JP2943856B2 - 複合型硬麻/脊麻針の長さ調整装置及び調整方法 - Google Patents

複合型硬麻/脊麻針の長さ調整装置及び調整方法

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JP2943856B2
JP2943856B2 JP8244876A JP24487696A JP2943856B2 JP 2943856 B2 JP2943856 B2 JP 2943856B2 JP 8244876 A JP8244876 A JP 8244876A JP 24487696 A JP24487696 A JP 24487696A JP 2943856 B2 JP2943856 B2 JP 2943856B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、くも膜下腔に薬剤
を投与するための複合型の脊麻/硬麻針に関し、より限
定すると、くも膜下腔に薬剤を投与する過程において硬
麻針に対する脊麻針の伸長長さを調整するための装置及
び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】当該技術分野において知られているよう
に、患者の脊髄領域に注入可能な薬剤を導入するために
は2つの方法がある。これらの方法は両方ともそれ自体
独自の利点及び不利な点を有し、これらは両方とも脊髄
麻酔又は無痛法(analgesia)を行うために使
用することができる。これらの両方法における薬剤は、
抗生物質、ステロイド等を含むあらゆるタイプの液体治
療薬とすることができるのは当然である。しかしなが
ら、一般的には、上記薬剤は、脊髄麻酔及び/又は無痛
法のために使用される試薬である。
【0003】硬麻(硬膜外麻酔:epidural)法
として知られている第1の方法は、薬剤を患者の硬膜外
腔に注入するために硬麻針(硬膜外麻酔針)を採用して
いる。ある種の硬麻針は湾曲した末端を有することを特
徴としている。これらの方法にはいくつかの欠点があ
る。薬剤は、神経根に到達するために半流動体の脂肪の
中を浸透しなければならないので、麻酔ブロックの始ま
りがしばしば遅い。更に、適切な麻酔ブロックを達成す
るために必要とされる比較的大量の薬剤を投与すること
によって毒性が生じる可能性がある。最初の投与の後
に、持続する又は延長した脊髄麻酔及び/又は無痛を患
者に提供するために、硬麻針を介して硬膜外腔にカテー
テルが挿入されることが多い。
【0004】当該技術分野において脊麻(脊髄麻酔:s
pinal)法又はくも膜下麻酔(subarachn
oid)法として知られている第2の方法は、典型的に
は、脊柱のくも膜下腔に薬剤を直接注入するために、比
較的小さいゲージ針を採用する。この方法においては、
麻酔薬が神経根に直接供給されるので、麻酔効果の始ま
りが迅速であり、また、脊麻法によって達成されるブロ
ックは硬麻法を採用することによって可能なブロックよ
りもより深いことが多い。
【0005】脊麻方法の不利な点の主な点は、術後(p
ostoperative)の副作用に関するものであ
る。硬麻法と異なり、脊麻法においては、くも膜下腔に
達するためには、硬膜が穿刺されなければならない。穿
刺穴からの脳脊髄液(CSF)の漏れによって、しばし
ば、硬膜穿刺後の頭痛(PDPH)として知られる術後
の激しい頭痛に襲われることがある。更に、硬麻法及び
脊麻法のどちらによっても低血圧が生じるが、脊麻法に
よるより迅速なブロックの開始により、硬麻法よりもよ
り著しい低血圧が生じる。更に、典型的には継続的な硬
膜ブロックのためにカテーテルを使用する硬麻法と異な
り、一回穿刺されるだけの脊麻針は、一度固定されると
麻酔ブロックを延長することはできない。
【0006】この分野における先行特許文献による報告
の調査は、例えば、米国特許第5,085,631号に
見い出すことができる。この特許は、外側針、内側針及
びこれらの2つの針の中間に設けられたカテーテルを有
する3要素からなる装置を利用するくも膜下カテーテル
の配置方法に関する。
【0007】上記の方法のいずれの利点をも提供しつつ
両方法に伴う不利な点を克服するために、複合脊麻/硬
麻法すなわち“CSE”法が開発された。CSE法にお
いては、硬麻針が一般的な方法で患者に挿入され、硬膜
を穿刺することなく硬膜外腔へと進入される。次に、患
者の背中に手を固定し且つ導入器として固定された硬麻
針を使用して、小さいゲージ用の脊麻針が硬麻針の内腔
に挿入され且つ脊麻針の末端が硬膜外腔を横切るまで進
入せしめられる。治療従事者は、自分の触覚に頼って、
末端が硬膜を貫通し且つくも膜下腔へ入ったと感じられ
るまで脊麻針を挿入し続ける。硬膜が貫通されると、治
療従事者は、脊麻針のハブのあたりに“急に軽くなる
(pop)”感覚を感じ取る。くも膜下腔への適切な配
置を確認するために、治療従事者は、通常は、脊麻針の
スタイレットを取り外すことによって脊麻針の基端にC
SFが現れるのを探し求める。
【0008】脊髄麻酔が一般的な方法で行われた後、硬
麻針を移動することなく脊麻針が抜き取られる。次に、
硬膜カテーテルが硬麻針を介して硬膜外腔に挿入された
後、硬麻針が患者の背中から抜き取られる。最後に、硬
膜カテーテルを患者の背中に貼り付けることにより硬膜
カテーテルが所定位置に固定される。
【0009】一般的に、CSE法は、治療従事者に別個
になされる硬麻法と脊麻法との各々において生じる不利
な点を補いつつこれらの方法に伴う利点を提供する。外
科医は、脊麻法によって得られる深いブロックの迅速な
開始による利点を得ることができる。硬膜カテーテル
は、持続する麻酔効果を提供し且つ脊麻法によって提供
されるブロックを延長する役目を果たす。このカテーテ
ルはまた、治療従事者の選択枝を増し且つ手術による麻
酔又は術後の痛みの軽減を行う場合の選択枝を増す。例
えば、治療従事者は、脊髄麻酔のみを行うことができ又
は硬膜麻酔及び/又は無痛法と脊髄麻酔とを組み合わせ
て行うことができる。更に、治療従事者は、種々の投与
速度により、種々の薬剤又はこれらの組み合わせを選択
することができ、脊麻法の一回だけの注射のみに制限さ
れることはない。
【0010】CSE法は、優れた麻酔除去を患者に施す
ための容易な方法を患者に提供するけれども、現状のC
SE法には多くの欠点がある。CSE法は、典型的に
は、個々の治療従事者の経験に基づいており、この方法
は、医者が経験する患者の数及びタイプに依存する。手
術環境の危急性もまたこの方法に大きく影響する。既に
説明するように、CSE法は、異なるゲージの2つの針
を相対的に挿入することによって達成される。脊麻針は
硬麻針内で自由に摺動するので、それ自体は一度挿入さ
れると、硬膜によって保持されるだけであるので、麻酔
の実施中に脊麻針が変位するという危険性がある。従っ
て、医者は、一方の手で患者の体に脊麻針を固定し、も
う一方の手で脊麻針の基端に取り付けられた注射器を固
定する必要があるので、両手を使う必要がある。医者
は、脊麻針を硬麻針と共に定位置に係止するときに両方
の手を固定しなければならない。医者は、挿入中に患者
の背中に自分の手を固定しなければならないので、スム
ーズな相対的な摺動を行うことが難しいことが多い。治
療従事者が相対的な針の挿入を評価することができるの
に必要な適正な触覚的な応答もまた、瞬間的の注意で変
化する手術環境の危急性に大きく依存する。
【0011】更に、人間の体の構造が異なることが観察
されるであろう。体の相対的な大きさ及び特に硬膜外腔
を形成している構造、硬膜の厚さ並びにくも膜下腔まで
の距離は異なるであろう。医者によるこれらの寸法の認
識は、適当な位置に針を適切に配置するのに及び特に硬
膜の不用意な穿刺を避けるのに重要である。
【0012】更に、治療従事者は、自分の経験にたよっ
て脊麻針が硬膜を貫通して十分に延びていることを確認
しなければならないばかりでなく、自分に十分な触覚的
応答か相対的な挿入を測るための認識できる方法を提供
しないかもしれないことが多い2つの別個の針に対して
上記動作を行なわなければならない。ホワイテイサ(W
hitacre)針のような典型的な鉛筆の先(ペンシ
ルポイント)型の脊麻針は、硬膜が“ポップ”した(軽
くなった)ことが感じられたときでも常にCSFを吸引
することができるわけではない。この状態において、針
が適切に配置されていることを完ぺきに確認するために
は、治療従事者は、両方の針を引き抜いて硬膜外腔すな
わちくも膜下を再度確認しなければならない。これによ
って、患者及び治療従事者の両方に不要な不快感を惹き
起こす。
【0013】更に、いくつかの場合においては、脊麻針
のハブと硬麻針のハブとが係合したときに、脊麻針を十
分に伸長させる必要がないであろう。この種の状況が起
こったときには、治療従事者は、硬麻針のハブから支持
されないで突出している脊麻針の部分によって生じる潜
在的に安全ではなく且つ不確実な状態を解消することを
強いられる。
【0014】CSE法が、異なる製造元から供給された
別個の硬麻針と脊麻針とによって行われる場合に上記の
困難性が増す。これらの場合には、寸法、公差、仕上げ
の質等によって、針同士の間の正しい摺動動作が損なわ
れるかもしれない。更に、異なる脊麻針と硬麻針とのハ
ブ同士は、しばしば嵌合せず、その結果、治療従事者が
脊麻針によって達成される相対的な伸長を確認できな
い。このことはまた、治療従事者が係止状態で硬麻針内
で脊麻針を回転させる機能に影響を与え、挿入中に硬膜
内に生じる「はためき(flap)」によって脊麻針の
孔が塞がれることを治療従事者が予想した場合又は治療
従事者が脊麻針によって提供される麻酔ブロックの程度
をより良好に管理することを望む場合に有用な回転に影
響を及ぼす。治療従事者は、CSFを検知しようとする
場合に、末端をくも膜下腔の4つの四分円の近くに配向
できるように脊麻針を回転させることを望むかもしれな
い。欠陥のあるハブが係止状態で嵌合することによっ
て、回転による利点を開発する治療従事者の能力が妨害
される。
【0015】いつくかの製造者は、良好なハブ嵌合を提
供し且つハブ同士が係合したときに脊麻針と硬麻針との
間に所定量の伸長が達成されるように、脊麻針/硬麻針
の適合した組み合わせを市販し始めている。混合(mi
xing)針において生じる問題点のいくつかはある程
度まで解消されるが、治療従事者は、依然として、ハブ
が連結されたときに固定される伸長長さによって制限を
受ける。いくらかの患者にとっては、伸長程度が固定さ
れることは、硬膜に到達するためには依然として不適当
であり、一方、他の患者にとっては必要以上であるかも
しれない。
【0016】当該技術分野におけるある程度の試みが、
針を患者の体内に挿入するか又は配置することを調整す
るために考えられた。例えば、米国特許第4,940,
458号は、硬麻針のための配置装置に関するものであ
る。硬麻針の基端において、ぎざぎざの付いたホイール
を介して外ねじが切られた硬麻針をガイドするために、
内ねじが切られたバレルが設けられている。圧力モニタ
ーは、硬麻針が硬膜外腔に入ったときを治療従事者に知
らせる役目を果たす。米国特許第5,312,375号
は、導入針と脊麻針とを採用した脊髄麻酔のための装置
に関する。脊麻針が硬膜を貫通して挿入されると、脊麻
針を導入針に関して固定するために、ねじ又は歯付きの
クランプ構造を設けてもよい。硬麻針に固定された金属
製の翼部を採用し、比較的大きなL字形状の金属製の棒
が脊麻針の硬麻針に対する位置を調整して固定するため
に2つのねじによって翼部に係合している類似の技術が
最近提案された。J.Simsaによる“29ゲージ脊
麻針の使用方法及び複合脊麻/硬麻法による固定装置”
ACTA Anaesthesiologica,スカ
ンジナビア1994年38巻439〜441頁を参照の
こと。L字形状の棒が大きい方の脚部が翼部を越えて相
対的に伸長することは脊麻針が伸長していることを示
す。脊麻針が所望の位置まで伸長せしめられると、翼部
上のねじが締められる。上記の試みのいずれも、CSE
法において最近生じている相対的な脊麻針の挿入及び不
適切な(又は現存しない)触覚的応答という上記の問題
を十分に解決するものではない。
【0017】“複合脊麻硬麻針の長さを調整するための
方法及び装置”に対して1994年8月9日に出願され
許可された米国特許出願第08/287,995号は、
脊麻針及び硬麻針の各々が別個に固定される一対の摺動
部材を特徴としている。摺動部材間に選択可能な固定さ
れた結合部を形成する作動タブが設けられている。タブ
を作動させて摺動部材のロックを解除することによっ
て、治療従事者は、硬麻針に対する脊麻針の長さを変え
るためにこれらの部材を相互に摺動させることができ
る。既に述べた問題を解決するのに有効であるけれど
も、米国特許出願第08/287,995号は,治療従
事者が脊麻針を操作する手と同じ手によって作動タブを
押し込むことを必要とする。ある程度主観的であるが、
いく人かの治療従事者は、脊麻針によって生じる触覚的
な応答が増大したことを信じて脊麻針を操作しない方の
手で作動タブを操作することを好むかもしれない。作動
タブは、また、硬麻針に対して不連続な位置に脊麻針を
係止するために複数の溝部材のうちの一つとかみ合う。
殆どの部分に対して所望の脊麻針の伸長を提供すること
は極めて有効であるけれども、硬麻針に対する脊麻針の
伸長長さが連続的に変化せしめられる場合には、治療従
事者の自由度は増す。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、現状のCS
E法に伴う欠点を大部分解消し且つ脊麻針と硬麻針との
間の良好な触覚的応答と嵌合を維持しつつ、CSE法の
実行中に脊麻針の挿入又は引き抜きを正しく監視する容
易な方法を、治療従事者に提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、CSE中に脊
麻針を硬麻針に対して伸長させ及び/又は後退させるた
めの調整装置に関する。この装置は、CSE装置の一部
として設けてもよく、又は脊麻針若しくは硬麻針のうち
の一方と共に若しくは一方に取り付けられてもよく、又
は別個のCSE装置と共に設けてもよい。この装置は、
硬麻針と脊麻針との各々が別個に固定された一対の摺動
部材を含む。これらの摺動部材は、脊麻針と硬麻針との
間の相対的な摺動動作を許容するように設けられてい
る。一つの形態においては、これらの摺動部材は、互い
に摺動自在に配設された一対の同心状の管として形成
し、最も内側の管に硬麻針が固定され、最も外側の管に
脊麻針が固定されるようにしてもよい。
【0020】脊麻針と硬麻針との間の伸長程度を調整す
るためにばね部材を設けてもよい。脊麻針の操作中にお
ける治療従事者に対する触覚的応答を最大にするため
に、ばね部材は、脊麻針が取り付けられている摺動部材
を操作していない方の手によって作動できるような形状
になされている。1つの形態においては、ばね部材は、
一片の平らなばね鋼によって形成することができ且つ一
方の端部が最も内側の管に固定され、自由端は最も内側
の管に設けられた孔を貫通してユーザーが操作できるよ
うに配設されている。ばね部材はまた、固定端と自由端
との中間に脊麻針が通る少なくとも1つの通路又は孔を
も含んでいる。治療従事者によるばね部材の操作に応じ
て、孔が脊麻針に関して以下のような関係となるように
配設される。すなわち、(a)脊麻針が孔を通って自由
に移動でき、治療従事者が最も外側の管を最も内側の管
に関して摺動させて脊麻針の硬麻針に関する伸長長さを
変化させることができ、又は(b)脊麻針の硬麻針に対
する位置を係止するために脊麻針を把持できるように孔
が配設される。不連続な係止位置がないので、脊麻針上
のばね部材の係止位置は、脊麻針の全長に沿って連続的
に変化し、脊麻針の硬麻針に対する限定されない数の位
置が提供される。
【0021】ばね部材は、脊麻針が最初に定位置に係止
され、治療従事者が自由端を作動させて孔を脊麻針との
係合状態から解除するまで孔によって把持されるような
形状とされている。別の方法として、ばね部材は、治療
従事者がばね部材を押して脊麻針に対して孔を係止する
ときまで、脊麻針が通路又は孔内を自由に通過できるよ
うな形状としてもよい。概して、治療従事者は、ばね部
材を一方の手で作動させながらもう一方の手で脊麻針を
操作し、それによって、脊麻針を定位置に係止している
構造を同じ側の手で操作することによって生じる触覚的
応答の減少を避けることができることが分かるであろ
う。
【0022】最も内側の管の外周面に形成されたマーク
は、脊麻針の末端と硬麻針の末端とが整合していること
及び硬麻針に対する脊麻針の相対的な伸長長さを、治療
従事者に提供する。
【0023】所望ならば、最も外側の管の内面又は逆に
最も内側の管の外面を、複数の平坦な面部分によって形
成し、反対側の面は比較的円筒形とすることができる。
平面部分が湾曲した面部分と係合することによって、内
側管と外側管との間の点接触が提供され、管同士の間の
係合面積を小さくして、管同士の間の耐摩擦性を減じ
て、より円滑な摺動作用と治療従事者へのより良い触覚
的応答を提供する。
【0024】
【発明の実施の形態】図面を参照すると、同じ構成部品
に対して同じ番号が付されている。図1〜5は、CSE
法の過程において硬麻針14に対する脊麻針12の伸長
長さを調整するための調整装置10の1つの実施形態を
示している。本明細書に記載した実施形態は、特に、複
合CSE法中における硬麻針に対する脊麻針の伸長程度
を調整することを記載しているが、この装置は、針の中
に針を貫通する技術、特に、この技術を使用する際に針
の長さの調整が意図されている技術を採用しているあら
ゆる装置及び/又は方法に容易に適用できることが理解
され且つ意図されている。
【0025】本明細書において使用されている“末端”
という用語は、治療従事者から最も遠い方向を意味し、
“基端”という用語は、治療従事者に最も近い方向を意
味する。
【0026】図1〜5を参照すると、硬麻針14及び脊
麻針12と組み合わされた調整装置10の全体構成が示
されている。硬麻針14は、当業者に公知であり、一般
に、末端14aと、該針の全長に亙って同針を貫通して
延びている内腔15とを含んでいる。硬麻針の末端14
aは、例えば、患者の硬膜外腔内への硬麻針の挿入を行
う治療従事者の作業を改良するために湾曲されていても
よい。治療従事者が使用中に、硬麻針及び/又は調整装
置10全体を操作することを可能にするために翼状カラ
ー20が設けられている。硬麻針14は更に、硬麻針1
4を適当な嵌合部材、シリンジ等に取り付けることを可
能にする雌型ルアーコネクタ22を有することを特徴と
している。
【0027】同様に、当業者に公知の脊麻針12は、ハ
ブのアセンブリ16と共に末端12aを含んでいる。ハ
ブのアセンブリ16は、適当な嵌合部材等の中に配置で
きる形状とされた嵌合部材18を有することを特徴とし
ている。脊麻針12には、当業者に公知のスタイレット
(図示せず)を設けて、挿入中に脊麻針の内腔13を塞
ぎ且つこの方法の実施中にCSFをチェックする一つの
方法を治療従事者に提供してもよい。
【0028】一般に、装置10は、脊麻針12と硬麻針
14とのあらゆる組み合わせを採用してもよい。硬麻針
14の有用な範囲は、8cm(3.1496インチ)な
いし約8.890cm(3・1/2インチ)であり、一
方、脊麻針12は、14.645cm(5・49/64
インチ)ないし約15.558cm(6・1/8イン
チ)の長さとすることができる。脊麻針12は、治療従
事者によって所望される特定の用途に応じて種々の標準
化された直径寸法(ゲージ)で提供することができる
が、一般的には、22ゲージないし29ゲージの脊麻針
12が最も多くの用途に対応できるであろうことが判明
した。次の表はゲージ範囲に対応する直径寸法を示す。
【0029】 皮下注射器の基準寸法表 ゲージ 外径(mm) 内径(mm) 30 0.30 0.18 29 0.33 0.20 28 0.36 0.20 27 0.40 0.25 26 0.46 0.30 25 0.51 0.30 24 0.56 0.36 23 0.64 0.38 22 0.71 0.46 21 0.82 0.56 20 0.90 0.65 19 1.08 0.80 18 1.27 0.96 17 1.50 1.17 16 1.65 1.32
【0030】脊麻針12と硬麻針14とに組み合わせら
れた調整装置10のほぼ全体像が図1〜5に広く図示さ
れている。図示された形態においては、調整装置10
は、内側円筒形すなわち管32のような第2の摺動部材
に対して摺動関係で配設された外側円筒形又は管51の
ような第1の摺動部材を含み、これらの各々は脊麻針1
2又は硬麻針14のうちの一方に固定されている。他の
形状をもくろんでもよいが、ここに開示されているよう
に、硬麻針14は、内側管32の末端に配設されたハブ
嵌合部材25を介して内側管32に取り付けられてい
る。ハブ嵌合部材25は、内側管32の末端28に配設
された雄型ルアー伸長部材30とかみ合う形状になさ
れ、ハブ嵌合部材自体は硬麻針のハブ22内へ緩く挿入
するために末端に雄型ルアー型嵌合部材24を含んでい
る。ハブ嵌合部材25は、雄型ルアー伸長部材30を介
して雌型ハブ22に直に嵌合された内側管32によって
省略することができることは、当業者によって実現され
るであろう。また、ハブ嵌合部材25は、調整装置10
の一部として或は硬麻針14の一部として設けてもよ
く、同様に、所望ならば、内側管32自体を硬麻針14
の一部として設けることができることも、当業者によっ
て実現されるであろう。例えば、内側管32は、ハブ2
2の一体部品又は延長部として形成することができる。
【0031】ここに図示するように、脊麻針12は、外
側管51の基端46と緩く且つ確実に係合する形状にす
ることができるハブ嵌合部材18を介して外側管51に
固定してもよい。組み立てられたときに、脊麻針12
は、硬麻針14の内腔15を貫通して延び、調整装置の
外側管51と内側管32との間の摺動作用によって、脊
麻針の末端12aが硬麻針の末端14aに対して軸線方
向に伸長可能である。
【0032】脊麻針と硬麻針との各々の末端12a,1
4aが、硬麻針14に対する脊麻針12の伸長長さを調
整するために、装置の操作に先立って最初に整合される
ような形状としてもよいことは、当業者によって理解さ
れるであろう。別の方法として、所望ならば、組み立て
られたときに、脊麻針の末端12aが硬麻針の末端14
aを越えてユーザーが選択可能な距離だけ予め伸長さ
れ、その後に、治療従事者が、装置の作動を介して所望
通りに脊麻針を更に伸長せしめることができるような形
状としてもよい。予め伸長させる量は、治療従事者の必
要性又は所望に応じて選択することができる。いずれの
場合にも、ユーザーの必要性又は所望に応じて硬麻針に
対する脊麻針12の種々の伸長長さ“x”(図2参照)
が可能であるけれども、約1.501cm(0.591
インチ)の伸長長さがほとんどの患者に適するのに十分
であることが判明した。しかしながら、カテーテル、針
及び皮下注射供給装置の分野の当業者は、新生児、小児
患者、特に痩せた又はでっぷり肥えた人のような特別な
用途及びその他の特別の用途のためにここに記載された
種々の構成要素に伴う他の寸法を減じるか又は増すこと
が望ましいかもしれないことを認識するであろう。
【0033】内側管32は、末端28と基端29との間
に延びている中空円筒形の管として形成し且つ外側面2
7を形成してもよい。内側管32は、ポリカーボネー
ト、金属等のような医学用途のプラスチックを含む適当
な堅固な材料によって作ることができ、所望ならば、射
出成形方法によって形成することができる。ここにおい
て以下に更に詳しく述べる目的のために、内側管32
は、当該内側管32の内側領域へのアクセスを提供する
孔36を有する。内側管32の全長及び直径は必要に応
じて又は所望の命令に応じて選んでもよいが、外径が約
0.620cm(0.244インチ)で末端28と基端
29との間で測定して約2.009cm(0.791イ
ンチ)の全長“c”がほとんどの用途に対して満足でき
る。使用前に硬麻針と脊麻針との末端14a,12aが
整合されるているならば、内側管32の基端の長さ
“d”(図3)の部分は、安定性を提供するために外側
管51内に維持すべきである。ここで、安定のためには
約0.508cm(0.200インチ)の長さ“d”が
提供され、内側管32の残りの長さ1.501cm
(0.591インチ)は、使用時における脊麻針12の
硬麻針14に対する相対的な伸長部分を表す。
【0034】治療従事者が内側管32に対する外側管5
1の相対的な伸長長さを測定する助けとするために、内
側管32の外面に複数のマーキングを設けてもよい。マ
ーキング34は、必要に応じて又は所望の命令に従っ
て、ミリメータ、センチメータ、インチ等のあらゆる測
定基準で計算してもよい。マーキング34は、脊麻針と
硬麻針の末端12a,14aの各々が十分に整合したと
きに指示が与えられるように計算してもよい。同様に、
脊麻針を予め伸長させておくことが望ましい場合には、
マーキング34は、脊麻針を予め伸長させる所望の長さ
が達成されたときを指示するように計算してもよい。硬
麻針14に対する脊麻針12の全体の伸長長さ“x”を
測るためにマーキングを採用してもよい。
【0035】外側管51は、基端46と末端44とを含
み、既に説明したように、内側管32に関して摺動でき
る関係で配設されている。内側管32と同様に、外側管
51は、医用グレードのプラスチック、金属等のような
適当な材料によって形成することができ、射出成形によ
って形成することができる。外側管51は、内側面52
と外側面53とを含む。管の外側面53は、治療従事者
による確実な把持を可能にするために種々の形態に形成
することができる。図1〜5に示された実施形態におい
ては、外側面53は湾曲面であるが、図6〜9に関して
説明するように、外側面53は六角形状とすることがで
きる。他の形状も同様に可能である。更に、外側面53
は、装置の把持を改善するために手触りを荒く又は粗面
とすることができる。外側管51の外径“b”及び長さ
“I”(図2)は、治療従事者による容易な操作を提供
し且つ既に説明したように用いられる種々の大きさの硬
麻針14/脊麻針12を収容するために、どのような寸
法にでも形成することができる。一般に、外径“b”が
約0.856cm(0.3371インチ)で長さ“I”
が約2.606cm(1.206インチ)が殆どの治療
従事者にとって満足すべきものであろう。図3におい
て、所望ならば、適当な大きさの雄型嵌合部分42を介
して基端にしっかりとかみ合わすことができるように、
内側管32の基端29にキャップ40を設けてもよい。
キャップ40は、組み立て中に内側管32の末端29に
挿入して、内側管32が外側管51の内側に配置される
ようにしてもよいことが理解されるであろう。脊麻針1
2を外側管51の基端に嵌合するときに、脊麻針12
は、孔41からキャップ40の中央を貫通して配設され
る。
【0036】脊麻針12の硬麻針14に対する長さを調
整する際に治療従事者を助けるために、内側管32と組
み合わせてばね部材60が設けられている。図示された
形状においては、ばね部材60は、ばね鋼のような平ら
なばね性の台座片によって形成してもよいが、弾性プラ
スチック等のような他の材料も同様に使用してもよい。
同様に、押しボタン構造又は摺動ラッチ構造のような他
の構造をここに記載した構造の代わりに組み入れてもよ
いことは当業者によって想到されるであろう。
【0037】ばね部材60は、例えば、ばね部材及び内
側管の各々内に形成された孔62,68を結合するねじ
66によって内側管32の内側に固定された固定端63
を有することを特徴とする。しかしながら、溶接、接着
技術等のような他の固定方法もまた採用してもよいこと
は当業者に明らかであろう。ばね部材60は、内側管3
2に設けられた孔36を貫通して配設された自由端64
を更に含む。調整装置10の作動が望まれる場合に、治
療従事者が自由端64を操作するのを助けるために、自
由端64にプラスチック製又はゴム化されたタブ部分6
5を固定してもよい。ばね部材60の固定端63は、ば
ね部材内に形成された角度が付けられた部分72に向か
って進む曲げ部80へと続いている。
【0038】ばね部材60は、脊麻針12が貫通してね
じ止めされている固定端63と自由端64との中間に設
けられた1個以上の通路又は孔70,71を有すること
を特徴とする。通路又は孔の目的は、硬麻針14に対す
る脊麻針12の可能な伸長範囲“x”に亙って可変の連
続的な係止能力を提供する方法で、ばね部材60に、脊
麻針12を硬麻針14に対してしっかりと把持又は係止
することができる手段を提供させることである。図4の
4A,4B,図5の5A,5Bに示された構造において
は、前記1個以上の孔は、角度が付けられた部分72の
両側に配設された最も末端側の孔70と最も基端側の孔
71とを含む。脊麻針12は、最も末端側の孔70及び
最も基端側の孔71の両方を貫通して配設されている。
角度が付けられた部分72は、種々の構成要素の寸法及
び脊麻針12とばね部材60の孔との間の相互作用に対
する影響に応じて、鋭角又は鈍角のようなあらゆる適当
な向きに形成してもよい。ここで、角度が付けられた部
分72は、ほぼ直角として示されている。孔は円形であ
っても非円形であってもよいことも当業者によって理解
されるであろう(図5の5C参照)。
【0039】図4の4A及び4Bは、脊麻針12の各々
の係止状態におけるばね部材60を示している。ここ
で、ばね部材60は、端縁73に設けられた最も基端側
の孔71と脊麻針12との相互作用によって脊麻針12
を把持している。所望ならば、最も末端側の孔70も同
様に最も基端側の孔71によって提供される把持作用と
組み合わせるか又はそれの代わりに脊麻針を把持する形
状とすることができることが当業者によって理解される
であろう。硬麻針14に対する脊麻針12の軸線方向の
伸長長さを変化させることが望ましいときには、治療従
事者は、ばね部材の自由端64に力“F”をかける。ば
ね部材60は、曲げ部80に沿って撓んで最も基端側の
孔71を下方にずらせて、端縁73と脊麻針12との間
の接触を解除して脊麻針を非係止状態とする(図5の5
A及び5B参照)。したがって、脊麻針12は、最も末
端側の孔70及び最も基端側の孔71の両方の中を自由
に摺動でき、治療従事者は、内側管32に対する外側管
51の軸線方向の位置を変化させることができ、硬麻針
14に対する脊麻針12の軸線方向の伸長長さ“x”を
変化させることができる。図示された構造においては、
脊麻針12は、係止位置と非係止位置との両方において
最も末端側の孔70を自由に通過することができる。
【0040】脊麻針12の所望の軸線方向の伸長長さが
観察されると、治療従事者は、自由端64から力“F”
を解放して、ばね部材60が曲げ部80に沿った元々の
角度方向に戻り、最も基端側の孔71を脊麻針12の方
へ進ませ、端縁73が脊麻針12に再度接触して脊麻針
を硬麻針に対して係止する。内側管32に対する外側管
51のユーザーが可変の伸長長さを許容することによっ
て、脊麻針12と硬麻針14との相対的な可変の伸長可
能な係止構造が提供される。
【0041】安定性及び正確な摺動動作を促進するため
には、内側管32の外側面27と外側管51の内側面5
2との間に比較的近接した径の公差を維持することが望
ましいけれども、内側管32に対して摺動するときに過
度の摩擦を防止するために、外側管51の内径“F”
(図3)は若干のクリアランスを提供すべきである。こ
こで、直径“F”は、例えば0.620cm(0.24
4インチ)の直径を有する内側管32との摩擦抵抗を防
止するためには、約0.627cm(0.247イン
チ)とすることができる。
【0042】図6〜9は、本発明による調整装置の第2
の実施形態100を示している。明確化のため及び読者
を助けるために、図1〜5の実施形態10と広く共通す
る構成要素は、同じ番号に“1”を付加した番号で示さ
れている。ここで、外側管151は、外側管151の中
心軸の周りに周状に配設された複数の平らな面158と
して形成された内側面152を備えることを特徴として
いる。ここでは、6個の平らな面158を有する六角形
状として形成されたものとして図示されているけれど
も、本発明はこれに限定されず、内側面は、必要に応じ
て又は所望の指示に従って、五角形、八角形等のような
どのような数の面を備えた形状としてもよいことは当業
者によって理解されるであろう。
【0043】上記と同様に、内側管132の外側面13
3が外側管151の平らな面158とほぼ摺動可能に接
触するように、内側管132が外側管151内に配設さ
れていることがわかるであろう。内側管132の外側面
及び外側管151の内側面がほぼ摺動接触状態にある図
1〜5の実施形態とは異なり、この実施形態において
は、内側管132の比較的湾曲した外側面133と平ら
な面158の各々との交差により複数の接触点161が
達成されている(図8の8B参照)。この構造により、
管同士の間の接触面積が減じられることが理解されるで
あろう。内側管132と外側管151との間に摺動接触
を付与することにより、管同士の間の摩擦抵抗が実質的
に減じられ、それによって、管同士の間の円滑な摺動動
作が促進され且つ治療従事者へのより良好な触覚的応答
を提供することができる。
【0044】内側管に湾曲した外面を備え、外側管の内
側に平らな面を設ける代わりに、内側管の外面に複数の
平らな面を設け、外側管の内側を湾曲させて、接触点を
提供するようにしてもよいことは理解されるであろう。
外側管151の全長が平らな面158によって形成され
る必要がないことも理解されるであろう。むしろ、内側
管132に対して相対的な摺動運動を受ける外側管15
1の軸線方向の部分のみが形成されて上記の利点を提供
する必要がある。このように、1.501cm(0.5
91インチ)の伸長長さ“x”に対して、外側管151
の末端144から測定して1.501cm(0.591
インチ)の軸線方向の長さのみに平らな面158を設け
る必要がある。
【0045】図6〜9に示されているように、ばね部材
160の第2の変形例が開示されている。ここでは、図
6〜9に示された実施形態100と関連して示されてい
るけれども、ばね部材160は、図1〜5に示された実
施形態10にも同様に適用可能であり、同様に、図1〜
5に示されたばね部材60は実施形態100において採
用してもよいことは理解されるであろう。ばね部材60
と同様に、ばね部材160も、平らなばね鋼片によって
作ってもよい。前記の実施形態と同様に、ばね部材16
0は、例えば、ねじ166によって内側管132に固定
された固定端162と、内側管132に形成された孔1
36を貫通して変位される自由端164とを含んでい
る。既に説明したばね部材とは異なり、ばね部材160
は、内側管132と外側管151とが、ユーザーがばね
部材の自由端164に力をかける前に自由に摺動できる
ように傾けられた構造となっている。図示したように、
ばね部材160は、ねじ166を介して内側管132に
固定できる基部175を形成するように角度が付けられ
た部分172で曲げられている。脊麻針112が貫通さ
れる複数の孔の代わりに、ばね部材160の固定端16
2と自由端164との中間に単一の孔170が設けられ
ている。孔170は、脊麻針112を硬麻針114に対
して定位置に係止するために係合端縁173を有するこ
とを特徴としている。
【0046】使用時においては、図8の8Aに示すよう
に、ばね部材160は、最初は、脊麻針112に対して
傾けられていて、脊麻針112が孔170の中を自由に
摺動できるようになされている。従って、治療従事者
は、硬麻針114に対する脊麻針112の所望の伸長長
さに到達するために、内側管132に対する外側管15
1の軸線方向の位置を変えてもよい(図8の8C参
照)。所望の位置に達すると、治療従事者は、ばね部材
160の自由端164に力“F”をかけて、装置を係止
する際に、ばね部材を角度が付けられた部分172の近
くで曲げ、孔170の端縁173を押して脊麻針112
と接触状態とさせる。特に、内側管132の孔136
に、当業者によって想到されるかもしれないように、ば
ね部材160を脊麻針112に対して係止位置に確実で
はあるが解除自在に保持する戻り止め又はその他の係合
部分137を設けてもよい。患者から脊麻針112を抜
き取ることを望む場合には、治療従事者は、単に自由端
164に逆方向の力を付与して、ばね部材160を戻り
止め137との係合状態から解除し且つ治療従事者が外
側管151を内側管132に対して後退させることがで
きるようにするだけでよい。
【0047】本発明の動作を以下に説明する。便宜のた
め及び冗長とならないように、図1〜5の実施形態10
を基本的に参考とする。既に説明したように、調整装置
10は、硬麻針14と脊麻針12とを含むCSE装置の
一部として設けることができ又は別個に供給された個々
の脊麻針又は硬麻針と共に又は別個に供給された且つ予
め整合されたCSE装置と共に使用するように設けられ
てもよい。例えば、装置10は、予め取り付けられる
か、別個に供給された硬麻針14か、又は別個に供給さ
れた脊麻針12の一体化された部品を形成することがで
きる。例えば、装置10は、脊麻針12のハブ部分を形
成することができる。
【0048】例えば、装置に別個に供給されるCSE装
置が設けられる場合には、上記したように、最初に硬麻
針14がハブ嵌合部材25によって内側管32に取り付
けられ、その後に、内側管32が外側管51内を摺動せ
しめられる。キャップ40が設けられている場合には、
当該キャップ40は、その後に内側管の末端29に嵌合
されて、外側管51が不用意に引き抜かれないように内
側管を固定する。その後に、脊麻針12が外側管51に
嵌合され、キャップ40(設けられている場合には)の
孔41内へ挿入される。脊麻針が末端側の孔70と基端
側の孔71との両方を貫通するためには、治療従事者
は、ばね部材60の自由端64を押し込んで、基端側の
孔71の端縁73が脊麻針12と接触しないようにする
ことができる。このようにして、脊麻針12は、ばね部
材内に設けられた1個以上の孔70,71を通過して硬
麻針14の内腔15内に配設されて保持される。調整装
置10がCSE装置の一部分として設けられる場合に
は、調整装置10は、脊麻針12と硬麻針14と共に予
め組み立てられてもよいことは理解されるであろう。
【0049】硬麻針14に対する脊麻針12の軸線方向
の伸長長さを測定するための効果的な方法を治療従事者
に提供するために、内側管32及び外側管51のような
種々の構成要素の寸法は、図11に示すように、ばね部
材60の最初の係止位置において、脊麻針の末端12a
が硬麻針の末端14aと整合するように選択される。実
際的な方法として、これは、外側管51の末端44をマ
ーキングに合わせることによって、治療従事者が、末端
が整合されていることを確認し且つそこから硬麻針14
に対して脊麻針の相対的な伸長長さを図ることができる
ように、内側管32上のマーキング34のうちの1つを
選定することによって達成することができる。
【0050】使用時には、既に説明したように、整合さ
れた脊麻針と硬麻針とが整合した状態で、治療従事者に
よって、硬膜外腔200内の適当な位置に位置決めされ
るまで、装置が患者の硬膜外腔200内に挿入される。
この位置においては、外側管51が内側管32に対して
伸長せしめられて脊麻針12が後退状態となっており
(図1及び4)、脊麻針の末端12aと硬麻針の末端1
4aとが整合している。
【0051】硬麻針が適正に配置されると、治療従事者
によってばね部材60が作動され(押し込まれ)、基端
側の孔71が脊麻針12との係合状態から解除され、外
側管51は内側管32に関して末端方向に軸線方向に摺
動させることができる。治療従事者は、一方の手でばね
部材60を押し込み、他方の手で外側管51を操作する
であろう。それ自体が硬麻針14に固定された内側管3
2は、患者に対して固定されたままであろう。以前に述
べたように、治療従事者は、必要な場合又は所望の場合
に、翼状カラー20を操作して硬麻針14に対する付加
的な指示を提供するために、更に手を使用してばね部材
60を作動させてもよい。
【0052】外側管51を軸線方向末端に向かって前進
させ続けることによって、脊麻針12は、硬麻針14の
中を伸長せしめられて(図2及び図5の5A)、硬膜2
02を貫通してくも膜下腔204内に届く(図12)。
治療従事者は、再度、脊麻針の相対的な挿入を評価する
手段としてのマーキング34に対する外側管51の末端
44の相対的な位置を監視することができる。以前に述
べたように、種々の構成要素の寸法は、外側管51が最
大位置まで軸線方向前方へ摺動されたときに、脊麻針1
2が硬麻針14に対して相対的な伸長長さ“x”(図2
参照)を有するように、必要に応じて又は所望の指示に
従って選択してもよい。中間伸長位置“Y”(図12参
照)は、内側管32に対する外側管51の末端44の相
対的な位置に基づいて治療従事者によって選択されても
よい。
【0053】適当な位置を選ぶときに、治療従事者は、
ばね部材60にかけていた力“F”を解除して、ばね部
材60を角度が付けられた部分72の近辺を元に戻し、
孔70(及び特に端縁73)を脊麻針12と係合させる
であろう。次いで、内側管32に対する外側管51の位
置が係止される。スタイレットが設けられている場合に
は、このスタイレットは、CSFを検知するために治療
従事者によって取り外すことができる。雄型ルアー嵌合
部24と硬麻針14のハブ22との間の回転可能な嵌合
及び/又は内側管32の雄型ルアー伸長部30とハブ嵌
合部材25との間の回転可能な嵌合を設けることによ
り、治療従事者は、硬麻針に対して脊麻針を係止位置に
維持しつつ、くも膜下腔202の4つの四分円全ての中
で脊麻針を回転させることができることも理解できるで
あろう。
【0054】図10〜12に示されていないけれども、
別の形状を硬麻針14に対する脊麻針12の所望の予め
の伸長長さを選択できるようにして、マーキング34の
うちの1つ(又は1以上)が所望の予めの伸長長さが達
成されたときを指示するように選択することができる。
硬麻針は、最初は、硬膜外腔内に配置し、その後、既に
述べた方法で脊麻針を外側管に嵌合し且つ硬麻針を貫通
させ、脊麻針の末端を所望の予め設定された伸長長さま
で硬麻針の末端を越えて伸長させる。脊麻針の所望の予
め設定された伸長長さが末端12aがくも膜下腔204
内に配置されない場合には、治療従事者は、次いで、既
に述べた方法により、装置を作動させて、硬麻針14に
対して脊麻針12を更に伸長させることができる。
【0055】図13には、本装置の別の構造が示されて
いる。この構造においては、ばね部材の本体内に形成さ
れた1以上の通路又は孔を有するばね部材の代わりに、
脊麻針312を把持するためにコイルばね350が設け
られている。コイルばね350は、内側管332に形成
された孔(図示せず)を貫通して設けられた自由端35
8と内側管332の内側に取り付けられた固定端356
とを有することを特徴とする。コイルばね350は、固
定端と自由端との中間において脊麻針312の周囲に配
設された複数の巻回部352を含んでいる。この複数の
巻回部は、脊麻針312の外周に配設された複数の貫通
通路354を形成する。コイルばね350は、係止位置
において、1以上の巻回部352が脊麻針312と係合
して脊麻針312の硬麻針(図示せず)に対する位置を
係止するような形状とすることができる。コイルばねの
自由端が適正に操作されると、脊麻針312は、貫通路
354内を自由に通過でき、治療従事者は、外側管35
1を内側管332に関して移動させて硬麻針に対する脊
麻針の伸長長さを所望通りに調整することができるであ
ろう。本発明の付加的な更に別の形態を考案することが
できることは当業者によって理解されるであろう。従っ
て、本発明は図示された特定の実施形態に限定されるも
のではない。
【0056】
【発明の効果】このようにして、以上に述べた調整装置
は、治療従事者に、安全で且つ確実な方法でCSE法を
実行する容易で且つ確実な方法を提供することが理解さ
れるであろう。本装置は、容易に作動することができ且
つ治療従事者に、スムーズで安定した摺動作用と重要な
触覚的応答を提供しつつ、脊麻針の正しく且つ連続的な
可変の伸長が可能となる。脊麻針は、片方の手でばね部
材を作動させながら、もう一方の手で容易に操作するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】CSE装置と組み合わせて使用される本発明の
調整装置の第1の実施形態の斜視図であり、脊麻針が後
退した状態が示されている。
【図2】図1の調整装置の斜視図であり、脊麻針が硬麻
針の内腔を通って伸長せしめられた状態を示している。
【図3】図1の調整装置の分解斜視図である。
【図4】4Aは、図1の線1−1に沿って断面した図1
の調整装置の側方破断断面図であり、ばね部材によって
脊麻針が係止されている状態を示している。4Bは、4
Aに示されたばね部材と脊麻針との間の相互作用を示す
部分断面図である。
【図5】5Aは、図1の調整装置の側方破断断面図であ
り、脊麻針との係合状態から解除するためにばね部材が
作動せしめられた状態を示している。5Bは、5Aに示
されたばね部材と脊麻針との間の相互作用を示す部分断
面図である。5Cは、ばね部材の閉塞されていない開口
部を示す部分断面図である。
【図6】本発明による調整装置の第2の実施形態の斜視
図である。
【図7】図6の調整装置の分解斜視図である。
【図8】8Aは、図6の線8−8に沿って断面した図6
の調整装置の側方破断断面図であり、ばね部材が脊麻針
に対して係止解除されている状態を示している。8B
は、点接触状態で摺動するために外側管に関して配置さ
れた内側管を示す端面図である。8Cは、図8に示され
たばね部材と脊麻針との間の相互作用を示す部分破断断
面図である。
【図9】9Aは、図6に示した調整装置の側方部分破断
断面図であり、脊麻針がばね部材によって把持されて係
止されている状態を示している。9Bは、9Aに示され
たばね部材と脊麻針との間の相互作用を示す部分破断断
面図である。
【図10】患者の硬膜外腔内への硬麻針の配置状態を示
す断面図である。
【図11】脊麻針の伸長前の、硬麻針の内腔内での脊麻
針の配置及び両方の針の末端の整合状態を示す断面図で
ある。
【図12】患者の硬膜を貫通してくも巻く下腔内へと脊
麻針が伸長された状態を示す断面図である。
【図13】本発明による調整装置の第3の実施形態の部
分断面側面図である。
【符号の説明】
10 調整装置、 12 脊麻針、 14 硬麻
針、16 ハブアセンブリ、 20 翼状カラー、2
2 雌型ルアーコネクタ、 25 ハブ嵌合部材、
32 内側管、40 キャップ、 51 外側管、
60 ばね部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)特許権者 595117091 1 BECTON DRIVE, FR ANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNI TED STATES OF AMER ICA (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61M 5/18 - 5/34

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硬麻針に対する脊麻針の伸長長さを調整
    するための装置であって、 前記硬麻針を固定するための第1の部材と、 前記第1の部材に対して摺動自在に配設された前記脊麻
    針を固定するための第2の部材と、 前記脊麻針を前記硬麻針に対して選択可能に係止するた
    めのばね部材であって、前記第1の部材に固定された一
    端と、治療従事者が操作することができる自由端と、同
    固定端と自由端との中間に形成され前記脊麻針が内部に
    配設される少なくとも1つの通路と、を有するばね部
    材、とを含み、 前記ばね部材が、前記少なくとも1つの通路に隣接した
    前記ばね部材の一部分が前記脊麻針と係合して前記第1
    の部材を前記第2の部材に対して係止される係止位置
    と、前記脊麻針が内部を自由に摺動できるようにして前
    記第2の部材が前記第1の部材に対して摺動して前記硬
    麻針に対する前記脊麻針の伸長長さを調整することがで
    きる非係止位置と、の間で撓むことができるようになさ
    れた装置。
  2. 【請求項2】 前記第2の部材が内側キャビティを形成
    し、前記第1の部材が同内側キャビティ内に摺動自在に
    配設されている、請求項1に記載の装置。
  3. 【請求項3】 前記第1の部材が管である、請求項1に
    記載の装置。
  4. 【請求項4】 前記少なくとも1つの通路が2つの通路
    からなる請求項1に記載の装置。
  5. 【請求項5】 硬麻針に対する脊麻針の伸長長さを調整
    するための装置であって、 基端と、末端と、外側面を形成する側壁と、内側面と、
    前記側壁を貫通した孔と、内部に形成されたキャビティ
    と、を有し且つ前記末端には前記硬麻針のハブが固定で
    きる内側管と、 基端と、末端と、を有し、第2のキャビティを形成して
    いる外側管であって、前記内側管の前記外側面が前記外
    側管の前記第2のキャビティ内に実質的に摺動可能に配
    設され、前記脊麻針が前記内側管のキャビティ内を貫通
    した状態で同脊麻針のハブが同外側管の基端に固定可能
    であるようになされた外側管と、 前記脊麻針を前記硬麻針に対して選択可能に係止するた
    めのばね部材であって、前記内側管に固定された一端
    と、治療従事者が操作することができるように前記孔を
    貫通して配設された自由端と、同固定端と自由端との中
    間に形成され前記脊麻針が内部を貫通している少なくと
    も1つの開口部と、を有するばね部材であって、前記少
    なくとも1つの開口部に隣接した同ばね部材の一部分が
    前記脊麻針と係合して前記硬麻針に対する前記脊麻針の
    位置を係止する係止位置と、前記少なくとも1つの開口
    部が同開口部内を前記脊麻針が自由に摺動できるように
    して前記外側管が前記内側管に対して軸線方向に摺動で
    きて前記硬麻針に対する前記脊麻針の軸線方向の伸長長
    さを変えることができる非係止位置と、の間で撓むこと
    ができるようになされた装置。
  6. 【請求項6】 前記ばね部材が、前記固定端と自由端と
    の中間において角度が付けられた部分を含む非直線状に
    形成されている、請求項5に記載の装置。
  7. 【請求項7】 前記少なくとも1つの開口部の形状が実
    質的に丸くなされていない、請求項5に記載の装置。
  8. 【請求項8】 前記内側管に設けられた孔が、前記ばね
    部材を前記係止位置に保持するための戻り止めを含む、
    請求項5に記載の装置。
  9. 【請求項9】 前記ばね部材が前記固定端と自由端との
    中間において角度が付けられた部分を含む非直線状に形
    成されており、前記少なくとも1つの開口部が前記角度
    が付けられた部分の両側に配置された2つの開口部から
    なる、請求項5に記載の装置。
  10. 【請求項10】 前記2つの開口部が最も末端側の開口
    部と最も基端側の開口部とからなり、同最も末端側の開
    口部は、前記脊麻針が前記ばね部材の係止位置と非係止
    位置との両方において摺動するのを許容するような形状
    になされており、前記最も基端側の開口部は、前記ばね
    部材が係止位置にあるときに前記脊麻針を係止するよう
    になされている、請求項9に記載の装置。
  11. 【請求項11】 前記内側管が、前記内側管に対する前
    記外側管の軸線方向の位置を測るための同内側管の軸線
    に沿って形成された複数のマーキングを含む、請求項5
    に記載の装置。
  12. 【請求項12】 硬麻針に対する脊麻針の伸長長さを調
    整するための方法であって、 前記脊麻針及び前記硬麻針の各々を、ほぼ同心状に配設
    された一対の摺動部材に別個に取り付け且つ同脊麻針を
    同硬麻針の内腔内に摺動自在に配置することによって、
    ユーザーが調整できる複合脊麻硬麻針装置を形成するこ
    とと、 前記脊麻針と選択的に係合して前記硬麻針に対して前記
    脊麻針を選択的に係止することができる開口部を有する
    ばね部材であって、前記硬麻針に取り付けられた前記摺
    動部材に固定された一端と、治療従事者によって操作可
    能な自由端とを有する、ばね部材を設けることと、 前記硬麻針に対する前記脊麻針の伸長長さを調整するた
    めに、前記摺動部材を相対的に移動させることと、の各
    段階からなる方法。
  13. 【請求項13】 前記脊麻針と前記硬麻針との各々を前
    記同心状に配設された摺動部材の対に別個に取り付ける
    段階が、前記硬麻針を前記最も内側の摺動部材に取り付
    ける段階と、前記脊麻針を前記最も外側の摺動部材に取
    り付ける段階と、からなる、請求項12に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記硬麻針に対する前記脊麻針の伸長
    長さを調整する前記段階が、前記最も外側の摺動部材を
    前記最も内側の摺動部材上に形成された前記硬麻針に対
    する前記脊麻針の伸長程度に調整された一組のマーキン
    グに対して移動させる段階を更に含む、請求項13に記
    載の方法。
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