JP2929059B2 - 連続鋳造法 - Google Patents

連続鋳造法

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国彦 渡邉
宏美 高橋
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、連続鋳造鋳片の厚み中
心部に見られる不純物元素、たとえば鋼鋳片の場合に
は、硫黄、燐、マンガン等の偏析を防止し、均質な金属
を得ることのできる連続鋳造における軽圧下方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、海洋構造物、貯槽、石油およびガ
ス運搬用鋼管、高張力線材などの材質特性に対する要求
は厳しさを増しており、均質な鋼材を提供することが重
要課題となっている。
【0003】元来鋼材は断面内において均質であるべき
ものであるが、鋼は一般に硫黄、燐、マンガン等の不純
物元素を含有しており、これらが鋳造過程において偏析
し、部分的に濃化するため鋼が脆弱となる。
【0004】特に近年、生産性や歩留の向上および省エ
ネルギー等の目的のために連続鋳造法が一般に普及して
いるが、連続鋳造により得られる鋳片の厚み中心には通
常顕著な成分偏析が観察される。
【0005】上記した成分偏析は最終成品の均質性を著
しく損ない、成品の使用過程や線材の線引き工程等で鋼
に作用する応力により亀裂が発生するなど重大欠陥の原
因になるため、その低減が切望されている。
【0006】かかる成分偏析は、凝固末期に残溶鋼が凝
固収縮力等によって流動し、固液界面近傍の濃化溶鋼を
洗い出し、残溶鋼が累進的に濃化していくことによって
生じる。
【0007】従って、成分偏析を防止するには、残溶鋼
の流動原因を取り除くことが肝要である。
【0008】このような溶鋼流動を防止する方法とし
て、特開昭62―275556に開示されているよう
な、鋳片中心部温度が液相線温度から固相線温度に至る
までの間鋳片を凝固収縮を補償する量以上の圧下を施す
軽圧下法が一般的に行われている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】軽圧下法は鋳片中心部
温度が液相線温度から固相線温度に至るまでの間鋳片を
凝固収縮を補償する量以上の圧下を施して、溶鋼流動を
防止する一般的な方法である。
【0010】しかしながら、キャストスタート時から定
常状態と同じ鋳造速度で鋳造を開始する鋳造パターンで
は、2チャージ目以降では、鋳片は十分に圧下され、偏
析は抑制されるが、最初の1チャージ目においては鋳片
への圧下が不十分であることを示す正V偏析傾向と不純
物元素の濃化が発生するという間題がある。
【0011】本発明は、このようなキャストスタート時
の溶鋼流動を防止し、偏析を改善することを目的とする
ものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明法は、上記問題点
を有利に解決するものであり、その構成は、 1)鋳片を連続的に引き抜く溶融金属の連続鋳造法の軽
圧下法において、キャストスタート時に定常状態の鋳造
速度よりも増速することを特徴とする連続鋳造法、
【0013】2)鋳片を連続的に引き抜く溶融金属の連
涜鋳造法の軽圧下法において、キャストスタート時か
ら、鋳造長さで10〜30mの長さまで、定常状態の鋳
造速度よりも増速することを特微とする連続鋳造方法、
【0014】3)定常状態よりも、該鋳造速度の1〜1
5%分増速する事を特徴とする請求項1あるいは2記載
の連続鋳造法、である。
【0015】以下にその詳細を説明する。
【0016】図3はキャストスタート時から定常状態と
同じ鋳造速度で鋳造を開始した際の連鋳機のロール表面
温度である。
【0017】図4はキャストスタート時から定常状態と
同じ鋳造速度で鋳造を開始した際の鋳片の表面温度であ
る。
【0018】図3及び4からキャストスタート時にはロ
ールが冷えており、鋳片の抜熱が進み、凝固が進行する
という見掛け上強冷却状態となる。
【0019】つまり、鋳片が軽圧下帯に入る際には固相
率が高い状態で、軽圧下適正固相率を外れているため
に、十分に軽圧下が働かない。
【0020】本発明者らはこれに着目し、検討を重ね
て、本発明に至った。
【0021】即ち、鋳造速度を増速することにより、鋳
片の抜熱が抑えられ、過冷却状態になるのを防ぐことに
より、軽圧下帯入口での固相率を適正な範囲に維持し
て、溶鋼流動を抑制することによって、偏析レベルの悪
化を防ぐ。
【0022】その際に、増速の範囲は鋳片長さでキャス
トスタート位置から10〜30mに適用するのが望まし
く、その理由としては、<10mでは、鋳片の抜熱が定
常状態よりも進むことによる強冷却の影響が大きく残っ
たままとなり、増速の効果が有効に働かない可能性があ
り、また、>30mでは、ロールの温度もほぼ定常状態
に近づいて、もはや強冷却の状態では無いため、増速を
続けると鋳片を過圧下することとなり、逆V偏析が発生
する可能性があるためである。
【0023】また、増速率1〜15%にするのが望まし
く、その理由としては<1%では、増速の効果が不確か
であり、>15%では、鋳片を過圧下することとなって
逆V偏析が生じる可能性があるためである。
【0024】
【実施例】定常状態の鋳造速度が0.90m/minで
ある高炭素鋼を、厚み300mm×巾500mmの連鋳
機において、キャストスタート位置から鋳片長さで0〜
20mの範囲を0.95m/minで鋳造した速度パタ
ーンを図3に示す。
【0025】図1は縦軸に鋳造速度を、横軸に鋳造長を
示す。実線は本発明法の鋳造速度の増速パターンを、点
線は増速の無い従来のパターンを示す。
【0026】図2は上記実施例の結果を表す図である。
縦軸にV偏析指数測定結果を、横軸に鋳造長を示す。実
線は本発明法の結果を、点線は従来のパターンの結果を
示す。
【0027】本発明の速度パターンでは、従来のパター
ンに比較してキャストスタート1チャージ目からの溶鋼
の流動が抑えられて、2チャージ目以降の定常状態と同
等の、溶鋼流動の抑制によって良好な偏析レベルが得ら
れる効果が確認されている。
【0028】
【発明の効果】本発明法により、キャストスタート時の
軽圧下が従来法では、十分に働かなかった場合において
も、圧下速度を適正化することができ、溶鋼流動を抑制
し、キャスト1チャージ目の偏析レベルを定常状態と同
等レベルにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】キャストスタート時の速度パターンについて、
本発明法と従来法とを比較した図。
【図2】キャストスタート時のV偏析指数について、本
発明法と従来法とを比較した図。
【図3】キャストスタート時のロール表面温度推移を表
す図。
【図4】キャストスタート時の鋳片表面温度推移を表す
図。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−50201(JP,A) 特開 平4−33757(JP,A) 特開 平1−306059(JP,A) 特開 平1−228656(JP,A) 特開 平1−170566(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B22D 11/128 B22D 11/20

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳片を連続的に引き抜く溶融金属の連続
    鋳造法の軽圧下法において、キャストスタート時に定常
    状態の鋳造速度よりも増速することを特徴とする連続鋳
    造法。
  2. 【請求項2】 鋳片を連続的に引き抜く溶融金属の連続
    鋳造法の軽圧下法において、キャストスタート時から、
    鋳造長さで10〜30mの長さまで、定常状態の鋳造速
    度よりも増速することを特徴とする連続鋳造法。
  3. 【請求項3】 定常状態よりも、該鋳造速度の1〜15
    %分増速する事を特徴とする請求項1あるいは2記載の
    連続鋳造法。
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