JP2926222B2 - 屋外用アクリル系塗料組成物 - Google Patents

屋外用アクリル系塗料組成物

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JP2926222B2 JP28706396A JP28706396A JP2926222B2 JP 2926222 B2 JP2926222 B2 JP 2926222B2 JP 28706396 A JP28706396 A JP 28706396A JP 28706396 A JP28706396 A JP 28706396A JP 2926222 B2 JP2926222 B2 JP 2926222B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、屋外用アクリル系塗料
組成物に関する。特に、スプレー塗装により道路マーキ
ング(路面標示)等に使用するのに好適な発明である。
本発明の塗料組成物は、当然、壁面や床面にも使用可能
である。
【0002】以下に、本明細書で使用する略語の一覧を
示す。
【0003】AEH:2−エチルヘキシルアクリレー
ト、 BA:n−ブチルアクリレート BMA:n−ブチルメタクリレート、 i−BMA:i−ブチルメタクリレート、 BPO:ベンゾイルパーオキサイド、 DMPT:ジメチルパラトルイジン、 MMA:メチルメタクリレート、 TMPTMA:トリメチロールプロパントリメタクリレ
ート、
【0004】
【従来の技術】スプレー用路面標示材としては、従来、
溶剤タイプである一液型アクリル系又はアルキッド系塗
料組成物が主流であった。しかし、近年、薄膜タイプで
耐久性のある二液型アクリル系塗料組成物が使われるよ
うになった。
【0005】無溶剤タイプは、主剤が、アクリル系プレ
ポリマー(分子量20000前後のアクリル系中間重合
体とアクリル系モノマーとの混合物)をビヒクルとし、
これに顔料、体質材、各種添加材を添加したものであ
る。この主剤には、通常、エアスプレー塗布可能な粘度
へ調整するために、通常、アクリル系モノマーを添加す
る。
【0006】この主剤とBPO希釈物等の硬化剤とを、
二液型エアレスポンプ等を使用して、スタティックミキ
サーで混合し、スプレー塗布していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そして、上記二液型の
アクリル系塗料組成物で塗膜厚が薄膜(400μm以
下)のマーキングを行った場合、冬季において外気温が
0℃近くなると、硬化時間(指触乾燥時間)が1時間以
上と非常に長くかかることが分かった。 その理由は、
下記の通りと推定される。
【0008】夏場は雰囲気温度(反応温度)が高いた
め、また、冬場でも塗膜厚が厚い場合は、重合反応によ
り発熱・蓄熱して反応温度が高くなるため、それぞれ硬
化時間が短い。反応速度は、反応温度の指数関数的影響
を受ける。
【0009】しかし、上記の如く冬場でしかも塗膜厚が
薄膜(400μm以下)の場合、反応熱が外気に奪われ
て蓄熱せず、反応温度が低い状態に維持されるため、硬
化に時間がかかる。
【0010】このため、交通を遮断して行う道路マーキ
ングに使用する二液型アクリル系塗料の硬化時間の短縮
化が希求されていた。また、塗膜厚の薄いことが、材料
節減の見地から望ましく、そして、昨今、塗膜厚を薄く
する傾向にある。
【0011】さらに、道路マーキングにおいては、後に
反射効果を付与するために、ガラスビーズを散布するこ
とがある。その場合の、塗膜とガラスビーズとの接着性
も薄膜タイプの二液型アクリル塗料の場合、十分とはい
えなかった。
【0012】本発明は、上記にかんがみて、二液型のア
クリル系塗料組成物において、冬場塗膜厚の肉厚に関係
なく、硬化時間の短い屋外用アクリル系塗料組成物を提
供することを目的とする。
【0013】本発明の他の目的は、ガラスビーズとの接
着性の向上が期待できる屋外用アクリル系塗料組成物を
提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明に係る屋外用アクリル系塗料組成物は、上記
第一の目的を、下記構成により解決するものである。
【0015】 ビヒクル成分に顔料、体質材その他の塗
膜改質剤が添加されてなる第一液(主剤)と、有機過酸
化物を含有する第二液(硬化剤)とからなる二液型のア
クリル系塗料組成物において、ビヒクル成分が、数平均
分子量(M)2000〜30000のアクリル系中間
重合体と、M:35000〜200000のアクリル
系高重合体と、アクリル系モノマーとの三成分系であ
該ビヒクル成分の組成が、アクリル系中間重合体と
アクリル系高重合体とからなる重合体成分20〜50w
t%、アクリル系モノマー成分80〜50wt%で、重
合体成分中のアクリル系中間重合体とアクリル系高重合
体の重量比率が、前者/後者=1/2〜2/1である
とを特徴とする。
【0016】 (2)上記第二の目的、本発明の屋外
用塗料組成物は、ビヒクル成分を、三成分系とするとと
もに、添加剤として脂肪酸エステルを含有する構成によ
り解決するものである。
【0017】
【手段の詳細な説明】次に、上記手段の各構成について
詳細な説明をおこなう。以下の説明で、配合部数を示す
「部」は、特に断らない限り「重量部」を意味する。
【0018】(1) 本発明の屋外用アクリル系塗料組成物
は、ビヒクル成分に顔料、体質材その他の添加剤が添加
されてなる第一液(主剤)と、有機過酸化物を含有する
第二液(硬化剤)とからなる二液型のアクリル系塗料組
成物であることを前提的要件とする。
【0019】ここで、顔料としては、通常、路面マーキ
ングの場合、酸化チタン、亜鉛華、等の白色顔料を使用
する。
【0020】また、体質材は、通常、顔料の着色性を損
なわない炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム等の白
色系フィラーを使用する。
【0021】その他添加剤としては、従来、二成分の場
合添加していた架橋剤、硬化促進剤、更には、パラ
フィンワックス、紫外線吸収剤等の他に、高重合体をビ
ヒクル成分としたため、チキソトロピー性付与剤、及
び分散剤(顔料及び体質材のケーキング防止)を、通
常、使用される。
【0022】架橋剤…トリメチルプロパンメタクリレ
ート、エチレングリコールジメタクリレート等 硬化促進剤…N,N′−ジメチル−p−トルイジン、
N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−p−トル
イジン等 チキソトロープ性付与剤…アエロジル等 分散剤…脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ショ
糖エステル等の脂肪酸エステル系界面活性剤(ガラスビ
ーズ接着性改善作用を奏し望ましい)。 また、有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイ
ド等を使用できる。
【0023】第一液中のビヒクル成分の含量は、通常、
30〜80wt%、望ましくは、50〜70wt%とする。
【0024】(2) 上記のおいて、本実施形態では、ビヒ
クル成分が、数平均分子量(Mn )2000〜3000
0、望ましくは、8000〜25000のアクリル系中
間重合体と、Mn:35000〜200000、望ましく
は、50000〜100000のアクリル系高重合体
と、アクリル系モノマーとの三成分系であることを特徴
とする。
【0025】ここで、中間重合体は、分子量分布指数
(MW /Mn )1.4〜2.0、望ましくは、1.6〜
1.9のものを用いる。
【0026】この三成分系とすることにより、低温、薄
膜における塗膜の硬化速度が、格段に早くなる(表1参
照)。
【0027】その理由は、高重合体と中間重合体及び溶
媒であるモノマーの共存により、硬化反応に際し、界面
側に高重合体の膜が先に形成され、放熱現象が抑制され
るものと推定される。
【0028】上記、三成分系の配合比率は、通常、重合
体成分20〜50wt%(望ましくは30〜40wt%)、
モノマー成分80〜50wt%(望ましくは70〜60wt
%)、重合体成分の中間重合体と高重合体の重量比率
は、前者/後者=1/2〜2/1(望ましくは1/1.
5〜1.5/1)とする。
【0029】 上記重合体成分としては、例えば、メチ
ル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メ
タ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、
2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のメタクリ
レート、アクリレートのホモポリマー、コポリマーを好
適に使用できるが、(メタ)アクリル酸を適宜重合させ
たものでもよい。
【0030】 上記モノマー成分としては、例えば、メ
チルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタ
クリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート、トリメチロールプロパ
ントリメタクリレートのうちから1種又は2種以上を選
択して使用することができるが、上記重合体成分で使用
する(メタ)アクリル酸、更にはアクリルニトリル等も
使用可能である。
【0031】
【発明の効果】本発明の屋外用アクリル系塗料組成物
は、上記構成により、後述の実施例で支持される如く、
二液型のアクリル系塗料組成物において、冬季における
塗膜厚が薄くても、硬化時間が短いという効果を奏す
る。即ち、冬季におけるマーキング時の、交通遮断時間
の短縮化が図れる。
【0032】また、添加剤として脂肪酸エステル含有さ
せることにより、ガラスビーズとの接着性の向上も期待
できる。
【0033】
【実施例】以下、本発明の効果を確認するために比較例
とともに行った実施例について説明をする。
【0034】<実施例・比較例> (1) 実施例1:下記配合処方に基づいて第一液(主剤)
を混合して調製した。
【0035】なお、中間重合体は、MMA/BMA(5
4/46)系共重合体、Mn :11000,Mw /M
n :1.75のものを使用した。
【0036】高重合体は、MMA/BMA(55/4
5)系共重合体、Mn :35000、Mw /Mn :1.
57のものを使用した。
【0037】モノマーは、MMA/BA/AEH(40
/55/5)混合系のものを使用した。
【0038】配合処方 中間重合体 12部 高重合体 10部 モノマー 36部 白色顔料(酸化チタン) 15部 体質材(炭酸カルシウム) 23.5部 添加剤 粘度調整剤(アエロジル) 0.2部 分散剤 0.5部 (脂肪酸多価アルコールエステル) 架橋剤(TMPTMA) 2.0部 硬化促進剤(DMPT) 0.2部 パラフィンワックス 0.6部 上記のようにして調製した主剤(第一液)と、BPO4
0%希釈液からなる硬化剤(第二液)と、第一液/第二
液=100部/7部とからなるるものである。
【0039】(2) 実施例2:実施例1において、高重合
体を、i−BMA単独重合体、Mn :81000、Mw
/Mn :1.54とした以外は、全て同じである。
【0040】(3) 比較例1:実施例1において、ビヒク
ル成分として高重合体をなくし、中間重合体22部、モ
ノマー36部とし、さらに、添加剤として、粘度調整剤
及び分散剤を使用しなかった以外は、全て同じである。
【0041】(4) 比較例2:実施例1において、ビヒク
ル成分として中間重合体をなくし、高重合体22部、モ
ノマー36部とし、さらに、添加剤として、粘度調整剤
を使用しなかった以外は、全て同じである。
【0042】<試験例> (1) 乾燥時間テスト各実施例・比較例の各塗料組成物
を、ガラス基材上に滴下してスリッターで、それぞれ、
200μm、600μmの膜厚になるように塗布し、0
℃、20℃、40℃の各温度について、指触乾燥時間を
測定した。
【0043】表1にその結果を示すが、低温でも厚膜
(600μm)の場合は硬化時間が若干短いだけである
が、本実施例の場合、低温側で薄膜(200μm)の場
合、塗膜乾燥時間が比較例1に比して格段に短いことが
分かる。
【0044】なお、膜厚1000μmの場合について、
20℃の条件で同様に試験を行ったところ、実施例1は
7.5分で比較例も7.5分と同等であった。
【0045】(2) ガラス密着テスト 各実施例・比較例の各塗料組成物を、上記(1) と同様に
して、ガラス基材上に、200μmとなるように塗布し
た。そして、指触乾燥後の塗膜について、JIS K 5400
碁盤目法において、隙間間隔5mm、ます目の数64と
して判定した。
【0046】その結果、実施例1・2はともに評価点数
6点(切り傷の両側と交点にはがれがあって、欠損部の
面積は前正方形面積の5〜15%)であったのに対し、
比較例1・2はともに、評価点数0点(はがれの面積は
は、全正方形面積の65%以上)であった。
【0047】即ち、三成分系とするとともに、添加剤
(分散剤)として脂肪酸エステルを含有させることによ
り、ガラスビーズとの接着性も確保できることが期待で
きる。
【0048】(3) 塗布作業性:各実施例・比較例の各塗
料組成物を用いて、アスファルト路面上にエアレススプ
レー塗布により0℃雰囲気でマーキングをした。実施例
1・2及び比較例1では、奇麗なマーキングができた
が、比較例2では、粘度が高く、奇麗なマーキングがで
きなかった。
【0049】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09D 4/06,5/00 C08L 33/00 - 33/22

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビヒクル成分に顔料、体質材その他添加
    剤が添加されてなる第一液(主剤)と、有機過酸化物を
    含有する第二液(硬化剤)とからなる二液型のアクリル
    系塗料組成物において、前記第一液の ビヒクル成分が、数平均分子量(M)2
    000〜30000のアクリル系中間重合体と、M
    35000〜200000のアクリル系高重合体と、ア
    クリル系モノマーとの三成分系であり、 該ビヒクル成分の組成が、前記アクリル系中間重合体と
    前記アクリル系高重合体とからなる重合体成分20〜5
    0wt%、前記アクリル系モノマー成分80〜50wt
    %で、重合体成分中の前記アクリル系中間重合体と前記
    アクリル系高重合体の重量比率が、前者/後者=1/2
    〜2/1である ことを特徴とする屋外用アクリル系塗料
    組成物。
  2. 【請求項2】 前記第一液が、前記添加剤として脂肪酸
    エステルを含有していることを特徴とする請求項1記載
    の屋外用アクリル系塗料組成物。
  3. 【請求項3】 前記脂肪酸エステルが、前記顔料、体質
    材のケーキング防止用の分散剤を兼ねる界面活性剤であ
    ることを特徴とする請求項2記載の屋外用アクリル系塗
    料組成物。
  4. 【請求項4】 前記第一液のビヒクル成分が、スプレー
    塗装用に粘度が調整されていることを特徴とする請求項
    1〜3のいずれかに記載の屋外用アクリル系塗料組成
    物。
  5. 【請求項5】 前記アクリル系モノマーが、メチルメタ
    クリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレー
    ト、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシ
    エチルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメ
    タクリレートのうちから1種又は2種以上選択される
    ことを特徴とする請求項1記載の屋外用アクリル系塗料
    組成物。
  6. 【請求項6】 前記アクリル系モノマーが、メチルメタ
    クリレート、n−ブチルアクリレート及び2−エチルヘ
    キシルアクリレートの混合系であることを特徴とする請
    求項5記載の屋外用アクリル系塗料組成物。
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JP6026487B2 (ja) * 2014-11-05 2016-11-16 信号器材株式会社 路面標示の施工方法

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