JP2936031B2 - レンズ付きフイルムユニット - Google Patents

レンズ付きフイルムユニット

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ストロボ装置を備えた
レンズ付きフイルムユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】いつでも手軽に写真撮影ができるよう
に、簡単な撮影機構を組み込んだユニット本体に予めフ
イルムを内蔵させたレンズ付きフイルムユニット「写ル
ンですHi」(商品名)が本出願人より製造販売され、
広く利用されている。このレンズ付きフイルムユニット
は、例えば特公平2−32615号公報で知られるよう
に非常に簡単な構造になっており、撮影後は従来の写真
フイルムと同様にフイルムユニットごとDPEを依頼で
きるようになっている。また、ストロボ装置を備えたレ
ンズ付きフイルムユニット「写ルンです フラッシュ」
(商品名)等も提供されており、適正露光に達しない暗
いところでも良好な撮影が楽しめるようになっている。
【0003】これらレンズ付きフイルムユニットでは、
フイルムを収納する本体部と裏蓋との間にパトローネか
ら引き出された未露光のフイルムが、フイルムロール室
とパトローネ室の間で露光位置に展延されている。フイ
ルムユニット内で予め引き出されてロール状に収納され
ている未露光のフイルムに露光が施されると、撮影毎に
パトローネ内に巻き取られていき、全コマ撮影が終了し
たところでパトローネ内に完全に収納することができ
る。
【0004】ストロボ撮影を希望する場合は、フラッシ
ュボタンを操作し充電を行い、パイロットランプにより
充電完了を確認してからシャッタレリーズするようにし
ている。シャッタレリーズにともない回動するシャッタ
羽根と一体成形されたスイッチング部材によりトリガ信
号を発するスイッチがONされると、充電された電圧に
よりストロボ放電管が発光する。続けてストロボ撮影を
希望する場合は、再びフラッシュボタンを操作し充電を
行ってからシャッタレリーズをしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ストロボ装置のように撮影の度にフラッシュボタンを操
作することは煩雑であった。また、操作をし忘れたりし
た場合にシャッタレリーズを行ってもストロボ発光しな
いので、適正露光が得られず良好な撮影が行えないこと
もあった。そこで、「使いきる」というレンズ付きフイ
ルムユニットの特性を活かして、ストロボ装置の昇圧回
路を常時ONにしておくことも考えられる。しかし、電
池の寿命等を鑑みると、製品出荷の時点から昇圧回路を
ONにしておくことは適切ではない。
【0006】本発明は上記従来技術の問題点を考慮して
なされたもので、撮影準備状態(シャッタチャージ状
態)では常にストロボ装置の昇圧回路の電源がONされ
ているようにしたレンズ付きフイルムユニットを提供す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願発明のレンズ付きフイルムユニットは、予め未
露光フイルムを内蔵し、撮影レンズ及びシャッタなどの
撮影機構と、シャッタチャージにより第1の位置に移動
して係止され、シャッタレリーズにより前記第1の位置
での係止が解除されることによって第2の位置に移動
し、この移動の過程で前記シャッタ羽根を蹴飛ばして開
閉させるシャッタ駆動レバーと、ストロボ発光部,メイ
ンコンデンサ,前記シャッタ羽根が開いたときにオンし
てストロボを発光させるシンクロスイッチなどを保持し
たストロボ基板を内蔵したレンズ付きフイルムユニット
において、前記メインコンデンサに充電を開始させるた
めの充電スイッチを、それぞれの一端が前記ストロボ基
板上のストロボ回路と電気的に接続され、それぞれの他
端が間隔をあけて対峙した弾性を有する一対のスイッチ
接片で構成するとともに、これらのスイッチ接片の他端
を前記第1の位置に移動したシャッタ駆動レバーの当接
によって互いに接触する位置に配置し、シャッタチャー
ジ及びシャッタレリーズに伴うシャッタ駆動レバーの移
動により充電スイッチのオンオフ切り換えを行うように
したことを特徴とするものである。
【0008】
【実施例】以下本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。本発明にかかるレンズ付きフイルムユニットの外観
を示す図3において、ユニット本体2は主にプラスチッ
ク成形され、全体を包装体3によって覆われている。包
装体3は、レンズ付きフイルムユニットの外観を綺麗に
するためのものであり、外面に操作説明などの印刷を施
した紙箱等が用いられる。この包装体3には、撮影レン
ズ4、シャッタボタン5、巻き上げノブ6、ファインダ
ー窓7、残りフイルム枚数を確認できる表示窓8及びス
トロボ発光部9、パイロットランプ10を露呈させるた
めの穴が開設されており、これらの穴を通して撮影が行
えるようになっている。
【0009】包装体3に覆われたユニット本体2は、図
2に示すように本体基部12、前カバー13、後カバー
14とからなる。パトローネ付きフイルム15は、その
組立時に予め35ミリ幅のフイルム16を遮光して収納
するためのパトローネ17と、このパトローネ17から
引き出されたロール形態のフイルム16とが、本体基部
12に設けられた露光枠を挟んでパトローネ室18、及
びフイルムロール室19にそれぞれ装填される。露光枠
の前面には周知の露光ユニット40が設けられており、
撮影レンズ4から入射した撮影光束をフイルム16に露
光する。
【0010】パトローネ室18の上部には、フイルム1
6の端部を固着しパトローネ17内に回動自在に収めら
れているスプール17aと係合する、フォークが設けら
れた巻き上げノブ6が配設されている。巻き上げノブ6
は、図2中の矢印方向に回動操作することによって、撮
影済のフイルム16をパトローネ17内に引き込む方向
に前記スプール17aを回転させる。なお巻き上げノブ
6の外周には歯列6aが形成され、この歯列6aには板
バネからなる逆止爪20が係合している。この逆止爪2
0は、巻き上げノブ6の逆転を阻止するためのものであ
る。
【0011】フイルムロール室19の前面にはストロボ
装置の基板30が設けられており、さらにその上部には
ストロボ発光用のメインコンデンサー31が設けられ、
前記基板30に配線されている。基板30の上部にはス
トロボ発光部9が設けられ、前カバー13及び包装体3
に設けられた穴を通して発光する。後カバー14の底面
にはパトローネ室18の底に対応する部分に蓋21が設
けられており、露光済のフイルム16を光密に収納した
パトローネ17を取り出しやすいようになっている。
【0012】本体基部12の一部を破断したところを示
す図1において、露光ユニット40は枚数表示板41,
係止レバー42,シャッタ駆動レバー43,シャッタ羽
根44,従動スプロケット(図示は省く)等から構成さ
れている。露光ユニット40に設けられた係止レバー4
2は軸を中心として回動自在であり、その折曲片42a
に一端を係止したバネ45によって時計方向に付勢され
ている。前記折曲片42aは、シャッタボタン5の下部
に設けられたロッドと当接しているので、シャッタボタ
ン5を押し下げることにより係止レバー42は反時計方
向に回動される。また、係止レバー42には巻き上げノ
ブ6の外周に形成された歯列部6aに係合し、巻き上げ
ノブ6の回動を阻止する巻止め爪42bが設けられてい
る。
【0013】本体基部12に設けられたシャッタ駆動レ
バー43は軸を中心に回動自在であり、シャッタ駆動レ
バー43はその一端にバネ45が掛けられ反時計方向
(図中矢印方向)に付勢されている。このシャッタ駆動
レバー43には、上方に突出し係止レバー42の突起に
当接する係止部が一体に設けられており、バネ45の付
勢に抗して反時計方向への回動が阻止される。シャッタ
駆動レバー43にはL字形の折曲片43aが形成され、
この折曲片43aの先端部はシャッタ羽根44に臨んで
いる。シャッタ駆動レバー43は係止レバー42の係止
が外れると反時計方向に回動し、シャッタ駆動レバー4
3の折曲片43aによってシャッタ羽根44に設けられ
た爪44aが蹴飛ばされ、シャッタ羽根44は開閉す
る。
【0014】前述のストロボ装置の基板30の露光ユニ
ット40に対向する端部には、上部にストロボ充電開始
用接点である2つの接片32,33が設けられ、下部に
はストロボ発光用のシンクロスイッチスイッチ37を構
成する接片34,35が設けられている。充電用の接片
32,33の上側接片32は、シャッタ駆動レバー43
の折曲片43aの下を潜り抜けたところで立ち上がり部
32aを形成している。もう一方の接片33も接片32
の下を並行しながらシャッタ駆動レバー43の折曲片4
3aの下を潜り抜け、前記立ち上がり部32aを過ぎて
から立ち上がり部33aが設けられている。
【0015】本実施例ではシャッタ駆動レバー43を本
来の機能であるシャッタ羽根44の開閉部材とするとと
もに、シャッタチャージ時とシャッタレリーズ後に第1
と第2の位置の間で移動する切り換え部材として兼用し
ている。そこで、シャッタチャージ時には前記接片32
の立ち上がり部32aと折曲片43aが当接して、もう
一方の接片33の立ち上がり部33aと立ち上がり部3
2aが接触するようにしている。また、シャッタレリー
ズされてシャッタ駆動レバー43が反時計方向に回動す
ると、接片32の立ち上がり部32aと折曲片43aの
当接が外れ、接片32自身の弾性により立ち上がり部3
3aから立ち上がり部32aが退避し接触が外れる。
【0016】また、接片34,35はシャッタ羽根44
がシャッタレリーズにより撮影開口を完全に開放した時
点で接触してシンクロスイッチ37をオンさせる。な
お、本体基部12の下部で接片34,35の下方には、
ストロボ発光用の電源である電池36がホルダーに収め
られている。前記ストロボ充電開始用接点である2つの
接片32,33は、図4に示すようにストロボ回路50
内の電池36を含む電源回路と直列に接続されている。
【0017】電池36の電圧はトランス51で昇圧さ
れ、接片32,33の接触によりメインコンデンサー3
1及びトリガ用コンデンサー52への充電が開始され
る。トリガ用コンデンサー52にはトリガ用トランス5
3が接続され、さらにストロボ放電管54の放電を開始
させるためのトリガ電極板55が接続されている。ま
た、トリガ用コンデンサー52にはストロボ発光用のシ
ンクロスイッチ37が接続され、シャッタ羽根44が全
開したときに接触してトリガ用コンデンサー52を放電
させる。なおメインコンデンサー31及びトリガ用コン
デンサー52と並列にパイロットランプ(発光ダイオー
ド)10が設けられており、充電完了を知らせるように
なっている。
【0018】上記のように構成されたレンズ付きフイル
ムユニットの作用について説明する。レンズ付きフイル
ムユニットは、製造工程で製造されてから販売店で売ら
れている間はシャッタチャージされていない状態になっ
ている。撮影者はレンズ付きフイルムユニットを購入し
写真撮影をするときは、先ず巻き上げノブ6を回動操作
してシャッタチャージを行い撮影準備をする。巻き上げ
ノブ6を図1及び図2に示す矢印方向に回動操作する
と、フイルム16がパトローネ17内に巻き込まれ、フ
イルム16のパーフォレーションに係合している露光ユ
ニット40に設けられたスプロケットが回動する。スプ
ロケットの回動にともないカムを介してシャッタ駆動レ
バー43が時計方向に回動し、シャッタチャージ位置ま
で回動すると係止レバー42によって係止される。
【0019】シャッタチャージ位置にシャッタ駆動レバ
ー43が移動すると、ストロボ充電開始用接点である2
つの接片32,33のうち接片32の立ち上がり部32
aを折曲片43aが押圧し、接片32の立ち上がり部3
2aが接片33の立ち上がり部33aと接触する。充電
開始用接点の接触により、電池36の電圧をトランス5
1が昇圧しメインコンデンサー31及びトリガ用コンデ
ンサー52を充電する。ストロボ発光に充分な高圧の電
荷がメインコンデンサー31及びトリガ用コンデンサー
52に充電されると、パイロットランプ(発光ダイオー
ド)10が発光し充電完了を知らせる。
【0020】撮影者はパイロットランプ10の発光を確
認して、シャッタボタン5を押圧しシャッタレリーズを
行う。シャッタボタン5を押し下げると、シャッタボタ
ン5の下部に設けられたロッドが係止レバー42の折曲
片42aを押圧し反時計方向に回動させる。係止レバー
42の反時計方向の回動によりシャッタ駆動レバー43
の係止が外れると反時計方向に回動し、シャッタ駆動レ
バー43の折曲片43bによってシャッタ羽根44に設
けられた爪44aが蹴飛ばされ、シャッタ羽根44は開
閉する。
【0021】シャッタ羽根44が撮影開口を完全に開放
した時点で、シャッタ羽根44の端部が接片34,35
を接触させ、シンクロスイッチ37がオンする。これに
よりトリガ用コンデンサー52が放電し、その放電電流
がトリガ用トランス53で昇圧されトリガ電極板55に
は高電圧が印加される。この結果、メインコンデンサー
31に蓄えられていた電荷によりストロボ放電管54が
放電発光する。ストロボ放電管54の発したストロボ光
は、ストロボ発光部9に設けられた拡散板を通してレン
ズ付きフイルムユニット前方に発光される。
【0022】被写体は、ストロボ光によりシャッタ羽根
44が撮影開口の全体を開放した瞬間に適正露光を得ら
れ、フイルム16に露光される。シャッタレリーズ後、
シャッタ駆動レバー43はシャッタチャージ位置から移
動し接片32の立ち上がり部32aと折曲片43aの当
接が外れ、接片32自身の弾性により立ち上がり部33
aから立ち上がり部32aが退避し接触が外れる。充電
開始用接点の接触が解除されると、電池36によるメイ
ンコンデンサー31及びトリガ用コンデンサー52の充
電がストップされる。
【0023】撮影者が続けて撮影を希望した場合、再び
巻き上げノブ6を回動操作しシャッタチャージを行う。
前回の撮影と同様に、シャッタチャージ位置にシャッタ
駆動レバー43が移動すると、ストロボ充電開始用接点
である2つの接片32,33が接触し、電池36の電圧
をトランス51が昇圧しメインコンデンサー31及びト
リガ用コンデンサー52を充電する。撮影者は、メイン
コンデンサー31及びトリガ用コンデンサー52が充電
されたことをパイロットランプ10で確認し、ストロボ
撮影することができる。
【0024】なお、本実施例ではシャッタ駆動レバーの
シャッタチャージ位置とシャッタレリーズ後の位置の違
いを利用して切り換え部材と兼用したが、シャッタチャ
ージ時とシャッタレリーズ後に第1と第2の位置の間で
移動する専用の切り換え部材を設けてストロボ充電開始
用のスイッチをON,OFFさせてもよい。また、係止
レバー等の他の部材を、切り換え部材として兼用するこ
とも可能である。
【0025】
【発明の効果】以上のように、本発明のレンズ付きフイ
ルムユニットによれば、シャッタチャージにより第1の
位置で係止され、シャッタレリーズにより第1の位置か
ら第2の位置に移動し、この移動の過程でシャッタ羽根
を蹴飛ばして開閉させるシャッタ駆動レバーを利用して
充電スイッチのオンオフ切り換えを行うにあたり、一端
がストロボ回路に接続され他端が間隔を開けて対峙した
弾性を有する一対のスイッチ接片で前記充電スイッチを
構成するとともに、これらのスイッチ接片を前記第1の
位置に移動したシャッタ駆動レバーとの当接によりオン
させ、シャッタ駆動レバーが第2の位置に移動したとき
にオフさせるようにしたから、充電スイッチの操作忘れ
によるストロボ撮影の失敗を防ぐことができる。また、
シャッタ駆動レバーと充電スイッチとの間に電気的な接
続が不要になるため、組み立てが簡単になるだけでな
く、シャッタ駆動レバーの動作が電気配線によって不安
定になるおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施したレンズ付きフイルムユニット
の本体基部の一部を破断した斜視図である。
【図2】図1に示しレンズ付きフイルムユニットの分解
斜視図である。
【図3】図1に示したレンズ付きフイルムユニットの外
観斜視図である。
【図4】図1に示したレンズ付きフイルムユニットのス
トロボ装置の回路図である。
【符号の説明】
2 ユニット本体 3 包装体 6 巻き上げノブ 9 ストロボ発光部 10 パイロットランプ 12 本体基部 16 フイルム 30 基板 31 メインコンデンサー 32,33,34,35 接片 32a,33a 立ち上がり部 37 シンクロスイッチ 40 露光ユニット 42 係止レバー 43 シャッタ駆動レバー 43a 折曲片 50 ストロボ回路 54 ストロボ放電管

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予め未露光フイルムを内蔵し、撮影レン
    ズ及びシャッタなどの撮影機構と、シャッタチャージに
    より第1の位置に移動して係止され、シャッタレリーズ
    により前記第1の位置での係止が解除されることによっ
    て第2の位置に移動し、この移動の過程で前記シャッタ
    羽根を蹴飛ばして開閉させるシャッタ駆動レバーと、ス
    トロボ発光部,メインコンデンサ,前記シャッタ羽根が
    開いたときにオンしてストロボを発光させるシンクロス
    イッチなどを保持したストロボ基板を内蔵したレンズ付
    きフイルムユニットにおいて、前記メインコンデンサに充電を開始させるための充電ス
    イッチを、それぞれの一端が前記ストロボ基板上のスト
    ロボ回路と電気的に接続され、それぞれの他端が間隔を
    あけて対峙した弾性を有する一対のスイッチ接片で構成
    するとともに、これらのスイッチ接片の他端を前記第1
    の位置に移動したシャッタ駆動レバーの当接によって互
    いに接触する位置に配置し、シャッタチャージ及びシャ
    ッタレリーズに伴うシャッタ駆動レバーの移動により充
    電スイッチのオンオフ切り換えを行うようにした ことを
    特徴とするレンズ付きフイルムユニット。
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