド・プロモーター(EP−A 0 26
7 851)も等しく好適である。有効なリボソーム結合性
部位も、上記プロモーターに加えて必要である。E.コリ
の場合においては、このリボソーム結合性部位は、シャ
イン−ダルガルノ(Shine−Dalgarno(SD))配列と言
われる(Sambrook et al.,“Expression of cloned gen
es in E.coli"in Molecular Cloning:A laboratory man
ual(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press,New
York,USA)。
発現を改善するために、そのタンパク質を融合タンパ
ク質として発現させることもできる。この場合、内因性
のバクテリア・タンパク質のN−末端部分と他の安定性
タンパク質をコードするDNA配列が、通常、NPをコーデ
ィングするDNAの5′末端に融合される。この例は、例
えば、lacZ(Phillips and Silhavy,Nature 344(199
0)882−884),trpE(Yansura,Meth.Enzymol.185(199
0)161−166)である。
発現後に得られる融合タンパク質は、好ましくは、酵
素(例えば、因子Xa)により解裂される(Nagai et a
l.,Nature 309(1984)810)。解裂部位のさらなる例
は、IgAプロテアーゼ解裂部位(WO 91/11520,EP−A 0 4
95 398)及びユビキチン解裂部位(Miller et al.,Bio/
Technology 7(1989)698)である。
バクテリア内でこのやり方で発現されるタンパク質
は、そのバクテリアを溶解し、そしてタンパク質を単離
すことにより、通常、単離される。
さらなる態様においては、微生物から活性タンパク質
としてそのタンパク質を分泌させることができる。この
ため、使用される宿主生物内でのタンパク質の分泌に好
適なシグナル配列及びそのタンパク質をコードする核酸
から成る融合生成物が、好ましくは、使用される。この
方法においては、そのタンパク質は、(グラム陽性バク
テリアの場合には)培地中に又は(グラム陰性バクテリ
アの場合には)細胞周辺腔内に分泌される。そのシグナ
ル配列と、プロセッシングの間又は追加の段階のいずれ
かにおいてそのタンパク質の解裂を可能にするNPをコー
ディングする配列との間に解裂部位を配置することが好
都合である。このようなシグナル配列は、例えば、ompA
(Ghrayeb et al.,EMBO J.3(1984)2437)又はphoA(O
ka et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82(1985)7212)
から得られる。
これらのベクターは、さらに、ターミネーターも含
む。ターミネーターは、転写過程の終結を指令するDNA
配列である。それらは、通常、2つの構造的特徴:分子
内で2本鎖を形成することができる逆反復のG/Cに富む
領域及び多数のU(又はT)残基、を特徴とする。例
は、ファージfdとrrnBのDNA内のtrpアテニュエーターと
ターミネーターである(Brosius et al.,J.Mol.Biol.14
8(1981)107−127)。
さらに、上記発現ベクターは、通常、その形質転換さ
れた細胞を選択するための、選択マーカーを含む。この
ような選択マーカーは、例えば、アンピシリン、クロラ
ムフェニコール、エリスロマイシン、カナマイシン、ネ
オマイシン及びテトラマイシンについての耐性遺伝子で
ある(Davies et al.,Ann.Rev.Microbiol.32(1978)46
9)。同じく好適である選択マーカーは、その細胞のた
めに必要な物質、例えば、ヒスチジン、トリプトファン
及びロイシンの生合成に不可欠な物質のための遺伝子で
ある。多くの好適なバクテリアのベクターが知られてい
る。ベクターは、例えば、以下のバクテリア:バチルス
・サブチリス(Bacillus subtitis)(Palva et al.,Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA 79(1982)5582)、E.コリ(E.c
oli)(Aman et al.,Gene 40(1985)183;Studier et a
l.,J.Mol.Biol.189(1986)113)、ストレプトコッカス
・クレモリス(Streptococcus cremoris)(Powell et
al.,Appl.Environ.Microbiol.54(1988)655)、ストレ
プトコッカス・リビダンス(Streptococcus lividans)
及びストレプトミセス・リビダンス(Streptomyces liv
idans)(米国特許第4,747,056号)について記載されて
きた。
好適なベクターの構築及び発現のためのさらなる遺伝
子操作方法は、J.Sambrook et al.,Molecular Cloning:
A laboratory manual(1989),Cold Spring Harbor Lab
oratory Press,New York,N.Y.中に記載されている。
原核微生物に加えて、組換えNPは、真核生物(例え
ば、CHO細胞、酵母又は昆虫細胞)内で発現されること
もできる。酵母系又は昆虫細胞は、真核発現系として好
ましい。酵母における発現は、3つのタイプの酵母ベク
ター:組み込みYIp(酵母組み込みプラスミド)ベクタ
ー、複製YRp(酵母レプリコン・プラスミド)ベクター
及びエピソーム性YEp(酵母エピソーム性プラスミド)
ベクター、により達成されることができる。これについ
ての詳細は、例えば、S.M.Kingsman et al.,Tibtech 5
(1987)53−57中に記載されている。
本発明は、さらに、 a)配列番号:3からのヌクレオチド1027−1965のDNA又
はそれに相補的なDNA、 b)配列番号:3からのヌクレオチド1027−1965のDNAと
ハイブリダイズする核酸、又は c)遺伝子コードの縮重を伴わずに、a)又はb)に述
べた核酸の中の1とハイブリダイズするであろう核酸、 によりコードされた、そして外来DNAの原核又は真核発
現の産物であるクロストリジウム・ヒストリティカムか
らの中性プロテアーゼと共に、その細胞又は細胞群が所
望の程度まで放出されるまで、細胞組織をインキュベー
トし、そしてその細胞組織画分からその細胞又は細胞群
を分離することにより、その細胞組織を分解(disinteg
ration)し、そしてその中に含まれる細胞又は細胞群を
放出するための方法にも関する。クロストリジウム・ヒ
ストリティカムとは異なる宿主細胞内での組換え生産の
ために、このプロテアーゼは、クロストリジウム・ヒス
トリティカムからの他のタンパク質から遊離しており、
この細胞組織画分からの細胞又は細胞群の分離は、好ま
しくは、密度勾配を使用した遠心分離により行われる。
プロテアーゼであって、配列番号:3のヌクレオチド10
27−1965によりコードされたもの又は約20アミノ酸程N
末端において延長又は短縮された形態が、好ましくは、
使用される。延長されたプロテアーゼであって、配列番
号:3のヌクレオチド970−1965のDNAによりコードされ、
そしてそのプロテアーゼのプロ形態に対応するものが、
特に好ましい。このような延長されたプロテアーゼは、
その膜を通してのその細胞周辺腟又は培地中への輸送の
間に、短縮形態(例えば、アミノ酸配列番号:5をもつタ
ンパク質)に分解される。N−又はC−末端で短縮され
た形態であって、例えば、自己触媒作用により形成され
ることができるものも、好ましい。
細胞又は細胞群は、臓器、臓器又は組織の部分を、そ
の周囲の細胞外結合組織マトリックスを溶解させる酵素
と共にインキュベートすることにより、組織(例えば、
膵臓、肝臓、皮膚、内皮、臍帯、骨)から、通常、単離
される(島:Sutton et al.,Transplantation 42(198
6)689−691;肝臓:Quibel et al.,Anal.Biochem.154(1
986)26−28;骨:Hefley et al.,J.Bone Mineral Res.2
(1987)505−516)。
本発明に係るプロティナーゼは、筋肉細胞(Maruyama
et al.,J.Pharmacol.Methods 19,1988,155−164)、脂
肪細胞(Vendrell & Alemany,J.Biochem.Biophys.Meth
ods 16,1988,49−54)、卵巣又は子宮組織(Marcus et
al.,Endocrine Res.10,1984,151−162)、上皮細胞(Ka
unitz,Am.J.Physiol.254,1988,6502−6512)、心臓細胞
(Haworth et al.,Cell Calcium 10,1989,57−62)及び
胎盤組織(Morrish & Siy,Endocrine Res.12,1986,229
−253)の調製のためにも使用されることができる。
組織分解は、酵素溶液で臓器全体を灌注することによ
り(Ricordi et al.,Diabetes 37(1988)413−420)行
われることもできる。上記酵素混合物の組成に加えて、
この方法において重要な要因は、その消化の経過時間、
pH値及び温度並びに例えば、振とう及び金属ボールの添
加による機械的作用である。細胞外結合組織マトリゥク
スは、しばしば、高い割合のコラーゲンをもつので、コ
ラゲナーゼ及び上記中性プロティナーゼは、特別な役割
を演じる(Wolters,Hormone and Metabolic Research 2
6(1994),p.80)。
本発明に係る方法は、好ましくは、膵臓組織から島又
は島細胞を単離するために使用される。
さらに好ましい適用は、遺伝子治療のために又は細胞
治療目的(細胞工学)のために使用される、細胞培養物
を設定し又は細胞を単離するために、全ての種類の組織
から細胞を単離することである。本発明に係るプロティ
ナーゼ及び本発明に係る方法は、腫瘍組織を、好ましく
は、生体外において分解するために使用されることもで
きる。この場合においては、このやり方で単離された腫
瘍細胞は、例えば、その腫瘍に対する免疫感作に影響を
及ぼす、例えば、養子免疫療法を行うために、遺伝子修
飾後に患者に戻される。
さらに、さらなる酵素、例えば、コラゲナーゼ、エラ
スターゼ、トリプシン、キモトリプシン又はヒアルロニ
ダーゼの添加は、上記消化の品質のために有利であるこ
とができる。
寄託されたプラスミド、並びに以下の実施例、刊行
物、配列プロットコール図面は、本発明をさらに明確に
し、そしてその保護範囲は、特許請求の範囲から生じる
ものである。説明された方法は、例示として理解される
べきであり、これは、修正後でさえも、同じく本発明の
主題を説明する。
プラスミドpNP−86−IR/23Fを、受託番号DSM 9578の
下、“Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Ze
llkulturen GmbH(DSM),Mascheroder Weg 1b,D−38124
Braunschweig"に、1994年12月9日に寄託した。
配列番号:3の塩基933−2100を含むプラスミドpUC21−
E−NPを、受託番号DSM 10341の下、“Deutsche Sammlu
ng von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DS
M),Mascheroder Weg 1b,D−38124 Braunschweig"に、1
995年11月23日に寄託した。
図1は、本中性プロテアーゼの概略制限酵素地図を示
す。
配列プロトコールは: 配列番号:1:中性プロテアーゼのDNA断片、 配列番号:2:中性プロテアーゼのDNA断片、 配列番号:3:フランキング領域をもつ中性プロテアーゼ
のDNA、 配列番号:5:中性プロテアーゼのタンパク質配列、 配列番号:4,8,10,13,14及び16:プライマーを得るために
使用したペプチド、 配列番号:6,7,9,11,12,15,17−20:プライマー配列、 を示す。
実施例1 中性プロテアーゼの単離 クロストリジウム・ヒストリティカムの培養上清からの
NPの精製 コラゲナーゼP凍結乾燥物(BM/Order No.1213857)
を、5mM HEPESバッファー、pH7.5、1mM CaCl2中に溶解
し、そして遠心分離した。この上清を、同一バッファー
で平衡にしてあるQ−Sepharoseカラム上にポンプ供給
した(ローディング:最大20mg凍結乾燥物/mlカラム材
料)。そのベース・ラインに達するまで平衡バッファー
でそのカラムを洗浄した後、NPを、増加CaCl2グラジエ
ント(1〜150mM、10倍)を用いて溶出した。高カゼイ
ン分解活性をもつ画分(resorufin−casein)をプール
した。明確なバンドが、SDSゲル上約33kDにおいて認識
されることができ、可視性バンドが、不純物として約50
kD(ロット−依存性)において、そして“茶色顔料(bl
own pigment)”の添加においてより低い分子量範囲
(<10kD)において、現れた。
NP画分を、ブチル650Cカラム(10mM Tris、pH7.5、5m
M CaCl2で平衡にされたもの)に4℃において適用す
る。これらの条件下、上記不純物(茶色顔料、約50kDに
おける2重バンド)をその溶出液中に置きながら、NP
を、上記疎水性カラム材料に結合させる。それを、4℃
において、10mM Tris、pH8.3、5mM CaCl2及び10%イソ
プロパノール又は30%イソプロパノールで溶出させる。
この方法で得られたタンパク質は、SDS−PAGEによれば
均質である(>95%純度)。この高純度NP調製物(reso
rufin−caseinとの比活性において100倍の増加)を、ト
リプシンで消化し、そしてそのペプチドを、逆相HPLCカ
ラム(C8)で分離した。そのアミノ酸配列を、そのペプ
チドを蒸発乾固させた後に、決定した。
実施例2 中性プロテアーゼのクローニング 対合(縮重)DNA配列を、上記中性プロテアーゼの精
製後に実施例1に従って決定したペプチド配列から得
る。有利な(低い)変性を示す配列を、例えば、PCRを
介して、ジーン・バンクをスクリーニングするための標
識されたDNAプローブを構築するために使用する。
それから、以下のプライマー: ペプチドNP23(配列番号:8)、 プライマーNP23F(配列番号:9)、 プライマーNP23R(配列番号:6)、 ペプチドNP86(配列番号:10)、 プライマーNP86−1F(配列番号:11)、 プライマーNP86−1R(配列番号:12)、 が得られることができる2つのペプチドNP23とNP86が、
例えば、特に好適である。
互いに対しての上記2つのペプチドの位置は、上記実
施例の開始時に知られていないので、2つの異なるプラ
イマーの組合せ:23F/86−1Rと23R/86−1Fが、クロスト
リジウム・ヒストリティカムのゲノムDNAからの対応遺
伝子のPCR断片を増幅するために使用されなければなら
ない。これらの組合せの中の1は、上記実験が、成功し
ている場合PCRにおいてある断片をもたらし、上記第2
の組合せは、その時、同時に、ネガティブ・コントロー
ルを提示する。
常法により単離されたクロストリジウム・ヒストリテ
ィカムからのDNAを用いたPCR後にプライマーNP23FとNP8
6−1Rを使用して長さ約320bpの断片を得ることも実際に
可能である。上記組合せ23R/86−1Fは、断片をもたらさ
ない。
この約320bpの断片は、例えば、同じくPCR反応におい
て、dig−dUTPを用いて容易に標識付けされることがで
き、そしてジーン・バンクから陽性クローンを同定する
ためのプローブとして役立つ。ジーン・バンクは、制限
酵素による消化の後、クロストリジウム・ヒストリティ
カムDNAから一般に知られた方法に従って調製されるこ
とができる。
上記の約320bp断片は、配列決定され、そして配列番
号:2のDNAを含んでいる。この配列は、受託番号:9578
下、“Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Ze
llkulturen GmbH",Mascheroder Weg 1b,38124 Braunsch
weig(DSM)に1994年12月9日に寄託されたプラスミドp
NP−86−1R/23F中にも存在する。
クロストリジウム・ヒストリティカムからのゲノムDN
Aを、Hind IIIで消化し、そしてその後、それらの断片
を、DNAリガーゼでライゲートした。2つの外側に向け
られたプライマーNPC5(配列番号:5)とNP6C(配列番
号:15)を、上記320bp断片から得て、そしてPCR反応に
おいて使用した。586bpの断片(配列番号:1)であっ
て、配列番号:2の大部分を含むものを得た。しかしなが
ら、この方法で、中性プロテアーゼのための遺伝子のさ
らなる部分を発見することはできなかった。
上記586bp断片は、ペプチドNP23に加えて上記タンパ
ク質消化からのさらなるペプチド及びそのリーディング
・フレームを同定するために使用されることができるペ
プチドNP86の一部をも含む。
NP−NT2:(配列番号:13) NP58:(配列番号:14) PCRプライマーNP−19R(配列番号:17)を、新規ペプ
チド、NP19(配列番号:16)から得た。上記320bp断片か
ら得られていたプライマーNP−19Rとプライマー416(配
列番号:18)を用いてのPCR反応は、中性プロテアーゼの
さらなる配列情報(配列番号:2よりも約350bp大きい)
を含んでいた488bp断片を作り出した。その3′末端に
おけるリーディング・フレームは未だ開いていたので、
その遺伝子のさらに小さな部分は、未だ未知でなければ
ならなかった。サザン分析の助けを借りて中性プロテア
ーゼ遺伝子の領域をマッピングすることにより、概略制
限酵素地図(図1)を確立することが既に可能であっ
た。
中性プロテアーゼの3′末端全体を単離するために、
クロストリジウム・ヒストリティカムからのゲノムDNA
を、EcoRVとScaIで解裂させ、そしてそれらの断片を、
アガロース・ゲル中で分離し、そしてサザン・ブロット
により分析した。サイズ約1000bpの断片を、そのゲルか
ら単離した。なぜなら、このようなDNAセクションは、
上記制限酵素地図に基づく残りの3′配列を含むはずで
あるからである。このゲルから単離されたDNA断片をラ
イゲート(ブラント末端に)した。外側に向けられたプ
ライマー428(配列番号:19)と429(配列番号:20)を使
用して逆PCRを再び行い、そしてサイズ950bpのDNA断片
であって、中性プロテアーゼ遺伝子の3′末端並びにさ
らに470bpの下流配列を含むものを得た。このように、
中性プロテアーゼ遺伝子は、完全に単離された(配列番
号:3)。
配列番号:3の塩基933−2100を含むプラスミドpUC21−
E−NPは、受託番号DSM 10341号の下、“Deutsche Samm
lung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH",Ma
scheroder Weg 1b,D−38124 Braunschweigに1995年11月
23日に寄託された。
実施例3 中性プロテアーゼの発現 中性プロテアーゼ又はその一部のための遺伝子を含む
DNA断片を、好適なやり方で(例えば、PCRを介して)そ
れらの末端において修飾し、そしてそれらを、E.coliの
ための発現ベクター内で、全体として又は組合せて使用
する。よく調節されることができるそれらのプロモータ
ー、例えば、lac,tac,trc,mglを、好ましくは、使用す
る;しかしながら、他のプロモーターの使用も、考慮さ
れることができる。その分泌のために、それ自体の、中
性プロテアーゼのシグナルペプチド又は外来のもの(例
えば、mgl,PhoA)を使用することもできる。
発現プラスミドにより形質転換されているE.coli株
を、抗生物質選択下、最小培地又はLB培地中で(例え
ば、5mlのカルチャー中)30又は37℃において一夜培養
する。その一夜培養物を、より大きな容量(例えば、1
)に接種し、そしてさらに成長させる。この容量がバ
イオマスを得るために既に使用された場合、それは、例
えば、lacプロモーターを使用するときIPTGにより0.2〜
2のOD550において誘導されることができ、そしてそれ
らの細胞は、そのOD及び/又は形成する酵素活性におけ
るさらなる増加が存在しなくなるまで、さらに成長に供
される。この時、それを遠心分離し、そしてそのバイオ
マスを、中性プロテアーゼを精製するために使用する。
しかしながら、中性プロテアーゼ活性のかなりの割合
が、その培地中に存在することができ;その時、その培
地をも集め、そして中性プロテアーゼをそれから精製す
る。
実施例4 ブタ膵臓からの島の単離 膵臓を、新たに屠殺したブタから調製し、そしてさら
に加工するまで氷冷HBSSバッファー(Gibco)中で冷却
する。Braunleを膵管内に挿入し、そしてそこで固定
し、その膵臓の水密性を、HBSSバッファーを使用してテ
ストする。クロストリジム・ヒストリティカムからの精
製された組換え中性プロテアーゼを単独で又は精製され
たコラゲナーゼI型又はII型と混合されて含むHBSSバッ
ファー+Ca2+中の酵素溶液を注射する。この方法で処理
された膵臓を、上述の酵素溶液を同じく含む灌流装置に
接続する(不連続灌流)。消化を、5〜120分間の時間
期間にわたり4℃〜37℃の間で行い、この間に、その容
器内に存在する酵素溶液を、上記膵臓内に連続的にポン
プ供給する。このポンプを、最適であると推定される時
(その島が解放されるまで通常20〜30分間)の後に、停
止し、そしてその膵臓を含む容器を、手で3〜20分間注
意して振とうする。金属ボールの事前添加は、その組織
の機械的分解及びその周囲外分泌組織からの島の解放
を、さらに容易にする。上記消化の進行を、一定間隔で
採取されたサンプルのジチオゾン染色の後に顕微鏡で観
察する。
消化を、氷冷HBSS/10% FCS(胎児ウシ血清)の添加
により停止させ、そしてその懸濁液を、粗粒子を分離す
るために篩(メッシュ・サイズ300μm)を通して濾過
する。濾液中に存在する島を、250mlのNalgene丸底フラ
スコ内で100gにおいて10分間遠心分離する。この上清
を、デカンテーションし、そして島を含むペレットを、
50ml FCSに再懸濁させる。
島を、手で作った密度勾配によりさらに精製すること
ができる。最初に、7mlの島懸濁液を、250ml Nalgene丸
底フラスコに添加する。これらに、まず、93mlのFicoll
溶液(φ=1.077g/cm3)を、そして次に50ml培地(RP
MI 1640)を、重層する。これらのグラジエントを、ス
ウィング−アウト・ローター内で100gにおいて10分間遠
心分離する。10mlの画分を、集め、ジチオゾンにより染
色された島のサイズ、純度及び収量を、各画分において
顕微鏡により又は画像分析の力を借りて、測定する。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 48/00 A61K 48/00 (C12N 15/09 ZNA C12R 1:01) (C12N 9/52 C12R 1:19) (72)発明者 ブルシャー,ヘルムート ドイツ連邦共和国,デー−82392 ハバ ッハ,アム エーレナンカー (56)参考文献 Biochim.Biophys.A cta.,302(1973)p.90−94 Mol.Microbiol.,6 (1992)p.1593−1604 Diabetologia ,35 (1992)p.735−742 Exp.CellRes,149(1983) p.227−236 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 15/57 C12N 9/52 BIOSIS,WPI(DIALOG) CA,REGISTRY(STN) GenBank/EMBL(genes eg)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クロストリジウム・ヒストリティカム(Cl
    ostridium histolyticum)由来の中性プロテアーゼの活
    性を有するタンパク質をコードする単離核酸であって、 以下の、 a)配列番号:3のヌクレオチド1027〜1965のDNA又はそ
    れに相補的なDNA、 b)ストリンジエント条件下、配列番号:3のヌクレオチ
    ド1027〜1965のDNAとハイブリダイズする核酸、及び c)配列番号:5に表されたものと同一のアミノ酸配列を
    コードする核酸、 から成る群から選ばれた、前記単離核酸。
  2. 【請求項2】細胞組織を分解し、そしてその中に含まれ
    る細胞又は細胞群を解放するための方法であって: −原核宿主細胞内で、請求項1に記載の単離核酸を発現
    させ; −中性プロテアーゼの活性を有するタンパク質を単離
    し; −上記細胞又は細胞群が所望の量において解放されるま
    で、上記細胞組織を上記のようにして得られた中性プロ
    テアーゼと共にインキュベートし;そして −上記細胞組織画分から、上記細胞又は細胞群を分離す
    る; ことを含む、前記解放方法。
  3. 【請求項3】クロストリジウム・ヒストリティカム(Cl
    ostridium histolyticum)由来の中性プロテアーゼの活
    性を有するポリペプチドの製法であって: −原核宿主細胞内で、請求項1に記載の外来核酸を発現
    させ;そして −それから上記ポリペプチドを単離する、 ことを含む、前記製法。
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