JP2946438B2 - 高含水性ソフトコンタクトレンズ - Google Patents

高含水性ソフトコンタクトレンズ

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JP2946438B2
JP2946438B2 JP29194091A JP29194091A JP2946438B2 JP 2946438 B2 JP2946438 B2 JP 2946438B2 JP 29194091 A JP29194091 A JP 29194091A JP 29194091 A JP29194091 A JP 29194091A JP 2946438 B2 JP2946438 B2 JP 2946438B2
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一彦 石原
敬重 村田
伸治 中田
竹男 松本
康美 鯉沼
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高い含水性を有し、か
つ透明性に優れ、また汚れの付着を防ぐことのできる高
含水性ソフトコンタクトレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】高含水性ソフトコンタクトレンズは、メ
チルメタクリレート、シロキサニルアルキルメタクリレ
ート(特公昭52-33502号)等をモノマー主成分とする非
含水性ハードコンタクトレンズに比して、目に装着した
際の違和感が少なく、装用感に優れているという特徴を
持っている。含水性ソフトコンタクトレンズとしては、
2−ヒドロキシエチルメタクリレートを主成分とする場
合、含水率が低いため、眼への酸素供給量が少なく、装
用感も不十分であった。そこで最近では含水率を高くす
るために、N−ビニルピロリドンに、メチルメタクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートまたはメタ
クリル酸を共重合させたコンタクトレンズが提案されて
いる。しかしながら、前記コンタクトレンズは汚れがよ
り付着しやすく、強度が低下し、更に滅菌のための熱処
理を繰り返すと黄変するといった欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、含水
率40%以上の高い含水性を有し、且つ機械的強度、防汚
性に優れ、長期連続装用が可能な高含水性ソフトコンタ
クトレンズを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記の
一般式
【0005】
【化3】
【0006】のいずれかを示し、R1 は水素原子もしく
はメチル基を示す。またYは
【0007】
【化4】
【0008】のいずれかを示す。nは1〜20の整数を示
す。またR2、R3 、R4 は同一もしくは異なる基であ
って、炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシアルキル
基を示す。)で表されるリン脂質類似構造を有する化合
物を構成成分として含有する樹脂からなる高含水性ソフ
トコンタクトレンズが提供される。
【0009】以下、本発明を具体的に説明する。本発明
の高含水性ソフトコンタクトレンズにおいて、必須の構
成成分として用いるリン脂質類似構造を有する化合物
は、前記一般式(1)で表されるモノマーである。nは
1〜20の整数で表され、nが20以上で得られるポリマー
の場合、親水性は著しく低くなり好ましくない。またR
2 〜R4 ではアルキル基の炭素数が、1〜8の整数であ
り、8を超えると親水性の著しい低下やモノマーの重合
性の低下があって使用に適さなくなる。
【0010】前記一般式(1)で表されるモノマーとし
ては、2−(メタクリロイルオキシ)エチル 2' −
(トリメチルアンモニオ)エチルリン酸、3−(メタク
リロイルオキシ)プロピル 2' −(トリメチルアンモ
ニオ)エチルリン酸、4−(メタクリロイルオキシ)ブ
チル 2' −(トリメチルアンモニオ)エチルリン酸、
5−(メタクリロイルオキシ)ぺンチル 2'−(トリ
メチルアンモニオ)エチルリン酸、6−(メタクリロイ
ルオキシ)エチル 2' −(トリメチルアンモニオ)エ
チルリン酸、
【0011】2−(メタクリロイルオキシ)エチル
2' −(N−メチル−N,N−ジエチルアンモニオ)エ
チルリン酸、2−(メタクリロイルオキシ)エチル
2' −(N,N−ジメチルエチルアンモニオ)エチルリ
ン酸、2−(メタクリロイルオキシ)エチル 2' −
(トリエチルアンモニオ)エチルリン酸、2−(メタク
リロイルオキシ)エチル 2' −(N,N−ジメチルプ
ロピルアンモニオ)エチルリン酸、2−(メタクリロイ
ルオキシ)エチル 2' −(N,N−ジプロピルN−メ
チルアンモニオ)エチルリン酸、2−(メタクリロイル
オキシ)エチル 2'−(トリブチルアンモニオ)エチ
ルリン酸、2−(メタクリロイルオキシ)エチル 2'
−(トリシクロヘキシルアンモニオ)エチルリン酸、2
−(ビニルオキシ)エチル 2' −(トリメチルアンモ
ニオ)エチルリン酸、2−(アリルオキシ) 2' −
(トリメチルアンモニオ)エチルリン酸、2−(p−ビ
ニルベンジル)エチル2' −(トリメチルアンモニオ)
エチルリン酸、2−(ビニルベンゾイルオキシ)エチル
2' −(トリメチルアンモニオ)エチルリン酸、
【0012】2−(スチリルオキシ)エチル 2' −
(トリメチルアンモニオ)エチルリン酸、2−(アリル
オキシカルボニル)エチル 2' −(トリメチルアンモ
ニオ)エチルリン酸、2−(ビニルオキシカルボニル)
エチル2' −(トリメチルアンモニオ)エチルリン酸、
2−(アクリロイルアミノ)エチル 2' −(トリメチ
ルアンモニオ)エチルリン酸、2−(アリルオキシカル
ボニルアミノ)エチル2' −(トリメチルアンモニオ)
エチルリン酸、(メタクリロイルオキシ)メチルオキシ
2' −(トリメチルアンモニオ)エチルリン酸、2−
(メタクリロイルオキシ)エチルオキシ 2' −(トリ
メチルアンモニオ)エチルリン酸、3−(メタクリロイ
ルオキシ)プロピルオキシ 2' −(トリメチルアンモ
ニオ)エチルリン酸、2−(メタクリロイルオキシ)イ
ソプロピルオキシ 2' −(トリメチルアンモニオ)エ
チルリン酸、4−(メタクリロイルオキシ)ブチルオキ
シ 2' −(トリメチルアンモニオ)エチルリン酸等を
挙げることができ、1種ないし2種以上の混合で用いる
ことができ、得られるコンタクトレンズに高い含水性、
防汚性、及び強度を付与することができる。
【0013】前記のモノマーを調製するには、例えば、
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと2−クロロ
−2−オキソ−1、3、2−ジオキサホスホランをトリ
エチルアミンの存在下で反応させ、その後、トリアルキ
ルアミンと反応させることにより、目的のモノマーを容
易に得ることができる。得られた生成物は、再結晶等の
公知の方法で精製することが望ましい。
【0014】また、本発明において、前記モノマー以外
に、原料モノマーとして用いることができる、共重合可
能なモノマーとして、具体的には、例えば、スチレン、
α−メチルスチレン、メチル核置換スチレン、クロロ核
置換スチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、メチ
ル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリ
ル酸、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メ
タ)アクリアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエ
ーテル、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ジエ
チルイタコネート、ジ−n−ブチルイタコネート等を挙
げることができる。
【0015】また、例えば、アリル(メタ)アクリレー
ト、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、1、4−ブタ
ンジオールジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレー
ト、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、ジ
ビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド、トリメ
リット酸トリアリル、トリアリルシアヌレートなどの多
官能モノマーも使用することができる。
【0016】一般式(1)で示すモノマー成分は、使用
に際しては単独もしくは混合物として用いることができ
る。尚、得られる高含水性ソフトコンタクトレンズの耐
熱性、加工性、形状安定性を向上させるために、少なく
とも1種以上の多官能性モノマーを用いるのが好まし
い。この際、前記他のモノマー成分は、一般式(1)で
示すリン脂質類似構造を有するモノマー100 重量部に対
して10000 〜5重量部の範囲で使用することが好まし
く、特に、1000から100 重量部の範囲で用いることが好
ましい。前記他のモノマー成分が10000 重量部を超える
と、得られる含水性ソフトコンタクトレンズの含水性、
防汚性が低下し、また5重量部未満の場合には加工性、
形状安定性が低下してしまう。
【0017】本発明において、前記原料モノマーを重合
してコンタクトレンズを調製するには前記ラジカル重合
開始剤の存在下、ラジカル重合により容易に得ることが
できる。前記ラジカル重合剤としては、過酸化ベンゾイ
ル、過酸化ラウロイル、ジイソプロピルオキシジカーボ
ネート、t−ブチルペルオキシピバレート−t−ブチル
ペルオキシジイソブチレート、アゾビスイソブチロニト
リル、アゾビス−2、4−ジメチルバレロニトリルなど
の熱重合開始剤、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイ
ンエチルエーテル等の光重合開始剤を好ましく用いるこ
とができる。前記ラジカル重合開始剤の使用量は、原料
モノマー100 重量部に対して10重量部以下が好ましく、
さらに好ましくは5重量部以下である。
【0018】前記ラジカル重合を行うには、重合系を窒
素、二酸化炭素、ヘリウム等の不活性ガスで置換もしく
は雰囲気下として行うのが好ましい。また重合条件は、
熱重合では重合温度は、20〜140 ℃の範囲で、重合時間
としては6〜120 時間程度である。光重合では紫外光、
可視光を1分〜20時間照射することにより行うことがで
きる。また必要に応じて熱重合と光重合を併用して行う
ことも可能である。
【0019】また本発明においては、前記原料モノマー
に、更に必要に応じて、色素等の着色剤、紫外線吸収剤
等の添加剤を添加しても良い。本発明の含水性コンタク
トレンズを製造するには、前記ラジカル重合条件に基づ
いて、例えば前記原料モノマーを試験管等の適当な容器
中にて共重合させ、丸棒またはブロックを得た後、切
削、研磨等の機械加工をする方法、所望の型枠に前記原
料モノマーと重合開始剤とを注入し、鋳型重合によって
直接コンタクトレンズを形成する方法、加熱もしくは光
照射を行いながらキャストする方法、または予めラジカ
ル重合法等で重合物を製造した後、重合物を適当な溶剤
に溶解し、キャスト法により溶剤を除去する方法等によ
り得ることができる。
【0020】本発明の高含水性ソフトコンタクトレンズ
の含水性は、含水率が30%以上、特に60%以上が好まし
い。前記含水率が30%未満の場合には、角膜に対する影
響があり好ましくない。
【0021】
【発明の効果】本発明の高含水性ソフトコンタクトレン
ズは特定構造のリン脂質類似構造を有するモノマーを含
む原料モノマーを重合して得られるコンタクトレンズで
あり、高い含水性を有し、角膜生理上必要十分な酸素を
供給することができ、またタンパク質、脂質等の汚れ付
着の防止性にも優れている。
【0022】
【実施例】以下、本発明を更に詳細に説明するが、本発
明はこれらに限定されるものではない。 実施例1 表1に示す原料モノマー、すなわち、2−(メタクリロ
イルオキシ)エチル2' −(トリメチルアンモニオ)エ
チルリン酸20重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ート80重量部、アリルメタクリレート2重量部、アゾビ
スイソブチロニトリル0.2 重量部を、試験管状ガラス型
に注入し、系内の窒素置換と脱気を繰り返した後、密封
して、加熱硬化を行った。加熱は、恒温槽中で50〜100
℃に、50時間かけて昇温して行った。重合終了後、硬化
物を型から取り出したところ、得られた重合体は、無色
透明であった。得られた重合体を通常の加工法により、
切削、研磨を行い、所定の形状のテストピースを作成
し、以下に示す各物性を評価した。結果を表2に示す。 (1)含水率 0.9 重量%生理食塩水中に浸漬して飽和含水状態とした
後、重量を測定し、次式により算出した。
【0023】 含水率(重量%)=(W1 −W 2)/W1 ×100 W1 : 飽和含水時の重量 W2 : フィルム初期重量 (2)酸素透過係数 製科研式フィルム酸素透過測定装置を用いて、35℃、0.
9 重量%生理食塩水中の酸素透過係数を測定した。 (3)引っ張り強度 中心部がくびれたアレー形状の平板を試験片とし、20℃
の0.9 重量%生理食塩水に浸漬して飽和含水状態とした
後、60mm/分の引っ張り速度で試験した。 (4)防汚性 アルブミン0.39%(w/v)、リゾチーム0.17%(w/
v)、γ−グロブリン0.105 %(w/v)の生理食塩水
溶液中に、コンタクトレンズを浸漬(2週間、35℃)
後、生理食塩水で洗浄し、界面活性剤でコンタクトレン
ズからタンパク質を剥離させ、その溶液にタンパク質定
量用の試薬を注入し、コンタクトレンズに吸着したタン
パク質の量を測定した。
【0024】実施例2〜10 表1に示す原料モノマーを用いた以外は実施例1と同様
に重合を行い、物性を測定した。結果を表2に示す。 比較例1〜3 表1に示す原料モノマーを用いた以外は実施例1と同様
に重合を行い、物性を測定した。結果を表2に示す。
【0025】
【表1】 尚、表中の略記は以下の化合物を示す。
【0026】HEMA: 2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート METMAEP:2−(メタクリロイルオキシ)エチル
2' −(トリメチルアンモニオ)エチルリン酸 DEGMA: ジエチレングリコールジメタクリレー
ト AMA: アリルメタクリレート MMA: メチルメタクリレート METMAEP:3−(メタクリロイルオキシ)プロピ
ル 2' −(トリメチルアンモニオ)エチルリン酸 METEAEP:2−(メタクリロイルオキシ)エチル
2' −(トリエチルアンモニオ)エチルリン酸 NVP: N−ビニルピロリドン
【0027】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 竹男 茨城県つくば市東2−14−9 (72)発明者 鯉沼 康美 茨城県つくば市東新井32−16−1−102 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02C 1/00 - 13/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 のいずれかを示し、R1 は水素原子もしくはメチル基を
    示す。またYは 【化2】 のいずれかを示す。nは1〜20の整数を示す。また
    2 、R3 、R4 は同一もしくは異なる基であって、炭
    素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシアルキル基を示
    す。)で表されるリン脂質類似構造を有する化合物を構
    成成分として含有する樹脂からなる高含水性ソフトコン
    タクトレンズ。
JP29194091A 1991-10-14 1991-10-14 高含水性ソフトコンタクトレンズ Expired - Lifetime JP2946438B2 (ja)

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JP4772939B2 (ja) * 1998-09-29 2011-09-14 日油株式会社 重合性単量体組成物およびコンタクトレンズ
JP4010831B2 (ja) * 2001-05-22 2007-11-21 株式会社資生堂 ホスホリルコリン基含有重合体及びその製造方法

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