JP2941637B2 - Vad法による光ファイバプリフォームの製造方法 - Google Patents

Vad法による光ファイバプリフォームの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光ファイバの製造方法
に関し、特に、VADプロセスによりガラスロッドの上
にジャケットスートを堆積する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】気相軸方向堆積(vapor axial depositi
on)によりガラス光ファイバを製造するステップの1つ
として、ガラスコアロッドの上にガラス粒子(すなわ
ち、ジャケットガラススート)を堆積するステップがあ
る。このステップは、バーナーにガラス原材料と燃料を
供給して、このバーナーが火炎内の気体ガラス原材料を
ガラスロッドの方向に向ける。この火炎によりガラス原
材料は反応して、コアロッドの上にガラス粒子(ガラス
スート)を堆積させる。このコアロッドはその上端部で
最初に初期堆積し、垂直方向に伸びる。その後、垂直方
向に移動し、回転しながら移動して、ガラススートがそ
の全長にわたり、そして、周囲に沿って堆積する。堆積
後、このコアロッドの周囲のスート、すなわち、スート
ブールを炉の中で焼き入れして、ガラスプリフォームを
形成する。このプリフォームは通常細長いもので、その
後、光ファイバが引き抜かれるソースとして用いられ
る。
【0003】光ファイバは非常に広範囲にわたって使用
され、その結果、製造コストを下げるのに多大な努力が
なされている。上記したようにジャケット層を形成する
ステップはスートブールのクラックを引き起こし、これ
によりプリフォーム全体が使用できなくなる。さらに、
またこのプリフォームを製造するのに必要なコストまた
は時間を増加させることなく、光ファイバプリフォーム
の歩留まりを増加させる努力がなされている。
【0004】図1に従来のVADプロセスによる光ファ
イバの製造方法のステップを示す。ステップ11は、ガ
ラスシードエレメントの上にガラスコアスートを堆積さ
せる。このステップは、ガラス粒子がガラスシード要素
の上に集積するように、蒸発したガラス原材料を反応さ
せることのできる一対のバーナーあるいは1個のバーナ
ーを用いて行われる。ステップ12において、コアガラ
スは炉内で焼き入れして、固形のガラスコア要素を形成
する。ステップ13においては、このコアをシリンダー
状ガラスロッドとなるように引き延ばす。ステップ14
において、ダミーロッドがコアの端部に付加されて、そ
の全長を伸ばして、ジャケットの被覆を完全に確保す
る。ステップ15において、ジャケットスートがコアロ
ッドとダミーロッドの上にVADプロセスによって堆積
される。このステップは、単一のバーナーでもって行わ
れ、火炎内のガラス原材料をガラスロッドの方向に向け
て、堆積したジャケットスートブールを形成する。ステ
ップ16において、このジャケットスートを炉の中で焼
き入れする。そして、ステップ17において、ステップ
14のダミーロッド部に対応する焼き入れロッドの一部
を取り除いて、ジャケットにより包囲されたコアを含む
プリフォームを形成する。ステップ18において、この
ジャケットのついたプリフォームを引き延ばして、ステ
ップ19において示すように、コアとクラッド層とを有
するガラス光ファイバが形成されるようなプリフォーム
を形成する。このクラッド層は堆積したジャケットスー
トに対応し、光ファイバによる光波伝送に必要とされる
ようなコアとコアの屈折率とは異なる屈折率を有する。
【0005】本発明は図1のステップ15のジャケット
スートの堆積に関するものであるため、従来のステップ
15をより詳細に図2、3に基づいて説明する。図2に
おいて、ガラスロッド20は、コアロッド21を有し、
このコアロッド21の端部にダミーロッド22が付着す
る。ガラススート23が、ガラスロッド20の上にバー
ナー24により堆積し、このバーナー24により燃料ソ
ース25から燃料が、ガラス原材料ソース26からガラ
ス原材料が向けられる。このバーナー24は公知の二重
火炎バーナーで、内部火炎部分と外部火炎部分との間に
気化した原材料を配置する。
【0006】このバーナーの火炎は、例えば、水素と酸
素からなる燃料を燃焼することにより発生する。このガ
ラス原材料は、四塩化シリコン(SiCl4)で火炎内
で反応して、二酸化シリコン(SiO2)のガラス粒子
を生成する。この二重バーナーは、米国特許第4618
354号と第4915716号に開示されている。コア
ロッド21は一般的に350から650mmの長さを有
し、ダミーロッド22は100から120mmの長さを有
する。
【0007】ガラススートが堆積するにつれて、ガラス
ロッド20は垂直上方向に引き上げられ、同時に、矢印
で示す方向に回転している。その結果、ガラススート2
3はコアロッド21とダミーロッド22の周囲で、その
全体にわたって堆積する。図3に示すように、バーナー
24がガラススート23の底部から距離d(80mm)の
位置にきた時に、堆積したスートはダミーロッド22を
完全に包囲するスートブール(塊)を形成し、バーナー
24からの原材料は徐々に減少しあるいは終了する。こ
のスートブールの底部27は、1060°F(571
℃)の温度まで加熱させる。図3に示した動作の完了
後、このジャケットスートブールは図1のステップ16
に示したように焼き入れする。焼き入れ後、ダミーロッ
ド22に付着したガラス部分は、図1のステップ17で
示したように除去される。このダミーロッド22は有益
なガラスプリフォームの一部を形成せず、プリフォーム
ガラスとして使用することのできるコアロッド21の部
分を最大にするよう機能するだけである。
【0008】この従来のプロセスの問題点としては、ジ
ャケット堆積の完了時点でガラススートブール23にク
ラックが入る傾向である。このクラックはスートブール
の全長にわたって、縦方向伸びて、あるいは水平方向に
伸びて、スートブールをガラスロッド20に付いて軸方
向に移動させることになる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、ジャケットの堆積時点で、ガラススートブールにク
ラックが入らないような製造方法を提供するものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の方法は、ガラス
ジャケットスートがガラスロッドの底部に堆積した直後
にガラス原材料のバーナーへの供給を終了(あるいは急
速に減少)し、一方、バーナーへの燃料の供給はそのま
ま維持され、火炎はバーナーから堆積したスートブール
の方向に向けられている。ガラスロッドの垂直方向の移
動速度は、火炎がスートブールの底部に向けられるまで
増加させる。この火炎は、その後、スートブールの底部
の温度を増加させ、スートブールの底部を部分的に焼き
入れするのに、その位置に一時的に留まる。これはスー
トを含め、ディリケートなスートブールに出来るクラッ
クの原因となり得る重力の影響に対抗する効果がある。
【0011】
【実施例】本発明によれば、ガラススートブール23に
クラックが入るのを防止するために、ガラス原材料のバ
ーナー24への供給はバーナーが図3に示した位置にき
た時に減少する、あるいは停止するが、燃料の供給はそ
のまま継続して、バーナーから出た火炎を維持する。そ
の結果、ガラスロッド20はスートブール(塊)の底部
が図4に示したバーナー24のそれと同一になるまで上
昇し、そして回転する。原材料の供給無しに火炎を維持
することにより、ガラススートブール23の底部の温度
は図3に示した位置(従来通り火炎と原材料の両方を停
止する)における温度以上に増加する。付加的なガラス
スートの堆積無しに、温度を上昇させることによりガラ
ススートブール23の底部27'が部分的に焼き入れさ
れる。これはガラススートブール23の底部が高密度化
して、重力の影響に対し、構造的に強固になり、それ故
に、ガラススートブール23にクラックが入る傾向を阻
止する。
【0012】図4に示した改良点を採用する時間は最小
にするのが望ましい。堆積プロセスの間、ガラスロッド
の垂直方向のスピードは100mm/時である。バーナー
24が図3の位置にきた時に、原材料の供給を停止した
時には、ガラスロッド20の垂直方向の速度は、例え
ば、200mm/時にまで増加することが可能である。バ
ーナー24の位置が図4に示すように、ブールの底部に
到着した時に、その後、垂直方向の移動を停止し、バー
ナーの火炎が底部27に約2分間留まるようにする。こ
れにより底部27'を約1390°F(754℃)から
1750°F(954℃)にまで上昇させる。この温度
は図3に示す1060°F(571℃)の最大先端温度
以上である。かくして、高温の先端温度は燃料の供給を
変化させずに、原材料の供給を停止することだけでスー
トブールの高密度化が可能となる。ガラスロッドの垂直
スピードの増加と底部27'に留まる時間とを組み合わ
せることにより、クラックの発生を防止する高密度化を
可能にしながら、必要の時間を最低にできる。本発明に
より、ジャケットスートの堆積に必要な全時間は384
分で、従来の360分とほぼ肩を並べる程度である。
【0013】前述したプロセスは、底部27'はスート
ブールの残りの部分よりも見かけ上硬く高密度であり、
この底部27'はディリケートなガラススートブール2
3を多孔質の残りの部分に比較して、「エッグシェル
(egg shell)」と称される。重要な側面としては、原
材料の供給が停止されると、底部27'の部分は見かけ
上高密度化するような高温にまで加熱される。ここに記
載した以外の方法も可能である。例えば、燃料の供給を
増加して、火炎の温度を増加させることであり、及びこ
こに記載した以外の垂直方向の移動速度を用いることも
可能である。
【0014】
【発明の効果】本発明の方法は、従来のジャケットスー
ト形成プロセスの間にクラックの発生を約10%程度抑
えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術にかかる光ファイバの製造方法を示す
ブロック図である。
【図2】従来技術にかかる光ファイバプリフォームのジ
ャケート部を形成するステップを表す図である。
【図3】図2のステップの後のステップを表す従来の光
ファイバプリフォームの製造方法を表す図である。
【図4】本発明により光ファイバプリフォームのジャケ
ット部を形成する方法を表す図である。
【符号の説明】
11 コアスートの堆積 12 コアの焼き入れ 13 コアの引き延ばし 14 ダミーロッドの付加 15 ジャケットスートの堆積 16 ジャケットスートの焼き入れ 17 ダミーロッド部の除去 18 プリフォームの細長化 19 ファイバ引き抜き 20 ガラスロッド 21 コアロッド 22 ダミーロッド 23 ガラススートブール 24 バーナー 25 燃料ソース 26 ガラス原材料ソース 27、27' 底部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 デビッド エドワード スクーンメイカ ー アメリカ合衆国、27513 ノース カロ ライナ、ウェイク カウンティ、キャリ ー、ゴールド メドウ ドライブ 115 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C03B 37/00 - 37/16

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バーナー(24)にガラス原材料(2
    6)と燃料(25)とを供給し、ガラス原材料をバーナ
    ーからの火炎内に供給するステップと、 ガラススートブール(23)を形成する為に、ガラスロ
    ッド(20)上にガラススートを集めるように前記火炎
    の温度を調節し、ガラス原材料を供給しながら、垂直方
    向に伸びたガラスロッド(20)に火炎を向けるステッ
    プと、 前記ガラスロッドの全長(20)が堆積ガラス粒子によ
    りほぼカバーされるように、最初前記ガラスロッドの上
    端部近傍にある前記バーナー(24)に対しガラスロッ
    ド(20)を垂直上方向に移動させるステップと、 からなるVAD法による光ファイバプリフォームの製造
    方法において、 前記ガラスロッド(20)の底部(27’)がバーナー
    (24)の近傍にきた時に、ガラス原材料(26)を前
    記バーナー(24)へ供給するのを減少させ、且つ燃料
    (25)をバーナーからの火炎に供給し続け、 ガラスロッドの底部近傍のガラススートブール(23)
    の温度を上昇させ、底部近傍のガラススートブールの密
    度をガラススートブールの平均スート密度より大きく
    ることを特徴とするVADによる光ファイバプリフォー
    ムの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記ガラスロッド(20)は、コアロッ
    ド部(21)と、前記コアロッド部から軸方向下方に伸
    びるダミーロッド部(22)とを有することを特徴とす
    る請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 前記ガラス原材料と燃料は、前記バーナ
    ーの先端部から噴出され、 前記ガラス粒子は、前記ガラスロッドのバーナーの先端
    部の垂直方向の上と下両方に堆積し、 ガラス原材料の供給を減少するステップは、バーナーの
    先端部がガラスロッドの底部より上にある時に行うこと
    を特徴とする請求項1の方法。
  4. 【請求項4】 ガラスロッドの底部(27’)がバーナ
    ーの先端部とほぼ同じ高さとなるような垂直位置にガラ
    スロッド(20)が上昇した後、及びガラス原材料の供
    給を減少させた後、ガラスロッドの垂直方向の移動を停
    止させ、火炎をガラスロッドの底部に対応する位置で
    まらせてガラススートブール(23)の底部の温度を上
    昇させることを特徴とする請求項1の方法。
  5. 【請求項5】 前記ガラス原材料の供給を減少するステ
    ップは、ガラス原材料(26)のバーナー(24)への
    供給を完全に終了することを特徴とする請求項1の方
    法。
  6. 【請求項6】 ガラス原材料のバーナーへの供給を終了
    した後も、ガラスロッドの垂直方向の移動は、ガラスス
    ートブールの底部(27’)がバーナー(24)とほぼ
    同じ高さとなるまで行い、その後に火炎をガラススート
    ブールの底部に留まらせてスートブールの温度を上昇さ
    せることを特徴とする請求項5の方法。
  7. 【請求項7】 ガラス原材料の供給を停止した時点の
    ラススートブールの底部(27’)の温度よりも、さら
    149℃以上上昇するよう十分な時間火炎をガラスス
    ートブールの底部に留まらせることを特徴とする請求項
    6の方法。
  8. 【請求項8】 ガラスロッドは、上方に移動しながら回
    転することを特徴とする請求項7の方法。
  9. 【請求項9】 ガラスロッドの底部のガラス粒子は、7
    54℃から954℃の範囲の温度まで加熱されることを
    特徴とする請求項8の方法。
JP6037498A 1993-02-22 1994-02-14 Vad法による光ファイバプリフォームの製造方法 Expired - Fee Related JP2941637B2 (ja)

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