JP2006008802A - 抗菌性発泡体 - Google Patents
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Abstract
【課題】銀による優れた抗菌性が均一に付与されており、その効果が長期にわたって良好に持続する抗菌性発泡体を提供する。
【解決手段】発泡体1中に、表面が銀および酸化銀の少なくとも一方で被覆された繊維からなる微粉末2が分散含有されている抗菌性発泡体である。
【選択図】図1
【解決手段】発泡体1中に、表面が銀および酸化銀の少なくとも一方で被覆された繊維からなる微粉末2が分散含有されている抗菌性発泡体である。
【選択図】図1
Description
本発明は、抗菌性を備えた発泡体に関するものである。
従来から、ポリウレタン発泡体等の発泡体は、台所用スポンジ、化粧用パフ、エアコン用フィルター、寝装具、介護用や治療用のパッド類、衝撃吸収材、断熱材等に、広く用いられているが、衛生志向の高まりから、最近、これらの発泡体に、抗菌性を与えることがいろいろ試みられている。例えば、通常の方法に従って発泡体を形成したのち、この発泡体を、抗菌性金属イオンを含む溶液に浸漬し、水洗後乾燥する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、ポリオールとイソシアネートとを反応させて得られるポリウレタン発泡体において、予め反応させる原料液に酸化チタンを分散含有させておき、これを反応させるようにしたものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平6−346364号公報
特開平11−209495号公報
しかしながら、上記金属イオンを付与したものは、特定の菌類に作用しない場合があったり、洗浄によって金属イオンが溶出するため経時的に抗菌作用が低減するという問題がある。また、光触媒効果を示す酸化チタンを分散含有したものは、光がないところや、光があっても弱いところ(室内等)では効果が低い。そこで、効果を高めるために、上記酸化チタンを多く配合することも考えられるが、そのようにすると、ポリウレタン発泡体自体が酸化チタンによって損傷を受け、耐久性がなくなるという問題を生じる。また、酸化チタンによって発泡体の風合いが悪くなり、あまり柔軟なものを提供することができないという問題もある。
一方、抗菌性に優れた銀粉末を、直接ポリウレタン発泡体等に導入することも検討されているが、銀粉末は比重が重いため、予め反応原料液に配合してもすぐに銀粉末は底部に沈降して、銀粉末が均一に分散した発泡体を得ることができないという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、銀による優れた抗菌性が均一に付与されており、その効果が長期にわたって良好に持続する抗菌性発泡体の提供を、その目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、発泡体中に、表面が銀および酸化銀の少なくとも一方で被覆された繊維からなる微粉末が分散含有されている抗菌性発泡体を第1の要旨とする。
また、本発明は、そのなかでも、特に、上記微粉末が、発泡体重量に対し0.05〜20重量%分散含有されている抗菌性発泡体を第2の要旨とし、上記微粉末の繊維が、ポリエステル繊維である抗菌性発泡体を第3の要旨とし、上記発泡体が、樹脂発泡体またはゴムラテックス発泡体である抗菌性発泡体を第4の要旨とする。
本発明の抗菌性発泡体によれば、水分に触れると、発泡体中に分散含有される微粉末表面の銀と水が反応して活性酸素(スーパーオキシドアニオンラジカル等)を発生するため、上記活性酸素の働きにより、長期にわたって優れた抗菌作用を発揮することができる。また、上記活性酸素が臭気物質を酸化するため、優れた消臭効果を奏する。したがって、このものを、肌にあてて用いる部材、例えば化粧パフや傷口被覆シート、靴の中敷き、衣料用パッド、介護用具、寝装具、インテリア用品等に用いると、肌から放出される水分によって抗菌性発泡体の抗菌性能・消臭性能が発揮され、衛生的で快適な使用感を得ることができる。また、肌にあてるものではなくても、湿気で雑菌やかびが発生しやすい部位に対し、これらの発生防止を目的として、建物の内装材や外装材等として用いることができる。
つぎに、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態である抗菌性発泡体の模式的な断面図である。この抗菌性発泡体は、ベースとなる発泡体1の中に、表面が銀で被覆された繊維からなる微粉末2が分散含有された構造になっている。
上記ベースとなる発泡体1は、その用途に応じて適宜選択されるものであり、特に限定はされない。例えば、ポリウレタン発泡体、セルロース発泡体、シリコン発泡体等の樹脂発泡体や、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリルニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン、ジエンゴム、塩素化ポリエチレン等のオレフィン系ゴム、シリコーンゴム、フッ素系ゴム等からなるゴムラテックス発泡体等があげられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、上記発泡体1の中に、分散含有させる微粉末2としては、図2に示すように、繊維3の表面が銀もしくは酸化銀4で被覆された繊維(以下「銀被覆繊維」という)が用いられる。上記銀被覆繊維としては、メッキ、含浸、コーティング等の技術により、繊維表面に銀もしくは酸化銀4で被覆した繊維であれば、どのようなものであってもよいが、なかでも、合成繊維表面に、無電解メッキにより銀メッキを施したものが好適である。
上記合成繊維としては、ポリエステル、アクリル、ナイロン等が用いられるが、なかでも、ポリエステルを用いることが、銀メッキされた製品の熱安定性に優れ、好適である。
上記合成繊維は、短繊維であっても長繊維であってもよいが、なかでも、長繊維をチーズ状もしくはコーン状に巻き取ったものを、直接無電解メッキすることが、好適である。この方法には高度の技術が要求されるが、細い繊維に銀メッキすることができ、優れている。
上記合成繊維の太さは、0.1〜10デシテックス、なかでも、1.5〜5デシテックスに設定することが、発泡体1中で均一に分散させる上で、好適である。
本発明の微粉末2は、上記銀被覆繊維を微細に切断することにより得ることができる。このとき、微粉末2の長さが、0.1〜1mm、なかでも0.5mm程度となるよう設定することが、これを発泡体1中で均一に分散させる上で、好適である
本発明の抗菌性発泡体は、前記発泡体材料を用いて発泡体1を作製する際に、上記銀被覆繊維からなる微粉末2を、適宜の割合で配合し、均一に分散させた状態で発泡固化させることによって得ることができる。
なお、上記微粉末2の配合割合は、抗菌性発泡体の用途や、要求される抗菌性・消臭性の程度、発泡体1の柔軟性等に応じて、適宜に設定されるが、一般に、成形された発泡体1(微粉末2を含む)全体に対し、0.001重量%以上、なかでも、0.05〜20重量%に設定することが好適である。すなわち、0.05重量%未満では、抗菌性の効果が不充分となるおそれがあり、逆に、20重量%を超えると、発泡体1中で凝集して均一分散しにくくなるおそれがあるからである。
そして、上記発泡体1の発泡倍率も、上記配合割合と同様、抗菌性発泡体の用途等によって適宜に設定され、連続気泡にするか、独立気泡にするかも、用途や要求される柔軟性に応じて適宜に設定される。
このようにして得られる本発明の抗菌性発泡体は、発泡体1中に、銀被覆繊維からなる微粉末2が分散含有されているため、水分に触れると、上記微粉末2表面の銀と水が反応して活性酸素(スーパーオキシドアニオンラジカル等)を発生し、上記活性酸素の働きにより、長期にわたって優れた抗菌作用を発揮することができる。また、上記活性酸素が臭気物質を酸化するため、優れた消臭効果を奏する。したがって、このものは、肌にあてて用いる部材、例えば化粧パフや、傷口被覆シート、靴の中敷き、衣料用パッド、介護用具、寝装具、インテリア用品等としてると、肌から放出される水分によって抗菌性発泡体の抗菌性能・消臭性能が発揮され、衛生的で快適な使用感を得ることができる。また、肌にあてるものではなくても、湿気で雑菌やかびが発生しやすい部位に対し、これらの発生防止を目的として、建物の内装材や外装材等として用いることができる。なお、銀イオンには、電磁波遮蔽効果もあることから、上記のように、建物の内装材や外装材等として用いると、抗菌・防かび効果とともに、電磁波遮蔽効果も得ることができる。
なかでも、化粧パフは、ファンデーション等の化粧料を塗布するのに繰り返し使用するものであり、その都度軽く洗浄しても、次第に雑菌が繁殖してぬめり感が生じるという問題があったが、本発明の抗菌性発泡体を化粧パフに適用すると、このようなぬめり感が生じず、長期にわたって良好に使用することができる。
また、本発明の抗菌性発泡体を、例えばブラジャーのカップ内に入れる中パットや、腋パットとして用いると、汗の水分により銀イオンが発生し、優れた防臭効果を奏する。
さらに、本発明の抗菌性発泡体(シート状)を水につけ、顔に貼り付ければ、抗菌・除菌パックとなり、ニキビ防止効果を奏する。
また、最近、傷口を外気にさらさず絆創膏等で被覆しておくと、傷口からでる滲出液の作用により治癒が早くなるという情報が知られているが、擦り傷や2度以下の火傷等の傷口を、本発明の抗菌性発泡体(シート状)に軽く水を含ませたもので被覆しておくと、皮膚の再生を早めることができる。
このように、本発明の抗菌性発泡体は、各種の用途に、その用途に要求される適宜の形態に加工して提供することができる。また、用途によっては、全体が本発明の抗菌性発泡体で構成されている必要はなく、本発明の抗菌性発泡体と他の素材とを、適宜組み合わせて用いることができる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
〔実施例1〕
まず、銀被覆繊維として、繊維重量に対し20重量%の銀が無電解メッキによって被覆されたポリエステル繊維(単糸繊度2デシデックス、商品名:シルファイバー、三菱マテリアル社製)を用意し、これを界面活性剤で洗浄・乾燥することにより、銀表面に付与されている防錆剤を除去した。そして、この銀被覆繊維を、繊維長0.5mmとなるよう切断して微粉末を作製し、70〜80℃に設定された乾燥機にかけて4〜5時間乾燥した。なお、上記微粉末の表面の銀は、防錆剤を除去したため、空気酸化されてその一部が酸化銀となる。
まず、銀被覆繊維として、繊維重量に対し20重量%の銀が無電解メッキによって被覆されたポリエステル繊維(単糸繊度2デシデックス、商品名:シルファイバー、三菱マテリアル社製)を用意し、これを界面活性剤で洗浄・乾燥することにより、銀表面に付与されている防錆剤を除去した。そして、この銀被覆繊維を、繊維長0.5mmとなるよう切断して微粉末を作製し、70〜80℃に設定された乾燥機にかけて4〜5時間乾燥した。なお、上記微粉末の表面の銀は、防錆剤を除去したため、空気酸化されてその一部が酸化銀となる。
この微粉末2.5gを、ポリエーテルポリオール(平均分子量3000、品番:31−56、三井武田ウレタン工業社製)20gとポリエーテルポリオール(平均分子量2000、品番:21−56、三井武田ウレタン工業社製)80gに加え、充分に撹拌した。そして、上記混合物に、触媒であるトリエチレンジアミン0.1g、純水1g、整泡剤(品番:B−8017、ゴールドシュミート社製)0.5gを添加して撹拌した。
つぎに、上記混合物に、オクチル酸第一スズ0.25gを加えて充分に撹拌したのち、ポリイソシアネート(NCO含量48.2%、商品名:コスモネート80、三井武田ウレタン工業社製)20gを加えて、3000rpmで6秒間撹拌し、内側底面形状が250mm×100mmの長方形で、深さが80mmの、内容積2000cm3 の成形用容器に注入し、所定時間放置後、発泡固化した発泡体(厚み60mm)を取り出し、60mm×60mm×10mmの小片に切断して、化粧用パフのサンプルとした。なお、このものには、微粉末が2.0重量%含有されている。
〔実施例2〜5〕
銀被覆繊維の微粉末の配合割合を、後記の表1、表2に示すように代えた。それ以外は、上記実施例1と同様にして、4種類の化粧用パフのサンプルを得た。
銀被覆繊維の微粉末の配合割合を、後記の表1、表2に示すように代えた。それ以外は、上記実施例1と同様にして、4種類の化粧用パフのサンプルを得た。
〔実施例6〕
銀被覆繊維末として、繊維重量に対し20重量%の銀が無電解メッキによって被覆され、防錆剤で処理されたままのポリエステル繊維(単糸繊度2デシデックス、商品名:シルファイバー、三菱マテリアル社製)を用いた。それ以外は、上記実施例1と同様にして、化粧用パフのサンプルを得た。
銀被覆繊維末として、繊維重量に対し20重量%の銀が無電解メッキによって被覆され、防錆剤で処理されたままのポリエステル繊維(単糸繊度2デシデックス、商品名:シルファイバー、三菱マテリアル社製)を用いた。それ以外は、上記実施例1と同様にして、化粧用パフのサンプルを得た。
〔比較例1〜3〕
銀被覆繊維の微粉末を配合しないものと、銀被覆繊維の微粉末に代えて、光触媒効果のある酸化チタン粉末(粒径0.03mm)を配合したものと、同じく銀被覆繊維の微粉末に代えて、銀担持ゼオライト(粒径0.1mm)を配合したものを、上記実施例1と同様にして作製し、化粧用パフのサンプル(比較例1〜3)を得た。
銀被覆繊維の微粉末を配合しないものと、銀被覆繊維の微粉末に代えて、光触媒効果のある酸化チタン粉末(粒径0.03mm)を配合したものと、同じく銀被覆繊維の微粉末に代えて、銀担持ゼオライト(粒径0.1mm)を配合したものを、上記実施例1と同様にして作製し、化粧用パフのサンプル(比較例1〜3)を得た。
これらの実施例1〜6品と比較例1〜3品について、比重(g/cm3 )を測定するとともに、下記の方法にしたがって、そのセルの均質性、触感、抗菌性、ぬめり感の有無について評価した。これらの結果を、後記の表1〜表3に併せて示す。
〔セルの均質性〕
発泡体断面に表われるセル形状を観察し、セルの大きさが揃って均質なものを「○」、ややばらつきがあるものを「△」、ばらつきが大きく不均質なものを「×」として評価した。
発泡体断面に表われるセル形状を観察し、セルの大きさが揃って均質なものを「○」、ややばらつきがあるものを「△」、ばらつきが大きく不均質なものを「×」として評価した。
〔触感〕
発泡体を軽く握り、化粧用パフとして適した触感であれば「○」、やや違和感があれば「△」、不適と思われる場合「×」として評価した。
発泡体を軽く握り、化粧用パフとして適した触感であれば「○」、やや違和感があれば「△」、不適と思われる場合「×」として評価した。
〔抗菌性〕
サンプルと、1/10普通ブイヨンで調製したStaphylococcus aureusの菌液10ミリリットルを、100ミリリットル容量の三角フラスコに入れ、35±1℃の恒温振とう機に入れ、振幅30mm、水平方向振とう数150rpmの条件下で作動し、経時的に菌数を測定した(シェークフラスコ法)。なお、コントロールの試験結果は下記のとおりである。
初期 3.5×105
24時間後−1 9.0×107
24時間後−2 8.7×107
24時間後−3 9.6×107
平均 9.1×107
サンプルと、1/10普通ブイヨンで調製したStaphylococcus aureusの菌液10ミリリットルを、100ミリリットル容量の三角フラスコに入れ、35±1℃の恒温振とう機に入れ、振幅30mm、水平方向振とう数150rpmの条件下で作動し、経時的に菌数を測定した(シェークフラスコ法)。なお、コントロールの試験結果は下記のとおりである。
初期 3.5×105
24時間後−1 9.0×107
24時間後−2 8.7×107
24時間後−3 9.6×107
平均 9.1×107
〔ぬめり感の有無〕
サンプルの表と裏の2面に、市販のファンデーションを塗り付けた後、水洗いをして軽く絞り、プラスチックトレイに置き、室温(20〜28℃)下で放置した。そして、3日に一度、霧吹きで水道水を吹きかけて湿り気を与え、サンプルの表裏面にぬめり感が生じているか否かを確認した。完全にぬるぬるしている場合「×」、ややぬめり感が生じている場合「△」、ぬめり感が全くない場合「○」として評価した。
サンプルの表と裏の2面に、市販のファンデーションを塗り付けた後、水洗いをして軽く絞り、プラスチックトレイに置き、室温(20〜28℃)下で放置した。そして、3日に一度、霧吹きで水道水を吹きかけて湿り気を与え、サンプルの表裏面にぬめり感が生じているか否かを確認した。完全にぬるぬるしている場合「×」、ややぬめり感が生じている場合「△」、ぬめり感が全くない場合「○」として評価した。
上記の結果から、実施例品はいずれも比較例品に比べて優れた効果を奏することがわかった。なお、実施例6品(防錆剤を除去せず銀が酸化されていないもの)が、実施例1品(防錆剤を除去して銀が一部酸化銀になっているもの)よりやや効果が劣るのは、実施例6品では、銀表面に付与された防錆剤が、銀と水の接触を阻害して銀イオンに基づく効果が充分に発揮されないためである。また、比較例2品は、光触媒効果による抗菌性が期待できるものであるが、紫外線照射のない室内での抗菌性テストであることから、抗菌性効果を奏することができない。したがって、室内の自然光や蛍光灯では、雑菌の繁殖を抑えることができないことがわかる。そして、用いられた酸化チタンの粒径は小さいものの、発泡体内で凝集した状態で存在するため、触感が悪くなっている。
1 発泡体
2 微粉末
2 微粉末
Claims (4)
- 発泡体中に、表面が銀および酸化銀の少なくとも一方で被覆された繊維からなる微粉末が分散含有されていることを特徴とする抗菌性発泡体。
- 上記微粉末が、発泡体重量に対し0.05〜20重量%分散含有されている請求項1記載の抗菌性発泡体。
- 上記微粉末の繊維が、ポリエステル繊維である請求項1または2に記載の抗菌性発泡体。
- 上記発泡体が、樹脂発泡体またはゴムラテックス発泡体である請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗菌性発泡体。
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