JP2941012B2 - 極細長繊維不織布の製造方法 - Google Patents

極細長繊維不織布の製造方法

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JP2941012B2 JP19414390A JP19414390A JP2941012B2 JP 2941012 B2 JP2941012 B2 JP 2941012B2 JP 19414390 A JP19414390 A JP 19414390A JP 19414390 A JP19414390 A JP 19414390A JP 2941012 B2 JP2941012 B2 JP 2941012B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は,極細長繊維からなる不織布の製造方法に関
し,さらに詳しくは,繊細な表面形態と緻密な構造を有
する極細長繊維からなる不織布の製造方法に関するもの
である。
(従来の技術) 従来から,不織布は,衣料用,産業資材用,土木建築
資材用,農芸園芸資材用,生活関連資材用あるいは医療
衛生材用等,種々の用途に使用されている。中でも,長
繊維からなる不織布は,短繊維からなる不織布に対し,
強力が高く,しかも生産性に優れるため,広く使用され
ている。この長繊維からなる不織布において,表面が繊
細で,かつ緻密な構造を有する不織布を得る試みが数多
くなされてきた。例えば,特公昭44−24699号公報,特
公昭52−30629号公報及び特公昭62−41316号公報には,
シートに化学薬品処理を施して繊維を構成する重合体の
一部を溶解させること,あるいは溶解除去することによ
り細繊度の繊維から構成される不織布を得る方法が開示
されている。また,特公平1−47585号公報及び特公平
1−47586号公報には,シートを高圧水流により処理し
繊維を割繊して極細繊維とするとともに繊維に3次元的
交絡を施すことにより極細繊維からなる不織布を得る方
法が開示されており,特公平1−47579号公報には,不
織布を水洗処理して水溶性成分を除去することにより極
細繊維からなる不織布を得る方法が開示されている。し
かしながら,これらの不織布の製造方法には,生産工程
が複雑であり,しかも重合体を除去する必要があるた
め,製造コストが高くなるという問題がある。さらに,
特公昭53−10169号公報には,シートをバフ掛けして繊
維を割繊することにより極細繊維からなる不織布を得る
方法が開示されているが,この製造方法には,構成繊維
が部分的に損傷を受けるという問題がある。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は,前記問題を解決し,繊細な表面形態と緻密
な構造を有する極細長繊維からなる不織布を効率よく製
造することができる方法を提供しようとするものであ
る。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは,前記問題を解決すべく鋭意検討の結
果,本発明に到達した。すなわち,本発明は,重合体成
分Aと,前記重合体成分Aに対し非相溶性で,かつ前記
重合体成分Aとの融点差が30〜150℃である重合体成分
Bからなる2個以上の凸レンズ状横断面を有するセグメ
ントとから構成され,繊維軸に垂直な横断面における重
合体成分Aの外接円の半径R0,重合体成分Bの外接円の
半径R1,重合体成分Bからなる凸レンズ状部分において
重合体成分Aと接している円弧の曲率半径R2,円弧の弧
長L及び凸レンズ状部分の厚さHが下記,及び式
を満足する2成分複合長繊維を溶融複合紡出し,紡出さ
れた前記2成分複合長繊維をエアーサツカからなる引取
り手段により引取り,ウエブコンベア等の捕集面上に堆
積させてウエブとし,ウエブを2個以上のロールからな
る高線圧力のロール群で処理することによって前記重合
体成分Bからなる繊維を前記複合長繊維から少なくとも
一部剥離させて割繊長繊維とし,前記重合体成分A又は
重合体成分Bの内いずれか低融点側の重合体成分からな
る繊維により繊維間を少なくとも部分的に熱接着するこ
とを特徴とする極細長繊維不織布の製造方法,を要旨と
するものである。
R1/R0>1 …… R2/R0≧1 …… L/H≧1 …… 次に,本発明を詳細に説明する。
本発明でいう非相溶性の重合体成分A及びBとは,い
ずれも繊維形成能を有し,通常の溶融紡糸装置を使用し
て溶融紡出することができるものである。重合体成分A
及びBの組合せとしては,例えば,ポリエステル系とポ
リアミド系,ポリエステル系とポリオレフィン系,ポリ
アミド系とポリオレフィン系等が挙げられ,ポリエステ
ル系重合体としては,ポリエチレンテレフタレート,ポ
リブチレンテレフタレートあるいはそれらを主成分とす
る共重合ポリエステル等のポリエステルが,ポリアミド
系としては,ナイロン6,ナイロン46,ナイロン66,ナイロ
ン610あるいはそれらを主成分とする共重合ナイロン等
のポリアミドが,ポリオレフィン系としては,ポリプロ
ピレン,高密度ポリエチレン,線状低密度ポリエチレ
ン,エチレン/プロピレン共重合体等のポリオレフイン
が挙げられる。また,重合体成分A及びBには,各々,
通常の艶消剤,熱安定剤,顔料あるいは重合体の結晶化
促進剤等の添加剤を添加してもよい。
本発明の極細長繊維不織布の製造方法は,まず,前記
重合体成分Aと,前記重合体成分Aに対し非相溶性で,
かつ前記重合体成分Aとの融点差が30〜150℃である重
合体成分Bからなる2個以上の凸レンズ状横断面を有す
るセグメントとから構成される2成分複合長繊維を,通
常の溶融複合紡糸装置を使用して溶融複合紡糸する。紡
糸口金装置としては,溶融した重合体成分Aの導入孔の
外周部から溶融した重合体成分Bが2個以上誘導される
構造の複合紡糸口金装置を使用する。重合体成分Aが重
合体成分Bを分割する数,すなわち前記重合体成分Bか
らなる凸レンズ状横断面を有するセグメントの数は,2個
以上,多いほど極細繊維を得ることができて好ましい
が,多過ぎると重合体成分Bのみから構成されるセグメ
ント同士が接着した横断面構造となり,後工程で割繊・
剥離することができなくなるという問題が生じるため,
通常,16個程度までとするのがよい。また,前記重合体
成分Bからなるセグメントは,凸レンズ状の横断面を有
することが必要であり,この場合,重合体成分Bのみか
らなるセグメントが重合体成分Aと接触する接触周長が
比較的短くなるため,後工程で2成分複合長繊維を割繊
するときに割繊性が向上する。
次に,溶融紡出された2成分複合長繊維をエアーサツ
カ等の引取り手段により引取り,ウエブコンベア等の捕
集面上に堆積させ,ウエブを高線圧力の加熱された表面
平滑なロール群により重合体成分A又は重合体成分B内
のいずれか低融点側の重合体成分の融点未満の温度で熱
処理することによって,重合体成分Bからなるセグメン
トを複合長繊維から剥離させて割繊長繊維とし,それと
同時に,重合体成分A又は重合体成分Bの内いずれか低
融点側の重合体成分からなる繊維により繊維間を少なく
とも部分的に熱接着する。また,ウエブを高線圧力の非
加熱の表面平滑なロール群で処理し,一旦,重合体成分
Bからなるセグメントを複合長繊維から剥離させて割繊
長繊維とし,次いで,加熱ロールにより重合体成分A又
は重合体成分Bの内いずれか低融点側の重合体成分の融
点未満の温度で熱処理することによって,前記低融点側
の重合体成分からなる繊維により繊維間を少なくとも部
分的に熱接着してもよい。表面平滑な加熱ロールに代わ
り,加熱されたエンボスロールを使用することもでき
る。ウエブを加熱されたエンボスロールを使用して重合
体成分A又は重合体成分Bの内いずれか低融点側の重合
体成分の融点未満の温度で熱処理することによって,前
記低融点側の重合体成分からなる繊維により繊維間を少
なくとも部分的に熱接着して不織ウエブを得,次いで,
不織ウエブを屈曲シワ加工処理することによって,ある
いは高線圧力の表面平滑なロール群で処理することによ
って重合体成分Bからなるセグメントを複合長繊維から
剥離させて割繊長繊維としてもよい。なお,得られた不
織布に,不織布の柔軟性を向上させるために柔軟加工を
施してもよい。
本発明における重合体成分Aと重合体成分Bとの融点
差は,30〜150℃であることが必要である。本発明でいう
重合体の融点とは,パーキンエルマ社製示差熱量計DSC
−2型を使用し,同装置のマニユアルに従い,試料量を
約5mg,走査速度を20℃/分として測定して得られるDSC
曲線から求めたものである。重合体成分Aと重合体成分
Bとの融点差が30℃未満であると,ウエブを加熱ロール
で熱接着するときに不織布が熱収縮して寸法安定性が低
下して不織布の風合いが悪くなったり,熱接着時の接着
温度域が狭くなり温度制御が困難となる等の問題を生じ
るため好ましくない。前記融点差が150℃を超えると,
低融点側の重合体成分の熱劣化が促進するため好ましく
ない。なお,ウエブを低融点側の重合体成分の融点以上
の表面温度の加熱ロールで熱接着すると,得られる不織
布はフイルム状あるいは表面の硬いものとなるため好ま
しくない。
ウエブ化には,溶融紡出された繊維束を冷却し,延伸
して得られる延伸長繊維あるいは高速紡糸法により得ら
れる高配向未延伸長繊維を使用することができる。紡糸
からウエブ化までを連続工程としてもよく,また,別途
製造した延伸長繊維あるいは高配向未延伸長繊維からウ
エブを作成してもよい。ウエブは,これらの長繊維をエ
アーサツカ等の引取り手段により引取り,帯電装置によ
り強制的に帯電させて繊維を開繊し,移動するウエブコ
ンベア等の捕集面上に堆積させることにより作成する。
本発明でいう高線圧力のロール群とは,2個以上のロー
ルから構成されるものであり,通常,1対のロールから多
段式の計10個のロールまでを使用することができる。ロ
ール数が多過ぎると設備投資費が高くなり,好ましくな
い。ロール群の線圧力は,重合体成分Bからなるセグメ
ントを複合長繊維から剥離させて割繊長繊維とするに重
要な要因であり,剪断,伸長,圧縮等の応力により前記
重合体成分Bからなるセグメントを剥離する。この線圧
力は,複合長繊維の割繊性にもよるが,通常,少なくと
も20kg/cm程度とするのが好ましい。20kg/cm未満である
と前記重合体成分Bからなるセグメントを十分剥離する
ことができず,好ましくない。
次に,本発明でいう2成分複合長繊維に関して,説明
する。
第1及び2図は,本発明における2成分複合長繊維の
構造を説明するための横断面図,第3及び4図は,本発
明の構成要件を満足する2成分複合長繊維の例を示す横
断面図である。第1図及び2図において,R0は2成分複
合長繊維の繊維軸に垂直な横断面における重合体成分A
の外接円の半径,R1は重合体成分Bの外接円の半径,R2
重合体成分Bからなる凸レンズ状部分において重合体成
分Aと接している円弧の曲率半径,Lは前記円弧の弧長,H
は凸レンズ状部分の厚さである。R0,R1,R2,L及びHは繊
維断面を1000倍に拡大して撮影した断面写真を基にして
実測により求めたものである。
本発明における極細長繊維不織布では,第1及び2図
に示したR0,R1,R2,L及びHが下記,及び式を満足
することが必要である。
R1/R0>1 …… R2/R0≧1 …… L/H≧1 …… このR1/R0がR1/R0≦1であると,あるいはR2/R0がR2/
R0<1であると,重合体成分Aと重合体成分Bを剥離さ
せるに際し,極めて高線圧力の表面平滑なロール群で処
理しなければ重合体成分Aと重合体成分Bとを剥離し割
繊することが困難となるので好まいくない。R1/R0がR1/
R0>1,かつR2/R0がR2/R0≧1であっても,L/HがL/H<1
であると,重合体成分Aと重合体成分Bの選択によって
は,2成分複合長繊維糸条をエアーサツカにより引取る工
程で重合体成分Aと重合体成分Bとが剥離してしまい,
ウエブ化するときに繊維の開繊性が低下して均一なウエ
ブを得ることができず好ましくない。
次に,本発明の方法により得られる極細長繊維不織布
に関して,説明する。
本発明の方法により得られる極細長繊維不織布は,重
合体成分Aと,前記重合体成分Aに対し非相溶性の重合
体成分Bからなる2個以上の凸レンズ状横断面を有する
セグメントとから構成される2成分複合長繊維と,前記
2成分複合長繊維から重合体成分Bからなるセグメント
が一部剥離した2成分複合長繊維と,前記2成分複合長
繊維の分割により発現した前記重合体成分Aのみから構
成される割繊長繊維と,前記重合体成分Bのみから構成
される割繊長繊維とから構成されるものである。
本発明における極細長繊維不織布は,重合体成分Bか
らなるセグメントの割繊割合が30%以上95%以下のもの
である。この割繊割合とは,R0,R1,R2,L及びHが前記
,及び式を満足する2成分複合長繊維と,前記2
成分複合長繊維から重合体成分Bからなるセクメントが
一部剥離した2成分複合長繊維と,前記2成分複合長繊
維の分割により発現した前記重合体成分Aのみから構成
される割繊長繊維と,前記重合体成分Bのみから構成さ
れる割繊長繊維とから構成される不織布の任意の10個所
を選び,不織布の断面を100倍に拡大して断面写真を撮
影し,次いで,10枚の断面写真中,複合長繊維から剥離
している重合体成分Bのセグメント総数と存在する重合
体成分Bのセグメント総数とを求め,算出されるもの
で,存在する重合体成分Bのセグメント総数に対する剥
離している重合体成分Bのセグメント総数の比(%)を
表すものである。
本発明における極細長繊維不織布では,前記割繊割合
は30%以上95%以下であることが好ましく,この割繊割
合が30%未満であると,繊細な表面形態と緻密な構造を
有する不織布を得ることができず好ましくない。
また,前記複合長繊維の分割により発現した前記重合
体成分Bのみから構成される割繊長繊維は,単糸繊度が
0.8デニール以下のものであることが好ましい。前記割
繊割合が30%以上であっても,重合体成分Bからなる前
記割繊長繊維の単糸繊度が0.8デニールを超えると,繊
細な表面と緻密な構造を有する不織布を得ることが困難
となり,この単糸繊度が小さいほど,繊細な表面と緻密
な構造を有する不織布を得ることができる。
本発明でいう2成分複合長繊維において,重合体成分
Bからなる凸レンズ状横断面を有するセグメントの数
は,2個以上であることが必要である。このセグメントの
数が1個であると,紡糸条件あるいは延伸条件によって
は複合長繊維に捲縮が生じ,ウエブ化するときに繊維の
開繊性が低下して均一なウエブを得ることができない。
本発明の方法においては,組み合わせる重合体の種
類,重合体の複合比,紡糸条件,延伸条件,剥離割繊条
件,接着条件あるいは柔軟加工等の後加工条件を種々選
択することにより,使用目的に応じた極細長繊維不織布
を得ることができる。
(実施例) 次に,実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
なお,実施例における各種特性は次の方法により測定し
た。
固有粘度:フエノールと四塩化エタンの等重量混合溶
液を溶媒とし,温度20℃で測定した。
メルトインデツクス:ASTM D 1238 E法により測
定した。
融点:パーキンエルマ社製示差走査熱量計DSC−2型
を使用し,試料量を約5mg,走査速度20℃/分で測定して
得られたDSC曲線から求めた。
不織布のタテ及びヨコ方向の引張強力:幅が3cm,長さ
が10cmの測定試料片を準備し,JIS L−1096に記載のス
トリツプ法により測定した。
トータルハンド:トータルハンドとは,布帛の柔軟性
を表す指標であり,JIS L−1096に記載のハンドルオメ
ータ法により,スロツト幅を10mmとして測定した。
実施例1 融点が128℃,メルトインデツクス値が25g/10分のポ
リエチレン重合体を重合体成分A,融点が258℃,固有粘
度が0.70のポリエチレンテレフタレート重合体を重合体
成分Bとし,複合紡糸孔を200孔有する紡糸口金を通し
て2成分複合長繊維を溶融紡出した。溶融紡糸に際し,
重合体成分Aの溶融温度を230℃,単孔吐出量を0.60g/
分,重合体成分Bの溶融温度を285℃,単孔吐出量を0.6
0g/分〔成分Aと成分Bの比(重量比)は1対1〕とし
た。紡出された長繊維糸条を冷却した後,紡糸口金下12
0cmの位置に配設された8個のエアーサツカにフイラメ
ント25本ずつ通して吸引・延伸し,3500m/分の速度で引
取り,帯電装置により強制的に帯電させて繊維を開繊
し,移動するウエブコンベア面上に堆積させ,ウエブを
得た。
得られた2成分複合長繊維の横断面形状は,第3図に
示したように,重合体成分Aと,重合体成分Bからなる
5個の凸レンズ状横断面を有するセグメントとから構成
されるものであった。繊維断面を1000倍に拡大して撮影
した断面写真を基にしR0R1,R2,L及びHを求め,R1/R0,R2
/R0及びL/Hを算出したところ,R1/R0は1.4,R2/R0は6.3,L
/Hは2.5であった。また,この複合長繊維は割繊してお
らず,ウエブは均一なものであった。
次に,得られたウエブに加熱された表面平滑な多段式
6個のロールからなるロール群を使用して割繊・熱接着
処理を2回施して不織布を得た。この処理条件は,加熱
ロール群の表面温度を115℃,線圧力を100kg/cmとし
た。
得られた不織布は,目付けが50g/m2,タテ方向の引張
強力が5.2kg/3cm,ヨコ方向の引張強力が3.8kg/3cm,トー
タルハンドが200gであった。不織布の任意の10個所を選
び,不織布の断面を100倍に拡大して断面写真を撮影
し,次いで,10枚の断面写真中,複合長繊維から剥離し
ている重合体成分Bのセグメント総数と存在する重合体
成分Bのセグメント総数とを求め,割繊割合を求めたと
ころ,割繊割合は80%であった。この不織布には,前記
重合体成分Bのみから構成される割繊長繊維の他に,重
合体成分Bからなるセグメントが全く剥離していない2
成分複合長繊維と,前記2成分複合長繊維から重合体成
分Bからなるセグメントが一部剥離した2成分複合長繊
維と,前記2成分複合長繊維の分割により発現した前記
重合体成分Aのみから構成される割繊長繊維とが認めら
れた。また,前記複合長繊維の分割により発現した重合
体成分Bのみから構成される割繊長繊維の繊度を求めた
ところ,0.31デニールと極めて細いものであった。そし
て,この不織布は,繊細な表面形態と緻密な構造を有す
るものであった。
比較例1 融点が132℃,メトロインデツクス値が15g/10分のポ
リエチレン重合体を重合体成分Aとした以外は実施例1
と同様にして,2成分複合長繊維を溶融紡出し,冷却した
後,エアーサツカにフイラメントを通して吸引・延伸
し,3500m/分の速度で引取り,帯電装置により強制的に
帯電させて繊維を開繊し,移動するウエブコンベア面上
に堆積させ,ウエブを得た。
得られた2成分複合長繊維の横断面形状は,第5図に
示したように,重合体成分Aと,重合体成分Bからなる
5個の凸レンズ状横断面を有するセグメントとから構成
されるものであった。繊維断面を撮影した断面写真を基
にしR0,R1,R2,L及びHを求め,R1/R0,R2/R0及びL/Hを算
出したところ,R1/R0は2.0,R2/R0は6.5,L/Hは0.7であっ
た。また,この複合長繊維は一部割繊しており,繊維の
開繊性が部分的に不良で,ウエブは均一性を欠くもので
あった。
次に,実施例1と同様にして,得られたウエブに加熱
された表面平滑なロール群を使用して割繊・熱接着処理
を2回施して不織布を得た。
得られた不織布は,その割繊割合が90%と高く,繊細
な表面形態を有するものの,均一性を欠くものであっ
た。
実施例2 実施例1で得られたウエブに圧接面積率12%の加熱さ
れたエンボスロールを使用してエンボス処理を施し,不
織シートを得た。この処理条件は,加熱エンボスロール
の表面温度を120℃,線圧力を30kg/cmとした。
次に,得られた不織シートに屈曲シワ加工処理を施し
た。
得られた不織布には,目付けが60g/m2,タテ方向の引
張強力が12.6kg/3cm,ヨコ方向の引張強力が5.0kg/3cm,
トータルハンドが65gであった。不織布の任意の10個所
を選び,割繊割合を求めたところ,割繊割合は95%であ
った。この不織布には,前記重合体成分Bのみから構成
される割繊長繊維の他に,重合体成分Bからなるセグメ
ントが全く剥離していない2成分複合長繊維と,前記2
成分複合長繊維から重合体成分Bからなるセグメントが
一部剥離した2成分複合長繊維と,前記2成分複合長繊
維の分割により発現した前記重合体成分Aのみから構成
される割繊長繊維とが認められた。また,前記複合長繊
維の分割により発現した重合体成分Bのみから構成され
る割繊長繊維の繊度を求めたところ,0.31デニールと極
めて細いものであった。そして,この不織布は,ドレー
プ性と繊細な表面形態を有するものであった。
(発明の効果) 本発明の極細長繊維不織布の製造方法によれば,重合
体成分Aと重合体成分Bとから構成される2成分複合長
繊維と,前記2成分複合長繊維から重合体成分Bからな
るセグメントが一部剥離した2成分複合長繊維と,前記
2成分複合長繊維の分割により発現した重合体成分Aの
みから構成される割繊長繊維及び重合体成分Bのみから
構成される割繊長繊維とからなり,強力に優れ,極めて
均一性が高く,しかも繊細な表面形態と緻密な構造を有
する不織布を低コストで効率よく製造することができ
る。
そして,得られた不織布は,医療衛生材用素材として
好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
第1及び2図は,本発明における2成分複合長繊維の構
造を説明するための横断面図,第3及び4図は,本発明
の構成要件を満足する2成分複合長繊維の例を示す横断
面図,第5及び6図は,本発明の構成要件を満足しない
2成分複合長繊維の例を示す横断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松岡 文夫 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ 株式会社中央研究所内 審査官 真々田 忠博 (56)参考文献 特許2791159(JP,B2) 特公 平7−26310(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D04H 3/16,3/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重合体成分Aと,前記重合体成分Aに対し
    非相溶性で,かつ前記重合体成分Aとの融点差が30〜15
    0℃である重合体成分Bからなる2個以上の凸レンズ状
    横断面を有するセグメントとから構成され,繊維軸に垂
    直な横断面における重合体成分Aの外接円の半径R0,重
    合体成分Bの外接円の半径R1,重合体成分Bからなる凸
    レンズ状部分において重合体成分Aと接している円弧の
    曲率半径R2,円弧の弧長L及び凸レンズ状部分の厚さH
    が下記,及び式を満足する2成分複合長繊維を溶
    融複合紡出し,紡出された前記2成分複合長繊維をエア
    ーサツカからなる引取り手段により引取り,ウエブコン
    ベア等の捕集面上に堆積させてウエブとし,ウエブを2
    個以上のロールからなる高線圧力のロール群で処理する
    ことによって前記重合体成分Bからなる繊維を前記複合
    長繊維から少なくとも一部剥離させて割繊長繊維とし,
    前記重合体成分A又は重合体成分Bの内いずれか低融点
    側の重合体成分からなる繊維により繊維間を少なくとも
    部分的に熱接着することを特徴とする極細長繊維不織布
    の製造方法。 R1/R0>1 …… R2/R0≧1 …… L/H≧1 ……
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