JP2927007B2 - 薬物徐放性リン酸カルシウムセメント - Google Patents

薬物徐放性リン酸カルシウムセメント

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JP2927007B2 JP3029048A JP2904891A JP2927007B2 JP 2927007 B2 JP2927007 B2 JP 2927007B2 JP 3029048 A JP3029048 A JP 3029048A JP 2904891 A JP2904891 A JP 2904891A JP 2927007 B2 JP2927007 B2 JP 2927007B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はリン酸カルシウムセメン
トを基材とする薬物徐放性セメントに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、生体適合性の良い薬物徐放性材料
としては、例えば特開昭59−101145号公報や特
開昭60−106459号公報において、抗生剤や抗ガ
ン剤を多孔性のセラミックスと組合せたものが提案され
ている。しかしながら、前記薬物徐放性材料はいずれも
ある一定の形状を有するセラミックス材が基材であり、
術前又は術中に埋入部位に合わせて加工を施さなければ
ならないという問題がある。
【0003】一方、前記薬物徐放性材料として、リン酸
カルシウム系セメントが開発されている。前記リン酸カ
ルシウム系セメントは、術前又は術中に粉剤と液剤とを
混合し、ペースト状としたものを、埋入部位に注入放置
し、硬化させるので、非常に取り扱いが容易である。し
かしながら前記リン酸カルシウム系セメントの殆んど
は、例えば特開昭60−253454号公報に開示され
るように、液剤としてかなり高濃度の酸を用いているた
め、セメントの硬化が終了するまでは生体刺激が激し
く、また硬化後も未反応の酸の溶出によりpHが低下
し、その結果として生体に刺激を与え、更には薬効が低
下するなどの問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、生体
親和性に優れ、薬物をすべて放出した後も生体内から取
り出す必要が無く、また中性付近のpHで硬化するの
で、生体刺激性が少なく、混合した薬物の薬効を損うこ
とのない薬物徐放性リン酸カルシウムセメントを提供す
ることにある。
【0005】本発明の別の目的は、操作性に優れ任意の
場所に充填することのできる薬物徐放性リン酸カルシウ
ムセメントを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、粉剤と
液剤とから成り、且つ薬物を含有するリン酸カルシウム
セメントであって、該リン酸カルシウムセメントの粉剤
の主成分が、Ca/Pモル比1.40〜1.498とな
るように混合したα型第3リン酸カルシウムと第2リン
酸カルシウムとの混合物であることを特徴とする薬物徐
放性リン酸カルシウムセメントが提供される。
【0007】以下本発明を詳細に説明する。
【0008】本発明の薬物徐放性リン酸カルシウムセメ
ントは、特定のCa/Pモル比を有するα型第3リン酸
カルシウムと第2リン酸カルシウムとの混合物を粉剤の
主成分とすることを特徴とする。
【0009】本発明の薬物徐放性リン酸カルシウムセメ
ントにおいて、粉剤の主成分として用いるα型第3リン
酸カルシウムと第2リン酸カルシウムとは、水の存在下
にて反応し、リン酸8カルシウムを生成し、硬化する成
分である。前記第2リン酸カルシウムとしては、市販の
第2リン酸カルシウム2水和物等を好ましく挙げること
ができる。また前記反応は、pH6〜8で最も速やかに
進行する。
【0010】前記α型第3リン酸カルシウムと第2リン
酸カルシウムの混合割合は、Ca/Pモル比で1.40
〜1.498の範囲とする必要があり、更に強度をより
高くする為に、Ca/Pモル比を1.47〜1.495
とするのが好ましい。前記Ca/Pモル比が1.40未
満若しくは1.498を超える場合には、硬化体の強度
が低下するので前記範囲とする必要がある。
【0011】また前記粉剤としては前記α型第3リン酸
カルシウム及び第2リン酸カルシウムのみで十分である
が、必要に応じて生体親和性に富むハイドロキシアパタ
イト、β型リン酸カルシウム、硫酸バリウム等のX線造
影剤等を添加して用いてもよい。
【0012】本発明において用いる液剤としては、水の
みでも十分であるが、操作性をより向上させるために、
コンドロイチン硫酸ナトリウムやヒアルロン酸ナトリウ
ム等のムコ多糖類を、また硬化時間を短縮するためにコ
ハク酸ナトリウムや乳酸ナトリウム等の水溶性ナトリウ
ム塩類等を添加して用いてもよい。
【0013】前記粉剤と液剤との配合割合は、重量比で
300〜50:100の範囲とするのが好ましい。前記
粉剤の配合割合が50未満の場合には、硬化に長時間を
要し、300を超えると練和時の操作性が低下するので
好ましくない。
【0014】本発明の薬物徐放性リン酸カルシウムセメ
ントにおいて使用する薬物としては、抗生剤、抗ガン
剤、骨形成因子(BMP)等の特別の作用を有するタン
パク質等を好ましく挙げることができる。前記抗生剤
は、化学構造や活性の相違により、更にペニシリン系、
セフェム系、アミノグリコミド系、テトラサイクリン
系、マクロライト系、モノバクタム系等に分類すること
ができる。前記薬物を具体的に列挙すると、塩酸テトラ
サイクリン、塩酸ドキシサイクリン、エリスロマイシ
ン、ジョサマイシン、スルベニシリンナトリウム、セフ
ァゾリンナトリウム、マイトマイシンC等を好ましく挙
げることができる。
【0015】前記薬物の配合割合は、使用する薬物の有
効濃度以上であって、充填される動物等に害を及ぼさな
い程度であれば特に限定されるものではない。
【0016】本発明の薬物徐放性リン酸カルシウムセメ
ントを調整する際のpHは、通常前記薬物の薬効が、p
H6〜8の中性付近にて最も良く発揮され、酸性又はア
ルカリ性の環境下においては不安定となり急速に薬効を
失う(例えば、塩酸テトラサイクリンや塩酸ドキシサイ
クリンは、酸には強いがアルカリには弱く、またエリス
ロマイシンやジョサマイシンは酸に弱く、更には、スル
ベニシリンナトリウム、セファゾリンナトリウム、マイ
トマイシンC等は中性では安定ではあるが、酸性及びア
ルカリ性の環境下では不安定である)ので、また前記α
型第3リン酸カルシウムと第2リン酸カルシウムとの反
応が、pH6〜8で最も良く進行するので、pH6〜8
とするのが好ましい。
【0017】本発明の薬物徐放性リン酸カルシウムセメ
ントを調整するには、前記薬物が粉末状の場合には、前
記リン酸カルシウムセメントの粉剤に予め混合し、得ら
れた粉剤と液剤とを、また水に易溶な薬物、例えば塩酸
テトラサイクリンやセファゾリンナトリウム等を用いる
場合には、予め液剤に溶かして配合し、得られた液剤と
粉剤とをそれぞれ混合する等して得ることができる。
【0018】本発明の薬物徐放性リン酸カルシウムセメ
ントを使用するには、該粉剤及び液剤を練和したペース
ト若しくは硬化したセメントを埋入部位に充填すること
により使用することができる。この際、本発明の薬物徐
放性リン酸カルシウムセメントは、生体親和性の良いリ
ン酸カルシウムセメントを粉剤の主成分として用いてい
るので、薬効がなくなったと認められた後でも体内から
取り出す必要がない。
【0019】また本発明の薬物徐放性リン酸カルシウム
セメントの極めて有効な使用方法として、例えば人工関
節の置換手術に本発明の薬物徐放性リン酸カルシウムセ
メントを併用し、抗生剤等の薬物の放出により手術後の
感染を防止するとともに、本来の生体親和性に富む生体
用セメントとして、すなわち周囲に新生骨を誘導し、人
工関節と骨とを接合させる使用方法等が考えられる。
【0020】
【発明の効果】本発明の薬物徐放性リン酸カルシウムセ
メントは、生体親和性に富む特定組成のリン酸カルシウ
ムセメントを基材としているため、操作性に優れ、任意
の場所に充填することができ、また中性付近のpHで硬
化するので、薬物の薬効を損なう心配がなく、かつ生体
刺激性が低い。更には生体親和性に優れているので薬物
がすべて放出されたあとも、生体外に取り出す必要がな
く、薬物徐放性セメントとして有用である。
【0021】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を更に
詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
【0022】
【参考例1】α型第3リン酸カルシウムと第2リン酸カ
ルシウム(和光純薬工業株式会社製;第2リン酸カルシ
ウム2水和物,特級)とをCa/Pモル比が1.40、
1.43、1.46、1.47、1.495、1.49
8になるようにそれぞれ混合し、セメント粉剤を得た。
次いで得られた粉剤100重量部と液剤として水60重
量部とを、練和し、硬化させた。硬化時のセメントペー
ストのpHをリトマス試験紙を用いて測定したところ、
いずれもpH6〜8の範囲内であった。また硬化時間及
び得られたセメント硬化体の圧縮強度を測定した。結果
を表1に示す。硬化時間はJIS R5201に準じ、
また圧縮強度は、セメント硬化体(7mmφ,14mmL)
を人工体液に3日間浸漬した後、取り出して濡れた状態
でインストロン社製万能試験機を使用して測定した。
【0023】
【参考例2】α型第3リン酸カルシウムと第2リン酸カ
ルシウムとをCa/Pモル比1.33及び1.499と
した以外は、参考例1と同様にして硬化時間と圧縮強度
を測定した。結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【実施例1】α型第3リン酸カルシウムと第2リン酸カ
ルシウムとをCa/Pモル比が1.48となるように混
合したセメント粉剤3gに、市販の注射用セファゾリン
ナトリウム水溶液(藤沢薬品工業株式会社製)を1.6
g混合し、得られた混合物(以下セメント混合物Aとい
う)を用いて、5mmφ、3mmLの円盤を5個作製した。
得られた円盤を100mlの生理食塩水中に入れ、紫外
吸収法を用いて薬物の溶出状態を調べたところ、1日で
約50重量%、3日で約70重量%が溶出し、その後徐
々に減少し、2週間後にほぼすべて溶出した。つまり2
週間にわたって薬効が持続すると思われる。
【0026】
【実施例2】実施例1で調製したセメント混合物Aを用
いて、最大径1〜2mmφの顆粒状硬化体を作製した。一
方、犬の大腿骨に人工的に骨髄炎を生じさせ、皮質骨を
切除し、炎症部を掻爬した後、該欠損部に上記顆粒を充
填した。また前記セメント混合物Aをペースト状のま
ま、同様の処置を施した他の犬の欠損部に注入し充填し
た。
【0027】術後3ヶ月にて患部を切開して状態を確認
したが、3ケ月後にはいずれの場合も硬化したセメント
は多量の新生骨に取り囲まれており、骨の欠損は完全に
治癒しているのが認められた。また、いずれの場合にお
いても骨髄炎の再発は認められなかった。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 47/02 A61K 47/02 C A61L 27/00 A61L 27/00 J C04B 12/02 C04B 12/02 (56)参考文献 特開 昭64−37445(JP,A) 特開 平2−255606(JP,A) 特開 昭61−47401(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 9/00 A61K 6/033 A61K 45/00 ADU A61K 45/00 ADZ A61K 47/02 A61L 27/00 C04B 12/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉剤と液剤とから成り、且つ薬物を含有
    するリン酸カルシウムセメントであって、該リン酸カル
    シウムセメントの粉剤の主成分が、Ca/Pモル比1.
    40〜1.498となるように混合したα型第3リン酸
    カルシウムと第2リン酸カルシウムとの混合物であるこ
    とを特徴とする薬物徐放性リン酸カルシウムセメント。
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