JP2938485B2 - 光学的反応測定法 - Google Patents

光学的反応測定法

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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、免疫測定や生化学分析等で反応によって最
終的に得られた物を光学的に測定する光学的反応測定法
に関する。
(従来の技術) 最近EIA(エンザイムノムノアッセイ)法によって免
疫測定を行う場合や生化学反応を行う場合、反応を促進
するために分離を目的とした抗体又は酵素を担体である
微粒子上に固定化することが行われている。第4図
(a),(b)はこのような各反応を示すもので、第4
図(a)は固定化酸素反応、第4図(b)は免疫測定反
応を示すものである。
第4図(a)では先ず磁性材料等の微粒子担体1上に
酵素2を固定した後、基質3を反応させることにより酵
素反応で生じた分解産物(プロダクト)4を光学的に測
定して抗原,酵素,基質等の定量を行うようにしたもの
である。また第4図(b)は微粒子担体1上に抗体5を
固定した後、抗原6に反応させさらに酵素標識抗体7を
反応させ、続いて基質3を反応させることにより生じた
プロダクト4を光学的に測定して同様な定量を行うよう
にしたものである。この光学的測定は例えば吸光度測
定,蛍光度測定、発光度測定等によって行うことができ
る。
ここで各反応は微粒子存在下で進行するが、基質3又
はプロダクト4を光学的に測定する場合、微粒子担体1
によって光の散乱が生じるという問題がある。従って従
来においてはこの散乱の影響を除くために、遠心分離,
濾過,磁力吸着等の対策を施して微粒子を除いた状態で
測定が行われていた。これによれば微粒子担体が除かれ
ることにより、光学的に反応を測定する場合清澄な状態
で測定を行うことができる。
(発明が解決しようとする課題) ところで従来の光学的反応測定法では、微粒子を除く
ための手段及び時間を余分に必要とすると共に、連続的
な反応経過を追求することができないので測定効率が低
下するという問題がある。例えばエンド法のように反応
経過の一点を測定する場合は可能であるが、レイト法の
ように連続的な反応経過を測定する場合には微粒子が残
ってないため適用できないので用途が制約されることに
なる。
本発明は以上のような問題に対処してなされたもの
で、余分な手段及び時間を不要にすると共に連続的な反
応経過を測定することができる光学的反応測定法を提供
することを目的とするものである。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 上記目的を達成するために本発明は、微粒子上又は微
粒子共存下での反応経過を光学的に追跡する光学的反応
測定法において、異なる波長によって反応由来の光学的
成分と微粒子散乱由来の光学的成分を同時に測定し、前
者の光学的成分から後者の光学的成分を差引き、これを
前記反応由来の光学的成分と前記微粒子散乱由来の光学
的成分を反応時間を追って測定する毎に行うことにより
微粒子共存下で反応経過を光学的に測定することを特徴
とするものである。
(作 用) 反応由来の光学的成分と微粒子散乱由来の光学的成分
を例えば異なる波長によって同時に測定し、前者の光学
的成分から後者の光学的成分を差引くことにより反応を
測定する。これによって微粒子の影響を除去して反応に
関係する物質由来の光学的変化を追跡することができ
る。
(実施例) 以下本発明の光学的反応測定法の実施例について説明
する。
1.材 料 先ず酵素としてPOD(パーオキシダーゼ)を0.1mg/ml
用い、これを0.1MPB(リン酸バッファ,PH7.0)で4.5×1
0-5倍に希釈した基準液Aを用意する。またこのA液を
各々0.1MPB(PH7.0)で3倍に希釈したB液,10倍に希釈
したC液,30倍に希釈したD液,55倍に希釈したE液,100
倍に希釈したF液を用意する。
次に基質としてTNBZ(トリニトロベンゼニン)をH2O2
(過酸化水素)で2:1で混合したものを用意し、また0.1
MPB(PH7.0)で置換した磁性微粒子(マグネテックパー
ティクル)を2.2mg/ml用意する。
さらに分光光度計を用意し前記混合液を37℃に恒温し
た状態で、650nm及び750nmの波長で追跡するようにす
る。
2.実験例 前記POD液を450μ用い、5分間インキュベートした
後、基質1350μ+磁性微粒子450の計1800μを前
記POD液に加える。続いてこの混合液を30℃に保存し撹
拌した状態で、5分間タイムコースに移して吸光度を時
間を追って測定する。第1図はこのような状態で色素
(エバンスブルー)を使った反応測定での吸光度の波長
依存性を示しており、この図から650nm付近でピークに
なっており、750nm付近では吸光度が低い値でほとんど
一定となっているのが分かる。したがって、650nm付近
では反応に由来する吸光度が捉えられ、750nm付近では
散乱に由来する吸光度が捉えられていることになる。5
分間タイムコースに移した混合液を異なる2波長例えば
650nm及び750nmで吸光度を測定し、更に両者の差を求
め、それを反応時間30秒毎に行った結果は第2図に示す
ようになり、前記差の変化は反応に依存する吸光度の時
間的変化(即ち吸光度の時間依存性)を表している。第
3図は各波長の差に対応した吸光度とPOD(酵素)の濃
度との関係を示しており、PODの濃度を1/100程度(前記
F液に相当し実際にはさらにこれを4.5×10-5倍に希釈
した濃度)までとっても測定が可能であることを示して
いる。
このような反応測定法によれば、従来のように微粒子
を除去しなくとも測定が可能なので、微粒子を除くため
の手段及び時間が不要となる。またこれと共に微粒子の
存在下で測定ができるので、エンド法に限らずレイト法
のように連続的な反応経過を測定する場合にも適用する
ことができるようになる。
このような本発明方法によって、反応を促進できると
いう微粒子担体を用いた場合の利点を損ねることなく反
応の測定を行うことができるようになり、微粒子共存反
応液の比色測定の効率を向上することができる。
微粒子は磁性材料に限らずラテックス、各種ビーズ,
ガラスビーズ等の他の材料を用いることができる。
[発明の効果] 以上述べたように本発明によれば、異なる波長によっ
て反応由来の光学的成分と微粒子散乱由来の光学的成分
を同時に測定し、前者の光学的成分から後者の光学的成
分を差引き、これを前記反応由来の光学的成分と前記微
粒子散乱由来の光学的成分を反応時間を追って測定する
毎に行うことにより微粒子共存下で反応経過を光学的に
測定するようにしたので、反応を促進できるという微粒
子担体を用いた測定の利点を損ねることなく、連続的な
反応経過を測定できるようになる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の光学的反応測定法の実施例によって得
られた波長と吸光度の関係を示す特性図、第2図は本実
施例によって得られた時間と吸光度の関係を示す特性
図、第3図は本実施例によって得られた酵素濃度と吸光
度の関係を示す特性図、第4図(a),(b)は固定化
酵素反応及び免疫測定反応における反応経過を示す説明
図である。 1……微粒子担体、2……酵素、4……プロダクト、5
……抗体、6……抗原、7……酵素標識抗体。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】微粒子上又は微粒子共存下での反応経過を
    光学的に追跡する光学的反応測定法において、異なる波
    長によって反応由来の光学的成分と微粒子散乱由来の光
    学的成分を同時に測定し、前者の光学的成分から後者の
    光学的成分を差引き、これを前記反応由来の光学的成分
    と前記微粒子散乱由来の光学的成分を反応時間を追って
    測定する毎に行うことにより微粒子共存下で反応経過を
    光学的に測定することを特徴とする光学的反応測定法。
  2. 【請求項2】前記光学的成分は吸光度、蛍光度、発光度
    のいずれかから成る請求項1記載の光学的反応測定法。
  3. 【請求項3】前記反応由来の光学的成分を600nm〜650nm
    の波長により検出し、前記微粒子散乱由来の光学的成分
    を700nm以上の波長により検出する請求項1記載の光学
    的反応測定法。
  4. 【請求項4】前記微粒子はラテックス、磁性微粒子、ビ
    ーズのいずれかから成る請求項1記載の光学的反応測定
    法。
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