JP2768403B2 - 靴及びその製造方法 - Google Patents

靴及びその製造方法

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JP2768403B2
JP2768403B2 JP7312901A JP31290195A JP2768403B2 JP 2768403 B2 JP2768403 B2 JP 2768403B2 JP 7312901 A JP7312901 A JP 7312901A JP 31290195 A JP31290195 A JP 31290195A JP 2768403 B2 JP2768403 B2 JP 2768403B2
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  • Footwear And Its Accessory, Manufacturing Method And Apparatuses (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、靴に関し、詳し
くは、甲皮の底面に合成樹脂製の靴底を射出成形して成
る靴とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、サッカーシューズやゴルフシュー
ズ等は、図13にて示すように、縫製した皮製の甲皮1
01に合成樹脂製の靴底103を設けて構成してある。
これらの靴100は、皮製の甲皮101を縫製した後、
この甲皮101を癖付け工程により所定の靴形に整形
し、図12にて示すように、成形用のラストcに装着す
る。ラストcの底面には同時に中底を定着させ、この中
底102の底面外周部に対して上記した甲皮101の靴
底皮外周部を吊り込んで接着する。
【0003】その後、上記甲皮の底面には目止めシート
104を貼設し、さらに、中底102の底面外周部に吊
り込んで接着した甲皮101吊り込み部101aの表面
をバフがけして荒らすと共に面を平らに整えて次の靴底
成形工程に移る。上記したように中底102を取り付け
た甲皮101は、ラストcに装着した状態で靴底成形用
の成形型を靴底面に当てがって密封状に装着し、その成
形型内に溶融させた合成樹脂を射出し、この溶融合成樹
脂が有する接着力により、上記甲皮101底面に合成樹
脂製の靴底を接着せしめた状態で成形する(図示せ
ず)。即ち、上記したバフかけ工程は、甲皮101吊り
込み部101aと合成樹脂製の靴底103との接着性を
向上せしめるために行うものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記したバフかけ作業
は、合成樹脂製の靴底103が形成される直ぐ内側の範
囲に沿ってかけらるが、誤って靴底103により覆われ
る範囲以外の部分にまでバフがけを行なってしまうこと
もある。このようにはみ出してバフがけが行われた靴
は、甲皮101に対するバフがけにより、厚さにむらの
ある甲皮101が部分的に薄くなり、その部分が強度的
に弱くなってしまう場合がある。また、バフがけによる
細かな傷が完成後に残ってしまうので、商品価値が下が
ってしまう。
【0005】さらには、特にサッカーシューズのよう
に、使用中において靴底に対して局部的に非常に強い力
が加わる靴にあっては、靴底の爪先部分が甲皮101の
吊り込み部101aから剥がれてしまうことがあった。
このような事情から、バフかけ処理を軽減するか、甲皮
101の吊り込み部101aと合成樹脂製の靴底103
との間に十分な固着強度を確保できる靴の開発が望まれ
ていた。
【0006】本発明の目的は、上記した如き構造の靴に
おいて、爪先部の部分的な剥がれを防止し、甲皮底面に
対する靴底の固着力を十分に確保することのできる靴及
び靴の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記した課題を達成する
ために、本発明の靴の製造方法は、平面靴底型に裁断し
た中底の上面外周部分の所定箇所に、該中底外周部分の
形状に合わせて裁断した当て材を貼着し、この中底の当
て材貼着部分をプレスして同部分の肉厚をその他の部分
と略同じ厚さに圧縮し、上記当て材の外周部付近に沿っ
て設けた孔切り取り線を切り取って同当て材に所定形状
の固着部形成孔を形成し、上記中底をラストの底面に定
置した後、縫製して略靴形に整形した甲皮を上記ラスト
に装着し、該甲皮における靴底側周縁部を上記中底の底
面外周部に吊り込んで止着し、上記甲皮底面における外
周部に通孔を穿設して上記当て材の固着部形成孔と連通
せしめ、上記甲皮の底部に靴底成形用の成形型を当てが
って密封状に装着し、該成形型の内部に溶融させた合成
樹脂を射出するものである。
【0008】また、本発明の靴は、略靴形に形成した甲
皮の底面開口部に中底を定置し、この中底の底面外周部
に沿って上記甲皮の靴底側周縁部を吊り込んで止着し、
その甲皮底面部に合成樹脂製の靴底を射出成形して成る
靴において、前記中底の上面外周部における所定箇所に
当て材を貼着して圧縮することにより同中底の当て材貼
着部分を他の部分と略同じ肉厚に成形し、上記当て材の
外周部に所定形状の固着孔を形成すると共に、甲皮底面
の外周部分に通孔を穿設して上記固着孔に連通せしめ、
上記固着孔内に嵌着した合成樹脂製の固着部と甲皮底面
に射出成形した靴底とを上記通孔を介して一体に成形し
ものである。
【0009】上記した手段によれば、以下に記する作用
を伴う。中底の上面外周部分の所定箇所には、同部分の
形状に合わせて裁断した当て材を貼着し、この部分をプ
レスする。これにより、上記中底の当て材貼着部分の肉
厚を肉厚がその他の部分と略同じ厚さに圧縮される。即
ち、中底の当て材貼着部分は圧縮されて固められ、部分
的に増強させた状態となる。
【0010】上記当て材には孔切り取り線が形成してあ
り、上記圧縮加工の後にこの孔切り取り線を切り取るこ
とにより、中底の上面に所定形状で且つ当て材の厚さと
同じ深さの固着部形成孔を形成することができる。上記
中底はラストの底面に定置する。また、上記ラストに対
しては略靴形に整形した甲皮を装着し、該甲皮の底面側
外周部をラスト底面に定置した中底の底面外周部に沿っ
て吊り込んで止着する。これにより甲皮底面の開口部が
上記中底により塞がれた状態となる。上記甲皮底面にお
ける外周部には通孔を穿設し、この通孔を上記当て材の
固着部形成孔と連通せしめる。
【0011】上記甲皮の底面部には靴底成形用の成形型
を密封状に装着し、該成形型の内部に溶融合成樹脂を射
出する。これにより、上記成形型の内部にて合成樹脂製
の靴底が成形され、同時に、溶融合成樹脂が有する接着
力により甲皮の底面に接着する。また、溶融樹脂の射出
と同時に、甲皮底面に穿設した通孔を通過して固着部形
成孔内へ向けて溶融樹脂が圧入される。即ち、中底上面
側の着部形成孔内にて成形される所定形状部分と靴底と
が、通孔を埋める部材介して一体に結合された状態とな
る。
【0012】本発明の靴によれば、甲皮の底面開口部に
中底が定置され、この中底の底面外周部に沿って上記甲
皮の靴底側周縁部が吊り込まれて止着されることによ
り、甲皮の底面開口部が中底により塞がれた状態とな
る。また、上記した甲皮の底面には合成樹脂製の靴底が
射出成形され、甲皮底面に対して接着した状態となって
いる。
【0013】上記中底の上面外周部には当て材を貼着し
て圧縮せしめ、同部分の肉厚を他の部分と略同じ肉厚に
してある。これにより、中底の上記部分は当て材が貼着
された状態で圧縮され、その結果、固く増強された状態
となる。上記当て材の外周部には所定形状の固着孔を形
成してある。また、甲皮底面の外周部分には通孔を穿設
し、上記固着孔に連通せしめてある。上記固着孔内と通
孔内には固着部を合成樹脂製の嵌着してあり、この固着
部と甲皮底面に射出形成した靴底とが通孔部を介して一
体に成形してある。よって、上記した固着部は通孔部を
埋める部材を介して中底の上面側に食い込んだ状態とな
り、靴底は合成樹脂が有する接着力に上記した固着部の
固着力が付加された状態にて甲皮底面に対して固着す
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面に
基づいて説明する。図1乃至図3にて示す靴aは、本発
明を実施したサッカーシューズである。このサッカーシ
ューズは皮製の甲皮1を形成し、該甲皮1の底面開口に
中底2を定置すると共に、この中底2の下面に目止めシ
ート4を貼着した後、上記甲皮1及び中底2の底面に合
成樹脂製の靴底3を射出成形してある。
【0015】また、上記中底2は、上面の爪先部分と下
面の踵部分とに当て材5,10を貼着してプレスすると
共に、爪先部分の外周部に穿設した通孔8及び固着孔6
内に対して、靴底3外周部から一体に突出させたピン状
部7及び固着部9を食い込ませた形で固着させてある。
【0016】甲皮1は、牛若しくはカンガルー等の皮材
を靴各部の形状に合わせて裁断し、これら各部分の皮を
裏地等と共に縫製することにより、靴底部分が開口する
甲皮1として構成する。縫製した甲皮1は、靴底側の周
縁部を一定の幅にて内側に折り込んだ状態で癖付けし、
略靴形の形状に整形する。上記した如く底面側に折り込
んだ甲皮1靴底側周縁部は吊り込み部分1aとして構成
される。甲皮1の底面開口部内には中底2を嵌め込み、
この中底2の底面外周部に沿って上記した吊り込み部分
1aを吊り込んで接着してある。これにより甲皮1の底
面開口が中底2により塞がれた状態となる。
【0017】また、上記甲皮1底面には合成繊維からな
る目止めシート4を接着し、吊り込み部分1aの周縁部
と中底2底面との間に生じる接着隙間を塞いで密封す
る。
【0018】中底2は厚さ2〜3ミリ程度の堅紙等を平
面視靴底形に裁断して成る。上記中底2の上面爪先部、
及び下面踵部には中底2と同様な堅紙からなる当て材5
及び10を止着してある。当て材5及び10は中底2の
爪先部及び踵部の外周形に合わせて裁断し、接着剤を塗
布して中底2の上面爪先部及び下面踵部に対して接着し
てある。上記中底2は、爪先部及び踵部をプレスするこ
とにより、重なり合う中底2及び当て材5,10の堅紙
素材を圧縮せしめ、同部分の肉厚をその他の部分と略同
じ厚さにまで圧縮せしめてある。これにより、比較的大
きな荷重が加わる中底2の爪先部及び踵部が固く高密度
になって部分的に増強された状態となる。
【0019】上記したように構成した中底2を取り付け
た甲皮1底面部には、ウレタン樹脂等の合成樹脂からな
る靴底3を射出成形してある。靴底3は底面の前半部及
び踵部にスタッドを突出形成し、射出成形時において溶
融合成樹脂が有する接着力により甲皮1靴底面に対して
一体的に接着せしめてある。
【0020】中底2爪先部の上面側には爪先部の外周に
沿って平面視円弧形の固着孔6を形成してある。また、
甲皮1底面の外周部に沿っては直径3ミリ程度の通孔8
を定間隔を置いて3個穿設してある。これら通孔8は、
吊り込み部分1a及び中底2爪先部を貫通して上記固着
孔6に連通する。各通孔8及び固着孔6には靴底3を形
成する合成樹脂を充填し、これら8,6の内部にピン状
部7と平面視視円弧形の固着部9を一体に形成してあ
る。
【0021】即ち、中底2上面側に形成した固着孔6内
に食い込んだ状態で形成される固着部9と、靴底3爪先
部とが、甲皮1底面を貫通する3本のピン状部7を介し
て靴底3爪先部分と連結された状態となる。これによ
り、特に靴底3の剥がれが生じ易い爪先部分の固着力を
大幅に向上せしめることができる。
【0022】次に、上記した各靴の製造方法を図4乃至
図11に基づいて説明する。図4にて示すように、中底
2は厚さ2〜3ミリ程度の堅紙若しくは合成皮革を平面
略靴底形に裁断して構成する。上記中底2の上面爪先部
には中底2と同様な堅紙を裁断して成る当て材5を貼着
してある。当て材5は中底2の爪先部分の外形に合わせ
て切断すると共に、爪先部分に相当する外周部に沿って
切り取り線6’を入れてある。
【0023】上記切り取り線6’は、当て材5を中底2
に貼着した後に切り取ることにより、図5にて示すよう
な平面視略円弧形の固着部形成孔6を形成するためのも
のであり、上記固着部形成孔6の外形に沿った形状にて
点状のつなぎ部分を残して切れ目を入れてある。当て材
5は接着剤を塗布した後、中底2上面の爪先部分に接着
する。また、上記中底2は下面踵部にも上記した当て材
5と同様な当て材10を接着する。しかし、踵側の当て
材10には爪先側の当て材5のような切り取り線は設け
ていない。尚、上記当て材5,10を貼着した中底2
は、爪先部分と踵部分とが、上記当て材5の厚さ分だけ
厚くなった状態となる。
【0024】上記したように当て材5,10を接着した
中底2は爪先部分と踵部分とをプレス機によりプレス
し、重なり合う中底2と当て材5,10の堅紙素材を圧
縮する。これにより、中底2の当て材5,10貼着部分
の肉厚は中底2のその他の部分と略同じ厚さにまで圧縮
される(図5)。また、上記した如きプレス加工によれ
ば、中底2の爪先部と踵部が圧縮により固められて高密
度な状態となり、特に荷重の加わる爪先と踵の強度が部
分的に高められる。
【0025】上記したように爪先部と踵部のプレスを終
えた中底2は、図5にて示すように当て材5の切り取り
線6’部分を切り取って同部分に平面略円弧形の固着部
形成孔6を形成する。形成された固着部形成孔6の深さ
は、圧縮された当て材5の厚さに対応し、中底2の肉厚
の略1/2に相当する。尚、上記固着部形成孔6は、前
記した靴aにおける固着孔6となるのである。上記した
切り取り線6’の形態は図4にて示すように点状のつな
ぎ部分を残したものに限定するものではなく、点線状に
切れ目を入れたもの、さらには固着部形成孔6の外周全
長に渡り切れ目を入れ、その切れ目の底面に薄皮一枚の
つなぎ部を残した切り取り線構造であってもよい。ま
た、上記した切り取り線は当て材5の外形をプレスによ
り打ち抜く時に同時に形成するのが好ましい。
【0026】一方、甲皮1は、靴各部の形状に対応して
裁断した皮材を、緩衝材及び裏地と共に縫製して構成す
る。縫製後の甲皮はまだ靴の形状を呈していないため、
癖付け用の成形型により靴底側の周縁部を内側に折り込
んだ状態で加熱、加圧することにより、目的とする靴の
外形に整形する。
【0027】上記した如く整形した甲皮1は、図6にて
示すように足形に形成したラストcに対して上方から被
せて装着する。ラストcは、上下逆さの状態で支持して
あり、その底面には前記中底2を上面側を下に向けた状
態で密着させ定置せしめてある。
【0028】図7にて示すように、中底2を定着させた
ラストcに対して装着した甲皮1は、靴底側周縁部に形
成した吊り込み部分1aをラストc底面に定置した中底
2の外周部に吊り込み、接着剤を塗布して接着する。ま
た、癖の強い踵部に相当する吊り込み部分1aは接着と
共に釘(図示せず)を使用して止着する。
【0029】次に、図8にて示すように、吊り込み部分
1aを吊り込んだ中底2底面に合成繊維制の目止めシー
ト4を接着し、上記吊り込み部分1aの外周縁と中底2
底面との間に生じる接着隙間を塞いでおく。
【0030】次いで、図9にて示すように、甲皮1底面
における爪先部分に通孔8を穿設する。通孔8は甲皮1
底面を貫通して中底2上面側に形成した固着部形成孔6
に連通する孔である。通孔8はポンチ等の工具を利用し
て甲皮1底面の爪先部分における固着部形成孔部分の直
上に沿って適宜個数、例えば3個定間隔を置いて穿設す
る。ちなみに、上記通孔8の内径は3ミリ程度に設定し
てある。また、通孔8が連通する固着部成形孔6の幅は
通孔8の内径よりもよりも幾分大きく設定してある。
【0031】次に、ラストcに装着した状態の甲皮1の
底面に対して靴底成形用の成形型bに対してセッティン
グする(図10)。
【0032】成形型bは上記した甲皮1及び中底2の底
面にウレタン樹脂製の靴底3を射出成形するものであ
る。成形型bは、スタッドの突出する靴底3底面部分を
形成するボトムモールドb1と、靴底周縁と甲皮外周と
の間の外周面部分を成形するサイドモールドb2とによ
り構成してある。また、上記サイドモールドb2は、中
央から左右に分割され、ボトムモールドb1の上面に密
着した状態で左右に分割される。
【0033】ラストcに装着した甲皮1は、上記したボ
トムモールドb1の真上に靴底3の厚さに対応する間隙
を置いて固定する。同時に、左右から両サイドモールド
b2を移動させ上記ボトムモールドb1の上面に型合わ
せする。これにより、上記甲皮1の底面と上記ボトムモ
ールドb1との間に靴底3を成形するめたの空間が形成
される。
【0034】次いで、上記成形型b内に溶融樹脂の射出
が行われ、型の成形空間内に溶融樹脂が充填される。上
記成形空間内に射出された溶融樹脂は、甲皮吊り込み部
1aと目止めシート4の貼着された中底2底面に対して
接着する。尚、上記中底2底面には本接着の前に前接着
として接着剤を塗布しておくとよい。
【0035】これと同時に、型内に射出された溶融樹脂
は、甲皮1底面の各通孔8を通過して固着部成形孔6内
に流れ込み、同孔6内にて平面視略円弧形の固着部9を
形成する。即ち、上記固着部9と靴底3爪先部とは各通
孔8内にて形成される3個のピン状部7により一体に結
合される。
【0036】一定時間後、両サイドモールドb2を左右
に分割し、ボトムモールドb1から靴底3を脱型する。
上記した工程で製造された靴は、靴底3が甲皮1底面に
対して接着すると共に、中底2上面側に嵌着した状態で
形成される固着部9と靴底3爪先部とが各ピン状部7を
介して一体に結合されるので、甲皮1底面に対する靴底
3爪先部の固着力が格段に高められる。
【0037】尚、上記実施例においては、甲皮1底面に
穿設する通孔8を3個として3本のピン状部7を形成し
たが、上記通孔及びピン状部の数は任意に設定してよ
く、1個以上何個設けてもよい。また、ピン状部と固着
部を形成する通孔及び固着部形成孔は、甲皮1底面の爪
先部以外の箇所に設けもよく、例えば、上記したものと
同様なものを踵部やふまず部の両側等に設けても良い。
【0038】さらに、中底2上面側に形成する固着部形
成孔及びその内部にて形成される固着部の形状も、上記
したような円弧形に限定するものではない。固着部は、
ピン状部の上端に同ピン状部の径よりも大きな固着部が
形成されるものであればどのような形状であってもよ
い。上記固着部は各ピン状部の上端にそれぞれ独立する
形で設けてもよく、例えば、各ピン状部の上端に円形の
固着部を形成して固着部及びピン状部の形状を略リベッ
ト形としてもよい。この場合、固着部形成孔は固着部と
同じ数だけ個々に独立させて設けることになる。
【0039】尚、実施例の靴はサッカーシューズである
が、本発明は靴底を合成樹脂により射出成形する靴であ
ればどのような種類の靴であってもよい。また、上記実
施例においては甲皮1の底面に目止めシート4を貼着し
た後に靴底3を射出成形したが、目止めシート4の貼着
は省略することもできる。
【0040】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、靴底を成形
するために成形型内に射出した合成樹脂が上記通孔を通
過して固着部形成孔内に圧入され、所定形状の固着部を
中底上面側に嵌着した状態で形成されるので、靴底の固
着強度を特に確保したい爪先部等において、甲皮底面に
形成される靴底と上記固着部とを、通孔に挿通されるピ
ン状部を介して一体に結合することができ、甲皮底面と
靴底とを極めて強固に固着することができる。また、中
底の当て材を貼着した部分は、プレスにより固く高密度
に増強せしめることができる。その結果、上記固着部を
受ける部分の支持強度が高められ、固着部による固着力
を効果的に増大することができる。
【0041】本発明の靴においては、中底上面側に穿設
した固着部形成孔内にて充填形成した固着部と甲皮底面
に形成した靴底とを通孔を介して一体に成形したもので
あるから、中底上面側の固着孔に嵌着する固着部と靴底
とが通孔を介して結合する固着構造により、甲皮底面に
対する靴底の固着力を大幅に高めることができる。ま
た、上記中底の当て材貼着部は、プレスにより固く高密
度となって増強されることから、上記固着部を受ける部
分の支持強度が高められ、これにより、固着部による固
着力をより効果的に増大し、靴の耐久力を向上せしめる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施した靴を示す縦断面図。
【図2】 図1におけるII-II 線断面図。
【図3】 図2におけるIII-III 線断面図。
【図4】 当て材と中底を示す斜視図。
【図5】 当て材を貼着した爪先部と踵部とをプレス
した中底を示す斜視図。
【図6】 ラストと甲皮を示す斜視図。
【図7】 中底の周囲に甲皮の吊り込み部分を吊り込
んだ状態を示す斜視図。
【図8】 甲皮底面に目止めシートを貼着する状態を
示す斜視図。
【図9】 通孔を穿設した状態の甲皮を示す斜視図。
【図10】 甲皮の底面に成形型を装着した状態を示
す縦断面図。
【図11】 図10におけるXI-XI 線断面図。
【図12】 従来の靴製造方法において、甲皮底面に
バフがけを施した状態を示す斜視図。
【図13】 従来の靴を示す縦断面図。
【符号の説明】
a・・・靴 1・・・甲皮 1a・・・吊り込み部分 2・・・中底 3・・・靴底 5・・・当て材 6・・・固着部成形孔(固着孔) 7・・・ピン状部 8・・・通孔 9・・・固着部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B29D 31/50 A43B 13/00 - 13/42 A43D 21/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平面靴底型に裁断した中底の上面外周
    部分の所定箇所に、該中底外周部分の形状に合わせて裁
    断した当て材を貼着し、この中底の当て材貼着部分をプ
    レスして同部分の肉厚をその他の部分と略同じ厚さに圧
    縮し、上記当て材の外周部付近に沿って設けた孔切り取
    り線を切り取って同当て材に所定形状の固着部形成孔を
    形成し、上記中底をラストの底面に定置した後、縫製し
    て略靴形に整形した甲皮を上記ラストに装着し、該甲皮
    における靴底側周縁部を上記中底の底面外周部に吊り込
    んで止着し、上記甲皮底面における外周部に通孔を穿設
    して上記当て材の固着部形成孔と連通せしめ、上記甲皮
    の底部に靴底成形用の成形型を当てがって密封状に装着
    し、該成形型の内部に溶融させた合成樹脂を射出するこ
    とを特徴とする靴の製造方法。
  2. 【請求項2】 略靴形に形成した甲皮の底面開口部に
    中底を定置し、この中底の底面外周部に沿って上記甲皮
    の靴底側周縁部を吊り込んで止着し、その甲皮底面部に
    合成樹脂製の靴底を射出成形して成る靴において、前記
    中底の上面外周部における所定箇所に当て材を貼着して
    圧縮することにより同中底の当て材貼着部分を他の部分
    と略同じ肉厚に成形し、上記当て材の外周部に所定形状
    の固着孔を形成すると共に、甲皮底面の外周部分に通孔
    を穿設して上記固着孔に連通せしめ、上記固着孔内に嵌
    着した合成樹脂製の固着部と甲皮底面に射出成形した靴
    底とを上記通孔を介して一体に成形して成る靴。
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