JP2931901B2 - 消しゴムにより消去し得るインキ組成物 - Google Patents

消しゴムにより消去し得るインキ組成物

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JP2931901B2 JP4534188A JP4534188A JP2931901B2 JP 2931901 B2 JP2931901 B2 JP 2931901B2 JP 4534188 A JP4534188 A JP 4534188A JP 4534188 A JP4534188 A JP 4534188A JP 2931901 B2 JP2931901 B2 JP 2931901B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、インキ組成物に関し、さらに詳しくは、筆
記後に消しゴムにより消去し得るインキ組成物に関す
る。
従来技術とその問題点 筆記後に消しゴムにより消去し得るインキ組成物(以
下消去性インキという)は、公知である。例えば、特開
昭59−223769号公報は、「ポリオキシエチレン基を含有
する界面活性剤の存在下、カーボンブラック及びアニリ
ンブラックの中から選ばれる顔料を、ポリエチレンオキ
シドを溶解させた水性媒体中に均一に分散させたことを
特徴とするインキ組成物」を開示している。しかしなが
ら、この消去性インキは、安定性に劣り、さらに消去性
自体も、満足すべきものではなく、特に長期間経過後の
消去は困難である。その他にも、種々の組成の消去性イ
ンキが提案されているが、これらは、保存性、消去性、
流動性などの消去性インキに要求される特性のいずれか
が不十分であって、いずれも所望の効果を奏するには至
っていない。
問題点を解決するための手段 本発明者は、上記の如き従来技術の現状に鑑みて、種
々研究を重ねた結果、特定の造膜温度を有する樹脂を配
合する組成物が公知の消去性インキの問題点を大巾に軽
減し得ることを見出した。すなわち、本発明は、下記の
消去性インキを提供するものである。
「インキ全重量に占める割合が顔料1〜50%、40℃以上
の造膜温度を有する樹脂3〜50%、アルキレングリコー
ル、ジアルキレングリコール、ポリアルキレングリコー
ル又はグリセリンから選ばれた1種又は2種以上の有機
溶剤7〜50%及び水7〜60%であることを特徴とする消
しゴムにより消去し得るインキ組成物。」 本発明消去性インキにおける顔料は、特に限定され
ず、通常筆記具インキにおいて使用されている一般的な
顔料をそのまま単独でまたは2種以上を併せて使用する
ことが出来る。使用し得る顔料をカラー インデックス
(C.I.)番号により例示すれば、以下の通りである。
I.無機顔料 (イ)ピグメントブラック 6,7,9,10 (ロ)ピグメントレッド 101,105,106,107,108 (ハ)ピグメントブルー 27,28,29,35 (ニ)ピグメントグリーン 17,18,19,21 II.有機顔料 (イ)ピグメントブラック 1 (ロ)ピグメントレッド 1,2,3,4,5,7,9,12,22 (ハ)ピグメントブルー 1,2,15,16,17 (ニ)ピグメントグリーン 2,7,8,10 本発明消去性インキで使用する樹脂成分としては、ア
クリル系樹脂、アクリル−スチレン系共重合樹脂、エチ
レン−酢酸ビニル−塩化ビニル系共重合樹脂、アクリル
−酢酸ビニル系樹脂、カルボキシル化SBR、スチレン系
樹脂などの中から造膜温度40℃以上のものを選択して使
用する。樹脂成分としては、造膜温度50℃以上のものが
より好ましい。造膜温度が、40℃未満の場合には、室温
でも樹脂被膜が形成され、筆跡部と紙との間での接着性
のため、消しゴムで消去することが不可能となる。これ
らの樹脂は、通常固形分濃度30〜60重量%程度のエマル
ジョンの形態で市販されているので、これをそのまま使
用することができる。樹脂成分としても、必要ならば、
2種以上を併用することが出来る。
本発明消去性インキで使用する有機溶媒としては、特
に限定されず、通常筆記具インキにおいて使用されてい
るものを使用することができ、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ヘキシレングリコールなどのアル
キレングリコール:ジエチレングリコール、ジプロピレ
ングリコールなどのジアルキレングリコール:ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレンクリコールなどのポリ
アルキレングリコール:グリセリン:などが例示され
る。溶剤としても、必要ならば、2種以上を併用するこ
とが出来る。
本発明消去性インキにおいては、組成物重量中に占め
る各成分の割合を以下の範囲内とする必要がある。
顔料は、1〜50%、より好ましくは5〜30%とする。
顔料が1%未満の場合には、筆跡の濃度が不足して、イ
ンキとしての実用性に欠けるのに対し、50%を上回る場
合には、分散安定性が低下するとともに、筆記後の消去
が困難となる。
樹脂成分は、固形分として、3〜50%、より好ましく
は10〜45%とする。樹脂成分の量が3%未満の場合に
は、筆記面上に樹脂量子の層が十分に形成されなくな
り、顔料を包含する樹脂粒子の層の除去による筆記部の
完全消去が不可能となる。一方、樹脂成分が50%を上回
る場合には、インキの粘度が高くなり過ぎて、収容容器
からの流出が困難となる。
有機溶剤は、7〜50%より好ましくは10〜30%とす
る。有機溶剤が7%未満では、インキの長期保存性が低
下するのに対し、50%を上回ると、紙に対するインキの
浸透性が大きくなって、顔料が紙内部に移行し、完全消
去が困難となる。
水は、エマルジョンの形態で使用される樹脂成分に由
来する量をも含めて、7〜60%である。エマルジョンに
由来する水に加えて、新たに添加する場合には、イオン
交換水を使用する。
本発明による消去性インキは、各成分を均一に分散さ
せることが出来る限り、任意の方法で調製することが出
来る。具体的には、例えば、顔料と樹脂エマルジョンと
を混練して、顔料ペーストを得た後、有機溶剤と水とを
加えてさらに混合することにより、インキが得られる。
本発明の消去性インキは、低粘度(10〜100cps程度)
で保存安定性に優れているので、加圧タイプの容器を必
要とする既存の筆記具で使用される公知の消去性インキ
とは違って、通常の筆記具用インキと同様にして、使用
することができる。
発明の効果 以下実施例を示し、本発明の特徴とするところをより
一層明確にする。
以下において“部”とあるのは、重量部を示す。樹脂
の量は、エマルジョンとしての量を示し、水の量は、添
加したイオン交換水の量を示す。
実施例1 下記に示す各成分を使用して、本発明の消去性インキ
を製造した。
カーボンブラック(C.I.ピグメント ブラック7)5部 アクリル−スチレン共重合樹脂エマルジョン(注1) 80部 エチレングリコール 7部 水 8部 注1:商標“モビニール970"、造膜温度100℃、固形分濃
度40%、ヘキスト合成(株)製 製造に際しては、カーボンブラックと樹脂エマルジョ
ンとを三本ロールで混練して顔料ペーストを得た後、さ
らにエチレングリコールとイオン交換水とを加え、撹拌
して、本発明インキを得た。
得られたインキをインキフリータイプの容器に充填
し、筆記した後、乾燥後の筆記部を通常の消しゴムによ
り擦ったところ、完全に消去することが出来た。
また、得られたインキをインキフリータイプの容器に
充填して、温度25%で30日間放置した後、上記と同様に
して筆記後の消去テストを行ったが、消去性の変化は、
認められなかった。
実施例2 下記に示す各成分を使用して、実施例1と同様な操作
により、本発明の消去性インキを製造した。
カーボンブラック(C.I.ピグメント ブラック7)7部 アクリル−スチレン共重合(C.I.ピグメント ブラック
7) 6部 樹脂エマルジョン(注2) 68部 グリセリン 11部 水 14部 注2:商標“ポリゾールAT−2011"、造膜温度100℃、固形
分濃度50%、昭和高分子(株)製 得られたインキの消去性及び保存安定性は、実施例1
品と同等以上であった。
実施例3 下記に示す各成分を使用して、実施例1と同様な操作
により、本発明の消去性インキを製造した。
カーボンブラック(C.I.ピグメント ブラック7)7部 アクリル−スチレン共重合樹脂エマルジョン(注3) 74部 プロピレングリコール 7部 水 12部 注3:実施例1のものと同じ。
得られたインキの消去性及び保存安定性は、実施例1
品と同等以上であった。
実施例4 下記に示す各成分を使用して、実施例1と同様な操作
により、本発明の消去性インキを製造した。
カーボンブラック(C.I.ピグメント ブラック7)6部 アクリル樹脂エマルジョン(注4) 71部 ジエチレングリコール 8部 水 15部 注4:商標“モビニール742"、造膜温度50℃、固形分濃度
46%、ヘキスト合成(株)製) 得られたインキの消去性及び保存安定性は、実施例1
品と同等以上であった。
実施例5 下記に示す各成分を使用して、実施例1と同様な操作
により、本発明の消去性インキを製造した。
カーボンブラック(C.I.ピグメント ブラック7)5部 アクリル樹脂エマルジョン(注5) 68部 ポリエチレングリコール(分子量200) 12部 水 15部 注5:商標“アクリセット11E"、造膜温度50℃、固形分濃
度42%、日本触媒化学(株)製 得られたインキの消去性及び保存安定性は、実施例1
品と同等以上であった。
実施例6 下記に示す各成分を使用して、実施例1と同様な操作
により、本発明の消去性インキを製造した。
カーボンブラック(C.I.ピグメント ブラック7)8部 アクリル−スチレン共重合樹脂エマルジョン(注6) 65部 グリセリン 11部 水 13部 注6:実施例2のものに同じ。
得られたインキの消去性及び保存安定性は、実施例1
品と同等以上であった。
実施例7 下記に示す各成分を使用して、実施例1と同様な操作
により、本発明の消去性インキを製造した。
カーボンブラック(C.I.ピグメント ブラック7)9部 スチレン樹脂エマルジョン(注7) 68部 エチレングリコール 9部 水 14部 注7:商標“ポリゾールC−10"、造膜温度100℃、固形分
濃度49%、昭和高分子(株)製 得られたインキの消去性及び保存安定性は、実施例1
品と同等以上であった。
実施例8 下記に示す各成分を使用して、実施例1と同様な操作
により、本発明の消去性インキを製造した。
カーボンブラック(C.I.ピグメント ブラック7)6部 アクリル−酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン(注
8) 72部 グリセリン 9部 水 13部 注8:商標“ポリゾールAT−1000"、造膜温度45℃、固形
分濃度50%、昭和高分子(株)製 得られたインキの消去性及び保存安定性は、実施例1
品と同等以上であった。
実施例9 下記に示す各成分を使用して、実施例1と同様な操作
により、本発明の消去性インキを製造した。
カーボンブラック(C.I.ピグメント ブラック7)9部 アクリル−スチレン共重合樹脂エマルジョン(注9) 64部 エチレングリコール 12部 水 15部 注9:実施例1のものと同じ。
得られたインキの消去性及び保存安定性は、実施例1
品と同等以上であった。
比較例1 下記に示す各成分を使用して、比較消去性インキを製
造した。
カーボンブラック(C.I.ピグメント ブラック7)7部 アクリル−スチレン共重合樹脂エマルジョン(注10) 70部 エチレングリコール 10部 水 13部 注10:商標“モビニール748"、造膜温度10℃、固形分濃
度45%、ヘキスト合成(株)製 使用する樹脂エマルジョンの造膜温度が低すぎるた
め、筆記後に樹脂膜が紙表面に形成され、筆記部と紙と
が強固に接着して、得られたインキにより形成された筆
跡を消しゴムで消去することは、不可能であった。
比較例2 下記に示す各成分を使用して、比較消去性インキを製
造した。
カーボンブラック(C.I.ピグメント ブラック7)8部 アクリル−スチレン共重合樹脂エマルジョン(注11) 69部 グリセリン 8部 水 15部 注11:商標“モビニール670"、造膜温度20℃、固形分濃
度45%、ヘキスト合成(株)製 使用する樹脂エマルジョンの造膜温度が低すぎるた
め、得られたインキにより形成された筆跡を消しゴムで
消去することは、やはり不可能であった。
実施例10 下記に示す各成分を使用して、実施例1と同様な操作
により、本発明の消去性インキを製造した。
パーマネント レッド4R(C.I.ピグメント レッド3)
8部 アクリル−スチレン共重合樹脂エマルジョン(注12) 75部 プロピレングリコール 8部 水 9部 注12:実施例1のものと同じ。
得られたインキの消去性及び保存安定性は、実施例1
品と同等以上であった。
実施例11 下記に示す各成分を使用して、実施例1と同様な操作
により、本発明の消去性インキを製造した。
フタロシアニン ブルー(C.I.ピグメント ブルー15)
22部 スチレン樹脂エマルジョン(注13) 59部 ポリエチレングリコール (分子量400) 7部 水 12部 注13:実施例7のものと同じ。
得られたインキの消去性及び保存安定性は、実施例1
品と同等以上であった。
実施例12 下記に示す各成分を使用して、実施例1と同様な操作
により、本発明の消去性インキを製造した。
フタロシアニン グリーン(C.I.ピグメント グリーン
7) 20部 アクリル−スチレン共重合樹脂エマルジョン(注14) 52部 ジエチレングリコール 7部 水 15部 注14:実施例2のものと同じ。
得られたインキの消去性及び保存安定性は、実施例1
品と同等以上であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−131679(JP,A) 特開 昭58−2367(JP,A) 特開 昭58−167659(JP,A) 特開 昭60−71676(JP,A) 特開 昭59−223770(JP,A) 特開 昭55−152768(JP,A) 特公 昭37−18021(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09D 11/00 - 11/20

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】インキ全重量に占める割合が顔料1〜50
    %、40℃以上の造膜温度を有する樹脂3〜50%、アレキ
    レングリコール、ジアルキレングリコール、ポリアルキ
    レングリコール又はグリセリンから選ばれた1種又は2
    種以上の有機溶剤7〜50%及び水7〜60%であることを
    特徴とする消しゴムにより消去し得るインキ組成物。
JP4534188A 1988-02-26 1988-02-26 消しゴムにより消去し得るインキ組成物 Expired - Fee Related JP2931901B2 (ja)

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