JP2925653B2 - 被覆された粒状肥料 - Google Patents

被覆された粒状肥料

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JP2925653B2 JP2116743A JP11674390A JP2925653B2 JP 2925653 B2 JP2925653 B2 JP 2925653B2 JP 2116743 A JP2116743 A JP 2116743A JP 11674390 A JP11674390 A JP 11674390A JP 2925653 B2 JP2925653 B2 JP 2925653B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、肥料分野における被覆粒状肥料に関し、特
定の高分子ラテックス皮膜で被覆された遅効性の被覆粒
状肥料に関するものである。
〔従来の技術〕
水に容易に溶解する速効性の肥料を耐水性の皮膜で覆
って肥料の水への溶出を制御し、肥効の持続化を図る試
みは1950年代の後半に始められ、日本においても1960年
代から研究が始められている。被覆剤としては硫黄や有
機溶剤に溶解した樹脂が主に使用されて来ているが、硫
黄の場合は土壌中に硫黄が蓄積して土壌の酸性化を促進
する問題があり、又有機溶剤系は火災の危険性や環境汚
染の問題を引き起す恐れがある。そこで、高分子ラテッ
クスを用いて肥料を被覆しようとする試みも一方では行
なわれて来ている。例えば、特公昭37−15832号公報で
は酢酸ビニール乳化重合液に適量の鉱物性顔料を加え、
肥料の表面に噴霧・乾燥する方法、特公昭60−18640号
公報では、第1段階で熱可塑性エマルジョン(エチレン
−酢酸ビニル共重合体エマルジョンやポリ塩化ビニリデ
ンエマルジョン等)又は有機溶液により0.1〜2%の被
覆率で耐水性皮膜を形成し、第2段階として熱可塑性樹
脂の水性エマルジョンにより所要の被覆率にて肥料を樹
脂被覆する方法、特開昭63−112484号公報では肥料表面
にケイ酸塩又はケイ酸エステルからなる一次皮膜及び高
分子ラテックスからなる二次皮膜を有する二重被覆型持
続性肥料、又特開昭64−3093号公報では60℃以上のガラ
ス転移温度を有する水性エマルジョンの樹脂膜で被覆さ
れてなる緩効性被覆肥料、更に特開昭64−3094号公報で
は熱可塑性樹脂の水性エマルジョンとメラミン樹脂とを
主成分とする被覆材料で固体肥料を被覆した後に70℃以
上で熱処理することによって得られる緩効性被覆肥料が
記載されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、特公昭37−15832号公報においてはそ
の皮膜の耐水性が不足するため、肥料の溶出制御が十分
でなく、また、特公昭60−18640号公報においては所望
の肥料の溶出制御が得られるまで(約3%以上)被覆量
を増加させると肥料の溶解が生じ、肥料粒子表面を耐水
性樹脂で被覆できなくなる。また、特開昭63−112484号
公報においては2段階の被覆工程を必要とし、生産性が
劣る。また、特開昭64−3093号公報においては連続皮膜
が形成されにくく、肥料の溶出を高度に制御することは
できない。更に特開昭64−3094号公報においては、被覆
工程中及び製品(被覆肥料)からホルムアルデヒドが放
出されるようになるため、好ましくない。
このように高分子ラテックスで肥料を被覆する場合種
々の問題が未だ存在する。
本願発明は、従来問題であった被覆工程中での肥料同
志の接着を生じることなく肥料を被覆することのできる
特定の高分子により被覆され、優れた遅効性を有する肥
料粒子を提供しようとするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、上記の如き問題点のない被覆肥料粒子
を得ることを目的に、鋭意検討した結果、意外にも特定
の架橋ゲル含有率とガラス転移温度を有する高分子ラテ
ックスを被覆剤として用いた場合に被覆工程中に肥料同
志の接着を起すことなく、目標の性能を示す被覆粒状肥
料が得られることを見出し、この知見に基いて本発明を
完成した。
すなわち、本発明は高分子ラテックスを主成分とする
皮膜で被覆された粒状肥料において、該高分子が85重量
%以上のゲル架橋含有率で、かつ−5℃〜50℃の範囲の
ガラス転移温度を有することを特徴とする被覆された粒
状肥料である。
本発明で用いる高分子ラテックスは、一種以上の乳化
重合可能な単量体を重合開始剤や乳化剤等の存在下で公
知の方法により乳化重合することによって得られる。用
いられる単量体としては例えば 1)メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル
酸2エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、アクリ
ル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキ
シエチル、ジエチレングリコールジアクリレート、トリ
メチロールプロパントリアクリレートなどの不飽和カル
ボン酸のエステル 2)スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなど
の芳香族ビニル化合物 3)アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン
酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸 4)アクリルニトリル、メタクリルニトリルなどのビニ
ルシアン化合物 5)ブタジエン、イソプレンなどの脂肪族ジエン 6)酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル 7)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドな
どのビニルアミド化合物 などを挙げることができる。これらのうち、ブタジエ
ン、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリア
クリレートなどの二重合結合を2つ以上有する単量体あ
るいはN−メチロールアクリルアミド、メタクリル酸グ
リシジルなどの架橋性官能基を有する単量体と他の単量
体とを組合せて乳化重合したものが本発明に用いる高分
子ラテックスである。また、重合開始剤としては、例え
ば過硫酸塩、過硫酸塩−チオ硫酸ソーダ系及び過酸化水
素−オキシルカルボン酸系などのレドックス系開始剤な
どを挙げることができる。さらに、乳化剤としては、通
常のアルキルジフエニルエーテルジスルホン酸塩、高級
アルコール硫酸エステル類及びアルキルアリルスルホン
酸塩などのアニオン系乳化剤並びにポリオキシエチレン
アルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエス
テル類などのノニオン系乳化剤などを挙げることができ
る。又、必要に応じてメルカプタン類や四塩化炭素など
の連鎖移動剤、キレート剤、シードラテックス、カセイ
ソーダやアンモニア水などの中和剤及びリン酸塩やカル
ボン酸塩などの各種塩類を乳化重合時に添加することも
できる。
本発明に用いる高分子ラテックスは、その高分子が85
重量%以上の架橋ゲル含有率を有するとともに−5℃〜
50℃の範囲のガラス転移温度を有することが必要であ
る。架橋ゲル含有率が85重量%未満では、肥料の被覆工
程中で肥料同志が接着し易くなり、被覆肥料粒子を得る
ことが困難となる。架ゲル含有率はトルエン30cc中に常
温で乾燥したラテックス固形物を0.5g添加し、これを振
とう器で約4時間攪拌した後300メッシュ以上の金網で
濾過し、金網上の残渣を乾燥して秤量し、もとのラテッ
クス固形物に対する重量割合(%)で示したものであ
る。また、ガラス転移温度が−5℃未満ではゲル合有率
が高くても乾燥皮膜は柔らかく、被覆工程中で肥料同志
が接着するようになり、50℃を超えると均一な連続皮膜
を形成しにくく、肥料の溶出抑制効果が小さくなり、好
ましくない。
異層構造ラテックスやブレンドラテックスなどのよう
に2つ以上のガラス転移温度を有する高分子ラテックス
の場合は最も低いガラス転移温度が−5℃〜50℃の範囲
にあれば良い。
本発明の被覆粒状肥料は、加熱噴流中(約40〜130
℃)の粒状肥料あるいは、回転パン上で転動中の粒状肥
料に連続的あるいは断続的に本発明に用いる高分子ラテ
ックスを噴霧し、乾燥することによって容易に得られ
る。高分子ラテックスの使用量が増加するほど被覆肥料
の肥料の溶出も遅くなるが、あまり多くなると被覆工程
中で肥料同志で接着する可能性があり、又コストアップ
にもなるので、粒状肥料100重量部に対し1〜20重量部
の高分子ラテックス(固形分)の使用が適している。本
発明以外の被覆剤との併用で多段の被覆層を形成するこ
ともできる。
本発明に用いる粒状肥料としては、平均径が約1〜10
mm程度の高度化成肥料、化成肥料、尿素、硫安、塩安、
塩化カリ、硫酸カリ、硝酸カリ、硝酸ソーダ、リン酸ア
ンモニウム、燐酸カリなどを挙げることができ、特に制
限するものではない。
本発明の被覆肥料粒子の製造において、本発明の目的
を損ねない範囲でタルク、クレー、炭酸カルシウムの如
き無機粉末やポリスチレンラテックスの如き硬質樹脂ラ
テックスなどの耐ブロッキング剤を本発明に用いる高分
子ラテックスと併用したり、本発明に用いる高分子ラテ
ックスで被覆中あるいは被覆終了時にこれらの耐ブロッ
キング剤を添加したりすることができ、被覆工程中での
肥料同志の接着防止に有効に働く。耐ブロッキング剤の
使用量は高分子ラテックス(固形分)と等量以下が好ま
しい。又、高分子ラテックスの成膜性を向上させる目的
で、成膜助剤及び可塑剤並びに少量の有機溶剤を併用す
ることもできる。成膜助剤及び可塑剤としてはエチレン
グリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコー
ルメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールn
−ブチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエ
ーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピ
レングリコールフェニルエーテル、エチレングリコール
モノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコ
ールジアセテート、ジブチルフタレート、ジオクチルフ
タレート、ベンジルアルコールなどを挙げることができ
る。更に肥料の溶出を制御することのできる他の有機物
質及び高分子ラテックス及び架橋剤等を添加してもさし
つかえない。
実施例 以下、実施例により本発明を詳しく説明する。
実施例1〜5 窒素置換してある攪拌機を備えた温度調節可能な加圧
反応器にイオン交換水75重量部、乳化剤(アルキルベン
ゼンスルホン酸ソーダ)0.2重量部を仕込み80℃に調整
した後、第1表に示す単量体組成と連鎖移動剤、イオン
交換水20重量部、カセイソーダ0.17重量部、過硫酸カリ
(触媒)0.6重量部及ぴ乳化剤(アルキルベンゼンスル
ホン酸ソーダ)0.3重量部を5時間かけて追添し、乳化
重合させた。ついで、アンモニア水溶液を添加してpH9
に調整したのち、スチームストリッピングして残留モノ
マーを除去し、約48%固形分の高分子ラテックスを得
た。これらの高分子ラテックスについて、ガラス転移温
度とゲル含有率を測定した結果を第1表に示す。なおガ
ラス転移温度はラテックスの乾燥固形物を粘弾性スペク
トロメーターSDM−5500(セイコー電子工業社製)を用
い昇温速度2℃/min、周波数1Hzの条件で測定して得た
損失剛性率(G″)のピークトップより求めた。
これらの高分子ラテックス、タルク(富士タルク社
製、PKP #53)、ポリスチレン系ラテックス〔旭化成工
業(株)製、L8801 48%固形分〕及びジエチレングリコ
ールn−ブチルエーテルを第2表に示す如く配合し、そ
の後、第1図に示す噴流式被覆装置を用い、下記条件で
高度化成粒状肥料〔旭化成工業(株)製、平均粒径約4m
m〕に約8重量部(固形分、粒状肥料100重量部に対し
て)噴霧し、乾燥して被覆粒状肥料を作成した。
高度化成粒状肥料:4kg ラテックス濃度(配合物固形分):10% 噴霧時間(分):約230分 熱風温度 :90〜120℃ 風 量 :145〜170Nm3/hr 被覆工程中での肥料同志間の接着並びに肥料の溶出速
度の結果を第3表に示す。
比較例1〜4 実施例1〜5と同様な乳化重合方法及び条件で第1表
に示すガラス転移温度及びゲル含有率を有する高分子ラ
テックスを作成した。ついで、これらの高分子ラテック
スに第2表に示すようにタルク、ポリスチレン系ラテッ
クス及びジエチレングリコールn−ブチルエーテルを配
合し、その後第1図に示す噴流式被覆装置を用い、実施
例1〜5と同様な方法で肥料の被覆試験を実施した、そ
の結果を第3表に示す。
〔発明の効果〕 本発明は、被覆剤として特定の架橋ゲル含有率とガラ
ス転移温度を有する高分子ラテックスを用いているた
め、被覆工程中で肥料同志の接着を生じることなく、優
れた徐放性を有する被覆肥料を得ることが可能になり、
肥料分野にとって極めて有益な被覆肥料粒子を提供する
ことになる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の実施例及び比較例で用いた噴流被覆
装置の概略断面図である。 1……高分子ラテックス導入管 2……ノズル、4……金網 3……粒状肥料、5……熱風導入管

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高分子ラテックスを主成分とする皮膜で被
    覆された粒状肥料において、高分子が85重量%以上の架
    橋ゲル含有率で、かつ−5℃〜50℃の範囲のガラス転移
    温度を有することを特徴とする被覆された粒状肥料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100966625B1 (ko) * 2008-06-26 2010-06-29 한국화학연구원 입상요소비료 코팅용 아크릴계 수분산성 폴리머에멀젼조성물, 이로 코팅된 완효성 입상요소비료 및 이의제조방법

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KR100966625B1 (ko) * 2008-06-26 2010-06-29 한국화학연구원 입상요소비료 코팅용 아크릴계 수분산성 폴리머에멀젼조성물, 이로 코팅된 완효성 입상요소비료 및 이의제조방법

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