JP2935412B2 - 薄膜の厚さ測定方法および測定装置ならびに光学フィルターの製造方法 - Google Patents

薄膜の厚さ測定方法および測定装置ならびに光学フィルターの製造方法

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JP2935412B2 JP17040495A JP17040495A JP2935412B2 JP 2935412 B2 JP2935412 B2 JP 2935412B2 JP 17040495 A JP17040495 A JP 17040495A JP 17040495 A JP17040495 A JP 17040495A JP 2935412 B2 JP2935412 B2 JP 2935412B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光干渉の原理に基づく
薄膜の厚さ測定方法および測定装置ならびに光学フィル
ターの製造方法に関するものであり、さらに詳しくはカ
ラー表示装置用カラーフィルターのように、着色してい
るために薄膜での光干渉の分光強度が乱れやすい測定対
象の膜厚を高精度に測定する方法、測定装置、およびか
かる測定方法を用いた光学フィルターの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、薄膜の厚さを測定する方法と
して光の干渉現象を利用する方法が知られている(特開
昭56−115905号公報等)。この方法は、薄膜に
入射角θで白色平行光を入射し、薄膜からの反射光もし
くは透過光を受光し、受光した干渉光を分光して得られ
る分光強度(波長の関数としてとらえられる強度)の隣
合った極大値もしくは極小値を与える波長を求めること
により膜厚を算出するという原理に基づいている。
【0003】以下、数式を用いてこの原理を説明する。
白色平行光を薄膜に入射角θで入射させると、(1)薄
膜表面でただちに反射する光の成分と、(2)薄膜表面
では透過し内部に入射した後に薄膜の裏面で反射し、薄
膜表面より出射する光の成分と、(3)薄膜表面で透過
し内部に入射した後に薄膜の裏面より出射する光の成分
と、(4)薄膜内部で多重反射した後に薄膜表面より出
射する光の成分と、(5)薄膜内部で多重反射した後に
薄膜裏面より出射する光の成分とに分かれる。
【0004】このような薄膜面に対して光源の側に出射
する光の分光強度分布は、上記のうち(1)、(2)、
(4)の各成分の光波の重ね合わせによる干渉の結果と
して得られる。しかし、このうち(4)の成分は、上記
(1)、(2)の成分に比較して小さく、無視すること
ができる。以下、薄膜面に対して光源の側に出射する光
を測定する(いわゆる反射型)の測定を行う場合を中心
に説明する。
【0005】上記のような条件の反射型の測定では、原
理的には図4に示すように測定光の分光強度分布に強弱
(変調)が発生する。この分光強度分布の強弱は、表面
で反射した光と裏面で反射した光との間に生じた光学的
光路差ΔLが、波長の整数倍に一致する場合には両者の
位相が逆位相となって弱め合うために極小になり、波長
の(整数+1/2)倍に一致する場合には両者の位相が
一致して強め合うために極大になることにより生じるも
のである。(これは裏面で反射した光の位相が反転して
いるためであり、透過光の場合には位相の反転が生じな
いので、この関係が逆になる。)
【0006】このような光学的光路差ΔLは式(2)で
表される。 ΔL=2d√(n2 −sin2 θ) (2) ここで、dは薄膜の厚さであり、nは薄膜の屈折率であ
る。
【0007】このようにして得られた分光強度の隣合っ
た二つの極大波長(分光強度の極大値を与える波長)も
しくは隣合った二つの極小波長(分光強度の極小値を与
える波長)をλ1 、λ2 (λ1 >λ2 )とすると次の式
(3)が成立する。 ΔL=K・λ1 =(K+1)・λ2 (3) ここで、Kは整数(λ1 、λ2 が極小波長の時)または
整数+1/2(λ1 、λ2 が極大波長の時)である(透
過式の場合は極大波長と極小波長の条件が入れ代わ
る)。
【0008】式(2)、(3)を整理すると次の式
(4)が得られる。 d=λ1 ・λ2 / {(λ1 −λ2 )・〔2√(n2 −sin2 θ)〕} (4) すなわち、分光強度の隣合った二つの極大波長(もしく
は極小波長)λ1 、λ2 を求めれば式(4)に基づいて
膜厚を計算することができる。
【0009】しかし、実際に薄膜の測定で得られる干渉
分光強度は図4に示すような理想的な分光強度と異な
り、図5に示すような歪んだ分光強度しか得られない。
これは光源、分光器、分光強度検出器などが各々固有の
分光特性を持ち、それらの総合特性としての分光特性が
薄膜での干渉による分光強度の変調に重畳して測定され
るためである。
【0010】これを解決する方法として、薄膜を取り除
いてその影響を排除した状態で光源、分光器、分光強度
検出器を含めた測定システム全体の分光特性を予め測定
しておき、薄膜を測定して得られた分光強度を補正する
ことによって、薄膜での干渉による分光強度の強弱のみ
を変調信号として抽出し、得られた変調信号の極値を与
える波長から膜厚を測定するものが知られている(特公
平6−3364号公報)。
【0011】すなわち、被測定薄膜による干渉光の分光
強度をF(λ)、薄膜の変わりに反射板等を置いた状態
での測定光の分光強度をB(λ)、何も置かない状態で
の測定光の分光強度をW(λ)とし、 A(λ)=〔F(λ)−W(λ)〕/〔B(λ)−W(λ)〕 (5) により得られる変調信号A(λ)の極値を与える波長位
置から膜厚を算出するものであり、通常の透明な薄膜に
対しては高精度な測定が可能であった。
【0012】しかしながら、例えばカラー表示装置用カ
ラーフィルターのように着色した薄膜の膜厚を上記のよ
うな従来の光干渉式膜厚測定方法で測定しようとする
と、カラーフィルター自体による光の吸収のため正確な
測定が不可能であった。すなわち、カラーフィルターの
分光透過特性が薄膜での干渉による変調に重畳し、上述
の補正を行なっても図6に示すように変調信号A(λ)
に歪が残り、極大波長または極小波長の位置を正確に求
めることが困難であった。
【0013】これを解決する方法として、本発明者等
は、(1)被測定薄膜と同種でありかつ膜厚の異なる複
数の薄膜による干渉光の平均分光強度を予め測定してお
き、薄膜を測定して得られた分光強度の前記平均分光強
度に対する分光強度比を求めることによって薄膜での干
渉による分光強度の強弱のみを変調信号として抽出し、
得られた変調信号の極値を与える波長から膜厚を測定す
るものや、(2)被測定薄膜を取り除いてその影響を排
除した状態で光源、分光器、分光強度検出器からなる測
定システムのブランク分光強度と、被測定薄膜と同種で
ありかつ膜厚の異なる複数の薄膜による干渉光の平均分
光強度を予め測定しておき、薄膜を測定して得られた分
光強度と前記ブランク分光強度との分光強度比と、前記
平均分光強度と前記ブランク分光強度との分光強度比と
の分光強度差を求めることによって薄膜での干渉による
分光強度の強弱のみを変調信号として抽出し、得られた
変調信号の極値を与える波長から膜厚を測定するもの
や、(3)被測定薄膜を取り除いてその影響を排除した
状態で光源、分光器、分光強度検出器からなる測定シス
テムの照射光学系または受光光学系の光路内であって白
色光が発散または収束している位置に被測定薄膜と同種
の校正用薄膜を置いて基準分光強度を予め測定してお
き、薄膜を測定して得られた分光強度の前記基準分光強
度に対する分光強度比を求めることによって薄膜での干
渉による分光強度の強弱のみを変調信号として抽出し、
得られた変調信号の極値を与える波長から膜厚を測定す
るもの、を提案している(特願平6−72238号)。
【0014】すなわち、まず測定対象の薄膜と同一の種
類の薄膜であって、所定の値を中心に膜厚の異なる複数
のサンプルを用意する。これらのサンプルを順次測定位
置に置き、分光強度を測定する。次に、測定された分光
強度の加算平均を求め、これを平均分光強度G(λ)と
する。次に測定対象のサンプルを測定し、測定分光強度
F(λ)とする。次に正規化を行なう。すなわち、測定
分光強度F(λ)と平均分光強度G(λ)を用いて
(6)式により変調信号X(λ)を得る。 X(λ)=F(λ)/G(λ) (6) この変調信号X(λ)は測定対象自体が持つ分光透過特
性の影響が除去されて、薄膜での干渉による純粋な変調
成分のみが残ったものとなる。
【0015】もう一つの方法は、まず測定対象の薄膜の
影響を排除した状態で測定を行い、ブランク分光強度B
(λ)を得る。次に測定対象の薄膜と同一の種類の薄膜
であって、所定の値を中心に膜厚の異なる複数のサンプ
ルを用意する。これらのサンプルを順次測定位置に置
き、分光強度測定する。次に、測定された分光強度の加
算平均を求め、これを平均分光強度G(λ)とする。次
に測定対象のサンプルを測定し、測定分光強度F(λ)
とする。次に正規化を行なう。すなわち、測定分光強度
F(λ)とブランク分光強度B(λ)を用いて次の式
(7)により正規化測定信号A(λ)を得る。 A(λ)=F(λ)/B(λ) (7) この正規化測定信号A(λ)は測定対象自体が持つ分光
透過特性と薄膜での干渉による純粋な変調成分が重畳さ
れた信号であり、光学系全体の分光特性の影響が除去さ
れたものとなっている。
【0016】同様に平均分光強度G(λ)に対しても、
次の式(8)によって正規化処理を行い、正規化平均信
号C(λ)を得る。 C(λ)=G(λ)/B(λ) (8) この正規化平均信号C(λ)は、薄膜による干渉の影響
がない測定対象自体が持つ分光透過特性を、光学系全体
の分光特性により補正したものとなっている。続いて、
ベース補正を次の式(9)により行い、正規化測定信号
A(λ)と正規化平均信号C(λ)の分光強度差である
変調信号Y(λ)を得る。 Y(λ)=A(λ)−C(λ) (9) この変調信号Y(λ)は、測定対象自体が持つ分光透過
特性の上に重畳されている薄膜による純粋な干渉成分の
みが残ったものとなる。
【0017】もう一つの方法は、まず被測定薄膜を取り
除いてその影響を排除した状態で光源、分光器、分光強
度検出器からなる測定システムの照射光学系または受光
光学系の光路内であって白色光が発散または収束してい
る位置に被測定薄膜と同種の校正用薄膜を置き、分光強
度を測定し基準分光強度H(λ)とする。次に測定対象
のサンプルを測定し、測定分光強度F(λ)とする。次
に正規化を行なう。すなわち、測定分光強度F(λ)と
基準分光強度H(λ)を用いて式(10)により変調信
号Z(λ)を得る。 Z(λ)=F(λ)/H(λ) (10) この変調信号Z(λ)は測定対象自体が持つ分光透過特
性の影響が除去されて、薄膜での干渉による純粋な変調
成分のみが残ったものとなる。
【0018】これらの光干渉式膜厚測定方法で、例えば
カラー表示装置用カラーフィルターのように着色した薄
膜の膜厚を測定すると、カラーフィルター自体による分
光透過特性による歪みが補正され、図7に示すような変
調信号X(λ)が得られ、極大波長または極小波長の位
置を正確に求めることができた。
【0019】しかし、ここで得られた極大波長または極
小波長の位置を式(4)に代入して求めた膜厚は、他の
絶対厚さ測定方式(例えば薄膜の一部を鋭利な治具で掻
き取って段差を作り、触針式変位計により前記段差を測
定したもの)により得られた絶対厚さと比較すると、従
来の方式に比して精度は上がったが、まだ数%の誤差を
持ち実用上問題があった。
【0020】また、前述の方法とは異なる方法の測定精
度向上方法も知られている。これは、式(4)で求めた
膜厚を仮の膜厚d0 とし、このd0 を式(2)に代入し
て光学的光路差ΔLを求め、この光学的光路差ΔLを式
(3)を変形した式(11)に代入して分光強度の極大
波長もしくは極小波長λ1 に対応する仮の次数Kを求
め、このKを最も近い整数(λ1 が極小波長の時)また
は整数+1/2(λ1 が極大波長の時)K0 に補正した
後、λ1 、K0 を式(12)に代入して膜厚を求めるも
のである(特開昭61−76905号公報)。 K=ΔL/λ1 (11) d=K0 ・λ1 /〔2√(n2 −sin2 θ)〕 (12)
【0021】また、もう一つの測定精度向上方法も知ら
れている。これは分光強度の複数の極大波長(分光強度
の極大値を与える波長)もしくは複数の極小波長(分光
強度の極小値を与える波長)λ1 、λ2 、λ3 ・・・
(λ1 >λ2 >λ3 ・・・)を求めた後に、mを任意の
正の整数(λ1 、λ2 、λ3・・・が極小波長の時)ま
たは正の整数+1/2(λ1 、λ2 、λ3 ・・・が極大
波長の時)として式(13)を用いて各極大波長もしく
は極小波長に対応する膜厚d1 、d2 、d3 ・・・を求
める。 d1 =m・λ1 /〔2√(n2 −sin2 θ)〕 d2 =(m+1)・λ2 /〔2√(n2 −sin2 θ)〕 d3 =(m+2)・λ3 /〔2√(n2 −sin2 θ)〕 (13) 次にここで求めた各極大波長もしくは極小波長に対応す
る膜厚d1 、d2 、d3・・・の最大値と最小値の差を
偏り値δm とする。mを予想膜厚の近傍で変化させてこ
の偏り値δm を求め、δm の最小値を与えるmを真の次
数として(13)式により膜厚を求めるものである(特
開昭61−76904号公報)。
【0022】この2つの方法は、光の干渉現象に基づく
分光強度分布の極大波長または極小波長の位置測定精度
が誤差を持つ場合に有効な方法である。しかし、これら
の方法をカラー表示装置用カラーフィルターのように着
色している薄膜での膜厚測定に適用すると、求めた膜厚
は、他の絶対厚さ測定方式(例えば薄膜の一部を鋭利な
治具で掻き取って段差を作り、触針式変位計により前記
段差を測定したもの)と対応がとれる場合もあるが、1
0数%の誤差を持つ場合もあり、実用化できなかった。
【0023】本発明者等は鋭意検討を重ねた結果、カラ
ー表示装置用カラーフィルターのように着色している薄
膜の厚さを光干渉式膜厚測定方法で測定した時に最後に
残る誤差は、光の干渉現象に基づく分光強度分布の極大
波長または極小波長の位置測定精度に起因する誤差では
ないことを解明した。
【0024】すなわち、カラー表示装置用カラーフィル
ターのように着色している薄膜での光の干渉現象は、同
じ厚さの透明薄膜で生じる光の干渉現象よりも分光強度
分布が長波長方向へ波長依存性を持って圧縮されてお
り、厚さが厚くなったように見かけ上見えることが判っ
た。またこの現象は深色効果、あるいは赤方偏位と呼ば
れる現象であることも判った。
【0025】従って、カラー表示装置用カラーフィルタ
ーのように着色している薄膜の厚さを光干渉式膜厚測定
方法で測定しようとする場合には、いくら正確に分光強
度分布の極大波長または極小波長の位置を定めても、正
確な膜厚を測定することが困難であり、カラー表示装置
用カラーフィルターの製造工程においては、上述の従来
の光干渉式膜厚測定方法によって膜厚を測定して工程を
管理することが困難であった。
【0026】そのため、従来はカラーフィルターの製造
工程では、カラーフィルターの一部を鋭利な治具で掻き
取って段差を作り、触針式変位計により前記段差を測定
して膜厚としていた。しかし、この方法は破壊検査であ
ることや測定に時間がかかることなどの欠点を有してい
た。このため、調整動作が遅れて不良品が発生したり、
品質上出荷することのできないものをラインに投入した
り、取り出したりという余分な作業も必要であった。ま
た、膜厚を検査するものと、実際に工程を流れているも
のとは履歴が異なるために、製品にしてみないと最終的
な品質が判らないという問題もあった。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の第1
の目的は、被測定薄膜が着色しているものであっても、
高精度に薄膜の厚さを測定できる方法および装置を提供
することにある。
【0028】また、本発明の第2の目的は、カラー表示
装置用カラーフィルターなどの光学フィルターの製造工
程において、かかるフィルターの膜厚を非接触で高精度
に測定することにより工程管理し、歩留まりを向上させ
ることのできる光学フィルターの製造方法を提供するこ
とにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の薄膜の厚さ測定方法は、白色光を薄膜に照射し、前
記白色光の前記薄膜による干渉光の分光強度を測定し、
前記測定された分光強度に基づいて分光強度の極大値も
しくは極小値を与える波長に対応した仮の干渉次数を演
算し、前記薄膜の材料の分光透過特性に基づいて別途定
めた補正式により前記演算された干渉次数を補正し、前
記補正された干渉次数に基づいて前記薄膜の厚さを算出
することを特徴としている。
【0030】また、本発明に係る薄膜の厚さ測定方法
は、白色光を薄膜に照射し、前記白色光の前記薄膜によ
る干渉光の分光強度を測定し、前記薄膜の材料の分光透
過特性により前記測定された分光強度を補正し、前記補
正された分光強度に基づいて分光強度の極大値もしくは
極小値を与える波長に対応した仮の干渉次数を演算し、
前記薄膜の材料の分光透過特性に基づいて別途定めた補
正式により前記演算された干渉次数を補正し、前記補正
された干渉次数に基づいて前記薄膜の厚さを算出するこ
とを特徴とする方法からなる。
【0031】後者の方法においては、前記薄膜の材料の
分光透過特性により前記測定された分光強度を補正する
方法として、(1)前記薄膜と同種でありかつ厚さの異
なる複数の薄膜による干渉光の平均分光強度に対する前
記測定された分光強度の分光強度比を求める、(2)前
記薄膜と同種でありかつ厚さの異なる複数の薄膜による
干渉光の平均分光強度と前記測定された分光強度との分
光強度差を求める、(3)前記薄膜の影響を排除した状
態における前記白色光の分光強度に対する前記測定され
た分光強度の分光強度比を求める、(4)前記薄膜の影
響を排除した状態において前記白色光を前記薄膜に照射
する照射光学系または前記白色光の前記薄膜による干渉
光の分光強度を測定する受光光学系の光路内であって前
記白色光が発散または収束している位置に前記薄膜と同
種の校正用薄膜を置いて測定された基準分光強度に対す
る前記測定された干渉光の分光強度の分光強度比を求め
る、のいずれかの方法を用いることができる。
【0032】このような方法において、測定対象となる
薄膜の厚さは、特に限定されないが、0.4〜4.0μ
mの範囲の薄膜に本発明方法を適用して特に好適であ
る。
【0033】また、本発明に係る薄膜の厚さ測定装置
は、白色光を薄膜に照射する照射光学系と、前記白色光
の前記薄膜による干渉光の分光強度を測定する受光光学
系と、前記測定された分光強度に基づいて分光強度の極
大値もしくは極小値を与える波長に対応した仮の干渉次
数を演算する干渉次数算出手段と、前記薄膜の材料の分
光透過特性に基づいて別途定めた補正式により前記定め
た干渉次数を補正する干渉次数補正手段と、前記補正さ
れた干渉次数に基づいて前記薄膜の膜厚を算出する膜厚
算出手段とを備えてなることを特徴としている。
【0034】また、本発明に係る薄膜の厚さ測定装置
は、白色光を薄膜に照射する照射光学系と、前記白色光
の前記薄膜による干渉光の分光強度を測定する受光光学
系と、前記薄膜の材料の分光透過特性により前記測定さ
れた分光強度を補正する測定分光強度補正手段と、前記
補正された分光強度に基づいて分光強度の極大値もしく
は極小値を与える波長に対応した仮の干渉次数を演算す
る干渉次数算出手段と、前記薄膜の材料の分光透過特性
に基づいて別途定めた補正式により前記演算された干渉
次数を補正する干渉次数補正手段と、前記補正された干
渉次数に基づいて前記薄膜の膜厚を算出する膜厚算出手
段とを備えてなることを特徴としている。
【0035】また、本発明の薄膜の厚さ測定方法および
装置の好ましい態様としては、前記薄膜が光学フィルタ
ーおよび光学フィルター塗膜のいずれかである。
【0036】また、本発明の光学フィルターの製造方法
は、上記のような薄膜の測定方法を用いて光学フィルタ
ーの塗膜の厚さを測定し、前記測定された厚さが所定の
範囲内に入るように前記塗膜の形成手段を制御すること
を特徴としている。
【0037】この光学フィルターの製造方法の好ましい
態様としては、キュア前の光学フィルターの塗膜の厚さ
を測定し、前記測定された厚さが所定の範囲内に入らな
かった場合に、前記光学フィルターの塗膜を剥離し、前
記光学フィルターに使用されていた透明基板を再生する
方法である。
【0038】また、本発明の光学フィルターの製造方法
の好ましい態様における前記塗膜の形成手段は、スリッ
トダイ、スピンコータ、ロールコータ、バーコータおよ
び浸漬引き上げ装置のいずれかである。
【0039】
【作用】本発明の薄膜の厚さ測定方法および測定装置に
よれば、測定対象の薄膜による干渉光の分光強度の歪み
の影響のみならず、測定対象の薄膜材料の持つ深色効果
の影響をも補正して膜厚を測定できる。そして、本発明
の光学フィルターの製造方法によれば、光学フィルター
塗膜の着色の影響を補正して精度良く膜厚を測定し工程
管理することにより、工程の不良を早期に発見すること
ができる。
【0040】以下、本発明に係る薄膜の厚さ測定方法お
よび装置を、光学フィルターの一種であるカラー表示装
置用カラーフィルターの膜厚測定をする場合を例にとっ
て、図面を用いて説明する。
【0041】図1は本発明の薄膜の厚さ測定方法に用い
る装置の実施態様の概略構成を示したものである。本実
施態様例は、光源部1、投受光部2および分光部3を有
する測定部100と、演算処理部4とから構成されてい
る。投受光部2のうちの投光部と光源部が照射光学系を
構成し、投受光部のうちの受光部と分光部3が受光光学
系を構成している。
【0042】光源部1は光源11、反射鏡12、および
レンズ13で構成されている。投受光部2は投光用光フ
ァイバー21、受光用光ファイバー22、および投受光
用レンズ23で構成されている。投光用光ファイバー2
1と受光用光ファイバー22は、それぞれ数100本の
光ファイバー束であり、投受光用レンズ23の近くで一
本の束になっている。この束の中で、投光用光ファイバ
ー21と受光用光ファイバー22は入り交じって束ねら
れており、この束の投受光用レンズ23に面している投
受光面のどの部位にも均等に両方の光ファイバーが配置
されるようになっている。
【0043】分光部3は集光レンズ31、ピンホール3
2(ピンホールを有する薄板)、レンズ33、平面回折
格子34、結像レンズ35、イメージセンサ36、イメ
ージセンサ駆動回路37、およびバッファアンプ38で
構成されている。
【0044】演算処理部4はA/D(アナログ/ディジ
タル)変換器41、マイクロコンピュータ42、記憶装
置43、および図示しない入出力装置、電源装置等で構
成されている。
【0045】以下、上記の装置の作用について説明す
る。光源11から出射された白色測定光は反射鏡12、
およびレンズ13で集光され、投光用光ファイバー21
に入射される。投光用光ファイバー21を通った白色測
定光は投受光用レンズ23により平行光もしくは弱い収
束光として被測定カラー表示装置用カラーフィルター塗
膜5に投射される。
【0046】この白色測定光はカラーフィルター塗膜5
で反射されて干渉光となり、投受光用レンズ23により
集光され、受光用光ファイバー22を通って分光部3に
導かれる。
【0047】分光部3に入射された干渉光は集光レンズ
31によって集められ、集光レンズ31から同レンズの
焦点距離だけ離して置かれたピンホール32、およびピ
ンホール32の後ろにレンズ33の焦点距離だけ離して
置かれたレンズ33により平行光化される。
【0048】レンズ33より出射された平行光は平面回
折格子34に入射されて分光され、分光された干渉光の
うち所定の波長範囲の成分が結像レンズ35によってイ
メージセンサ36上に結像される。イメージセンサ36
上に結像された干渉光の分光強度は、イメージセンサ駆
動回路37により順次画素毎に読み出され、バッファア
ンプ38を介して電圧信号として演算処理部4に送られ
る。
【0049】演算処理部4ではバッファアンプ38より
送られて来た電圧信号がA/D変換器41によりデジタ
ル信号に変換された後、マイクロコンピュータ42に読
み込まれ、演算処理が行なわれる。
【0050】以下、本発明の主要部である演算処理部4
および測定手順について説明する。図2は本発明の薄膜
の厚さ測定方法の一実施態様における演算処理および測
定手順を示すフローチャートである。測定手順は大別し
て、破線で囲んだように、 (1)ブランク分光強度の測定 (2)膜厚の異なる複数のサンプルの分光強度の測定、
およびそれに基づく次数補正係数の演算 (3)サンプルの測定 (4)データ処理 の4部より構成されている。なお、(3)の処理が
(1)、(2)の処理に先だって行われてもよい。
【0051】以下、測定の手順を説明する。はじめに、
ブランク分光強度B(λ)を測定する。ここでブランク
分光強度とは測定対象の薄膜の影響を排除した状態で測
定を行い、その場合に得られる分光強度を指す。このブ
ランク分光強度を測定することにより、薄膜の存在によ
らない照射光学系および受光光学系の分光強度特性を得
ることができる。また、カラーフィルターの場合のよう
に薄膜が透明または半透明基材上に形成されているもの
の場合は、この基材を含んだ光学系全体の分光強度特性
を測定するのが好ましい。このようにして測定したブラ
ンク分光強度と、サンプルを測定した場合の分光強度と
の分光強度比をとることによって、薄膜の存在による分
光強度の変調分のみを抽出することができる。
【0052】本実施態様においては、測定対象はカラー
フィルター塗膜5である。したがって、本実施態様では
カラーフィルター塗膜5の形成の際に基材とするガラス
基板またはプラスチック基板の特性を含む光学系全体の
分光強度特性をブランク分光強度として測定している。
そのために、測定したいカラーフィルター塗膜を形成す
る前の基板を、カラーフィルター塗膜5付きの基板の代
わりに測定位置に置き、この状態で得られるブランク分
光強度B(λ)を測定する。
【0053】なお、測定対象が上記のような基材の上に
形成された薄膜でない場合は、分光反射率が平坦な反射
鏡またはガラス板等を測定対象薄膜の代わりに測定位置
に置いて測定してもよい。また、透過型の場合は、単に
薄膜なしで測定してもよく、上記と同様にガラス板等を
置いて測定してもよい。
【0054】このブランク分光強度B(λ)の測定は毎
回行なう必要は無い。しかし、光源の経時的劣化、受光
部イメージセンサの分光感度特性の経時変化を補償する
ために定期的に行うのが好ましい。
【0055】なお、手順(1)ブランク分光強度B
(λ)の測定の代わりに、膜厚の異なる複数のサンプル
の分光強度の測定およびそれらの平均分光強度の演算を
行ってもよい。
【0056】すなわち、まず測定対象の薄膜と同一の種
類の薄膜であって、所定の値を中心に膜厚の異なる複数
のサンプルを用意する。これらのサンプルを順次測定位
置に置き、分光強度を測定する。次に、測定された分光
強度の分光加算平均を求め、これを平均分光強度G
(λ)とする。ここまでが上記(1)の手順に対応す
る。この時使用するサンプルは、平均分光強度G(λ)
に各サンプルの薄膜での干渉による分光強度の変調が残
らないように、用意した複数のサンプルの中から干渉に
よる分光強度の極値を与える波長が少しずつ異なるもの
を3〜256個選択する。
【0057】このように測定し算出した平均分光強度G
(λ)は、測定に使用する光学系の光源部、投受光部お
よび分光部の分光強度特性と、測定対象のカラーフィル
ターの薄膜での光の吸収の効果のみ(干渉の効果を含ま
ない)による分光強度特性が含まれた平均的な分光強度
であると言える。言い換えると、平均分光強度G(λ)
はカラーフィルターを含めた測定光学系の、カラーフィ
ルターの薄膜での干渉による変調以外のすべての分光強
度特性を平均化した分光特性を表している。
【0058】この平均分光強度G(λ)の測定は毎回行
なう必要は無い。カラーフィルターの目標膜厚、組成、
製造条件等を変更した場合にのみ行なえばよい。また、
手順(1)でブランク分光強度B(λ)の測定の代わり
に、平均分光強度G(λ)の測定を行った場合には、以
下の手順においてブランク分光強度B(λ)を平均分光
強度G(λ)と読み換えればよい。
【0059】次に次数補正係数の演算を行なう。カラー
フィルターに限らず、通常の工業製品である薄膜の厚さ
は所定の値を中心にばらついており、全く厚さの判らな
い薄膜の厚さを測定することはまれである。そこで、測
定対象の薄膜と同一の種類の薄膜であって、所定の値を
中心に膜厚の異なる複数のサンプルを3〜256個用意
する。これらのサンプルのうちの一つを測定位置に置
き、分光強度を測定し、F(λ)とする。
【0060】次に正規化を行なう。すなわち、測定分光
強度F(λ)とブランク分光強度B(λ)を用いて次の
式(7)により正規化測定信号A(λ)を得る。 A(λ)=F(λ)/B(λ) (7) この正規化測定信号A(λ)は測定対象自体が持つ分光
透過特性と薄膜での干渉による純粋な変調成分が重畳さ
れた信号であり、光学系全体の分光特性の影響が除去さ
れたものとなっている。
【0061】続いて、得られた正規化測定信号A(λ)
の極値を与える波長を検出し、複数の極大波長(正規化
測定信号A(λ)の極大値を与える波長)もしくは複数
の極小波長(正規化測定信号A(λ)の極小値を与える
波長)λ1 、λ2 、λ3 ・・・(λ1 >λ2 >λ3 ・・
・)を求める。
【0062】前述のようにして求めた正規化測定信号A
(λ)の極値を与える複数の波長(極大波長および極小
波長)のうち、隣合う極大波長もしくは極小波長より、
式(14)に基づいて仮の膜厚di を計算する。 di =λi ・λi+1 / {(λi −λi+1 )・〔2√(n2 −sin2 θ)〕} (14)
【0063】続いて、上記仮の膜厚di を式(15)に
代入して正規化測定信号A(λ)の極大波長もしくは極
小波長λi に対応する仮の次数Ki を求める。 Ki =〔2di √(n2 −sin2 θ)〕/λi (15)
【0064】あるいは、仮の膜厚di を計算せずに式
(16)を用いて隣合う極大波長もしくは極小波長よ
り、波長λi に対応する仮の次数Ki を直接求めてもよ
い。 Ki =λi+1 /(λi −λi+1 ) (16)
【0065】さらには、式(17)を用いて隣合う3個
の極大波長もしくは極小波長より、またあるいは隣合う
3個の(極大、極小、極大)波長もしくは(極小、極
大、極小)波長の組み合わせにより、波長λi に対応す
る仮の次数Ki を直接求めてもよい。 Ki =λi-1 ・λi+1 /〔(λi-1 −λi+1 )・λi 〕 (17)
【0066】次に上記測定に使用したサンプルの膜厚
を、他の絶対厚さ測定方式(例えば薄膜の一部を鋭利な
治具で掻き取って段差を作り、触針式変位計により前記
段差を測定したもの)により測定し、真の膜厚Dとす
る。
【0067】この真の膜厚Dを式(18)に代入して正
規化測定信号A(λ)の極大波長もしくは極小波長λi
に対応する真の次数Mi を求める。 Mi =〔2D√(n2 −sin2 θ)〕/λi (18)
【0068】この演算を一つのサンプルで得られた正規
化測定信号A(λ)の複数の極大波長もしくは極小波長
に対して行い、波長λi と仮の次数Ki と真の次数Mi
のデータセット(λi 、Ki 、Mi )を複数個求める。
【0069】さらに、測定対象の薄膜と同一の種類の薄
膜であって、所定の値を中心に膜厚の異なる複数のサン
プル3〜256個に対しても上記演算を行い、波長λi
と仮の次数Ki と真の次数Mi のデータセット(λi
i 、Mi )をさらに複数個求める。
【0070】次にここで得られた複数のデータセット
(λi 、Ki 、Mi )を整理し、最少二乗法により式
(19)を満足する係数a、bを求める。 M=K+a+b・λ(nm) (19) ここまでが上記(2)の次数補正係数の演算手順に対応
する。
【0071】なお、この次数補正係数の演算は毎回行な
う必要は無い。カラーフィルターの組成、製造条件等を
変更した場合にのみ行なえばよい。
【0072】次に測定対象のサンプルを測定する。カラ
ーフィルター塗膜5を測定位置に置き、マイクロコンピ
ュータ42の指令により、イメージセンサ駆動回路37
がイメージセンサ36の出力を順次画素毎に読み出す。
この出力を、バッファアンプ38を介して電圧信号とし
て演算処理部4に送り、A/D変換器41によりデジタ
ル信号に変換した後読みとり、測定分光強度F(λ)と
する。ここまでが上記(3)の手順に対応する。
【0073】ブランク分光強度B(λ)を求める際、お
よび次数補正係数を求める際の膜厚の異なる複数のサン
プルの測定手順も同様である。
【0074】続いて、データ処理の説明を行なう。図2
に示すようにデータ処理は、 (a)平滑化 (b)正規化 (c)極値検出 (d)仮次数決定 (e)補正次数決定 (f)膜厚計算 の手順を経て行なわれる。
【0075】以下、各ブロックの機能を詳細に説明す
る。まず、平滑化を行なう。平滑化はイメージセンサ3
6の出力信号に重畳するノイズの除去、およびイメージ
センサ36自体が持つ奇偶ビットのゲインのばらつきを
補償するために行なうものであり、高周波成分を除去す
るいわゆるローパスフィルター処理が行なえるものなら
ばどのような手法でもよい。
【0076】しかし、処理の高速化、平滑化処理後の位
相特性の保持の点から、移動平均処理が好ましい。移動
平均処理とは、時系列データや連続した一群のデータに
対して、ノイズ除去の目的で行うものであり、i番目
(iは整数)のデータとして前後のデータの平均値をあ
てはめるものである。前後のデータを単純に平均するも
のや、適当な重みをつけて平均するものなどがある。
【0077】また、この平滑化処理はブランク分光強度
B(λ)に対しても行なっておくのが好ましい。なお、
この平滑化処理は必ずしも必要ではないが本実施態様に
おいては、各分光強度は平滑化処理を受けているものと
する。
【0078】次に正規化を行なう。すなわち、測定分光
強度F(λ)とブランク分光強度B(λ)を用いて次の
式(7)により正規化測定信号A(λ)を得る。 A(λ)=F(λ)/B(λ) (7) 具体的には、イメージセンサ36の各画素に対応したデ
ータとしてマイクロコンピュータ42内部に保持されて
いる測定分光強度F(λ)およびブランク分光強度B
(λ)の同一画素に対応するデータを順次読み出して割
算処理をする。
【0079】この時、測定分光強度F(λ)、ブランク
分光強度B(λ)の各画素に対応したデータはほぼ同じ
大きさの整数値であり、このまま割算処理をすると桁落
ちが生じて必要な精度が得られない場合がある。F
(λ)、B(λ)のデータを実数に変換した後、割算処
理を行なえば桁落ちの問題は無くなるが、処理に時間が
かかって実用的でない。
【0080】そこで、測定分光強度F(λ)のデータを
例えば1024倍した後に整数割算処理を行なえば、桁
落ちの問題もなく、しかも高速な演算が可能となる。な
お、ここで1000倍ではなく1024倍としたのは、
n の掛算はビットシフト処理によって可能であり、よ
り高速に処理できるからである。
【0081】この正規化処理によって得られた正規化測
定信号A(λ)はカラーフィルター塗膜5の材料自体の
分光透過性の影響が除去されて、薄膜での干渉による純
粋な変調成分のみが残ったものとなっている。
【0082】続いて、得られた正規化測定信号A(λ)
の極値を与える波長を検出する。これまでの処理により
正規化測定信号A(λ)はノイズ成分の少ない理論的な
干渉信号にほぼ等しいものになっているので、正規化測
定信号A(λ)を微分処理して傾きの変化を調べる方法
や、信号の部分的な重心位置を求める方法等により容易
に極大値および極小値の位置を正確に知ることができ
る。
【0083】ここで得られる極値の位置はイメージセン
サ36の画素番号であるが、この極値を与える画素番号
に対応する波長を知るためには、イメージセンサ36の
画素番号と波長との対応関係を知っておく必要がある。
【0084】この対応関係は、カラーフィルター塗膜5
の代わりに分光反射特性が比較的平坦な反射板を測定位
置に置き、照射光学系または受光光学系のうち白色光が
平行光に近い状態で伝播する位置に、分光特性が既知の
干渉フィルターを設置して測定し、そのピーク位置など
を検出して画素番号との対応をとることにより求めるこ
とができる。
【0085】なお、ピーク位置などは厳密には特定の画
素の中央にあるとは限らないので、ピーク近傍の各画素
のデータ値を利用して真のピーク位置を補間により求め
るのが好ましい。
【0086】続いて、仮次数を算出する。前述のように
して求めた正規化測定信号A(λ)の極値を与える複数
の波長(極大波長および極小波長)のうち、隣合う極大
波長もしくは極小波長より、式(14)と式(15)ま
たは式(16)または式(17)より分光強度の極大波
長もしくは極小波長λi に対応する仮の次数Ki を求め
る。
【0087】続いて、真の次数を算出する。上記手順で
得られた仮の次数Ki を前記式(19)に代入し、分光
強度の極大波長もしくは極小波長λi に対応する補正さ
れた次数Mi を求める。
【0088】続いて膜厚を演算する。上記手順で得られ
た補正された次数Mi を式(20)に代入すれば真の膜
厚dが得られる。 d=Mi ・λi /〔2√(n2 −sin2 θ)〕 (20) このとき、正規化測定信号A(λ)の極値を与える複数
の波長(極大波長もしくは極小波長)に対する膜厚を算
出してその平均値を求めてもよい。
【0089】なお、今までに詳述した方法において、投
受光に光ファイバーを用いずに直接光学窓を介して投受
光する場合は、測定位置に何も置かない状態での分光強
度をW(λ)とし、測定分光強度F(λ)、ブランク分
光強度B(λ)、平均分光強度G(λ)等の演算に使用
する分光強度から前もってW(λ)を引き算しておけば
より高精度な測定が可能となるので好ましい。
【0090】また、本発明において白色光を測定対象に
照射するときに完全な平行光である必要はない。収束光
または発散光を薄膜に照射すると入射角が一定でないた
め図4に示すような薄膜における分光強度に干渉の影響
が現れない。しかしながら、収束角または発散角が十分
小さく、薄膜に照射する光の入射角の分布範囲が狭けれ
ば薄膜における分光強度に十分な強度の干渉による変調
が現れる。具体的には、式(2)のΔLの値の分布範囲
の幅が受光光学系の有効な分光範囲の最短波長の0.2
倍程度よりも狭ければ、完全な平行光を入射する場合の
90%程度の強度の干渉による変調が得られる。したが
って、白色光を測定対象に照射するときに焦点距離の長
いレンズ等を用いて収束または発散させることも好まし
く行われる。
【0091】本発明を適用する薄膜としては、光学フィ
ルターが好適である。特に薄膜内で光が吸収されるもの
の膜厚の測定において、本発明の膜厚の測定方法は特に
好適である。光学フィルターとしては、カメラなどの光
学機器の分光感度特性を所望のものに変換するための各
種光学フィルターや、カラー表示装置用カラーフィルタ
ーなどが好ましく用いられる。カラー表示装置として
は、液晶表示装置、プラズマ表示装置、エレクトロルミ
ネッセンス表示装置などがある。
【0092】以下、本発明に係る薄膜の製造方法を、カ
ラー液晶表示装置用カラーフィルター薄膜に適用した場
合について、図を用いて詳細に説明する。一般に液晶な
どを用いたディスプレィ等に利用されるカラーフィルタ
ーは、ガラス基板等の透明基板上に赤、緑、青の3原色
パターンが、ある一定の位置関係を保って配列されてい
る。このようなカラーフィルターの製造方法として、例
えば以下の方式が知られている。
【0093】まず透明基板上に微細パターンからなる遮
光層を形成する。この遮光層上に着色剤を添加した熱硬
化性の塗料を塗布し、50〜150℃の温度で乾燥して
(セミキュア)、熱硬化性塗膜を形成する。続いて該熱
硬化性塗膜上にポジ型フォトレジストを塗布し、超高圧
水銀灯等を用いてマスク露光を行い、次いで前記ポジ型
フォトレジストを現像・エッチングし、レリーフパター
ンを形成した後、前記レリーフパターンをマスクとし
て、該熱硬化性塗膜をエッチングする。
【0094】続いて前記ポジ型フォトレジストを剥離し
た後、200〜350℃程度に加熱焼成し(キュア)、
熱硬化性塗膜を熱硬化してカラーフィルター塗膜とす
る。以上の工程を赤、緑、青の3色について繰り返し、
所定の赤、緑、青3色の微細パターンを形成し、カラー
フィルターとする。
【0095】また着色剤を添加した熱硬化性の塗料の代
わりに着色剤を添加した感光性塗料を使用してもよい。
この場合には、透明基板上に微細パターンからなる遮光
層を形成し、この遮光層上に着色剤を添加した感光性塗
料を塗布し、50〜150℃の温度で乾燥して(セミキ
ュア)、感光性塗膜を形成する。次いで超高圧水銀灯等
を用いてマスク露光を行い、感光性塗膜を光硬化する。
その後遮光層上の未硬化感光性塗膜を現像、エッチン
グ、剥離する。その後、200〜350℃程度に加熱焼
成し(キュア)、感光性塗膜を熱硬化してカラーフィル
ター塗膜とする。以上の工程を赤、緑、青の3色につい
て繰り返し、所定の赤、緑、青3色の微細パターンを形
成し、カラーフィルターとする。
【0096】透明基板としては、ポリカーボネート、ポ
リメチルメタクリレート等のプラスチック平板やプラス
チックフィルムおよびガラス板等全光線透過率が70%
以上の透明または半透明平板が好ましく用いられる。特
に、ガラス板が光の透過率が高く好ましい。
【0097】塗料の種類としては、アクリル樹脂、ポリ
エステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアミド
樹脂、ポリイミド樹脂等の一種ないし二種以上の混合
物、およびこれらの感光性樹脂等に染料または顔料等の
着色剤を分散混合したものが好ましく用いられる。
【0098】この透明基板上へのカラーフィルター薄膜
塗布方式としてはスピンコータ方式、浸漬引き上げ塗布
方式、ロールコータ方式、バーコータ方式、スリットダ
イ方式等の種々の方式があるが、図3は本発明に係るカ
ラーフィルター薄膜のスリットダイ方式による塗布の一
例を示す概略図である。
【0099】塗料70はポンプ69によって配管68か
ら口金66の内部に供給され、透明基板61の搬送(矢
印A方向)に従い、口金66の先端にあるリップ65か
らカーテン状態で吸着ステージ62上に吸着固定された
透明基板61上に塗布される。なお、63は塗布された
塗料、67はリップ65のスリット間隙調整ボルトを示
している。
【0100】さて、上記カラーフィルターの製造工程に
おいて種々の原因により、カラーフィルター薄膜の厚さ
むらが発生する。このカラーフィルター薄膜の厚さむら
は最終製品としてカラー液晶表示装置に組み込まれた時
に、カラー表示の色むらとして現れ商品価値を損なうも
のである。そこでカラーフィルターの製造工程におい
て、カラーフィルター薄膜の厚さむらを常に監視し、一
定の範囲内に収める必要がある。
【0101】また、キュア後のカラーフィルター薄膜は
透明基板に固着しており、この段階で厚さむら異常が発
見された場合は廃棄するしかなく、収率低下の大きな原
因にある。しかし塗布直後、およびセミキュア後のカラ
ーフィルター薄膜は透明基板に固着していないので、こ
の段階で厚さむら異常を発見することができれば塗膜を
剥離して、透明基板を再生使用することができる。
【0102】したがって、塗布直後、およびセミキュア
後のカラーフィルター薄膜の厚さを測定するのが好まし
い。上述した本発明に係る薄膜の厚さ測定方法は、この
ようなカラーフィルター薄膜の厚さの測定に好ましく適
用でき、微細パターンの部分でも非接触でかつ高精度、
高速で測定することができる。これにより、工程の安定
化、歩留まりの向上、コストダウンに大きく寄与するこ
とができる。
【0103】すなわち、塗布直後、あるいはセミキュア
後のカラーフィルター薄膜の面内膜厚分布を測定した
後、その結果を用いて直ちに口金先端部にあるリップ6
5の間隙や、透明基板61とリップ65の間隔すなわち
クリアランス64を調整して、カーテン状に吐出される
塗料の口金幅方向分布を調整することなどにより、塗膜
の均一性を一定に保つことができる。
【0104】また、塗液70の吐出量および/または透
明基板61の搬送速度を調整することにより塗膜厚さの
面内平均値を一定に保ってもよい。
【0105】さらに、セミキュア後のカラーフィルター
の面内膜厚分布を測定して所望の一定値に入っていない
ものは工程を調整すると共に、塗膜を剥離して透明基板
を再生使用することができ、収率の向上、コストダウン
に大きく寄与することができる。
【0106】
【実施例】
実施例1 以下、本発明の薄膜の厚さ測定方法および測定装置をカ
ラー表示装置用カラーフィルターの塗膜の膜厚測定に適
用した場合の一実施例について説明する。装置の構成は
図1のものを採用した。光源としてハロゲンランプを使
用し、投光用光ファイバー21および受光用光ファイバ
ー22として石英バンドルファイバーを用いた。平面回
折格子34は600〜1100nmに十分感度のあるも
のを用いた。また、イメージセンサ36も600〜11
00nmに十分感度のある1024画素で構成されるC
CD(Charge Coupled Device)
素子を用いた。A/D変換器はフルスケール12ビット
(4096段階)のものを使用した。さらに平滑化は単
純移動平均とし、8点の移動平均とした。
【0107】図3に示すスリットダイ方式により大きさ
300mm×400mm、厚さ1.1mmのガラス基板
上にNメチルピロリドン溶液と塩臭素化フタルシアニン
グリーン(C.I.ピグメントグリーン36)とジスア
ゾイエローHR(C.I.ピグメントイエロー83)顔
料を添加・分散したポリアミド酸塗料を固形分8重量
%、粘度0.15Pa・sで塗布、110℃で10分乾
燥(セミキュア)した。この時塗料の吐出量を調整し、
厚さの異なる複数の緑色全面塗布カラーフィルター塗膜
サンプルを得た。
【0108】はじめに、ブランク分光強度B(λ)を測
定した。すなわち、上記カラーフィルター塗膜サンプル
を作成する際の基材として用いたガラス基板を測定位置
に置き、測定を行いブランク分光強度B(λ)を得た。
【0109】次に、補正係数の決定を行った。すなわ
ち、上記で用意した厚さの異なる複数の緑色全面塗布カ
ラーフィルター塗膜サンプルの中から任意の15枚につ
いて、上述の測定装置を用いて測定分光強度F
1 (λ)、F2 (λ)、・・・、F15(λ)を測定し
た。
【0110】さらに、測定された測定分光強度F
1 (λ)、F2 (λ)、・・・、F15(λ)のブランク
分光強度B(λ)に対する分光強度比を求め、正規化測
定信号A1(λ)、A2 (λ)、・・・、A15(λ)と
した。
【0111】さらに、正規化測定信号A1 (λ)、A2
(λ)、・・・、A15(λ)の極値を与える波長を検出
し、式(16)を用いて波長λi に対応する仮の次数K
i を求めた。
【0112】次に、この15枚のサンプルの一部を鋭利
な治具で掻き取って段差を作り、触針式変位計により段
差を測定し、各サンプルの膜厚とし、この真の膜厚を式
(18)に代入して正規化測定信号A(λ)の極大波長
もしくは極小波長λi に対応する真の次数Mi を求め
た。
【0113】次にここで得られた15個のデータセット
(λi 、Ki 、Mi )を、真の次数と仮の次数の差M−
Kを縦軸に、極値を与える波長λを横軸にとって整理す
ると図8の関係が得られた。
【0114】最少二乗法により式(19)を満足する係
数a、bを求めると、式(21)が得られた。 M=K−4.9+0.0045・λ (21)
【0115】次に、サンプルの測定を行った。前述の複
数の緑色全面塗布カラーフィルター塗膜サンプルの内、
補正係数の決定に用いたのとは異なる3枚のサンプルを
準備した。この3枚のサンプルの一部を鋭利な治具で掻
き取って段差を作り、触針式変位計により段差を測定し
たところ、各々1.43、1.58、1.60μmの膜
厚であった。
【0116】上述の測定装置を用いてこの3枚のサンプ
ルのカラーフィルター塗膜による干渉光の測定分光強度
1 (λ)、F2 (λ)、F3 (λ)を測定し、さらに
ブランク分光強度B(λ)に対する分光強度比を求め、
正規化測定信号A1 (λ)、A2 (λ)、A3 (λ)を
得た。この正規化測定信号から極大波長および極小波長
を求め、式(16)を用いて波長λi に対応する仮の次
数Ki を求めた。
【0117】次に、式(21)に波長λi と仮の次数K
i を代入し、波長λi に対する真の次数Mを求めた。さ
らに式(20)においてn=1.7、θ=0として膜厚
を算出したところ、得られた膜厚は各々1.42、1.
57、1.60μmであり、正確な測定が行なえた。こ
れらF1 (λ)、F2 (λ)、F3 (λ)についての測
定、算出結果を表1に示す。
【0118】
【表1】
【0119】比較例1 実施例1と同じ3枚のサンプルを実施例1と同じ構成の
装置で測定し、実施例1と同じブランク分光強度B
(λ)に対する分光強度比を求め、正規化測定信号A1
(λ)、A2 (λ)、A3 (λ)を得た。この正規化測
定信号から極大波長および極小波長を求め、式(4)に
おいてθ=0、n=1.7として膜厚を計算したとこ
ろ、得られた厚さは各々1.57、1.71、1.72
μmであり、正確な測定とは言えなかった。
【0120】なお、上記実施例1、比較例1における測
定結果の正規化測定信号を、図7に示す。
【0121】
【発明の効果】本発明の薄膜の厚さ測定方法および測定
装置によれば、測定対象の薄膜が着色による光の分光透
過特性を有しているために、かかる薄膜による干渉光の
分光強度が歪んで極大波長や極小波長が変移する場合で
あっても、こうした歪みの影響を排除して精度良く膜厚
を測定することができる。
【0122】また、本発明の光学フィルターの製造方法
によれば、光学フィルター塗膜の着色の影響を補正し
て、精度良く非接触で迅速に膜厚を測定することにより
工程管理をすることができる。その結果、工程の不良を
早期に発見し、歩留まりの向上や工程の安定化および品
質の向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に係る薄膜の厚さ測定装置
の概略構成図である。
【図2】本発明における演算処理の一例を示すフローチ
ャートである。
【図3】本発明の一実施態様に係る光学フィルターの製
造方法の一例を示す概略構成図である。
【図4】薄膜による干渉の分光スペクトルを示す模式図
である。
【図5】実際に薄膜を測定した際の干渉の分光スペクト
ルを示す図である。
【図6】比較例による測定結果の変調信号を示す特性図
である。
【図7】実施例による測定結果の変調信号を示す特性図
である。
【図8】実施例による次数と波長との関係図である。
【符号の説明】
1 光源部 2 投受光部 3 分光部 4 演算処理部 5 カラー液晶表示装置用カラーフィルター薄膜 11 光源 12 反射鏡 13 レンズ 21 投光用光ファイバー 22 受光用光ファイバー 23 投受光用レンズ 31 集光レンズ 32 ピンホール 33 レンズ 34 平面回折格子 35 結像レンズ 36 イメージセンサ 37 イメージセンサ駆動回路 38 バッファアンプ 41 A/D変換器 42 マイクロコンピュータ 43 記憶装置 61 透明基板 62 吸着ステージ 63 塗布された塗料 64 クリアランス 65 リップ 66 口金 67 調整ボルト 68 配管 69 ポンプ 70 塗料 100 測定部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01B 11/00 - 11/30 102 G02B 5/20 - 5/28

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 白色光を薄膜に照射し、前記白色光の前
    記薄膜による干渉光の分光強度を測定し、前記測定され
    た分光強度に基づいて分光強度の極大値もしくは極小値
    を与える波長に対応した仮の干渉次数を演算し、前記薄
    膜の材料の分光透過特性に基づいて別途定めた補正式に
    より前記演算された干渉次数を補正し、前記補正された
    干渉次数に基づいて前記薄膜の厚さを算出することを特
    徴とする、薄膜の厚さ測定方法。
  2. 【請求項2】 白色光を薄膜に照射し、前記白色光の前
    記薄膜による干渉光の分光強度を測定し、前記薄膜の材
    料の分光透過特性により前記測定された分光強度を補正
    し、前記補正された分光強度に基づいて分光強度の極大
    値もしくは極小値を与える波長に対応した仮の干渉次数
    を演算し、前記薄膜の材料の分光透過特性に基づいて別
    途定めた補正式により前記演算された干渉次数を補正
    し、前記補正された干渉次数に基づいて前記薄膜の厚さ
    を算出することを特徴とする、薄膜の厚さ測定方法。
  3. 【請求項3】 前記薄膜の厚さが0.4〜4.0μmで
    ある、請求項1または2に記載の薄膜の測定方法。
  4. 【請求項4】 前記薄膜の材料の分光透過特性により前
    記測定された分光強度を補正する方法として、 (1)前記薄膜と同種でありかつ厚さの異なる複数の薄
    膜による干渉光の平均分光強度に対する前記測定された
    分光強度の分光強度比を求める、 (2)前記薄膜と同種でありかつ厚さの異なる複数の薄
    膜による干渉光の平均分光強度と前記測定された分光強
    度との分光強度差を求める、 (3)前記薄膜の影響を排除した状態における前記白色
    光の分光強度に対する前記測定された分光強度の分光強
    度比を求める、 (4)前記薄膜の影響を排除した状態において前記白色
    光を前記薄膜に照射する照射光学系または前記白色光の
    前記薄膜による干渉光の分光強度を測定する受光光学系
    の光路内であって前記白色光が発散または収束している
    位置に前記薄膜と同種の校正用薄膜を置いて測定された
    基準分光強度に対する前記測定された干渉光の分光強度
    の分光強度比を求める、 のいずれかの方法を用いることを特徴とする、請求項2
    または3に記載の薄膜の厚さ測定方法。
  5. 【請求項5】 分光強度の極大値もしくは極小値を与え
    る波長をλ(nm)、λに対応した仮の干渉次数をK、
    補正後の干渉次数をMとしたときに、前記補正式が式
    (1)からなる、請求項1、2、3または4に記載の薄
    膜の厚さ測定方法。 M=K+a+bλ (1) (a、bは係数)
  6. 【請求項6】 −10≦a≦0、0≦b≦0.01であ
    る、請求項5に記載の薄膜の厚さ測定方法。
  7. 【請求項7】 白色光を薄膜に照射する照射光学系と、
    前記白色光の前記薄膜による干渉光の分光強度を測定す
    る受光光学系と、前記測定された分光強度に基づいて分
    光強度の極大値もしくは極小値を与える波長に対応した
    仮の干渉次数を演算する干渉次数算出手段と、前記薄膜
    の材料の分光透過特性に基づいて別途定めた補正式によ
    り前記演算された干渉次数を補正する干渉次数補正手段
    と、前記補正された干渉次数に基づいて前記薄膜の厚さ
    を算出する膜厚算出手段とを備えてなることを特徴とす
    る薄膜の厚さ測定装置。
  8. 【請求項8】 白色光を薄膜に照射する照射光学系と、
    前記白色光の前記薄膜による干渉光の分光強度を測定す
    る受光光学系と、前記薄膜の材料の分光透過特性により
    前記測定された分光強度を補正する測定分光強度補正手
    段と、前記補正された分光強度に基づいて分光強度の極
    大値もしくは極小値を与える波長に対応した仮の干渉次
    数を演算する干渉次数算出手段と、前記薄膜の材料の分
    光透過特性に基づいて別途定めた補正式により前記演算
    された干渉次数を補正する干渉次数補正手段と、前記補
    正された干渉次数に基づいて前記薄膜の厚さを算出する
    膜厚算出手段とを備えてなることを特徴とする薄膜の厚
    さ測定装置。
  9. 【請求項9】 前記薄膜の材料の分光透過特性により前
    記測定された分光強度を補正する手段として、 (1)前記薄膜と同種でありかつ厚さの異なる複数の薄
    膜による干渉光の平均分光強度に対する前記測定された
    分光強度の分光強度比を求める手段、 (2)前記薄膜と同種でありかつ厚さの異なる複数の薄
    膜による干渉光の平均分光強度と前記測定された分光強
    度との分光強度差を求める手段、 (3)前記薄膜の影響を排除した状態における前記白色
    光の分光強度に対する前記測定された分光強度の分光強
    度比を求める手段、 (4)前記薄膜の影響を排除した状態において前記照射
    光学系または前記受光光学系の光路内であって前記白色
    光が発散または収束している位置に前記薄膜と同種の校
    正用薄膜を置いて測定された基準分光強度に対する前記
    測定された干渉光の分光強度の分光強度比を求める手
    段、 のいずれかの手段を用いることを特徴とする、請求項
    に記載の薄膜の厚さ測定装置。
  10. 【請求項10】 分光強度の極大値もしくは極小値を与
    える波長をλ(nm)、λに対応した仮の干渉次数を
    K、補正後の干渉次数をMとしたときに、前記補正式が
    式(1)からなる、請求項7、8または9に記載の薄膜
    の厚さ測定装置。 M=K+a+bλ (1) (a、bは係数)
  11. 【請求項11】 −10≦a≦0、0≦b≦0.01で
    ある、請求項10に記載の薄膜の厚さ測定装置。
  12. 【請求項12】 前記薄膜が光学フィルターまたは光学
    フィルター塗膜のいずれかである、請求項1、2、3、
    4、5または6に記載の薄膜の厚さ測定方法。
  13. 【請求項13】 前記薄膜が光学フィルターまたは光学
    フィルター塗膜のいずれかである、請求項7、8、9、
    10または11に記載の薄膜の厚さ測定装置。
  14. 【請求項14】 請求項1、2、3、4、5または6に
    記載の薄膜の厚さ測定方法によって光学フィルター塗膜
    の厚さを測定し、前記測定された厚さが所定の範囲内に
    入るように前記塗膜の形成手段を制御することを特徴と
    する、光学フィルターの製造方法。
  15. 【請求項15】 キュア前の光学フィルター塗膜の厚さ
    を測定し、前記測定された厚さが所定の範囲内に入らな
    かった場合に、前記光学フィルターの塗膜を剥離し、前
    記光学フィルターに使用されていた透明基板を再生する
    ことを特徴とする、請求項14に記載の光学フィルター
    の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記塗膜の形成手段がスリットダイ、
    スピンコータ、ロールコータ、バーコータおよび浸漬引
    き上げ装置のうちのいずれかである、請求項14または
    15に記載の光学フィルターの製造方法。
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