JP2925616B2 - 打ち抜き性に優れた加工用冷延鋼板およびその表面処理鋼板 - Google Patents
打ち抜き性に優れた加工用冷延鋼板およびその表面処理鋼板Info
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Description
【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、極低炭素鋼板の好ましくは連続焼鈍によっ
て製造される打ち抜き性に優れた加工用冷延鋼板および
表面処理鋼板に関する。
て製造される打ち抜き性に優れた加工用冷延鋼板および
表面処理鋼板に関する。
<従来の技術> 近年、冷延鋼板の焼鈍法は、省エネルギーあるいは納
期短縮などを目的として連続焼鈍法(以下CAL)が広く
取り入れられている。CAL焼鈍により値が高い深絞り
性に優れた冷延鋼板を得るには鋼中のC,Nの含量を極限
にまで低減し、鋼中の固溶Cや固溶Nを減少させること
が有効であることが知られている。
期短縮などを目的として連続焼鈍法(以下CAL)が広く
取り入れられている。CAL焼鈍により値が高い深絞り
性に優れた冷延鋼板を得るには鋼中のC,Nの含量を極限
にまで低減し、鋼中の固溶Cや固溶Nを減少させること
が有効であることが知られている。
最近の製鋼技術の進歩はめざましく、炭素、窒素を極
限にまで低減することが工業的にも可能となった今日、
極低炭素、あるいはセミ極低炭素CAL焼鈍による深絞り
冷延鋼板の製造は従来の低炭素箱焼鈍による製造に代わ
って急速に広がりつつある。
限にまで低減することが工業的にも可能となった今日、
極低炭素、あるいはセミ極低炭素CAL焼鈍による深絞り
冷延鋼板の製造は従来の低炭素箱焼鈍による製造に代わ
って急速に広がりつつある。
この結果、製造された冷延鋼板は伸び、値に優れた
深絞り用に適した特性を具備することが可能となった。
しかし、このような方法で製造された冷延鋼板は非常に
軟質で、伸びが優れているために、ブランキング等のせ
ん断時にバリが発生しやすく、その後のプレス時に表面
キズを発生させたり、塗装時のエッジ防食に悪影響を及
ぼすなどの問題点があった。またこのような問題はこの
ような冷延鋼板に表面処理を施しても同様に発生する。
従来この対策を多くの研究者が検討し、これまでにもそ
の成果が開示されている。
深絞り用に適した特性を具備することが可能となった。
しかし、このような方法で製造された冷延鋼板は非常に
軟質で、伸びが優れているために、ブランキング等のせ
ん断時にバリが発生しやすく、その後のプレス時に表面
キズを発生させたり、塗装時のエッジ防食に悪影響を及
ぼすなどの問題点があった。またこのような問題はこの
ような冷延鋼板に表面処理を施しても同様に発生する。
従来この対策を多くの研究者が検討し、これまでにもそ
の成果が開示されている。
たとえば、冷延鋼板の表面に硬質層を形成するために
圧延等でひずみを加え、加工硬化させる、あるいは鋼板
の成分の中のS成分を故意に上げるなどがある。しか
し、そのいずれもが鋼板の本来の特性であるEl、r値の
低下はさけがたく、問題を本質的に解決するような技術
はまだ開示されていない。
圧延等でひずみを加え、加工硬化させる、あるいは鋼板
の成分の中のS成分を故意に上げるなどがある。しか
し、そのいずれもが鋼板の本来の特性であるEl、r値の
低下はさけがたく、問題を本質的に解決するような技術
はまだ開示されていない。
<発明が解決しようとする課題> 従来技術においてもバリ発生対策は開示されている
が、これらは、特開平01−255626号に示されているよう
に、表面硬化のために加工層をもうけることを前提とし
ており、そのための製造工程が加わるとともに、この対
策は材質劣化を招くとともに、その他、表面特性につい
ては自ら言及していない。
が、これらは、特開平01−255626号に示されているよう
に、表面硬化のために加工層をもうけることを前提とし
ており、そのための製造工程が加わるとともに、この対
策は材質劣化を招くとともに、その他、表面特性につい
ては自ら言及していない。
一方、鋼板の成分変更から対策を考えた例として、特
開平01−230748号がある鋼中のSを上げることが提案さ
れているが、この場合は、鋼板の本来の特性である伸
び、値の劣化はまぬがれない。
開平01−230748号がある鋼中のSを上げることが提案さ
れているが、この場合は、鋼板の本来の特性である伸
び、値の劣化はまぬがれない。
本発明は、前記極低炭素例延鋼板の焼鈍材の表面に関
する問題点を本質的に解決し、しかも、極低炭素冷延鋼
板の伸び、値等優れた特性はそのまま生かした打ち抜
き性に優れた加工用冷延鋼板およびこれを用いた表面処
理鋼板を提供することを目的とする。
する問題点を本質的に解決し、しかも、極低炭素冷延鋼
板の伸び、値等優れた特性はそのまま生かした打ち抜
き性に優れた加工用冷延鋼板およびこれを用いた表面処
理鋼板を提供することを目的とする。
<課題を解決するための手段> すなわち、本発明は、C:0.05wt%以下、Si:2wt%以
下、Mn:2wt%以下、P:0.2wt%以下、S:0.03wt%以下、A
l:0.1wt%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純
物よりなる冷延鋼板を原板として焼鈍を施した鋼板であ
って、少なくとも片面に表面より板厚の1%の深さの表
面層を有し、該表面層における平均炭素濃度が原板の炭
素濃度の1.5倍以上であることを特徴とする打ち抜き性
に優れた加工用冷延鋼板を提供する。
下、Mn:2wt%以下、P:0.2wt%以下、S:0.03wt%以下、A
l:0.1wt%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純
物よりなる冷延鋼板を原板として焼鈍を施した鋼板であ
って、少なくとも片面に表面より板厚の1%の深さの表
面層を有し、該表面層における平均炭素濃度が原板の炭
素濃度の1.5倍以上であることを特徴とする打ち抜き性
に優れた加工用冷延鋼板を提供する。
上記原板はさらに、Ti:0.001〜0.1wt%、Nb:0.001〜
0.1wt%、Zr:0.001〜0.1wt%、V:0.001〜0.1wt%、およ
びMo:0.001〜0.1wt%よりなる群より選ばれた少なくと
も1種の元素を含有していてもよく、 さらに、Cr:0.005〜10wt%、Ni:0.005〜10wt%、およ
びCu:0.005〜10wt%よりなる群より選ばれた少なくとも
1種の元素を含有してもよい。
0.1wt%、Zr:0.001〜0.1wt%、V:0.001〜0.1wt%、およ
びMo:0.001〜0.1wt%よりなる群より選ばれた少なくと
も1種の元素を含有していてもよく、 さらに、Cr:0.005〜10wt%、Ni:0.005〜10wt%、およ
びCu:0.005〜10wt%よりなる群より選ばれた少なくとも
1種の元素を含有してもよい。
前記表面層がCを含む雰囲気中での連続焼鈍に際して
形成されたものであるのが好ましい。
形成されたものであるのが好ましい。
本発明はさらに、上記のような焼鈍済冷延鋼板に表面
処理が施された表面処理鋼板を提供する。
処理が施された表面処理鋼板を提供する。
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
本発明において用いる低炭素鋼板は上記の組成を有す
るものがよい。これを焼鈍、好ましくは連続焼鈍して鋼
板の両面における表層の炭素含有量を目的とする特性に
適合するように調整する。連続焼鈍によらない方法とし
ては、CリッチなFeめっきを鋼板に施し、焼鈍によりC
を拡散させる方法、あるいは製鋼段階で表面にCを濃化
させた連続鋳造スラブを製造するなどの方法により所期
の目的を達するようにしてもよい。
るものがよい。これを焼鈍、好ましくは連続焼鈍して鋼
板の両面における表層の炭素含有量を目的とする特性に
適合するように調整する。連続焼鈍によらない方法とし
ては、CリッチなFeめっきを鋼板に施し、焼鈍によりC
を拡散させる方法、あるいは製鋼段階で表面にCを濃化
させた連続鋳造スラブを製造するなどの方法により所期
の目的を達するようにしてもよい。
本発明の表面処理鋼板は、焼鈍、好ましくは連続焼鈍
により冷延鋼板表層部の炭素濃度を後述するように調整
した焼鈍板の両面または片面に表面処理を施したもので
ある。
により冷延鋼板表層部の炭素濃度を後述するように調整
した焼鈍板の両面または片面に表面処理を施したもので
ある。
ここで、表面処理とは、亜鉛系めっき、有機複合めっ
きなどを含む。亜鉛系めっきとは亜鉛めっきはもとよ
り、Zn−Ni,Zn−Feなどの亜鉛を主体とする合金めっ
き、溶融亜鉛合金化めっきなどを広く含むものである。
さらに、Fe−Pめっき層を第2層めっきを施しても良
い。
きなどを含む。亜鉛系めっきとは亜鉛めっきはもとよ
り、Zn−Ni,Zn−Feなどの亜鉛を主体とする合金めっ
き、溶融亜鉛合金化めっきなどを広く含むものである。
さらに、Fe−Pめっき層を第2層めっきを施しても良
い。
まず、焼鈍好ましくは連続焼鈍法により、打ち抜き性
に優れた鋼板を製造するには、原板中のCの量は可能な
限り少ない方が好ましく、C:0.05wt%以下とする必要が
ある。
に優れた鋼板を製造するには、原板中のCの量は可能な
限り少ない方が好ましく、C:0.05wt%以下とする必要が
ある。
Siは鋼を強化する作用があり、所望の強度に応じて必
要量添加されるが、添加量が2.0wt%を越えると深絞り
性に悪影響を及ぼすので2.0wt%以下と限定する。
要量添加されるが、添加量が2.0wt%を越えると深絞り
性に悪影響を及ぼすので2.0wt%以下と限定する。
MnもSiと同様、鋼を強化する作用があり、所望の強度
に応じて必要量添加されるが、添加量が2.0wt%を越え
るとやはり深絞り性に悪影響を及ぼすので2.0wt%以下
に限定する。
に応じて必要量添加されるが、添加量が2.0wt%を越え
るとやはり深絞り性に悪影響を及ぼすので2.0wt%以下
に限定する。
PもSiやMnと同様、鋼を強化する作用があり、所望の
強度に応じて必要量添加されるが、添加量が0.2wt%を
越えると深絞り性に悪影響を及ぼすので0.2wt%以下に
限定する。
強度に応じて必要量添加されるが、添加量が0.2wt%を
越えると深絞り性に悪影響を及ぼすので0.2wt%以下に
限定する。
Sは、少なければ少ないほど深絞り性が向上するので
極力低減することが好ましいが、その含有量が0.03wt%
以下ではさほど悪影響を及ぼさないので0.03wt%以下に
限定する。
極力低減することが好ましいが、その含有量が0.03wt%
以下ではさほど悪影響を及ぼさないので0.03wt%以下に
限定する。
Alは脱酸剤として、また後述する炭窒化物形成元素の
歩留まり向上のために添加されるが、0.10wt%を越えて
添加してもその効果は飽和に達するので、0.10wt%以下
の範囲に限定する。
歩留まり向上のために添加されるが、0.10wt%を越えて
添加してもその効果は飽和に達するので、0.10wt%以下
の範囲に限定する。
さらに、本発明で原板として用いる冷延鋼板には、T
i,Nb,Zr,V,MoおよびCaから選ばれた1種以上の元素を下
記の通り添加してもよい。
i,Nb,Zr,V,MoおよびCaから選ばれた1種以上の元素を下
記の通り添加してもよい。
Tiは炭窒化物形成元素であり、鋼中の固溶(C,N)を
低減させ、深絞り性に有利な{111}方位を優先的に形
成させるために添加される。しかしながら添加量が0.00
1wt%未満ではその添加効果に乏しく、一方0.10wt%を
越えて添加してもそれ以上の効果は得られず、むしろ鋼
板表面性状および延性の劣化につながるので0.001〜0.1
0wt%の範囲に限定する。
低減させ、深絞り性に有利な{111}方位を優先的に形
成させるために添加される。しかしながら添加量が0.00
1wt%未満ではその添加効果に乏しく、一方0.10wt%を
越えて添加してもそれ以上の効果は得られず、むしろ鋼
板表面性状および延性の劣化につながるので0.001〜0.1
0wt%の範囲に限定する。
Nbは炭化物形成元素であり、鋼中の固溶Cを低減させ
るとともに、鉄延鋼板組織の微細化をそくして、深絞り
性に有利な{111}方位を優先的に形成させるために添
加される。しかしながら添加量が0.001wt%未満ではそ
の添加の効果が乏しく、一方0.1wt%を越えて添加して
もそれ以上の効果は得られず、むしろ延性の劣化につな
がるので0.001〜0.1wt%の範囲に限定する。
るとともに、鉄延鋼板組織の微細化をそくして、深絞り
性に有利な{111}方位を優先的に形成させるために添
加される。しかしながら添加量が0.001wt%未満ではそ
の添加の効果が乏しく、一方0.1wt%を越えて添加して
もそれ以上の効果は得られず、むしろ延性の劣化につな
がるので0.001〜0.1wt%の範囲に限定する。
Zr、V、およびMoも加工性改善のための炭化物形成元
素であり、材質改善効果が得られる範囲とは0.001〜0.1
wt%に添加量は限定する。
素であり、材質改善効果が得られる範囲とは0.001〜0.1
wt%に添加量は限定する。
さらに、原板中にはCr,NiおよびCuから選ばれた1種
以上の元素を含有していてもよい。これらの元素はいず
れも耐蝕性改善元素であり、これらの元素を添加した場
合であってもこの発明の特徴は失われないが、規定の添
加量に満たないと所望の効果が得られず、また過剰添加
は主に固溶効果による材質劣化を招くので0.005〜10wt
%の範囲に限定した。
以上の元素を含有していてもよい。これらの元素はいず
れも耐蝕性改善元素であり、これらの元素を添加した場
合であってもこの発明の特徴は失われないが、規定の添
加量に満たないと所望の効果が得られず、また過剰添加
は主に固溶効果による材質劣化を招くので0.005〜10wt
%の範囲に限定した。
以上の限定範囲内の成分元素および不可避的不純物よ
りなる成分の冷延鋼板を焼鈍した後、必要に応じて上述
した表面処理を施す。このとき、その連続焼鈍後の鋼板
の少なくとも片面の表面より板厚の1%深さまでの炭素
濃度分布を以下に述べるように制御すると、打ち抜き性
に優れた冷延鋼板およびこれを用いた表面処理鋼板が得
られる。
りなる成分の冷延鋼板を焼鈍した後、必要に応じて上述
した表面処理を施す。このとき、その連続焼鈍後の鋼板
の少なくとも片面の表面より板厚の1%深さまでの炭素
濃度分布を以下に述べるように制御すると、打ち抜き性
に優れた冷延鋼板およびこれを用いた表面処理鋼板が得
られる。
鋼板の高い伸び、高値等の優れた特性は上記成分鋼
に適切なCAL焼鈍あるいはCGL焼鈍を施すことによって達
成される。このような焼鈍鋼板およびこれに表面処理を
施して製造した表面処理鋼板は優れた鋼板特性を有する
ため、プレス加工性に優れた冷延鋼板および表面処理鋼
板として適する。しかし、この優れた特性を実際の自動
車用あるいは一般部品用冷延鋼板および表面処理鋼板と
して使用するためには、成形時の打ち抜き性においても
問題が生じないことが不可決である。
に適切なCAL焼鈍あるいはCGL焼鈍を施すことによって達
成される。このような焼鈍鋼板およびこれに表面処理を
施して製造した表面処理鋼板は優れた鋼板特性を有する
ため、プレス加工性に優れた冷延鋼板および表面処理鋼
板として適する。しかし、この優れた特性を実際の自動
車用あるいは一般部品用冷延鋼板および表面処理鋼板と
して使用するためには、成形時の打ち抜き性においても
問題が生じないことが不可決である。
冷延鋼板あるいはその表面処理鋼板を打ち抜くに際し
て、刃が鋼板にあたったときに、鋼板表層に直ちにクラ
ックを生じると剪断され易い。しかし、鋼板自体にねば
りがあると、切断開始部がクラックを生ずることなく塑
性変形してしまい、塑性変形のためにバリが生じてしま
う。
て、刃が鋼板にあたったときに、鋼板表層に直ちにクラ
ックを生じると剪断され易い。しかし、鋼板自体にねば
りがあると、切断開始部がクラックを生ずることなく塑
性変形してしまい、塑性変形のためにバリが生じてしま
う。
これら問題点は、箱焼鈍材と比較して、表面層の化学
的組成および析出物分布において差があることに起因し
ている。
的組成および析出物分布において差があることに起因し
ている。
本発明は、このような従来低炭素箱焼鈍材において優
れていた表面に関わる特性を極低炭素CAL焼鈍材におい
ても達成するための技術を開示するものであり、そのた
めに、鋼板の表面層における炭素濃度分布を規定してい
る。
れていた表面に関わる特性を極低炭素CAL焼鈍材におい
ても達成するための技術を開示するものであり、そのた
めに、鋼板の表面層における炭素濃度分布を規定してい
る。
すなわち、冷延鋼板あるいはその表面処理鋼板におい
て、原板としての冷延鋼板に好ましくは連続焼鈍により
鋼板表層にC濃度を濃化させて表面硬度を上げ、組成変
形性を低減させる。そのためには、焼鈍後の鋼板の少な
くとも片面の表面からの板厚の1%深さまでの平均炭素
濃度を焼鈍を施していない原板の炭素濃度の1.5倍以上
にすることが必要である。
て、原板としての冷延鋼板に好ましくは連続焼鈍により
鋼板表層にC濃度を濃化させて表面硬度を上げ、組成変
形性を低減させる。そのためには、焼鈍後の鋼板の少な
くとも片面の表面からの板厚の1%深さまでの平均炭素
濃度を焼鈍を施していない原板の炭素濃度の1.5倍以上
にすることが必要である。
打ち抜き性を良くする、すなわち打ち抜き時にバリの
発生減少を本質的に解決するには、鋼板の表面層に炭素
が濃化することが有効であるが、その範囲は鋼板の表面
からの板厚の1%深さが確保されれば十分であり、それ
以上の厚さの炭素濃度を高めることは、鋼板の値、延
性等特性を害することになる。
発生減少を本質的に解決するには、鋼板の表面層に炭素
が濃化することが有効であるが、その範囲は鋼板の表面
からの板厚の1%深さが確保されれば十分であり、それ
以上の厚さの炭素濃度を高めることは、鋼板の値、延
性等特性を害することになる。
本発明において好適に用いられるCAL(Continuous An
nealing Line)は加熱、均熱および冷却ゾーンを有す
る。CAL中で浸炭を考える場合均熱ゾーン後期から冷却
ゾーンにかけて浸炭用雰囲気として、浸炭に適する条件
にして行なうのが効率的である。
nealing Line)は加熱、均熱および冷却ゾーンを有す
る。CAL中で浸炭を考える場合均熱ゾーン後期から冷却
ゾーンにかけて浸炭用雰囲気として、浸炭に適する条件
にして行なうのが効率的である。
浸炭用雰囲気としては、N2+H2を主体とするガス中に
COを適量添加したものを用いる。そして、浸炭条件は適
切に選定する。
COを適量添加したものを用いる。そして、浸炭条件は適
切に選定する。
<実施例> 次に本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
(実施例1) C:0.003wt%、Si:0.01wt%、Mn:0.1wt%、P:0.013wt
%、S:0.012wt%、Al:0.04wt%、B:0.0002wt%およびT
i:0.03wt%を含み、残部はFeおよび不可避的不純物より
なる鋼から2.6mmの熱延板を得、さらに冷間圧延により
0.8mmの冷延板を得て、これを連続焼鈍ラインの加熱温
度810℃およびその後の均熱ゾーンにて750℃から800℃
の所定の温度で5%H2−0.5〜1.0%COを含有する窒素雰
囲気中で浸炭し、その後直ちに冷却する場合のCALヒー
トサイクルを想定して熱処理を施した。その後、0.7%
の調質圧延を施してサンプルの冷延板を得た。この冷延
板に一部に表裏とも20g/m2の電気亜鉛めっきを施してサ
ンプルの表面処理板を得た。両者について直径32mmの円
板打ち抜き時のかえり高さ(バリ高さ)を測定した。そ
の結果を第1図に示す。
%、S:0.012wt%、Al:0.04wt%、B:0.0002wt%およびT
i:0.03wt%を含み、残部はFeおよび不可避的不純物より
なる鋼から2.6mmの熱延板を得、さらに冷間圧延により
0.8mmの冷延板を得て、これを連続焼鈍ラインの加熱温
度810℃およびその後の均熱ゾーンにて750℃から800℃
の所定の温度で5%H2−0.5〜1.0%COを含有する窒素雰
囲気中で浸炭し、その後直ちに冷却する場合のCALヒー
トサイクルを想定して熱処理を施した。その後、0.7%
の調質圧延を施してサンプルの冷延板を得た。この冷延
板に一部に表裏とも20g/m2の電気亜鉛めっきを施してサ
ンプルの表面処理板を得た。両者について直径32mmの円
板打ち抜き時のかえり高さ(バリ高さ)を測定した。そ
の結果を第1図に示す。
(実施例2) 表1に示す組成の鋼を溶製後、熱間圧延により板厚2.
8mmの熱延板として、脱スケール後冷間圧延により板厚
0.7mmの冷延板とした。
8mmの熱延板として、脱スケール後冷間圧延により板厚
0.7mmの冷延板とした。
加熱、均熱および冷却ゾーンを有するCALにおいて、
加熱ゾーンにて810℃に加熱後、均熱ゾーン後期にて、7
50〜800℃の所定の温度で5%H2−0.5〜1.0%COを含有
する窒素雰囲気中で浸炭して、その後直ちに冷却する場
合を想定したCALヒートサイクルを加え浸済みした後直
ちに冷却した。
加熱ゾーンにて810℃に加熱後、均熱ゾーン後期にて、7
50〜800℃の所定の温度で5%H2−0.5〜1.0%COを含有
する窒素雰囲気中で浸炭して、その後直ちに冷却する場
合を想定したCALヒートサイクルを加え浸済みした後直
ちに冷却した。
この場合の加熱温度、均熱時間およびCポテンシャル
を変化させて鋼板表面での浸炭量を変化させた。さらに
スキンパスによって表面あらさを変化させ、その後亜鉛
系めっきを施して表面特性調査用のサンプルを製造し
た。
を変化させて鋼板表面での浸炭量を変化させた。さらに
スキンパスによって表面あらさを変化させ、その後亜鉛
系めっきを施して表面特性調査用のサンプルを製造し
た。
なお、表2中、電気Znは電気亜鉛めっきを両面とも20
g/m2施したものを、溶融Znは両面とも40g/m2溶融亜鉛め
っきしたものを意味する。
g/m2施したものを、溶融Znは両面とも40g/m2溶融亜鉛め
っきしたものを意味する。
表面特性としては、実施例1と同じく打ち抜き性を調
査した。
査した。
表1にはCAL焼鈍後の鋼板表面層における炭素濃度
を、また表2には打ち抜き性をまとめて示す。
を、また表2には打ち抜き性をまとめて示す。
<発明の効果> 本発明によって、極低炭素CAL材の優れた特性(高E1,
高値)は維持しつつ、実際に自動車用鋼板などとして
使用する場合に必要となる、打ち抜き性など表面特性に
かかわる重要な特性についても本質的に解決できた。
高値)は維持しつつ、実際に自動車用鋼板などとして
使用する場合に必要となる、打ち抜き性など表面特性に
かかわる重要な特性についても本質的に解決できた。
第1図は実施例1で得られた鋼板の表面層と原板のC%
の比とバリ高さとの関係を示す図である。
の比とバリ高さとの関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 俊之 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株 式会社技術研究本部内 (72)発明者 阿部 英夫 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株 式会社技術研究本部内 (56)参考文献 特開 昭59−74259(JP,A) 特開 昭63−38556(JP,A) 特開 平3−56644(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 38/00 - 38/60 C21D 9/46,9/56 C23C 8/22
Claims (5)
- 【請求項1】C:0.05wt%以下、Si:2wt%以下、Mn:2wt%
以下、P:0.2wt%以下、S:0.03wt%以下、Al:0.1wt%以
下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物よりなる冷
延鋼板を原板として焼鈍を施した鋼板であって、少なく
とも片面に表面より板厚の1%の深さの表面層を有し、
該表面層における平均炭素濃度が原板の炭素濃度の1.5
倍以上であることを特徴とする打ち抜き性に優れた加工
用冷延鋼板。 - 【請求項2】請求項1に記載の原板はさらに、Ti:0.001
〜0.1wt%、Nb:0.001〜0.1wt%、Zr:0.001〜0.1w%、V:
0.001〜0.1wt%、およびMo:0.001〜0.1wt%よりなる群
より選ばれた少なくとも1種の元素を含有する請求項1
に記載の打ち抜き性に優れた加工用冷延鋼板。 - 【請求項3】請求項1または2に記載の原板はさらに、
Cr:0.005〜10wt%、Ni:0.005〜10wt%,およびCu:0.005
〜10wt%よりなる群より選ばれた少なくとも1種の元素
を含有する請求項1または2に記載の打ち抜き性に優れ
た加工用冷延鋼板。 - 【請求項4】前記表面層がCを含む雰囲気中での連続焼
鈍に際して形成されたものであることを特徴とする請求
項1〜3のいずれかに記載の打ち抜き性に優れた加工用
冷延鋼板。 - 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の焼鈍冷延
鋼板に表面処理が施されている表面処理鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33975889A JP2925616B2 (ja) | 1989-12-28 | 1989-12-28 | 打ち抜き性に優れた加工用冷延鋼板およびその表面処理鋼板 |
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