JP2929541B2 - 医療用材料およびその製造方法 - Google Patents

医療用材料およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、医療用材料、その製造方法および医療用器
具に関する。
<従来技術> 従来より、人工臓器等の血液と接触する部分を有する
医療用器具が製造され、使用されてきているが、これら
の医療用器具を構成する材料を選択する際に生体適合性
は重要な問題となる。この生体適合性は使用される医療
用器具の表面性状が重要な要因となる。一方、医療用器
具としての物性も大切であることは言うまでもない。従
って、医療用器具として適切な物性を有する材料を選択
し、その表面性質を改質することが医療用材料として応
用する場合には有効であると考えられる。事実、このよ
うな観点から従来より種々の表面改質法が提案されてい
る。そのひとつに、反応性末端を有する脂溶性ビタミン
あるいは脂肪酸マクロマーの該反応性末端を基材に結合
させたものがある(特開昭63−130069号公報、テルモ株
式会社)。
<発明が解決しようとする課題> これは、基材の医療用材料としての物性を遺憾なく発
揮させつつ、その表面に生体適合性を付与したという点
で画期的なものであったが、十分な生体適合性が得られ
たとは言えず、生体適合性の向上については改良の余地
があった。
従って、本発明は上述の問題点を解決した新規な医療
用材料その製造方法および医療用器具を提供することを
目的とする。
また、本発明は、長期間にわたり安定して優れた生体
適合性を示す医療用材料その製造方法および医療用器具
を提供することを目的とする。
<課題を解決するための手段> 上記諸目的を解決するために、両末端に反応性の高い
官能基を有するスペーサーの一端が脂肪酸に結合し、該
スペーサーの他端が親水性重合体部分と疎水性重合体部
分とを有するブロック共重合体の官能基と結合してな
り、さらにこのブロック共重合体が人工臓器あるいは医
療用器具として成形された官能基を有する高分子化合物
の官能基と結合してなることを特徴とする医療用材料。
本発明はまた、高分子化合物にブロック共重合体の親
水性重合体部分が結合し、ブロック共重合体の疎水性部
分にスペーサー(脂肪酸マクロマー)が結合してなるも
のがよい。
本発明はさらに、前記ブロック共重合体の疎水性部分
はフッ素化側鎖を有するものが好ましい。
また本発明は、脂肪酸マクロマーの官能基と親水性重
合体部分と親水性重合体部分とを有するブロック共重合
体の官能基の一部とを結合させる第1の工程と、該ブロ
ック共重合体の官能基の一部と高分子化合物の官能基と
を結合させる第2の工程とを有することを特徴とする医
療用材料の製造方法を提供する。
また本発明は、前記第1の工程における前記ブロック
共重合体の官能基の一部はカルボキシル基であり、前記
第2の工程における前記ブロック共重合体の官能基の一
部はエポキシ基であるのが好ましい。
さらに本発明は、前記ブロック共重合体の疎水性重合
体部分は前記第1の工程における官能基の一部を有し、
前記ブロック共重合体の親水性重合体部分は前記第2の
工程における官能基の一部を有するものであるのがよ
い。
また、本発明は、少なくとも血液と接触する部分が、
高分子化合物、親水性重合体部分と疎水性重合体部分と
からなるブロック共重合体、および脂肪酸マクロマーか
らなり、高分子化合物にブッロク共重合体が結合してな
るとともに、ブロック共重合体に脂肪酸マクロマーが結
合して医療用材料から形成されてなることを特徴とする
医療用器具を提供する。
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の医療用材料は、高分子化合物、親水性重合体
部分と疎水性重合体部分とからなるブロック共重合体、
および脂肪酸マクロマーからなり、高分子化合物にブロ
ック共重合体が共有結合してなるとともに、ブロック共
重合体に脂肪酸マクロマーが共有結合したことを特徴と
するものである。
このように本発明の医療用材料は、脂肪酸マクロマー
がブロック共重合体を介して高分子化合物に共有結合し
ているので高分子化合物のひとつの結合点に対して多数
の脂肪酸が固定されており、より優れた生体適合性が得
られ、また脂肪酸の遊離がなく、長時間にわたって安定
した生体適合性を示すものである。また、脂肪酸とブロ
ック共重合体との間の分子鎖(スペーサー部分)の存在
によって血小板粘着の抑制効果が期待されるのでより高
い生体適合性が付与され、分子鎖長も容易に制御でき、
安定した運動性が期待できる。
さらに、ブロック共重合体が親水性重合体部分と疎水
性重合体部分とからなるので、親疎水性のバランスが良
く、それによって優れた高分子化合物との反応性および
表面配向性が得られる。
また、ブロック共重合体が、親水性重合体部分におい
て高分子化合物と結合し、疎水性重合体部分において脂
肪酸マクロマーと結合しているものであると、脂肪酸マ
クロマーがより有効に作用し、より高い生体適合性が得
られる。
親水性重合体部分の原料単量体として、エポキシ基を
有する化合物としては、(メタ)アクリル酸系グリシジ
ルエステルが好ましく、その任意の組成の重合体を合成
するため、またその共重合性から、(メタ)アクリル酸
または(メタ)アクリル酸系エステルが、共重合単量体
として好適に用いられる。
また反応活性な官能基を有する疎水性重合体部分の原
料単量体としては、官能基がカルボキシル基であること
が好ましく、具体的には(メタ)アクリル酸等が挙げら
れる。
さらに疎水性重合体部分には、フッ素化側鎖を有する
(メタ)アクリル酸エステルを用いると、疎水性重合体
部分が血液と接触するとき、免疫系の活性化の抑制がさ
れるため好ましい。
親疎水基を両有する好ましい共重合体は、下記の式で
表わされる。
上記式中R1、R2、R3およびR4は水素原子または低級ア
ルキル基を示し、同一でも異なっていてもよく、R5は低
級アルキル基またはヒドロキシアルキル基を示す。Xは
フッ素化アルキル基を示し、m、n、o、pは原料単量
体の重量比[%]を示し、m:n:o:p=10〜90:0.01〜60:2
0〜75:0.1〜20である。
特に、上記R1、R2、R3およびR4は水素またはメチル基
が好ましく、R5はメチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基、ヒドロキシエチル基、またはヒドロキシプロピ
ル基が好ましい。Xは、式−CF3、−CH2CF3、−CHF−CF
3、−CF2CF3、−CH2(CF22H、−CH(CF3、−CH2
(CF24H、−CH2CH2C8F17等を有する基が好ましい。上
記共重合体の原料単量体の重量比[%]は、好ましくは
m:n:o:p=20〜50:0.1〜50:1〜50:1〜10である。
特に好ましい共重合体は、下記の式で表わされる。
m、n、o、p、qおよびrの好ましい重量比[%]
は、10〜30:10〜30:0〜10:1〜10:30〜50:1〜10である。
本発明の共重合体において、親水性重合体部分と疎水
性重合体部分は原料単量体の重量比[%]でおよそ70〜
50:30〜50が望ましい。
本発明に用いるブロック共重合体は、通常工業的に実
施されている方法、例えば水系懸濁重合、エマルジョン
重合、または溶液重合等で得ることができる。
親水性重合体部分のエポキシ基は、グリシジルアクリ
レートまたはグリシジルメタクリレートを他の単量体と
ともに使用して重合させるか、あるいはグリシジルアク
リレートまたはグリシジルメタクリレートを重合開始剤
の存在下に親水性重合体部分と反応させることによって
ブロック共重合体に導入することができる。
ブロック共重合体の分子量は、500〜500,000の範囲が
良く、分子量が500未満では、効率良く材料表面全体を
覆うことが難しく、500,000超の高分子量では、高分子
の溶解性および材料表面との反応性の低下のため用いに
くくなる。
ブロック共重合体におけるエポキシ基を有する単量体
重量比は、グリシジルメタクリレート量として0.01〜60
重量%であり、さらに好ましくは1〜10重量%が適当で
ある。この単量体重量比が60重量%超では合成時に重合
体がゲル化しやすくなってしまい、0.01重量%未満では
反応性が低下するため好ましくない。
本発明において、リガンドとして疎水性重合体部分と
結合する脂肪酸としては、不飽和脂肪酸のエライジン
酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン
酸およびエイコサペンタエン酸、または飽和脂肪酸のラ
ウリル酸、ミリスチン酸、ペンタジル酸、パルミチン
酸、ステアリン酸等があり、なかでも特に血液との適合
性の良いリノール酸が好ましい。また、本発明において
脂肪酸は各々単独で使用してもよく、また混合物として
使用してもよい。
これらの脂肪酸は血液適合性を向上させる働きがある
ため、高分子化合物の表面にリガンドを結合させること
で、高分子化合物のもつ血液凝固性を弱めあるいは無く
することができる。
前記脂肪酸はスペーサー、好ましくは親水性のスペー
サーを介して、脂肪酸マクロマーとして結合される。
本発明において、前記脂肪酸マクロマーは、例えば一
方の末端部に脂肪酸を有し、他方末端部はアミノ基を有
するものであり、このアミノ基と前述したブロック共重
合体の疎水性重合体部分の官能基、特にカルボキシル基
とを結合させることで、脂肪酸が表面に存在する高分子
誘導体を得ることができる。
なお、「マクロマー」とは、一般的に重合性の官能基
を末端に有するポリマーを意味するものであるが、本明
細書においては、さらに広義に反応性官能基を末端に有
するものを意味するものとして解釈されるべきである。
前記スペーサーとして具体的には、両末端に反応性の
高い官能基を有するアルキレングリコール類等が挙げら
れ、ポリエチレングリコールジアミン、ポリプロピレン
グリコールジアミン、ポリテトラメチレングリコールジ
アミンが好ましく、特にポリエチレングリコールジアミ
ンが好ましい。
例えば、スペーサーがアルキレングリコール骨格を有
するものである場合、その重合度は、アルキレンの種類
によっても異なるが、約1〜100程度であることが好ま
しく、また、特にアルキレングリコールとしては、ポリ
エチレングリコールおよびポリプロピレングリコールが
好ましく、重合度20〜90のポリエチレングリコールおよ
び重合度10〜50のポリプロピレングリコールが特に好ま
しい。
前記高分子誘導体を合成するための反応は、一般的な
方法を用いることができる。
他方、高分子化合物としては、水酸基を有するセルロ
ースおよびその誘導体が最も好適に使用され、その他ポ
リビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物、
エチレンビニルアルコール系共重合体、エチレン酢酸ビ
ニル系共重合体の部分ケン化物、ポリアクリル酸または
ポリメタクリル酸およびそれらの共重合体、ポリヒドロ
キシエチルメタクリレート、キチン、キトサン、コラー
ゲン、ポリアクリルアミド等を使用することができる。
前記ブロック共重合体または高分子誘導体と、高分子
化合物との反応は、高分子誘導体を適当な有機溶媒、例
えばアセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、テト
ラヒドロフラン等に溶解し、これにルイス酸触媒および
塩基性触媒、更に高分子化合物を加えることによって実
施される。本発明でいうルイス酸触媒としては、四塩化
炭素、三弗化ホウ素、四塩化スズ、塩化亜鉛などがあ
り、反応性の面から三弗化ホウ素が好ましい。
また、塩基性触媒としては、アルカリ土類金属の中で
も、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム
等の水酸化物や水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水
酸化フランシウム等のアルカリ金属の水酸化物が用いら
れ、その中でも水酸化ナトリウムが溶解性、反応性の面
から最も好ましい。
本発明でいう高分子化合物は各種の成形体、例えば
膜、中空糸、繊維等にしたものを使用することができ、
その場合には高分子誘導体および触媒の溶液に該成形体
を浸漬することによって反応は実施される。
このようにして得られた反応生成物は生体適合性を有
する。また、成形された高分子化合物を用いた場合は、
高分子化合物成形体の有する物性を損なうことなく、そ
の表面性状を変化させるのみで、成形体との生体適合性
を得ることができる。即ち、高分子化合物が有する血液
凝固、免疫系の活性化、血小板の変形等を惹起する性質
が低減または消失されるので、特に血液と接触する人工
臓器、医療用器具、例えば透析器、血液ろ過器、血漿分
離器、血管内留置用カテーテル等の材料として好適であ
る。
<実施例> 以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
(実施例1)リノール酸マクロマーの合成 リノール酸20.0gを乾燥ベンゼン70mlに溶解し、フラ
スコに入れ、これに窒素気流下、五塩化リン14.8gを5
回に分けて加えた。室温で12時間撹拌後、更に2時間還
流させた。次いで、ベンゼンと反応副生物の三塩化ホス
ホリル、および塩化水素を留去し、減圧蒸留によってリ
ノール酸クロライド14.0gを得た(沸点155℃/1.5mmHg,
収率76%)。
フラスコにポリエチレングリコールジアミン(東レ
(株)製PGD−40,分子量4114)50.4g、トリエチルアミ
ン1.48g、およびジクロロメタン120mlを入れ、窒素気流
下、これに氷冷下(0℃)でリノール酸クロライド3.66
gのジクロロメタン70ml溶液をゆっくり30分かけて滴下
した。その後、徐々に室温に戻しながら2時間撹拌し
た。反応終了後、反応副生物のトリエチルアミン塩酸塩
を濾別し、減圧下でトリエチルアミン、ジクロロメタン
を留去し、残留物をクロロホルム100mlに溶解し、水100
mlにておだやかに洗浄した。有機層を分取後、無水硫酸
ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。これをワコーゲ
ルC−300入りのフラッシュクロマト(分解溶離液:ク
ロロホルム/メタノール=9/1容積比)により精製を行
なったところ、精製物13.7gを得た(収率26%)。
これを赤外分光法(IR法)、プロトン核磁気共鳴法(
1H−NMR法)にて製造を確認し、液体クロマトグラフィ
ー(GPCモード、溶離液THF)にてリノール酸及びPGD−4
0が含まれていないことを確認した。上記特性値の結果
を下記に示す。
IR法:1650cm-1アミドカルボニル伸縮振動 1540cm-1アミドNH変角振動 1100cm-1エーテルCO伸縮振動1 H−NMR法: δ0.9ppm リノール酸 −CH3 δ1.3ppm リノール酸 −CH2− δ3.7ppm ポリエチレングリコール −OCH2CH2O− δ5.3ppm リノール酸オレフィン −CH=CH− GPC法:保持容量 精製物 11.4ml PGD−40 12.6ml リノール酸 15.1ml (実施例2)ブロック共重合体の合成 次に下記の組成を有する共重合体A(第1表)および
B(第2表)を合成した。
これをMEK(メチルエチルケトン)/MIBK(メチルイソ
ブチルケトン)40/60(容量比)の混合溶媒に30(W/V)
%で溶解し保存した。
これをMEK/MIBK=40/60(容量比)の混合溶媒に30(W
/V)%で溶解して保存した。
なお、上記共重合体A、Bの合成は、特開昭60−2214
10号に従い、以下の方法で行なった。
1)アジピン酸とトリエチレングリコールとを重縮合さ
せ、更に反応物を過酸化水素を用い過酸化し、ポリメリ
ックペルオキシド(PPO)を作製する。
2)上記PPOを重合開始剤とし、主鎖内にペルオキシ結
合をもつアクリルポリマー(メチルメタクリレート/ブ
チルメタクリレート/ハイドロキシエチルメタクリレー
ト/グリシジルメタクリレート=A;40/40/15/5およびB;
47.5/47.5/0/5を作製する。
3)更に、2)で作製したアクリルポリマーを、重合開
始剤として、分散重合により2−パーフルオロオクチル
エチルアクリルレート/メタクリル酸=90/10とのブロ
ック共重合体を得る。
4)上記ブロック共重合体の後処理として、80℃で8〜
10時間熱処理する事により、残存する過酸化(メチルエ
チルケトン/メチルイソブチルケトン溶液)部分を処理
する。更に、貧溶媒置換し、精製を行なった。
(実施例3)高分子誘導体Aの合成 実施例2において合成した共重合体A4.00g、ジシクロ
ヘキシルカルボジイミド0.718g(溶液にして13.3ml)お
よび四塩化炭素/アセトニトリル(1対1容量比)の混
合溶媒30mlをフラスコに入れ、室温で窒素気流下60分撹
拌した後、実施例1のリノール酸マクロマーの12.0gの
四塩化炭素/アセトニトリル(1対1容量比)の混合溶
媒10mlの溶液を徐々に滴下し、その後室温で60分撹拌さ
せた後、さらに60℃で60分撹拌した。反応内容物を室温
まで冷却後、内容物をガラスフィルターにて濾過し、濾
液の溶媒を軽く留去したところ、黄色の高粘性の物質が
得られた。
得られた粗生成物にメタノール200mlを加え、室温で
約30分間固まりがなくなるまで撹拌した後、遠心分離を
行ない、上澄みをデカンテーションにより除いた。同様
な操作をさらに2回行なった後、真空乾燥を行なったと
ころ、9.63gの白色固体の高分子誘導体Aが得られた。
(実施例4)高分子誘導体Bの合成 実施例2において合成した共重合体Bの5.00g、ジシ
クロヘキシルカルボジイミド0.905g(溶液にして16.7m
l)および四塩化炭素/アセトニトリル(1対1容量
比)の混合溶媒40mlをフラスコに入れ、室温で窒素気流
下60分撹拌した後、実施例1のリノール酸マクロマーの
15.0gの四塩化炭素/アセトニトリル(1対1容量比)
の混合溶媒10mlの溶液を徐々に滴下し、その後室温で60
分撹拌させた後、さらに60℃で60分撹拌した。反応内容
物を室温まで冷却後、内容物をガラスフィルターにて濾
過し、濾液の溶媒を軽く留去したところ、黄色の高粘性
の物質が得られた。
得られた粗生成物にメタノール200mlを加え、室温で
約30分間固まりがなくなるまで撹拌した後、遠心分離を
行ない、上澄みをデカンテーションにより除いた。同様
な操作をさらに2回行なった後、真空乾燥を行なったと
ころ、13.21gの白色固体の高分子誘導体Bが得られた。
(実施例5)再生セルロース膜への高分子誘導体のグラ
フト共重合 再生セルロース膜の表面に前記実施例3、4で得られ
た高分子誘導体A、Bを以下のようにしてグラフト共重
合させた。
まず、水酸化ナトリウム0.5(W/V)%水溶液100ml中
に、それぞれ再生セルロース膜(膜厚0.2mm)0.3gを30
分間浸漬した。次に前記実施例3、4で得られた高分子
誘導体A、Bを0.5(W/V)%含むアセトン溶液中に該セ
ルロース膜をそれぞれ浸漬し、室温下で24時間反応させ
た。
反応終了後、セルロース膜を取り出し、アセトン、エ
タノール、蒸留水の順に充分に洗浄してそれぞれを医療
用材料A、Bとし下記実施例の試料とした。
(実施例6、および比較例1) 実施例5で得られた医療用材料A、Bを用いて、下記
評価試験1および2を行い、その結果を第3表および第
4表にそれぞれ示す。
評価試験1 血小板拡張能試験 3.8%クエン酸ナトリウム(採血量に対して1/10容)
を収容したポリプロピレン製シリンジを用いて、健常人
の静脈血を採血し、これをポリプロピレン製試験管に管
壁をつたわらせて静かに移し、800r.p.m.で5分間遠心
分離し、上澄みの多血小板血漿(PRP)を採取し、3,8%
クエン酸ナトリウム希釈液(乳酸リンゲルに対し1/10
容)にて希釈して血小板浮遊液を調製した。この血小板
浮遊液の血小板数は66000個/mm2であった。
この血小板浮遊液0.2mlを、本発明例として、実施例
5でそれぞれ得られた医療用材料A、Bを高分子誘導体
処理再生セルロース膜試料1×1(cm)および比較例1
としての未処理再生セルロース膜試料1×1(cm)に個
々にのせ、2mmの厚みをもたせ室温下で30分間接触させ
た。所定時間経過後、各試料を3.8%クエン酸ナトリウ
ム希釈液にて軽く洗浄し、次に2.5%グルタールアルデ
ヒド/乳酸リンゲル溶液中に試料を一昼夜冷所保存して
固定した。さらに3.8%クエン酸ナトリウム希釈液にて
軽く洗浄後、エタノール系列で段階脱水し(50%、60
%、70%、80%、90%、95%、100%のそれぞれエタノ
ール溶液中で10分間順々に処理する。)、風乾し、走査
型電子顕微鏡(JSM−840日本電子製)にて観察した。評
価法は、0.07mm2に付着した血小板数とその形態変化を
みた。形態変化は下記の3種に分類した。
I型:血小板正常形態である円盤形から球状化して3〜
4本の偽足を出したもので、材料面との粘着が比較的弱
いと考えられるもの。
II型:数本以上の偽足を伸ばして、偽足の半分まで胞体
を拡げたもので、材料面に強く粘着したと思われるも
の。
III型:偽足の長さの半分以上に薄い胞体を拡げたもの
が、ほぼ完全に胞体を拡張して類円形を呈し、材料面に
完全に粘着したと思われるもの。
試験結果を第3表に示す。
評価試験2 補体価の変化の測定 実施例5で得られた本発明の医療用材料A、Bについ
て、以下に示すMayer原法により補体価の変化を測定し
た。
各試料を生理食塩水中に予め浸漬し、収着平衡状態に
する。各試料の表面の水分を軽く取り除き、1試料20cm
2の小片とし、これをプラスチック試験管に入れ、成犬
血清1mlを加える。37℃で3時間保持して活性化した
後、補体価CH50(50%溶血法による補体価)の変化を測
定し、消費率を算出した。結果を第4表に示す。
第4表から本発明のセルロースシートは未処理のもの
に比べて血清中の補体価CH50の減少が非常に少ない事が
明らかである。
(実施例7および比較例2) 銅アンモニア再生セルロース中空糸をガラス管に入
れ、一端をアスピレーターに接続し、他端をNaOH 0.5
(W/V)%水溶液中に浸漬した。更にアスピレーターの
吸引力を利用し、中空糸内にNaOH水溶液を充填した。充
填後、室温で30分間放置した。ついで前記中空糸中のNa
OH水溶液を排出したのち、実施例3および4で得られた
高分子誘導体A、Bを0.5(W/V)%含むジオキサン溶液
を用いて前述したと同様の手法でダイアライザー中にそ
れぞれ充填し、室温下で24時間放置した。その後溶液を
排出したのち、ジオキサンで洗浄し、更に酸洗浄及び蒸
溜水で十分に洗浄し、25℃の温度で送風乾燥した。さら
に乾燥の完全を期すために60℃のオーブン内に一夜放置
した。
第1図はダイアライザーの体外循環実験用モジュール
を示し、具体的に説明する。
すなわち、ダイアライザー(人工腎臓)1は、内径約
200μm、外径約224μm、有効長14cmの銅アンモニア再
生セルロース中空糸341本を用いて中空糸束2を形成
し、筒状本体3内に挿入し両端をポリウレタン系ポッテ
ィング剤4、5で固定し、さらに両端にヘッダー6、7
で取付けキャップ8、9により固着してダイアライザー
(人工腎臓)1を作製した。このものの膜内面積は300c
m2であった。なお第1図に示されるダイアライザーにお
いて筒状本体3の両端部付近には、透析液用の入口管10
および出口管11が設けられている。その後蒸溜水を充填
し、この状態のダイアライザーをオートクレーブに入れ
て115℃の温度で30分間滅菌処理を施した。このダイア
ライザーを用い、下記の評価試験を行った。
評価試験3 体外循環試験 ウサギを、北島式固定台に背位固定した。
ついで、電動バリカンで術野の毛を刈り酒精綿で清拭
した。ハサミで顎下から鎖骨に入るまで正中線に沿って
切開し、さらに筋膜を開き、神経、分枝血管および周囲
の組織を損傷しないように注意しながら右(左)総頚動
脈を剥離した。ついで左(右)顔面静脈を同様に注意し
ながら深く剥離し、1IU/mlのヘパリン加生食水を満たし
た混注用ゴムキャップを付けたテルモ株式会社製サーフ
ロー(テルモ株式会社の登録商標)留置カテーテルを挿
入し、結紮固定した。同様に、前記動脈にもカテーテル
を挿入し、結紮固定した。
このようにして準備したウサギ20について前記高分子
誘導体A、Bを用いたダイアライザー、および比較対照
として同様の膜面積を有する未処理の銅アンモニア再生
セルロース中空糸膜ダイアライザー(比較例2)を用い
て実験回路を準備した。すなわち第2図に示すように、
ウサギ20の動脈に連結されたカテーテル21をポンプ22に
連結し、さらにチャンバー23とウサギ20の静脈とをカテ
ーテル25で連結した。ポンプ22とダイアライザー1とは
チューブ26で連結し、該チューブ26はマノメータのイン
27側に連通している。さらに、ダイアライザー1とマノ
メータのアウト24側に連通したチャンバー23はチューブ
28で連通した。一方、ダイアライザー1の透析液出入口
はチューブ29で連結し、該チューブ29にはポンプ30を設
置するとともに37℃の水浴31中に浸漬した。このように
して構成された回路は1IU/mlのヘパリン加生食水(100m
l)でプライミング洗浄を行なった。
体外循環は血流量を10ml/分に設定して行なわれた。
実験条件としては、抗凝固剤は一切使用しなかった。循
環開始直後、5分、10分、15分、20分、30分、45分、60
分、120分後に1ml採血し、採血した血液を1.5%EDTA−2
Na生理食塩水にて抗凝固処理した後、ELT−8(Orth In
strument社製)にて血球数を算定した。
その結果得られた白血球数(WBC)、血小板数(PLT)
およびヘマトクリット値(HCT)を第5表〜第7表に示
す。第5表、および第6表は、それぞれ高分子誘導体
A、Bを用いて得られた処理銅アンモニア再生セルロー
ス中空糸膜ダイアライザーを用いた実験回路からのデー
タ、第7表は、比較対照としての未処理銅アンモニア再
生セルロース中空糸膜ダイアライザー(比較例2)を用
いた実験回路からのデータである。なお白血球数、血小
板数は次式を用いてHt値補正を行ない、循環開始直前の
Ht値での値として表わした。
また、これらのデータに基づく白血球数の変動をグラ
フにより第3図に示す。
なおPICとはPercent of Initial Count(初期値に対
する%)を示す。
<発明の効果> 本発明の医療用材料は、脂肪酸マクロマーが高分子化
合物にブロック共重合体を介して結合しているので、高
分子化合物の有する血液凝固性が低減化され、補体系の
活性化を抑制し、さらに血小板粘着が抑制されるので、
長時間にわたって安定した生体適合性が高分子化合物に
付与される。
また、本発明の医療用材料の製造方法によれば、上記
医療用材料を極めて効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例に適用されたダイアライザ
ーの体外循環実験用モジュールの一部を切欠いた斜視図
である。 第2図は、本発明の実施例に用いた実験回路を示す。 第3図は、本発明の実施例において行った白血球の経時
変動の結果を示すグラフである。 符号の説明 1……ダイアライザー、 3……筒状本体、 2……中空糸束、 4、5……ポッティング材、 6、7……ヘッダー、 8、9……キャップ、 10……入口管、 11……出口管、 20……ウサギ、 21……カテーテル 22……ポンプ、 23……チャンバー、 24……マノメータアウト、 25……カテーテル、 26……チューブ、 27……マノメータイン、 28……チューブ、 29……チューブ、 30……ポンプ、 31……水浴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 榊原 巨規 静岡県富士市大淵2656番地の1 テルモ 株式会社内 (72)発明者 猿橋 誠 静岡県富士市大淵2656番地の1 テルモ 株式会社内 (72)発明者 押部 義宏 愛知県知多郡武豊町字六貫山2―34 (72)発明者 大村 博 愛知県知多郡武豊町字六貫山5―3―1 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61L 33/00 A61M 1/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】両末端に反応性の高い官能基を有するスペ
    ーサーの一端が脂肪酸に結合し、該スペーサーの他端が
    親水性重合体部分と疎水性重合体部分とを有するブロッ
    ク共重合体の官能基と結合してなり、さらにこのブロッ
    ク共重合体が人工臓器あるいは医療用器具として成形さ
    れた官能基を有する高分子化合物の官能基と結合してな
    ることを特徴とする医療用材料。
  2. 【請求項2】該高分子化合物の官能基に該ブロック共重
    合体の親水性重合体部分の官能基が結合し、該ブロック
    共重合体の疎水性重合体部分の官能基に該スペーサーの
    官能基が結合してなる請求項1に記載の医療用材料。
  3. 【請求項3】前記ブロック共重合体の疎水性重合体部分
    はフッ素化側鎖を有するものである請求項1に記載の医
    療用材料。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の医療用材料を製造するに
    あたり、該スペーサーの官能基と、親水性重合体部分と
    疎水性重合体部分とからなる該ブロック共重合体の官能
    基の一部とを結合させる第1の工程と、該ブロック共重
    合体の官能基の一部と、該高分子化合物の官能基とを結
    合させる第2の工程とを有することを特徴とする医療用
    材料の製造方法。
  5. 【請求項5】前記第1の工程における前記ブロック共重
    合体の官能基の一部はカルボキシル基であり、前記第2
    の工程における前記ブロック共重合体の官能基の一部は
    エポキシ基である請求項4に記載の医療用材料の製造方
    法。
  6. 【請求項6】前記ブロック共重合体の疎水性重合体部分
    は前記第1の工程における官能基の一部を有し、前記ブ
    ロック共重合体の親水性重合体部分は前記第2の工程に
    おける官能基の一部を有するものである請求項4または
    5に記載の医療用材料の製造方法。
  7. 【請求項7】少なくとも血液と接触する部分が請求項1
    〜3のいずれかに記載の医療用材料から形成されてなる
    ことを特徴とする医療用器具。
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