JP3108453B2 - 抗血液凝固性材料および医療用器具 - Google Patents

抗血液凝固性材料および医療用器具

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JP3108453B2
JP3108453B2 JP03061270A JP6127091A JP3108453B2 JP 3108453 B2 JP3108453 B2 JP 3108453B2 JP 03061270 A JP03061270 A JP 03061270A JP 6127091 A JP6127091 A JP 6127091A JP 3108453 B2 JP3108453 B2 JP 3108453B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な抗血液凝固性材
料および抗血液凝固性材料を用いた医療用器具に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、再生セルロースおよびセルロ
ース誘導体は、比較的抗血液凝固性の良好な素材であ
り、血液透析用膜などの医用高分子材料として用いられ
ている。しかし、その抗血液凝固性には限界があり、長
期の使用には耐えられないものであった。
【0003】そのような再生セルロース等の高分子材料
の抗血液凝固性を改善するために、抗血液凝固剤として
知られるヘパリンないしその類似化合物を高分子材料に
固定する方法などが提案されている(特開昭49−85
83号, 特開昭49−44590号、特開昭53−57
288号、特開昭59−46740〜46742号
等)。しかし、その効果は必ずしも十分ではなく、より
改善された抗血液凝固性材料の出現が要望されていた。
【0004】そこで本願出願人は、生体適合性に優れる
抗血液凝固材料として、下記に示す化2で表されるグリ
コシド誘導体、およびこのグリコシド誘導体とこれに共
重合可能な化合物を共重合させることにより得られた共
重合体が優れた抗血液凝固活性を発揮することを知見
し、先に出願している(WO90/04598号公
報)。
【化2】
【0005】[式中、G−O−は保護基を有しない糖残
基を示す。Rは水素原子又はメチル基を示す。mは1又
は2を示す。nは1〜4の整数を示す。lは1以上の整
数であり、l≦nである。]
【0006】そして、本発明者等は、さらに鋭意研究を
進めた結果、上記した共重合体のなかでも、2−メタク
リロイルオキシエチル−D−グリコシド(GEMA)と
メタクリル酸メチル(MMA)を共重合して得られたG
EMA/MMA共重合体が、当該GEMAとMMAの重
量組成比が1.0〜2.0:1.0のときに、特に優れ
た抗血液凝固活性を発揮することを知見した。しかしな
がら、上記組成比にかかるGEMA/MMA共重合体
は、親水性が高いグルコースを側鎖に持つため、強い水
膨潤性を示し、水系では強度が著しく低下する。従っ
て、このGEMA/MMA共重合体を血液と接触する面
に適用例えば、被覆、固定すると、血液中の水分を吸収
して脆弱化し、その一部に血液中の遊離する危険性があ
る。従って、より安全性が改善された抗血液凝固性材料
および医療用器具の提供が切望されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、高
い抗血液凝固性を発揮するとともに、長期間にわたり優
れた安全性を示す抗血液凝固材料、およびその抗血液凝
固材料を用いた医療用器具を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するもの
は、下記に示す化3で表される2−メタクリロイルオキ
シエチル−D−グリコシド(GEMA)とメタクリル酸
メチル(MMA)との共重合体であって、該GEMAと
MMAの重量組成比が、1.0〜2.0:1.0であ
り、かつ前記GEMAの一部の水酸基同士が脱水するこ
とにより自己架橋した部分自己架橋重合体であり、さら
に、該重合体を基材に塗布して測定される水の前進接触
角が80〜95゜である抗血液凝固性材料である。
【化3】
【0009】また、上記目的を達成するものは本発明
は、少なくとも血液と接触すべき面に、上記の抗血液凝
固性材料が付与されてなる医療用器具である。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
抗血液凝固性材料は、下記に示す化1で表される2−メ
タクリロイルオキシエチル−D−グリコシド(GEM
A)とメタクリル酸メチル(MMA)との共重合体であ
って、該GEMAとMMAの重量組成比が、1.0〜
2.0:1.0であり、かつ前記該GEMAの一部の水
酸基同士が脱水することにより自己架橋した部分自己架
橋重合体であり、さらに該重合体を基材に塗布して測定
される水の前進接触角が80〜95゜である。
【0011】本発明において使用される2−メタクリロ
イルオキシエチル−D−グリコシド(以下GEMAとい
う)は、下記に示す化4で表される側鎖にグルコース残
基を有する分子量292のグリコシド誘導体である。
【化4】
【0012】化4で表されるGEMAは、ヘテロポリ酸
および重合禁止剤の存在下に、下記に示す化5で表され
るメチルグリコシドと、
【化5】 下記に示す化6で表されるメタクリル酸2−ヒドロキシ
エチルを反応させることにより製造することができる。
【化6】
【0013】メチルグリコシドとメタクリル酸2−ヒド
ロキシエチルの反応は、ヘテロポリ酸および重合禁止剤
の存在下に、溶媒中または無溶媒下で行われる。反応温
度および反応時間は特に限定されないが、通常50〜1
10℃程度で1〜3時間程度行われる。メチルグリコシ
ドは、例えば、ケーニッヒ・クノール(koenigs-knor
r)法、フィッシャー(Fischer)のアルコーリシス法、
あるいは特開昭63−84637号記載の方法等によっ
て製造したものを用いることができる。メチルグリコシ
ドとメタクリル酸2−ヒドロキシエチルの反応モル比と
しては、1:2〜10程度が好ましい。
【0014】ヘテロポリ酸としては特に限定されない
が、例えば、リンモリブデン酸、シリコモリブデン酸、
リンタングステン酸、シリコタングステン酸等を使用す
ることができる。ヘテロポリ酸は、単独で使用してもよ
く、また2種以上を併用してもよい。ヘテロポリ酸の使
用量は特に限定されないが、通常メチルグリコシドの使
用量の1〜20重量%程度とすればよい。
【0015】重合禁止剤も特に制限されず、公知のもの
が使用される。その具体例としては、ハイドロキノンモ
ノメチルエーテル、ハイドロキノンモノエチルエーテ
ル、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルカテコール、ベ
ンゾキノン、ニトロソベンゼン、塩化第2銅、塩化第2
鉄等をあげることができる。重合禁止剤は、単独で使用
してもよく、または2種以上を併用してもよい。重合禁
止剤の使用量は特に限定されないが、通常メタクリル酸
2−ヒドロキシエチルの使用量の0.5〜5重量%程度
とすればよい。
【0016】溶媒としては、反応に影響を与えないもの
が使用でき、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、
1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタ
ン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロベン
ゼン等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、
キシレン等の芳香族炭化水素類、エチルエーテル、イソ
プロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテ
ル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレン
グリコールメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロ
フラン等のエーテル類をあげることができる。溶媒は、
単独でもあるいは2種以上の併用してもよい。
【0017】また、上記のGEMAは、酸触媒および重
合禁止剤の存在下反応系に酸素を供給しながら、メチル
グリコシドとメタクリル酸2−ヒドロキシエチルを反応
させることによっても製造できる。
【0018】酸触媒としては、特に制限されず公知のも
のが使用でき、例えば、硫酸、クロルスルホン酸、塩化
水素酸、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、三塩化リン、五
塩化リン、オキシ塩化リン、塩化第二スズ、塩化アルミ
ニウム、塩化鉄、塩化亜鉛等の無機酸、トルエンスルホ
ン酸、ラウリルスルホン酸、メタンスルホン酸、アルキ
ルベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸
等の有機スルホン酸、ラウリル硫酸、メチル硫酸、エチ
ル硫酸等の硫酸エステル類をあげることができる。ま
た、強酸性イオン交換樹脂、ナフィオン等の酸性高分子
等も酸触媒として使用できる。酸触媒は還元されがたい
ものが好ましい。酸触媒は単独または2種以上を併用し
て使用できる。酸触媒の使用量は特に制限されないが、
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル使用量の0.001
〜2.0重量%程度が好ましい。重合禁止剤としては上
記に例示したものを使用できる。また、使用量も同程度
でよい。
【0019】反応系に酸素を供給する方法としては、特
に制限されず、例えば、空気等の酸素を含む気体又は酸
素を反応混合物中に吹き込めばよい。酸素の吹き込み量
は特に制限されず、反応の進行状況に応じて適宜選択す
ればよいが、例えば全量40〜50リットル程度の反応
混合物には、30〜60リットル/h程度の酸素を供給
すればよい。上記反応は通常無溶媒下にて、通常80〜
130℃程度、好ましくは100〜120℃程度の温度
で行われ、通常2〜5時間程度で終了する。反応は攪拌
下で行うことが好ましい。上記反応により得られるGE
MAは、通常の精製手段、例えばシリカゲルクロマトグ
ラフィー、抽出分離等によって精製される。
【0020】本発明に係る抗血液凝固性材料は、上記の
方法によって得られたGEMAとメタクリル酸メチル
(MMA)との共重合体であって、GEMAとMMAの
重量組成比が、1.0〜2.0:1.0であり、かつG
EMAの一部の水酸基同士が脱水することにより自己架
橋した部分自己架橋重合体であり、さらに重合体を基材
に塗布して測定される水の前進接触角が85〜90゜で
ある。
【0021】上記のGEMAとMMAの共重合体(以
下、これをGEMA/MMA共重合体という)は、GE
MAとMMAを、仕込み重量比が、GEMA:MMA=
1.0〜2.0:1.0となるようにして混合し、通常
の方法でこれらを重合させることにより製造される。具
体的には、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合
法、乳化重合法、放射線重合法等があげられる。
【0022】例えば、溶液重合は、重合開始剤の存在下
または不存在下溶媒中にて行われる。重合開始剤として
は、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニ
トリル(AIBN)、過酸化ジ第3ブチル等の有機溶媒
系重合開始剤、過酸化アンモニウム(APS)、過酸化
カリウム等の水系重合開始剤、これらとFe2+塩や亜硝
酸ナトリウム等の還元剤とを組み合わせたレドックス系
重合開始剤等をあげることができる。溶媒としては、生
成するGEMA/MMA共重合体が溶解し得るものであ
れば特に限定されず、例えば、DMSO、極性溶媒(メ
タノール、イソプロパノール、アセトン等)をあげるこ
とができる。また、高分子量のGEMA/MMA共重合
体を得る場合には、溶媒としては連鎖移動定数の小さい
溶媒が好ましく、例えば、DMSO等をあげることがで
きる。一方低分子量のGEMA/MMA共重合体を得る
場合には、連鎖移動定数の大きい溶媒が好ましく、例え
ばイソプロパノール等をあげることができる。
【0023】重合成分、重合禁止剤および溶媒の使用割
合も特に制限されないが、通常重合成分100重量部に
対して、重合開始剤を5重量部程度を越えない範囲で、
および溶媒を過剰量、好ましくは200〜2000重量
部程度使用すればよい。
【0024】そして、重合反応は酸素の不存在下に行う
のが好ましい。例えば、脱気や窒素置換等の手段によ
り、重合系から酸素を除けばよい。また、重合反応は、
通常10〜200℃程度、好ましくは30〜120℃程
度の温度下に行われ、通常0.5〜48時間、好ましく
は2〜20時間程度で終了する。懸濁重合および乳化重
合は、溶液重合と同様にして行うことができる。
【0025】重合が終了した後は、例えば、得られたG
EMA/MMA共重合体をこれの貧溶媒に投入すること
により、重合反応物からGEMA/MMA共重合体を分
離採取および精製することができる。なお、採取された
GEMA/MMA共重合体を、例えば、さらに再沈殿法
等により精製してもよい。このようにして得られたGE
MA/MMA共重合体は、重量組成比がGEMA:MM
A=1.0〜2.0:1.0に調整されている。GEM
AとMMAの重量比を上記の範囲に設定することによ
り、高い抗血液凝固活性を発揮することができる。
【0026】このようにして得られたGEMA/MMA
共重合体は、通常下記に示す化7で表される繰り返し単
位(m)を25.5〜40.6モル%程度、好ましくは
30.0〜38.0モル%程度、より好ましくは32.
0〜36.0モル%程度含んでいる。
【化7】
【0027】[式中、G−O−は保護基を有しない糖残
基を示す。Rは水素原子又はメチル基を示す。mは1又
は2を示す。nは1〜4の整数を示す。lは1以上の整
数であり、l≦nである。]
【0028】また、このGEMA/MMA共重合体は、
親水性が高いグルコースを側鎖にもつため、強い水膨潤
性を示し、水系では強度が著しく低下する。従って、こ
のGEMA/MMA共重合体を血液と接触する面に適用
すると、血液中の水分を吸収して脆弱化し、その一部が
血流中に遊離する危険性がある。よって、本発明に係る
GEMA/MMA共重合体は、GEMAの一部の水酸基
同士を脱水させることにより自己架橋させて、水不溶性
とすることが必要である。
【0029】水酸基を自己架橋させる方法としては、酸
触媒を用いる方法が安全面から好ましく、具体的には、
GEMA/MMA共重合体を適当な溶媒に溶解し、酸触
媒を添加して加熱する方法をとればよい。酸触媒として
は、特に限定されないが、例えば、p−トルエンスルホ
ン酸(PTS)、塩酸、硫酸、塩化アンモニウム等をあ
げることができる。その使用量としては、GEMA/M
MA共重合体100重量部に対して、1.5〜2.5重
量部程度とすればよい。溶媒としては、上記した重合用
溶媒の中から選択すればよい。架橋反応は、通常70〜
180℃程度、好ましくは5〜60分程度の温度下に行
われ、通常1〜90分程度、好ましくは80〜150℃
程度で終了する。反応終了後、触媒は通常の方法に従っ
て反応系から簡単に除去できる。例えば、反応混合物を
水、メタノール、エタノール等に数分〜数時間程度浸漬
すればよい。
【0030】得られたGEMA/MMA共重合体の架橋
度は、水に対する前進接触角を指標として表すことがで
きる。一般に水に対する接触角は親水化が増すに従って
低下するが、GEMA系共重合体では、前進接触角はG
EMA比が高いほど大きな値となり、また後退接触角は
ほぼ0を示す。また、前進接触角は、GEMA/MMA
の架橋が進むと、それに従って低下する。従って、前進
接触角を測定することにより、GEMA/MMA共重合
体の架橋程度を知ることができる。具体的には、GEM
A/MMA共重合体の前進接触角は、80〜95゜程
度、より好ましくは85〜90゜程度とされる。前進接
触角が95゜以上であると、架橋が不十分なので、水を
吸収して脆弱化しやすく、一方、前進接触角が80゜以
下であっても、それ以上水不溶性が向上しない。
【0031】次に、本発明の医療用器具について説明す
る。本発明の医療用器具は、少なくとも血液と接触すべ
き面に、前記の抗血液凝固性材料が付与されてなる。G
EMA/MMA共重合体は、良好な成形性を有している
ので、それ自体を所望の形状に形成することにより、本
発明の医療用器具を製造することができる。成形方法は
特に限定されず、通常のプラスチック成形と同様に行え
ばよい。
【0032】また、医療用器具の具体例としては、人工
心肺回路システム、人工透析システム、血漿分離システ
ム、各種カテーテルなど体外循環システムについてはも
ちろんのこと、人工血管等の体内埋込型の人工器官をも
含む広い概念である。例えば、人工心肺システムにおい
ては、人工肺、貯血槽、バブルトラップ、遠心ポンプお
よびこれらを連結するチューブ等があげられる。また、
人工透析システムとしては、人工腎臓、血液チャンバ
ー、回路チューブ等があげら。
【0033】また、本発明のGEMA/MMA共重合体
を、基材の表面にコーテイングし、当該基材を血液と接
触する面に適用することにより、本発明の医療用器具を
製造してもよい。このような基材としては、例えば人工
肺を構成する中空糸の基材として、ポリプロピレン、ポ
リテトラフルオロエチレン、シリコーン等があげられ
る。また、人工腎臓を構成する中空糸の基材としては、
再生セルロース、セルロース誘導体、ポリメチルメタク
リレート、ポリアクリルニトリル、エチレンービニルア
ルコール共重合体、ポリカーボネート等があげられる。
また、人工血管の基材としては、ポリウレタン、ウレタ
ン−尿素コポリマー、ポリエステル、ポリテトラフルオ
ロエチレン等、カテーテルなどのチューブ類としてはポ
リ塩化ビニル、PTFEなどのフッ素樹脂などがあげら
れる。
【0034】基材に上記の抗血液凝固性材料を付与させ
る方法としては、当該抗血液凝固性材料を溶剤に溶解さ
せ、得られた溶液に基材を浸漬し、その後乾燥して溶剤
を除去することにより行うことができる。
【0035】溶剤としては、メタノール、エタノール、
イソプロピルアルコール等の極性有機溶媒と水系溶媒の
混合溶剤、あるいはジメチルスルフォキシド(DMS
O)等を使用することができる。また、本発明のGEM
A/MMA共重合体溶液の塗布量も特に制限されない
が、乾燥膜厚は通常0.1〜100μm程度となるよう
に塗布すればよい。乾燥は通常50〜150℃程度の温
度下で行われ、必要に応じて真空乾燥を行ってもよい。
【0036】このようにして製造された本発明に係る医
療用器具は、血液と接触する部位に抗血液凝固性材料が
付与されてなるので、優れた生体適合性を有している。
【0037】次に、実施例および比較例を示して本発明
をさらに詳細に説明する。
【実施例】
〈メチルグリコシド誘導体の合成〉メチルグリコシド
(STA-MEG 106、Horizon社製)19.4gを、メタクリ
ル酸2−ヒドロキシエチル140mlに懸濁させ、ハイ
ドロキノンモノメチルエーテル2.6gとリンモリブデ
ン酸1.0gを加え、よく混合攪拌したのち徐々に加熱
した。80〜90℃に達したところで、その温度を維持
しながら約2時間攪拌した後、2N水酸化ナトリウムで
中和した。得られた反応液を減圧下に濃縮し、次いで、
シリカゲルクロマトグラフィーに供した(溶離液、クロ
ロホルム:メタノール=9:1)。Rf=0.2の分画
物を濃縮し、2−メタクリロイルオキシエチル D−グ
ルコシド20.1gをオイル状物質として得た(収率6
8.8%)。
【0038】上記化合物の分析値は、以下の通りであ
る。 ・シリカゲルTLC:1スポット シリカゲルプレート;メルク社製、60F254 溶離
液;クロロホルム:メタノール=4:1 ・赤外吸収分析(液膜法、cm-1): 3400(O−H、糖の水酸基によるブロードなピー
ク) 2940(C−H) 1710(C=O、メタクリル酸エステルのカルボニ
ル) 1640(C=C、メタクリル酸残基の二重結合) 1450(CH2基の変角振動) その他、1050を中心として、糖残基に特有な形のブ
ロードな吸収を示す。
【0039】1H−NMR;δppm(D2O中) 6.2,5.6(m,=C2 ) 5.2(d,グルコースC−1水素(β−体)) 4.2〜4.5(m,COOC2 CH2およびグルコー
スC−1水素(α−体) 3.0〜4.2(m,CH22 OGlcおよびグルコ
ース環上の水素) 2.0(s,CH3
【0040】
【0041】〈重合体の合成〉2−メタクリロイルオキ
シエチル−D−グルコシド12.0g及びメタクリル酸
メチル8.0gをDMSO70mlに溶解した。この溶
液に、AIBN 25mgを添加し、窒素ガス気流中攪
拌下に、65℃で10時間反応させた。反応終了後、高
粘度の反応液を、DMSO70mlに希釈した後、2l
のアセトン中に投入して共重合体を沈殿させ、更に再沈
殿精製の後、共重合体18.8gを白色粉末として得た
(収率94%)ものを重合体1(GEMA:MMA=
6:4)とする。以下、同様にして、下記表1に示すよ
うに、GEMA:MMA=8:2の共重合体(重合体
2)、GEMA:MMA=4:6の共重合体(重合体
3)、GEMA:MMA=2:8の共重合体(重合体
4)を合成した。
【表1】
【0042】〈分子量測定〉東ソー(株)製高速GPC
装置(商品名HLC−8020)を用いて、以下の条件
で重量平均分子量を測定した。 カラム: TSKgel GMHXL 2本 溶媒: 10mM LiBrを含むDMF サンプル: 0.05%(w/w) DMF 200μ
l カラム温度:40℃ 流速: 0.5ml/min
【0043】〈試料調整〉重合体1〜4の2重量%ジオ
キサン/イソプロピルアルコール/水混合コーテイング
溶液(ジオキサン/イソプロピルアルコール/水の混合
比は、重合体の溶解性に応じて変化させた)を調整し、
必要に応じて架橋触媒としてp−トルエンスルホン酸、
もしくは硫酸を添加したものを作成し、下記表2に示す
ように、実施例1、2および比較例1〜7のコーティン
グ液を作成した(触媒の添加量は、重合体に対する重量
比である)。
【0044】基材としては、ポリカーボネート板(筒中
プラスチック(株)製、ポリカエースJISK−673
5)を水洗し、さらにフロン液で洗浄した後使用した。
そして、上記コーティング液を、バーコーターを用いて
乾燥後の膜厚が2〜3μmになるようにポリカーボネー
ト板にコーテイングし、100〜110℃で1時間熱風
乾燥し、サンプルシート1〜9を作成した。
【0045】〈前進接触角測定〉25℃の室内で、試料
にキャピラリーで純水1mlを注入しながら、上述のサ
ンプルシート1〜9の被膜の接触角を測定した。これら
の結果を表2に示す。
【表2】
【0046】〈血液適合性試験1〉3.8%クエン酸ナ
トリウムを収容したポリプロピレン製シリンジを用い
て、健常人の静脈血を採血し、これをポリプロピレン製
試験管に移注し、800r.p.m.で5分間遠心し、上澄み
の多血小板血漿(PRP)を採取し、3.8%クエン酸
ナトリウム希釈液にて希釈して血小板浮遊液を調整し
た。この血小板浮遊液の血小板数は60000個/mm
3であった。
【0047】血小板浮遊液0.2mlを、サンプルシー
ト1(実施例1)、2(実施例2)、5(比較例3)、
6(比較例4)、7(比較例5)および未処理のポリカ
ーボネート板上にそれぞれのせ、2mmの厚みをもた
せ、室温下で30分間接触させた。所定時間後、各試料
を3.8%クエン酸ナトリウム希釈液で洗浄し、次に
2.5%グルタルアルデヒド/乳酸リンゲル溶液中に試
料を一昼夜冷所保存して固定した。さらに3.8%クエ
ン酸ナトリウム希釈液にて洗浄し、エタノール系列で段
階脱水、風乾し、走査型電子顕微鏡(JSM−804、
日本電子製)にて観察した。評価法は、0.07mm2
に付着した血小板数とその形態変化を見た。形態変化は
下記の3種に分類した。その結果を第3表に示す
【表3】
【0048】〈血液適合性試験2〉コーティング液1
(実施例1)、5(比較例3)、7(比較例5)にエタ
ノールを添加して3重量%に調整し、この調整液100
ml中に再生セルロース中空糸膜(膜厚0.2mm)3
00本を30分間を浸漬し、溶液を排出させた。その
後、セルロース中空糸膜を100℃で2時間反応させ
て、サンプルA、BおよびC作成した。
【0049】そして、得られたサンプルA〜Cをそれぞ
れ300本用い、これを筒状容器内に挿入してポッティ
ング処理を行い、さらに所定箇所にヘッダー、キャップ
を装填することにより実施例3、比較例8および9のダ
イアライザーを作成した。また、未処理のセルロース中
空糸膜300本を用いて、比較例10のダイアライザー
を作成した。
【0050】ウサギを北島式固定台に背位固定し、つい
で、電動バリカンで術野の毛を刈り取り、酒精綿で精拭
した。ハサミで顎下から鎖骨に入るまで正中線に沿って
切開し、さらに筋膜を開き、神経、分岐血管および周囲
の組織を損傷しないように注意しながら、右(左)頚動
脈を剥離した。ついで左(右)顔面動脈を剥離し、1I
U/mlのヘパリン加生食水を満たした混注用ゴムキャ
ップを付けた留置カテーテル(テルモ株式会社製)を挿
入し、結紮固定した。同様に、前記動脈にもカテーテル
を挿入し、結紮固定した。
【0051】このようにして準備したウサギ20につい
て、上記の実施例3、比較例8、9、10のダイアライ
ザーを用いて実験を行った。実験回路は、図1に示すよ
うに、ウサギ20の動脈に連結されたカテーテル21を
ポンプ22に連結し、さらにチャンバー23とウサギ2
0の静脈とをカテーテル25で連結し、ポンプ22とダ
イアライザー1とはチューブ26で連結し、チューブ2
6はマノメータのイン27側に接続した。さらにダイア
ライザー1とマノメータのアウト24側に接続したチャ
ンバー23とはチューブ28で接続した。一方、ダイア
ライザー1の透析液出入口は、チューブ29で接続し、
チューブ29にはポンプ30を設置するとともに、37
℃の水浴31内に浸漬した。
【0052】このようにして構成された回路は、1IU
/mlのヘパリン加生食水(100ml)でプライミン
グし洗浄を行った。体外循環は、血流量を10ml/分
に設定して行った。なお、体外循環中は抗凝固剤を一切
使用しなかった。循環開始後、5分、10分、15分、
20分、30分、45分、60分、120分後に1ml
採血し、採血した血液を1.5%EDTA−2Na生理
食塩水にて抗凝固処理した後、ELT−8(Orth Instr
ument 社製)にて血球数を算定した。
【0053】その結果得られた血小板数(PLT)およ
びヘマトクリット値(HCT)を表4〜7に示す。表4
は、実施例3のダイアライザーを用いた実験結果、表5
は、比較例8のダイアライザーを用いた実験結果、表6
は、比較例9のダイアライザーを用いた実験結果、表7
は、比較例10のダイアライザーを用いた実験結果を示
している。なお血小板数は下記に示す数1を用いてHt
値補正を行い、循環開始直前のHt値として表した。
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【数1】
【0054】〈血液適合性試験3〉コーテイング液1
(実施例1)、5(比較例3)、7(比較例5)をポリ
エチレンテレフタレート製チューブ(テルモ株式会社
製、ベノジェクトII)内に充填し、所定時間後、溶液を
排出して、さらに60℃2時間乾燥させ、チューブA
(実施例4)、B(比較例11)およびC(比較例1
2)を得た。上記の実施例4、比較例11、12のチュ
ーブと、未処理のポリエチレンテレフタレート製チュー
ブ(比較例13)を37℃で15分間保持し、3.8%
クエン酸ナトリウムを収容したポリプロピレン製シリン
ジを用いて、健常人の静脈血を採血し、この血液0.1
mlをチューブA〜C内に入れ、1分間保持した。さら
に上記のそれぞれのチューブ内に,37℃で15分間保
持した0.25MCaCl水溶液0.1mlを注入し、
30秒毎にチューブを傾け、血液が凝固して流動性がな
くなるまでの時間を測定した。その結果を表8に示す。
【表8】
【0055】以上の結果より、本発明に係る抗血液凝固
性材料は、高い抗血液凝固性を発揮するとともに、長期
間にわたり優れた安全性を示すことが示された。
【0056】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明に係る抗
血液凝固性材料は、上述の化1で表される2−メタクリ
ロイルオキシエチル−D−グリコシド(GEMA)とメ
タクリル酸メチル(MMA)との共重合体であって、該
GEMAとMMAの重量組成比が、1.0〜2.0:
1.0であり、かつ前記GEMAの一部の水酸基同士が
脱水することにより自己架橋した重合体であり、さらに
該重合体を基材に塗布して測定される水の前進接触角が
80〜95゜であり、この抗血液凝固性材料は高い抗血
液凝固性を発揮するとともに、長期間にわたり優れた安
全性を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に用いた実験回路の模式図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中西 毅 静岡県富士宮市舞々木町150番地 テル モ株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−188870(JP,A) 特開 平2−275892(JP,A) 特開 平3−146586(JP,A) 特表 平3−500014(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61L 33/00 - 33/18

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記に示す化1で表される2−メタクリ
    ロイルオキシエチル−D−グリコシド(GEMA)とメ
    タクリル酸メチル(MMA)との共重合体であって、該
    GEMAとMMAの重量組成比が、1.0〜2.0:
    1.0であり、かつ前記該GEMAの一部の水酸基同士
    が脱水することにより自己架橋した部分自己架橋重合体
    であり、さらに該重合体を基材に塗布して測定される水
    の前進接触角が80〜95°であることを特徴とする抗
    血液凝固性材料。 【化1】
  2. 【請求項2】 少なくとも血液と接触すべき面に、請求
    項1に記載の抗血液凝固性材料が付与されたことを特徴
    とする医療用器具。
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