JP2933786B2 - 逃がし弁 - Google Patents

逃がし弁

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JP2933786B2
JP2933786B2 JP27396592A JP27396592A JP2933786B2 JP 2933786 B2 JP2933786 B2 JP 2933786B2 JP 27396592 A JP27396592 A JP 27396592A JP 27396592 A JP27396592 A JP 27396592A JP 2933786 B2 JP2933786 B2 JP 2933786B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、逃がし弁に関し、特に
応答性を高められるようにした逃がし弁に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、油圧回路では過負荷によって回路
部品が破損したり、油圧装置によって駆動される機械部
品が破損したりすることを防止するため、過負荷安全装
置が設けられる。この種の過負荷安全装置を、プレスの
過負荷安全装置を例にとって説明すれば、以下の通りで
ある。
【0003】図6に示すように、プレス機械の加圧手段
101とスライド(あるいはラム)102との間に過負
荷検出用のブースタシリンダ103を介在させ、油圧ポ
ンプ(ブースタポンプ)104とこのブースタシリンダ
103とを接続する圧油路105に逃がし弁106を介
在させ、圧油路105の内圧が所定値以上に昇圧すると
きに逃がし弁106を開弁させて圧油路105の圧油を
ドレン油路107に流出させ、圧油路105の内圧が所
定値を上回らないようにしている。
【0004】ところで、この種の逃がし弁としては、例
えば図7ないし図9に示すように、弁箱201内に形成
された弁室202にパイロット弁子203と主弁子20
4とを互いに対向して進退するように内嵌させるものが
ある。パイロット弁子203は圧力設定バネ205によ
って主弁子204に向かって進出付勢され、主弁子20
4は押さえバネ206によってパイロット弁子203に
向かって進出付勢されるとともに、弁室202内に形成
された制限面207によって最大進出位置を制限され
る。
【0005】主弁子204の外周部にはOリングからな
る封止部材208が外嵌され、この封止部材208を弁
室202の内面に摺接させることにより、弁室202が
圧油路105に連通する圧油室209と、ドレン油路1
07が接続されるドレン室210とに区画される。主弁
子204の中央部には主圧力伝達路211が貫通状に形
成され、そのパイロット弁子203側の端面には、この
主圧力伝達路211を取り囲む環状のパイロット弁座2
12が突設される。また、主弁子204は、ドレン室2
10の周面に摺接するスリーブ213を備え、このスリ
ーブ213によってドレン室210内が外部連通室21
4と背圧保持室215とに区画される。
【0006】この背圧保持室215は主弁子204がパ
イロット弁子203から離隔する時に、主圧力伝達路2
11を介して圧油室209に連通され、主弁子204が
パイロット弁子203に密着する時に圧油室209およ
び主圧力伝達路211から遮断される。また、この背圧
保持室215は主弁子204が制限面207から一定以
上離隔する時にのみスリーブ213に形成した主弁孔2
16を介して外部連通室214に連通するようにしてい
る。
【0007】上記パイロット弁子203の主弁子204
側の端面にはパイロット弁面217が設けられ、その反
対側の端面には、パイロット弁子203と圧力設定バネ
205の間に挿入された温度補償弁子218を受け止め
る温度補償弁座219が形成される。また、パイロット
弁子203と温度補償弁子218の間には温度補償受圧
室220が形成され、パイロット弁子203の中央部に
は主圧力伝達路211に温度補償受圧室220を連通さ
せる温度補償用圧力伝達路221が形成される。
【0008】上記温度補償弁子218の外周囲にはOリ
ングからなる封止部材222が外嵌され、この封止部材
222を弁室202の周面に摺接させることにより、弁
室202内で圧力設定バネ205を収容する圧力設定室
223がドレン室210から区画される。なお、この逃
がし弁にはブースタポンプ104が一体的に組み付けら
れ、図6ないし図8中の符号104aはそのポンプ室、
104bは入口逆止弁、104cは出口逆止弁、104
dはプランジャをそれぞれ示し、入口逆止弁104bと
出口逆止弁104cはそれぞれ図示しない閉弁バネで閉
弁方向に付勢される。
【0009】この過負荷安全装置は、非作動時には、図
7に示すように、圧力設定バネ205により温度補償弁
子218およびパイロット弁子203が最大進出位置ま
で押し出され、また、主弁子204が押さえバネ206
によって押し出されてパイロット弁子203に受け止め
られる。これにより、パイロット弁子203が主圧力伝
達路211を閉じてパイロット弁子203が閉弁される
とともに、主弁孔216が弁室202に周面で閉じられ
て主弁子204が閉弁される。
【0010】ブースタポンプ104を作動させて圧油路
105およびブースタシリンダ103の内圧を所定値ま
で昇圧させると、逃がし弁の圧油室209、主圧力伝達
路211、温度補償用圧力伝達路221および温度補償
受圧室220も同じ圧力まで昇圧し、図8に示すよう
に、主弁子204およびパイロット弁203が閉弁され
たまま、主弁子204、パイロット弁子203および温
度補償弁子218が圧力設定バネ205の方向に移動
し、主弁子204が制限面207によって受け止められ
る。
【0011】ここで、プレス機械に過負荷が加わると、
ブースタシリンダ103、圧油路105、圧油室209
および主圧力伝達路211の内圧が急激に上昇し、図9
に示すように、パイロット弁子203および温度補償弁
子218が圧力設定バネ205側に押し込まれ、パイロ
ット弁子203が開弁して背圧保持室215の内圧が急
激に高められる。
【0012】これにより、主弁子204が圧油室209
側に押し戻されて主弁孔216が開かれ、圧油室209
が主圧力伝達路211、背圧保持室215および主弁孔
216を介して外部連通室214に連通して、圧油室2
09、圧油路105およびブースタシリンダ103が圧
抜きされ、加圧手段101とスライド(あるいはラム)
102との間隔が短縮されて過負荷状態が解消される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】従来例においては、過
負荷発生時にパイロット弁子203が開弁して主圧力伝
達路211が背圧保持室215に連通し、さらに主弁孔
216を介してドレン室210に連通し、圧油室209
の圧油が外部連通室214からリリーフされるが、この
中で主弁圧力伝達路211が背圧保持室215に連通し
た時に通路面積が直角的に急激に増大するため乱流によ
る圧力損失が大きく、また、主圧力伝達路211から背
圧保持室215を介して主弁孔216よりドレン室21
0に至る流れはU字形状に逆方向に噴出するため圧力損
失が大きくなるという問題点がある。さらに主弁子20
4と弁室202の周面との間に封止部材208が介在さ
せてあるが、この封止部材208は圧油室209の内圧
によって強力に弁室202の周面に押し付けられるの
で、主弁子204が開弁方向に移動する時に大きな摩擦
抵抗が発生し、主弁子204の開弁速度が遅くなるとい
う問題もある。
【0014】また、パイロット弁面217および温度補
償弁座219の全面で受圧すると油圧による押力が大き
くなり、圧力設定バネ205は強力なバネ荷重を発生す
る大形状のバネが必要になり、大きな収容スペースで大
型化し、圧力設定バネの荷重の調整にも大きな力を必要
とし利便性に劣るという問題もある。また、温度補償を
するために温度補償弁子218を設け、温度補償弁面を
形成し、これに当接するパイロット弁子203には温度
補償弁座219を形成し、新たな部品展開と機能部の付
加は簡便性という点では劣り、その分信頼性も劣るとい
う問題点もある。
【0015】本発明は、上記の事情に鑑み、開弁時の圧
力損失を小さくし、かつ応答性を高め、リリーフ圧力設
定の利便性を増し、小型化と機能部品の点数を少なくし
信頼性を高めた逃がし弁を提供することを目的とするも
のである。
【0016】
【課題を解決するための手段】開弁時の圧力損失を低減
するために、次のような手段を講じている。つまり、高
圧側に主弁子を低圧側 (大気側) にパイロット弁子を配
置し、主弁子の内部に断面通路面積が円錐状に拡大する
円管通路を形成し、主弁子の下端に大径部分を設け、通
路面積が拡大する主弁子の凸状の角にパイロット弁座を
形成し、この弁座に当接し通路を閉止するパイロット弁
面を有する先端外形が円錐形のパイロット弁子を主弁子
内の拡大した通路上で摺動可能に主弁子に内嵌しパイロ
ット弁子の上部を主弁子の大径部分に嵌め、主弁子にパ
イロット弁子の周面によって開閉する主弁孔を形成し、
主弁孔はパイロット弁座がパイロット弁子より所定の寸
法以上離隔する時に開かれる位置に配置したことを特徴
とする。
【0017】また、主弁子の開弁速度を速くし応答性を
高めるために、次のような手段を講じている。つまり、
主弁子と弁室内面との間に主弁子および弁室内面に対し
て摺動可能なスリーブを設け、主弁子と弁室内面との何
れか一方とスリーブとの間に封止部材を介在させその他
方に該スリーブを閉弁方向から封止状に受け止める副弁
座を設けるとともに、上記スリーブを副弁座に押圧する
押さえバネを設けたことを特徴とする。
【0018】また、リリーフ圧力設定の利便性を増し、
小型化し、派生する問題を解決するために、次のような
手段を講じている。
【0019】つまり、パイロット弁子が筒状に形成さ
れ、その内周面で摺動可能に内接し、パイロット弁子に
も係合し作動し、増圧時の受圧により弁箱に当接し静止
し、減圧時又は過付加時にパイロット弁子の開弁作動後
は弁箱との当接から離れパイロット弁子とともにパイロ
ット弁面側に遊離する受圧柱をパイロット弁子の筒状の
内部に形成したことを特徴とする。
【0020】これに加えて、受圧柱外周面とパイロット
弁子内筒面との間に受圧柱及びパイロット弁子内筒面に
対して摺動可能なスリーブを設け、受圧柱とパイロット
弁子内筒面とのいずれか一方とスリーブとの間に封止部
材を介在させ、該スリーブを閉弁方向から封止状に受け
止める副弁座を設け、スリーブに該副弁座に当接する副
弁面を形成するとともに、上記スリーブの副弁面を副弁
座に押圧する押圧部材を設けたことを特徴とする。
【0021】また、小型化と機能部品の点数を少なく
し、信頼性を高めるために、次のような手段を講じてい
る。つまり温度補償弁子を排除し、主弁孔とパイロット
弁座の間の主弁子の内部で断面通路面積が円錐状に拡大
する円管通路上で形成され、主弁子とパイロット弁子の
開受圧面積が急激に拡大するパイロット室を主弁孔より
も下流に形成されるドレン流路に連通させる温度補償用
オリフィスをパイロット室を形成する部分の主弁子また
はパイロット弁子に設けたことを特徴とする。
【0022】
【作用】主弁子の内部に断面通路面積が円錐状に拡大す
る円管通路を形成し、主弁子の下端に大径部分を設け、
通路面積が拡大する主弁子の凸状の角にパイロット弁座
を形成し、この弁座に当接し通路を閉止するパイロット
弁面を有する先端外形が円錐形のパイロット弁子を主弁
子内の拡大した通路上で摺動可能に主弁子に内嵌しパイ
ロット弁子の上部を主弁子の大径部分に嵌め、主弁子に
パイロット弁子の周面によって開閉する主弁孔を形成
し、主弁孔はパイロット弁座がパイロット弁子より所定
の寸法以上に離隔する時に開かれる位置に配置されてい
る為に、パイロット弁子の開弁作動で圧油室の圧油が主
弁子内の断面通路面積が円錐状に拡大する円管通路を通
り、パイロット弁子の先端外形が円錐形の部分で誘導さ
れるので乱流が少なく、スムーズに主弁孔に流れタンク
ポートにリリーフされるので、この間で圧力損失は低減
される。
【0023】また、封止部材は圧力流体の圧力によって
主弁子と弁室内面との何れか一方に対するスリーブの相
対移動を妨げる摩擦抵抗を生じるが、その他方に対して
はスリーブはその摩擦抵抗の影響を受けずに移動できる
ので、主弁子は封止部材が惹起する摩擦抵抗の影響を受
けることなく弁室内面に対して自由に開弁方向に移動で
きる。すなわち、主弁子とスリーブとの間に封止部材を
介在させる場合には、主弁子とスリーブとは封止部材が
惹起する摩擦抵抗によって相対移動し難いが、スリーブ
がその摩擦抵抗の影響を受けることなく弁室内面に対し
て相対移動できるので、主弁子はスリーブとともに弁室
内面に対して封止部材が惹起する摩擦抵抗の影響を受け
ることなく相対移動できる。また、弁室内面とスリーブ
との間に封止部材を介在させる場合には、スリーブは封
止部材が惹起する摩擦抵抗によって弁室内面に対して移
動し難くなるが、スリーブに対して主弁子はその摩擦抵
抗の影響を受けることなく移動できるので、主弁子はス
リーブおよび弁室内面に対してその摩擦抵抗の影響を受
けることなく相対移動できるようになる。さらに、スリ
ーブを閉弁方向から封止状に受け止める副弁座を設け、
スリーブを押さえバネで副弁座に押圧することにより、
主弁子が閉弁している時にスリーブとこれに対して摩擦
抵抗の影響を受けずに移動できる主弁子または弁室内面
との間から圧力流体が漏れることを防止できる。
【0024】これにより必要時に圧力流体を封止した状
態で主弁子の開弁速度が迅速になり応答性を高められ
る。また、パイロット弁子が筒状に形成され、その内周
面で摺動可能に内接し、パイロット弁子にも係合し作動
し、増圧時の受圧により弁箱に当接し静止し、増圧時ま
たは過負荷時にパイロット弁子の開弁作動後は弁箱との
当接から離れ、パイロット弁子とともにパイロット弁面
側に遊離する受圧柱をパイロット弁子の筒状の内部形成
し、パイロット弁子がパイロット弁面で受圧し発生する
油圧による押力を小さくし、圧力設定バネ荷重を小さく
できるようにし、圧力設定バネを小型化し利便性を高め
た。
【0025】これに加えて受圧柱外周面とパイロット弁
子内筒面との間に受圧柱およびパイロット弁子内筒面に
対して摺動可能なスリーブを設け、受圧柱とパイロット
弁子内筒面とのいずれか一方とスリーブとの間に封止部
材を介在させ、該スリーブを閉弁方向から封止状に受け
止める副弁座を設け、スリーブに該副弁座に当接する副
弁面を形成するとともに、上記スリーブの副弁面を副弁
座に押圧する押圧部材を設け、増圧時に該封止部材が惹
起する摩擦抵抗の影響を受けることなく、必要時に圧力
流体を封止した状態でパイロット弁子が受圧柱に対して
移動できるようになり、パイロット弁子の開弁速度が迅
速になり応答性が高められる。さらに閉弁速度の応答性
も高められる。
【0026】また、主弁孔とパイロット弁座の間の主弁
子の内部で断面通路面積が円錐状に拡大する円管通路上
で形成され主弁子とパイロット弁子の開受圧面積が急激
に拡大するパイロット室を主弁孔よりも下流に形成され
るドレン流路に連通させる温度補償用オリフィスを、パ
イロット室を形成する部分の主弁子またはパイロット弁
子に設け、機能部品の点数を少なくし小型化し、容易に
温度補償機能を付加し、信頼性を高めた。
【0027】
【実施例】以下に、本発明に係る逃がし弁を、プレス機
械の過負荷安全装置に適用した場合を例にとって図1な
いし図4に基づき具体的に説明するが、図2ないし図4
の各断面図には、この過負荷安全装置のブースタポンプ
33と、これを駆動する往復動駆動装置41と、逃がし
弁とを一体に組み立てたユニット部品のうち、ブースタ
ポンプ33と逃がし弁とが組み込まれた部分の断面を示
している。
【0028】逃がし弁の弁箱1内には同軸心状に上下に
連続する弁室2内と圧力設定室3とが形成され、弁室2
および圧力設定室3に摺動可能に挿入されたパイロット
弁子4と弁室2内に摺動可能に挿入された主弁子5とを
備えている。パイロット弁子4は円筒状に形成され、弁
箱1に支持させた封止部材6をその外周面に摺接させる
ことによりパイロット弁子4の外周囲で弁室2と圧力設
定室3とを区画している。また、主弁子5は異径筒形に
形成され、その大径部分7がパイロット弁子4の上部に
摺動可能に外嵌される。
【0029】弁室2の上部には図示しないプレス機械の
加圧手段とスライドとの間に形成したブースタシリンダ
に連通される圧油室8が形成され、外周面にラビリンス
溝9を備える円筒状のスリーブ10が摺動可能に内嵌さ
れる。また、弁室2の中間高さ部にこのスリーブ10を
下方から油密状に受け止める副弁座11が形成されると
ともに、このスリーブ10を副弁座11に押圧する押さ
えバネ12が挿入される。そして、主弁子5の小径部分
13をスリーブ10に摺動可能に内嵌し、主弁子5に支
持させたOリングからなる封止部材14をスリーブ10
の内周面に油密状に摺接させることにより、副弁座1
1、スリーブ10、封止部材14、主弁子5およびパイ
ロット弁子4によって弁室2の下部に図示しないドレン
油路に接続されるドレン室15が区画される。
【0030】図1に示すように、主弁子5の異径部16
の内周面にはパイロット弁子4の上端に形成されたパイ
ロット弁面17に封止当接される環状のパイロット弁座
18が突設され、このパイロット弁座18の外周囲にパ
イロット弁子4と主弁子5とによって区画される環状の
温度補償油室19が形成される。この温度補償油室19
は、主弁子5の異径部16を貫通する温度補償用オリフ
ィス20を介して常時ドレン室15に連通されるととも
に、パイロット弁面17からパイロット弁座18が一定
以上離隔する時に、主弁子5の大径部7に形成され、パ
イロット弁子4の周囲で開閉される主弁孔21を介して
ドレン室15に連通される。
【0031】上記圧力設定室3内には底面からパイロッ
ト弁子4の中空部に立ち上がる受圧柱22が立設され、
この受圧柱22を取り囲む圧縮コイルバネからなる圧力
設定バネ23が設けられる。受圧柱22の上部とパイロ
ット弁子4の上部との間には別のスリーブ24が受圧柱
22およびパイロット弁子4に対して摺動可能に設けら
れ、スリーブ24に支持させたOリングからなる封止部
材25を受圧柱22の周面に摺接させる一方、パイロッ
ト弁子4の内周面にスリーブ24を下側から油密状に受
け止める別の副弁座26を設けるとともにスリーブ24
を副弁座26に押圧する押さえバネ27を設けることに
より、パイロット弁子4の内側で弁室2と圧力設定室3
とが区画される。
【0032】なお、図2ないし図4に示すように、弁箱
1の底壁28には調整ネジ29が螺通され、この調整ネ
ジ29を螺進退させてピン30を介してバネ受座31を
昇降させて上記圧力設定バネ23の圧力を調整できるよ
うにしている。また、この調整ネジ29は圧力設定バネ
23の圧力を調整した後、底壁28の下方から固定ナッ
ト32を螺締することにより固定される。
【0033】また、上記ブースタポンプ33は、弁室2
の上方に弁室2と同軸心状に配置されたポンプ室34
と、ポンプ室34の入口を開閉する入口逆止弁35と、
入口逆止弁35を閉弁させる閉弁バネ36と、圧油路3
7のポンプ室34から弁室2に至る部分に介在させた出
口逆止弁38と、出口逆止弁38を閉弁付勢する閉弁バ
ネ39と、ポンプ室34内に進退するプランジャ40と
を備え、例えばエア駆動式往復動駆動装置41によって
プランジャ40を往復させることにより、吸入油路42
からポンプ室34内に作動油を吸入し、圧油室8が介在
する圧油路37に吐出するようにしている。
【0034】この過負荷安全装置においては、非作動時
には、図1の右半部分および図2に示すように、圧力設
定バネ23によってパイロット弁子4が主弁子5に押圧
され、パイロット弁面17がパイロット弁座18に封止
接当されてパイロット弁が閉弁されるとともに、主弁孔
21がパイロット弁子4の周面によって閉じられて主弁
子5が閉弁され、また、スリーブ10は副弁座11に受
け止められる。これにより、圧油室8からドレン室15
に圧油が流出することが防止されている。
【0035】往復動駆動装置41を作動させてブースタ
ポンプ33を駆動し、圧油路37および圧油室8に圧油
が供給されると主弁子5およびパイロット弁子4に圧油
室8の油圧が作用する。この実施例では、パイロット弁
子4が筒状に形成されており、その内部にパイロット弁
座18の形 (内径) よりも小径の受圧柱22が設けられ
ているので、パイロット弁子4の上下両方向の差圧は、
パイロット弁座18の平面投影内で受圧柱22の平面投
影外の範囲の面積に下向きに作用する。したがって、圧
力設定バネ23の圧力をパイロット弁座18の平面投影
内の面積全体に作用する油圧よりも小さくすることがで
きるので、圧力設定バネ23の小型化を図れる上、圧力
設定バネ23の弾性係数を小さくして応答性を高めるこ
とができる。
【0036】主弁子5およびパイロット弁子4に圧油室
8の油圧が作用すると、主弁子5およびパイロット弁子
4が圧力設定バネ23に抗して下降する。そして、圧油
路37および圧油室8の内圧が所定のプレロード圧以上
になると、主弁子5の大径部分7の下端が封止部材6に
受け止められ、待機状態となる。この状態でプレス機械
の負荷状態が過負荷になると、圧油路37および圧油室
8の内圧がプレロード圧よりも高い設定圧以上に昇圧す
ると、パイロット弁子4に作用する差圧が一定値以上に
高まり、圧力設定バネ23を屈伏させて下降し、パイロ
ット弁座18からパイロット弁面17が離れてパイロッ
ト弁子4が開弁する。
【0037】ここで、パイロット弁子4と受圧柱22と
の間にスリーブ24を介在させ、スリーブ24の内周部
に支持させた封止部材25を受圧柱22の外周面に摺接
させているので、封止部材25は上方から受ける油圧で
受圧柱22の外周面に強力に押し付けられる。その結
果、スリーブ24を下方に移動させようとする油圧に対
して大きな摩擦抵抗を生じ、スリーブ24は受圧柱22
に対して下降し難くなるが、スリーブ24とパイロット
弁子4との間には封止部材がないので、パイロット弁子
4はスリーブ24および受圧柱22に対して封止部材2
5の摩擦抵抗の影響を受けることなく容易に移動でき、
高い応答性が得られる。
【0038】なお、パイロット弁子4がスリーブ24に
対して下降すると、スリーブ24が副弁座26から離れ
るので、スリーブ24の上方と下方との圧力差がごく短
時間内に解消され、封止部材25はその弾性復元力だけ
で受圧柱22に押し付けられることになり、受圧柱22
の外周面に対する摩擦抵抗が著しく小さくなり、弱い押
さえバネ27の力でスリーブ24が押し下げられ、副弁
座26に追いついて副弁座26に受け止められる。
【0039】上記のように、過負荷の発生によりパイロ
ット弁が開弁されると温度補償油室19の内圧が急激に
昇圧する。これにより、主弁子5が上向きの圧力を受け
る面積が急激に拡大され、主弁子5が急激に上昇する。
この時、主弁子5に支持させた封止部材14の摩擦力に
より主弁子5はスリーブ10に対して移動し難くなる
が、スリーブ10は弱い押さえバネ12によって下降付
勢されているに過ぎないので、主弁子5はスリーブ10
を引き連れて容易に上昇することができ、主弁子5は封
止部材14によって生じる摩擦抵抗の影響を受けること
なく開弁方向に移動する。
【0040】したがって、主弁子204と弁室202の
周面との間に直接に封止部材208を介在させた従来例
に比べて大幅に主弁子5の応答性を高めることができ
る。図1の左半部分の実線および図4に示すように、主
弁子5の大径部7に形成した主弁孔21がパイロット弁
子4の周面から開放されることにより主弁孔21が開弁
され、圧油路37および圧油室8の圧油が温度補償油室
19および主弁孔21を経てドレン室15に流出し、圧
油路37および圧油室8の圧抜きが行われる。
【0041】主弁孔21が開弁されると、主弁子5を上
下方向に移動させる差圧が解消されるとともに、スリー
ブ10を上下方向に移動させる差圧も解消されスリーブ
10は押さえバネ12によって副弁座11に押し戻さ
れ、主弁子5もつられて閉弁方向に移動する。また、圧
抜きにより圧油路37および圧油室8の内圧 (排圧) が
低下すると、圧力設定バネ23がパイロット弁子4を上
昇させる。
【0042】その結果、主弁孔21の開度が絞られ、圧
油路37および圧油室8の内圧の減圧速度が次第に小さ
くなり、排圧が所定の圧力以下になると主弁孔21がパ
イロット弁子4の周面によって塞がれ、主弁孔21が閉
弁される。これにより、圧油路37および圧油室8の内
圧がプレロード圧よりも高く設定された所定の排圧以下
に低下することが防止され、プレス機械に要求されるプ
レス力をなくするようなことはない。
【0043】主弁孔21が閉じられた時にパイロット弁
面17はパイロット弁座18から離れているが、オリフ
ィス20から徐々に圧抜きをすることにより、圧油路3
7および圧油室8の内圧がプレロード圧まで低下し、パ
イロット弁子4が僅かに上昇して図1の左半分の仮想線
および図3に示す待機状態に復帰する。なお、待機状態
に復帰する前に再び過負荷状態が発生する場合には、再
び過負荷安全作動をして圧油路37および圧油室8の圧
抜きが行ってから上述したようにして待機状態に復帰す
る。
【0044】待機状態において、プレス機械を運転する
ことにより作動油が加熱され、圧油室8の内圧が高まる
と、パイロット弁子4が僅かに下降してパイロット弁面
17がパイロット弁座18から離される。これにより温
度補償油室19の内圧は上昇するが、この圧力上昇は緩
慢なものであるため、パイロット弁面17がパイロット
弁座18から離れる速度が非常に緩慢になる。
【0045】このため、パイロット弁面17とパイロッ
ト弁座18との間の絞り作用により温度補償油室19の
内圧の上昇が非常に緩慢になる。また、オリフィス20
によって温度補償油室19からドレン室15に圧抜きが
される。従って、温度補償油室19から主弁子5に作用
する圧力は小さく、主弁孔21が開放される程には主弁
子5が上昇せず、圧油室8の内圧をほとんど低下させる
ことなく、圧油室8から温度補償油室19およびオリフ
ィス20を経て微量の圧油を排出させて圧油室8の内圧
がプレロード圧を徐々に上回ることを防止できる。
【0046】上記パイロット弁子4と受圧柱22との間
にはスリーブ24が挿入され、このスリーブ24に支持
させた封止部材25を受圧柱22の周面に摺接させるこ
とにより、スリーブ24と受圧柱22との間を封止して
いるので、スリーブ24は封止部材25によって生じる
摩擦抵抗によって受圧柱22に対しては移動し難くなっ
ている。
【0047】しかしながら、パイロット弁子4との間に
は力の弱い押さえバネ27があるだけであり、パイロッ
ト弁子4は封止部材25によって生じる摩擦抵抗の影響
を受けることなくスリーブ24および受圧柱22に対し
て下方に移動できる。したがって、圧油の昇温による油
圧上昇のように緩慢な油圧上昇に対しても円滑にパイロ
ット弁子4を下降させることができ、円滑な温度補償が
可能になる。
【0048】上記の一実施例においては、パイロット弁
子4と受圧柱22の外周面との間、および主弁子5と圧
油室8の内周面との間にそれぞれスリーブ10・24、
封止部材14・25、押さえバネ12・27および副弁
座11・26を介在させているが、パイロット弁子4と
受圧柱22との間、または、主弁子5と圧油室8の内周
面との間のいずれか一方についてスリーブ、押さえバネ
および副弁座を省略した従来の封止構造を採用すること
は妨げない。
【0049】また、上記の一実施例においては、パイロ
ット弁子4の主弁子5側の端面をテーパー面に形成する
とともに、これに対向する主弁子5の異径部16の内周
面をパイロット弁子4の上記端面に平行なテーパー面に
形成して、圧油室8から主弁子5の小径部13内を経て
主弁孔21に流れる圧油の流路抵抗を軽減するようにし
ているが、パイロット弁子4の主弁子5側の端面、ある
いはこれとともに、この端面に対向する主弁子4の面を
平面に形成することは妨げない。
【0050】図5に本発明に係る過負荷安全装置の他の
実施例の断面図を示す。前記実施例と同一機能を有する
部品は同一符号を付して示す。
【0051】
【発明の効果】主弁子の内部に断面通路面積が円錐状に
拡大する円管通路を形成し、主弁子の下端に大径部分を
設け、通路面積が拡大する主弁子の凸状の角にパイロッ
ト弁座を形成し、この弁座に当接し通路を閉止するパイ
ロット弁面を有する先端外形が円錐形のパイロット弁子
を主弁子内の拡大した通路上で摺動可能に主弁子に内嵌
しパイロット弁子の上部を主弁子の大径部分に嵌め、主
弁子にパイロット弁子の周面によって開閉する主弁孔を
形成し、主弁孔はパイロット弁座がパイロット弁子より
所定の寸法以上に離隔する時に開かれる位置に配置され
ているために、パイロット弁子の開弁作動で圧油室の圧
油が、主弁子内の断面通路面積が円錐状に拡大する円管
通路を通り、パイロット弁子の先端外形が円錐形の部分
で誘導されるので乱流が少なく、スムーズに主弁孔に流
れ、タンクポートにリリーフされるので、この間の圧力
損失が低減され、リリーフ機能が向上した。
【0052】さらに、パイロット弁子がパイロット弁座
から離隔できるパイロット開弁圧と主弁孔が開かれる主
弁開弁圧との間に圧力差を設けることができ、過負荷発
生時の開弁により排圧が低下する時に、プレロード圧お
よびパイロット開弁圧よりも高い主弁開弁圧まで低下し
た時に主弁孔を閉弁させることができるので、排圧が急
激にプレロード圧以下に低下することができ、過負荷安
全装置の排出の低下によってプレス機械などの負荷機器
の出力が低下することを防止できる。
【0053】また、本発明において、差圧によって駆動
される主弁子と弁室内面との間に主弁子および弁室内面
に対して摺動可能なスリーブを設け、主弁子と弁室内面
との何れか一方とスリーブとの間に封止部材を介在させ
るとともに、その他方に該スリーブを閉弁方向から封止
状に受け止める副弁座を設け、押さえバネで上記スリー
ブを副弁座に押圧することにより、閉弁時には高度の油
密状態を得ることができる上、開弁作動時には封止部材
により生じる摩擦抵抗の影響を受けることなく主弁子を
弁室内面に対して移動させることができ、応答性を高め
ることができる。
【0054】さらに、本発明においては、特にパイロッ
ト弁子が筒状に形成され、その内周面に受圧柱が挿入さ
れ、受圧時に受圧柱が摺動し弁箱に当接するので、パイ
ロット弁子の受圧面積を小さくでき、圧力設定バネの小
型化を図れる上、圧力設定バネの弾性係数を小さくし
て、かつパイロット弁子の筒状内面とその内部に形成さ
れた受圧柱の間に摺動可能に設けられたスリーブにより
パイロット弁子と受圧柱間の封止部材により生じる摩擦
抵抗の影響を受けることなくパイロット弁子は受圧柱に
対して移動でき、パイロット弁子の応答性を一層高める
ことができ利便性が増した。
【0055】加えて、本発明において、主弁孔とパイロ
ット弁座との間のパイロット室を形成する主弁子とパイ
ロット弁子の部分箇所の主弁子又はパイロット弁子に、
主弁孔よりも下流に形成されるドレン流路に連通させる
温度補償用オリフィスが形成されるので、負荷機器の運
転に伴う昇温による緩慢な昇圧に対してパイロット弁子
のみを開き、温度補償用オリフィスを介して圧油室の圧
抜きをすることができ、信頼性の高い簡単な構造で円滑
で好適な温度補償機能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の要部の断面図である。
【図2】本発明に係る過負荷安全装置の要部の非作動時
の断面図である。
【図3】本発明に係る過負荷安全装置の要部の待機状態
の断面図である。
【図4】本発明に係る過負荷安全装置の要部の過負荷発
生時の断面図である。
【図5】本発明に係る過負荷安全装置の他の実施例の断
面図である。
【図6】プレス機械の過負荷安全装置の概略構成図であ
る。
【図7】従来例に係る過負荷安全装置の要部の非作動時
の断面図である。
【図8】従来例に係る過負荷安全装置の要部の待機状態
の断面図である。
【図9】従来例に係る過負荷安全装置の要部の過負荷発
生時の断面図である。
【符号の説明】
2…弁室 4…パイロット弁子 5…主弁子 8…圧油室 10…スリーブ 11…副弁座 12…押さえバネ 13…小径部 14…封止部材 15…ドレン室 17…パイロット弁面 18…パイロット弁座 19…温度補償油室 20…オリフィス 21…主弁孔 22…受圧柱 24…スリーブ 25…封止部材 26…副弁座 27…押さえバネ

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高圧側に主弁子を低圧側(大気側)にパ
    イロット弁子を配置し、主弁子の内部に断面通路面積が
    円錐状に拡大する円管通路を形成し、主弁子の下端に大
    径部分を設け、通路面積が拡大する主弁子の凸状の角に
    パイロット弁座を形成し、この弁座に当接し通路を閉止
    するパイロット弁面を有する先端外形が円錐形のパイロ
    ット弁子を主弁子内の拡大した通路上で摺動可能に主弁
    子に内嵌めしパイロット弁子の上部を主弁子の大径部分
    に嵌め、主弁子にパイロット弁子の周面によって開閉す
    る主弁孔を形成し、主弁孔はパイロット弁座がパイロッ
    ト弁子より所定の寸法以上離隔する時に開かれる位置に
    配置され、圧油室の油圧が一定以上に圧力上昇するとパ
    イロット弁子が押圧部材に抗して低圧側に開弁作動し、
    パイロット弁面を主弁子のパイロット弁座から開放し、
    主弁子の通路拡大面積部にパイロット弁子が内嵌しパイ
    ロット弁子の上部を主弁子の大径部分に嵌め、主弁子と
    パイロット弁子の受圧面積が急激に拡大するパイロット
    室に圧油が流入し、主弁子が逆方向に移動するなかで、
    主弁子に形成した主弁孔を通して圧油をリリーフさせる
    逃がし弁。
  2. 【請求項2】 弁室内面と弁室内に進退可能に主弁子を
    挿入し、主弁子と弁室内面との間に主弁子及び弁室内面
    に対して摺動可能なスリーブを設け、主弁子と弁室内面
    とのいずれか一方とスリーブとの間に封止部材を介在さ
    せ、該スリーブを閉弁方向から封止状に受け止める副弁
    座を設け、スリーブに該副弁座に当接する副弁面を形成
    すると共に、上記スリーブの副弁面を副弁座に押圧する
    押圧部材を設けた請求項1に記載した逃がし弁。
  3. 【請求項3】 パイロット弁子が筒状に形成され、その
    内周面で摺動可能に受圧柱を内接し、受圧柱がパイロッ
    ト弁子にも係合し増圧時の受圧により弁箱に当接し静止
    し、減圧時又は過負荷時にパイロット弁子の開弁作動後
    は弁箱との当接から離れ、パイロット弁子とともにパイ
    ロット弁面側に遊離する受圧柱をパイロット弁子の筒状
    の内部に形成した請求項1あるいは請求項2に記載した
    逃がし弁。
  4. 【請求項4】 パイロット弁子内筒面とパイロット弁子
    内筒に進退可能に受圧柱を挿入し、受圧柱外周面とパイ
    ロット弁子内筒面との間に受圧柱及びパイロット弁子内
    筒面に対して摺動可能なスリーブを設け、受圧柱とパイ
    ロット弁子内筒面とのいずれか一方とスリーブとの間に
    封止部材を介在させ、該スリーブを閉弁方向から封止状
    に受け止める副弁座をパイロット弁子の内周面に設け、
    スリーブに該副弁座に当接する副弁面を形成すると共
    に、上記スリーブの副弁面を副弁座に押圧する押圧部材
    を設けた請求項3に記載した逃がし弁。
  5. 【請求項5】 主弁孔とパイロット弁座の間の主弁子の
    内部で断面通路面積が円錐状に拡大する円管通路上で形
    成され主弁子とパイロット弁子の受圧面積が急激に拡大
    するパイロット室を主弁孔よりも下流に形成されるドレ
    ン通路に連通させる温度補償用オリフィスをパイロット
    室を形成する部分の主弁子又はパイロット弁子に設けた
    請求項1、請求項2、請求項3あるいは請求項4に記載
    した逃がし弁。
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