JP2930404B2 - 銀含有抗菌性繊維体 - Google Patents

銀含有抗菌性繊維体

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JP2930404B2 JP2325748A JP32574890A JP2930404B2 JP 2930404 B2 JP2930404 B2 JP 2930404B2 JP 2325748 A JP2325748 A JP 2325748A JP 32574890 A JP32574890 A JP 32574890A JP 2930404 B2 JP2930404 B2 JP 2930404B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、抗菌性繊維体ならびに抗菌性および導電性
を有する繊維体に関する。本発明の製品はガーゼ、包
帯、マスク、ふきんや化粧用スポンジ等の日用品、靴の
中敷き、靴下、手袋あるいは病院着、手術着等の抗菌性
を必要とする衣服等、寝具カバーやシート等のリネン用
品、じゅうたん、風呂場マットやペット用マット等の敷
物類、食品容器や食品包装等の材料、エアーフィルター
やエアーダクト等の空調設備用材料、冷蔵庫・エアコン
等のドレイン、浄水機、浄水槽、浴槽、プール等の瀘過
材料、溜水部あるいは配管部など水と接触する部分の材
料として、また更に、導電クロスとして上記の他、電磁
波シールド材、電波反射材、帯電防止材、電極材料とし
ても有用である。
〔従来の技術〕
繊維体に抗菌性を付与するために、従来次のような種
々の方法が試みられてきた。
イ. 有機繊維あるいは繊維体自体に有機系抗菌剤を含
浸させ、抗菌効果を付与する方法。
ロ. 有機繊維あるいは繊維自体に銀イオンを担持さ
せ、抗菌効果を付与する方法。
ハ. 有機繊維あるいは繊維体にCuやCuSを含有させて
抗菌効果を付与する方法。
〔発明が解決すべき課題〕
ところが、有機系抗菌剤を用いる方法(上記イ)は、
抗菌剤を有機繊維あるいは繊維体に含浸させているため
抗菌剤の溶出量が多く、毒性および抗菌作用の持続性に
問題がある。銀イオンを担持させる方法(上記ロ)とし
ては、抗菌性ゼオライトを添加した樹脂成形体が挙げら
れる(特開昭62−241939)。これは、銀イオンが強い抗
菌性を有することに着目し、ゼオライト骨格中に銀イオ
ンを添着し、得られた含銀イオンゼオライトをポリオレ
フィン系樹脂材等に添加する。しかし、含銀イオンゼオ
ライト粉末は、銀イオンの溶出性に問題がある。つま
り、銀をイオンの形で担持しているため、金属よりも水
中への溶出の割合が高く、また溶出の速度も大きいため
安定性(抗菌作用の持続)に問題がある。また、樹脂と
の成形体にした際、銀イオンを担持させたゼオライトが
樹脂に遮へいされ、水相中の銀イオン濃度が下がり過
ぎ、抗菌作用が低下してしまう場合がある。CuやCuSを
含有させる方法(上記ハ)は、Cu被覆やCuS被覆に問題
がある。Cu被覆した繊維体を長時間保持しておくと、被
覆表面が酸化して黒くなり、被覆表面が剥離してしまう
ために、耐久性に問題があるし、白色や着色を必要とす
る製品には使用できない。CuS被覆した繊維体は、漂白
剤と反応して溶解するので洗濯に対して耐久性が悪い。
以上のような欠点を改善すべく鋭意努力を重ねた結
果、本発明者等は、殺菌性に優れると共にその調製が容
易であり、しかも安全で耐久性に優れ、白色であるが故
に着色性を有する銀含有繊維体を作製し、これを抗菌、
帯電防止および電磁シールド効果を有する内装建材用不
織布として特許出願した。(特願平2−226676号、特開
平4−109698号)。本発明者はさらにこの繊維体が建材
用途に限定されることなく、前記一般的用途の抗菌性繊
維体として利用可能な、特異な水溶出性を有することに
着目して本発明に至った。本発明の如く、金属状態の銀
の被覆体から銀イオンを広い濃度範囲にわたって持続的
に水中に溶出させることのできる耐久抗菌性繊維体は知
られていない。
〔課題解決についての知見〕
すなわち、本発明者らは、さらに銀含有繊維製品につ
いて研究を続けたところ、銀被覆繊維を未被覆の繊維と
混合ることによって、水中での銀イオン溶出量(試料10
gを25℃の水1に浸漬した時の銀イオン溶出量、以下
同じ)を1ppb〜1ppm/24時間の範囲内で制御でき、しか
も制御された銀イオン溶出量を長期間持続して保つこと
が可能であり、すぐれた抗菌性を長期間一定に維持でき
ることを見出した。
〔課題解決の手段・発明の構成〕
ここに本発明は、銀被覆有機繊維のみ、または銀被覆
有機繊維と銀を被覆していない有機繊維との混合物を加
工した繊維体からなる銀含有抗菌性繊維体であって、前
記2種類の繊維の混合比により水中銀イオン溶出量(試
料10gを25℃の水1中に24時間浸漬した時の値)を1pp
b〜1ppmの範囲内で持続して制御したことを特徴とする
銀含有抗菌性繊維体である。
すなわち、本発明の銀含有抗菌性繊維体は金属状態の
銀を含有した繊維製品であって、具体的には、銀被覆有
機繊維を含む有機繊維を繊維製品に加工したものであ
る。銀そのものの抗菌性は微弱であり、一般に衣類等に
銀そのものからなる繊維を用いて大きな効果は期待でき
ないが、本発明の銀被覆繊維では、金属銀のみからなる
繊維とは異なり溶出の生じやすい表面構造をしているこ
と、また、現実的な銀使用量で大きな比表面積を持たせ
ることが可能であるため、これに接触する水中に抗菌能
力の高い銀イオン有効量を放出させることが可能になる
ものと推定される。このため、用途に応じて外部からも
たらされる水分により、適度な抗菌力を有する銀イオン
溶解液が被覆繊維上に生じる。
ここに繊維体とは、繊維を紡糸した糸、繊維または糸
尾の織布製品、不織製品(フェルトを含む)、及びニッ
ト製品を意味し、各製品は一次加工品(即ち、布帛状)
と二次加工品(布帛をさらに加工したもの)の両者を含
む。
本発明の銀含有抗菌性繊維体は、銀を被覆した有機繊
維と銀を被覆していない有機繊維を任意の割合で混合し
た後に繊維体に加工することによって得られる。繊維体
中の銀を被覆した繊維の混合比を変化させることにより
銀の溶出の割合を制御できる。しかも、繊維体内に均一
にしかも安定に銀を含有させることができるので、抗菌
性が均一に保持される。すなわち、同一の使用条件で
は、本発明の繊維体よりの銀イオンの溶出老は単位重量
当たりの銀の露出面積の関数である。本発明の繊維体に
おける銀の露出面積は、単位重量当たりの銀を被覆した
繊維の混合比を選ぶことにより容易に制御できることに
気付き実証したことが本発明の要点である。
本発明に用いられ有機繊維とは、天然及び合成の有機
物繊維、すなわち綿、麻、再生セルロース、ポリアミ
ド、アクリル、ポリオレフィン、ポリエステル等の繊維
である。有機繊維の太さは、0.1〜15d(デニール)が好
ましい。0.1dより細いと銀の被覆量を多く必要として経
済的でなく、また15dより太いと繊維が硬くなり可撓性
が失われる。
有機繊維に金属銀を被覆する方法は、繊維を無電解め
っき法、真空蒸着法などによって銀で被覆することであ
り、均一性、量産性、経済性について考慮すると、無電
解めっき法により銀を被覆する方法が好ましい。銀の被
覆量は任意に選択することができる。好ましい銀含有量
は10重量%から30重量%である。10重量%未満では繊維
を充分に被覆できず、また30重量%を越えると繊維全体
の比重が大きくなるうえ抗菌効果も頭打ちとなるので好
ましくない。めっき液中の銀イオンはすべて還元析出さ
れるので、繊維の量に対し、被覆量に相当する量の銀イ
オンを含むめっき液を使用することにより希望の被覆量
を得ることができる。
この銀被覆有機繊維を、銀を被覆していない有機繊維
と任意の割合で混合して繊維体に加工する。本発明の繊
維体とは、有機繊維を加工して得られたものあるいはそ
れを2次以上に加工したもの、即ち、有機繊維を紡糸し
て得られた糸やその糸を織布にしたもの、あるいは有機
繊維を不織布加工した1次加工品やそれらを利用して成
形した2次以上の加工品を含む。
本発明の銀含有抗菌性繊維体の水中での銀イオン溶出
量は、銀被覆有機繊維と銀を被覆していない有機繊維と
の混合比によって制御されるが、その制御範囲は1ppb以
上1ppm以下/24時間に制御することが必要で、銀イオン
濃度が1ppbより少ないと、溶出銀による殺菌効果が小さ
く実際上効果が現れない。一方、銀イオン濃度が1ppmよ
り多いと、溶出銀により環境上の問題が生じる可能性が
あり好ましくない。この範囲で用とに応じ人体に害のな
い範囲を選択して種々の分野に応用できる。
〔発明の具体的開示〕
実施例および比較例 本発明の実施例を比較例と共に以下に示す。なお、以
下の実施例は本発明の範囲を限定するものでない。
実施例1 アクリル繊維(1.5d×38mm)を精錬剤に浸漬、水洗
後、塩化第一スズ10g/l、塩酸20ml/lを含んだ水溶液に1
hr浸漬後、水洗して、無電解銀めっきに対する触媒性を
付与した。その後、下記組成の銀めっき液を所定量用い
て銀を被覆した。めっき液中の銀イオンはすべて還元析
出されるので、被覆量に相当する量の銀イオンを含むめ
っき液を使用した。得られた銀被覆アクリル繊維(銀含
有量20重量%)に銀を被覆していないポリエステル繊維
を60重量%混合した後、20番手の糸に紡糸加工した。
実施例2 実施例1によって得られた糸を織布に加工した。
実施例3 実施例1で得られた銀被覆アクリル繊維に銀を被覆し
ていないポリエステル繊維50重量%混合し、それを不織
布化した。
銀被覆アクリル繊維とポリエステル繊維との混合比を
変化させて、銀被覆繊維含有量0.1%〜100%の不織布を
同様に作製した。
実施例3で得た不織布(銀被覆繊維混合比4%)を25
℃の水道水中に24時間浸漬を繰り返した場合の銀イオン
の溶出量の経時変化(曲線1)を図に示す。比較のため
銀イオンを担持した従来の抗菌性繊維体の銀イオンの溶
出量の経時変化(曲線2)をも併せて示す。図の縦軸は
銀イオンの溶出量、横軸は24時間浸漬回数である。図は
試料10g(Ag0.5g含有)を水道水1リットル中に浸漬し
たときの値を用いた。曲線1に示されるように金属の状
態で銀を含有する本発明の抗菌性繊維体は銀イオンの溶
出量が約45〜50ppbの範囲で一定し持続的である。一
方、従来の繊維体は曲線2に示されるように銀の溶出量
が初期の100ppbから10ppb近くまで次第に減少し、持続
性がない。
なお、銀被覆繊維の混合比を変化させた時の銀イオン
溶出量は次のように変化した。銀被覆繊維含有量 銀イオン溶出量 0.1(重量%) 2(ppb) 1 20 5 60 10 100 50 180 80 200 100 220 なお、いずれの混合比でも、銀イオン溶出量は浸漬回
数によって著しく変化せず、添付図面の曲線(1)と同
様に一定水準を保持していた。
実施例1、2および3で得られた繊維体を滅菌精製水
に投入し、この浸出水を試料として白癬菌、一般細菌お
よび緑濃菌に対する殺菌効果を日本紡績検査協会に依頼
して判定してもらった。その結果を効果の持続性、安全
性、耐洗濯性、色調および着色性を調べた結果とともに
表に示した。表中○、△および×は各項目の優劣の相対
評価を示す。
比較例 従来使用されている有機系抗菌剤を含有した繊維体、
銀イオン担持ゼオライトおよびCuS含有布について前記
実施例と同様な特性を調べた結果を表に併記した。表示
の○、△および×は前記と同様である。
〔発明の効果〕
本発明の銀含有抗菌性繊維体は少量の銀含有量で優れ
た殺菌効果を具え、抗菌効果に持続性があり、また温度
に対しても極めて安定であるので、高い信頼性を有す
る。更に、白色ないし銀白色であるため、衛生用品に好
ましい上に、着色にも優れている。また、殺菌効果を有
しているにも係わらず、金属銀であるので人体に接触し
ても安全に使用できる。
さらに、金属銀の高い導電性により、上記の特性に加
え必要な導電性を有する導電性材料としても使用可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
図は浸漬回数に対する銀の溶出量を表わすグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉住 素彦 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三 菱金属株式会社中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−298406(JP,A) 特開 昭60−21912(JP,A) 特開 平1−156574(JP,A) 実開 平4−60224(JP,U)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無電解めっき法で均一に銀被覆された銀含
    有量が10〜30wt%の銀被覆有機繊維のみ、またはこの銀
    被覆有機繊維と銀を被覆していない有機繊維との混合物
    を加工した繊維体からなる銀含有抗菌性繊維体であっ
    て、水中銀イオン溶出量(試料10gを25℃の水1中に2
    4時間浸漬した時の値)を1ppb〜1ppmの範囲内で持続し
    て制御したことを特徴とする銀含有抗菌性繊維体。
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