JP2950268B2 - 空気中のホルムアルデヒド分析方法 - Google Patents

空気中のホルムアルデヒド分析方法

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JP2950268B2
JP2950268B2 JP63697A JP63697A JP2950268B2 JP 2950268 B2 JP2950268 B2 JP 2950268B2 JP 63697 A JP63697 A JP 63697A JP 63697 A JP63697 A JP 63697A JP 2950268 B2 JP2950268 B2 JP 2950268B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気中のホルムア
ルデヒドガスを捕集して、その濃度を簡単に分析できる
ようにした空気中のホルムアルデヒド分析方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、新築の建物等で新建材から発生す
る有害ガスが人体に影響することが大きな問題となって
おり、この有害ガスとしてはホルムアルデヒドガスが原
因の一つであると考えられている。このため、空気中の
ホルムアルデヒドガスを捕集してホルムアルデヒド濃度
を分析する要求が高まってきている。
【0003】ところで、一般に知られるホルムアルデヒ
ドの濃度分析の基本原理は、ホルムアルデヒド(HCH
O)とAHMT(4−アミノ−3−ヒドラジノ−5−メ
ルカブト−1,2,3−トリアゾール)とがアルカリ性
のもとで反応し、その生成物がKIO4 (過ヨウ素酸カ
リウム)で酸化されると赤色を呈し、この発色の濃さが
ホルムアルデヒド濃度に比例する。このため、波長55
0nm付近での光の透過率(吸光度)とホルムアルデヒド
濃度との関係について検量線を作成して未知試料の分析
が行われるようになっている。このときの標準的な操作
手順は次のようである。
【0004】ホルムアルデヒドの溶け込んだ試料溶液
の一定量をピペットで計量してガラス容器に入れる 一定量のアルカリ試薬をピペットで計量して添加する 一定量のAHMT試薬をピペットで計量して添加し、
混和して約20分間放置する 一定量のKIO4 試薬をピペットで計量して添加する 比色管に移し入れ、発色の濃さを比色計または分光光
度計で測定する ホルムアルデヒド量既知の標準溶液(濃度の異なる数
種類)について、それぞれ〜の操作を行って検量線
を作成する 検量線と比較して試料溶液中のホルムアルデヒド濃度
を求める。
【0005】そして、次の計算式 Cv=Cl×(A×22.4)/(B×M×Q) によって、空気中のホルムアルデヒド濃度に換算する。
【0006】ここに、Cv:空気中のHCHO濃度(p
pm) Cl:分取液中のHCHO含有量(μg) A:捕集液量(ミリリットル) B:分取液量(ミリリットル) M:HCHO分子量 Q:空気吸引量(リットル)である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来のホルムアルデヒドの分析方法にあっては、分析作
業が著しく複雑となるため、現地でホルムアルデヒドガ
スを捕集した後、分析設備の整った場所へ持ち帰って濃
度を分析する必要がある。このため、ガスを採取したそ
の場で分析結果が得られないので、判断や評価が遅れて
しまうと共に、捕集した試料の運搬や容器の移し替え、
そして分析時までの保管中に試料の状態が変化して、正
確なデータが得られなくなってしまうおそれがある。
【0008】また、濃度計算に化学的知識が必要であ
り、かつ、分析用の薬品を取り扱う上での細心の注意が
必要となるため、熟練した化学分析の経験者でないと分
析できなかった。このため、分析機関に依頼する等し
て、時間と経費が大幅に嵩んでしまうという課題があっ
た。
【0009】そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑み
て成されたもので、熟練度を要さず、簡単な操作で低コ
ストに、かつ、現場において短時間のうちに正確に測定
することができる空気中のホルムアルデヒド分析方法を
提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに本発明の空気中のホルムアルデヒド分析方法は、定
量の捕集液を注入した捕集容器に、検査しようとする空
気を定量通過させてホルムアルデヒドを前記捕集液で捕
集した後、前記捕集容器内にAHMT試薬を定量注入し
て所定時間放置し、他方、標準色溶液を吸光度計にセッ
トして指示値が所定値となるように調整し、次いで前記
捕集容器内にKIO試薬を定量添加して、前記捕集容
器を吸光度計にセットし、これの指示値からホルムアル
デヒド濃度を検出する。また好ましくは、前記捕集液
は、2N−KOHであることを特徴とする。 また、本発
明の空気中のホルムアルデヒド分析方法は、アルカリ試
薬および還元試薬を適度な混合比率で混合して作成した
捕集液に、AHMT試薬を定量注入した捕集容器に、検
査しようとする空気を定量通過させてホルムアルデヒド
を前記捕集液で捕集する一方で、標準色溶液を吸光度計
にセットして指示値が所定値となるように調整し、次い
で前記捕集容器を吸光度計にセットし、これの指示値か
らホルムアルデヒド濃度を検出する。
【0011】従って、かかる本発明の空気中のホルムア
ルデヒド分析方法の作用は、2N−KOH溶液を注入し
た捕集容器に、検査しようとする空気を通過させること
により、空気中のホルムアルデヒドガスを該2N−KO
H溶液によって効率良く捕集することができる。捕集容
器はガス分析における反応容器を兼ねると共に、吸光度
測定時の比色管を兼ねることができ、溶液の分取や移し
替えは不要となる。
【0012】分析に必要なAHMT試薬とKIO4 試薬
は、前記2N−KOH溶液に対して最適の反応条件が得
られる。既知量のホルムアルデヒドを試薬と反応させた
ときの発色濃度に相当する標準着色液を標準色容器と
し、吸光度測定の際に、この標準着色液の吸光度を基準
として吸光度計を調整することによって、既知量のホル
ムアルデヒド液を分析の都度、実際に反応させて検量線
を作成する必要がない。前記反応容器に通す一定空気量
を前提として、標準着色液で吸光度計を所定値に調整す
れば、未知試料の吸光度測定時の指示値をホルムアルデ
ヒド濃度として直読できる。このため、ホルムアルデヒ
ドの分子量やガスとしての体積換算係数等を使った計算
が不要となる。
【0013】従って、ホルムアルデヒドを分析するにあ
たって、特殊な装置を必要としないので、ガスを捕集し
たその場で短時間で結果を得ることができる。また、専
門知識や化学計算が不要となり、かつ、採取溶液の移し
替えや分取が不要で、取扱いに熟練を要する化学分析用
の特殊計量器を必要としない。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図
面を参照して詳細に説明する。図1から図4は本発明の
空気中のホルムアルデヒド分析方法の一実施形態を示
し、図1はホルムアルデヒド分析に用いられるガス捕集
装置の一例を示す構成図、図2はホルムアルデヒドガス
濃度と吸光度の関係を示す検量線の特性図、図3は異な
る測定日の検量線の比較特性図、図4は発色液が発色し
た後の時間経過に対する発色安定性を示す特性図であ
る。
【0015】即ち、本実施形態のホルムアルデヒド分析
方法では、例えば図1に示すガス捕集装置1を用いて現
場の空気をサンプリングするようになっており、該ガス
捕集装置1で捕集した空気から簡便にホルムアルデヒド
を分析できるようになっている。
【0016】前記ガス捕集装置1は、検査しようとする
部位とその面積を特定し、かつその範囲から自然放散す
る検査対象ガスを捕集するため所定厚の透明材により半
球状に形成した捕集カバー10を備え、この捕集カバー
10には、検査対象ガスを捕集するための捕集容器とし
ての捕集管20、エアポンプ30、調湿薬剤瓶40およ
びエアバッグ50を順に接続して空気が循環する閉じた
流路が構成され、エアポンプ30により捕集カバー10
内の空気を強制的に吸引して循環させつつ、検査対象ガ
スを前記捕集管20に捕集するようになっている。
【0017】捕集カバー10には、流通空気を取り込む
導入口14と、検査対象ガスが混入した内部空気を送り
出す排出口12とが対向して設けられている。捕集カバ
ー10の開口部の周縁には、軟質ゴム等で形成されるパ
ッキング16が取り付けられ、このパッキング16が調
査対象2の表面に押し当てられ、これにより検査部位3
を密閉状態で覆うようになっている。
【0018】捕集管20は、ガラス管により試験管状に
形成され、上端の開口部はゴム製のキャップ28で閉じ
られている。捕集管20には、捕集液22が所定量注入
されており、空気を取り入れる側の導入管24の先端が
捕集液22の液内まで延ばされ、空気を排出させる側の
吸引管26の先端は捕集液22の液面より上方に位置さ
れて、取り入れた空気をバブリングさせるようになって
いる。そして、導入管24が捕集カバー10の排出口1
2と接続されると共に、吸引管26がエアポンプ30の
吸気側と接続されている。
【0019】エアポンプ30は、乾電池等のバッテリー
で駆動されて携帯可能となっており、吸気側が捕集管2
0の吸引管26と接続され、排気側は調湿薬剤瓶40の
導入側と接続されている。
【0020】調湿薬剤瓶40は、筒状のガラス瓶で形成
され、上端の開口部はゴム製のキャップで閉じられてい
る。調湿薬剤瓶40には、塩類水溶液42が所定量注入
されており、空気を取り入れる側の導入管44の先端が
塩類水溶液42の液内まで延ばされ、空気を排出させる
側の排気管46の先端は塩類水溶液42の液面より上方
に位置されて、取り入れた空気をバブリングさせるよう
になっている。そして、導入管44がエアポンプ30の
排気側と接続されると共に、排気管46がエアバッグ5
0の吸気側と接続され、調査対象2の検査部位3に循環
して供給される空気の湿度を所定に保持するようになっ
ている。即ち、塩類水溶液42としては、例えば、Ba
Cl2 ・2H2 Oの飽和溶液を使用することができ、こ
の飽和溶液に空気を通じると24.5°Cで湿度88%
の空気となり、通過空気の湿度を所定に保つことができ
る。
【0021】エアバッグ50は、プラスチックフィルム
等で形成され、容積が可変な袋体となっている。エアバ
ッグ50には、流通空気を取り込む吸気口54と、内部
空気を送り出す排出口52とが対向して設けられ、吸気
口54が調湿薬剤瓶40の排気管46と接続されると共
に、排出口52が捕集カバー10の導入口14と接続さ
れ、内部に導入した空気圧と外側の雰囲気圧との差に応
じた膨らみ容積をとるようになっている。つまり、内圧
が上昇すれば膨らみ、内圧が減少すれば収縮して内外の
圧力差が自然に零となるように作用し、空気を圧力変動
なく循環させるようになっている。
【0022】従って、かかる構成になるガス捕集装置1
では、捕集カバー10の開口部を調査対象2の調査部位
3に押し当てる一方、エアポンプ30を駆動する。この
とき、捕集カバー10の開口部には軟質のパッキング1
6が設けられているため、これを調査対象2の表面に押
し当てることで当該押当て部分を密閉することができ
る。また、捕集カバー10は透明に形成してあるため、
設置状況の確認や調査対象2の表面の様子を容易に観察
することができる。
【0023】そして、エアポンプ30によって空気が吸
引されるので、捕集カバー10の内部の空気が捕集管2
0に取り入れられ、捕集管20の捕集液22をバブリン
グして通過してエアポンプ30に吸引される。吸引され
た空気はエアポンプ30の排気側から排出され、調湿薬
剤瓶40およびエアバッグ50を通過して再び捕集カバ
ー10の内部に戻されて循環する。このとき、調査対象
2から放散される検査対象ガスは密閉された捕集カバー
10の内部より、捕集管20の捕集液22をバブリング
して通過することにより、その捕集液22内に取り込ま
れる。そして、エアバッグ50から捕集カバー10の内
部に戻される空気は、捕集管20により検査対象ガスが
捕集されているため清浄化されており、更に調湿薬剤瓶
40によってその湿度も一定に保持されている。
【0024】こうして所定時間だけ空気を循環させつつ
ガス捕集を行い、捕集管20の捕集液22を回収して液
中に含まれる検査対象ガス量を化学的な方法で定量分析
する。このとき、検査部位3からのガス放散量は次式に
よって求めることができる。
【0025】ガス放散量=捕集したガス量/(捕集カバ
ーの開口部面積×捕集操作時間) ここで、本実施形態のホルムアルデヒド分析方法では、
ホルムアルデヒド濃度を測定するための分析キットを準
備し、この分析キットによって、例えば前記ガス捕集装
置1を用いてホルムアルデヒド濃度の分析を簡便に行う
ことができるようになっている。
【0026】前記分析キットは、 2N−KOH溶液(2規定の水酸化ナトリウム水溶
液)を捕集液22として用い、この捕集液22を2.0
ミリリットル注入した捕集容器としての前記捕集管20
を10〜20本と、 AHMT試薬を入れたバイアル瓶A(容量50〜10
0ミリリットル)を1本と、 KIO4 試薬を入れたバイアル瓶B(容量50〜10
0ミリリットル)を1本と、 プラスチック製注射器(容量1ミリリットル)を数本
と、 標準色溶液入り捕集管を1本と、 砂時計(20分用)を1個と、 携帯型吸光度計を1台とを備える。
【0027】次に、前記分析キットを用いてホルムアル
デヒド濃度を測定する操作手順を、以下述べる。
【0028】まず、捕集管20を前記ガス捕集装置1
に取付け、空気を吸引する。このとき、空気吸引量3リ
ットルを標準として所要時間は約10分間を目安とする AHMT試薬をバイアル瓶Aから注射器で0.5ミリ
リットルだけ取って前記捕集管20に添加し、この状態
で15分〜20分以上放置する。このとき、砂時計を使
用する 捕集管20にAHMT試薬を添加して放置する間に、
標準色溶液を吸光度計にセットし、指示値が所定値とな
るようにダイアルで調整する KIO4 試薬をバイアル瓶Bから注射器で0.5ミリ
リットルだけ取って前記捕集管20に添加する 捕集管20を吸光度計にセットして指示値を読取り、
読み取った数値が空気中のホルムアルデヒド濃度として
得られる。
【0029】従って、本実施形態の空気中のホルムアル
デヒド分析方法では、分析キットに用いたの捕集管2
0は、2N−KOH溶液を捕集液22として用いたこと
により、空気中のホルムアルデヒドを効率良く捕集で
き、捕集効率が高くなる。また、前記捕集液22は2.
0ミリリットルと少なくしたので、空気の吸引量が少な
くても濃縮度が高まり、低いガス濃度でも検出が容易に
なる。これは、後から添加するのAHMT試薬の反応
性を確保する上で適正な濃度であり、従来用いていたア
ルカリ試薬の後添加が不要となる。
【0030】前記捕集管20は、携帯用の前記ガス捕集
装置1に使用することができ、かつ、この分析における
反応容器を兼ねると共に、吸光度測定時の比色管を兼ね
ている。このため、溶液の分取や移し替えは一切不要と
なる。また、前記捕集管20にはゴムキャップ28が取
付けられるため、前記AHMT試薬やKIO4 試薬は、
の注射器を使ってキャップ28を取り外すことなく添
加することができる。
【0031】一方、分析に必要な前記AHMT試薬およ
びKIO4 試薬は、前記捕集液22に対して最適の反応
条件が得られ、かつ注射器での添加液量が少なくて良い
ように濃度が設定される。即ち、AHMT試薬の組成
を、AHMT:1%,HCl:1モル/リットルとし、
KIO4 試薬の組成を、KIO4 :1%,KOH:0.
25Nとしたものが用いられる。
【0032】前記両試薬の添加量は、それぞれ0.5ミ
リリットルが適正となるように設定される。これは、従
来使われているこれよりも薄い濃度では約4倍量の添加
が必要であり、全体の液量が増える分だけ発色が薄まっ
て検出感度が低下する。また、前記試薬の添加量を極端
に減ずると、注射器で計量する際の液量の読取り誤差が
大きくなる。本実施形態では、両試薬の1回の使用量が
0.5ミリリットルと少ないので、携行する試薬量が少
なくても数多くの分析が可能となる。
【0033】また、前記両試薬は,のバイアル瓶
A,バイアル瓶Bに入れてキット化してあり、これらバ
イアル瓶は注射用のゴムキャップ付き瓶であるため、キ
ャップを外すことなく注射器で試薬を計量して取り出す
ことができる。このため、試薬が溢れたり手に付着する
おそれがない。
【0034】次に、に示す標準色溶液は、予め実験室
において、既知量のホルムアルデヒドを試薬と反応させ
た時の発色濃度に相当する標準着色液を標準色溶液とし
て、前記捕集管20と同じ容器に封入してある。
【0035】このように捕集管20に標準色溶液を封入
しておくことにより、吸光度測定の際に、この標準着色
液の吸光度を基準として比色計(吸光度計)を調整する
ことにより、既知量のホルムアルデヒド液を分析の都度
実際に反応させて検量線を作成する必要がなくなる。ま
た、この場合、前記ホルムアルデヒドを反応させて発色
させた液の発色濃度は、日時の経過に対して次第に色が
薄くなって不安定なため、標準着色液は退色の少ない赤
色染料を使って調整してある。
【0036】ところで、前記ガス捕集装置1は、常時一
定の空気量を吸引できる構成であるため、その吸引空気
量を前提として標準着色液で吸光度計の指示値を所定値
に調整すれば、未知試料の吸光度測定時の指示値をホル
ムアルデヒド濃度として直読することができる。従っ
て、ホルムアルデヒドの分子量やガスとしての体積換算
係数等を使った計算が不要となる。また、の携帯型吸
光度計は、乾電池で稼働する小型軽量のものが用いら
れ、波長530nmの選択透過フィルターを備えてい
る。
【0037】従って、本実施形態ではキット化した捕集
管20,AHMT試薬,KIO4 試薬,注射器,標準色
溶液,砂時計および携帯型吸光度計を用いて、ガス捕集
装置1によって吸引した空気中のホルムアルデヒド濃度
を測定するようにしたので、小型で取扱い易く、特殊な
装置を必要としないので、ガスを捕集したその場で短時
間の内に結果を得ることができる。また、専門知識や化
学計算が不要となり、かつ、採取容液の移し替えや分取
が不要で、取扱いに熟練を要する化学分析用の特殊計量
器(ホールピペット等)を必要としない。
【0038】捕集液や試薬類は、キャップを取り外すこ
となく注射器で溶液を出し入れできるので、瓶を倒して
も内容物が漏出するおそれがなく、安全に作業できる。
また、ガスの採集場所で分析ができるため、試料の運搬
に気を使う必要がなく、コストの高い外部の分析機関に
依頼する必要もなくなる。そして、低コストですぐに結
果が得られるので、結果を見ながら順次多数の測定がで
きる。
【0039】従って、本実施形態のホルムアルデヒド分
析方法を用いることにより、ホルムアルデヒドの濃度測
定を専門知識を要せず、簡単な操作で手軽に、かつ低コ
ストで短時間の内にその場で行うことができるため、新
築建物内で検査する場合にもホルムアルデヒドがどの建
材からどの程度発生して、室内環境にどの程度存在する
か等の調査データを簡単に多数集めることができる。
【0040】また、本実施形態では簡便にホルムアルデ
ヒド濃度を測定できるにもかかわらず、次の表1に示す
ように従来の分析方法と比較しても同等の結果が得られ
る。即ち、同表は実際の住戸内で室内空気を対象にホル
ムアルデヒド濃度を測定したもので、比較する従来例で
は高度な分析法として知られる高速液体クロマトグラフ
による分析結果を用いてある。
【0041】
【表1】
【0042】同表では調査住戸および調査時間帯が異な
る4通りのデータ(No. 1〜4)を示す。また、本発明
の方法では、前記ガス捕集装置1を使用し、約10分間
で3リットルの空気を吸引し、本実施形態の分析キット
を用いて現場分析したデータを用いてある。一方、従来
の方法では市販のホルムアルデヒド捕集用DNPHカー
トリッジを使って、約30分間で25〜30リットルの
空気を吸引し、カートリッジを冷蔵保存容器で持ち帰
り、分析機関に依頼して溶媒で抽出した後にHPLC
(高速液体クロマトグラフ)で分析したデータを用いて
ある。
【0043】図2は本実施形態の分析キットを用いたホ
ルムアルデヒドガス濃度と吸光度の関係を示す検量線の
一例を示す。縦軸(y)に波長530nmでの吸光度で
ホルムアルデヒドの反応生成物の色の濃さをとり、横軸
(x)に、上述した濃度既知のホルムアルデヒド液を用
い吸引空気量を3リットルとした場合の理論上のホルム
アルデヒドガス濃度(体積ppm)をとって、それらの
相関をグラフ化してある。このグラフより、x=0.5
525y+0.00138という回帰式が得られること
から、ガス濃度と吸光度が直線の関係にあり、実用的な
範囲のガス濃度が充分に検出できる性能を有しているこ
とが理解される。
【0044】また、図3は試験日を変えて2回測定した
検量線の比較(黒丸が後日測定したもの)の一例を示し
たが、同図から測定値の再現性が良好であることが理解
される。グラフの縦軸および横軸の意味は、上記図2の
グラフの場合と同様である。
【0045】更に、図4は発色後の発色液の安定性を確
認したデータ例であり、同図から発色させた後に直ちに
吸光度(濃度)を測定する必要はないが、長時間を経過
した後の測定は好ましくない。このため、分析キットに
付属する標準色溶液は安定な染料を使用して調整するよ
うになっている。ここでグラフの縦軸には波長530n
mでの吸光度でホルムアルデヒドの反応生成物の色の濃
さをとり、横軸には経過日数をとっている。また、μg
/ミリリットルは、ホルムアルデヒド濃度である。
【0046】上記実施形態では、ガス捕集操作後にAH
MT試薬を捕集液に添加し、その後さらにKIO4 試薬
を添加する分析方法を説明したが、この分析方法をさら
に簡便化することができるホルムアルデヒドの分析方法
の実施形態について説明する。
【0047】この場合の分析キットは、 捕集液22を標準的には3.0ミリリットル注入した
捕集管20を10〜20本と、 標準色溶液入り捕集管を1本と、 プラスチック製注射器(容量1ミリリットル)を数本
と、 携帯型吸光度計を1台備える。
【0048】殊にこの実施形態では、ホルムアルデヒド
ガスを捕集しながら前記の発色反応を起こさせるように
し、捕集終了後に試薬を加える操作や、反応過程の時間
待ちをなくすことができるようになっている。このため
に本実施形態では、捕集液22はアルカリ試薬と、例え
ばチオ硫酸ナトリウムなどの還元試薬を適度な混合比率
で混合して作成される。
【0049】従来の方法では、アルカリ試薬、AHMT
試薬、KIO4 試薬の3種類を別々に使用している。こ
の場合、これら試薬を予め混合してしまうと、ホルムア
ルデヒドとの正常な反応が起こらないため、別々に所定
の順番で反応に要する時間間隔を守って添加する必要が
あった。
【0050】これに対し、本実施形態の上記捕集液22
を用いると、ガス捕集操作の前にAHMT試薬を当該捕
集液22に添加することが可能となる一方で、KIO4
試薬が不要となる。
【0051】そして、AHMT試薬を先に添加すること
ができるので、ガスを捕集しながら発色反応を生じさせ
ることができ、その様子を目視で確認しながらガス捕集
操作を行うことができるという利点がある。またガス捕
集と同時に発色反応が進行していくので、従来のように
ガス捕集後にAHMT試薬を加えてからの反応待ちのた
めの放置時間を省略することもできる。さらに、KIO
4 試薬は、AHMT試薬とホルムアルデヒドの反応中間
生成物を酸化させて赤色の着色物質を生成させるために
必要とされるが、AHMT試薬を先に添加することが可
能なので、ガス捕集の過程で捕集液22中に導入される
空気中の酸素を酸化剤として機能させることができ、こ
れをKIO4 試薬に代替させることができて、この結果
KIO4試薬も不要になるという利点もある。
【0052】次に、前記分析キットを用いてホルムアル
デヒド濃度を測定する操作手順を、以下述べる。
【0053】この場合にはきわめて簡略であって、 上記捕集液22が入っている捕集管20にAHMT溶
液を注射器で0.5ミリリットル加え、空気を吸引す
る。このとき、空気吸引量3リットルを標準として所要
時間は約10分間を目安とする 捕集管20を吸光度計にセットして指示値を読取り、
読み取った数値が空気中のホルムアルデヒド濃度として
得られる。
【0054】すなわち本実施形態は、アルカリ試薬と、
例えばチオ硫酸ナトリウムなどの還元試薬とを適度な混
合比率で混合して作成した定量の捕集液22を注入した
捕集容器としての捕集管20に、検査しようとする空気
を定量通過させる一方で、標準色溶液を吸光度計にセッ
トして指示値が所定値となるように調整し、次いで前記
捕集管20を吸光度計にセットし、これの指示値からホ
ルムアルデヒド濃度を検出することにより空気中のホル
ムアルデヒドを分析する方法である。
【0055】このような実施形態にあっても、上記実施
形態と同様な作用・効果を得ることができることはもち
ろんである。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように本発明の空気中のホ
ルムアルデヒド分析方法にあっては、2N−KOH溶液
を捕集液として注入した捕集容器に、検査しようとする
空気を通過させることにより、空気中のホルムアルデヒ
ドガスを該捕集液によって効率良く捕集することができ
る。捕集容器はガス分析における反応容器を兼ねると共
に、吸光度測定時の比色管を兼ねることができ、溶液の
分取や移し替えを不要とすることができる。また、AH
MT試薬とKIO4 試薬とを用いて分析したので、これ
ら両試薬は前記2N−KOH溶液に対して最適の反応条
件を得ることができ、分析精度を高めることができる。
更に、既知量のホルムアルデヒドを試薬と反応させたと
きの発色濃度に相当する標準着色液を標準色容器とし、
吸光度測定の際に、この標準着色液の吸光度を基準とし
て吸光度計を調整することによって、既知量のホルムア
ルデヒド液を分析の都度、実際に反応させて検量線を作
成するという複雑な作業が必要がなくなる。更にまた、
前記反応容器に通す一定空気量を前提として、標準着色
液で吸光度計を所定値に調整すれば、未知試料の吸光度
測定時の指示値をホルムアルデヒド濃度として直読でき
る。このため、ホルムアルデヒドの分子量やガスとして
の体積換算係数等を使った計算が不要となり、かつ専門
知識や化学計算が不要となり、かつ、採取溶液の移し替
えや分取が不要で、取扱いに熟練を要することがなくな
る。従って、ガスを捕集したその場で短時間に、かつ正
確な結果を得ることができるという優れた効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるホルムアルデヒド分析に用いら
れるガス捕集装置の一例を示す構成図である。
【図2】本発明にかかるホルムアルデヒド分析による、
ガス濃度と吸光度の関係を示す検量線の特性図である。
【図3】本発明にかかるホルムアルデヒド分析による、
異なる測定日における検量線の比較特性図である。
【図4】本発明にかかるホルムアルデヒド分析におい
て、発色液が発色した後の時間経過に対する発色安定性
を示す特性図である。
【符号の説明】
1 ガス捕集装置 10 捕集カバー 20 捕集管 22 捕集液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−221235(JP,A) 実開 平7−8752(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 31/00 - 31/22 G01N 1/22

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 定量の捕集液を注入した捕集容器に、検
    査しようとする空気を定量通過させてホルムアルデヒド
    を前記捕集液で捕集した後、前記捕集容器内にAHMT
    試薬を定量注入して所定時間放置し、他方、標準色溶液
    を吸光度計にセットして指示値が所定値となるように調
    整し、次いで前記捕集容器内にKIO試薬を定量添加
    して、前記捕集容器を吸光度計にセットし、これの指示
    値からホルムアルデヒド濃度を検出することを特徴とす
    る空気中のホルムアルデヒド分析方法。
  2. 【請求項2】 前記捕集液は、2N−KOHであること
    を特徴とする請求項1に記載の空気中のホルムアルデヒ
    ド分析方法。
  3. 【請求項3】 アルカリ試薬および還元試薬を適度な混
    合比率で混合して作成した捕集液に、AHMT試薬を定
    量注入した捕集容器に、検査しようとする空気を定量通
    過させてホルムアルデヒドを前記捕集液で捕集する一方
    で、標準色溶液を吸光度計にセットして指示値が所定値
    となるように調整し、次いで前記捕集容器を吸光度計に
    セットし、これの指示値からホルムアルデヒド濃度を検
    出することを特徴とする空気中のホルムアルデヒド分析
    方法。
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