JP2956554B2 - 支柱の支持部構造および支柱の盛り替え方法 - Google Patents

支柱の支持部構造および支柱の盛り替え方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、主に建設工事な
どでクレーンや仮設屋根などを支持するために建て付け
られる支柱を支持する支柱の支持部構造およびその盛り
替え方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】建設工事などにおいて、クレーンや仮設
屋根などを支持する支柱(サポート)を建て付ける方法
として、例えば躯体に係止できるような支持金具を支柱
に突設し、この支持金具を躯体にアンカー部材などによ
って固定したり、あるいは躯体に係留された支持金具に
支柱を直接固定する方法などが一般に知られている。
【0003】また、工事の進行と共に、支柱を上階へと
順次盛り替できるように建て付ける方法としては、コン
クリートの床スラブに支柱を通す支柱建て込み孔を形成
し、この支柱建て込み孔の近くに支柱を支持する支持金
具を取り付け、支柱を昇降装置によって所定高さまで押
し上げた後、この支持金具に支柱をピンやクランプによ
って固定する方法が一般に知られている。
【0004】さらに、複数階の床スラブに支柱を貫通さ
せて建て付ける方法としては、支柱を支持する支持金具
を各階の床スラブにアンカー部材を介して固定したり、
各階の床スラブに支柱を通すガイドスリーブや、支柱を
支持する支持金具を埋設して行うこともある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記に述べた
何れの場合においても、支柱を鉛直、水平ともに支持す
る支持金具を床スラブなどの躯体にアンカー部材によっ
て固定する必要があり、そのためには、床スラブのコン
クリートが充分な強度を発現してからでないとできない
ため、工事の停滞が避けられないなどの課題があった。
【0006】かといって、強度的に安全な、支柱から遠
く離された位置にアンカー部材によって固定したり、自
重で水平方向のずれを止めたりするとすれば、支柱を支
持する支持金具が大型化して、取り付けが面倒になるだ
けでなく、支持金具が他の工事の妨げになるなどの課題
があった。
【0007】この発明は、以上の課題を解決するために
なされたもので、支柱を確実に支持でき、かつ、上階へ
の盛り替えを効率的に行えるようにした支柱の支持部構
造およびその盛り替え方法を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明に係る請求項第
1項記載の支柱の支持部構造は、複数階の床スラブにそ
れぞれ形成された支柱建て込み孔を連続貫通して建て付
けられる支柱と、前記床スラブの上に前記支柱建て込み
孔に近接して設置され、前記支柱を支持する支柱鉛直支
持金具と、前記支柱建て込み孔内に設置され、前記支柱
を支持する支柱水平支持金具と、前記支柱の上端部に取
り付けられ、前記床スラブの上に新たに構築される床ス
ラブに支柱建て込み孔を形成する支柱建て込み孔成形型
枠と、前記床スラブに設置され、前記支柱を昇降する着
脱自在な支柱昇降装置とを備えて構成されている。
【0009】この発明に係る請求項第2項、第3項およ
び第4項記載の支柱の支持部構造は、前項において、そ
れぞれ建て込み孔成形型枠が逆裁頭四角錐台形状に構成
され、支柱水平支持金具が支柱を通す通し孔を有して逆
裁頭四角錐台形状に構成され、かつ、支柱水平支持金具
が二つに分割して構成されている。
【0010】この発明に係る請求項第2項記載の支柱の
盛り替え方法は、複数階の床スラブにそれぞれ形成され
た支柱建て込み孔を連続貫通して建て付けられる支柱
と、前記床スラブの上に前記支柱建て込み孔に近接して
設置され、前記支柱を支持する支柱鉛直支持金具と、前
記支柱建て込み孔に設置され、前記支柱を支持する支柱
水平支持金具と、前記支柱の上端部に取り付けられ、前
記床スラブの上に新たに構築される床スラブに支柱建て
込み孔を形成する支柱建て込み孔成形型枠と、前記床ス
ラブに設置され、前記支柱を昇降する着脱自在な支柱昇
降装置とを備え、前記支柱を前記支柱昇降装置によって
前記床スラブの支柱建て込み孔内を昇降させて前記支柱
を盛り替えることを特徴とする。
【0011】この発明に係る請求項第6項、第7項およ
び第8項記載の支柱の盛り替え方法は、5項において、
それぞれ建て込み孔成形型枠が逆裁頭四角錐台形状に構
成され、支柱水平支持金具が支柱を通す通し孔を有して
逆裁頭四角錐台形状に構成され、かつ、支柱水平支持金
具が二つに分割して構成されている。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態例1.図1〜図4は、この発明に係る請求項
第1、第2項および第3項記載の支柱の支持部構造の実
施の一形態例を示し、図において、符号1aおよび1bは鉄
筋コンクリートによって構築され、所定の養生期間を経
て一定の強度を有する床スラブ、1cは床スラブ1bの上に
床スラブ1aおよび1bと同様に鉄筋コンクリートによって
新たに構築される床スラブ、そして、符号2は床スラブ
1bの上に組み立てられ、床スラブ1cを構築ための床型枠
である。
【0013】また、符号3は床スラブ1aおよび1bにそれ
ぞれ形成され、後述する支柱を建て込む支柱建て込み
孔、4は床スラブ1aおよび1bの支柱建て込み孔3を貫通
して建て付けられ、床スラブ1cの上に仮設される仮設屋
根などを支持する支柱、5はこの支柱4の上端部に取り
付けられ、床スラブ1cに建て込み孔3aを形成する建て込
み孔成形型枠、6は床スラブ1aおよび1bの上に支柱建て
込み孔3に近接してそれぞれ設置され、支柱4を支持す
る支柱鉛直支持金具、7は床スラブ1a又は1b、あるいは
構築後の床スラブ1cの上に設置され、支柱4を真上に押
し上げて上階へと順次盛り替える支柱昇降装置、そし
て、符号8は床スラブ1a,1b および1cの建て込み孔3内
にそれぞれ取り付けられ、支柱4を真上に押し上げる際
に、および通常時に支柱4を鉛直に保持するために、支
柱4を水平方向に移動しないように支持すると共に、支
柱3によって床スラブ1a,1b および1cが破損されるのを
防止する支柱水平支持金具である。
【0014】支柱4は使用に際して強度上の方向性がな
く強度的に有利な角形鋼管又は円形鋼管より形成されて
いる。また、支柱4は複数階(実施例では床スラブ1a,1
b および1c間にわたっている)に渡って連続する一本の
支柱として建て付けられるように適宜継ぎ足して延長で
きるように構成されている。
【0015】建て込み孔成形型枠5は脱型する際にコン
クリートが付着することなく容易に脱型しやすいよう
に、また、後の支柱水平支持金具8が支柱建て込み孔3
の大きさ、スラブ厚を問わず、自重によって支柱4と所
定のクリアランスを保つようにセットできるように逆裁
頭四角錐台形状又は逆裁頭円錐台形状に構成されている
(実施例では逆裁頭四角錐台形状に形成されている(図
2参照))。
【0016】また、建て込み孔成形型枠5は支柱4の上
端部に、床スラブ1cの階高と一致させてセットできるよ
うに取り付けられている。さらに、建て込み孔成形型枠
5は水洗いや運搬などに際して取り扱いが容易なように
着脱自在に取り付けられている。
【0017】支柱鉛直支持金具6は溝形鋼などからなる
複数本の骨組部材6aと6bを、支柱建て込み孔3を囲包す
るように井桁状に組み立て、かつ、簡単に組み立ておよ
び分解ができるようにボルト止めするなどして構成され
ており、特に床スラブに固定されることなく設置されて
いる(図3参照)。そして、支柱4はこの支柱鉛直支持
金具6および各階の支柱建て込み孔3に建て込まれ、か
つ、支柱4および支柱鉛直支持金具6に形成されたピン
孔9に固定ピン10を差し込んで支柱鉛直支持金具6に固
定されている(図3参照)。
【0018】支柱昇降装置7は特に支柱4を水平に固定
することなく支柱4の側部を把持又は引っ掛けて油圧式
又はギア式によって支柱4を真上に押し上げられるよう
に構成されている。また、支柱昇降装置7は1台ないし
数台で全ての支柱4に使用できるようになっている。
【0019】支柱水平支持金具8は支柱4を通すための
通し孔8aを有し、かつ、支柱建て込み孔5内に上から落
とし込んで簡単に設置できるように逆裁頭四角錐台形状
に構成されている。また、支柱水平支持金具8は支柱建
て込み孔5内に、支柱建て込み孔3に支柱4が建て込ま
れたままでも設置できるように、二つに分割され、簡単
に組み立てられるように構成されている(図4(b) 参
照)。さらに、支柱水平支持金具8は床スラブ厚の大小
を問わず、また、支柱建て込み孔3の大小を問わず、支
柱4を決まったクリアランスに保って、スライド自在に
支持できるように支柱建て込み孔3内に自重によってが
たつくことなくセットされている(図4(c),(d) 参
照)。
【0020】実施の形態例2.次に、この発明に係る請
求項第2項記載の支柱の盛り替え方法を、図5(a),(b),
(c),(d),(e) に基いて説明する。
【0021】 最初に、支柱4を床スラブ1aおよび1b
の支柱建て込み孔3に建て込み、かつ、支柱建て込み孔
成形型枠5を床スラブ1cの床型枠2の上にセットする。
【0022】また、床スラブ1aおよび1bの支柱建て込み
孔3内に支柱水平支持金具8をそれぞれセットする。そ
して、支柱4および支柱鉛直支持金具6のピン孔9に固
定ピン10を差し込んで支柱4を固定する(図5(a) 参
照)。
【0023】なお、支柱鉛直支持金具6は床スラブ1a又
は1bの一方でもよいが、支柱4の軸力が相当重い場合に
は、両方にセットするものとする。
【0024】 次に、床型枠2の上に補強鉄筋(図省
略)を配筋し、続いて床型枠2の上および建て込み孔成
形型枠5の周囲にコンクリート11を打設して床スラブ1c
を構築する(図5(b) 参照)。
【0025】 次に、コンクリート11がある程度硬化
したら、支柱建て込み孔成形型枠5を真上に持ち上げて
脱型し(図5(c) 参照)、この支柱建て込み孔成形型枠
5を脱型することにより床スラブ1cに形成された支柱建
て込み孔3内に支柱水平支持金具8を組み立ててセット
する(図5(d) 参照)。
【0026】さらに、床スラブ1cの上に支柱鉛直支持金
具6を支柱4を囲包するように組み立ててセットし、こ
の支柱鉛直支持金具6の上に支柱昇降装置7をセットす
る(図5(d) 参照)。そして、この支柱昇降装置7によ
って支柱4を仮支持する。
【0027】 次に、床スラブ1aおよび1bの上にセッ
トされた支柱鉛直支持金具6のピン孔9から固定ピン10
を引き抜いて、支柱鉛直支持金具6から支柱4を切り離
す。
【0028】 次に、支柱昇降装置7を駆動して支柱
4を真上に押し上げる(図5(e) 参照)。そして、支柱
建て込み孔成形型枠5が床スラブ1cの上に新たに構築さ
れる床スラブ1dの位置まで支柱4を押し上げることがで
きたら、支柱4を鉛直支持金具6に再び固定して支柱3
の盛り替えを完了する。
【0029】なお、床スラブ1aおよび1bの支柱建て込み
孔3は、支柱4が通り抜けた後に埋める。以下、〜
の工程を最上階まで繰り返し行って全階の床スラブを構
築する。
【0030】
【発明の効果】この発明に係る支柱の支持部構造は、以
上説明した構成からなり、複数階の床スラブにそれぞれ
形成された支柱建て込み孔を連続貫通して建て付けられ
る支柱と、前記床スラブの上に前記支柱建て込み孔に近
接して設置され、前記支柱を支持する支柱鉛直支持金具
と、複数階の前記支柱建て込み孔に設置され、前記支柱
を支持する支柱水平支持金具と、前記支柱の上端部に取
り付けられ、前記床スラブの上に新たに構築される床ス
ラブに支柱建て込み孔を形成する支柱建て込み孔成形型
枠と、前記床スラブに設置され、前記支柱を真上に押し
上げる支柱昇降装置とを備えて構成され、特に、支柱は
床スラブの上に前記支柱建て込み孔に近接して設置され
た支柱鉛直支持金具と、支柱建て込み孔に設置された逆
裁頭四角錐台形状の支柱水平支持金具とによって支持さ
れているので、打設直後のコンクリートが充分な強度を
有しなくとも、支柱を確実・強固に鉛直に支持できる効
果がある。
【0031】また、支柱水平支持金具は逆裁頭四角錐台
形状に構成されているので、スラブ厚や支柱建て込み孔
の大小を問わず、支柱との間に所定のクリアランスを保
つように自重のみで精度よくセットできる効果がある。
【0032】また、この発明に係る支柱の盛り替え方法
は、支柱を支柱昇降装置によって各階の床スラブに形成
された支柱建て込み孔内を真上に押し上げることによっ
て順次上階へと盛り替えるので、きわめて効率的に支柱
の盛り替えを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】支柱の支持状態を示す側面図である。
【図2】支柱建て込み孔成形型枠を示す斜視図である。
【図3】支柱鉛直支持金具を示す斜視図である。
【図4】(a) は支柱水平支持金具を示す斜視図、(b) は
その分解斜視図、(c) 及び(d)はその設置状態を示す縦
断面図である。
【図5】(a),(b),(c),(d),(e) は支柱の盛り替え方法を
示す工程図である。
【符号の説明】
1a,1b,1c,1d …床スラブ、2…床型枠、3…支柱建て込
み孔、4…支柱、5…建て込み孔成形型枠、6…支柱鉛
直支持金具、7…支柱昇降装置、8…支柱水平支持金
具、9…ピン孔、10…固定ピン、11…コンクリート。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数階の床スラブにそれぞれ形成された
    支柱建て込み孔を連続貫通して建て付けられる支柱と、
    前記床スラブの上に前記支柱建て込み孔に近接して設置
    され、前記支柱を支持する支柱鉛直支持金具と、前記支
    柱建て込み孔内に設置され、前記支柱を支持する支柱水
    平支持金具と、前記支柱の上端部に取り付けられ、前記
    床スラブの上に新たに構築される床スラブに支柱建て込
    み孔を形成する支柱建て込み孔成形型枠と、前記床スラ
    ブに設置され、前記支柱を昇降させる支柱昇降装置とを
    備えてなることを特徴とする支柱の支持部構造。
  2. 【請求項2】 建て込み孔成形型枠は逆裁頭四角錐台形
    状に構成してなることを特徴とする請求項第1項記載の
    支柱の支持部構造。
  3. 【請求項3】 支柱水平支持金具は支柱を通す通し孔を
    有し、かつ、逆裁頭四角錐台形状に構成してなることを
    特徴とする請求項第1項又は第2項記載の支柱の支持部
    構造。
  4. 【請求項4】 支柱水平支持金具は二つに分割して構成
    してなることを特徴とする請求項第1項、第2項又は第
    3項記載の支柱の支持部構造。
  5. 【請求項5】 複数階の床スラブにそれぞれ形成された
    支柱建て込み孔を連続貫通して建て付けられる支柱と、
    前記床スラブの上に前記支柱建て込み孔に近接して設置
    され、前記支柱を支持する支柱鉛直支持金具と、前記支
    柱建て込み孔内に設置され、前記支柱を支持する支柱水
    平支持金具と、前記支柱の上端部に取り付けられ、前記
    床スラブの上に新たに構築される床スラブに支柱建て込
    み孔を形成する支柱建て込み孔成形型枠と、前記床スラ
    ブに設置され、前記支柱を昇降する支柱昇降装置とを備
    え、前記支柱を前記支柱昇降装置によって前記床スラブ
    の支柱建て込み孔内を昇降させて前記支柱を盛り替える
    ことを特徴とする支柱の盛り替え方法。
  6. 【請求項6】 建て込み孔成形型枠は逆裁頭四角錐台形
    状に構成してなることを特徴とする請求項第5項記載の
    支柱の盛り替え方法。
  7. 【請求項7】 支柱水平支持金具は支柱を通す通し孔を
    有し、かつ、逆裁頭四角錐台形状に構成してなることを
    特徴とする請求項第5項又は第6項記載の支柱の支柱の
    盛り替え方法。
  8. 【請求項8】 支柱水平支持金具は二つに分割して構成
    してなることを特徴とする請求項第5項、第6項又は第
    7項記載の支柱の盛り替え方法。
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