JP2944483B2 - ポリカーボネート樹脂製防曇流滴板 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂製防曇流滴板

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JP2944483B2 JP7263797A JP26379795A JP2944483B2 JP 2944483 B2 JP2944483 B2 JP 2944483B2 JP 7263797 A JP7263797 A JP 7263797A JP 26379795 A JP26379795 A JP 26379795A JP 2944483 B2 JP2944483 B2 JP 2944483B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ポリカーボネー
ト樹脂基板に耐候性フィルムおよび防曇流滴フィルムが
ラミネートされた防曇流滴板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、建物の窓、温室、カーポートの
屋根等に使用される合成樹脂透明板としては、透明性や
耐候性等に優れたポリカーボネート樹脂板が汎用され、
また内外の温度差による曇りや結露、さらには結露水の
流滴を防止するために、種々の方法により防曇性能が付
与されている。
【0003】この出願人は、先に、このような透明板と
して、熱融着性アクリルフィルム上に鹸化処理により防
曇性能を付与されたセルロース系樹脂層を形成した防曇
流滴フィルムを合成樹脂基板にラミネートしてなる合成
樹脂製防曇板を提案した(特開平6−190972号公
報)。この合成樹脂製防曇板に用いられる防曇流滴フィ
ルムは、熱融着性アクリルフィルムの片面にセルロース
系樹脂層を設けてフィルム状積層体とした後に、鹸化処
理を施して製作したものであって、熱融着性アクリルフ
ィルムとセルロース系樹脂層との間に鹸化層が形成され
るのを防ぎ、これらの密着性を高めたものである。そし
て、これらの密着性を高めることにより、層間剥離を抑
制して、波付け加工や長期使用による白化や失透を防ぎ
うるというものである。
【0004】前記合成樹脂製防曇板は、基板としてポリ
カーボネート等の合成樹脂を板状に押出成形後、続いて
180〜200℃程度に加熱し、該基板上に、別途製作
した前記防曇流滴フィルムを比較的強い張力を加えなが
ら重ねて熱圧着する押出ラミネート法により製作され
る。また、前記合成樹脂製防曇板は機械的強度を向上さ
せるために波形に賦形することも多く、その場合は、基
板に防曇流滴フィルムをラミネートした直後の、合成樹
脂製防曇板が十分に熱圧成形温度を保持している間に波
付け加工がなされる。
【0005】しかしながら、ラミネート工程において、
異種材料である防曇流滴フィルムと基板との融着接合を
完全なものとするために、基板は180℃を超える高温
に加熱され、防曇流滴フィルムもほぼ同温度にまで加熱
され、かつ強い張力が加えられる。そのため、ラミネー
ト前あるいは波付け工程前の段階で、前記防曇流滴フィ
ルムのセルロース系樹脂層に微細なクラックが生じ易い
という問題点があった。さらに、波付け加工を行う場合
には、延伸力が加わることによってクラックの現出が顕
著になり、波板の透明性を阻害して外観品質の低下を招
くという新たな問題が生ずることが判明した。
【0006】そこで、さらにこの出願人は、前記工程に
おいて、基板の加熱温度を180℃以下の低い温度に設
定することにより、セルロース系樹脂層のクラック発生
を抑制しようと試み、良好な結果を得ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記合成樹
脂製防曇板は、多くの場合片面を屋外曝露状態に使用さ
れるものであることに鑑み、基板樹脂の分解や変質によ
る品質劣化を有効に防止する一手段として、図1に示す
ように、基板(2) の防曇流滴フィルム(3) 積層面とは反
対の面に、保護用の耐候性フィルム(6) が積層されるこ
とがある。この耐候性フィルム(6) としては、最も一般
的には紫外線吸収剤、必要であれば更に、赤外線吸収剤
を含有したメタクリル酸メチル樹脂フィルムが用いら
れ、基板(2)の片面に、前記防曇流滴フィルム(3) のラ
ミネート工程と同時に熱圧着して積層一体化される。
【0008】しかしながら、セルロース系樹脂層(5) の
クラック発生を防止するために、ラミネート時の基板
(2) の加熱温度を180℃以下に設定すると、前記耐候
性フィルム(6) と基板(2) との密着力が不足し、長期間
の使用によりこれら(6)(2)が剥離するという問題が生じ
た。即ち、耐候性フィルム(6) 中の紫外線吸収剤が経年
的にブリードアウトし、あるいは紫外線吸収剤そのもの
の分解により紫外線吸収性能が低下し、紫外線が耐候性
フィルム(6) を透過して耐候性フィルム(6) と基板(2)
とのラミネート面での剥離を引き起こす。高温でのラミ
ネートは、分子のみならず樹脂同士も絡み合って密着性
が強くなるが、ラミネート温度が低いほど樹脂同士の絡
み合いが少なくなり、また絡み方も単純になるために、
これらの密着性が低下する。そして、経年使用によりポ
リカーボネート樹脂に分解、変質等が生じると、前記絡
みが解けて層間剥離に至る。
【0009】なお、前記防曇流滴フィルム(3) と基板
(2) との界面も前記耐候性フィルム(6) との界面と同様
にアクリル樹脂とポリカーボネート樹脂との異種材料の
接合であり、低温ラミネートの場合は高温ラミネートの
場合よりも密着性が低いと推測される。しかし、防曇板
は防曇流滴フィルム(3) 側が屋内側となるように使用さ
れるため、紫外線の受光量そのものが少なくなり、耐候
性フィルム(6) よりも経年劣化による剥離は生じにく
い。そのため、低温でラミネートした場合でも、防曇流
滴フィルム(3) と基板(2) との密着性に問題はなかっ
た。換言すれば、耐候性フィルム(6) は、防曇流滴フィ
ルム(3) よりも高い密着性が必要とされる。
【0010】この発明は、基板上に耐候性フィルムおよ
び防曇流滴フィルムがラミネートされた防曇板におい
て、前記先行提案に係る技術の利点を踏襲しながら、こ
れを更に改善し、前記フィルムがより高い密着力でラミ
ネートされ、耐久性に優れたポリカーボネート樹脂製防
曇流滴板の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明のポリカーボネ
ート樹脂製防曇流滴板は、前記目的を達成するために、
ポリカーボネート樹脂からなる基板(2) の一面側に耐候
性フィルム(6) が積層されているとともに、他面側に、
熱融着性アクリルフィルム(4) の片面にセルロース系樹
脂層(5) を設けた後に鹸化処理を施してなる防曇流滴フ
ィルム(3) が前記熱融着性アクリルフィルム(4) 側で積
層され、これら(6)(2)(3) が一体化されてなる防曇流滴
板であって、前記防曇流滴フィルム(3) のセルロース系
樹脂層(5) は、セルロース系樹脂と、該セルロース系樹
脂100重量部に対して可塑剤2〜30重量部とを含有
してなることを特徴とするものである。
【0012】図1はこの発明にかかるポリカーボネート
樹脂製防曇流滴板(1) の模式的断面図であり、(2) は基
板、(3) は熱融着性アクリルフィルム(4) およびセルロ
ース系樹脂層(5) からなる防曇流滴フィルム、(6) は耐
候性フィルムである。
【0013】前記基板(2) を構成するポリカーボネート
樹脂は、円滑に板状に成形できるものであれば周知のも
のを任意に選択して使用すれば良く、厚さも特に限定さ
れない。
【0014】前記耐候性フィルム(6) は、ポリアクリル
酸エステル、ポリメタクリル酸エステル等のアクリル系
樹脂に紫外線吸収剤、あるいはさらに紫外線吸収剤の劣
化を防止するために赤外線吸収剤を添加し、これを一般
的な樹脂製フィルムの製造方法、例えばカレンダー加工
によりフィルム状に成形したものである。前記アクリル
系樹脂100重量部に対して、紫外線吸収剤は5〜25
重量部、赤外線吸収剤は0.05〜10.0重量部の添
加量が好ましい。また、耐候性フィルム(6) の厚さは、
20〜100μmの範囲が好ましく、特に30〜70μ
mの範囲が好ましい。
【0015】前記防曇流滴フィルム(3) を構成する熱融
着性アクリルフィルム(4) は、前記耐候性フィルム(6)
と同様に、アクリル系樹脂をカレンダー加工等によりフ
ィルム状に成形したものを用いれば良い。また、この発
明に用いる熱融着性アクリルフィルム(4) の厚さは、例
えば10〜100μmの範囲が好ましく、特に20〜5
0μmの範囲の厚さが好ましい。なお、ポリカーボネー
ト樹脂製防曇流滴板は防曇流滴フィルム(3) が屋内側に
なるように使用されるから、防曇流滴フィルム(3) が直
射日光を受けることはないが、太陽光の反射光等が防曇
流滴フィルム(3) を照射することもあるため、防曇流滴
フィルム(3) と基板(2) との接合劣化を防止するため
に、前記熱融着性アクリルフィルム(4) にも紫外線吸収
剤を含有させておくことも好ましい。
【0016】また、前記セルロース系樹脂層(5) の主た
る構成成分であるセルロース系樹脂としては、鹸化処理
により防曇流滴性能を発現するセルロースジアセテー
ト、セルローストリアセテート、セルロースアセテート
ブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等を
用いることができる。また、これらの樹脂は良好な引張
伸びを確保するために重合度が200以上のものが好ま
しく、特に重合度が250以上のものが好ましい。
【0017】前記セルロース系樹脂には、樹脂層に柔軟
性を与えてクラックの発生を抑制し、高温でのラミネー
トを可能とするために可塑剤が添加される。可塑剤の種
類は、セルロース系樹脂に相容性のあるもので、フタル
酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フ
タル酸ジオクチル等のフタル酸エステル、リン酸トリフ
ェニル、リン酸トリクレシル等のリン酸エステル、セバ
シン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル等のセバシン酸
エステル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ビス(2−
エチルヘキシル)等のアジピン酸エステル、モノアセチ
ン、ジアセチン、トリアセチン等のアセチルグリセリ
ン、エチレングリコールエステル、クエン酸トリブチル
等を例示でき、これらのうちの任意の1種または2種以
上を混合して使用することができる。但、後述するよう
にセルロース系樹脂層(5) を塗膜により形成し、50℃
以上の温度で乾燥させる場合は、沸点が250℃以上で
あるフタル酸エステル、リン酸エステル、セバシン酸エ
ステルを使用することが好ましい。前記可塑剤の含有量
は、前記セルロース系樹脂100重量部に対して2〜3
0重量部の範囲とする必要がある。これよりも少ない量
ではセルロース系樹脂層(5) に十分な柔軟性を付与でき
ず、クラックの発生を抑制できない。一方、30重量部
を超えて多量に添加すると、セルロース系樹脂層(5) が
粘着性をもって防曇流滴フィルム(3) 作製時にブロッキ
ングしやすくなる。可塑剤の特に好ましい添加量の下限
値は5重量部であり、上限値は20重量部である。
【0018】また、前記セルロース系樹脂層(5) の厚さ
は、後述するように、セルロース系樹脂をフィルム状に
して熱融着性アクリルフィルム(4) に積層させる場合
は、10〜80μmの範囲が好適であり、特に20〜5
0μmの範囲の厚さが好ましい。また、塗膜としてセル
ロース系樹脂層(5) を形成する場合の塗膜の厚さは、1
〜50μmの範囲が好適であり、特に5〜20μmの範
囲の厚さが好ましい。
【0019】なお、前記可塑剤の添加により鹸化速度が
促進されるため、従来の2/3〜1/2程度の処理時間
で同等の防曇流滴性能を発現させることができる。その
ため、鹸化処理によるセルロース系樹脂層(5) の劣化を
最小限にとどめ得るという効果も付加される。
【0020】この発明のポリカーボネート樹脂製防曇流
滴板(1) は、上述の各素材により、例えば次のような方
法で製造される。
【0021】先ず、防曇流滴フィルム(3) を製作する。
【0022】熱融着性アクリルフィルム(4) の片面に、
所定量の可塑剤を含有するセルロース系樹脂層(5) を設
けてこれらを一体化し、フィルム状積層体とする。具体
的な方法としては、可塑剤を含むセルロース系樹脂組成
物をフィルム状に成形し、これを熱硬化性接着剤を介し
て熱融着性アクリルフィルム(4) に張り合わせる方法
や、前記セルロース系樹脂組成物に溶剤を加えて塗料状
とし、これを熱融着性アクリルフィルム(4) の片面に塗
布する方法を例示できる。後者の場合、前記セルロース
系樹脂組成物にはセルロース系樹脂および可塑剤のほ
か、セルロース系樹脂と相溶性のあるバインダーを添加
しても良い。具体的には、アクリル酸エステル、メタク
リル酸エステル、メタクリル酸を組み合わせたアクリル
ラッカー等のアクリル系塗料用樹脂、また一液硬化型及
び2液硬化型の溶剤タイプのウレタン系塗料用樹脂、ま
た酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合樹脂、
酢酸ビニル−エチレン共重合樹脂等の酢酸ビニル系樹脂
あるいはアルコール系溶剤による溶液酢酸ビニル系樹
脂、また低粘度のエポキシ樹脂塗料、あるいは有機溶剤
による溶液エポキシ系塗料用樹脂をバインダーとして用
いることができる。
【0023】そして、上記の方法で一体化したフィルム
状積層体を鹸化処理してセルロース系樹脂層(5) を鹸化
する。鹸化処理は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリ
ウム、もしくはこれらの混合物を主剤とする5〜30%
水溶液を40〜80℃に加熱し、フィルム状積層体を2
〜30分間浸漬する方法を例示できる。このように、熱
融着性アクリルフィルム(4) とセルロース系樹脂層(5)
を一体化した後に鹸化処理を行うことにより、これらの
間には鹸化層が形成されず、層間剥離のおそれのない防
曇流滴フィルム(3) が得られる。
【0024】一方、前記耐候性フィルム(6) も常法によ
り別途作製しておく。
【0025】次に、前記防曇流滴フィルム(3) および耐
候性フィルム(6) を基板(2) の表面に積層一体化させ
て、この発明に係るポリカーボネート樹脂製防曇流滴板
(1) を製作する。
【0026】積層方法としては、接合性や生産性に優れ
ていることから押出ラミネート法を推奨できる。この押
出ラミネート法は、常法に準じてポリカーボネート樹脂
を板状に成形し、押出されたポリカーボネート樹脂基板
(2) をラミネート直前に再びヒーターにより加熱し、基
板(2) の一面側に前記耐候性フィルム(6) を重ね合わせ
るとともに、他面側に前記防曇流滴フィルム(3) を熱融
着性アクリルフィルム(4) 面側でに重ね合わせ、これら
をラミネートロールによって熱圧着し積層一体化させる
ものである。このとき、基板(2) の加熱温度(ラミネー
ト温度)は、180〜200℃程度が好ましい。ラミネ
ート温度が低すぎると前記基板(2) と耐候性フィルム
(6) との密着性が低下して、長期間の使用によりこれら
が剥離するおそれがある。一方、ラミネート温度が高す
ぎると、防曇流滴フィルム(3) のセルロース系樹脂層
(5) にクラックが発生しやすくなるため、好ましくな
い。また、ラミネート温度を180〜200℃とするこ
とにより、耐候性フィルム(6) の密着性のみならず防曇
流滴フィルム(3) と基板(2) との密着性もなお一層優れ
たものとなる。さらに、前記ラミネート加工の際に、前
記防曇流滴フィルム(3) に皺が入らずかつセルロース系
樹脂層(5) にクラックが入らないようにするために、該
防曇流滴フィルム(3) に2〜10kgf/250mm幅
の範囲の張力を付与することが好ましい。
【0027】前記ポリカーボネート樹脂製防曇流滴板
(1) は、平板として使用される他、機械的強度を向上さ
せるために波形に賦形して使用されることも多い。波付
け加工は、平板を製作後ベンダーで冷間曲げ加工するこ
とも、また前記ラミネート加工に連続してロールフォー
ミング法等により熱間で加工することもできる。この発
明の防曇流滴板(1) は、基板(2) と耐候性フィルム(6)
および防曇流滴フィルム(3) との密着性が優れているた
め、いずれの方法を採ってもこれらのフィルム(3)(6)の
剥離やクラック発生のおそれはない。しかし、ラミネー
ト加工したポリカーボネート製樹脂防曇流滴板(1) が未
だ熱成形温度を保持している間に波付加工をする方がコ
スト的に有利である。
【0028】
【実施例】次に、この発明の実施例を図面を参照しつつ
詳しく説明する。
【0029】この実施例では、耐候性フィルムおよび防
曇流滴フィルムをそれぞれ別途作製し、これをポリカー
ボネート樹脂基板に積層一体化することにより、ポリカ
ーボネート樹脂製防曇流滴板を製作した。
【0030】[防曇流滴フィルムの作製]防曇流滴フィ
ルムのセルロース系樹脂層を構成する塗料状の樹脂組成
物を調合した。樹脂組成物の材料には、セルロース系樹
脂として、ブチル基37重量%、アセチル基13重量%
で分子量約40,000のセルロースアセテートブチレ
ートを、可塑剤としてフタル酸ジエチルを、バインダー
としてアクリル酸メチルを、溶剤としてメチルイソブチ
ルケトン:キシレン:酢酸ブチル=3:3:4の混合溶
剤を用いた。そして、前記セルロース系樹脂80重量%
およびバインダー20重量%の混合物を、前記溶剤に固
形分比20重量%となるように溶解するとともに、前記
セルロース樹脂100重量部に対して後掲の表1に示す
各量の可塑剤を配合し、塗料状に調合した。
【0031】一方、溶融温度約130℃のメタクリル酸
メチル樹脂をカレンダー加工により厚さ50μmのフィ
ルム状に成形し、熱融着性アクリルフィルムを作製し
た。
【0032】次に、前記熱融着性アクリルフィルムの片
面に、リバースロールコーターを用いて前記各塗料を1
0μmの厚さに塗布し、フィルム状積層体を作製した。
【0033】そして、前記ィルム状積層体を、水酸化ナ
トリウム300重量部、エチルアルコール100重量
部、水1000重量部からなるアルカリ水溶液を約50
℃に調整した鹸化処理溶液中に50分間浸漬し、セルロ
ース系樹脂層を鹸化し、防曇流滴フィルム(3) を作製し
た。
【0034】[耐候性フィルムの作製]前記熱融着性ア
クリルフィルムの材料と同じメタクリル酸メチル樹脂
と、該樹脂100重量部に対してベンゾトリアゾール系
の紫外線吸収剤10重量部とを混合し、常法によりカレ
ンダー加工して、厚さ50μmの耐候性フィルムを作製
した。
【0035】[ポリカーボネート樹脂製防曇流滴板の作
製]図2に示す押出ラミネート装置(10)により、図1に
示すようなポリカーボネート樹脂基板(2) の一面側に前
記耐候性フィルム(6) を、他面側に前記防曇流滴フィル
ム(3) をラミネートして、平板状ならびに波形のポリカ
ーボネート樹脂製防曇流滴板(1) を作製した。なお、図
1には平板状の防曇流滴板(1) のみを示し、波形のもの
は図示を省略する。
【0036】先ず、基板(2) の成形用材料として、分子
量27,000のポリカーボネート樹脂を用い、押出成
形機(12)のT型ダイス(11)より押出温度280℃で押出
し、ポリシングロール(13)を通過させて板状の基板(2)
に成形した。前記基板(2) は、幅が1000mm、厚さ
が0.7mmおよび1.5mmの2種類を製作した。
【0037】そして、押出成形機(12)の前方に配置した
ヒーター(14)(14)により前記基板(2) の両面を表1に示
す各温度に加熱した後、該基板(2) の一面側に、巻戻ロ
ール(16)から引出した前記耐候性フィルム(6) を供給す
るとともに、他面側に、巻戻ロール(15)から引出した前
記防曇流滴フィルム(3) に5kgf/250mm幅の張
力を付与しながら、熱融着性アクリルフィルム(4) 面側
が接するように供給してこれらを重ね合わせ、シリコン
樹脂製の一対のラミネートロール(17)(17)により融着接
合一体化させ、図1に示すポリカーボネート樹脂製防曇
流滴板(1) とした。
【0038】さらに、上記の如くして基板(2) の両面に
耐候性フィルム(6) および防曇流滴フィルム(3) をラミ
ネートした積層板を、その温度が未だ十分に高く熱成形
温度を保有している間に、ラミネートロール(17)の前方
にインラインに配置した波付ロール群(18a) 及び波深さ
調整ロール群(18b) を通過させ、山間ピッチ32mm、
山高さ9mmの長さ方向に連続した波付加工を施した
後、裁断機(19)で所定の長さに切断して、波形のポリカ
ーボネート樹脂製防曇流滴波板(A)を得た。
【0039】また、前記押出ラミネート装置(10)におい
て、波付けロール群(18a) および調整ロール群(18b) を
取り外した構成として波付け加工を省略し、平板状のポ
リカーボネート樹脂製防曇流滴板(1) を製作した。さら
に、この平板状のポリカーボネート樹脂製防曇流滴板
(1) を冷却したのち、ベンダーにより冷間曲げ加工を行
って折版波板に成形した。
【0040】以上の工程により、1種類の平板と、連続
熱間波付け加工と冷間曲げ加工とによる2種類の波板と
で3種類、さらにそれぞれの基板(2) の厚さが0.7m
mと1.5mmの2種類で、合計6種類のポリカーボネ
ート樹脂製防曇流滴板(1) を製作した。
【0041】そして、得られた各種のポリカーボネート
樹脂製防曇流滴板(1) の外観について評価した。評価
は、防曇流滴フィルム(3) におけるセルロース系樹脂層
のクラック発生の有無、防曇流滴フィルム(3) の皺の有
無、及び波付状態の良否の3項目について目視検査によ
り行なった。その評価結果を表1に示す。なお、同表
中”良好”は上記3項目のいずれも良好であったもの、
その他は記載項目において不良であったものを示す。ま
た、基板(2) の厚さには関わりなく同じ評価結果が得ら
れたので、表1には一括して結果を示す。
【0042】また、平板状のポリカーボネート樹脂製防
曇流滴板について、次の方法により曝露状態および高温
多湿状態における耐候性フィルムの密着性試験を行っ
た。なお、比較例10、11については、防曇流滴板製
作時に既に防曇流滴フィルムの剥がれが生じたため、密
着性試験を行うには至らなかった。
【0043】[曝露試験]ポリカーボネート樹脂製防曇
流滴板の耐候性フィルム側を光源側になるようにして、
耐候促進試験 S−W−Mを行い、試験前、1000時
間後、2000時間後、3000時間後にそれぞれクロ
スハッチ剥離テストを行った。100のマス目中剥離し
なかったマス目数を表1に示す。
【0044】[高温多湿試験]試験片を、80℃の乾燥
空気中、60℃相対湿度95%の空気中、60℃の温水
中にそれぞれ1000時間置いた後に、クロスハッチ剥
離テストを行った。100のマス目中剥離しなかったマ
ス目数を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】表1の結果から明らかなように、セルロー
ス系樹脂層に所定量の可塑剤を添加することにより、高
温でラミネート加工してもクラックや皺が発生せず、外
観品質の良い防曇流滴板が得られることを確認できた。
さらに、耐候性フィルムの密着性も良好であり、耐久性
に優れていることも確認しえた。
【0047】
【発明の効果】以上のように、この発明は、ポリカーボ
ネート樹脂からなる基板の一面側に耐候性フィルムが積
層されているとともに、他面側に、熱融着性アクリルフ
ィルムの片面にセルロース系樹脂層を設けた後に鹸化処
理を施してなる防曇流滴フィルムが前記熱融着性アクリ
ルフィルム側で積層され、これらが一体化されてなる防
曇流滴板において、前記防曇流滴フィルムのセルロース
系樹脂層は、セルロース系樹脂と、該セルロース系樹脂
100重量部に対して2〜30重量部の可塑剤とを含有
してなるから、製造時のラミネート温度を耐候性フィル
ムと基板との良好な密着性が得られる程度の高温に設定
しても、防曇流滴フィルムにクラックが発生しない。換
言すれば、外観品質が良く、かつ耐候性フィルムが剥離
しにくく耐久性に優れた防曇流滴板となしうる。
【0048】また、前記可塑剤の添加により高温ラミネ
ートが可能となって耐候性フィルムの密着性が向上した
が、これに伴い防曇流滴フィルムと基板との密着性もな
お一層向上させることができる。
【0049】さらに、両フィルムと基板との密着性が優
れていることにより、波付け加工によってもフィルムに
クラックの発生や失透のおそれがなく、平板のみならず
波板として使用する場合にも優れた耐久性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかるポリカーボネート樹脂製防曇
流滴板の断面図である。
【図2】この発明の実施例に用いる押出ラミネート装置
の概略側面図である。
【符号の説明】
1…ポリカーボネート樹脂製防曇流滴板 2…基板 3…防曇流滴フィルム 4…熱融着性アクリルフィルム 5…セルロース系樹脂層 6…耐候性フィルム

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリカーボネート樹脂からなる基板(2)
    の一面側に耐候性フィルム(6) が積層されているととも
    に、他面側に、熱融着性アクリルフィルム(4) の片面に
    セルロース系樹脂層(5) を設けた後に鹸化処理を施して
    なる防曇流滴フィルム(3) が前記熱融着性アクリルフィ
    ルム(4) 側で積層され、これら(6)(2)(3) が一体化され
    てなる防曇流滴板であって、 前記防曇流滴フィルム(3) のセルロース系樹脂層(5)
    は、セルロース系樹脂と、該セルロース系樹脂100重
    量部に対して可塑剤2〜30重量部とを含有してなるこ
    とを特徴とするポリカーボネート樹脂製防曇流滴板。
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