JP2930861B2 - 孔掘削工法及び孔掘削装置 - Google Patents

孔掘削工法及び孔掘削装置

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JP2930861B2
JP2930861B2 JP8991594A JP8991594A JP2930861B2 JP 2930861 B2 JP2930861 B2 JP 2930861B2 JP 8991594 A JP8991594 A JP 8991594A JP 8991594 A JP8991594 A JP 8991594A JP 2930861 B2 JP2930861 B2 JP 2930861B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、比較的孔径が大きく、
深度の大きい立坑(縦孔)などを掘削するのに好適な孔
掘削工法及び掘削装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、鉱山の立坑、ダム導水路坑、一般
基礎工事用の縦孔、岩盤掘削基礎工事用の縦孔等の孔掘
削に関する技術として、例えば図13に示す第1の例、
図14に示す第2の例、図15に示す第3の例がある。
【0003】図13に示す第1の従来技術はレイズボー
リングと呼ばれている。この第1の従来技術は、図13
の(b)に示すように、ロッド71の下端に掘削具であ
るリーミングビット72を装着し、ロッド71の上端
に、ロッド71を回転させながら引き上げる推進力を与
える回転・推進力発生部73と、掘削時の反力を取るた
めの大きなベースプレート74とを有する掘削機本体7
5を備えている。
【0004】この第1の従来技術では、同図13の
(a)に示すように、上方空間を形成する上坑道76に
掘削機本体75を固定し、同図13の(b)に示すよう
に、下方空間を形成する下坑道77においてリーミング
ビット72をロッド71に装着させ、この状態で掘削機
本体75の回転・推進力発生部73を駆動させ、リーミ
ングビット72を下坑道77から上坑道76に向かって
回転させながら引き上げて地盤70を掘削し、立坑を形
成する。掘削による土砂78は、台車79等で外部に送
られる。なお、レイズボーリングに関する公知技術とし
て、例えば特開昭57−112593号公報に記載の技
術がある。
【0005】また、図14に示す第2の従来技術はリバ
ースサーキュレーションドリルと呼ばれている。この第
2の従来技術は、ドリルパイプ81の下端に掘削具であ
るビット82を装着し、ドリルパイプ81の上端にドリ
ルパイプ81を回転させる回転テーブル83を設け、全
体をフック84を介して図示しない大型のクレーンで吊
り上げて保持するとともに、ドリルパイプ81部分に地
盤80の崩落を防ぐための水86を供給する図示しない
水中ポンプより成る水供給手段と、掘削によって生じた
泥水を外部に排出する泥水排出パイプ85、及び図示し
ない吸い込みポンプとを備え、掘削時の推進力を得るた
めにドリルパイプ81の重量を重く設定してある。
【0006】この第2の従来技術では、常時水86を供
給し回転テーブル83を駆動してドリルパイプ81を回
転させ、クレーンを下降させつつビット82で掘削し、
ドリルパイプ81の自重を推進力として徐々に下方に向
かって掘り進み、立坑を掘削するようになっている。な
お、リバースサーキュレーションドリルに関する公知技
術として、例えば特開昭55−45902号公報に記載
の技術がある。
【0007】また、図15に示す第3の従来技術は、回
転式ケーシングドライバと呼ばれている。この第3の従
来技術は、先端に掘削具であるカッタ92を有し、内部
が中空のケーシングチューブ93と、このケーシングチ
ューブ93を回転させるケーシングドライバ本体94
と、このケーシングドライバ本体94に接続され、掘削
時の反力を取る重量ベース95と、この重量ベース95
が動かないように押圧力を与えるとともに、掘削によっ
て生じた土石を把持して外部に排出するハンマグラブ9
6を先端に吊り下げた大きなクレーン97とを備えてい
る。
【0008】この第3の従来技術では、ケーシングドラ
イバ本体94を駆動してケーシングチューブ93を回転
させ、その掘削時の反力を重量ベース95とクレーン9
7とで取り、掘削によりケーシングチューブ93内に溜
った土石をケーシングチューブ93内に垂下させたハン
マグラブ96で把持させて外部に除去し、立坑を掘削す
るようにしてある。なお、回転式ケーシングドライバに
関する公知技術として、例えば実開昭60−40545
号公報に記載の技術がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した各
従来技術には以下のような問題がある。すなわち、図1
3に示す第1の従来技術では、掘削機本体75を配置さ
せる上坑道76と、リーミングビット72をロッド71
に装着させる下坑道77とを形成する作業が必要にな
る。このことから、掘削工数が多くなり、掘削費用が高
くなる。さらに、掘削される孔は、ベースプレート74
よりも小さくせざるを得ず、掘削する孔径に制約を受け
る。
【0010】また、図14に示す第2の従来技術では、
推進力を生じさせるためにドリルパイプ81等の重量を
予め重く設定する必要があること、及び図示しない大型
のクレーンを必要とすることから、装置全体が大型で重
量が重くなり、掘削現場まで運搬する作業に困難が伴
う。また、地盤80の崩落を防ぐために大量の水86を
供給する水供給手段と、大量の泥水を排出する泥水排出
パイプ85、図示しない吸い込みポンプ等より成る泥水
排出手段とを要することから、このような水供給手段や
泥水排出手段を確保できない場合には孔掘削をおこなえ
ない。これらのことから、孔掘削が可能な場合でも、掘
削工数が多くなり、掘削費用が高くなる。さらに、水供
給手段や泥水排出手段を構成する吸い込みポンプは、基
本的に容量に限りがあることから、泥水排出量にも限り
があり、このためドリルパイプ81で掘削される孔径に
制約を受ける。
【0011】また、図15に示す第3の従来技術では、
クレーン97と重量ベース95は、掘削時の反力を取る
ため形状が大きく、重量を重く設定せざるを得ない。こ
のため、掘削現場までクレーン97等を運搬する作業に
困難が伴う。これに伴って掘削工数が多くなり、掘削費
用が高くなる。さらに、製作上ケーシングチューブ93
の孔径に制約を受け、これに伴って掘削する孔径に制約
を受ける。
【0012】このように、立坑を掘削する孔掘削工法、
及び孔掘削装置の第1の従来技術であるレイズボーリン
グは上下に坑道が必要であり、通常地盤での掘削は不可
能であり、第2の従来技術であるリバースサーキュレー
ションドリル、第3の従来技術である回転式ケーシング
ドライバのいずれも、掘削時の反力を取るために、ある
いは掘削具の推進力を確保するために、装置の全体形状
が大きく、重量がきわめて重くなっており、このため掘
削現場まで該当する孔掘削装置を運搬する作業に困難が
伴い、これにより掘削に要する工数が多くなり、掘削費
用が高くなる問題がある。
【0013】また、上記いずれの従来技術でも通常は直
径が2〜3m程度までの孔掘削に活用されており、掘削
目標孔の径に制約を受ける問題もある。
【0014】なお、例えば山岳地帯に送電用の鉄塔を立
てる場合などには、その基礎孔として直径が3〜4mに
もなる大きな孔を地盤に形成する必要がある。このよう
な大きな孔の掘削には、上記の各従来技術は装置の全体
形状をより大きく、重量を重くしなければならないこと
から装置の製作が基本的に困難である。仮にそのような
孔掘削装置を製作することができとしても、運搬の便の
悪い山岳地帯における孔の掘削に際しては掘削現場ま
で、大きくて重い孔掘削装置の運搬がより困難となるた
め、実用化は期待できない。このような山岳地帯に設け
る鉄塔の基礎孔は、作業者の手掘りによりおこなわれて
いるのが実情である。このため掘削工数が増加し、掘削
作業の能率向上を見込めず、掘削費用の高騰化を招いて
いる。
【0015】本発明は、上記した従来技術における実情
に鑑みてなされたもので、その目的は、掘削装置の全体
形状を小型に、かつ軽量にすることができ、しかも径の
大きな孔を容易に掘削することができる孔掘削工法及び
孔掘削装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明の請求項1に記載の孔掘削工法は、地盤に掘削
目標孔よりも小さい孔径を有する先進孔を掘削し、この
先進孔にガイドロッドを挿入し、このガイドロッドを地
盤に固定した後、上記地盤を掘削する掘削具と、この掘
削具を回転させる回転手段と、上記掘削具を推進させる
推進手段とを有する掘削機を上記ガイドロッドに装着
し、この状態で上記掘削機の上記回転手段及び上記推進
手段を作動させ、上記掘削具を回転させながら上記ガイ
ドロッドに沿って推進させて上記地盤に上記掘削目標孔
を掘削する構成にしてある。
【0017】また、本発明の請求項11に記載の孔掘削
装置は、地盤に掘削目標孔の径よりも小さい先進孔を掘
削する第1の掘削機と、この第1の掘削機によって形成
された先進孔に挿入されるガイドロッドと、このガイド
ロッドを上記地盤に固定するロッド固定手段と、上記ガ
イドロッドに案内されて上記掘削目標孔を掘削する第2
の掘削機とを備えた構成にしてある。
【0018】
【作用】本発明の請求項1記載の孔掘削工法、請求項1
1に記載の孔掘削装置のいずれも、地盤に固定させたガ
イドロッドに掘削目標孔を掘削する掘削機を案内させる
ようにしてあり、これにより掘削機の掘削時の反力をガ
イドロッドで取ることができる。したがって、掘削機自
体は上述した各従来技術におけるような大きな反力を取
ることを考慮しないで済み、小型、軽量にすることがで
きる。また、ガイドロッドは、掘削目標孔の径より小さ
い先進孔に挿入される程度の比較的小さい径寸法に設定
できる。これらにより、掘削装置の全体形状を小型に、
かつ軽量にすることができる。
【0019】また、掘削目標孔の径を大きくする場合
は、掘削機の掘削具の大きさを掘削目標孔の径に対応し
て設定すればよい。したがって、ガイドロッドや掘削機
の大型化、重量増加をそれほど生じることなく所望の大
きな掘削目標孔を容易に掘削することができる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の孔掘削工法及び孔掘削装置の
実施例を図に基づいて説明する。図1は本発明の請求項
1,2,3,4,5,6,8,9に対応する孔掘削工法
の一実施例を示す説明図である。
【0021】この実施例では、はじめに図1の(イ)に
示すように、地盤1上に掘削目標孔よりも径の小さなガ
イド孔、すなわち先進孔を掘削するための第1の掘削機
を配置する。この第1の掘削機は、先進孔を掘削するダ
ウンザホールドリル2と、このダウンザホールドリル2
を回転させるロータリテーブル3と、これらのダウンザ
ホールドリル2及びロータリテーブル3の駆動源である
油圧ユニット4と、ダウンザホールドリルの駆動源であ
るコンプレッサとを含んでいる。なお、ダウンザホール
ドリル2を有する第1の掘削機は、特開平3−1192
84号公報、特開昭63−312497号公報に示され
るように公知である。
【0022】図1の(イ)の状態から油圧ユニット4を
作動させてロータリテーブル3を回転させると、図1の
(ロ)に示すように、コンプレッサ5からのエアーでダ
ウンザホールドリル2による掘削がおこなわれる。掘削
によって生じた土砂は、例えばコンプレッサ5で発生さ
せたエアーを掘削部分に吹き付けることにより、地盤1
の外部に排土される。このような状態からダウンザホー
ルドリル2を上方に引き上げると、図1の(ハ)に示す
ように、地盤1に先進孔6が形成される。
【0023】本実施例では特に、図1の(ニ)に示すよ
うに、上述のようにして形成した先進孔6にガイドロッ
ド7を挿入し、このガイドロッド7を例えばモルタル剤
やセメント等の地固め剤を用いて地盤1に固定する。ま
たこのとき、例えばガイドロッド7の下端部付近を固定
する。
【0024】次に、このように地盤1に固定したガイド
ロッド7に、先進孔6よりも径の大きい掘削目標孔を形
成する第2の掘削機8を装着する。第2の掘削機8は、
地盤1を掘削する掘削具と、この掘削具を回転させる回
転手段と、掘削具を推進させる推進手段とを含んでい
る。なお、上述の回転手段、及び推進手段の駆動源は前
述した油圧ユニット4である。この状態で油圧ユニット
4を作動させて第2の掘削機8の回転手段及び推進手段
を駆動すると、掘削具が回転しながらガイドロッド7に
沿って下方に推進し、地盤1に所望の掘削目標孔である
鉛直方向に延設される縦孔を掘削することができる。
【0025】この場合、例えば第2の掘削機8がガイド
ロッド7に固定可能な静止部と、掘削具を保持する移動
部とを有する構成であり、上述した回転手段は移動部を
回転させるものであり、上述した推進手段は移動部を推
進させるものであるときは、掘削作業の開始に際して、
ガイドロッド7に第2の掘削機8の上述の静止部を固定
する。この状態から油圧ユニット4を作動させて第2の
掘削機8の回転手段及び推進手段を駆動すると、図1の
(ホ)に示すように、掘削具を含む移動部が下方に推進
して推進手段の能力に依存する所定距離の掘削がおこな
われる。次いで、この状態で一旦第2の掘削機8を停止
させ、第2の掘削機8の静止部をガイドロッド7から離
脱させる。そして上述した所定距離に対応する距離だけ
静止部を下降させ、その位置で静止部を固定する。すな
わち、図1の(ヘ)に示すようにガイドロッド7に対す
る静止部の装着位置を変更する。この状態で再び第2の
掘削機8の回転手段及び推進手段を駆動し、掘削具を含
む移動部によって地盤1を掘削する。以下同様の動作を
繰り返して静止部及び移動部を交互に動かすことによ
り、所定距離づつ掘削が進められ、地盤1に所望の掘削
目標孔を形成することができる。この掘削目標孔の掘削
時も、上述した先進孔の掘削時と同様に、掘削によって
生じた土砂は、例えばコンプレッサ5で発生させたエア
ーを掘削部分に吹き付けることにより、地盤1の外部に
排土される。
【0026】掘削目標孔の形成後は、例えば第2の掘削
機8をガイドロッド7から離脱させ、この第2の掘削機
8を掘削目標孔の外部に撤去する。また、このように第
2の掘削機8を掘削目標孔の外部に撤去した後、例えば
ガイドロッド7も掘削目標孔の外部に撤去する。このよ
うにして掘削作業が終了する。
【0027】このようにして孔掘削をおこなう本実施例
では、地盤1に固定させたガイドロッド7に掘削目標孔
を掘削する第2の掘削機8を案内させるようにしてあ
り、これにより第2の掘削機8の掘削時の反力をガイド
ロッド7で取ることができる。したがって、第2の掘削
機8自体は大きな反力を取ることを考慮しないで済み、
小型、軽量にすることができる。また、ガイドロッド7
は、掘削目標孔の径より小さい先進孔6に挿入される程
度の比較的小さい径寸法に設定できる。これらにより、
ダウンザホールドリル2を有する第1の掘削機、ガイド
ロッド7、及び第2の掘削機8を含む掘削装置の全体形
状を小型に、かつ軽量にすることができる。したがっ
て、これらのダウンザホールドリル2を有する第1の掘
削機、ガイドロッド7、及び第2の掘削機8を含む掘削
装置を掘削現場まで運搬する作業が比較的容易になり、
これに伴って掘削に要する工数を少なくすることがで
き、掘削費用を低減することが可能となる。
【0028】また、掘削目標孔の径を大きくする場合
は、第2の掘削機8の掘削具の大きさを掘削目標孔の径
に対応して設定すればよい。したがって、ガイドロッド
7や第2の掘削機8の大型化、重量増加をそれほど生じ
ることなく所望の大きな掘削目標孔を容易に掘削するこ
とができる。これにより、従来は困難であった3〜4m
前後の大孔径の掘削目標孔を形成することが容易に可能
である。
【0029】なお、本実施例にあっては、上述のように
掘削装置を掘削現場まで運搬する作業が比較的容易であ
り、かつ、3〜4m前後の大孔径の掘削目標孔を形成す
ることが容易に可能であることから、従来は手掘りでお
こなわれていた山岳地帯の送電線用の鉄塔等の基礎孔の
形成にも適用することができる。このように、山岳地帯
の送電線用の鉄塔等の基礎孔の形成に手掘りに代えて適
用した場合には、掘削作業能率を著しく向上させること
ができる。
【0030】なお、上記実施例では、ガイドロッド7を
地固め剤を用いて地盤1に固定したが、このような地固
め剤に代えて、あるいは地固め剤とともにメカニカルア
ンカーを用いて地盤1に固定するようにしてもよい。
【0031】また、上記実施例では、掘削によって生じ
た土砂をエアーを用いて地盤1の外部に排土するように
してあるが、このようなエアーに代えて、あるいはエア
ーとともに水を供給して排土するようにしてもよい。
【0032】また、上記実施例で掘削目標孔の形成後、
ガイドロッド7を掘削目標孔の外部に撤去する際、ガイ
ドロッド7を分割してから掘削目標孔の外部に撤去する
ようにしてもよい。
【0033】また、上記実施例では、掘削目標孔の形成
後に第2の掘削機8及びガイドロッド7を掘削目標孔か
ら地盤1の外部に撤去するようにしたが、掘削目標孔に
挿入される鉄塔等の構造物の挿入に支障を生じない場合
などにあつては、これらの第2の掘削機8やガイドロッ
ド7を掘削目標孔から地盤1の外部に撤去せず、掘削目
標孔に挿入される鉄塔等の構造物とともに地盤1中に埋
設させるようにしてもよい。
【0034】また、上記実施例では、掘削目標孔として
鉛直方向に延設される縦孔を掘削したが、本発明はこの
ような縦孔を掘削することに限られず、水平方向に延設
される横孔とか、鉛直方向に対して所定角度傾いた方向
に延設される縦孔を掘削することもできる。
【0035】図2,図3,図4,図5,図6,図7は本
発明の請求項11,12,13,14,15,16,1
8,19,20,21,22,23,24,25,2
6,27,28,29,30に対応する孔掘削装置の第
1の実施例を示す説明図で、図2は第1の実施例を構成
する第2の掘削機を示す平面図、図3は図2のA−A断
面図、図4は図2に示す第1の実施例に備えられるガイ
ドロッドの分割構造を示す断面図、図5は図2に示す第
1の実施例に備えられる第2の掘削機を形成する移動部
の非回転部のガイドロッド回りの回転を規制する規制手
段を示す横断面図、図6は図2に示す第1の実施例に備
えられるガイドロッドの横断面図、図7は図2に示す第
1の実施例に備えられるガイドロッドの一部分を示す正
面図である。
【0036】この孔掘削装置の第1の実施例は、基本構
成として、地盤に掘削目標孔の径よりも小さい先進孔を
掘削する第1の掘削機と、この第1の掘削機によって形
成された先進孔に挿入されるガイドロッドと、このガイ
ドロッドを地盤に固定するガイド固定手段と、上述のガ
イドロッドに案内されて掘削目標孔を掘削する第2の掘
削機とを備えている。
【0037】これらの構成のうち、先進孔を掘削する第
1の掘削機は、例えば前述の図1に示した掘削目標孔よ
りも小さい先進孔を掘削するダウンザホールドリル2
と、このダウンザホールドリル2を回転させるロータリ
テーブル3と、これらのダウンザホールドリル2とロー
タリテーブル3を駆動する駆動源である油圧ユニット4
と、ダウンザホールドリル2の駆動源であるコンプレッ
サ5とを含む構成にしてある。上述したように、このよ
うなダウンザホールドリル2を有する第1の掘削機は、
特開平3−119284号公報等により公知である。
【0038】また、上述した構成のうちのガイドロッド
を地盤に固定するガイド固定手段は図示しないが、例え
ばモルタル剤やセメント等の地固め剤から成っている。
【0039】残りの構成については、図2〜図7を用い
て以下に説明する。第1の掘削機によって形成した先進
孔に挿入されるガイドロッド7は、図3〜図7に示すよ
うに、例えば鉛直方向に延設されるパイプ9と、このパ
イプ9の表面の円周方向を3等分した位置のそれぞれに
固定され、パイプ9の長手方向に沿ってほぼ同寸法の長
さに設定され第1の掛止部を形成するレール10とから
成っている。レール10には図7に例示するように、そ
の長手方向に所定間隔ごとに第1の係合部、例えばピン
穴13を複数形成してある。また、ガイドロッド7は、
例えば図4に示すように分割部28を有しボルト29に
よって一体に締結される2分割構造にしてある。分割位
置は、例えば全長のほぼ中央位置である。
【0040】このガイドロッド7に装着される第2の掘
削機8は、図2及び図3に示すように、ガイドロッド7
に固定可能な静止部11と、この静止部11に連結さ
れ、ガイドロッド7の長手方向に沿って移動可能な移動
部12とを有している。
【0041】静止部11には、この静止部11をガイド
ロッド7に着脱させる操作手段を設けてある。この操作
手段は、例えば、上述したガイドロッド7のレール10
に設けた第1の係合部であるピン穴13に係合可能な第
2の係合部、すなわちピン14と、このピン14がレー
ル10のピン穴13に挿入されるように押圧可能な油圧
シリンダ15を含む構成にしてある。ピン14と油圧シ
リンダ15の組合せは、3つのレール10に対応させて
3組設けてある。
【0042】上述した移動部12は、図3に示すよう
に、中央位置にガイドロッド7が挿入される挿入穴を形
成する円筒部23を有し、ガイドロッド7回りの回転を
規制される非回転部を形成するメインフレーム16と、
ガイドロッド7回りの回転が自在な回転部を形成するサ
ブフレーム18と、メインフレーム16とサブフレーム
18との間に介在させた旋回ベアリング17とを備える
とともに、サブフレーム18の下端に固定され、地盤に
掘削目標孔を掘削する掘削具であるビット19と、メイ
ンフレーム16に固定され、旋回ベアリング17を駆動
する、すなわちビット19を回転させる回転手段を構成
する油圧モータ、つまり旋回モータ20とを備えてい
る。また、移動部12は、図3、図5に示すように、メ
インフレーム16の円筒部23の内部に固定され、第1
の掛止部であるレール10を挾むように位置する一対の
第2の掛止部、例えば突起体22を備えている。一対の
突起体22は、例えば3つのレール10のそれぞれに対
応させて3組設けてある。これらのレール10及び突起
体22は、非回転部を形成するメインフレーム16のガ
イドロッド7回りの回転を規制する規制手段を構成して
いる。
【0043】また、上述した静止部11と移動部12と
の間にはビット19を推進させる推進手段を設けてあ
る。この推進手段は、例えば上端を静止部11を形成す
るフレームに連結され、下端を移動部12の非回転部を
形成するメインフレーム16に連結され、伸縮動作をお
こなう油圧シリンダ21から成っている。この油圧シリ
ンダ21は、例えばガイドロッド7を囲むように等間隔
で3本設けてある。
【0044】また、図3に例示するように、メインフレ
ーム16の円筒部23の内周の3個所に等間隔にエアー
供給口を形成する開口を設けてあり、これらの開口のそ
れぞれにエアー供給管25を接続してある。これらのエ
アー供給管25は、図2に示すように、静止部11を形
成するフレームに設けた3つの穴を通して地盤の外部ま
で延設される。これらのエアー供給管25の図示しない
端部にはエアー発生手段、例えば前述した図1に示すコ
ンブレッサ5が接続される。また、メインフレーム16
の平板部には周方向に等間隔にエアー排出口を形成する
3つの開口を設けてあり、これらの開口のそれぞれにエ
アー排出管26を接続してある。これらのエアー排出管
26の図示しない端部は、掘削する地盤の外部まで延設
され、例えば図示しない吸い込みポンプに接続される。
これらのエアー供給管25、エアー排出管26、コンプ
レッサ5、及び図示しない吸い込みポンプは、ビット1
9による掘削で生じた土砂を空圧を利用して地盤の外部
に排土する排土手段を構成している。
【0045】また、図2、図3に示すように、静止部1
1の上面の3個所に把手30を固定してあり、これらの
把手30のそれぞれには図示しないワイヤーが接続され
る。これらの把手30及び図示しないワイヤーは、掘削
目標孔の掘削を終えた第2の掘削機8を地盤の外部に引
き上げて撤去する撤去手段を構成している。
【0046】以下に、このように構成した本発明の孔掘
削装置の第1の実施例によっておこなわれる掘削動作
を、前述した図1を再び用いて説明する。
【0047】ダウンザホールドリル2を含む第1の掘削
機、ガイドロッド7、及び第2の掘削機8等が掘削現場
まで運搬される。掘削作業に際して、はじめに図1の
(イ)に示すように、地盤1に掘削目標孔よりも径の小
さな先進孔を掘削するために、ダウンザホールドリル2
とロータリテーブル3を備えた第1の掘削機を地盤1上
に設置する。図1の(イ)の状態から油圧ユニット4を
作動させてロータリテーブル3を回転させコンプレッサ
5よりダウザホールドリル2にエアーを供給すると、図
1の(ロ)に示すように、ダウンザホールドリル2によ
る掘削がおこなわれる。掘削によって生じた土砂は、コ
ンプレッサ5で発生させたエアーを掘削部分に吹き付け
ることにより、地盤1の外部に排土される。このような
状態からダウンザホールドリル2を上方に引き上げる
と、図1の(ハ)に示すように、地盤1に先進孔6が形
成される。
【0048】次に、図1の(ニ)に示すように、先進孔
6にガイドロッド7を挿入し、このガイドロッド7の例
えば下端部付近を地固め剤で地盤1に固定する。
【0049】次に、このように地盤1に固定したガイド
ロッド7に、第2の掘削機8の図3に示す移動部12を
形成するメインフレーム16の円筒部23を挿入し、ガ
イドロッド8のレール10の最上位置に形成されている
3つのピン穴13と、静止部11の3つのピン14とを
それぞれ対向させ、油圧ユニット4を作動させて静止部
11の操作手段を構成する油圧シリンダ15を伸長させ
るように駆動し、ピン14のそれぞれをピン穴13に挿
入する。これにより、第2の掘削機8の静止部11はガ
イドロッド7に固定される。なお、このとき推進手段を
構成する油圧シリンダ21は、予め最収縮位置に保たれ
る。
【0050】この状態から、油圧ユニット4を作動させ
て回転手段を構成する油圧モータ20と上述の油圧シリ
ンダ21とを駆動すると、油圧モータ20の駆動に伴っ
て旋回ベアリング17が旋回し、回転部を構成するサブ
フレーム18を介してビット19が回転するとともに、
油圧シリンダ21の伸長動作に伴って移動部12が下降
し、すなわちビット19が推進し、このビット19によ
って地盤1の掘削がおこなわれる。このとき、移動部1
2の非回転部を構成するメインフレーム16は、図5に
示すように突起体22がレール10に掛止されることに
より、ガイドロッド7回りの回転が規制される。また、
このとき例えば油圧ユニット4の作動により図1に示す
コンプレッサ5を駆動し、同時に図示しない吸い込みポ
ンプを駆動することにより、コンプレッサ5で発生した
エアーがエアー供給管25を介して掘削部分に供給さ
れ、ビット19による地盤1の掘削で生じた土砂が吸い
込みポンプの吸引力によりエアー排出管26を経て地盤
1の外部に排出される。図1の(ホ)はこのときの状態
を示している。
【0051】このようにして、油圧シリンダ21のスト
ロークに相当する所定距離だけ掘削したとき、一旦、油
圧モータ20の駆動を停止させ、油圧シリンダ21への
圧油の供給を停止させ、油圧シリンダ15のそれぞれを
収縮するように作動させる。これにより、ピン穴13か
らピン14が抜け、静止部11の自重で静止部11が降
下するとともに油圧シリンダ21が収縮し、ガイドロッ
ド7のレール10の最上位のピン穴13から所定間隔だ
け下方に位置する次位のピン穴13のそれぞれにピン1
4が対向する状態となる。この状態において油圧シリン
ダ15を伸長させると、ピン14のそれぞれがピン穴1
3に挿入され、静止部11は固定される。図1の(ヘ)
はこのときの状態を示している。ここで再び油圧ユニッ
ト4を作動させて油圧モータ20と油圧シリンダ21と
を駆動すると、上述と同様にビット19によって所定距
離の掘削がおこなわれる。
【0052】以下、静止部11の装着位置すなわち固定
位置を所定距離ずつ変えて、上述と同様の動作が掘削目
標孔が形成されるまで繰り返しおこなわれる。
【0053】このようにして掘削目標孔が形成される
と、例えば図2、図3に示す把手30に図示しないワイ
ヤーが接続される。このワイヤーを引き上げることによ
り第2の掘削機8を地盤の外部に撤去することができ
る。その後、例えば図4のボルト29を外すことにより
ガイドロッド7は分割部28で2分割され、このように
分割によって軽量になったガイドロッド部分が順に地盤
1の外部に撤去され、掘削作業が終了する。
【0054】このように構成した孔掘削装置の第1の実
施例にあっても、前述した孔掘削工法の実施例について
述べたのと同様に、掘削時、地固め剤によって地盤1に
固定させたガイドロッド7に第2の掘削機8の静止部1
1を固定させるようにしてあり、これにより第2の掘削
機8の掘削時の反力をガイドロッド7で取ることができ
る。したがって、第2の掘削機8自体は大きな反力を取
ることを考慮しないで済み、小型、軽量にすることがで
きる。また、ガイドロッド7は、掘削目標孔の径より小
さい先進孔6に挿入される程度の比較的小さい径寸法に
設定できる。これらにより、ダウンザホールドリル2を
有する第1の掘削機、ガイドロッド7、及び第2の掘削
機8を含む掘削装置の全体形状を小型に、かつ軽量にす
ることができる。したがって、これらのダウンザホール
ドリル2を有する第1の掘削機、ガイドロッド7、及び
第2の掘削機8を含む掘削装置を掘削現場まで運搬する
作業が比較的容易になり、これに伴って掘削に要する工
数を少なくすることができ、掘削費用を低減することが
可能となる。
【0055】また、掘削目標孔の径を大きくする場合
は、第2の掘削機8のビット19の大きさを掘削目標孔
の径に対応して設定すればよい。したがって、ガイドロ
ッド7や第2の掘削機8の大型化、重量増加をそれほど
生じることなく所望の大きな掘削目標孔を容易に掘削す
ることができる。これにより、従来は困難であった3〜
4m後の大孔径の掘削目標孔を形成することが容易に可
能である。
【0056】なお、上述のように掘削装置を掘削現場ま
で運搬する作業が比較的容易であり、かつ、3〜4m前
後の大孔径の掘削目標孔を形成することが容易に可能で
あることから、従来は手掘りでおこなわれていた山岳地
帯の送電線用の鉄塔等の基礎孔の形成にこの第1の実施
例を適用することができる。このように、山岳地帯の送
電線用の鉄塔等の基礎孔の形成に手掘りに代えてこの第
1の実施例を適用した場合には、掘削作業能率を著しく
向上させることができる。
【0057】またこの第1の実施例では特に、ガイドロ
ッド7のレール10に形成されるピン穴13のレール1
0の長手方向の間隔と油圧シリンダ21のストロークと
を適合させ、油圧シリンダ15、油圧モータ20、及び
油圧シリンダ21の駆動及び駆動停止制御を精度よくお
こなうことにより、自動掘削を実現させることができ
る。
【0058】また、エアー供給管25、エアー排出管2
6を含む排土手段を設けたことにより、ビット19によ
る掘削で生じた土砂を自動的に地盤1の外部に排土させ
ることができ、排土作業の能率を向上させることができ
る。
【0059】また、把手30を含む第2の掘削機8の撤
去手段を設けたことにより、この第2の掘削機8を地盤
1の外部に容易に撤去でき、この撤去作業の能率を向上
させることができる。
【0060】図8は特に本発明の請求項17に対応する
孔掘削装置の第2の実施例を構成する第2の掘削機を示
す平面図である。
【0061】この第2の実施例では、第2の掘削機8を
構成する静止部11を3つの部分31,32,33に分
割してあり、部分31と部分32、部分32と部分3
3、部分33と部分31のそれぞれをボルト37によっ
て一体に締結してある。また、エアー供給管25を挿通
させるために、部分31には開口34を形成してあり、
部分32には開口35を形成してあり、部分33には開
口36を形成してある。また、操作手段を構成する油圧
シリンダ15は各部分31,32,33のほぼ中央位置
に配置してあり、これらの油圧シリンダ15の上方に相
当する位置のそれぞれに、撤去手段を構成する把手3
8,39,40を設けてある。その他の構成は前述した
第1の実施例と同等である。
【0062】このように構成した第2の実施例は、第1
の実施例と同等の作用効果を奏する他、特に掘削開始時
にガイドロッド7に第2の掘削機8を装着する際に、静
止部11は比較的軽量の個々の部分31,32,33を
ガイドロッド7の周囲に配置し、これらの隣り合う部分
をボルト37で締結すればよく、静止部11の取扱いが
容易であることから、この第2の掘削機8のガイドロッ
ド7に対する装着を比較的能率よく、安全におこなえ
る。
【0063】図9,図10,図11は特に本発明の請求
項25,26,27,28,29,30に対応する孔掘
削装置の第3の実施例を示す説明図で、図9は第3の実
施例を構成する第2の掘削機を示す平面図、図10は図
9のB−B断面図、図11は図9に示す第3の実施例に
備えられるガイドロッドの分割構造を示す断面図であ
る。
【0064】この第3の実施例では、排土手段を構成す
るエアー供給管41をガイドロッド7のパイプ9内に挿
入させてあり、ビット19の近傍のガイドロッド7部分
にエアーを吹き出す開口7aを形成してあり、移動部1
2部分に配置され、中央部にエアー排出用の開口を有す
るとともに、周方向に3つのエアー排出用の開口を有す
るプレート43に、エアー排出管42のぞれぞれを接続
してある。なお、ガイドロッド7の分割部分46は、外
径はパイプ9の外径にほぼ等しく、内径はエアー供給管
41の外径よりもわずかに大きくなるように設定してあ
り、ボルト47によって一体に締結してある。
【0065】また、撤去手段として静止部11に設けら
れる3つの把手30の他に、上述のプレート43に3つ
の把手44を設け、これらの把手44にワイヤー45を
接続してある。その他の構成は前述した第1の実施例と
ほぼ同等である。
【0066】このように構成した第3の実施例では、エ
アー供給管41によって導かれた排土用のエアーが、ガ
イドロッド7の開口7aからビット19方向に供給さ
れ、ビット19の掘削によって生じた土砂がエアーとと
もにエアー排出管42に導かれ、地盤の外部に排土され
る。また、掘削目標孔の形成後、第2の掘削機8を撤去
するときには、把手30に接続した図示しないワイヤー
と把手44に接続したワイヤー45の双方を引き上げて
第2の掘削機8を撤去する。
【0067】この第3の実施例では、特に、エアー供給
管41をガイドロッド7を構成するパイプ9の内部に配
置してあるので、このエアー供給管41の耐久性に優れ
ている。また、把手30に接続した図示しないワイヤー
と把手44に接続したワイヤー45の双方により第2の
掘削機8を撤去するので、より安全に第2の掘削機8を
地盤の外部に撤去させることができる。その他の作用効
果は、第1の実施例と同等である。
【0068】図12は本発明の請求項14,18に対応
する孔掘削装置の第4の実施例を構成する第2の掘削機
の要部を示す横断面図である。
【0069】この第4の実施例では、ガイドロッド48
を角形パイプによって構成させてある。これに対応させ
て第2の掘削機8の静止部11を形成するフレーム49
にガイドロッド48を挿通させる角形穴を形成してあ
る。なお、同図12では明瞭でないが、静止部11の下
方に位置する移動部12の非回転部を形成するメインフ
レームの、ガイドロッド48を挿通させる部分を角形筒
部に形成してある。
【0070】上述したガイドロッド48には、同一水平
面内に互いに対向するように一対配置される第1の係合
部を構成するピン穴50を、ガイドロッド48の長手方
向に所定間隔ごとに複数設けてある。静止部11には、
操作手段に含まれる第2の係合部、すなわち同図12で
は図示しない油圧シリンダによって押圧される一対のピ
ン51を設けてある。
【0071】また、静止部11の下方に位置する移動部
12の非回転部を形成するメインフレームの上述した角
形筒部の内部には、ガイドロッド48の4つの角部52
のそれぞれに対向させて、4つの「く」の字形の突起体
53を固定してある。ガイドロッド48の角部52は第
1の掛止部を形成し、突起体53はこの第1の掛止部に
係止される第2の掛止部を形成する。さらに、これらの
第1の掛止部であるガイドロッド48の角部52と、第
2の掛止部である移動体12の非回転部を形成するメイ
ンフレームの角形筒部に設けられる突起体53とは、静
止部11の下方に位置する移動部12の非回転部を形成
するメインフレームの、ガイドロッド48回りの回転を
規制する規制手段を構成している。
【0072】その他の構成は、前述した第1の実施例と
同等である。
【0073】この第4の実施例では、2本のピン51を
ガイドロッド48のピン穴50に挿入させることによ
り、静止部11がガイドロッド48に固定される。ま
た、突起体53がガイドロッド48の角部52に適合す
る「く」の字形であることから、掘削時における移動部
の下降を許容させるとともに、非回転部を形成するメイ
ンフレームの、ガイドロッド48回りの回転が規制され
る。その他の作用効果については、前述した第1の実施
例と同等である。
【0074】なお、上記実施例では、ガイドロッド7,
48を分割可能な構成にしてあるが、分割部分を有しな
い1本の構造体によって構成してもよい。
【0075】また、上記実施例では、ガイドロッド7,
48を2分割可能な構成にしてあるが、3分割以上が可
能な構成にしてもよい。
【0076】また、上記実施例では、第2の掘削機8の
静止部11をガイドロッド7,48に着脱させる操作手
段として油圧シリンダ15を設けてあるが、この油圧シ
リンダ15に代えて電動モータを設け、電動モータの回
転を直線運動に変換するラック等の変換手段を設け、こ
の変換手段を介してピン13,51が進退する構成にし
てもよい。
【0077】同様に、上記実施例では、第2の掘削機8
に備えられるビット19を回転させる回転手段として油
圧モータすなわち旋回モータ20を設けてあるが、この
旋回モータ20に代えて電動モータを設ける構成にして
もよい。
【0078】また、上記実施例では、ガイドロッド7,
48を固定するロッド固定手段として地固め剤を設けて
あるが、この地固め剤に代えて、あるいは地固め剤とと
もにメカニカルアンカーを設ける構成にしてもよい。
【0079】また、上記実施例では、第2の掘削機8が
ビット19で掘削した土砂を地盤1の外部に排土する排
土手段として、空圧を利用して排土する手段を備えてい
るが、このような空圧を利用して排土する手段に代え
て、あるいは空圧を利用して排土する手段とともに、水
圧を利用して排土する手段を設けてもよい。
【0080】また、上記実施例では、排土手段の一部を
第2の掘削機8に一体的に設けてあるが、この排土手段
を第2の掘削機8とは別体に設ける構成としてもよい。
【0081】また、上記実施例では、第2の掘削機8を
掘削目標孔の外部に撤去する撤去手段を設けてあるが、
ガイドロッド7,48を掘削目標孔の外部に撤去する撤
去手段を設けてもよい。例えば、ガイドロッド7,48
の上方部分に把手を取付け、この把手にワイヤーを接続
し、外部への撤去時にはワイヤーを引き上げるように構
成することもできる。
【0082】
【発明の効果】本発明の孔掘削工法及び孔掘削装置は以
上のように掘削反力をガイドロッドで取る構成にしてあ
ることから、掘削目標孔を掘削する掘削機を掘削反力を
取ることを要しない小型、軽量構造とすることができ、
これにより掘削装置の全体形状を小型に、かつ軽量にす
ることができ、この掘削装置を掘削現場まで運搬する作
業が比較的容易になり、これに伴って掘削に要する工数
を少なくすることができ、掘削費用を従来に比べて低減
することができる。
【0083】また、掘削目標孔の径を大きくする場合に
は、掘削機に備えられる掘削具の大きさを掘削目標孔の
径に対応して設定すればよく、ガイドロッドや掘削機の
形状の大型化をそれほど生じることなく容易に所望の大
きな掘削目標孔を掘削することができる。これにより、
従来は困難であった3〜4m前後の大孔径の掘削目標孔
を地盤に形成することができる。
【0084】また、上述のように掘削現場まで運搬する
作業が比較的容易になり、3〜4m前後の大孔径の掘削
目標孔を地盤に形成することが可能であることから、従
来は手掘りでおこなわれていた山岳地帯の送電線用の鉄
塔等の基礎孔の形成にも適用でき、このように、山岳地
帯の送電線用の鉄塔等の基礎孔の形成に適用した場合に
は、掘削作業能率を著しく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の孔掘削工法の一実施例を示す説明図で
ある。
【図2】本発明の孔掘削装置の第1の実施例を構成する
第2の掘削機を示す平面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図2に示す第1の実施例に備えられるガイドロ
ッドの分割構造を示す断面図である。
【図5】図2に示す第1の実施例に備えられる第2の掘
削機を形成する移動部の非回転部のガイドロッド回りの
回転を規制する規制手段を示す横断面図である。
【図6】図2に示す第1の実施例に備えられるガイドロ
ッドの横断面図である。
【図7】図2に示す第1の実施例に備えられるガイドロ
ッドの一部分を示す正面図である。
【図8】本発明の孔掘削装置の第2の実施例を構成する
第2の掘削機を示す平面図である。
【図9】本発明の孔掘削装置の第3の実施例を構成する
第2の掘削機を示す平面図である。
【図10】図9のB−B断面図である。
【図11】図9に示す第3の実施例に備えられるガイド
ロッドの分割構造を示す断面図である。
【図12】本発明の孔掘削装置の第4の実施例を構成す
る第2の掘削機の要部を示す横断面図である。
【図13】従来の孔掘削装置の第1の例を示す説明図で
ある。
【図14】従来の孔掘削装置の第2の例を示す説明図で
ある。
【図15】従来の孔掘削装置の第3の例を示す説明図で
ある。
【符号の説明】
1 地盤 2 ダウンザホールドリル 3 ロータリテーブル 4 油圧ユニット 5 コンプレッサ 6 先進孔 7 ガイドロッド 7a 穴 8 第2の掘削機 9 パイプ 10 レール(第1の掛止部)(規制手段) 11 静止部 12 移動部 13 ピン穴(第1の係合部) 14 ピン(第2の係合部)(操作手段) 15 油圧シリンダ(操作手段) 16 メインフレーム(非回転部) 17 旋回ベアリング 18 サブフレーム(回転部) 19 ビット(掘削具) 20 旋回モータ(回転手段) 21 油圧シリンダ(推進手段) 22 突起体(第2の掛止部)(規制手段) 23 円筒部 24 開口 25 エアー供給管(排土手段) 26 エアー排出管(排土手段) 27 開口 28 分割部 29 ボルト 30 把手(撤去手段) 31 部分 32 部分 33 部分 34 開口 35 開口 36 開口 37 ボルト 38 把手 39 把手 40 把手 41 エアー供給管(排土手段) 42 エアー排出管(排土手段) 43 プレート 44 把手(撤去手段) 45 ワイヤ(撤去手段) 46 分割部 47 ボルト 48 ガイドロッド 49 フレーム 50 ピン穴(第1の係合部) 51 ピン(第2の係合部)(操作手段) 52 角部(第1の掛止部)(規制手段) 53 突起体(第2の掛止部)(規制手段)
フロントページの続き (73)特許権者 390031934 千歳電気工業株式会社 東京都北区西ケ原1丁目52番10号 (72)発明者 相澤 和夫 東京都港区芝四丁目13番3号 株式会社 ヒメノ内 (72)発明者 鹿島 淳彦 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機 株式会社 土浦工場内 (72)発明者 村岡 正 東京都千代田区大手町二丁目6番2号 日立建機株式会社内 (72)発明者 大久保 彰 東京都中野区中央一丁目29番15号 鉱研 工業株式会社内 (72)発明者 鷲見 竹夫 東京都港区南青山一丁目10番2号 岳南 建設株式会社内 (72)発明者 長浜 亨 東京都北区西ケ原一丁目27番52号 千歳 電気工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−321557(JP,A) 実開 平5−7788(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E21B 10/26 E21B 4/18

Claims (30)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地盤に掘削目標孔よりも小さい孔径を有
    する先進孔を掘削し、 この先進孔にガイドロッドを挿
    入し、このガイドロッドを地盤に固定した後、 上記地
    盤を掘削する掘削具と、この掘削具を回転させる回転手
    段と、上記掘削具を推進させる推進手段とを有する掘削
    機を上記ガイドロッドに装着し、 この状態で上記掘削機の上記回転手段及び上記推進手段
    を作動させ、上記掘削具を回転させながら上記ガイドロ
    ッドに沿って推進させて上記地盤に上記掘削目標孔を掘
    削することを特徴とする孔掘削工法。
  2. 【請求項2】 所定距離掘削した後上記掘削機を停止さ
    せ、 この掘削機を上記ガイドロッドから離脱させ、 上記所定距離に対応する距離だけ上記ガイドロッドに対
    する装着位置を変えて当該掘削機を上記ガイドロッドに
    装着し、 再び上記掘削機の上記回転手段及び上記推進手段を作動
    させ、上記掘削具を回転させながら上記ガイドロッドに
    沿って推進させて上記地盤を掘削し、 以下同様の動作を上記掘削目標孔が形成されるまで繰り
    返しおこなうことを特徴とする請求項1記載の孔掘削工
    法。
  3. 【請求項3】 上記地盤の掘削によって生じた土砂を上
    記地盤の外部に排土することを特徴とする請求項1また
    は2記載の孔掘削工法。
  4. 【請求項4】 上記ガイドロッドの下端付近を地盤に固
    定することを特徴とする請求項1または2記載の孔掘削
    工法。
  5. 【請求項5】 上記ガイドロッドを地固め剤及びメカニ
    カルアンカーの少なくとも一方によって上記地盤に固定
    することを特徴とする請求項4記載の孔掘削工法。
  6. 【請求項6】 掘削目標孔が鉛直方向に延設される縦孔
    であることを特徴とする請求項1または2記載の孔掘削
    工法。
  7. 【請求項7】 掘削目標孔が水平方向に延設される横孔
    であることを特徴とする請求項1または2記載の孔掘削
    工法。
  8. 【請求項8】 上記掘削目標孔の形成後、上記掘削機を
    上記ガイドロッドから離脱させ、上記掘削目標孔の外部
    に撤去することを特徴とする請求項1または2記載の孔
    掘削工法。
  9. 【請求項9】 上記掘削機を上記掘削目標孔の外部に撤
    去した後、上記ガイドロッドを上記掘削目標孔の外部に
    撤去することを特徴とする請求項8記載の孔掘削工法。
  10. 【請求項10】 上記ガイドロッドを、一旦上記掘削目
    標孔の内部で分割させた後、上記掘削目標孔の外部に撤
    去することを特徴とする請求項9記載の孔掘削工法。
  11. 【請求項11】 地盤に掘削目標孔の径よりも小さい先
    進孔を掘削する第1の掘削機と、この第1の掘削機によ
    って形成された先進孔に挿入されるガイドロッドと、こ
    のガイドロッドを上記地盤に固定するロッド固定手段
    と、上記ガイドロッドに案内されて上記掘削目標孔を掘
    削する第2の掘削機とを備えたことを特徴とする孔掘削
    装置。
  12. 【請求項12】 上記第2の掘削機は、上記ガイドロッ
    ドに固定可能な静止部と、この静止部に連結され、上記
    ガイドロッドの長手方向に沿って移動可能な移動部とを
    有し、 上記静止部に、この静止部を上記ガイドロッドに着脱さ
    せる操作手段を備え、上記移動部に、上記地盤に掘削目
    標孔を掘削する掘削具と、この掘削具を回転させる回転
    手段とを備えるとともに、 上記静止部と上記移動部との間に、上記掘削具を推進さ
    せる推進手段を備えたことを特徴とする請求項11記載
    の孔掘削装置。
  13. 【請求項13】 上記移動部が、上記ガイドロッド回り
    の回転を規制される非回転部と、この非回転部の下方に
    設けられ、上記ガイドロッド回りの回転が自在な回転部
    とを有し、 上記回転手段を上記非回転部に設け、上記掘削具を上記
    回転部に設けるともに、 上記非回転部の上記ガイドロ
    ッド回りの回転を規制する規制手段を備えたことを特徴
    とする請求項12記載の孔掘削装置。
  14. 【請求項14】 上記規制手段が、上記ガイドロッド側
    に設けた第1の掛止部と、上記移動部の上記非回転部に
    設けられ、上記第1の掛止部に掛止される第2の掛止部
    とから成ることを特徴とする請求項13記載の孔掘削装
    置。
  15. 【請求項15】 上記第1の掛止部が上記ガイドロッド
    に含まれるレールであり、上記第2の掛止部が上記レー
    ルに掛止される突起体であることを特徴とする請求項1
    4記載の孔掘削装置。
  16. 【請求項16】 上記第2の掘削機の中央部に、上記ガ
    イドロッドが挿入される挿入穴を有することを特徴とす
    る請求項11〜13のいずれかに記載の孔掘削装置。
  17. 【請求項17】 上記第2の掘削機を、複数に分割可能
    に形成したことを特徴とする請求項16記載の孔掘削装
    置。
  18. 【請求項18】 上記操作手段が、上記ガイドロッド側
    に形成した第1の係合部に係合可能な第2の係合部を有
    することを特徴とする請求項12または13のいずれか
    に記載の孔掘削装置。
  19. 【請求項19】 上記第1の係合部を、上記ガイドロッ
    ドの長手方向に沿って所定間隔ごとに複数設けたことを
    特徴とする請求項18記載の孔掘削装置。
  20. 【請求項20】 上記操作手段が、上記第2の係合部を
    上記第1の係合部に押圧可能な油圧シリンダを含むこと
    を特徴とする請求項18または19記載の孔掘削装置。
  21. 【請求項21】 上記回転手段が、油圧モータ及び電動
    モータのうちの一方であることを特徴とする請求項12
    または13に記載の孔掘削装置。
  22. 【請求項22】 上記推進手段が、一端を上記静止部に
    連結され、他方を上記移動部に連結される油圧シリンダ
    であることを特徴とする請求項12または13記載の孔
    掘削装置。
  23. 【請求項23】 上記ロッド固定手段が、地固め剤及び
    メカニカルアンカーの少なくとも一方であることを特徴
    とする請求項11〜13のいずれかに記載の孔掘削装
    置。
  24. 【請求項24】 上記第1の掘削機は、上記先進孔を掘
    削するダウンザホールドリルを有することを特徴とする
    請求項11記載の孔掘削装置。
  25. 【請求項25】 上記掘削具による地盤の掘削で生じた
    土砂を上記地盤の外部に排出する排土手段を備えたこと
    を特徴とする請求項12記載の孔掘削装置。
  26. 【請求項26】 上記排土手段を上記第2の掘削機の上
    記移動部に接続したことを特徴とする請求項25記載の
    孔掘削装置。
  27. 【請求項27】 上記排土手段が、空圧を利用して排土
    する手段、及び水圧を利用して排土する手段の少なくと
    も一方であることを特徴とする請求項25または26記
    載の孔掘削装置。
  28. 【請求項28】 上記ガイドロッドを分割可能に形成し
    たことを特徴とする請求項11記載の孔掘削装置。
  29. 【請求項29】 上記第2の掘削機を上記地盤の外部に
    撤去する撤去手段を備えたことを特徴とする請求項11
    記載の孔掘削装置。
  30. 【請求項30】 撤去手段が上記第2の掘削機に設けた
    把手と、この把手に係合させたワイヤーとを含むことを
    特徴とする請求項29記載の孔掘削装置。
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