JP2943594B2 - ソーダ電解陽極用チタン材 - Google Patents
ソーダ電解陽極用チタン材Info
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Description
に接し、かつ水酸化ナトリウムのようなアルカリの混入
の可能性のあるソーダ電解プラントの陽極用チタン材に
関する。
膜法によって行われている。隔膜法は、イオン交換膜で
ある隔膜で区画された陽極室と陰極室とを用い、食塩水
を陽極室に連続的に供給してまず陽極表面で塩素を放出
し、次いで陰極室に送って今度は陰極面で水素を発生さ
せ、陽極室から隔膜で隔てられた陰極室に蓄積された水
酸化ナトリウムを回収する方法である。この陽極室には
80〜100 ℃、10〜25%NaCl水溶液が入れられ、操業中は
塩素ガス発生電位 (約+1.2 〜1.4 V 標準水素電極基
準) になるように外部電源から電圧が加えられているた
め、環境としては中性での塩素腐食性高温環境である。
ウム、パラジウム、イリジウム等の金属の酸化物が被覆
され電解効率が改善されているが、陽極寿命向上のため
にはその母材となるチタン材自体の耐食性向上が必要と
なっている。
陽極として、その本体を構成する耐食性材料には、従来
より、塩素ガス、塩素イオン等に対するすぐれた耐食性
を示す材料として知られている純チタンが広く使われて
いる。
腐食に関しては純チタンはすぐれた耐食性を示すが、電
極支持部などのように電極面を適宜把持手段で支持・固
定するときのように、固定部材と電極面との間に非常に
微細な隙間が存在するとNaCl溶液中といえども純チタン
の耐食性劣化は避けられないことが判明した。
化物環境における耐隙間腐食性の良好な材料としては、
チタン合金が使用されることがあり、そのような合金と
しては、Ti−0.15Pd (ASTM、Grade 7)、Ti−0.8 Ni−0.
3 Mo合金 (ASTM、Grade 12)、Ti−(0.005〜0.2 %) Ru
−(0.01 〜2.0 %) Ni合金 (特開昭61−127844号公報参
照) 、Ti− (0.03〜0.1 %) Pd合金 (特開昭63−118034
号公報参照) が開発されている。特に、上記特開昭61−
127844号公報に開示されたTi−0.05%Ru−0.5%Niは、
ソーダ電解陽極環境である80〜100 ℃、10〜25%NaCl溶
液中においても良好な耐隙間腐食性を示すことが報告さ
れている (「ソーダと塩素」No.12,1987年、pp.21 〜2
3) 。
に代えてチタン合金をソーダ電解用陽極材料として使用
することが考えられるが、今度は、アルカリ環境下での
腐食という問題が生じた。以下、このアルカリ環境下で
の耐食性を耐アルカリ腐食性という。
と陽極室との境界にあるイオン交換膜の経時劣化により
陰極室から陽極室へのアルカリ成分の流入が生じること
がしばしばあり、このような正電圧がかかった状態のア
ルカリ環境下では、今度は、純チタン材ばかりでなく、
Ti−0.05%Ru−0.5 %Ni合金も腐食してしまうという問
題があった。
極材の寿命改善のためには、従来の耐隙間腐食性で評価
される耐食性ばかりでなく耐アルカリ耐食性も同時に必
要とされるが、このような特性を有する材料は知られて
いなかった。
での耐隙間腐食性に優れるとともに、かつ耐アルカリ腐
食性にも優れたソーダ電解用チタン材を提供することに
ある。
環境におけるチタン材の耐食性、特に耐隙間腐食性を検
討し、以下の知見を得て、本発明を完成した。
あるが、PdやNiを単独で添加あるいはNiとMoまたはNiと
Ru同時にチタンに添加することによりチタンの耐隙間腐
食性は改善され、適正な添加量であればソーダ電解環境
において十分な耐隙間腐食性が得られた。
カリ腐食性 (アルカリ環境での耐食性) は、チタン合金
と比較してむしろ純Tiが良好であり、Fe、Ni、Moを添加
すると、この耐アルカリ腐食性は低下する傾向を示し、
Fe、Ni量が増えた場合に特に顕著な劣化が認められ、Pd
はほとんど耐アルカリ腐食性に影響を与えないだけでな
く、微量添加した場合にはより改善されることがわかっ
た。
リ腐食性は、市販材Ti−0.15Pd (ASTMGrade 7) も良好
であったが、Pdを添加しすぎると僅かではあるが腐食速
度の増加が認められたため、Pd添加量は0.15%未満の方
が好ましく、Pd添加量をGrade7 よりも抑えて添加した
耐食性材料がソーダ電解用の陽極材として適正である。
加量がGrade 7 よりも少量であり、より低コストの材料
であるメリットもみられる。 Pdと同時にRu添加も検討した結果、Pdよりは効果が低
いもののRu添加によっても、Pdと同様な効果が得られる
ことが分かった。
−(0.03 〜0.1%) Pd合金が開示されているが、その用途
は発電所の復水器のように中性環境下での耐隙間腐食性
を示す用途について記載されているだけである。このよ
うな耐アルカリ腐食性は予想外といえる。
量%で、PdおよびRuの1種または2種それぞれ: 0.01〜
0.10%、Fe:0.20%以下、酸素:0.30%以下、残部不可
避的不純物およびチタンからなる合金組成を有すること
を特徴とするソーダ電解陽極用チタン材である。
た理由を述べる。なお、本明細書において「%」は特に
ことわりがない限り、「重量%」である。
間腐食性と耐アルカリ耐食性を向上させるが、耐隙間腐
食性と耐アルカリ耐食性を向上するには、それらの1種
または2種を、それぞれ、0.01%以上の添加が必要であ
り、一方、0.10%を越えるPdまたはRuを添加しても耐隙
間腐食性は飽和するだけでなく、アルカリ腐食量も増加
する傾向にあるため、本発明においては、それらの1種
又は2種をそれぞれ0.10%以下に制限する。好ましく
は、それぞれ、0.03〜0.07%である。
る機械的性質の改善効果があるが、0.20%を越えると耐
隙間腐食性、耐アルカリ耐食性ともに劣化するために、
本発明においては0.20%を上限とする。好ましくは、0.
15%以下である。
があるが、冷間加工性を低下させない範囲である0.30%
を上限とする。好ましくは、0.10%以下である。
として一般にCおよびNが含まれるが、成分制御が困難
であり、市販板材に含まれる程度の量 (0.005 〜0.015
%)であれば、本発明においては特に問題とならない。
述べたように、従来の純チタンは、ソーダ電解陽極用と
しては、中性腐食環境下で用いられるかぎり、十分に実
用的な耐食性を示すが、製造コスト低減が強く求められ
る現在は、耐隙間腐食性の改善が求められ、純チタンに
代えてチタン合金が使用される傾向にある。しかし、そ
の後の研究開発の結果、隔膜劣化に伴うアルカリ液流入
により陽極室がアルカリ化した場合にはそれまで十分な
耐食性を示しているチタン合金でも著しい寿命劣化が見
られる。この原因についてはまだ十分に解明されておら
ず、例えばNiとTiの金属間化合物による不働態膜の破壊
のためと考えている。しかし、本発明にあっては、チタ
ン合金であっても前述のように、成分組成を特定したチ
タン合金を用いることで耐隙間腐食性および耐アルカリ
腐食性にみられる耐食性劣化の問題回避を図っているの
であり、これは予想外といえる。次に、本発明の作用に
ついて実施例によってさらに具体的に説明する。
た。製造にあたっては非消耗電極式プラズマアーク溶解
炉を用いて、厚さ20mm×幅75mm×長さ95mmの角型インゴ
ットを溶製した。その後、真空中で1100℃×24hrの均質
化熱処理を行い、熱間鍛造、熱間圧延、機械加工、真空
焼鈍 (720 ℃×0.5hr)を行った。
さ2mm×一辺30mm正方形ならびに厚さ2mm×直径15mm円
形の試験片を作製し、前者を隙間腐食試験に、後者をア
ルカリ腐食試験にそれぞれ供した。いずれの場合も試験
片表面をエメリー紙#320で研磨後、アセトンで脱脂洗浄
後乾燥し、各試験に供した。
ン板を試験片−テフロン板−試験片の順に並べて、一辺
30mmの正方形の中央の穴に純Tiボルトを通し、大気焼鈍
により酸化処理した純チタン製ナットで締め付けること
で隙間を形成させた試験片を、ガラス容器に入れた90℃
の25%NaCl溶液中に浸漬し、720hr 腐食試験後、隙間部
の腐食を目視観察し腐食の有無を調べた。
とはテフロン製ブッシュで絶縁しており、締め付け力は
トルクレンチを用いて10 kgf-cm 一定とし、NaCl溶液は
非脱気状態で用いた。1材質につき3組の試験片を用
い、それぞれの結果を求めた。
電源を用い90℃、30%NaOH水溶液中で試験片がアノード
分極されるように+1.3 V (標準水素電極基準) に設定
し、200hr 保持した後の重量変化より試験片腐食速度を
計算した。なお、NaOH溶液は非脱気状態で試験した。従
来材として JIS2種純チタン市販材、ASTM Grade 7、12
市販材を用いた。
実施例No.1〜10は本発明材、No.11〜12は従来材、No.13
〜21は比較材である。耐隙間腐食性については腐食な
し (○印) 、耐アルカリ腐食性については腐食量0.10mm
/y以下である場合、合格とする。
来材No.11 は純チタン材であり耐隙間腐食性が不十分で
あり、同じく従来材No.12 のASTM Grade7 は耐隙間腐食
性に優れるが耐アルカリ腐食性はやや不十分であり、従
来材No.13 のASTM Grade 12 は耐アルカリ腐食性が不十
分である。
ては0.01%以下では耐隙間腐食性改善が不十分であり、
0.25%では耐アルカリ腐食性が比較材No.18 の場合より
やや低下し、Pdを多く添加するメリットが全くないこと
が分かる。
の場合と同様、0.01%以下では耐隙間腐食性が不十分で
あり、0.24%では耐隙間腐食性は飽和し耐アルカリ腐食
性に低下が認められるために0.10%超の添加はメリット
ないことが分かる。
量が多すぎると耐隙間腐食性と耐アルカリ腐食性のいず
れも劣化する。比較材No.20 、21はNiの影響を示してお
り、従来材No.13 の場合と同様、Niは耐隙間腐食性改善
には効果あるものの、耐アルカリ腐食性を顕著に低下さ
せることが分かる。これからも耐隙間腐食性および耐ア
ルカリ腐食性のいずれにもすぐれた効果を示すという、
本発明の予想外の効果が明らかである。
量をむしろ低減することで電極寿命延長の阻害要因であ
る耐アルカリ腐食性を改善できるのであって、安価な手
段でもって耐隙間腐食性に優れかつ耐アルカリ腐食性に
も優れたソーダ電解陽極用チタン材が得られるというこ
とから、本発明の実用上の価値は大きい。
Claims (1)
- 【請求項1】 重量%で、 PdおよびRuの1種または2種それぞれ: 0.01〜0.10%、
Fe:0.20%以下、 酸素:0.30%以下、 残部不可避的不純物およびチタンからなる合金組成を有
することを特徴とするソーダ電解陽極用チタン材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6021133A JP2943594B2 (ja) | 1994-02-18 | 1994-02-18 | ソーダ電解陽極用チタン材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6021133A JP2943594B2 (ja) | 1994-02-18 | 1994-02-18 | ソーダ電解陽極用チタン材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07228934A JPH07228934A (ja) | 1995-08-29 |
JP2943594B2 true JP2943594B2 (ja) | 1999-08-30 |
Family
ID=12046403
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6021133A Expired - Lifetime JP2943594B2 (ja) | 1994-02-18 | 1994-02-18 | ソーダ電解陽極用チタン材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2943594B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7087861B2 (ja) * | 2018-09-11 | 2022-06-21 | 日本製鉄株式会社 | チタン合金及びその製造方法 |
US20220364206A1 (en) * | 2019-10-30 | 2022-11-17 | Nippon Steel Corporation | Titanium alloy |
-
1994
- 1994-02-18 JP JP6021133A patent/JP2943594B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07228934A (ja) | 1995-08-29 |
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