JP2947806B2 - 全自動洗たく機の運転方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、全自動洗濯機の運転方法に係り、特に脱水
行程で洗濯兼脱水槽のアンバランスを検出した場合の運
転方法に関する。

〔従来の技術〕

本発明の説明に先立ち、従来形全自動洗濯機に採用さ
れている洗濯サイクルのフローを第２図に基づいて説明
する。

従来は、洗濯サイクル途中の脱水行程が正常に実行さ
れた場合、その後に続くすすぎ行程を溜めすすぎとして
いる。

また、洗濯サイクル途中の脱水行程に際し、洗濯兼脱
水槽内に収容されている衣類の偏りで蓋スイツチが動作
した場合にも、その時点で脱水行程をスキツプして次行
程の溜めすすぎに移行し、全自動サイクルを継続するよ
うにしている。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、上述した従来技術によれば、正常脱水
が実行された場合、すなわち脱水行程によつて衣類中の
洗濯液を充分に脱水し、その後に溜めすすぎを実行する
場合はともかく、洗濯サイクル途中の脱水行程に際し、
洗濯兼脱水槽内に収容されている衣類の偏りで蓋スイツ
チが動作して、その時点で脱水行程をスキツプして次行
程の溜めすすぎに移行した場合には、脱水行程時の脱水
不完全（洗濯液を衣類から充分に除去することができな
い）により、その後に行われる溜めすすぎのすすぎ性能
が劣ることは否めなかつた。

すなわち、すすぎ性能の良否は、第１に、洗濯後の洗
濯水を脱水によつてどれだけ衣類から除去できるか、ま
た第２に、すすぎ時にどれだけ衣類中の洗濯液を希釈で
きるかで決まるものであるから、上述した従来技術のよ
うに、脱水不完全な衣類をさらに溜めすすぎしたので
は、そのすすぎ性能が劣ることは否めなかつた。

このように、従来においては、洗濯サイクル途中の脱
水行程に際し、洗濯兼脱水槽内に収容されている衣類の
偏りで蓋スイツチが動作した場合、当該脱水行程をスキ
ツプしてその後に続くすすぎ行程時のすすぎ性能につい
て十分に認識されていないのが実状である。

本発明の目的は、洗濯サイクル途中の脱水行程が正常
に実行されている場合は勿論、前記洗濯サイクル途中の
脱水行程に際し、洗濯兼脱水槽内に収容されている衣類
の偏りで蓋スイツチが動作した場合においても、充分な
すすが性能を得ることのできる全自動洗濯機の運転方法
を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

前記目的は、外枠と、この外枠内に吊架される外槽
と、この外槽内に回転自在に内置される洗濯兼脱水槽
と、前記洗濯兼脱水槽内にある水を排水するための排水
弁を有し、洗濯、脱水、すすぎの各行程を行う全自動洗
濯機であって、前記脱水行程で前記洗濯兼脱水槽内にあ
る衣類の片寄りによって生じる前記洗濯兼脱水槽のアン
バランスを検出するスイッチが動作した場合に、前記脱
水行程をスキップして前記すすぎ行程に移行する前記全
自動洗濯機の運転方法において、前記脱水行程が前記ス
イッチが動作しないで終了した場合には前記すすぎ行程
を前記排水弁を閉じた状態で行う溜めすすぎとし、前記
脱水行程で前記スイッチが動作した場合には、前記すす
ぎ行程を前記排水弁を開いた状態で行う注水すすぎとす
ることで達成される。

〔作用〕

脱水行程で衣類の片寄りによって生じる洗濯兼脱水槽
のアンバランスによって蓋スイッチが動作した場合には
洗濯液が衣類から十分に除去されないままであるので、
すすぎ行程において排水しながらすすぎを行う注水すす
ぎとすることで衣類中の洗濯液の希釈化を図れ、すすぎ
性能の向上が図れる。

〔実施例〕

以下、本発明を、第３図を参照しつつ、第１図に基づ
いて説明すると、第３図は全自動洗濯機の全体構造を示
す縦断面図、第１図は本発明で採用する洗濯サイクルの
フローチヤートである。

第３図において、外枠１は、鋼板をプレス加工するこ
とによつて形成され、吊り棒受け1a,足1bを有してい
る。

トツプカバー２は、外枠１の上面を包囲し、蓋３およ
びマイコンを含むコントロール装置４、水位検出器５お
よび蓋スイツチ６を有する。

外槽７は、洗濯水を溜める槽である。エアー溜り部7a
は、エアーホース８を介して水位検出器５に接続され、
給水弁９、給水孔10を介して槽内に給水された洗濯水の
量を空気圧の変化として把え、水位の情報とするもの
で、その電気信号をコントロール装置４に送る。

つり棒受け1aは、つり棒保持具13を支持し、つり棒保
持具13は、下端にばね12を装着したつり棒11を保持して
いる。

洗濯槽兼脱水槽14（以下、洗濯槽という）は、外周に
小孔14aと波状の壁とを有し、撹拌翼15の正逆回転運動
によつて洗濯物を洗い、洗濯槽14自体の回転による遠心
力作用で洗濯物の脱水を行う。

下ベース16は、主モータ17、減速ギヤ、ブレーキ、ク
ラツチ部等を有する駆動部18を保持し、外槽７の下部に
係止されている。

主モータ17の駆動力は、ベルト19によつて駆動部18に
伝達される。また、20は排水孔で、排水弁21、排水ホー
ス22を介して排水を行う。

洗濯・脱水切替用の駆動マグネツト18a,排水弁21の開
閉操作用小形モータ21a、給水弁９の開閉操作用マグネ
ツト9aおよび主モータ17は、それぞれコントロール装置
４の電気信号により個々に動作される。

以上の構成において、衣類および規定量の洗剤を洗濯
槽14内に投入し、コントロール装置４のスタートスイツ
チをオンすると、全自動洗濯サイクルが開始される。

そして、規定時間洗濯後、排水弁21の開閉操作用小形
モータ21aが排水弁21を開放するように動作し、洗濯水
が排水され、さらに洗濯液除去のため、脱水運転が開始
される。

脱水回転数は約800〜1000r/mで、遠心力によつて洗濯
槽14の小孔14aから衣類中の洗濯液が除去される。

尚、その際、洗濯槽14内に収容されている衣類の偏り
具合により、当該洗濯槽14が大きく振れ廻る現象を発生
することがある。

そして、このような振廻り現象は、異常な振動発生の
原因となり、使用者に対して大きな不安を抱かせること
になるので、従来から、洗濯槽14の振廻りを検出する蓋
スイツチ６の動作信号により、脱水回転を停止させると
同時に、その時点で脱水行程をスキツプしてすすぎ行程
に移行し、全自動サイクルを継続するようにしている。

しかるに従来にあつては、洗濯サイクル途中の脱水行
程が正常に実行された場合は勿論、既述のごとく、洗濯
サイクル途中の脱水行程に際し、洗濯槽14内に収容され
ている衣類の偏りで蓋スイツチ６が動作した場合にも、
その時点で脱水行程をスキツプして溜めすすぎに移行す
るものであつて、洗濯サイクル途中の脱水行程に際し、
洗濯槽14内に収容されている衣類の偏りで蓋スイツチ６
が動作して、その時点で脱水行程をスキツプして次行程
の溜めすすぎに移行した場合には、脱水行程時の脱水不
完全（洗濯液を衣類から充分に除去することができな
い）により、その後に行われる溜めすすぎのすすぎ性能
が劣っていた。

これに対し、本発明においては、第１図に示すよう
に、洗濯サイクル途中の脱水行程に際し、洗濯槽14内に
収容されている衣類の偏りで蓋スイツチ６が動作した後
のすすぎ行程を、排水しながらすすぎ水を給水する注水
すすぎとしたことにより、すすぎ水の入替えを促進し
て、そのすすぎ性能を従来よりも向上させることができ
るものであつて、なお前記脱水行程が正常に実行されて
いる場合は、その後のすすぎ行程を溜めすすぎ行程とす
ることにより、必要最小限の水ですすぎ処理を済ませる
ことができる。

〔発明の効果〕

本発明は外枠と、この外枠内に吊架される外槽と、こ
の外槽内に回転自在に内置される洗濯兼脱水槽と、前記
洗濯兼脱水槽内にある水を排水するための排水弁を有
し、洗濯、脱水、すすぎの各行程を行う全自動洗濯機で
あって、前記脱水行程で前記洗濯兼脱水槽内にある衣類
の片寄りによって生じる前記洗濯兼脱水槽のアンバラン
スを検出するスイッチが動作した場合に、前記脱水行程
をスキップして前記すすぎ行程に移行する前記全自動洗
濯機の運転方法において、前記脱水行程が前記スイッチ
が動作しないで終了した場合には前記すすぎ行程を前記
排水弁を閉じた状態で行う溜めすすぎとし、前記脱水行
程で前記スイッチが動作した場合には、前記すすぎ行程
を前記排水弁を開いた状態で行う注水すすぎとすること
を特徴とする。

この構成によれば、脱水行程で衣類の片寄りによって
生じる洗濯兼脱水槽のアンバランスによって蓋スイッチ
が動作した場合には洗濯液が衣類から十分に除去されな
いままであるので、すすぎ行程において排水しながらす
すぎを行う注水すすぎとすることで衣類中の洗濯液の希
釈化を図れ、すすぎ性能の向上が図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明方法で採用する洗濯サイクルのフローチ
ヤート、第２図は従来形全自動洗濯機に採用されている
洗濯サイクルのフローチヤート、第３図は全自動洗濯機
の全体的内部構造を示す縦断面図である。 １……外枠、３……蓋、４……コントロール装置、６…
…蓋スイツチ、７……外槽、14……洗濯兼脱水槽、15…
…撹拌翼、17……主モータ、18……駆動部。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中野 重治 茨城県日立市東多賀町１丁目１番１号 株式会社日立製作所多賀工場内 (56)参考文献 特開 平１−198599（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) D06F 33/02

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】外枠と、この外枠内に吊架される外槽と、
   この外槽内に回転自在に内置される洗濯兼脱水槽と、前
   記洗濯兼脱水槽内にある水を排水するための排水弁を有
   し、洗濯、脱水、すすぎの各行程を行う全自動洗濯機で
   あって、前記脱水行程で前記洗濯兼脱水槽内にある衣類
   の片寄りによって生じる前記洗濯兼脱水槽のアンバラン
   スを検出するスイッチが動作した場合に、前記脱水行程
   をスキップして前記すすぎ行程に移行する前記全自動洗
   濯機の運転方法において、 前記脱水行程が前記スイッチが動作しないで終了した場
   合には前記すすぎ行程を前記排水弁を閉じた状態で行う
   溜めすすぎとし、前記脱水行程で前記スイッチが動作し
   た場合には、前記すすぎ行程を前記排水弁を開いた状態
   で行う注水すすぎとすることを特徴とする全自動洗濯機
   の運転方法。