JP2939917B2 - 単結晶インゴット取り出し装置 - Google Patents

単結晶インゴット取り出し装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、単結晶製造装置によっ
てプルチャンバ内に引き上げられた単結晶インゴットを
単結晶製造装置から取り出すための単結晶インゴット取
り出し装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体集積回路の基本材料であるシリコ
ン単結晶の製造方法の一つとして、るつぼ内の原料融液
から円柱状の単結晶を引き上げるチョクラルスキー法
(以下CZ法という)が用いられている。CZ法におい
ては、単結晶製造装置のメインチャンバ内に設置したる
つぼに高純度の多結晶シリコンを充填し、前記るつぼの
外周に設けたヒータによって多結晶シリコンを加熱溶融
した上、シード軸に取り付けた種子結晶を前記融液に浸
漬し、シード軸及びるつぼを同方向または逆方向に回転
しつつシード軸を引き上げてシリコン単結晶を成長させ
る。成長したシリコン単結晶は、前記メインチャンバ上
部に接続したプルチャンバ内に徐々に引き上げられ、引
き上げ工程が終了するとプルチャンバから単結晶製造装
置外に取り出される。単結晶インゴットの取り出しに当
たり、高温かつ大重量のインゴットを安全に、かつ能率
良く取り出すため、たとえば特開平2−243586号
公報に示された単結晶搬出装置が知られている。この装
置は、単結晶インゴットを把持する複数個のチャックを
備え、把持した垂直方向の単結晶インゴットを水平に向
きを変える手段として、電動チェーンブロックを装着し
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記単結晶搬出装置
は、複数個のチャックによって単結晶インゴットを把持
するため、たとえば単結晶インゴットにねじれがある
と、チャッキングによる偏荷重がインゴット上端の絞り
部に加わる。場合によっては単結晶インゴットを完全に
把持する前に前記絞り部が切れてしまい、危険である。
また、プルチャンバから取り出した単結晶インゴットを
運搬用架台に載せるため、単結晶インゴットの向きを垂
直から水平に変える際に専用の駆動源を用いているの
で、単結晶搬出装置が高価なものとなる。本発明は上記
従来の問題点に着目してなされたもので、適正な把持力
で単結晶インゴットを把持し、プルチャンバから安全に
取り出して運搬用架台に載置すことができる安価な単結
晶インゴット取り出し装置を提供することを目的として
いる。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る単結晶インゴット取り出し装置の第1
に、固定側把持ブロックとこの固定側把持ブロック
向する位置に設けられ電動モータによ駆動される可動
側把持ブロックとを有して電動モータの駆動により単結
晶インゴットのボデイを把持自在とする把持部と、単結
晶インゴットの軸方向に沿って回自在に設けられ単結
晶インゴットに向けて回転したときに単結晶インゴット
のボデイを包囲する2分割リングを有する包囲部と、
単結晶インゴットのテールを支持して固定及び揺動可能
とされた支持ブラケットを有する支持部とを断面コの字
状の把持部ブラケット内に配設し、電動モータに供給す
る電流を制御することにより前記把持部の把持力を制御
自在とした。また第2に、上記第1の単結晶インゴット
取り出し装置において、把持した単結晶インゴットの軸
の向きを垂直方向から水平方向に転換する際に、把持し
単結晶インゴットの重量を利用して把持部ブラケット
を回転させる機構を有することとした。また第3に、上
記第2の単結晶インゴット取り出し装置において、把持
部ブラケットを回転させる機構、把持部ブラケットの
背部に固着した回転軸と、この回転軸を軸着する回転機
構部ブラケットと、回転軸に連結した減速機及びブレー
キとを有し、ブレーキを作動させて回転軸の回転を制動
することによ把持部ブラケットの回転速度を制御する
こととした。
【0005】
【作用】上記構成によれば、把持部ブラケットに設けた
一対の把持ブロックによって単結晶インゴットのボデイ
の1箇所を把持することにしたので、インゴットにねじ
れや曲がりがある場合でもインゴットに無理な力が加
らず、インゴットを完全に把持する前に絞り部が切れて
インゴットが落下することはない。また、可動側把持ブ
ロックを駆動する電動モータの電流値を制御して把持力
を所定の値に制御するので、インゴットを損傷させるこ
とがない。把持部ブラケットに固定した支持ブラケット
は、万一電動モータの故障等により把持力が低下した場
合でもインゴットの落下を防止し、インゴットを包囲す
るリングは、インゴットの倒れを防止することができ
る。
【0006】把持した単結晶インゴットの軸の方向を垂
直から水平に転換する際に、前記単結晶インゴットの重
量を利用することとし、把持部ブラケットを回転させる
機構を、把持部ブラケットの背部に固着した回転軸と、
前記回転軸を軸着する回転機構部ブラケットと、回転軸
に連結した減速機とブレーキとによって構成したので、
前記ブレーキを作動させつつ把持部ブラケットに力を加
えることにより、把持部ブラケットを容易に、かつ、所
望の速度で回転させることができる。
【0007】
【実施例】以下に本発明に係る単結晶インゴット取り出
し装置の実施例について、図面を参照して説明する。こ
の単結晶インゴット取り出し装置は、単結晶製造装置と
別に設けられ、単結晶製造装置に対して上下方向及び左
右方向に位置決めすることができる荷役、運搬機械ある
いはロボットに装着されている。図1は単結晶インゴッ
ト取り出し装置の側面図で、単結晶インゴット(以下イ
ンゴットという)を垂直に把持した状態を示し、図2は
図1のA−A線に沿う断面図、図3は図1のB−B線に
沿う断面図、図4は図1のC−C線に沿う断面図であ
る。これらの図において、前記機械等に装着された取り
付け軸1の先端に、断面がコの字状の回転機構部ブラケ
ット2が固着されている。前記回転機構部ブラケット2
には、回自在の回転軸3と、前記回転軸3の回転を減
速する減速機4及び回転軸3の回転を制動するブレーキ
5とが取着されている。
【0008】把持部ブラケット6は、断面がコの字状の
ブラケット本体6aと突出部6bとを一体に構成したも
ので、前記突出部6bはスプラインまたはキー等によっ
て上記回転軸3に固着されている。また、ブラケット本
体6aのほぼ中央部には把持部が設けられている。すな
わち、ブラケット本体6aの対向する二又部の一方に固
定側把持ブロック7が取着され、他方にはスクリュ
ャッキ8と、カップリング9及び減速機10を介して前
記スクリュジャッキ8を駆動する電動モータ11とが
取着されている。スクリュジャッキ8の先端には前記
固定側把持ブロック7と対向する可動側把持ブロック1
2が取着され、外周は伸縮自在のカバー13で包まれて
いる。14はスクリュジャッキ8を収納するケースで
ある。なお、固定側把持ブロック7及び可動側把持ブロ
ック12は、インゴットの若干の変形に対応できるよう
に、図示しない直動ガイドを備えている。ブラケット本
体6aの二又部上端には包囲部として、図2及び図6に
示す円弧状のリング15a、15bがそれぞれピン16
a、16bを用いて軸着され、ブラケット本体6aの下
端には支持部として、図5に示す支持ブラケット17が
二又部の両側にそれぞれ設けられた2本の回転支持用ピ
ン18によって揺動自在に取着されている。前記支持ブ
ラケット17の底板には、インゴット19のテール19
aを把持する切り欠き部17aと、この切り欠き部17
aの開口部に設けられた着脱自在のストッパ17bとを
備えている。また、ブラケット本体6aの下端及び支持
ブラケット17に穿設されたピン穴に2本の固定支持用
ピン20を挿嵌すると、支持ブラケット17は図1の状
態で固定される。
【0009】次に、この単結晶インゴット取り出し装置
の動作について説明する。単結晶製造装置を用いて単結
晶の引き上げが完了すると、図示しない荷役、運搬機械
あるいはロボットに装着した単結晶インゴット取り出し
装置の位置決めを行った後、単結晶インゴット取り出し
装置をインゴット19に近づける。このとき、固定側把
持ブロック7と可動側把持ブロック12との間隔を最大
に開いた状態とし、円弧状のリング15a、15bは図
6に示した位置に回転させ、支持ブラケット17は固定
支持用ピン20を抜き取って下方に回転させておく。ま
た、ブレーキ5は100%ONの状態とし、把持部ブラ
ケット6は回転機構部ブラケット2に対して図1のよう
に固定されている。以下、下記の手順による。 (1)固定側把持ブロック7と可動側把持ブロック12
とによってインゴット19が挟まれる位置に把持部ブラ
ケット6を移動させた後、電動モータ11を駆動して可
動側把持ブロック12を動かし、インゴット19を把持
する。把持力は電動モータ11を駆動する電流値によっ
て制御され、前記電流値はあらかじめ定められている。 (2)支持ブラケット17を、回転支持用ピン18を支
点として上方に回転し、切り欠き部17aでインゴット
19のテール19aを挟み、2本の固定支持用ピン20
をブラケット本体6a及び支持ブラケット17のピン穴
に挿嵌する。また、切り欠き部17aの開口部にストッ
パ17bを取り付ける。 (3)リング15a、15bを約90°回転させ、イン
ゴット19の上部を包囲する。 (4)インゴット19の絞り部を切断する。
【0010】単結晶インゴット取り出し装置によって把
持されたインゴットは、単結晶製造装置から取り出され
た後、運搬用架台に載せられる。図7はインゴットを運
搬用架台に載せる場合の説明図であるが、以下その手順
を説明する。 (1)荷役、運搬機械あるいはロボットを運搬用架台付
近の適当な位置まで移動させた後、ブレーキ5の制動力
を制御しつつ、把持部ブラケット6を下方に90゜回転
させる。把持部ブラケット6はその自重とインゴット1
9の重量とにより、手動で容易に回転させることができ
る。そして、把持されたインゴット19の軸芯が水平に
なった状態で、再びブレーキ5を100%作動させる。 (2)荷役、運搬機械あるいはロボットもしくは運搬用
架台21の位置を調節した後、インゴット19を運搬用
架台21に載せる。 (3)支持ブラケット17のストッパ17bを取り外
す。また、固定支持用ピン20を抜き取って支持ブラケ
ット17の下端を上方に回転させ、インゴット19から
取り外す。 (4)リング15a、15bをそれぞれ約90゜回転さ
せ、インゴット19から取り外す。 (5)電動モータ11を駆動させ、可動側把持ブロック
12を開放側に動かし、インゴット19を開放する。
【0011】上記ブレーキ5に代えて、たとえばロック
機構とカウンタウエイトとを利用して、インゴット19
を垂直方向から水平方向に回転させてもよい。また、2
分割のリング15a、15bでインゴット19を包囲す
る代わりに、たとえばばね鋼からなる薄板をインゴット
に巻き付ける構造としてもよい。
【0012】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、単
結晶インゴットのボデイの1箇所を一対の把持ブロック
によって把持すると共に、可動側把持ブロックを駆動す
る電動モータの電流値を制御して把持力を所定の値に維
持することとしたので、インゴットにねじれや曲がりが
ある場合でもインゴットに偏荷重が加えられず、完全に
把持する前に絞り部が切れてインゴットが落下したり、
インゴットを損傷させることがない。そして、把持部ブ
ラケットに固定した支持ブラケットと、インゴットを包
囲するリングとにより、インゴットの落下あるいは倒れ
を二重に防止する構造としたので、プルチャンバからの
単結晶インゴットの取り出し作業を安全に遂行すること
ができる。また、インゴットを運搬用架台に載せるた
め、把持した単結晶インゴットの軸の方向を垂直から水
平に転換する際に、前記単結晶インゴットの重量を利用
して把持部ブラケットを回転させる機構を設けたので、
把持部ブラケットの背面に固着した回転軸の回転を制動
しつつ把持部ブラケットに力を加えることにより、把持
部ブラケットを容易に、かつ、所望の速度で回転させる
ことができる。従って、前記回転機構には専用の駆動源
を必要とせず、単結晶インゴット取り出し装置を安価に
提供することができる。本単結晶インゴット取り出し装
置は、単結晶の大径化に伴う重量増大に対しても安全、
確実かつ容易にインゴットを取り扱うことができるハン
ドリング装置として活用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の側面図であり、インゴットを垂直に把
持した状態を示す図である
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB−B断面図である。
【図4】図1のC−C断面図である。
【図5】支持ブラケットの斜視図である。
【図6】2分割のリングを上方に回転した状態を示す部
分側面図である。
【図7】インゴットを運搬用架台に載置する状態を示す
側面図である。
【符号の説明】
2:回転機構部ブラケット、3:回転軸、4、10:減
速機、5:ブレーキ、6:把持部ブラケット、7:固定
側把持ブロック、11:電動モータ、12:可動側把持
ブロック、15a、15b:リング、17:支持ブラケ
ット、19:単結晶インゴット、19a:単結晶インゴ
ットのテール。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定側把持ブロック(7)この固定側
    把持ブロック(7)に対向する位置に設けられ電動モー
    (11)によ駆動される可動側把持ブロック(1
    2)とを有して電動モータ(11)の駆動により単結晶
    インゴット(19)のボデイを把持自在とする把持部
    と、 単結晶インゴット(19)の軸方向に沿って回自在に
    設けられ単結晶インゴット(19)に向けて回転したと
    きに単結晶インゴット(19)のボデイを包囲する2分
    リング(15a,15b)を有する包囲部と、 単結晶インゴット(19)のテール(19a)を支持
    固定及び揺動可能とされた支持ブラケット(17)を
    有する支持部とを断面コの字状の把持部ブラケット
    (6)内に配設し、 電動モータ(11)に供給する電流を制御することによ
    り前記把持部の把持力を制御自在としたことを特徴とす
    る単結晶インゴット取り出し装置。
  2. 【請求項2】 把持した単結晶インゴット(19)の軸
    の向きを垂直方向から水平方向に転換する際に、把持し
    単結晶インゴット(19)の重量を利用して把持部ブ
    ラケット(6)を回転させる機構を有することを特徴と
    する請求項1の単結晶インゴット取り出し装置。
  3. 【請求項3】 把持部ブラケット(6)を回転させる機
    、把持部ブラケット(6)の背部に固着した回転軸
    (3)と、この回転軸(3)を軸着する回転機構部ブラ
    ケット(2)と、回転軸(3)に連結した減速機(4)
    及びブレーキ(5)とを有し、ブレーキ(5)を作動さ
    せて回転軸(3)の回転を制動することによ把持部ブ
    ラケット(6)の回転速度を制御することを特徴とする
    請求項の単結晶インゴット取り出し装置。
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