JP2930791B2 - 地下壁施工方法 - Google Patents
地下壁施工方法Info
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、地下駐車場などの大深
度の地下壁を作成する施工方法に関する。
度の地下壁を作成する施工方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】地下壁を作成するに、従来では、山止め
壁で囲まれた地盤を、作成すべき地下壁下端の深さまで
掘削し、その後、地下壁を下部から構築する手段が採用
されていた。
壁で囲まれた地盤を、作成すべき地下壁下端の深さまで
掘削し、その後、地下壁を下部から構築する手段が採用
されていた。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】ところで、地下壁の作
成では、山止めを確実に行う上で、地盤掘削に伴って作
用する側圧（土圧）に抗して山止め壁を支持するための
切梁工事を行うが、上記従来の技術によるときは、作成
すべき地下壁下端の深さまで掘削して地下壁を下部から
作成するから、大深度の地下壁を作成する場合、山止め
壁のうち深さ方向の多数の箇所を腹起し、切梁で支持す
る必要があって、腹起し、切梁の使用数が多大となり、
工事費が高く付くことはもちろん、掘削底部への資材の
搬入を多層の切梁を避けて行わなければならないことに
より、作業性が悪いものであった。本発明の目的は、大
深度の地下壁であっても、安価に、しかも、作業性良く
地下壁を作成することができる施工方法を提供する点に
ある。
成では、山止めを確実に行う上で、地盤掘削に伴って作
用する側圧（土圧）に抗して山止め壁を支持するための
切梁工事を行うが、上記従来の技術によるときは、作成
すべき地下壁下端の深さまで掘削して地下壁を下部から
作成するから、大深度の地下壁を作成する場合、山止め
壁のうち深さ方向の多数の箇所を腹起し、切梁で支持す
る必要があって、腹起し、切梁の使用数が多大となり、
工事費が高く付くことはもちろん、掘削底部への資材の
搬入を多層の切梁を避けて行わなければならないことに
より、作業性が悪いものであった。本発明の目的は、大
深度の地下壁であっても、安価に、しかも、作業性良く
地下壁を作成することができる施工方法を提供する点に
ある。
【０００４】
【課題を解決するための手段】本発明の第１発明による
地下壁施工方法の特徴は、山止め壁を支持する支持状態
と昇降可能な支持解除状態とに切り替え自在な切梁本体
と、単位地下壁部分作成用の型枠とを備えた切梁装置を
予め準備し、山止め壁を単位地下壁部分の作成予定箇所
の下方位置で支持した状態でコンクリート打設により単
位地下壁部分を先に作成された単位地下壁部分の下端に
連なる状態に作成する作成工程と、その単位地下壁部分
の養生後に次の単位地下壁部分の作成箇所よりも下方に
まで掘削する掘削工程と、掘削後に前記切梁本体を支持
解除状態に切り替えて次の単位地下壁部分の作成予定箇
所の下方位置に前記切梁装置を下降させる転用移動工程
とをその記載順に設定回数繰り返すことにより、地下壁
を作成する点にある。
地下壁施工方法の特徴は、山止め壁を支持する支持状態
と昇降可能な支持解除状態とに切り替え自在な切梁本体
と、単位地下壁部分作成用の型枠とを備えた切梁装置を
予め準備し、山止め壁を単位地下壁部分の作成予定箇所
の下方位置で支持した状態でコンクリート打設により単
位地下壁部分を先に作成された単位地下壁部分の下端に
連なる状態に作成する作成工程と、その単位地下壁部分
の養生後に次の単位地下壁部分の作成箇所よりも下方に
まで掘削する掘削工程と、掘削後に前記切梁本体を支持
解除状態に切り替えて次の単位地下壁部分の作成予定箇
所の下方位置に前記切梁装置を下降させる転用移動工程
とをその記載順に設定回数繰り返すことにより、地下壁
を作成する点にある。
【０００５】本発明の第２発明による地下壁施工方法
は、前記切梁装置を構成するに、山止め壁を支持する支
持状態と昇降可能な支持解除状態とに切り替え自在な切
梁本体を設けると共に、型枠を介してその型枠で作成し
た単位地下壁部分を支持する支持状態と型枠とともに単
位地下壁部分から下降可能に離脱した支持解除状態とに
切り替え自在な型枠支持体を設け、それら切梁本体と型
枠支持体とを上下方向に相対的に位置変更移動自在に連
結する連結枠を設け、切梁本体と型枠支持体とを上下方
向に相対的に位置変更並びに固定する駆動手段を設けて
ある点にある。
は、前記切梁装置を構成するに、山止め壁を支持する支
持状態と昇降可能な支持解除状態とに切り替え自在な切
梁本体を設けると共に、型枠を介してその型枠で作成し
た単位地下壁部分を支持する支持状態と型枠とともに単
位地下壁部分から下降可能に離脱した支持解除状態とに
切り替え自在な型枠支持体を設け、それら切梁本体と型
枠支持体とを上下方向に相対的に位置変更移動自在に連
結する連結枠を設け、切梁本体と型枠支持体とを上下方
向に相対的に位置変更並びに固定する駆動手段を設けて
ある点にある。
【０００６】
【作用】第１発明によれば、切梁装置は、切梁本体に型
枠を備えてあるので、型枠と切梁本体とを一緒に下降さ
せることができる。つまり、地下壁を単位地下壁部分に
分けて、単位作成作業を上方から順に行うことにより、
単位地下壁部分を下方に順に継ぎ足して所定の深度の地
下壁を作成するのであって、山止め壁の掘削底部より上
方に位置する部分のうち、単位地下壁部分の作成で既に
内側に地下壁部分が作成されている部分はその既に作成
された地下壁部分で土圧に抗して支持することができ、
土圧に抗して別途支持する必要性がある支持対象は、掘
削底部と上方の既成地下壁部分の下端とのあいだにわた
る部分で済むから、単位地下壁部分の深さを適宜、選定
することにより、掘削により形成された単位地下壁部分
作成用の空間の上下方向の１箇所等少ない箇所で山止め
壁を支持できる。これによって、山止め壁を支持するた
めの腹起し、切梁の使用数が非常に少なくて済み、掘削
底部への資材の搬入を行い易い。しかも、各単位作業の
それぞれにおいて山止め壁を支持するに、支持状態と昇
降可能な支持解除状態とに切り替え自在な切梁本体を転
用して行うから、各単位作成作業のそれぞれで切梁、腹
起しの組み立て、解体が不要で、切梁工事を作業性良く
行える。その上、単位地下壁部分を作成する際には、そ
の作成箇所の近くに切梁本体が必ず位置することを有効
利用して、その切梁本体に単位地下壁部分作成用の型枠
を備えさせてあるから、その型枠も転用でき、型枠の解
体、移動、組み立てが不要である。第２発明によれば、
後述実施例でも説明するように、型枠支持体を支持状態
に、かつ、切梁本体を支持解除状態にして、型枠支持体
に対して切梁本体を下降させることと、切梁本体を支持
状態にし、かつ、型枠支持体を支持解除状態にして、切
梁本体に対して型枠支持体を下降させることとを繰り返
すことにより、切梁装置をそれ自体で尺取り虫式に下降
させることができるので、例えば、ワイヤで吊って切梁
装置を下降させる場合に比較して、切梁装置の下降作業
が簡単なもので済む。
枠を備えてあるので、型枠と切梁本体とを一緒に下降さ
せることができる。つまり、地下壁を単位地下壁部分に
分けて、単位作成作業を上方から順に行うことにより、
単位地下壁部分を下方に順に継ぎ足して所定の深度の地
下壁を作成するのであって、山止め壁の掘削底部より上
方に位置する部分のうち、単位地下壁部分の作成で既に
内側に地下壁部分が作成されている部分はその既に作成
された地下壁部分で土圧に抗して支持することができ、
土圧に抗して別途支持する必要性がある支持対象は、掘
削底部と上方の既成地下壁部分の下端とのあいだにわた
る部分で済むから、単位地下壁部分の深さを適宜、選定
することにより、掘削により形成された単位地下壁部分
作成用の空間の上下方向の１箇所等少ない箇所で山止め
壁を支持できる。これによって、山止め壁を支持するた
めの腹起し、切梁の使用数が非常に少なくて済み、掘削
底部への資材の搬入を行い易い。しかも、各単位作業の
それぞれにおいて山止め壁を支持するに、支持状態と昇
降可能な支持解除状態とに切り替え自在な切梁本体を転
用して行うから、各単位作成作業のそれぞれで切梁、腹
起しの組み立て、解体が不要で、切梁工事を作業性良く
行える。その上、単位地下壁部分を作成する際には、そ
の作成箇所の近くに切梁本体が必ず位置することを有効
利用して、その切梁本体に単位地下壁部分作成用の型枠
を備えさせてあるから、その型枠も転用でき、型枠の解
体、移動、組み立てが不要である。第２発明によれば、
後述実施例でも説明するように、型枠支持体を支持状態
に、かつ、切梁本体を支持解除状態にして、型枠支持体
に対して切梁本体を下降させることと、切梁本体を支持
状態にし、かつ、型枠支持体を支持解除状態にして、切
梁本体に対して型枠支持体を下降させることとを繰り返
すことにより、切梁装置をそれ自体で尺取り虫式に下降
させることができるので、例えば、ワイヤで吊って切梁
装置を下降させる場合に比較して、切梁装置の下降作業
が簡単なもので済む。
【０００７】
【発明の効果】従って本発明の第１発明によれば、型枠
と切梁本体とを一緒に下降させることができるので、大
深度の地下壁であっても、山止め壁を支持するための腹
起し、切梁といった資材の使用数が少なくて低コスト
で、かつ、作業性良く実施でき、しかも、単位地下壁部
分作成のための型枠工事も作業性良く行えて、全体とし
て、地下壁を作業性良く作成することができる。本発明
の第２発明によれば、加えて、切梁装置自体の下降作業
性が良くて、より一層、地下壁を作業性良く作成でき
る。
と切梁本体とを一緒に下降させることができるので、大
深度の地下壁であっても、山止め壁を支持するための腹
起し、切梁といった資材の使用数が少なくて低コスト
で、かつ、作業性良く実施でき、しかも、単位地下壁部
分作成のための型枠工事も作業性良く行えて、全体とし
て、地下壁を作業性良く作成することができる。本発明
の第２発明によれば、加えて、切梁装置自体の下降作業
性が良くて、より一層、地下壁を作業性良く作成でき
る。
【０００８】
【実施例】図４〜図８に示すように、地下駐車場など、
大深度の地下構造物の鉄筋コンクリート（普通コンクリ
ートや高強度コンクリートなど）造りの地下壁１を作成
する方法であって、先ずそれに使用する切梁装置Ａにつ
いて説明する。切梁装置Ａは、図１〜図３に示すよう
に、前記山止め壁２を支持する支持状態と昇降可能な支
持解除状態とに切り替え自在な切梁本体Ａ１と、地下壁
１を支持する支持状態と地下壁１から下降可能に離脱し
た支持解除状態とに切り替え自在な型枠支持体Ａ２と、
それら切梁本体Ａ１と型枠支持体Ａ２とを上下方向に相
対的に位置変更移動自在に連結する連結枠Ａ３と、切梁
本体Ａ１と型枠支持体Ａ２とを上下方向に相対的に位置
変更並びに固定する駆動手段Ａ４とからなる。前記切梁
本体Ａ１は、図２に示すように、伸縮並びに固定自在で
互いに間隔を隔てて平行に位置する複数の第１の切梁６
Ａ群と、同様に伸縮並びに固定自在で互いに間隔を隔て
て平行に位置する複数の第２の切梁６Ｂ群とを互いに直
交する姿勢で井桁状に固定連結し、前記第１の切梁６Ａ
の一端部同士及び他端部同士をそれぞれ連結する状態に
一対の第１の腹起し６Ｃを設け、前記第２の切梁６Ｂの
一端部同士及び他端部同士をそれぞれ連結する状態に一
対の第２の腹起し６Ｄを設けて構成されている。つま
り、切梁６Ａ，６Ｂを伸長固定して腹起し６Ｃ，６Ｄを
地下壁２に押し当てる支持状態と切梁６Ａ，６Ｂを短縮
して下降可能なように腹起し６Ｃ，６Ｄを地下壁２から
離間させた支持解除状態とに切り替え自在に構成されて
いる。前記第１の切梁６Ａ及び第２の切梁６Ｂは、とも
に、Ｈ型鋼材利用の切梁材６ａと、その長手方向の両端
にその長手方向に伸縮するように装着したジャッキ６ｂ
からなり、ジャッキ６ｂの伸縮で伸縮するものである。
前記型枠支持体Ａ２も、図３に示すように、切梁本体Ａ
１と同様に、基本的には、第１の切梁６Ａ、第２の切梁
６Ｂ、第１の腹起し６Ｃ、第２の腹起し６Ｄとからな
る。つまり、切梁６Ａ，６Ｂを伸長固定して腹起し６
Ｃ，６Ｄを地下壁１に押し当てる支持状態と切梁６Ａ，
６Ｂを短縮して下降可能なように腹起し６Ｃ，６Ｄを地
下壁１から離間させた支持解除状態とに切り替え自在に
構成されていて、切梁本体Ａ１とは、切梁６Ａ，６Ｂの
長さが短い点、第１の切梁６Ａに第２の６Ｂが載置固定
されている点で相違しているだけである。かつ、切梁装
置Ａは、地下壁１のうち設定深さの単位地下壁部分Ｕを
作成するための型枠Ｍを備えている。この型枠Ｍは、型
枠支持体Ａ２の腹起し６Ｃ，６Ｄに装着された内面形成
型部Ｍ１と、傾斜した下面形成姿勢と内面形成型部Ｍ１
と面一に位置した解除姿勢とに揺動自在にその内面形成
型部Ｍ１の下端に取り付けた下面形成型部Ｍ２とからな
る。つまり、型枠支持体Ａ２は、型枠Ｍを介して地下壁
１を押すことによりその地下壁１を支持するものであっ
て、支持解除により型枠Ｍは作成した単位地下壁部分Ｕ
から内方に脱型する。前記連結枠Ａ３は、４本の支柱４
と、それらを連結固定する繋ぎ材５とからなり、切梁本
体Ａ１の切梁６Ａ，６Ｂに固定連結し、型枠支持体Ａ２
の切梁６Ａ，６Ｂが形成するコーナー部に支柱４を上下
方向に摺動自在に当て付けている。前記駆動手段Ａ４
は、前記支柱４にラックギア７を形成し、型枠支持体Ａ
２にそのラックギア７に噛み合うピニオンギア８を付設
し、そのピニオンギア８を駆動するモータ９を設け、も
って、モータ９によるピニオンギア８の回転でラックギ
ア７を上下に移動させることにより、型枠支持体Ａ２を
切梁本体Ａ１に対して上下に移動するように構成されて
いる。施工方法をその手順に従って説明する。 （１）図４に示すように、地下構造物の構築予定箇所の
周囲に山止め壁２を作成する。山止め壁２は、ソイルパ
イル柱列壁や地下連続壁であり、図ではソイルコンクリ
ート２Ａに芯材２Ｂを挿入したものを示してある。そし
て、前記切梁本体Ａ１は、図示するように、山止め壁２
のソイルコンクリート２Ａではなくそのソイルコンクリ
ート２Ａのうち内側の削りで露呈した芯材２Ｂに腹起し
６Ｃ，６Ｄを当て付けるようになっており、芯材２Ｂが
下降時のガイドとなっている。図では、支持解除状態に
おいて腹起し６Ｃ，６Ｄが芯材２Ｂから大きく離間した
ように示してあるが、実際には、支持解除状態において
腹起し６Ｃ，６Ｄが芯材２Ｂに接触するかどうかの状態
にあり、摺動して下降するものである。もちろん、図示
するように、大きく隔てて位置して芯材２Ｂをガイドと
しなくて下降するものであっても良い。 （２）図４に示すように、地下壁１のうち最上部の単位
地下壁部分Ｕの作成を行えるように、山止め壁２で囲ま
れた地盤を設定深さにまで掘削し、その単位地下壁部分
Ｕの鉄筋Ｒをセットする。 （３）図５に示すように、切梁本体Ａ１で掘削底部に載
置する状態に切梁装置Ａをセットするとともに、その切
梁装置Ａの型枠支持体Ａ２を支持状態に切り替えて型枠
Ｍを作成位置にセットする。 （４）上記（３）の状態で型枠Ｍ内にコンクリートを打
設する。 （５）コンクリートの養生後（強度発現後）に、図６に
示すように、型枠支持体Ａ２で作成した単位地下壁部分
Ｕを介して山止め壁２を支持した状態で次の単位地下壁
部分Ｕの作成予定箇所よりも下方にまで掘削する。 （６）図６に示すように、切梁装置Ａを型枠支持体Ａ２
で山止め壁２に支持させた状態でその型枠支持体Ａ２に
対して切梁本体Ａ１を掘削底部の近くまで下降させる。 （７）図７に示すように、切梁本体Ａ１を支持状態に切
り替えて掘削底部近くで山止め壁２を支持する。 （８）図７に示すように、作成した単位地下壁部分Ｕの
下方部に次に作成すべき単位地下壁部分Ｕの鉄筋Ｒを搬
入してセットする。 （９）図８に示すように、型枠支持体Ａ２を支持解除状
態に切り替えて、型枠Ｍを作成した単位地下壁部分Ｕか
ら脱型したのち、型枠支持体Ａ２を切梁本体Ａ１に対し
て下降させて、次の単位地下壁部分Ｕの作成予定箇所に
セットする。なお、下降は、型枠Ｍのうち下面形成型部
Ｍ２を解除姿勢に切り替えて行い、下降後に下面形成姿
勢に切り替える。 （１０）その型枠Ｍ内にコンクリートを打設する。 （１１）上記（５）から（１０）の手順を設定回数繰り
返す。 以上の手順を実行することにより、設定深さの地下壁１
が上方の部分から順に継ぎ足し式に構築されることにな
る。そして、前記（７）〜（１０）の手順が、切梁装置
Ａより山止め壁２を単位地下壁部分Ｕの作成予定箇所の
下方位置で支持した状態でコンクリート打設により単位
地下壁部分Ｕを先に作成された単位地下壁部分Ｕの下端
に連なる状態に作成する作成工程であり、（５）の手順
が、単位地下壁部分Ｕの養生後に次の単位地下壁部分Ｕ
の作成予定箇所よりも下方にまで掘削する掘削工程であ
り、（６）の手順が、切梁本体Ａ１を支持解除状態に切
り替えて次の単位地下壁部分Ｕの作成予定箇所の下方位
置に下降させる転用移動工程である。上記実施例では、
最上部の単位地下壁部分Ｕの作成時、切梁装置Ａを掘削
底部に載置支持させたが、もちろん、切梁本体Ａ１を支
持状態に切り替えて山止め壁２に支持させても良い。上
記実施例では、切梁装置Ａとして、切梁本体Ａ１と型枠
支持体Ａ２とを備えて、それ自体で下降できるものを示
したが、切梁装置Ａは、切梁本体Ａ１のみからなるもの
であっても良い。つまり、切梁本体Ａ１と型枠Ｍとが一
体に連結されていれば良い。この場合、ワイヤなどでつ
り下げて下降させることになる。また、図９に示すよう
に、切梁６Ａ，６Ｂの並置数は自由である。つまり、地
下構造体の大きさによって切梁６Ａ，６Ｂの数、間隔を
適宜決定する。なお、駆動手段としては、上記実施例で
示したラック・アンド・ピニオンに代えて、油圧等のシ
リンダや、螺子送り機構など各種の駆動手段を用いるこ
とができる。
大深度の地下構造物の鉄筋コンクリート（普通コンクリ
ートや高強度コンクリートなど）造りの地下壁１を作成
する方法であって、先ずそれに使用する切梁装置Ａにつ
いて説明する。切梁装置Ａは、図１〜図３に示すよう
に、前記山止め壁２を支持する支持状態と昇降可能な支
持解除状態とに切り替え自在な切梁本体Ａ１と、地下壁
１を支持する支持状態と地下壁１から下降可能に離脱し
た支持解除状態とに切り替え自在な型枠支持体Ａ２と、
それら切梁本体Ａ１と型枠支持体Ａ２とを上下方向に相
対的に位置変更移動自在に連結する連結枠Ａ３と、切梁
本体Ａ１と型枠支持体Ａ２とを上下方向に相対的に位置
変更並びに固定する駆動手段Ａ４とからなる。前記切梁
本体Ａ１は、図２に示すように、伸縮並びに固定自在で
互いに間隔を隔てて平行に位置する複数の第１の切梁６
Ａ群と、同様に伸縮並びに固定自在で互いに間隔を隔て
て平行に位置する複数の第２の切梁６Ｂ群とを互いに直
交する姿勢で井桁状に固定連結し、前記第１の切梁６Ａ
の一端部同士及び他端部同士をそれぞれ連結する状態に
一対の第１の腹起し６Ｃを設け、前記第２の切梁６Ｂの
一端部同士及び他端部同士をそれぞれ連結する状態に一
対の第２の腹起し６Ｄを設けて構成されている。つま
り、切梁６Ａ，６Ｂを伸長固定して腹起し６Ｃ，６Ｄを
地下壁２に押し当てる支持状態と切梁６Ａ，６Ｂを短縮
して下降可能なように腹起し６Ｃ，６Ｄを地下壁２から
離間させた支持解除状態とに切り替え自在に構成されて
いる。前記第１の切梁６Ａ及び第２の切梁６Ｂは、とも
に、Ｈ型鋼材利用の切梁材６ａと、その長手方向の両端
にその長手方向に伸縮するように装着したジャッキ６ｂ
からなり、ジャッキ６ｂの伸縮で伸縮するものである。
前記型枠支持体Ａ２も、図３に示すように、切梁本体Ａ
１と同様に、基本的には、第１の切梁６Ａ、第２の切梁
６Ｂ、第１の腹起し６Ｃ、第２の腹起し６Ｄとからな
る。つまり、切梁６Ａ，６Ｂを伸長固定して腹起し６
Ｃ，６Ｄを地下壁１に押し当てる支持状態と切梁６Ａ，
６Ｂを短縮して下降可能なように腹起し６Ｃ，６Ｄを地
下壁１から離間させた支持解除状態とに切り替え自在に
構成されていて、切梁本体Ａ１とは、切梁６Ａ，６Ｂの
長さが短い点、第１の切梁６Ａに第２の６Ｂが載置固定
されている点で相違しているだけである。かつ、切梁装
置Ａは、地下壁１のうち設定深さの単位地下壁部分Ｕを
作成するための型枠Ｍを備えている。この型枠Ｍは、型
枠支持体Ａ２の腹起し６Ｃ，６Ｄに装着された内面形成
型部Ｍ１と、傾斜した下面形成姿勢と内面形成型部Ｍ１
と面一に位置した解除姿勢とに揺動自在にその内面形成
型部Ｍ１の下端に取り付けた下面形成型部Ｍ２とからな
る。つまり、型枠支持体Ａ２は、型枠Ｍを介して地下壁
１を押すことによりその地下壁１を支持するものであっ
て、支持解除により型枠Ｍは作成した単位地下壁部分Ｕ
から内方に脱型する。前記連結枠Ａ３は、４本の支柱４
と、それらを連結固定する繋ぎ材５とからなり、切梁本
体Ａ１の切梁６Ａ，６Ｂに固定連結し、型枠支持体Ａ２
の切梁６Ａ，６Ｂが形成するコーナー部に支柱４を上下
方向に摺動自在に当て付けている。前記駆動手段Ａ４
は、前記支柱４にラックギア７を形成し、型枠支持体Ａ
２にそのラックギア７に噛み合うピニオンギア８を付設
し、そのピニオンギア８を駆動するモータ９を設け、も
って、モータ９によるピニオンギア８の回転でラックギ
ア７を上下に移動させることにより、型枠支持体Ａ２を
切梁本体Ａ１に対して上下に移動するように構成されて
いる。施工方法をその手順に従って説明する。 （１）図４に示すように、地下構造物の構築予定箇所の
周囲に山止め壁２を作成する。山止め壁２は、ソイルパ
イル柱列壁や地下連続壁であり、図ではソイルコンクリ
ート２Ａに芯材２Ｂを挿入したものを示してある。そし
て、前記切梁本体Ａ１は、図示するように、山止め壁２
のソイルコンクリート２Ａではなくそのソイルコンクリ
ート２Ａのうち内側の削りで露呈した芯材２Ｂに腹起し
６Ｃ，６Ｄを当て付けるようになっており、芯材２Ｂが
下降時のガイドとなっている。図では、支持解除状態に
おいて腹起し６Ｃ，６Ｄが芯材２Ｂから大きく離間した
ように示してあるが、実際には、支持解除状態において
腹起し６Ｃ，６Ｄが芯材２Ｂに接触するかどうかの状態
にあり、摺動して下降するものである。もちろん、図示
するように、大きく隔てて位置して芯材２Ｂをガイドと
しなくて下降するものであっても良い。 （２）図４に示すように、地下壁１のうち最上部の単位
地下壁部分Ｕの作成を行えるように、山止め壁２で囲ま
れた地盤を設定深さにまで掘削し、その単位地下壁部分
Ｕの鉄筋Ｒをセットする。 （３）図５に示すように、切梁本体Ａ１で掘削底部に載
置する状態に切梁装置Ａをセットするとともに、その切
梁装置Ａの型枠支持体Ａ２を支持状態に切り替えて型枠
Ｍを作成位置にセットする。 （４）上記（３）の状態で型枠Ｍ内にコンクリートを打
設する。 （５）コンクリートの養生後（強度発現後）に、図６に
示すように、型枠支持体Ａ２で作成した単位地下壁部分
Ｕを介して山止め壁２を支持した状態で次の単位地下壁
部分Ｕの作成予定箇所よりも下方にまで掘削する。 （６）図６に示すように、切梁装置Ａを型枠支持体Ａ２
で山止め壁２に支持させた状態でその型枠支持体Ａ２に
対して切梁本体Ａ１を掘削底部の近くまで下降させる。 （７）図７に示すように、切梁本体Ａ１を支持状態に切
り替えて掘削底部近くで山止め壁２を支持する。 （８）図７に示すように、作成した単位地下壁部分Ｕの
下方部に次に作成すべき単位地下壁部分Ｕの鉄筋Ｒを搬
入してセットする。 （９）図８に示すように、型枠支持体Ａ２を支持解除状
態に切り替えて、型枠Ｍを作成した単位地下壁部分Ｕか
ら脱型したのち、型枠支持体Ａ２を切梁本体Ａ１に対し
て下降させて、次の単位地下壁部分Ｕの作成予定箇所に
セットする。なお、下降は、型枠Ｍのうち下面形成型部
Ｍ２を解除姿勢に切り替えて行い、下降後に下面形成姿
勢に切り替える。 （１０）その型枠Ｍ内にコンクリートを打設する。 （１１）上記（５）から（１０）の手順を設定回数繰り
返す。 以上の手順を実行することにより、設定深さの地下壁１
が上方の部分から順に継ぎ足し式に構築されることにな
る。そして、前記（７）〜（１０）の手順が、切梁装置
Ａより山止め壁２を単位地下壁部分Ｕの作成予定箇所の
下方位置で支持した状態でコンクリート打設により単位
地下壁部分Ｕを先に作成された単位地下壁部分Ｕの下端
に連なる状態に作成する作成工程であり、（５）の手順
が、単位地下壁部分Ｕの養生後に次の単位地下壁部分Ｕ
の作成予定箇所よりも下方にまで掘削する掘削工程であ
り、（６）の手順が、切梁本体Ａ１を支持解除状態に切
り替えて次の単位地下壁部分Ｕの作成予定箇所の下方位
置に下降させる転用移動工程である。上記実施例では、
最上部の単位地下壁部分Ｕの作成時、切梁装置Ａを掘削
底部に載置支持させたが、もちろん、切梁本体Ａ１を支
持状態に切り替えて山止め壁２に支持させても良い。上
記実施例では、切梁装置Ａとして、切梁本体Ａ１と型枠
支持体Ａ２とを備えて、それ自体で下降できるものを示
したが、切梁装置Ａは、切梁本体Ａ１のみからなるもの
であっても良い。つまり、切梁本体Ａ１と型枠Ｍとが一
体に連結されていれば良い。この場合、ワイヤなどでつ
り下げて下降させることになる。また、図９に示すよう
に、切梁６Ａ，６Ｂの並置数は自由である。つまり、地
下構造体の大きさによって切梁６Ａ，６Ｂの数、間隔を
適宜決定する。なお、駆動手段としては、上記実施例で
示したラック・アンド・ピニオンに代えて、油圧等のシ
リンダや、螺子送り機構など各種の駆動手段を用いるこ
とができる。
【０００９】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。
【図１】要部の縦断面図
【図２】要部の横断平面図
【図３】要部の横断平面図
【図４】施工手順を示す縦断面図
【図５】施工手順を示す縦断面図
【図６】施工手順を示す縦断面図
【図７】施工手順を示す縦断面図
【図８】施工手順を示す縦断面図
【図９】別実施例を示す平面図
１ 地下壁 ２ 山止め壁 Ｕ 単位地下壁部分 Ａ 切梁装置 Ｍ 型枠 Ａ１ 上部切梁装置 Ａ２ 下部切梁装置 Ａ３ 連結枠 Ａ４ 駆動手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西川 公三 大阪府大阪市中央区本町四丁目１番13号 株式会社竹中工務店 大阪本店内 (58)調査した分野(Int.Cl.6，ＤＢ名) E02D 29/045 E02D 17/04
Claims (2)
- 【請求項１】 山止め壁を支持する支持状態と昇降可能
な支持解除状態とに切り替え自在な切梁本体と、単位地
下壁部分作成用の型枠とを備えた切梁装置を予め準備
し、山止め壁を単位地下壁部分の作成予定箇所の下方位
置で支持した状態でコンクリート打設により単位地下壁
部分を先に作成された単位地下壁部分の下端に連なる状
態に作成する作成工程と、その単位地下壁部分の養生後
に次の単位地下壁部分の作成箇所よりも下方にまで掘削
する掘削工程と、掘削後に前記切梁本体を支持解除状態
に切り替えて次の単位地下壁部分の作成予定箇所の下方
位置に前記切梁装置を下降させる転用移動工程とをその
記載順に設定回数繰り返すことにより、地下壁を作成す
る地下壁施工方法。 - 【請求項２】 前記切梁装置を構成するに、山止め壁を
支持する支持状態と昇降可能な支持解除状態とに切り替
え自在な切梁本体を設けると共に、型枠を介してその型
枠で作成した単位地下壁部分を支持する支持状態と型枠
とともに単位地下壁部分から下降可能に離脱した支持解
除状態とに切り替え自在な型枠支持体を設け、それら切
梁本体と型枠支持体とを上下方向に相対的に位置変更移
動自在に連結する連結枠を設け、切梁本体と型枠支持体
とを上下方向に相対的に位置変更並びに固定する駆動手
段を設けてある請求項１記載の地下壁施工方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3347060A JP2930791B2 (ja) | 1991-12-27 | 1991-12-27 | 地下壁施工方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3347060A JP2930791B2 (ja) | 1991-12-27 | 1991-12-27 | 地下壁施工方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05179665A JPH05179665A (ja) | 1993-07-20 |
| JP2930791B2 true JP2930791B2 (ja) | 1999-08-03 |
Family
ID=18387650
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP3347060A Expired - Fee Related JP2930791B2 (ja) | 1991-12-27 | 1991-12-27 | 地下壁施工方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2930791B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP6422084B2 (ja) * | 2016-07-12 | 2018-11-14 | 株式会社 Ｓｈｏｗａ | 地下空間構築方法 |
| JP6768477B2 (ja) * | 2016-12-07 | 2020-10-14 | 鹿島建設株式会社 | 地下構造体の構築方法 |
-
1991
- 1991-12-27 JP JP3347060A patent/JP2930791B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH05179665A (ja) | 1993-07-20 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |