JP2938301B2 - 溶存ガス濃度測定方法および溶存ガス濃度測定装置 - Google Patents

溶存ガス濃度測定方法および溶存ガス濃度測定装置

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JP2938301B2
JP2938301B2 JP4558393A JP4558393A JP2938301B2 JP 2938301 B2 JP2938301 B2 JP 2938301B2 JP 4558393 A JP4558393 A JP 4558393A JP 4558393 A JP4558393 A JP 4558393A JP 2938301 B2 JP2938301 B2 JP 2938301B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液体中の溶存ガスを気
相中に抽出移行させ、気相中のガスの濃度を半導体式ガ
スセンサで測定することによって液体中の溶存ガス成分
の濃度を分析する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ガス成分を溶存している試料液を恒温槽
に導いて一定温度にした後、抽出槽に送出し、抽出槽内
において試料液の上部に形成されたヘッドスペースにキ
ャリアガスを通流し、試料液中の溶存ガスをキャリアガ
スに移行させ、キャリアガスとともに検出部に導いて半
導体式ガスセンサで検出して測定する液体試料中の溶存
ガス濃度の分析方法が知られている。
【0003】図2は、半導体式ガスセンサによって溶存
ガスの濃度を測定するこのような従来方式の溶存ガス分
析装置のブロック構成図である。図2において溶存ガス
を含有する試料液は、恒温槽1に導かれてヒータ2によ
り加熱され、その液温は温度検出端3により検出され、
この検出温度と所定温度との偏差から温度調節計4によ
りヒータ2を制御して液温を所定の一定温度に保持す
る。恒温槽1からの一定温度の試料液はポンプ6により
抽出槽7に導かれ、抽出槽7内をヘッドスペース8を形
成しながら通流して排液される。
【0004】空気ポンプ9により送気される空気の一部
は活性炭カラム10により清浄にされたキャリアガスとし
てヘッドスペース8に流入し、このキャリアガスが試料
液と接触して試料液中の溶存ガスをキャリアガスに取り
込み、抽出槽7外に設けられた混合点11に流入する。一
方、エヤポンプ9により送気される前記空気の残りの部
分は乾燥管12により乾燥されて混合点11に流入し、前記
溶存ガスを運ぶキャリアガスと混合して半導体式ガスセ
ンサを有する検出部13に通流する。なお、乾燥空気を混
合するのは湿度による半導体式ガスセンサの劣化を防ぐ
ためである。
【0005】検出部13の半導体式ガスセンサの出力は増
幅回路14にて増幅された後A/D変換器15にてA/D変
換され、計算器17からなる演算処理部16に入力される。
なお18は演算処理部16等を操作するキーボードである。
ところで、検出部13に装着されている半導体式ガスセン
サは、加熱ヒータをそなえたアルミナ等の基板上に半導
体薄膜と薄膜状の金属電極を形成したものであり、半導
体表面にガスが吸着したとき、吸着分子と半導体の間で
電子のやりとりが生じ薄膜の比抵抗等の電気的特性が変
化するので、この特性変化を電極によって検出して吸着
ガス量、ひいては気相中のガス濃度を検出するものであ
る。
【0006】この半導体式ガスセンサではガスの吸脱着
の再現性と安定性を保つためアルミナ等の基板を400
℃付近の一定温度に保っているので、ガスセンサの出力
特性はセンサに導入される常温付近のガスの温度に直接
的には依存せずセンサの出力Vとガス濃度Cg との間に
は式(1)で示される関係が、広いガス濃度範囲に渡っ
て成立していることが実験的に確かめられている。
【0007】
【数1】 log V=β・log Cg +log α (1) 式(1)における定数βとlog αは、半導体式ガスセン
サの定められた動作条件のもとで実験により定められる
が、いずれも測定対象ガス中の湿度、すなわち測定対象
ガス中の水分分圧Pw にも影響されることが知られてい
る。
【0008】一方、図2の抽出槽7に送気されるキャリ
アガスの流量は、一般にヘッドスペース8の容積に比べ
小さく設定されるので、抽出槽7の気相・液相間では平
衡条件が近似的に成立しており、温度X の液相中の溶存
ガス濃度Cと当該ガスの気相中の濃度CgXの間にはヘン
リーの法則が適用でき、両者の濃度は抽出槽7に於ける
試料液の温度X に依存するヘンリーの定数DX を用いて
式(2)により関係づけられる。
【0009】
【数2】CgX=DX ・C (2) また湿度についても、抽出槽7内では気液平衡が成立し
ているので、抽出槽7の気相部の水蒸気分圧は、抽出槽
7中の試料液の温度X に於ける水の飽和蒸気圧PwXにな
っている。なお、図2の装置においては、抽出槽から送
出されるキャリヤガスは乾燥空気によって予め設定され
た倍率γ倍に希釈されて検出部13に導入されるので、半
導体式ガスセンサが設けられた検出部13における測定対
象の溶存ガスの濃度Cg と水蒸気圧PW は、それぞれ下
記の式(3),式(4)とによって表わされる。
【0010】
【数3】Cg =DX ・C/γ (3)
【0011】
【数4】Pw =PwX/γ (4) 検出部13内の測定対象溶液ガス成分濃度Cg の値を表す
式(3)を式(1)に代入し、式(1)における係数β
と定数αとが、式(4)で表される検出部13内の湿度
に影響されて変動することから、結局試料液の温度X の
関数となることを示す意味でこれをβX 及びαX で表す
と、センサの出力Vを、溶存ガスの液中濃度Cで表わす
濃度計算式(5)を導くことができる。
【0012】
【数5】 log V=βX log DX ・C/γ+log αX =βX log C+βX (log DX −log γ)+log αX (5) ここに、濃度計算式(5)におけるβX とβX (log D
X −log γ)及びlogαX とは、式の導出過程の説明で
明らかな如く、試料液の温度X によって変動する定数で
ある。
【0013】図2の構成の従来装置において、前記のよ
うに恒温槽1で試料液の温度を予め一定温度にしてから
抽出槽7に導入するのは、本来液温X に依存する濃度計
算式(5)におけるβX とαX の値を、温度に依存しな
い定数として取扱うことを可能とするためである。この
試料液の温度をaで表される一定にする従来装置におい
ては、あらかじめ濃度既知の校正用検水の試験によって
求められたβaとαaの値を、メモリ19に記憶してお
き、演算処理部16に入力されるA/D変換器15からの半
導体式ガスセンサの出力信号値Vと、このメモリ19に記
憶されているβaとαaの値とによって濃度計算式
(5)に基づいて溶存ガス濃度を算出している。そうし
て、この溶存ガス濃度は、必要な場合記録計30に表示、
記録される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上記のように溶存ガス
濃度を測定する場合、半導体式ガスセンサでの出力は、
試料液の温度に依存するので、図2に示す従来装置では
恒温槽1により試料液を一定温度にしている。しかしな
がら恒温槽で試料液の温度を一定にを保つ場合、溶存ガ
ス成分が試料液の加熱により分解したり、系外に揮散
し、正確な溶存ガス濃度が測定できないという欠点があ
り、また、恒温槽で試料液の温度が設定温度に達するま
での時間のロスが応答遅れとなり、誤差を生じさせるこ
ともある。
【0015】本発明の目的は、試料液中の溶存ガス成分
を気相に移行させ、半導体式ガスセンサで溶存ガス成分
を検出して得られる前記センサの出力から溶存ガス濃度
を算定する溶存ガス成分の分析方法において、加熱によ
る試料液の恒温化を避け、試料液の液温により温度補償
して溶存ガス濃度を測定することのできる分析方法及び
その装置を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明による溶存ガス濃度測定法においては、ガ
ス成分を気相に移行させる抽出槽中の試料液温度を測定
し、ガスセンサの出力に対する試料液相から気相に移行
する溶存ガス成分の割合とガスセンサに対する湿度の影
響を、濃度と温度が既知の検量線作成用の試料液を用い
て求めた試料液の温度とガスセンサの出力の間に成立す
る関数関係で補正し、半導体式ガスセンサの出力値と試
料液の温度測定値とから、溶存ガス濃度を算出すること
としている。
【0017】また、請求項2による発明の装置には、溶
存するガス成分を有する試料液が流通する抽出槽と、こ
の抽出槽内のヘッドスペースに導入されるキャリアガス
により運ばれる溶存ガス成分を検出して溶存ガスの濃度
に応じた信号を出力する半導体式ガスセンサと、この半
導体式ガスセンサの出力信号を増幅する増幅器と、抽出
槽内の試料液の温度を検出する温度検出端と、この温度
検出端の検出信号を温度に変換する温度測定回路と、前
記増幅器と温度測定回路の出力信号をA/D変換するA
/D変換器と、このA/D変換器の出力値を入力とし
て、試料液相から気相に移行する溶存ガス成分の割合
と、ガスセンサに対する湿度の影響を、ガスの抽出槽の
液相部に設置した温度検出端が捉えた試料液の温度の測
定値とガスセンサの出力の間に成立する関数関係によっ
て補正する演算を行う計算器と、メモリと、操作設定部
とよりなる演算処理装置とを設け、更に、請求項3によ
る発明の装置は、演算処理装置が動作指令や設定値を演
算処理装置に入力する操作設定部と、操作設定部からの
動作指令にもとづき、演算実行の過程で動作するが、装
置の電源断のとき格納データが消滅する内部メモリと、
データが消滅しない外部メモリとよりなる記憶手段とを
有し、演算処理装置の計算器が、演算処理過程の管理を
行う制御部と算術および論理演算を実行する計算処理部
を有し、上記外部メモリが、溶存ガスの濃度が既知であ
る複数の検量線作成用試料液を装置に導入して得られる
ガスセンサ出力値と試料液の温度値および濃度値の組
を、回帰分析して試料液の温度とガスセンサの出力の間
に成立する関数のパラメータ定数を算出する回帰分析プ
ログラムと、前記プロセスによって算出されたパラメー
タ定数を用いて、装置に濃度未知の測定対象の試料液を
導入したときのガスセンサと温度検出端の検出値から測
定対象の溶存ガス濃度を計算する温度補正係数・定数計
算と、濃度計算のプログラムを予め格納するものとし、
制御部が操作設定部からの検量線作成あるいは測定動作
のモード指定に応じて、外部メモリから指定されたモー
ドの動作の実行に関係するプログラムとパラメータ定数
のデータを内部メモリに転写するものとし、計算処理部
が指定のモードに係わる処理を実行するものとした。
【0018】
【作用】前記請求項1に記載の測定方法によれば、ガス
センサの出力に対する試料液相から気相に移行する溶存
ガス成分の割合とガスセンサに対する湿度の影響が、検
量線作成に係わる試験の過程で試料液の温度とガスセン
サの出力の間に成立する関数関係として求められている
ので、半導体式ガスセンサの出力値と試料液温度測定値
とから、溶存ガス濃度を算出することができ、測定対象
の試料液の温度を一定に保つ必要がなくなる。
【0019】請求項2の測定装置においては、抽出槽の
液相部に温度検出端を設置し、試料液相から気相に移行
する溶存ガス成分の割合と、ガスセンサに対する湿度の
影響を、検量線作成に係わる試験によって求めた試料液
の温度とガスセンサの出力の間に成立する関数関係にも
とづいて補正する演算を行う演算処理装置を備えている
ので、測定対象の試料液の温度を一定に保つ恒温槽を装
置に付属させる必要がなくなる。
【0020】また、請求項3の測定装置においては、演
算処理装置のメモリを構成する外部メモリに、検量線作
成の工程で得られるガスセンサ出力値と試料液の温度値
および濃度値の組を、回帰分析して試料液の温度とガス
センサの出力の間に成立する関数のパラメータ定数を算
出する回帰分析プログラムと、前記プロセスによって算
出されたパラメータ定数を用いて、装置に濃度未知の測
定対象の試料液を導入したときのガスセンサと温度検出
端の検出値から測定対象の溶存ガス濃度を計算する温度
補正係数・定数計算と、濃度計算のプログラムが予め格
納されており、操作設定部から検量線作成あるいは測定
動作のモード指定が行われたとき、制御部が外部メモリ
から指定されたモードの動作の実行に関係するプログラ
ムとパラメータ定数のデータを内部メモリに転写し、計
算処理部が指定のモードに係わる処理を実行するので、
検量線作成の工程においてオペレータが実行すべき作業
が低減される。
【0021】
【実施例】以下図面に基づいて本発明の実施例について
説明する。図1は本願第1の発明の方法及び本願第2の
発明による溶存ガス成分を温度補償して分析する溶存ガ
ス分析装置の実施例の系統ブロック図である。なお図1
において図2の従来例と同一部品には同じ符号を付し、
その説明を省略する。
【0022】図1において抽出槽7の試料液5に浸漬す
る温度検出端20と、この温度検出端20からの検出信号を
温度に変換する温度測定回路21とを設ける。そうして温
度測定回路21からの出力信号をA/D変換器15b に入力
する。メモリ19には、予め検量線作成用の濃度既知の標
準試料液を、異なる温度で装置に導入して求めた抽出槽
7中の試料液の温度Xの値から、検出部13のガスセンサ
の出力値Vと試料液の濃度CW との間に成立する関係を
示す濃度計算式(5)における係数βX と定数(log D
x −log γ)及びlog αx の値を算出する演算式のパラ
メータ値を格納しておく。
【0023】濃度未知の試料液の測定工程においては、
抽出槽7内の試料液5の液温を温度検出端20で検出し、
この検出信号は温度測定回路21に入力されて温度に変換
される。そうしてこの温度の信号はA/D変換器15b に
入力されてA/D変換され、演算処理部16に入力され
る。一方、抽出槽7内の試料液5中の溶存ガス成分は前
述のようにキャリアガスへ移行され、検出部13に導かれ
て半導体式ガスセンサにより検出され、増幅回路14,A
/D変換器15a を経て演算処理部16に入力される。
【0024】演算処理装置16は、入力された試料液の温
度検出値Xをもとに、メモリ19からガスセンサの出力値
Vと試料液の濃度CW との間に成立する濃度計算式
(5)における係数と定数の値を計算する演算式のパラ
メータ値を呼び出してそれぞれの値を算出し、算出した
係数および定数の値と、半導体式ガスセンサの出力信号
値Vとから、濃度計算式(5)によって測定対象の試料
液中の溶存ガス濃度Cw の値を算出する。この演算結果
は必要な場合記録計30により記録表示される。
【0025】次に、演算処理装置16の内部構成の詳細を
説明する。計算器17とメモリ19及び操作設定部18よりな
る演算処理装置16は、動作プログラムの入替えによって
濃度既知の標準試料液を用いて検量線に相当する計算式
のパラメータ定数の導出演算処理を行う検量線作成処理
動作と、求められたパラメータ定数を用いて濃度未知の
測定対象の試料液が導入されたときの試料温度検出値と
ガスセンサ出力値から、試料液の濃度を計算する測定演
算処理動作とを、選択して行うことができるように構成
されている。そうして、この検量線作成処理動作と、測
定演算処理動作の選択は、操作設定部18からの指令入力
によって行われる。
【0026】検量線作成処理動作時、および測定演算処
理動作時において行われる演算処理の内容は、いずれも
前出の濃度計算式(5)を基本とし、この式中では定数
としている各係数の試料液温度依存性を近似する関係式
を、濃度が既知の校正用試料液を温度を変えて試験する
ことによって求めておき、この近似式に試料液測定時に
温度検出端が捉えた試料液温度の値を代入して濃度計算
式(5)中の係数の値を定め、式(5)によってガスセ
ンサの出力から試料液中の溶存ガス濃度を計算で求める
方法を採っている。以下に濃度計算式(5)中の係数の
試料液温度依存性の近似式について説明する。
【0027】濃度計算式(5)の表現によれば、式中の
係数の試料液温依存性は下記の二つの要因に分離して取
り扱えることを示している。 1)液相から気相へ抽出される溶存ガス成分の抽出率の
試料液温度依存性に関する部分で、濃度計算式(5)の
右辺第2項の括弧内の式
【0028】
【数6】dX =(log Dx −log γ) (6) によって表されている部分。 2)半導体式ガスセンサの出力感度の湿度依存性に関す
る部分で、ガスセンサに接触する測定ガスの湿度が試料
液の温度に依存することを反映し、式(5)右辺の係数
βX と定数log αX によって表されている部分。
【0029】まず、抽出率に関する試料液温度の影響を
示す式(6)において、γは希釈率であり装置について
一定に定めた値であるから、式(6)の値は式中のヘン
リー定数DX の値によって定まる。特定の温度X におけ
るヘンリー定数DX については熱力学の法則から導かれ
る下記の式(7)で表されるネルンストの分配則が成立
している。
【0030】
【数7】 DX =GexpA/kTX (7) ここに G及びAは溶液の組成によって定まる定数 TX は温度X の絶対温度表示 kはボルツマン定数 よって、特定の温度aにおけるヘンリー定数Da を基準
にすると、温度X におけるヘンリー定数Dx との間には
下記の式が成立することが導かれる。
【0031】
【数8】 Da /DX =expA(1/kTa −1/kTX ) =expA(TX −Ta )/kTa ・TX (8) 一方、半導体式ガスセンサの出力感度に対する湿度の影
響については、ガスセンサに導入するガスの水分分圧を
変動して行った試験によって、センサ出力Vの対数値と
水分分圧Pw の対数値が比例関係にあることが確かめら
れており、この試験結果から、基準とする水蒸気圧Pa
と特定の水蒸気圧PX に対し、濃度計算式(5)におけ
る係数βa ,βX 及び定数log αa ,log αX との間に
は、次式の関係が成り立つことが導かれている。
【0032】
【数9】 βa −βX =Cb log (Pa /PX ) (9)
【0033】
【数10】log αa −log αX =log αa /αX =log (Pa /PX ) (10) 検出部に導入される測定ガスは、抽出槽7の気相中のガ
スが乾燥ガスによって1/γに希釈されたものであり、
抽出槽7気相中の水蒸気分圧は、式(4)の導出の項
で説明の如く、抽出槽7中の試料液の温度X における飽
和蒸気圧になっているので、式(9)及び(10)におけ
る基準とする水蒸気圧Pa と特定の水蒸気圧PX との比
を、試料液の温度がX のときの飽和蒸気圧PXSと試料液
の温度がaのときの飽和蒸気圧PaSとの比とすることが
できる。
【0034】ところで試料液の温度がX のときの飽和蒸
気圧PXSと、試料液の温度がaのときの飽和蒸気圧PaS
との間には、クラペイロン・クラジウスの式(11)が成
立しており、この関係から式(9)及び(10)の水蒸気
分圧比の関係は、試料液の温度の関係に変換されること
となる。
【0035】
【数11】 log Pa /PX =log PaS/PXS=K(1/Ta −1/TX ) =K(TX −Ta )/Ta ・TX (11) 溶存ガスの濃度Cl が同一の試料液を、基準とする液温
度aと異なる温度X で試験したときの濃度計算式(5)
は、それぞれ下式によって表すことが出来る。
【0036】
【数12】 log Va=βa log Cl +βa (log Da −log γ)+log αa (12)
【0037】
【数13】 log VX =βX log Cl +βX (log DX −log γ)+log αX (13) 両式の差をとって整理すると次式が得られる。
【0038】
【数14】 log Va/VX =(βa −βX )log Cl +βa log Da −βX log DX ─(βa −βX )log γ+log αa /αX (14) 式(14)は、試料液の温度がaにおける係数の値を基準
として、ガスセンサの出力と試料液中の溶存ガス濃度の
関係を示す濃度計算式(5)と等価な関係式であるか
ら、これを相対濃度計算式(14)と呼ぶことにする。
【0039】次に、相対濃度計算式(14)中の、試料液
温度と式(8),(9),(10)の関係で結ばれている
係数と定数の値を、濃度が既知の試料液を用いる試験に
よって求める方法を説明する。式(8)の右辺指数関数
内の式(15)の左辺で表される関数の値は、基準とする
試料液の温度aを常温とし、測定試料の液温度の変化範
囲の中点付近に選定すると、測定試料液温度と基準温度
の差が大きくなることがなく、また、常温の絶対温度表
示値は大きな値となり(X−a)<<Ta 及びX,a <<Ta が成
立するので、右辺のように近似展開される。
【0040】
【数15】 (TX −Ta )/Ta ・TX =(X −a )/Ta ・{Ta +(X −a )} =(X −a )/Ta2・{1+(X −a )/Ta } ≒(X −a ){1−(X −a )/Ta }/Ta2 ={(X −a )−(X −a )2 /Ta }/Ta2 ≒r1X2+r2X +r3<<1 (15) 上記の如く式(8)の右辺指数関数内の式の値は、1に
比べ十分に小さい値となるので、指数関数の近似展開式
を適用し、得られた一次展開式に式(15)の近似展開を
適用すると、式(8)は式(16)のように近似展開され
る。
【0041】
【数16】 Da /DX =expA(TX −Ta )/kTa ・TX =1+A(TX −Ta )/kTa ・TX ≒1+A(r1X2+r2X +r3)/k ≒e1X2+e2X +e3 (16) 更に、ガスセンサの出力に対する湿度の影響の表現式に
関係するクラペイロン・クラジウスの式(11)にも式
(15)の近似を適用すると下式が得られる。
【0042】
【数17】 log Pa /PX =log PaS/PXS=K(1/Ta −1/TX ) =K(TX −Ta )/Ta ・TX =K(r1X2+r2X +r3) (17) この式を、式(9)及び(10)に代入して係数を整理す
ると、式(9)と(10)は、式(18)と(19)の試料液
の温度X で表される近似式に変換される。
【0043】なお、センサ感度に対する補正量は比較的
大きいので近似展開は(X −a)について2次の項まで
採った。
【0044】
【数18】 βa −βX ≒b1X2+b2X +b3 (18)
【0045】
【数19】 αa /αX ≒a1X2+a2X +a3 (19) 検量線作成処理動作および測定演算処理動作における演
算処理は、前出の濃度計算式(5)と相対濃度計算式
(14)及びガスセンサの基本出力特性を表す式(1)を
基本とし、上記の論理によって導かれた式(16),(1
8),(19)を根拠として行われる。
【0046】まず検量線作成処理動作における演算処理
について説明する。検量線を作成する試験においては、
溶存ガスの濃度が既知の校正用試料液を用い、校正用試
料液をそれぞれ異なる温度で抽出槽7に導入して得られ
るガスセンサ出力値,試料液の温度値および校正用試料
液の溶存ガスの濃度の値の組を求め、このデータを演算
処理して濃度計算に係わる計算式のパラメータ定数を定
める。
【0047】まず、基準温度aにおける濃度計算式
(5)の係数と定数を求める。基準温度として設定した
温度aで異なる溶存ガス濃度C1とC2の校正用試料液によ
って得られたガスセンサの出力値VC1a およびVC2a
濃度計算式(5)に代入すると次式が得られる。
【0048】
【数20】 log VC1a =βa log C1+βa (log Da −log γ)+log αa (20)
【0049】
【数21】 log VC2a =βa log C2+βa (log Da −log γ)+log αa (21) 式(20)と式(21)の辺辺を合い引いて得られる下記の
式(22)の関係によって未知数βa の値を求めることが
できる。
【0050】
【数22】 log VC1a /VC2a =βa log C1/C2 (22) こうして求めたβa の値を、式(20)に代入すれば、同
式の右辺第2項と第3項の和の値を定数として確定する
ことができる。
【0051】
【数23】 log VC1a −βa log C1 =βa (log Da −log γ)+log αa =Ka (23) 一方、標準ガスを用いた試験によって予め求められてい
る式(1)の関係によってVC1a と同出力を与えるガス
の濃度を求めることができる。
【0052】
【数24】 log VC1a −βlog Cg =log α (24) 式(24)の両辺にβa /βを乗じて式(23)から辺々合
い引いて整理すると、式(25)が得られる。
【0053】
【数25】 βa log Cg /C1 =Ka −(βa /β)log α−(1−βa /β)log VC1a (25) 式(25)の左辺対数関数内の分数式は、式(3)によっ
て温度aにおける溶存ガスの気相中への抽出率Da /γ
となる。すなわち、濃度既知の校正用試験液を装置に導
いて得たデータと、標準ガスの試験によって得たデータ
とによって抽出率Da /γの値を定めることができ、こ
の抽出率Da /γの値が定まれば、式(20)を用いて未
知数としてのαa の値を求めることができる。
【0054】なお、2点以上の濃度既知の検水で試験を
行った場合には、最小2乗法に基づく回帰分析計算法を
適用し、より精度の高い値を求めることができる。つぎ
に、基準温度aと異なる温度n,sの各々において、上
記と同様の試験と演算を実施し、各温度における濃度計
算式中の係数と定数、βn ,βs,αn ,αs 及びDn
とDs の値を求める。
【0055】こうして求めた係数と定数の値の組から、
係数と定数の検水温度依存性を与える計算式である式(1
6),(18) 及び(19)におけるパラメータ定数を定めること
ができる。なお、3点以上の異なる水温における濃度既
知の検水で試験を行った場合には、回帰分析計算法を適
用し、より精度の高い値を求めることができる。
【0056】ガスセンサ出力並びに抽出率の試料液温度
依存性は、試料液温度X の2次の項までの近似を必要と
しているので、決定すべきパラメータ定数は3定数とな
り、異なる3点を超える温度について試験を行うことと
なる。なお、3点を超える温度で試験を行った場合に
は、最小2乗法に基づく回帰分析計算法を適用し、より
精度の高い値を求めることができる。
【0057】また、ガスセンサ出力の湿度依存性を、本
装置外のガス中で測定し、相対濃度計算式(14)の係数
(βa ─βx )と定数αa /αx の値を計算する式(18)
と式(19)のパラメータ定数の値を求め、この値を予めパ
ラメータメモリ領域に格納しておき、式(16)の抽出率の
計算に係わるパラメータ定数のみを本装置における試験
によって定めるようにすることもできるので以下にこれ
を説明する。
【0058】まず相対濃度計算式(14)を変形して式(26)
とする。
【0059】
【数26】 log Va/VX =(βa −βX )log Cl Da /γ −(βa −βX )log Da /DX +βa log Da /DX +log αa /αX (26) 式(26)中のβa ,βx ,αa 及びαx の値には、前記パ
ラメータメモリ領域に格納されているパラメータ定数の
値を用いて計算される。
【0060】ここで、濃度既知の検水を用い、基準温度
aと異なる温度n,sで本装置による試験を行なえば、
上記の計算によて求められたβa ,βx ,αa 及びαx
の値を用い、式(14)における残りの定数Da とDX の値
を計算する式(16)のパラメータ定数の値を決定でき、全
てのパラメータ定数を本装置による試験によって求める
場合に比べ、試験の回数を少なくしうる。
【0061】なお、3点以上の異なる水温における濃度
既知の検水で試験を行った場合には、回帰分析計算法を
適用し、より精度の高い値を求めることができる。図3
は本発明による装置の検量線作成処理の機能を説明する
ための機能ブロック図であり、以下本図によって検量線
作成処理時の動作を説明する。図3は、図1に示した本
発明による溶存ガス分析装置における演算処理装置16の
構成と動作の詳細を示すものであり、図1における計算
器17は、プログラムにもとづいて入力されたデータにつ
いて算術および論理演算処理を行う計算処理部17a と、
計算処理部17a に連なるA/D変換器や操作設定部等の
入出力機器およびメモリと計算処理部自体の動作の制御
を分担する制御部17b によって構成されている。また、
図1のメモリ19は、計算処理部17a が処理の過程におい
て直接アクセスする内部メモリ19a と、プログラムと計
算処理結果のデータを、演算処理装置16の電源が遮断さ
れたときも保持しておく機能を持つ外部メモリ19b とに
よって構成されている。
【0062】検量線を作成しようとするとき、溶存ガス
の濃度を手分析等によって確認した複数濃度の校正用試
料液を用意し、これを恒温槽等に収められて一定温度に
保たれた分析装置の抽出槽7に順次供給する。そうし
て、演算処理装置16の操作設定部18において校正モード
を指定すると、制御部17b は内部メモリ19a 内に、A/
D変換器15a を経由して演算処理装置16に入力されるガ
スセンサの出力値を校正用試料液の濃度と温度の区分に
対応した値Vijとして、また、温度検出端で検出された
校正用試料液の温度値Xj、および操作設定部18から入力
された校正用試料液の濃度値Cj と基準温度値aを格納
しておく領域を確保する。
【0063】上記の設定のもとで、各入力端から入力さ
れる実測および設定されたデータ値が、内部メモリの各
確保領域に格納蓄積されので、前記の未知パラメータ定
数の値の計算に最低限必要な数以上のデータ対が取得で
きたとき、操作設定部18から回帰分析実行の指令を行う
と、制御部17b が外部メモリ19b に予め格納されている
回帰分析プログラムを呼び出して計算処理部17a に渡
し、計算処理部はこのプログラムにもとづいて内部メモ
リに格納されているデータを用いて未知係数と定数の最
確値を計算し、確定した各パラメータ定数の値を外部メ
モリ19b のパラメータメモリ領域に格納して検量線作成
の工程を終了する。
【0064】なお、試験の回数の削減のため、相対濃度
計算式(14)の係数と定数を計算する式(16),(18),(19)の
パラメータ定数の値の一部を外部から入力する場合は、
設定操作部18で装置の状態を外部入力モードとし、同じ
く設定操作部から選定したパラメータ定数の値が一旦内
部メモリ19a に書き込まれた後、試験によって求められ
たパラメータ定数と同等に処理される。
【0065】次に、測定演算処理動作おける演算処理に
ついて図4によって説明する。図4は本発明による装置
の測定演算処理の機能を説明するための機能ブロック図
であり、図中の記号は図3における記号と同じである。
分析装置は、予め前記の検量線作成処理のモードを実行
して、相対濃度計算式(18)の基準温度aにおける係数
の値と、基準温度aと異なる温度X における係数の組
を、温度の測定値X から求める計算式である式(16),
(18)および(19)のパラメータ定数が定められて演算
処理装置16の外部メモリ19a に格納されているものとす
る。
【0066】操作設定部18で測定モードを指定すると、
制御部17b が外部メモリ19b のパラメータメモリ領域に
格納されているパラメータ定数を内部メモリ19a に渡す
とともに、予め外部メモリ19b に格納されている温度補
正係数・定数の計算式である式(16),(18)と(19)
及び相対濃度計算式(14)の実行プログラムを、演算処
理装置16の計算処理部17a に引き渡す。
【0067】上記の条件が成立のもとで、分析装置に濃
度未知の測定対象の試料液が導入されると、温度検出端
20が検出した試料液の温度X は、A/D変換器15b を経
て計算処理部17a に入力される。計算処理部17a に上記
温度値の入力があると、計算処理部17a は、内部メモリ
19a 内の前記のパラメータ定数を用いて、式(16),
(18)および(19)の計算を行って当該温度に対応した
相対濃度計算式(14)における係数と定数の組を算出す
る。また、検出部13のガスセンサの出力Vも増幅器14,
A/D変換器15b を経て同じく計算処理部17a に入力さ
れているので、計算処理部17a は、この入力されたガス
センサの出力Vの値と、先の計算によって求められた係
数と定数の値の組を相対濃度計算式(14)に代入して溶
存ガスの濃度Cの対数値を計算し、この対数値の真値を
逆演算して測定溶存ガス濃度値Cとして出力する。
【0068】上記の実施例では相対濃度計算式(14)の
係数を試料液の温度検出値から求める計算式において、
近似の程度をあまり大きくしていない。厳密な濃度測定
を要しない場合には、更に近似を進めて装置方式の簡素
化を図ることができる。以下にその方法を説明する。相
対濃度計算式(14)の左辺と右辺のいづれの項も対数関
数で構成されているので、相対濃度計算式(14)を下記
(27)の等式に纏めることができ、従って式(31)の関
係式を導出することができる。
【0069】
【数27】 log Va/VX =log F(X ) (27)
【0070】
【数28】 Va/VX =F(X ) (28) 式(28)の右辺の関数F(X )は、式(16),式(18)
および式(19)を変数とする指数関数と代数式の積の形
で表されるが、式(16),式(19)および式(19)の値
自体及び式中の係数の値が小さいことを利用して変数X
の2乗以上の項を省略しながら各関数項を近似展開して
いくと、式(28)は結局式(29)の形に近似される。
【0071】
【数29】 Va/VX ≒aX2+bX +c (29) 式(29)は、基準温度aと異なる温度X の試料液によっ
て得られたガスセンサの出力の値VX を、測定された試
料液の温度の値X を用いて同一試料液の基準温度aにお
けるガスセンサの出力の値Va の値に直接近似変換しう
ることを示している。
【0072】基準温度aにおけるガスセンサの出力の値
Va の値が求まれば、この値と基準温度aの校正用試料
液の試験によって定められた係数の値を濃度計算式
(5)に適用して、試料液中の溶存ガスの濃度が基準温
度aにおける値として求めることができる。この近似法
を利用した装置の構成は請求項2の発明と同等である
が、メモリの構成と計算プログラムが第1の発明におけ
るより簡素なものとなる。
【0073】なお、以上に説明した校正モードにおいて
は、濃度既知の試験液を用いてガスセンサの出力の値と
試験液の温度検出値とから、試験液中の溶存ガス濃度を
算定する濃度計算式(5)及び(14)中のパラメータ定
数を、式(16),(18),(19)によって求めている
が、これらの式の導出過程で説明の如く、飽和水蒸気分
圧や溶存ガスに関するヘンリー定数は特定の条件におけ
る値が判明しておれば、近隣の条件のもとでの値は計算
可能である。このことを利用して、パラメータ定数の一
部あるいは全てを外部より与えるようにすることも可能
である。
【0074】以下に本発明に基づく溶存ガスの分析装置
により試料液として溶存オゾン水を用いて温度補償しな
いときと温度補償したときの溶存ガス濃度を測定した結
果について説明する。このときの測定条件は下記の通り
である。 半導体式式ガスセンサ: 半導体薄膜式オゾンガスセン
サ 温度検出端 : 熱電対 試料液流量 : 130ml/分 キャリアガス流量 : 30ml/分 乾燥ガス流量 : 30ml/分 上記の条件で溶存オゾン水の液温を7〜35℃の範囲で変
化させて溶存オゾン濃度の測定を行った。この測定にお
いて試料液の溶存オゾンの濃度は、波長350 nmの光を使
用した吸光度法により直接測定した。
【0075】基準液温度aを20℃とし、上記の測定で得
られたデータを再帰分析して式(16),(18)および
(19)における各係数を求めた結果、下式が得られた。
なお、溶存オゾン濃度測定では、式(16)の近似において
右辺第1項は1二比べて十分小さいので、温度X の1 次
の項のみを残すこととし、パラータ定数は二つにとどめ
ている。
【0076】
【数30】
【0077】
【数31】
【0078】
【数32】
【0079】図5に、温度補償しないときの溶存オゾン
濃度(無補償オゾン濃度といい図中黒丸で表示)と、
(30)式〜(32)式の関係式を用いて温度補償を行った
ときの溶存オゾン濃度(温度補償オゾン濃度といい図中
黒三角で表示)の吸光度法により実測された溶存オゾン
濃度との比(相対濃度比)をそれぞれ図示する。図5よ
り無補償オゾン濃度は、液温が20℃より高いときは吸光
度法により得られた溶存オゾン濃度より高値となり、一
方、20℃より低いときは吸光度法と比較して低値となっ
ていることがわかる。図5より、温度補償オゾン濃度
は、液温が7〜35℃の範囲で吸光度法によって得られた
溶存オゾン濃度との相対濃度比が、100 ±5%の範囲内
で一致する結果が得られた。
【0080】
【発明の効果】前記請求項1に記載の測定方法によれ
ば、ガスセンサの出力に対する試料液相から気相に移行
する溶存ガス成分の割合とガスセンサに対する湿度の影
響が、検量線作成に係わる試験の過程で試料液の温度と
ガスセンサの出力の間に成立する関数関係として求めら
れているので、半導体式ガスセンサの出力値と試料液温
度測定値とから、溶存ガス濃度を算出することができ、
測定対象の試料液の温度を一定に保つ必要がなくなる。
【0081】請求項2の測定装置においては、抽出槽の
液相部に温度検出端を設置し、試料液相から気相に移行
する溶存ガス成分の割合と、ガスセンサに対する湿度の
影響を、検量線作成に係わる試験によって求めた試料液
の温度とガスセンサの出力の間に成立する関数関係にも
とづいて補正する演算を行う演算処理装置を備えている
ので、測定対象の試料液の温度を一定に保つ恒温槽を装
置に付属させる必要がなくなる。
【0082】また、請求項3の測定装置においては、演
算処理装置のメモリを構成する外部メモリに、検量線作
成の工程で得られるガスセンサ出力値と試料液の温度値
および濃度値の組を、回帰分析して試料液の温度とガス
センサの出力の間に成立する関数のパラメータ定数を算
出する回帰分析プログラムと、前記プロセスによって算
出されたパラメータ定数を用いて、装置に濃度未知の測
定対象の試料液を導入したときのガスセンサと温度検出
端の検出値から測定対象の溶存ガス濃度を計算する温度
補正係数・定数計算と、濃度計算のプログラムが予め格
納されており、操作設定部において検量線作成あるいは
測定動作のモード指定したとき、制御部が外部メモリか
ら指定されたモードの動作の実行に関係するプログラム
とパラメータデータを内部メモリに転写し、計算処理部
が指定のモードに係る処理を実行する構造であるので、
検量線作成の工程におけるオペレータが実行すべき作業
が低減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法が適用される装置及び本発明によ
る溶存ガス分析装置の一実施例の系統ブロック図
【図2】従来の溶存ガス分析装置の系統ブロック図
【図3】本発明による溶存ガス分析装置の演算処理装置
における検量線作成処理の機能を説明するための機能ブ
ロック図
【図4】本発明による溶存ガス分析装置の演算処理装置
における測定演算処理の機能を説明するための機能ブロ
ック図
【図5】本発明により温度補償したとき及び温度補償し
ないときの溶存オゾン濃度と吸光度法による溶存オゾン
濃度との比である相対濃度比と液温との関係を示す線図
【符号の説明】
5 試料液 7 抽出槽 13 検出部 14 増幅器 15 A/D変換器 16 演算処理装置 17 計算器 17a 計算処理部 17b 制御部 18 操作設定部 19 メモリ 19a 内部メモリ 19b 外部メモリ 20 温度検出端 21 温度測定回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原田 健治 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (72)発明者 西方 聡 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−264229(JP,A) 特開 平5−346414(JP,A) 特開 平4−186138(JP,A) 特開 平2−131653(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 27/00 - 27/12 G01N 1/22

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料液中に溶存するガス成分を抽出槽にお
    いて気相に移行させ、気相部に設置された半導体式ガス
    センサの出力によって、前記試料液中の溶存ガス成分の
    濃度を測定する溶存ガス濃度測定法において、 前記抽出槽の試料液温度を測定し、前記ガスセンサの出
    力に対する試料液相から気相に移行する溶存ガス成分の
    割合と、ガスセンサ出力に対する湿度の影響を、濃度と
    温度が既知の試料液を用いて求めた試料液の温度とガス
    センサの出力の間に成立する関数関係で補正し、 半導体式ガスセンサの出力値と試料液温度測定値とか
    ら、溶存ガス濃度を算出することを特徴とする溶存ガス
    濃度測定方法。
  2. 【請求項2】溶存するガス成分を有する試料液が流通す
    る抽出槽と、 この抽出槽内に導入されるキャリアガスにより運ばれる
    溶存ガス成分を検出して溶存ガスの濃度に応じた信号を
    出力する半導体式ガスセンサと、 この半導体式ガスセンサの出力信号を増幅する増幅器
    と、 抽出槽内の試料液の温度を検出する温度検出端と、この
    温度検出端の検出信号を温度に変換する温度測定回路
    と、 前記増幅器と温度測定回路の出力信号をA/D変換する
    A/D変換器と、 このA/D変換器の出力値を入力として、試料液相から
    気相に移行する溶存ガス成分の割合と、ガスセンサに対
    する湿度の影響を、ガスの抽出槽の液相部に設置した温
    度検出端が捉えた試料液の温度の測定値とガスセンサの
    出力の間に成立する関数関係によって補正する演算を行
    う計算器と、メモリと、操作設定部とよりなる演算処理
    装置と、 を備えたことを特徴とする溶存ガス濃度測定装置。
  3. 【請求項3】演算処理装置が、動作指令や設定値を演算
    処理装置に入力する操作設定部と、 演算実行の過程で動作するが、装置の電源断のとき格納
    データが消滅する内部メモリと、データが消滅しない外
    部メモリとよりなる記憶手段と、を有し、 演算処理装置の計算器が、操作設定部からの動作指令に
    もとづき、演算処理過程の管理を行う制御部と算術およ
    び論理演算を実行する計算処理部を有し、 外部メモリが、溶存ガスの濃度が既知である複数の検量
    線作成用試料液を導入して得られるガスセンサ出力値と
    試料液の温度値および濃度値の組を、回帰分析して試料
    液の温度とガスセンサの出力の間に成立する関数のパラ
    メータ定数を算出する回帰分析プログラムと、前記プロ
    セスによって算出されたパラメータ定数を用いて、装置
    に濃度未知の測定対象の試料液を導入したときのガスセ
    ンサと温度検出端の検出値から、測定対象の溶存ガス濃
    度を計算する温度補正係数・定数の計算と濃度計算のプ
    ログラムを予め格納するものであり、 制御部が、操作設定部からの検量線作成あるいは測定動
    作のモード指定に応じて、外部メモリから指定されたモ
    ードの動作の実行に関係するプログラムとパラメータデ
    ータを内部メモリに転写するものであり、計算処理部が
    指定のモードに係わる処理を実行するものである、 ことを特徴とする請求項2に記載の溶存ガス濃度測定装
    置。
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