JP2943364B2 - アルミニウム又はアルミニウム合金の無電解着色法 - Google Patents

アルミニウム又はアルミニウム合金の無電解着色法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウム又はアル
ミニウム合金の無電解着色法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のアルミニウム又はアルミニウム合
金の陽極酸化皮膜の着色法としては、種々のものが知ら
れているが、その代表例を挙げれば次のとおりである。 交流電解法により、金属をアルミニウム陽極酸化皮膜
に析出することにより着色する方法(従来例と称す
る)であり、耐候性、耐熱性、耐摩耗性に優れているこ
とから建材などのアルミサッシ等に実用化されている。 無電解法ににより、金属をアルミニウム陽極酸化皮膜
に析出することにより着色する方法であって、より具体
的には、次のとおりである。
【0003】(1)無電解めっきのでの金属の析出の触
媒剤の付与としてセンシタイジングアクチベーション等
の従来の樹脂めっき上への処理方法により対応をした特
公昭52−4496号公報(従来例−(1)と称す
る)、(2)触媒核を電気化学的に析出させて着色の安
定性をねらった特公平2−45704号公報(従来例
−(2)と称する)、
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記従来例にあって
は、電気的に金属を析出させる為、着色における色のバ
ラツキ等が発生しやすい等の問題を有する。
【0005】前記従来例−(1)にあっては、増感処
理でのパラジウムを安定に析出させることが困難である
為、色ムラ等が発生しやすい等の問題を有する。
【0006】前記従来例−(2)にあっては、前記従
来例−(1)と同様色ムラ等が発生しやすい等の問題
を有する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記問題に鑑
みなされたもので、その目的とするところは、色ムラや
色のバツキの発生を防止したアルミニウム又はアルミニ
ウム合金の無電解着色法を提供することであって、アル
ミニウム又はアルミニウム合金を陽極酸化し、多孔性陽
極酸化皮膜を形成し、該陽極酸化皮膜をシラン系カップ
リング剤で処理後、パラジウム錯塩溶液に浸漬し、次い
で無電解めっきすることにより前記陽極酸化皮膜に金属
を析出させて着色するようなしたアルミニウム又はアル
ミニウム合金の無電解着色法を要旨とするものである。
【0008】アルミニウム又はアルミニウム合金に対す
る多孔性陽極酸化皮膜の形成は、従来公知の方法、例え
ば、硫酸、クロム酸などの鉱酸水溶液や、シュウ酸など
の有機カルボン酸や、スルホサリチル酸などといった有
機スルホン酸と硫酸などの混酸により陽極酸化処理すれ
ばよい。
【0009】次に、多孔性陽極酸化皮膜を形成したアル
ミニウム又はアルミニウム合金をシラン系カップリング
剤を含む水溶液又はアルコール等を含む水溶液中に浸漬
することにより、シラン系カップリング剤により表面を
化学修飾する。このようなシラン系カップリング剤とし
ては、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチル
トリエトキシシラン、アミノメチルトリブトキシシラ
ン、アミノエチルトリメトキシシラン、アミノエチルト
リエトキシシラン、アミノエチルトリプロポキシシラ
ン、アミノエチルトリブトキシシラン、アミノプロピル
トリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラ
ン等のアミノシランや、α−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエ
トキシシラン、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)
エチルトリメトキシシラン等のエポキシシランや、γ−
メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプ
トトリエトキシシラン等のメルカプトシラン化合物が挙
げられる。
【0010】これらのシラン系カップリング剤は、前記
したように水溶液又はメタノール、エタノール、イソプ
ロピルアルコール、ブタノール等のアルコールを含む水
溶液として使用されるが、その濃度としては0.01〜
10重量%が最適であり、又、処理温度としては室温〜
70℃程度であればよく、これらの液に陽極酸化皮膜を
形成したアルミニウム又はアルミニウム合金を浸漬すれ
ばよい。
【0011】次に、シラン系カップリング剤で処理した
アルミニウム又はアルミニウム合金は、パラジウム錯塩
水溶液に浸漬することによりパラジウム錯塩を吸着させ
るわけであるが、バラジウム塩としては、塩化パラジウ
ム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、シアン化パラジ
ウム等が用いられる。これらの濃度としては0.01〜
10重量%程度であればよい。
【0012】次に、パラジウム錯塩溶液で処理したアル
ミニウム又はアルミニウム合金に金属を無電解法により
析出させるが、析出させる金属としては、Cu、Cu−
Ni−P、Ni−Co−P、Au−Ni−W−P、Ni
−P、Ni−B、Co−P、Co−B、Fe、Sn、A
u、Pd、W等が用いられるが、これらの金属は一種又
は二種以上析出させてもよい。これらの金属を析出させ
るためには、次亜リン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナト
リウム、ヒドラジン、ホルマリンなどの還元剤、乳酸、
コハク酸、グリシン、酒石酸、アラニン、クエン酸など
の錯化剤、チオ尿素、有機酸鉛塩などの安定剤を含む着
色溶液が用いられる。
【0013】
【作用】多孔性陽極酸化皮膜を形成した後、シラン系カ
ップリング剤で前処理する工程があるので、アルミニウ
ム又はアルミニウム合金の細孔、及びその他に、アルミ
ニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化皮膜とシラン系
カップリング剤のシラノール基とが共有結合し、シラン
系カップリング剤が均一に付着し、これによって、その
後の処理(増感処理)により得られるパラジウム錯塩と
シラン系カップリング剤の官能基(アミノ基、エポキシ
基、チオール基)に吸着し、パラジウム錯塩の均一な付
着が助長、促進される。その結果、最終工程である金属
の析出を均一となすことができる。
【0014】
【実施例】
実施例1.アルミニウム材としてJIS 1080材の
板を用い、硫酸濃度15%、温度20℃、電流密度1.
5A/dm2 にて30分間処理することにより多孔性酸
化皮膜を10μm形成した。処理後水洗し水とエタノー
ルの混合比が9:1の溶媒にγ−アミノプルピルエトキ
シシラン0.25重量%添加した液に室温にて10分間
浸漬した。次に、塩化パラジウム塩酸水溶液(塩化パラ
ジウム0.02重量%、塩酸35% 2ml/l)に室温
にて10分間浸漬し塩化パラジウムを吸着させた。その
後、次亜リン酸ナトリウム10g/l、ヒドロキシ酢酸
ナトリウム50g/l、酢酸鉛0.001g/l、pH
4.5、50℃の着色液に浸漬しNi−Pを析出させる
ことにより黒色系の皮膜を得た。
【0015】実施例2.実施例1に使用したアルミニウ
ム板を実施例1と同様に処理し陽極酸化皮膜を形成し
た。処理後水洗し水とイソプロピルアルコールの混合比
が8:1の溶媒にアミノエチルトリエトキシシラン0.
2重量%添加した液に30℃にて5分間浸漬した。次
に、塩化パラジウム塩酸水溶液(塩化パラジウム0.0
2重量%、塩酸35% 2ml/l)に室温にて10分間
浸漬し塩化パラジウムを吸着させた。その後、硫酸銅7
g/l、酒石酸カリウムナトリウム75g/l、トリエ
タノールアミン10ml/l、ホルマリン(37%)25m
l/l、水酸化ナトリウム10g/l、シアン化ナトリウ
ム0.125g/l、pH8.0、40℃の着色液に浸漬
し銅を析出させることにより褐色の皮膜を得た。
【0016】
【発明の効果】実施例1及び2により得られた着色皮膜
は、均一で色ムラや処理物ごとの色のバラツキがなく、
且つ、密着性、耐候性、耐食性などにおいても優れてい
るものであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C25D 11/18 302 C25D 11/18 C25D 11/18 311

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム又はアルミニウム合金を陽
    極酸化し、多孔性陽極酸化皮膜を形成し、該陽極酸化皮
    膜をシラン系カップリング剤で処理後、パラジウム錯塩
    溶液に浸漬し、次いで無電解めっきすることにより前記
    陽極酸化皮膜に金属を析出させて着色するようなしたア
    ルミニウム又はアルミニウム合金の無電解着色法。
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