JP2947752B2 - プロセニアムを備えた収納式舞台 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はプロセニアムを備え
た収納式舞台に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のプロセニアムを備えた収納式舞台
は、プロセニアムと一体に舞台が連結してあるためプロ
セニアムの前進に連動して舞台が水平状態に伸展し、ま
たプロセニアムの後退に連動して舞台が折り畳み収納さ
れるのであった。しかしながら、プロセニアムの前進に
よる舞台の伸展状態の場合、プロセニアムに備えた見切
り幕等の各種の幕が舞台側端まで配置されているため出
演者の安全のため舞台の側端に落下防止用のフエンスを
設ける必要があり、面倒であると共に、フエンスが邪魔
となって出演者の速い退場動作ができず、控えの者との
入れ替わりが迅速にできない問題点があった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、舞台
の側端にさらに控え用のステージをプロセニアムに連動
させて備えることで出演者の落下防止からの安全を図る
と共に、出演者の速い退場動作及び控えの者との入れ替
わりを迅速にできるようにしたものである。また、プロ
セニアムを用いる必要がない場合は舞台だけの伸展を可
能にして簡易舞台にできるようにしたものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】このため本発明は、舞台
部を並列的に複数の分割舞台に分けて夫々の分割舞台を
折立可能とした収納式舞台と、該舞台を挟んで舞台と同
一方向に移動可能なプロセニアムとを備えたものにおい
て、プロセニアムが後退位置の収納状態の際、舞台がプ
ロセニアムを通過して前進できてプロセニアムの前に伸
展できるように舞台とプロセニアムとの移動機構を別々
に設け、プロセニアムに連動して移動する折立可能な控
えステージを舞台部の一側又は両側に同一高さで近接さ
せて備えた構成のプロセニアムを備えた収納式舞台であ
る。なお、控えステージを複数の分割控台に分けて夫々
の分割控台を折立可能に連結するとともに、夫々の分割
控台を後退させる牽引装置を備え、分割控台の先部をプ
ロセニアムに連結すると共に、後端の分割控台の後部を
収納固定側部材に連結してもよい。この場合、牽引装置
をワイヤーのウインチ装置としてワイヤーの引っ張りに
よって夫々の分割控台を同時に後退収納させるようにし
てもよい。

【０００５】

【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細を図示した形
態例で説明する。図１及び図２で示す形態例において、
１は従来構成の舞台であり、概略的な図３のように、舞
台部を並列的に複数の分割舞台１０，１１に分け、後の
分割舞台１１の後端部を後端の設置脚材１４に回動可能
に連結すると共に、前の分割舞台１０の前端部を前端の
キャスター付き移動脚材１２に回動可能に連結し、後の
分割舞台１１の前端部及び前の分割舞台１０の後端部を
夫々中央の昇降脚材１３に回動可能に連結して夫々の分
割舞台１０，１１を折立可能としている。そして、設置
脚材１４に備えたウインチ装置１５の巻き取りによっ
て、図１の伸展状態で昇降脚材１３に突設したコロ１３
０を押し上げた後、前端の移動脚材１２を後退牽引する
ことで分割舞台１０，１１を折立てている。

【０００６】２はプロセニアムであり、正面から見て両
側の袖板２１の上部に正面板２２を連接した形状であ
り、両側の袖板２１の間に舞台１が配置しているのであ
る。該プロセニアムは夫々袖板２１の下端にコロ２０を
設けてあり、上部には従来のように、壁や固定部材との
間でパンタグラフ式の屈伸部材２３０からなる押し出し
機構２３が両側に備えてある。該押し出し機構２３は、
シリンダ２３１によって屈伸するものであり、図２の伸
展状態からはワイヤー２３２の巻き取りにより屈伸部材
２３０の初期屈動を付勢している。なお、プロセニアム
２には、引割幕２６１、一文字幕２６２、見切幕２６
３、バック幕２６４等の幕が屈伸部材にほぼ舞台１の幅
内で吊り下げられている。

【０００７】３は控えステージであり、舞台１の両側に
同一高さとなるよう近接して折り立て可能に備えてあ
る。該控えステージ３は、舞台１と同一な構成であり、
図４及び図５のように、ステージ部を並列的に複数の分
割控台３１，３２に分け、後の分割控台３２の裏側に取
り付けた桁材３２０の後端部を後端の設置脚材３３の上
部に回動可能に連結すると共に、前の分割控台３１の裏
側に取り付けた桁材３１０の前端部を前端のキャスター
付き移動脚材３４に回動可能に連結し、後の分割控台３
２の桁材３２０の前端部及び前の分割控台３１の桁材３
１０の後端部を夫々中央の昇降脚材３５に回動可能に連
結して夫々の分割控台３１，３２を折立可能としてい
る。また、プロセニアム２の両袖板２１の裏面に突設し
たブラケット２１０に、前端の一対の移動脚材３４間に
設けたピン３４０を連結することでプロセニアム２と控
えステージ３とを一体としている。

【０００８】そして、設置脚材３３に備えたウインチ装
置４のワイヤー４１を中央の昇降脚材３５の下部に突設
したコロ３５０の下を通過させて移動脚材３４にその先
端を取り付けている。したがって、図２の伸展状態から
ウインチ装置４でワイヤー４１を巻き取ることによっ
て、ワイヤー４１の張力によりコロ３５０が押し上げら
れるため昇降脚材１３が図５のように少し上昇し、つい
で移動脚材３４が引き寄せられることから控えステージ
３が折り立てられるのである。

【０００９】また、分割控台３１，３２の桁材３１０，
３２０の昇降脚材３５との夫々連結軸３６にはスプロケ
ットホイール３７が同軸で固着されており、図６のよう
に、夫々の桁材３１０，３２０の側端にバネ箱５が対向
して揺動可能に備えてある。該バネ箱５には、コイルバ
ネ５１が収容されており、両方のスプロケットホイール
３７の上部に巻き掛けたチエン５３の夫々端部をバネ箱
５内のコイルバネ５１に挿通してコイルバネ５１の端部
に係止している。

【００１０】このように構成した形態例は、まず、プロ
セニアム２が後退し、舞台１及び控えステージ３が夫々
折り立てられた収納状態から、舞台１だけを使用したい
場合は、プロセニアム２はそのままで、従来のように舞
台１の設置脚材１４に備えたウインチ装置１５のストッ
パを解除してワイヤー１６を緩めることにより、舞台１
が自重で倒伏して移動脚材１２が前進し、プロセニアム
２の袖板２１の間に分割舞台１０,１１が図１のように
伸展するのである。この状態では昇降脚材１３に突設し
たコロ１３０がワイヤー１６を押し下げている。そし
て、プロセニアム２の引割幕２６１及び一文字幕２６２
を閉じれば視角の広い演台、コーラス台等の簡易舞台と
して使用できるのである。

【００１１】次に、舞台１を収納する場合は、ウインチ
装置１５でワイヤー１６を後に引っ張ることにより張設
されて昇降脚材１３のコロ１３０が上動し、ワイヤー１
６の牽引により、移動脚材１２が後退して図３のように
収納されるのである。これらの舞台１の構成と作動は従
来と同一である。

【００１２】また、プロセニアム２を備えたステージと
する場合は、押し出し機構２３のシリンダ２３１を作動
してそのロッドを伸張させることで屈伸部材を展伸させ
ると共に、控えステージ３の設置脚材３３に備えたウイ
ンチ装置４のワイヤー４１を緩めることにより、分割控
台３１，３２が自重で倒伏して移動脚材３４が前進し、
プロセニアム２と共に分割控台３１，３２が伸展し控え
ステージ３が水平状態となるのである。

【００１３】ついで前記と同様にして舞台１のウインチ
装置１５のワイヤー１６を緩めることにより舞台１が自
重で倒伏し、移動脚材１２が両側の控えステージ３の間
に前進して図２のようにプロセニアム２を備えたステー
ジとなるのである。なお、逆に舞台１を伸展させた後に
プロセニアム２と控えステージ３を伸展させてもよい。
この状態では昇降脚材３５のコロ３５０がワイヤー４１
を押し下げている。したがって、各種の幕を使用した優
雅な舞台として使用できるのである。

【００１４】この状態から全てを収納状態とするには、
まず、前記と同様に、ウインチ装置１５でワイヤー１６
を後に引っ張ることによりワイヤー１６の張設で昇降脚
材１３のコロ１３０が上動し、連続するワイヤー１６の
牽引により移動脚材１２が後退して分割舞台１０,１１
が折り立て収納されるのである。ついで、ウインチ装置
４でワイヤー４１を巻き取ることによって、ワイヤー４
１の張力によりコロ３５０が押し上げられるため昇降脚
材１３が図５のように少し上昇し、ついで移動脚材３４
が引き寄せられることから分割控台３１，３２が折り立
てられると共に、ワイヤー２３２を巻き取ることにより
屈伸部材の中央屈曲部が屈縮方向に移動させられるため
シリンダ２３１の引き寄せによって屈伸部材が屈曲して
プロセニアム２が後退するのである。この控えステージ
３とプロセニアム２の後退は同時に進行されるのであ
る。

【００１５】なお、分割控台３１，３２が折り立てられ
るにつれて図７のようにスプロケットホイール３７に係
合しているチエン５の巻き掛け長さが長くなり、図８の
折り立て状態ではチエン５によってコイルバネ５１が少
しの長さ分５０圧縮されるのである。したがってその折
り立て状態ではバネ５１の反発力によって分割控台３
１，３２が伸展方向に付勢されるため分割控台３１，３
２の初期伸展が軽い力で円滑にできるのである。

【００１６】このように本形態例によると、プロセニア
ム２を備えたステージとした場合は、舞台１の両側に控
えステージ３が同一高さで連続して配置されるため、各
種幕の端部よりさらに両側に控えステージ３が位置する
ことになってフエンスを取り付けなくても出演者の落下
が防止できるのである。また、演説台やコーラス台等の
簡易な舞台とする場合は、舞台１だけを伸展すればよ
く、さらに舞台１を伸展させた状態でプロセニアム２と
控えステージ３を少し伸展させることで舞台の奥行きを
任意に調整できるのである。この場合は控えステージ３
は傾斜状態となるため使用できないのである。

【００１７】本発明は形態例に限定されない。例えば、
舞台と控えステージの折り立て収納構成及び移動機構は
問わず、図９のように多段の折立分割舞台、分割控台か
ら構成されていてもよい。また、プロセニアムの形状や
構成も適宜であり、控えステージの邪魔にならないよう
両側の袖部を幅広くして出入り口を設けてもよい。さら
に、プロセニアムと控えステージの連結構成も任意であ
る。なお、舞台の前面に階段等を配置してもよい。

【００１８】

【発明の効果】本発明の請求項１によると、プロセニア
ムを備えた舞台、或いはプロセニアムのない演説台やコ
ーラス台等の簡易な舞台を選択でき、プロセニアムを備
えた舞台とする場合は、舞台の両側又は一側に控えステ
ージが同一高さで連続して配置されるため、各種幕の端
部よりさらに両側又は一側に控えステージが位置するこ
とになってフエンスを取り付けなくても出演者の落下が
防止できるのである。また、請求項２では、控えステー
ジの形成が簡単となり、請求項３では、控えステージの
折り立て収納が簡単にできるのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の形態例の舞台を伸展させた状態の斜視
図である。

【図２】そのプロセニアムを備えた舞台に伸展した状態
の斜視図である。

【図３】その舞台の折り立て収納状態の側面図である。

【図４】その控えステージの折り立て収納状態の側面図
である。

【図５】その控えステージの折り立て初動状態の側面図
である。

【図６】その分割控台の連結部の伸展状態の要部拡大側
面図である。

【図７】その分割控台の連結部の少し屈曲状態の要部拡
大側面図である。

【図８】その分割控台の連結部の屈曲状態の要部拡大側
面図である。

【図９】別例の控えステージの折り立てを示す側面図で
ある。

【符号の説明】

１ 舞台 １０，１１ 分割舞台 １２ 移動脚材 １３ 昇降部材 １４ 設置脚材 ２ プロセニアム ２０ コロ ２１ 袖板 ２２ 正面板 ２３ 押し出し機構 ３ 控えステージ ３１，３２ 分割控台 ３３ 設置脚材 ３４ 移動脚材 ３５ 昇降部材 ３５０ コロ ３７ スプロケットホイール ４ ウインチ装置 ４１ ワイヤー ５１ コイルバネ ５３ チエン

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 舞台部を並列的に複数の分割舞台に分け
   て夫々の分割舞台を折立可能とした収納式舞台と、該舞
   台を挟んで舞台と同一方向に移動可能なプロセニアムと
   を備えたものにおいて、プロセニアムが後退位置の収納
   状態の際、舞台がプロセニアムを通過して前進できてプ
   ロセニアムの前に伸展できるように舞台とプロセニアム
   との移動機構を別々に設け、プロセニアムに連動して移
   動する折立可能な控えステージを舞台部の一側又は両側
   に同一高さで近接させて備えたことを特徴とするプロセ
   ニアムを備えた収納式舞台。
2. 【請求項２】 控えステージを複数の分割控台に分けて
   夫々の分割控台を折立可能に連結するとともに、夫々の
   分割控台を後退させる牽引装置を備え、分割控台の先部
   をプロセニアムに連結すると共に、後端の分割控台の後
   部を収納固定側部材に連結した請求項１の収納式舞台。
3. 【請求項３】 牽引装置をワイヤーのウインチ装置とし
   てワイヤーの引っ張りによって夫々の分割控台を同時に
   後退収納させる請求項２の収納式舞台。