JP2949232B1 - ビスマス・カルシウム化合物とその製造法 - Google Patents

ビスマス・カルシウム化合物とその製造法

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Abstract

【要約】 【課題】 ビスマス・鉛化合物と同様に無機陰イオン交
換体としての利用が期待される新規なビスマス・カルシ
ウム化合物の提供。 構成】 BiCaO2 (NO3 )の式で表わされるビス
マス・カルシウム化合物。この化合物は、ビスマス元素
とカルシウム元素と酸素元素と硝酸基(NO3)との比
がモル比で1:1:2:1になるように調整した混合物
を原料として、これを室温〜100℃で所定時間反応さ
せた後、200〜450℃に加熱して合成することによ
り製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビスマス・鉛化合
物と同様に無機陰イオン交換体としての利用が期待され
る新規なビスマス・カルシウム化合物とその製造法に関
する。さらに詳しくは、水溶液や有機溶剤、あるいは産
業廃液からのハロゲンイオンの除去、原子力発電におけ
る使用済み核燃料処理液や廃液からのヨウ化物イオンの
除去や固定化への利用などが期待される新規なビスマス
・カルシウム化合物とその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】本発明の新規な化合物に類似
の化合物としては、BiPbO2 (NO3 )の式で表わ
されるビスマス・鉛化合物が知られている(特開平9−
52715号公報)。ビスマス・鉛化合物は、無機イオ
ン交換体として、ハロゲンイオンに対する交換能が大変
優れていることが知られているが、鉛の毒性のため使い
方によっては使用後の取扱が問題となる。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明は、BiCaO2
(NO3 )の式で表わされる新規なビスマス・カルシウ
ム化合物を提供するものであり、無機イオン交換体とし
て適した層状構造を有する(M1,M2)一O−(NO
3 )型(M1,M2は、金属元素)化合物として二番目
に合成された化合物で、鉛に代わって無害のカルシウム
元素を用いたものである。また、本発明は、ビスマス元
素とカルシウム元素と酸素元素と硝酸基(NO3)との
比がモル比で1:1:2:1になるように調整した混合
物を原料として、これを室温〜100℃で所定時間反応
させた後、200〜450℃に加熱して合成することに
より新規なビスマス・カルシウム化合物を製造する方法
を提供する。
【0004】本発明の新規化合物の製法は、ビスマス・
鉛化合物に用いた方法は適当ではなく、本発明では独自
の方法を開発した。ビスマス・鉛化合物の製造には白金
チューブや高圧容器等の特別な装置を必要とした。本発
明では、そのような特別な装置を必要とせず、試料を予
め室温〜100℃で反応させた後、この試料を200〜
450℃に加熱して合成することにより、特別な装置を
使用せずに目的の化合物を製造することが出来る。本発
明によるビスマス・カルシウム化合物は、その組成、構
造がビスマス・鉛化合物と類似しているので、無機イオ
ン交換体としての特性が期待でき、しかも毒性は無く、
使用後の取扱に特別な注意を要しないことが期待され
る。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の目的の化合物の生成反応
は次のような簡単な式に従って進むことが予想される。
【0006】
【化1】 Bi2 3 +Bi(NO3 3 ・5H2 O+3Ca(OH)2 →3BiCaO2 (NO3 )+8H2 O (1)
【0007】最初に、この反応が室温で進行するかどう
かを調べた。出発原料として市販の酸化ビスマスBi2
3 、硝酸ビスマス五水和物Bi(NO3 3 ・5H2
O、水酸化カルシウムCa(OH)2 を用いた。これら
の化合物は室温で混合すると同時に反応が始まる。図1
は、原料の粉末XRD(X線回折)パターンを示す図で
ある。aが反応前の原料混合体、bが原料を混合してか
ら4時間後、cが2日後、dが14日後の試料の場合で
ある。パターンdは、これ以上時間が経過してもほとん
ど変化しない。パターンdは、図5に示すb(BiCa
2 (NO3 )のXRDパターン)と比べるとかなり異
なっており、目的の化合物はまだ出来ていないことを示
している。
【0008】次に、出発物質を高温に加熱して反応させ
てみた。出発物質をアルゴン気流中にて約350℃で6
0分間加熱した後、これを急冷し反応生成物のXRDパ
ターンを測定した。結果を図2のa、b、c、dに示
す。ここで、加熱前の試料は、出発物質を予め室温で4
時間、2日間、5日後、15日間反応させた物を用いて
おり、aが原料を混合してから4時間後の試料を加熱し
た場合、bが原料を混合してから2日後の試料を加熱し
た場合、cが原料を混合してから5日後の試料を加熱し
た場合、dが原料を混合してから15日後の試料を加熱
した場合である。図2のc、dのパターンは、図5のb
のパターンとほぼ同じであり、生成物がほぼBiCaO
2 (NO3 )であることを示している。
【0009】以上の実験から、目的の化合物を製造する
ためには出発原料を室温で混合して所定時間反応させた
後、所定時間高温で加熱するとよいことがわかった。な
お、100℃以下で加熱しても室温での反応と相違はな
いので、本発明の製造法では室温の代わりに100℃以
下で加熱しても良い。そこで、適正な室温での反応時間
および加熱温度について調べた。出発原料を混合して4
時間後(試料1)、2日後(試料2)、19日後(試料
3)の試料をAr気流中にて、室温から800℃まで加
熱し、TG−MS(熱重量一質量)分析法を用いて観察
した。図3のa、b、cは、試料1、2、3について得
られたTG曲線である。aが原料を混合してから4時間
後の試料を加熱した場合、bが原料を混合してから2日
後の試料を加熱した場合、cが原料を混合してから19
日後の試料を加熱した場合である。これらの曲線を解析
すると合成に最適な加熱温度を見つけることが出来る。
図3は、試料が加熱によって分解することを示している
が、その分解を約400℃以下での分解とそれ以上での
分解とに分けることが出来る。分解の際放出される分子
種は、MSのデータから解析した。
【0010】例えば、図4に曲線eについて観察したM
Sのデータを示してある。なお参考のためにTG曲線も
並記して描いてある。図は原料を混合してから19日後
の試料(図3のc)について測定した場合である。それ
によると、400℃以下の分解で放出される分子種はH
2 Oのみである。400℃以上では、400℃付近で残
りのH2 Oが放出されるが、450℃を超えるとH2
の放出はほとんど終わり、代わってNO3 が放出され始
める。そして約700℃付近でNO3 の放出も終わり、
分解が終了する。反応式(1)から予想されるように、
BiCaO2 (NO3 )の成分にH2 Oは不要であり、
2 Oを放出するがNO3 を放出しない温度、250〜
400℃が合成に適した温度と結論づけられる。但し、
この結果は動的な条件下(温度上昇)での実験なので、
静的条件下(一定温度)での実験では、温度範囲は上下
にさらに約50℃広がる。
【0011】さらに、この一連の実験で、たとえ加熱温
度が適正でも、原料の室温での反応時間が充分でないと
目的の化合物が合成されないことを示している。室温で
混合物を混合し反応させる時間がどのくらいが適正であ
るかは、試薬の粒度、攪拌時間等によって異なるが、通
常は少なくても1週間程度かそれ以上保持することが好
ましい。
【0012】図5のaとbに化合物BiPbO2 (NO
3 )と化合物BiCaO2 (NO3)の粉末XRD(X
線回折)パターンを示す。二つの化合物の回折ピークは
少しずつシフトしているものの、同型のパターンであ
り、二つの化合物の構造が基本的に同一であることを示
唆している。BiCaO2 (NO3 )の構造解析は、粉
末XRDパターンを用いて行った。その結果、この化合
物は正方晶系の構造を有し、格予定数はa=3.95
4、c=14.131Aであると解析され、すべての観
測されたピークについて面指数(hkl)、面間隔の
(d)の計算値(dl)と実測値(d2)、および反射
強度(I)の実測値を求めた。結果を表1に示す。
【0013】
【表1】
【0014】すべてのピークについて指数づけができ、
またそれぞれの計算値と実測値が非常に良い一致を示す
ことから、この構造解析の結果が正しいことを示してい
る。BiCaO2 (NO3 )の熱的安定性をTGで調べ
た。酸素気流中で室温から700℃で加熱したところ、
450℃付近から分解が始まり、700℃付近で終了し
た。16.7%の重量減少があり、BiCaO2 (NO
3 )のNO3 が酸素と置換した場合の計算値15.7%
とよい一致を示す。以上の構造解析と重量分析の結果か
ら、合成した化合物はBiCaO2 (NO3 )の組成を
持つ単一な相であると結論づけられる。
【0015】
【実施例】市販の試薬、Ca(OH)2 、約1.485
グラムとBi(NO3 3 ・5H2 O、約3.241グ
ラムとBi2 3 、約3.107グラムを室温にて乳鉢
中で充分に混合した(ビスマス元素とカルシウム元素と
酸素元素と硝酸基(NO3)との比がモル比で1:l:
2:1)。これを空気中、室温で約2週間静置した。こ
れをるつぼに入れ、空気中にて300℃、400℃、4
50℃で1時間加熱した後、急冷した。いずれの場合に
も純粋なBiCaO2 (NO3 )を得た。なお、出発原
料としては、Ca(OH)2 の代わりに、CaOも使用
できる。また、加熱雰囲気は空気中としたが、Arなど
の不活性雰囲気中でも構わない。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
加熱前の原料の反応をコントロールすることにより、取
扱の簡単な装置と方法により、BiPbO2 (NO3
と同類の、無機イオン交換体として期待できる新規な化
合物BiCaO2 (NO3 )を合成出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】粉末X線回折パターンを示す図である。
【図2】粉末X線回折パターンを示す図である。
【図3】TG(熱重量分析)曲線を示す図である。
【図4】MS(質量分析)曲線を示す図である。
【図5】粉末X線回折パターンを示す図である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 BiCaO2 (NO3 )の式で表わされ
    るビスマス・カルシウム化合物。
  2. 【請求項2】 ビスマス元素とカルシウム元素と酸素元
    素と硝酸基(NO3)との比がモル比で1:1:2:1
    になるように調整した混合物を原料として、これを室温
    〜100℃で所定時間反応させた後、200〜450℃
    に加熱して合成することを特徴とする請求項1に記載の
    ビスマス・カルシウム化合物の製造法。
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