JP2925132B2 - 靴及びその製造方法 - Google Patents

靴及びその製造方法

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JP2925132B2
JP2925132B2 JP7264466A JP26446695A JP2925132B2 JP 2925132 B2 JP2925132 B2 JP 2925132B2 JP 7264466 A JP7264466 A JP 7264466A JP 26446695 A JP26446695 A JP 26446695A JP 2925132 B2 JP2925132 B2 JP 2925132B2
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shoe sole
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三郎 津布子
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  • Footwear And Its Accessory, Manufacturing Method And Apparatuses (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、靴及び靴の製造
方法に関し、詳しくは、甲皮及び中底と、合成樹脂製の
靴底との間の固着性を向上せしめた靴及び靴の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、サッカーシューズやゴルフシュー
ズ等は、図19にて示すように、縫製した皮製の甲皮1
01に合成樹脂製の靴底103を設けて構成してある。
これらの靴100は、皮製の甲皮101を縫製した後、
この甲皮101を癖付け工程により所定の靴形に整形
し、図18にて示すように、成形用のラストcに装着す
る。ラストcの底面には同時に中底を定着させ、この中
底102の底面外周部に対して上記した甲皮101の靴
底皮周縁部を吊り込んで接着する。
【0003】その後、上記甲皮の底面には目止めシート
104を貼設し、さらに、中底102の底面外周部に吊
り込んで接着した甲皮101吊り込み部101aの表面
をバフがけして荒らすと共に面を平らに整えて次の靴底
成形工程に移る。上記したように中底102を取り付け
た甲皮101は、ラストcに装着した状態で靴底成形用
の成形型を靴底面に当てがって密封状に装着し、その成
形型内に溶融させた合成樹脂を射出し、上記甲皮及び中
底の底面に合成樹脂製の靴底を付着させた状態で成形す
る(図示せず)。即ち、上記したバフかけ工程は、甲皮
101吊り込み部101aと合成樹脂製の靴底103と
の接着性を維持するために行うものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記したバフかけ作業
は、手作業若しくはコンピュータ制御により、合成樹脂
製の靴底103が形成される直ぐ内側の範囲に沿ってか
けらるが、バフかけ装置に対する甲皮101のセッティ
ング位置がずれてしまうこと等を原因として、靴底10
3により覆われる範囲以外の部分にまでバフがけが行わ
れてしまうことがある。このようにはみ出してバフがけ
が行われた靴は、バフがけの細かな傷が完成後に残って
しまうので、商品価値が下がってしまう。また、甲皮1
01に対するバフがけにより、厚さにむらのある甲皮1
01が部分的に薄くなり、その部分が強度的に弱くなっ
てしまう場合があった。
【0005】さらに、特にサッカーシューズのように、
使用中において靴底に対して局部的に非常に強い力が加
わる靴にあっては、靴底の爪先部分が甲皮101の吊り
込み部101aから剥がれてしまうこともある。このよ
うな事情から、バフかけ処理を軽減するか、若しくは行
わなずとも甲皮101の吊り込み部101aと合成樹脂
製の靴底103との間に十分な固着強度を確保できる靴
の開発が望まれていた。
【0006】本発明の目的は、上記した如き構造の靴に
おいて、甲皮にバフがけをしなくとも靴底の固着力を十
分に確保することのできる靴及び靴の製造方法を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記した課題を達成する
ために、本発明は、縫製後、略靴形に整形した甲皮をラ
ストに装着し、該甲皮における靴底側周縁部を、上記ラ
ストの底面に定置した中底の底面外周部に吊り込んで貼
着し、この中底底面外周部における適宜箇所に靴底側と
靴内部とを連通する所要個数の通孔を上記中底に対して
斜めに穿設し、上記甲皮の底面部に靴底成形用の成形型
を当てがって密封状に装着し、該成形型の内部に溶融さ
せた合成樹脂を射出するものである。
【0008】また、本発明は、縫製後、略靴形に整形し
た甲皮をラストに装着し、該甲皮における靴底側周縁部
を、上記ラストの底面に定置した中底の底面外周部に吊
り込んで貼着し、この中底底面外周部における適宜箇所
に靴底側と靴内部とを連通する通孔を所要個数穿設する
と共に、この通孔の上端側の径を下端側の径よりも大き
く形成し、上記甲皮の底面部に靴底成形用の成形型を当
てがって密封状に装着し、該成形型の内部に溶融させた
合成樹脂を射出するものである。
【0009】本発明は、上面外周部に沿って凹溝を形成
した中底をラストの底面に定置すると共に、縫製後、略
靴形に整形した甲皮を同ラストに装着し、該甲皮におけ
る靴底側周縁部を、上記中底底面外周部に吊り込んで貼
着し、該中底底面外周部における適宜箇所に靴底側と靴
内部とを連通して上記凹溝内に通ずる通孔を所要個数穿
設し、上記甲皮の底面部に靴底成形用の成形型を当てが
って密封状に装着し、該成形型の内部に溶融させた合成
樹脂を射出するものである。
【0010】本発明の靴は、略靴形に成形した甲皮の靴
底側周縁部を、該甲皮の底面開口を塞ぐ中底の底面外周
部に吊り込んで貼着し、該中底底面外周部における適宜
箇所に靴底側と靴内部とを連通する所要個数の通孔を上
記中底に対して斜めに穿設し、且つ、上記甲皮の底面に
合成樹脂製の靴底を一体的に貼着成形し、該靴底の上面
外周部から一体に突出形成したピン部を上記通孔内に斜
めに嵌挿して固定して成るものである。
【0011】本発明の靴は、略靴形に成形した甲皮の靴
底側周縁部を、該甲皮の底面開口を塞ぐ中底の底面外周
部に吊り込んで貼着し、該中底底面外周部における適宜
箇所に靴底側と靴内部とを連通する通孔を所要個数穿設
し、該通孔の上端側の径をそれぞれ下端側の径よりも大
きく形成すると共に、該通孔に嵌挿するピン部の形状を
上記通孔の内部形状に一致させてなるものである。
【0012】本発明の靴は、略靴形に成形した甲皮の靴
底側周縁部を、該甲皮の底面開口を塞ぐ中底の底面に吊
り込んで貼着し、上記中底底面の外周部に沿って凹溝を
形成すると共に、同中底の底面外周部における適宜箇所
に上記凹溝を通過して靴底側と靴内部とを連通する通孔
を穿設し、且つ、上記甲皮の底面に合成樹脂製の靴底を
一体的に貼着成形し、該靴底の上面外周部に上記各通孔
を貫通して凹溝内に嵌着する固定部を一体成形したもの
である。
【0013】
【発明の実施の形態】図1乃至図3にて示す靴a1は、
サッカーシューズであり、皮製の甲皮1と、該甲皮1の
底面開口を塞ぐ中底2と、上記甲皮1及び中底2の底面
に固着する合成樹脂製の靴底3とにより構成してある。
【0014】甲皮1は、牛若しくはカンガルー等の皮材
を靴各部の形状に対応して切断し、これら各部分の皮を
裏地と共に縫製し、靴底部分が開口する甲皮1として構
成する。上記した様に縫製した甲皮1は、靴底側の周縁
部を内側に吊り込んだ状態で癖付けし、略靴形の形状に
整形した後、上記した甲皮吊り込み部1aの内側の開口
部に中底2を嵌め込み、該中底2の底面周縁部に沿って
上記した甲皮吊り込み部1aを接着する。
【0015】上記したように構成した甲皮1及び中底2
の底面部には、布からなる目止めシート4を貼着すると
共に、上記甲皮吊り込み部1aの表面にバフがけを行
い、さらに、合成樹脂製の靴底3を固着する。尚、上記
したバフがけは靴底3の固着力をより向上させる上で行
った方が好ましいが、本発明によれば、上記したバフが
けを省略することもできる。
【0016】靴底3は、上記した甲皮1及び中底2の底
面に成形型を嵌め込んだ状態で射出成形することによ
り、成形と同時に上記甲皮1及び中底2の底面に対して
固着するものであり、該靴底3の底面における前半部及
び踵部分にはスタッド3bを突出させてある。
【0017】図2にて示すように、上記したように甲皮
吊り込み部1aが接着される中底2外周部における爪先
部分、及び踵部分に適宜直径、例えば直径4ミリ程度の
通孔5を穿設する。上記通孔5は、上記した甲皮吊り込
み部1a及び中底2の底面側と上面側とを連通する孔で
あり、本実施例の場合、爪先に3個と爪先部両側部に2
個、踵部に1個の通孔5を穿設してある。
【0018】一方、靴底3上面における上記通孔5と対
応する箇所にはそれぞれ円柱形のピン部7を一体に突出
させ、これらピン部7を通孔5の中に嵌挿して固着させ
てある。従って、上記したように靴底3から一体に突出
する各ピン部7を、甲皮吊り込み部1a及び中底2の強
度的要所に穿けた通孔5に対して挿通したことよる結合
力により、靴底3と甲皮吊り込み部1a及び中底2に対
して強固に固着することができる。尚、上記したピン部
7及び通孔5を設ける位置と数、さらに太さは上記した
ものに限定するものではなく、必要であればどの位置に
何個設けても良い。ちなみに、上記したピン部7は、特
に爪先部分の強度が必要とされるサッカーシューズおい
ては、爪先部分に比較的狭い間隔にて多く配置すること
が好ましい。これと同様に、ゴルフシューズの場合に
は、踏み付けの内側の部分に沿って多くのピン部7を配
置するとよい。
【0019】上記したように構成した靴の内部には中敷
6を敷設して、上記2の上面をカバーする。図4にて示
すサッカーシューズa1’は、本発明の請求項1の製造
方法にて製造したサッカーシューズ、及び請求項4記載
のサッカーシューズに対応するものを示しており、上記
したサッカーシューズa1と同様に構成したものであ
る。前記したサッカーシューズa1は、ピン部7をそれ
ぞれ甲皮吊り込み部1a及び中底2に対して略垂直に嵌
挿するように構成したが、このサッカーシューズa1’
は、各ピン部7を斜めに突出させて構成してある。この
場合、靴底3に対して側方から加わる力と上記各ピン部
7の方向が抗するので、ピン部7の結合による抵抗力を
より効果的に発揮することができる。
【0020】図5及び図6にて示す靴a2及びa3は、
上記した靴a1と同様に構成されているが、靴底3から
突出するピン部及びこのピン部が嵌挿される通孔の形状
が異なっている。図5にて示す靴a2は、靴底3から突
出するピン部7’を略リベット形に成形したものであ
る。
【0021】上記したピン部7’は、靴底3から一体に
突出したピン7aの上端部に大径の頭部7bを形成した
ものであり、甲皮吊り込み部1a及び中底2に穿設した
通孔5’に対して形状一致した状態で嵌挿してある。従
って、上記ピン部7’は頭部7bが通孔5’の上端口内
に上方から嵌合した状態となり、大径部分となる頭部7
bによる抜け止めによりピン部7’と通孔5’との間の
結合力がさらに強まり、この結合力により、靴底3を甲
皮吊り込み部1a及び中底2に対して強固に固着するこ
とができる。
【0022】図6にて示す靴a3は、靴底3から突出す
るピン部7’’を断面略楔形に成形したものである。上
記したピン部7’’は、靴底3から一体に突出させたピ
ンの上端部の径を下端部の径よりも大径にすることによ
り、断面を略楔形に形成したものであり、甲皮吊り込み
部1a及び中底2に穿設した通孔5’’に対して形状一
致した状態で嵌挿してある。上記したピン部7’’は断
面略楔形に形成することにより通孔5’’に対する抜け
止めを行ったものであるから、上記したピン部7’と同
様に、ピン部7’と通孔5’との間の結合力を強め、靴
底3を甲皮吊り込み部1a及び中底2に対して強固に固
着することができる。
【0023】尚、靴底3から突出させるピン部及び通孔
の形状は、上記したピン部7’,7’’,通孔5’,
5’’の形状に限定するものではなく、ピン部の上端部
の径が下端部の径よりも大きく構成されて通孔に対して
抜止め効果のあるものであれば、どのような形状であっ
てもよい。
【0024】図7,図8にて示す靴a4は、靴底3の上
面外周部に沿ってピン8aと帯体8bとからなる固定部
8を一体に突出形成してある。上記固定部8のピン8a
は、甲皮吊り込み部1a及び中底2に穿設した通孔5に
挿通せしめるものであり、靴底3の上面外周部における
爪先部と踵部とにそれぞれ3本ずつ集中して突出させる
と共に、残る外周部に定間隔をおいて突出形成してあ
る。
【0025】また、上記したように靴底3の上面外周部
に沿って点在するピン8aの間には、同ピン8a同士の
上端部間に架けわたすように帯体8bを形成してある。
帯体8bは、図8にて示すように靴底の外周形状と同様
な環状を呈し、各ピン8aと一体に結合した状態で、中
底2の上面外周部に沿って形成した凹溝2a内に嵌着せ
しめてある。
【0026】上記した如く構成した靴a4は、甲皮吊り
込み部1a及び中底2外周部を靴底外周部と凹溝2a内
に嵌着する帯体8bとにより挟持せしめ、さらにこれら
を、通孔5に挿通される各ピン8aを介して結合し、あ
たかもマッケー縫いと同様な縫い合わせ構造を靴底3と
一体化する固定部8より構成することになる。その結
果、甲皮吊り込み部1a及び中底2と靴底3外周部とを
極めて強固に固着することができ、耐久性にも優れたも
のとなる。
【0027】次に、上記した各靴a1〜a4の製造方法
を説明する。最初に、靴a1の製造方法を図9乃至図1
5に基づいて説明する。甲皮1は、靴各部の形状に対応
して裁断した皮材を、緩衝材及び裏地と共に縫製して構
成する。縫製後の甲皮はまだ靴の形状を呈していないた
め、癖付け用の成形型により靴底側の周縁部を内側に折
り込んだ状態で加熱、加圧することにより、目的とする
靴の外形に整形する。上記した如く整形した甲皮1は、
図9にて示すように足形に形成したラストcに対して上
方から被せて装着する。ラストcは、上下逆さの状態で
支持され、その底面には中底2を密着させた状態で定置
させてある。
【0028】図10にて示すように、中底2を定着させ
たラストcに対して装着した甲皮1は、甲皮吊り込み部
1aを中底2の外周部に対して吊り込み、接着剤を塗布
して接着する。
【0029】次に、図11にて示すように、甲皮吊り込
み部1aと露呈する中底2底面部に目の荒い布材からな
る目止めシート4を接着する。尚、本発明の製造方法に
よれば、上記甲皮吊り込み部1aに対するバフがけを行
わなくとも十分な固着力を得ることが可能であるが、こ
の段階において上記甲皮吊り込み部部1aの表面に沿っ
てバフがけを行うことにより、靴底3の固着力をより完
全なものとすることができる。
【0030】図12にて示すように、甲皮吊り込み部1
aの所要箇所にポンチ等により通孔5を穿設する。この
通孔5は、甲皮吊り込み部1aの底面側と中底2上面側
とを連通する形で穿設する。また、上記通孔5の上端口
は、ラストcの底面に当接して密封された状態で塞がれ
る。上記通孔5は靴底3に加わる力の大きな爪先部と踵
部に集中して穿設する。尚、通孔5の穿設工程は、上記
したバフがけ及び目止めシート4の接着作業と前後して
行われてもよい。ちなみに、本実施例においては、上記
甲皮吊り込み部1aの幅を18mm〜20mm程度と
し、通孔5は上記甲皮吊り込み部1aの外周部より8m
m〜10mm程度内側に位置する部分に穿設してある。
【0031】次に、上記した如く中底2を取り付けた甲
皮1を、ラストcに装着した状態のまま靴底成形用の成
形型bに対してセッティングする(図13)。成形型b
は上記した甲皮1及び中底2の底面にウレタン樹脂製の
靴底3をインジェクション成形するものである。成形型
bは、スタッドの突出する靴底3底面部分を形成する下
型b1と、靴底周縁と甲皮外周との間の外周面部分を成
形する上型b2とにより構成してある。また、上記上型
b2は、中央から左右に分割され、下型b1の上面に密
着した状態で左右に分割される(図13,図14)。
【0032】ラストcに装着した甲皮1は、上記した下
型b1のキャビィティb1’の真上に靴底3の厚さにに
対応する間隙を置いて固定し、同時に、平面視における
位置合わせも行なう。その直後、左右から両上型b2が
移動して上記下型b1の上面に型合わせする。この状態
において、両上型b2は、下型b1の上面に密着する共
に、ラストcに対して装着される甲皮1の底面外周部に
対しても密着する。これにより、上記甲皮1の底面と上
記下型b1のキャビィティb1’との間に靴底3を成形
するめたの空間が形成される。
【0033】次いで、上記成形型b内に溶融樹脂の射出
が行われ、上記成形空間内に溶融樹脂が充填される。上
記成形空間内に射出された溶融樹脂は、甲皮吊り込み部
1aと目止めシート4の貼着された中底2底面に対して
固着するとと共に、甲皮吊り込み部1a及び中底2に穿
設した各通孔5に流れ込み、該通孔5の上端口まで充填
されてピン部7を形成する(図13)。
【0034】一定時間後、両上型b2を左右に分割し、
下型b1から靴底3を脱型する。脱型した製品は、靴底
3の射出口部分に突出する不要部分を切り取って仕上げ
る(図15)。上記した如く製造した靴a1は、靴底3
の樹脂が通孔5に流れ込んで形成されたピン部7が同通
孔5内に嵌挿して固着することによる結合力を発揮す
る。尚、上記した通孔5内に接着剤を塗布しておくこと
により、通孔5に対するピン部7の固着力を向上させる
ことができる。また、上記した通孔5の内径、即ち、ピ
ン部7の外径と本数は、靴底3の固着力や引き抜き負荷
に対する抗力と深く関係する。例えば、靴底3の固着力
を高めるには径の比較的小さな通孔5及びピン部7を数
多く設ける方がよく、また、ピン部7を引き抜こうとす
る大きな抗力に対抗するには、上記したピン部7に径の
大きなものを使用するとよい。
【0035】次ぎに、図5及び図6にて示した靴a2,
a3の製造方法を説明する。靴a2,a3は、上記した
靴a1の製造方法と同様に製造することができる。従っ
て、靴a1と説明が重複する部分は省略する。靴a2,
a3は、通孔5’及び5’’の形状をそれぞれ平釘形及
び断面楔形に穿設する必要がある。その為、靴a2,a
3においては、図9にて示すように中底2をラストcの
底面に定着させるよりも前に、中底2の上面側からリベ
ット形及び断面楔形の通孔5’,5’’を穿設してお
く。この作業には上記形状の専用ポンチを備える穿孔装
置を使用する。また、上記中底2は上面をラストcの底
面に向けて該ラストcの底面に対して定着させる。
【0036】そして、両靴a2,a3は、図12にて示
すように甲皮吊り込み部1aの接着を終えた後、中底2
の各通孔5’,5’’の上端口部を覆い隠す甲皮吊り込
み部1aにポンチ等を使用して上記通孔5’,5’’の
下端口と同じ径の孔を空け、上記通孔5’,5’’を連
通した状態とする。その後、図13,図14に示す場合
と同様な射出成形を行うことにより、上記通孔5’,
5’’の内部に靴底3側から合成樹脂が充填され、リベ
ット形及び断面楔形のピン部7’,7’’を具備する靴
a2,a3を製造することができる。尚、ピン部の形状
は上記したものに限定するものではなく、例えばポンチ
にて打ち抜く通孔の形状を変更することにより、ピン部
の頭部形状を図17(a)にて示すピン部7’aのよう
に十字形や、図17(b)にて示すピン部7’bにて示
すように略放射形に成形することもできる。この場合、
中底2の周縁部に通孔を穿設した後、該通孔の上端口を
上記形状のポンチにより打ち付けることにより同通孔の
上部に十字形や略放射状の凹部を形成することになる。
【0037】次ぎに、図7及び図8にて示す靴a4の製
造方法を説明する。靴a4も、上記した靴a1の製造方
法と同様に製造することができる。よって、前記したと
同様に、靴a1と重複する工程の説明は省略する。靴a
4は、通孔5の他に中底2の上面に凹溝2aを形成する
必要がある。従って、靴a4においては、中底2をラス
トcの底面に定着させるより前に、プレス機や切削装置
を使用して中底2の上面外周部に沿って凹溝2aを凹設
しておく。上記した中底2は、凹溝2aをラストcの底
面に向けた状態で同ラストc底面に定着させる。
【0038】靴a4は、図12にて示すように甲皮吊り
込み部1aの接着が終えた後、中底2の凹溝2aに沿っ
て通孔5を空け、各通孔5と凹溝2aの底面とを連通さ
せた状態とする。靴a4は、その後、図13,図14に
て示す場合と同様な射出成形を行うことにより、成形型
内に射出された溶融合成樹脂が、靴底3を成形する成形
空間から各通孔5を通過し、さらに凹溝2a内に流れ込
んで靴底3と一体な固定部8が成形される。
【0039】上記した如く製造した靴a4は、靴底3の
樹脂が通孔5及び凹溝2a内に流れ込んで固定部8が形
成され、この固定部8が甲皮吊り込み部1a及び中底2
に食い込むことで非常に強い結合力を得る。尚、上記し
た靴a4は、中底上面の外周部全周に亘って凹溝2aを
設ることにより、靴の外周形と略同じ形状となる環状の
固定部8を形成したが、上記した固定部は、図16にて
示す固定部8’のように、大きな荷重が加わる靴の爪先
部や即部及び踵部等、部分的に分けて構成してもよい。
この場合の固定部8’は、複数本のピン8aの上端部を
帯体8bにて連絡する形で構成される。
【0040】
【発明の効果】本発明の製造方法は以上説明したよう
に、甲皮の周縁部を吊り込んだ中底底面外周部に所要個
数の通孔を上記中底に対して斜めに穿設し、成形型の内
部に合成樹脂を射出して靴底を成形するものであるか
ら、靴底を成形するために成形型内に射出した合成樹脂
が上記通孔内に注入されてピン状に成形されるので、甲
皮底面に対する合成樹脂の接着力と共に、靴底から一体
に突出するピン部が上記通孔内に斜めに嵌挿されて固着
された状態となり、この結合力により甲皮及び中底と靴
底外周部とを強固に固着することができる。また、上記
したピン部は、中底に対して斜めに嵌挿されるので、靴
底に対して側方から加わる力と上記各ピン部の方向が抗
するので、ピン部の結合による抵抗力をより効果的に発
揮することができる。
【0041】請求項2記載の製造方法においては、甲皮
及び中底の外周部に穿設した通孔の上端側の径を下端側
の径よりも大きく形成するものであるから、上記したよ
うに靴底外周部から一体に突出するピン部を略楔状、若
しくはリベット状に形成し、このピン部を甲皮側の通孔
に嵌挿せしめる結合構造を支障なく実現することができ
る。そして、上記ピン部の大径部分により生じる抜け止
めにより、甲皮及び中底と靴底外周部とをより強固に固
着することが可能となる。
【0042】請求項3記載の製造方法においては、靴底
を成形する合成樹脂が通孔を通過して中底底面外周部に
形成した凹溝内まで注入されて硬化するので、甲皮及び
中底の底面側に形成される靴底と、中底の上面側の凹溝
内に成形される帯状部とが上記通孔に挿通されるピン状
部を介して一体に結合される構造を支障なく実現するこ
とができ、これにより、甲皮及び中底と靴底外周部とを
極めて強固に固着することができる。
【0043】請求項4記載の靴は、中底底面外周部にお
ける適宜箇所に靴底側と靴内部とを連通する所要個数の
通孔を上記中底に対して斜めに穿設し、且つ、上記甲皮
の底面に合成樹脂製の靴底を一体的に貼着成形し、該靴
底の上面外周部から一体に突出形成したピン部を上記通
孔内に斜めに嵌挿して固定したものであるから、甲皮及
び中底と靴底外周部とを、上記中底に対して斜めに設け
られるピン部と通孔との結合力を介して強固に固着する
ことができ、例えばサッカーシューズ等のように靴底に
対して非常に強い力が加わる場合でも、甲皮及び中底の
底面から靴底の外周部が剥がれてしまうような不具合を
効果的に低減することができる。また、上記したピン部
は、中底に対して斜めに嵌挿されるので、靴底に対して
側方から加わる力と上記各ピン部の方向が抗するので、
ピン部の結合による抵抗力をより効果的に発揮すること
ができる。
【0044】請求項5記載の靴においては、甲皮及び中
底底面外周部の適宜箇所に靴底側と靴内部とを連通する
通孔を所要個数穿設し、該通孔の上端側の径をそれぞれ
下端側の径よりも大きく形成すると共に、該通孔に嵌挿
するピン部の形状を上記通孔の内部形状に一致させてな
るものであるから、略楔状若しくはリベット状のピン部
が形状一致した状態で通孔に対して嵌挿され、上記ピン
部の大径部分による抜け止めにより、甲皮及び中底と靴
底外周部とをより強固に固着することができる。
【0045】請求項6記載の靴においては、甲皮及び中
底の底面に対して貼着成形した合成樹脂製の靴底に固定
部を一体成形し、該固定部を甲皮及び中底外周部の通孔
を貫通せしめて、中底の上面側に形成した凹溝内に嵌着
したものであるから、甲皮及び中底の外周部を靴底外周
部と凹溝内に嵌着する固定部とにより挟持し、さらに同
固定部の通孔部分を介して接合したように構成されるの
で、甲皮及び中底と靴底外周部とを極めて強固に固着す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 靴底から一体に突出するピン部を有する靴を
示す縦断面図。
【図2】 図1におけるII-II 線断面図。
【図3】 図2におけるIII-III 線断面図。
【図4】 ピン部を斜めに突出させた靴を示す縦断面
図。
【図5】 リベット形のピン部を具備する靴の爪先部分
を示す縦断側面図。
【図6】 楔形のピン部を具備する靴の爪先部分を示す
縦断側面図。
【図7】 靴底の外周部に固定部を設けた靴を示す縦断
面図。
【図8】 図7におけるVIII-VIII 線断面図。
【図9】 中底を定着させたラストに甲皮を装着する状
態を示す斜視図。
【図10】 甲皮の吊り込み部を中底に接着した状態を
示す斜視図。
【図11】 甲皮の底面に目止めシートを貼着する状態
を示す斜視図。
【図12】 甲皮吊り込み部及び中底に通孔を穿設した
状態を示す斜視図。
【図13】 甲皮を成形型に装着して靴底を射出成形し
ている状態を示す縦断側面図。
【図14】 同甲皮及び成形型の縦断正面図。
【図15】 脱型した靴を示す斜視図。
【図16】 固定部を靴底の爪先部と両側と踵部とに分
けて形成した靴を示す横断平面図。
【図17】 ピン部の頭部形状の変形例を示し、(a)
は頭部を十字形に形成したピン部を示す斜視図、(b)
は頭部を略放射形に形成したピン部を示す斜視図。
【図18】 吊り込み後の状態を示す従来甲皮の斜視
図。
【図19】 従来の靴の縦断側面図。
【符号の説明】
a1〜a4・・・靴 b・・・成形型 c・・・ラスト 1・・・甲皮 1a・・・吊り込み部 2・・・中底 2a・・・凹溝 3・・・靴底 5・・・通孔 7,7’,7’’・・・ピン部 8・・・固定部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B29D 31/50 A43B 13/16 A43D 25/06 A43D 86/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 縫製後、略靴形に整形した甲皮をラス
    トに装着し、該甲皮における靴底側周縁部を、上記ラス
    トの底面に定置した中底の底面外周部に吊り込んで貼着
    し、この中底底面外周部における適宜箇所に靴底側と靴
    内部とを連通する所要個数の通孔を上記中底に対して斜
    めに穿設し、上記甲皮の底面部に靴底成形用の成形型を
    当てがって密封状に装着し、該成形型の内部に溶融させ
    た合成樹脂を射出することを特徴とする靴の製造方法。
  2. 【請求項2】 縫製後、略靴形に整形した甲皮をラス
    トに装着し、該甲皮における靴底側周縁部を、上記ラス
    トの底面に定置した中底の底面外周部に吊り込んで貼着
    し、この中底底面外周部における適宜箇所に靴底側と靴
    内部とを連通する通孔を所要個数穿設すると共に、この
    通孔の上端側の径を下端側の径よりも大きく形成し、上
    記甲皮の底面部に靴底成形用の成形型を当てがって密封
    状に装着し、該成形型の内部に溶融させた合成樹脂を射
    出することを特徴とする靴の製造方法。
  3. 【請求項3】 上面外周部に沿って凹溝を形成した中
    底をラストの底面に定置すると共に、縫製後、略靴形に
    整形した甲皮を同ラストに装着し、該甲皮における靴底
    側周縁部を、上記中底底面外周部に吊り込んで貼着し、
    該中底底面外周部における適宜箇所に靴底側と靴内部と
    を連通して上記凹溝内に通ずる通孔を所要個数穿設し、
    上記甲皮の底面部に靴底成形用の成形型を当てがって密
    封状に装着し、該成形型の内部に溶融させた合成樹脂を
    射出することを特徴とする靴の製造方法。
  4. 【請求項4】 略靴形に成形した甲皮の靴底側周縁部
    を、該甲皮の底面開口を塞ぐ中底の底面外周部に吊り込
    んで貼着し、該中底底面外周部における適宜箇所に靴底
    側と靴内部とを連通する所要個数の通孔を上記中底に対
    して斜めに穿設し、且つ、上記甲皮の底面に合成樹脂製
    の靴底を一体的に貼着成形し、該靴底の上面外周部から
    一体に突出形成したピン部を上記通孔内に斜めに嵌挿し
    て固定して成る靴。
  5. 【請求項5】 略靴形に成形した甲皮の靴底側周縁部
    を、該甲皮の底面開口を塞ぐ中底の底面外周部に吊り込
    んで貼着し、該中底底面外周部における適宜箇所に靴底
    側と靴内部とを連通する通孔を所要個数穿設し、該通孔
    の上端側の径をそれぞれ下端側の径よりも大きく形成す
    ると共に、該通孔に嵌挿するピン部の形状を上記通孔の
    内部形状に一致させてなる請求項4記載の靴。
  6. 【請求項6】 略靴形に成形した甲皮の靴底側周縁部
    を、該甲皮の底面開口を塞ぐ中底の底面に吊り込んで貼
    着し、上記中底底面の外周部に沿って凹溝を形成すると
    共に、同中底の底面外周部における適宜箇所に上記凹溝
    を通過して靴底側と靴内部とを連通する通孔を穿設し、
    且つ、上記甲皮の底面に合成樹脂製の靴底を一体的に貼
    着成形し、該靴底の上面外周部に上記各通孔を貫通して
    凹溝内に嵌着する固定部を一体成形して成る靴。
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