JPH11320707A - 補強部を有する靴の製造方法及びその靴 - Google Patents
補強部を有する靴の製造方法及びその靴Info
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- JPH11320707A JPH11320707A JP10133633A JP13363398A JPH11320707A JP H11320707 A JPH11320707 A JP H11320707A JP 10133633 A JP10133633 A JP 10133633A JP 13363398 A JP13363398 A JP 13363398A JP H11320707 A JPH11320707 A JP H11320707A
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- Footwear And Its Accessory, Manufacturing Method And Apparatuses (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 爪先部、踵部等部分的に補強部を有する靴を
効率的に製造する方法及びその方法により製造される靴
を提供する。 【解決手段】 甲革12と裏革14の間に介在する補強部28
を有する靴の製造方法において、甲革12と裏革14を互い
に縫合する前に又は後に甲革12もしくは裏革14の少なく
とも一方の補強部に対応する箇所に対して固化可能な液
状の補強材26を吹付けにより塗布し、甲革12と裏革14を
貼り合わせ中底44に吊り込み、その後補強材を固化させ
ることにより補強部28を形成する。
効率的に製造する方法及びその方法により製造される靴
を提供する。 【解決手段】 甲革12と裏革14の間に介在する補強部28
を有する靴の製造方法において、甲革12と裏革14を互い
に縫合する前に又は後に甲革12もしくは裏革14の少なく
とも一方の補強部に対応する箇所に対して固化可能な液
状の補強材26を吹付けにより塗布し、甲革12と裏革14を
貼り合わせ中底44に吊り込み、その後補強材を固化させ
ることにより補強部28を形成する。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、爪先部、踵部等部
分的に補強部を有する靴の効率的な製造方法及びその方
法により製造された靴に関する。
分的に補強部を有する靴の効率的な製造方法及びその方
法により製造された靴に関する。
【0002】
【従来の技術】靴の保形、足の保護、また、歩行中靴を
確実に足に固定するために、爪先部、踵部等の部分に補
強が必要となる。そこで、従来、下記に示す様な大別し
て3種類の靴の補強具、即ち、溶剤活性型、熱活性型、
前成形型の補強具を成形前の甲革の所定の部位に貼り付
ける方法がとられていた。
確実に足に固定するために、爪先部、踵部等の部分に補
強が必要となる。そこで、従来、下記に示す様な大別し
て3種類の靴の補強具、即ち、溶剤活性型、熱活性型、
前成形型の補強具を成形前の甲革の所定の部位に貼り付
ける方法がとられていた。
【0003】先ず、溶剤活性型の補強具は、基材布地に
ポリスチレン、塩化ビニール、酢酸ビニール等の熱可塑
性樹脂を一体化したシート材を所定の形状に裁断し、靴
の外観に補強具の輪郭が浮き上がって見えない様にする
ため、必要に応じて周囲を薄く剥いたものである。使用
する際には、トルエン等の有機溶剤中に浸し、熱可塑性
樹脂を軟化させてから、成形前に甲革の所定の部位に貼
り付け、成形後、浸した溶剤が揮発することにより硬化
させる。
ポリスチレン、塩化ビニール、酢酸ビニール等の熱可塑
性樹脂を一体化したシート材を所定の形状に裁断し、靴
の外観に補強具の輪郭が浮き上がって見えない様にする
ため、必要に応じて周囲を薄く剥いたものである。使用
する際には、トルエン等の有機溶剤中に浸し、熱可塑性
樹脂を軟化させてから、成形前に甲革の所定の部位に貼
り付け、成形後、浸した溶剤が揮発することにより硬化
させる。
【0004】次に、熱活性型の補強具は、基材布地にポ
リスチレン、塩化ビニール、酢酸ビニール等の熱可塑性
樹脂を一体化したシート材、あるいは、EVA、アイオ
ノマー、ポリカプロラクトン等の熱可塑性樹脂を押し出
したシート材に熱活性型の接着剤を塗布したシートを所
定の形状に裁断し、必要に応じて周囲を薄く剥いたもの
である。使用する際には、熱可塑性樹脂及び熱活性型の
接着剤が軟化してから、成形前に甲革の所定の部位に貼
り付け、成形後、冷却により硬化させる。
リスチレン、塩化ビニール、酢酸ビニール等の熱可塑性
樹脂を一体化したシート材、あるいは、EVA、アイオ
ノマー、ポリカプロラクトン等の熱可塑性樹脂を押し出
したシート材に熱活性型の接着剤を塗布したシートを所
定の形状に裁断し、必要に応じて周囲を薄く剥いたもの
である。使用する際には、熱可塑性樹脂及び熱活性型の
接着剤が軟化してから、成形前に甲革の所定の部位に貼
り付け、成形後、冷却により硬化させる。
【0005】最後に、前成形型の補強具は、上記の熱活
性型の補強具で説明した熱可塑性樹脂と一体化した布、
及び、押し出したシート材、あるいは、天然革や再生革
等のシートを所定の形状に裁断し、必要に応じて周囲を
薄く剥き、前もって所定の形状に成形したものである。
使用する際には、これを甲革の所定の部位に接着剤を用
いて貼り付ける。この他に、樹脂の射出成形によって成
形されるものや金属製の鍛造に依って製造されるものも
ある。
性型の補強具で説明した熱可塑性樹脂と一体化した布、
及び、押し出したシート材、あるいは、天然革や再生革
等のシートを所定の形状に裁断し、必要に応じて周囲を
薄く剥き、前もって所定の形状に成形したものである。
使用する際には、これを甲革の所定の部位に接着剤を用
いて貼り付ける。この他に、樹脂の射出成形によって成
形されるものや金属製の鍛造に依って製造されるものも
ある。
【0006】図4は、上記の溶剤活性型と熱活性型の補
強具を用いた従来の製造方法の一例を概略的に示す図で
ある。図4(A)は、爪先部の補強用に適宜形状に形成
された補強具52を示す。図4(B)は、縫合された甲
革12と裏革14の爪先部を示しており、裏革14は手
前側に折り返されている。甲革12と裏革14の間の所
定の部位に補強具52を貼り付ける。図4(C)は、補
強具52を挟んで甲革12と裏革14を貼り合わせ、中
底44に被せて吊り込み、成形させて補強具に含浸させ
た樹脂を硬化させる工程を示す側面図であり、特に、爪
先部近傍は一部切り欠き断面図で示している。
強具を用いた従来の製造方法の一例を概略的に示す図で
ある。図4(A)は、爪先部の補強用に適宜形状に形成
された補強具52を示す。図4(B)は、縫合された甲
革12と裏革14の爪先部を示しており、裏革14は手
前側に折り返されている。甲革12と裏革14の間の所
定の部位に補強具52を貼り付ける。図4(C)は、補
強具52を挟んで甲革12と裏革14を貼り合わせ、中
底44に被せて吊り込み、成形させて補強具に含浸させ
た樹脂を硬化させる工程を示す側面図であり、特に、爪
先部近傍は一部切り欠き断面図で示している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来の補強具は、樹脂の射出成形及び金属の鍛造品を除
き、ほとんどのものが元来シート状の原材料を裁断して
作られたものであるため、多様な靴の各々に合致した補
強具の形状を得るために、個々の靴商品のデザインやサ
イズ毎に、既存の抜き型から似た物を選んだり、場合に
よっては新規に補強具用の抜き型を作製しなくてはなら
なかった。そのため、多く製靴業者は、補強具を得るた
め、外部の補強具製造業者に製造を委託する事が多く、
新規に靴を設計してから、その靴に合う補強具を得るま
でに時間がかかるという欠点があった。
従来の補強具は、樹脂の射出成形及び金属の鍛造品を除
き、ほとんどのものが元来シート状の原材料を裁断して
作られたものであるため、多様な靴の各々に合致した補
強具の形状を得るために、個々の靴商品のデザインやサ
イズ毎に、既存の抜き型から似た物を選んだり、場合に
よっては新規に補強具用の抜き型を作製しなくてはなら
なかった。そのため、多く製靴業者は、補強具を得るた
め、外部の補強具製造業者に製造を委託する事が多く、
新規に靴を設計してから、その靴に合う補強具を得るま
でに時間がかかるという欠点があった。
【0008】特に、前成形型の補強具は予め成形されて
いるので製靴工程中の成形は容易になる反面、裁断工程
以外にも多くの複雑な製造工程を経て製造されるため、
更に入手までの時間がかかる。
いるので製靴工程中の成形は容易になる反面、裁断工程
以外にも多くの複雑な製造工程を経て製造されるため、
更に入手までの時間がかかる。
【0009】また、特に天然革や再生革製の前成形型の
踵用補強具の場合、補強具製造後の梱包方法や経時変化
により成形された形状が変形することがあり、補強具の
形状にバラツキを生じ易かった。その結果、完成した靴
の外観や履き心地に悪影響を及ぼすと言う問題点があっ
た。
踵用補強具の場合、補強具製造後の梱包方法や経時変化
により成形された形状が変形することがあり、補強具の
形状にバラツキを生じ易かった。その結果、完成した靴
の外観や履き心地に悪影響を及ぼすと言う問題点があっ
た。
【0010】さらに、中底を用いずに縫合された甲革を
捲り上げ、裏革のみ中敷き革と足袋状と縫合したものに
靴型を挿入し、爪先及び踵部に補強具を貼り付け、その
後甲革を中敷き革に吊り込む、いわゆる「ボロネーゼ製
法」と呼ばれる靴の製造方法において、靴型にフィット
した裏革の爪先及び踵部に従来の補強具を貼り付ける作
業は難しく、時間がかかり、熟練を必要とするという問
題点があり、この製法はあまり取り入れられていなかっ
た。
捲り上げ、裏革のみ中敷き革と足袋状と縫合したものに
靴型を挿入し、爪先及び踵部に補強具を貼り付け、その
後甲革を中敷き革に吊り込む、いわゆる「ボロネーゼ製
法」と呼ばれる靴の製造方法において、靴型にフィット
した裏革の爪先及び踵部に従来の補強具を貼り付ける作
業は難しく、時間がかかり、熟練を必要とするという問
題点があり、この製法はあまり取り入れられていなかっ
た。
【0011】本発明は、以上のような問題点を解決し、
爪先部、踵部等部分的に補強部を有する靴を効率的に製
造することを目的とし、また、斯かる製造方法により製
造される靴を提供するものである。
爪先部、踵部等部分的に補強部を有する靴を効率的に製
造することを目的とし、また、斯かる製造方法により製
造される靴を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明の第1の態様は、甲革と裏革の間に介在する
補強部を有する靴の製造方法において、前記甲革と前記
裏革を互いに縫合する前に該甲革もしくは該裏革の少な
くとも一方の前記補強部に対応する箇所に対して固化可
能な液状の補強材を吹付けにより塗布し、該甲革と該裏
革を互いに縫合し、該甲革と該裏革を貼り合わせ中底に
吊り込み、その後該補強材を固化させることにより前記
補強部を形成することを特徴とする。
め、本発明の第1の態様は、甲革と裏革の間に介在する
補強部を有する靴の製造方法において、前記甲革と前記
裏革を互いに縫合する前に該甲革もしくは該裏革の少な
くとも一方の前記補強部に対応する箇所に対して固化可
能な液状の補強材を吹付けにより塗布し、該甲革と該裏
革を互いに縫合し、該甲革と該裏革を貼り合わせ中底に
吊り込み、その後該補強材を固化させることにより前記
補強部を形成することを特徴とする。
【0013】本発明の第2の態様は、甲革と裏革の間に
介在する補強部を有する靴の製造方法において、前記甲
革と前記裏革を互いに縫合した後、該甲革もしくは該裏
革の少なくとも一方の前記補強部に対応する箇所に対し
て固化可能な液状の補強材を吹付けにより塗布し、該甲
革と該裏革を貼り合わせ中底に吊り込み、該補強材を固
化させることにより前記補強部を形成することを特徴と
する。
介在する補強部を有する靴の製造方法において、前記甲
革と前記裏革を互いに縫合した後、該甲革もしくは該裏
革の少なくとも一方の前記補強部に対応する箇所に対し
て固化可能な液状の補強材を吹付けにより塗布し、該甲
革と該裏革を貼り合わせ中底に吊り込み、該補強材を固
化させることにより前記補強部を形成することを特徴と
する。
【0014】また、本発明の第3の態様は、甲革と裏革
の間に介在する補強部を有する靴の製造方法において、
前記甲革と前記裏革を互いに縫合した後、該裏革のみを
中底に吊り込み、該裏革の前記補強部に対応する箇所に
対して固化可能な液状の補強材を吹付けにより塗布し、
該甲革を該裏革に貼り合わせ吊り込み、該補強材を固化
させることにより前記補強部を形成することを特徴とす
る。
の間に介在する補強部を有する靴の製造方法において、
前記甲革と前記裏革を互いに縫合した後、該裏革のみを
中底に吊り込み、該裏革の前記補強部に対応する箇所に
対して固化可能な液状の補強材を吹付けにより塗布し、
該甲革を該裏革に貼り合わせ吊り込み、該補強材を固化
させることにより前記補強部を形成することを特徴とす
る。
【0015】また、本発明の第4の態様は、甲革と裏革
の間に介在する補強部を有する靴の製造方法において、
前記甲革と前記裏革を互いに縫合した後、該裏革のみを
中敷き革と足袋状に縫合したものに靴型を挿入した後、
該裏革の前記補強部に対応する箇所に対して固化可能な
液状の補強材を吹付けにより塗布し、該甲革を該裏革に
貼り合わせ吊り込み、その後該補強材を固化させること
により前記補強部を形成することを特徴とする。
の間に介在する補強部を有する靴の製造方法において、
前記甲革と前記裏革を互いに縫合した後、該裏革のみを
中敷き革と足袋状に縫合したものに靴型を挿入した後、
該裏革の前記補強部に対応する箇所に対して固化可能な
液状の補強材を吹付けにより塗布し、該甲革を該裏革に
貼り合わせ吊り込み、その後該補強材を固化させること
により前記補強部を形成することを特徴とする。
【0016】さらに、上記いずれかの態様において、前
記固化可能な液状の補強材を吹付により塗布する場合、
吹付対象箇所上に該補強材の染み出しを防止する薄膜部
材を設置した後に吹付を行うことが好適である。
記固化可能な液状の補強材を吹付により塗布する場合、
吹付対象箇所上に該補強材の染み出しを防止する薄膜部
材を設置した後に吹付を行うことが好適である。
【0017】さらに、上記いずれかの態様において、前
記固化可能な液状の補強材が、溶液状態、エマルジョン
状態もしくは溶融状態のモノマー、熱硬化性樹脂もしく
は熱可塑性樹脂のうちいずれかであることが好適であ
る。
記固化可能な液状の補強材が、溶液状態、エマルジョン
状態もしくは溶融状態のモノマー、熱硬化性樹脂もしく
は熱可塑性樹脂のうちいずれかであることが好適であ
る。
【0018】本発明による靴は、上記の本発明による靴
の製造方法により製造され、吹付けにより塗布された前
記補強材の固化物による補強部を有することを特徴とす
る。
の製造方法により製造され、吹付けにより塗布された前
記補強材の固化物による補強部を有することを特徴とす
る。
【0019】
【作用】本発明による靴の製造方法では、予め補強具を
準備することなく製靴工程中に靴の補強部を形成するこ
とができる。また、上記第1及び第2の製造方法では液
状の補強材を吹付け塗布した後に裏革と甲革を中底に吊
り込み、上記第3の製造方法では中底に吊り込まれた裏
革に液状の補強材を吹き付けて甲革を吊り込み、あるい
は、上記第4の製造方法では裏革のみ中敷き革と足袋状
に縫合しその後靴型を挿入した裏革に液状の補強材を吹
き付けて甲革を吊り込み、そしていずれの場合も、その
後補強材が固化した後に靴型を抜くため、要求された形
状通りの補強部を容易に形成できる。本発明の製造方法
により製造された靴は、設計を忠実に実現したものとな
る。
準備することなく製靴工程中に靴の補強部を形成するこ
とができる。また、上記第1及び第2の製造方法では液
状の補強材を吹付け塗布した後に裏革と甲革を中底に吊
り込み、上記第3の製造方法では中底に吊り込まれた裏
革に液状の補強材を吹き付けて甲革を吊り込み、あるい
は、上記第4の製造方法では裏革のみ中敷き革と足袋状
に縫合しその後靴型を挿入した裏革に液状の補強材を吹
き付けて甲革を吊り込み、そしていずれの場合も、その
後補強材が固化した後に靴型を抜くため、要求された形
状通りの補強部を容易に形成できる。本発明の製造方法
により製造された靴は、設計を忠実に実現したものとな
る。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。尚、説明においては、補強
部を有する靴における爪先の補強部を例として説明して
いるが、本発明は、爪先部に限られず、踵部及びそれ以
外の補強が必要ないずれの部位についても同様に適用で
きる。
に基づいて詳細に説明する。尚、説明においては、補強
部を有する靴における爪先の補強部を例として説明して
いるが、本発明は、爪先部に限られず、踵部及びそれ以
外の補強が必要ないずれの部位についても同様に適用で
きる。
【0021】図1は、第1の実施形態において、靴の爪
先部に補強部を設ける作業工程を示す概略的な側面図で
ある。図1(A)では、甲革12と裏革14を縫合した
靴のアッパー10の爪先部の甲革12をめくり上げ、ス
プレー装置22を用いて裏革14の補強部に該当する箇
所に液状の補強材26を噴霧状に吹き付けている。液状
の補強材26は、例えば、溶液状態、エマルジョン状
態、もしくは溶融状態のモノマー、熱硬化性樹脂もしく
は熱可塑性樹脂であって、吹付け後の適切な処置により
固化すなわち硬化可能なものである。また、単一物では
なく混合物もしくは複合物であってもよい。吹付け後の
処置としては、各補強材に応じて加熱、冷却、静置等が
ある。補強材が固化した状態すなわち補強材固化物は、
要求された靴の補強部として十分な強度、弾性等の物性
を有するものとする。
先部に補強部を設ける作業工程を示す概略的な側面図で
ある。図1(A)では、甲革12と裏革14を縫合した
靴のアッパー10の爪先部の甲革12をめくり上げ、ス
プレー装置22を用いて裏革14の補強部に該当する箇
所に液状の補強材26を噴霧状に吹き付けている。液状
の補強材26は、例えば、溶液状態、エマルジョン状
態、もしくは溶融状態のモノマー、熱硬化性樹脂もしく
は熱可塑性樹脂であって、吹付け後の適切な処置により
固化すなわち硬化可能なものである。また、単一物では
なく混合物もしくは複合物であってもよい。吹付け後の
処置としては、各補強材に応じて加熱、冷却、静置等が
ある。補強材が固化した状態すなわち補強材固化物は、
要求された靴の補強部として十分な強度、弾性等の物性
を有するものとする。
【0022】スプレー装置22は、吹き付ける補強材2
6に合わせて吐出能力の適したものを選択し、必要に応
じて液体を所定の温度で吐出可能な加熱機能を具備する
ものを選ぶ。補強材26として、例えば、ウレタン樹
脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いる場合、主剤
の他に硬化剤もしくは反応促進剤等を別々に噴霧するこ
とが必要であれば多頭型スプレー装置を利用することが
好適である。また、溶融状態の樹脂を噴霧する場合に
は、ホットメルト用のスプレー装置を用いることができ
る。スプレー装置は手で支えてもよいし、生産効率を高
めるために複数のノズルを機械で支えてノズルを自動的
に動かしたり、逆に吹き付け対象物である靴の方を自動
的に動かしてもよい。また、熱可塑性樹脂の溶媒に用い
られるような有機溶剤、もしくは、熱硬化性樹脂のウレ
タン樹脂に用いられるイソシアネート等の有害危険物質
を噴霧する場合は、作業者を保護するべく作業環境と遮
断可能なスプレー装置を用いる必要がある。
6に合わせて吐出能力の適したものを選択し、必要に応
じて液体を所定の温度で吐出可能な加熱機能を具備する
ものを選ぶ。補強材26として、例えば、ウレタン樹
脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いる場合、主剤
の他に硬化剤もしくは反応促進剤等を別々に噴霧するこ
とが必要であれば多頭型スプレー装置を利用することが
好適である。また、溶融状態の樹脂を噴霧する場合に
は、ホットメルト用のスプレー装置を用いることができ
る。スプレー装置は手で支えてもよいし、生産効率を高
めるために複数のノズルを機械で支えてノズルを自動的
に動かしたり、逆に吹き付け対象物である靴の方を自動
的に動かしてもよい。また、熱可塑性樹脂の溶媒に用い
られるような有機溶剤、もしくは、熱硬化性樹脂のウレ
タン樹脂に用いられるイソシアネート等の有害危険物質
を噴霧する場合は、作業者を保護するべく作業環境と遮
断可能なスプレー装置を用いる必要がある。
【0023】図1(A)において、噴霧吹き付けをする
液状の補強材26が所定の部位以外に塗布されないよう
にするため、必要に応じてマスキング部材32等の遮蔽
部材でマスキングを行う。マスキング部材32の形状
は、図示の板状に限られず任意である。
液状の補強材26が所定の部位以外に塗布されないよう
にするため、必要に応じてマスキング部材32等の遮蔽
部材でマスキングを行う。マスキング部材32の形状
は、図示の板状に限られず任意である。
【0024】図1(A)の噴霧吹き付けを行った後、図
1(B)の吊り込み工程を行う。吊り込み工程において
は、甲革12と裏革14を貼り合わせ、アッパー10を
靴型42に被せ、中底44に吊り込む。尚、補強材は、
吊り込み工程が完了するまでは十分に変形自在の状態を
保持するように選択又は調整されるものとする。吊り込
み工程完了後、使用した補強材に適した処置を施すこと
により、吹き付けられた補強材を固化する。例えば、熱
硬化性樹脂であれば、所定の硬化温度にて所定の時間維
持し、熱可塑性樹脂であれば、適宜冷却もしくは静置す
る。こうして、甲革12と裏革14の間に補強材固化物
28が形成される。その後、靴型42を抜く。
1(B)の吊り込み工程を行う。吊り込み工程において
は、甲革12と裏革14を貼り合わせ、アッパー10を
靴型42に被せ、中底44に吊り込む。尚、補強材は、
吊り込み工程が完了するまでは十分に変形自在の状態を
保持するように選択又は調整されるものとする。吊り込
み工程完了後、使用した補強材に適した処置を施すこと
により、吹き付けられた補強材を固化する。例えば、熱
硬化性樹脂であれば、所定の硬化温度にて所定の時間維
持し、熱可塑性樹脂であれば、適宜冷却もしくは静置す
る。こうして、甲革12と裏革14の間に補強材固化物
28が形成される。その後、靴型42を抜く。
【0025】また、図1に示した実施形態の応用例とし
て、ポリカプロラクトン等の熱可塑性樹脂、又はウレタ
ン樹脂の反応型ホットメルト等の熱硬化性樹脂を溶融状
態で補強材26として噴霧した場合、必要に応じて、吊
り込む直前に甲革12と裏革14を重ね、吹き付けた補
強材26により熱圧着させて貼り合わせた後、アッパー
10を中底44に吊り込むようにしてもよい。また別の
応用例として、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化
樹脂、又は熱可塑性樹脂を、溶液状態もしくはエマルジ
ョン状態で補強材26として噴霧した場合は、補強材2
6に粘着性が残っているうちに甲革12と裏革14を圧
着して接合した後、補強材26が未硬化なうちにアッパ
ー10を靴型42に被せ、中底44に吊り込むようにし
てもよい。
て、ポリカプロラクトン等の熱可塑性樹脂、又はウレタ
ン樹脂の反応型ホットメルト等の熱硬化性樹脂を溶融状
態で補強材26として噴霧した場合、必要に応じて、吊
り込む直前に甲革12と裏革14を重ね、吹き付けた補
強材26により熱圧着させて貼り合わせた後、アッパー
10を中底44に吊り込むようにしてもよい。また別の
応用例として、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化
樹脂、又は熱可塑性樹脂を、溶液状態もしくはエマルジ
ョン状態で補強材26として噴霧した場合は、補強材2
6に粘着性が残っているうちに甲革12と裏革14を圧
着して接合した後、補強材26が未硬化なうちにアッパ
ー10を靴型42に被せ、中底44に吊り込むようにし
てもよい。
【0026】図1では、甲革と裏革を縫合した後に補強
材の吹付を行う方法であるが、別の方法として、縫合す
る前すなわち革を所定の形状に裁断した平坦な甲革又は
裏革に先ず補強材を吹き付け、その後に縫合することも
可能である。これは、ホットメルト等の吹付け後に粘着
性の残らない補強材の場合に好適である。この方法で
は、多数の平坦な甲革又は裏革を並べて一度に吹き付け
ることが容易に行えるので、効率的に補強材が塗布でき
る。
材の吹付を行う方法であるが、別の方法として、縫合す
る前すなわち革を所定の形状に裁断した平坦な甲革又は
裏革に先ず補強材を吹き付け、その後に縫合することも
可能である。これは、ホットメルト等の吹付け後に粘着
性の残らない補強材の場合に好適である。この方法で
は、多数の平坦な甲革又は裏革を並べて一度に吹き付け
ることが容易に行えるので、効率的に補強材が塗布でき
る。
【0027】図2は、第2の実施形態において靴の爪先
に補強部を設ける作業工程を示す概略的な側面図であ
る。図2(A)では、甲革12と裏革14を縫合した靴
のアッパー10の裏革14のみを先に靴型42に被せて
中底44に吊り込んだ後、甲革12を捲り上げ、裏革1
4の爪先部に補強材26を噴霧状に吹き付ける。裏革1
4上に補強材26を吹き付けた後、図2(B)におい
て、甲革12を吊り込む。その後、図1の例と同様に、
補強材26に適した処置により補強材26を固化させ、
補強材固化物28を形成する。第2の実施形態において
使用する補強材26については、第1の実施形態のもの
と同様である。
に補強部を設ける作業工程を示す概略的な側面図であ
る。図2(A)では、甲革12と裏革14を縫合した靴
のアッパー10の裏革14のみを先に靴型42に被せて
中底44に吊り込んだ後、甲革12を捲り上げ、裏革1
4の爪先部に補強材26を噴霧状に吹き付ける。裏革1
4上に補強材26を吹き付けた後、図2(B)におい
て、甲革12を吊り込む。その後、図1の例と同様に、
補強材26に適した処置により補強材26を固化させ、
補強材固化物28を形成する。第2の実施形態において
使用する補強材26については、第1の実施形態のもの
と同様である。
【0028】第2の実施形態では、裏革14の吊り込み
を先に行うので、補強材26の吹き付けの際に要求され
た形状通りに吹き付けることができ、かつ、吹付けから
固化までの間にその形状が変化することがないので、要
求された形状の補強部を極めて正確に形成することがで
きる。
を先に行うので、補強材26の吹き付けの際に要求され
た形状通りに吹き付けることができ、かつ、吹付けから
固化までの間にその形状が変化することがないので、要
求された形状の補強部を極めて正確に形成することがで
きる。
【0029】また、図2に示した実施形態の応用例とし
て、ポリカプロラクトン等の熱可塑性樹脂の溶融状態の
ホットメルト、又はウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂の反
応型ホットメルトを補強材26として吹き付けた場合、
甲革12を吊り込む直前に、甲革14と噴霧した補強材
26を接着するため、吹き付けた補強材26上に別の接
着剤を塗布して甲革12を接合させてから中底44に吊
り込んでもよい。また別の応用例として、ウレタン樹脂
やエポキシ樹脂等の熱硬化樹脂、又は熱可塑性樹脂を、
溶液状態もしくはエマルジョン状態で補強材26として
吹き付けた後、補強材に粘着性が残っているうちに甲革
12を貼り合わせ、中底44に吊り込んでもよい。
て、ポリカプロラクトン等の熱可塑性樹脂の溶融状態の
ホットメルト、又はウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂の反
応型ホットメルトを補強材26として吹き付けた場合、
甲革12を吊り込む直前に、甲革14と噴霧した補強材
26を接着するため、吹き付けた補強材26上に別の接
着剤を塗布して甲革12を接合させてから中底44に吊
り込んでもよい。また別の応用例として、ウレタン樹脂
やエポキシ樹脂等の熱硬化樹脂、又は熱可塑性樹脂を、
溶液状態もしくはエマルジョン状態で補強材26として
吹き付けた後、補強材に粘着性が残っているうちに甲革
12を貼り合わせ、中底44に吊り込んでもよい。
【0030】図示しないが、さらに別の実施形態とし
て、前述した従来のボロネーゼ製法を適用したものがあ
る。この製法では、甲革と裏革を縫合した後、裏革のみ
中敷き革と足袋状に縫合し、その後靴型を挿入し、この
状態で上記と同様に補強材を吹き付け塗布し、甲革を貼
り合わせて中敷き革もしくは裏革に吊り込む。その後は
上記と同様である。
て、前述した従来のボロネーゼ製法を適用したものがあ
る。この製法では、甲革と裏革を縫合した後、裏革のみ
中敷き革と足袋状に縫合し、その後靴型を挿入し、この
状態で上記と同様に補強材を吹き付け塗布し、甲革を貼
り合わせて中敷き革もしくは裏革に吊り込む。その後は
上記と同様である。
【0031】上記では、靴の爪先の補強部を示す図を用
いて説明したが、アッパーが立体的に縫合されているこ
とを除き、踵の補強部にも当てはまるものである。ま
た、上記では、裏革に対して補強材を吹き付けた後に甲
革と貼り合わせているが、逆に、甲革に対して補強材を
吹き付けた後に裏革と貼り合わせるようにしてもよい。
いて説明したが、アッパーが立体的に縫合されているこ
とを除き、踵の補強部にも当てはまるものである。ま
た、上記では、裏革に対して補強材を吹き付けた後に甲
革と貼り合わせているが、逆に、甲革に対して補強材を
吹き付けた後に裏革と貼り合わせるようにしてもよい。
【0032】また、図2に示した第2の実施形態は、革
靴やスポーツシューズ以外に、塩化ビニール製のスラッ
シュブーツにも適用することができる。この場合、必要
に応じて、靴型に対して裏面への染み出しを防ぐための
皮膜を形成したライニングを被せた後、ライニングに中
底を接着剤で取り付け、中底とともにライニングの爪先
及び踵の補強部に対して前述の補強材を噴霧状に吹き付
ける。その後、噴霧した補強材が充分に硬化した後、底
面等に接着剤を塗布し、塩化ビニール製のスキンを被
せ、接着面を圧着して完成する。あるいは、中底を取り
付ける前にライニングの底面にも樹脂を噴霧し、その後
に中底を取り付けてもよい。この様にすると、靴型の底
面形状にライニングを沿わせることにより、スラッシュ
ブーツの足裏の面にアーチパッド等の立体形状を設ける
事も可能である。
靴やスポーツシューズ以外に、塩化ビニール製のスラッ
シュブーツにも適用することができる。この場合、必要
に応じて、靴型に対して裏面への染み出しを防ぐための
皮膜を形成したライニングを被せた後、ライニングに中
底を接着剤で取り付け、中底とともにライニングの爪先
及び踵の補強部に対して前述の補強材を噴霧状に吹き付
ける。その後、噴霧した補強材が充分に硬化した後、底
面等に接着剤を塗布し、塩化ビニール製のスキンを被
せ、接着面を圧着して完成する。あるいは、中底を取り
付ける前にライニングの底面にも樹脂を噴霧し、その後
に中底を取り付けてもよい。この様にすると、靴型の底
面形状にライニングを沿わせることにより、スラッシュ
ブーツの足裏の面にアーチパッド等の立体形状を設ける
事も可能である。
【0033】図3は、本発明のさらに別の実施形態を示
す概略的な側面図である。図3(A)は、上記の第1の
実施形態と組み合わせた例であり、裏革14上に染み出
し防止部材16を載せた上に補強材26を吹き付ける。
図3(B)は、上記の第2の実施形態を組み合わせた例
であり、裏革14上に染み出し防止部材16を被せた上
に補強材26を吹き付ける。吹付け後の工程は、上記と
同様である。染み出し防止部材16は、吹き付ける補強
材26が革の内部へ浸透して染み出すことを防止し、ま
た、吹き付ける補強材を積極的に吸収するための薄膜部
材である。
す概略的な側面図である。図3(A)は、上記の第1の
実施形態と組み合わせた例であり、裏革14上に染み出
し防止部材16を載せた上に補強材26を吹き付ける。
図3(B)は、上記の第2の実施形態を組み合わせた例
であり、裏革14上に染み出し防止部材16を被せた上
に補強材26を吹き付ける。吹付け後の工程は、上記と
同様である。染み出し防止部材16は、吹き付ける補強
材26が革の内部へ浸透して染み出すことを防止し、ま
た、吹き付ける補強材を積極的に吸収するための薄膜部
材である。
【0034】染み出し防止材16の一例としては、通常
甲革と裏革の間に補強布として用いられている綿織布
や、ポリエステル不織布製の布等を利用できる。染み出
し防止材16は、粘着剤や接着剤により、裏革等の吹き
付け対象物に貼り付ける。これらの粘着剤や接着剤の層
が染み出し防止部材と裏革との間に介在することによ
り、補強材が革の内部へ染み出すことを防止する。
甲革と裏革の間に補強布として用いられている綿織布
や、ポリエステル不織布製の布等を利用できる。染み出
し防止材16は、粘着剤や接着剤により、裏革等の吹き
付け対象物に貼り付ける。これらの粘着剤や接着剤の層
が染み出し防止部材と裏革との間に介在することによ
り、補強材が革の内部へ染み出すことを防止する。
【0035】染み出し防止材16の別の例としては、裏
革等に補強材を吹き付ける前に遮蔽効果のある樹脂等を
コーティングするか、又は樹脂の薄膜をラミネートして
もよい。
革等に補強材を吹き付ける前に遮蔽効果のある樹脂等を
コーティングするか、又は樹脂の薄膜をラミネートして
もよい。
【0036】尚、ポリカプロラクトン等の熱可塑性樹脂
の溶融したホットメルトや、ウレタン樹脂等の熱硬化性
樹脂の反応型ホットメルトの溶融したものを噴霧する場
合は、革の内部への染み出しは通常ほとんどないので、
染み出し防止材は必ずしも必要ではない。
の溶融したホットメルトや、ウレタン樹脂等の熱硬化性
樹脂の反応型ホットメルトの溶融したものを噴霧する場
合は、革の内部への染み出しは通常ほとんどないので、
染み出し防止材は必ずしも必要ではない。
【0037】
【発明の効果】本発明による製靴方法は、靴アッパーの
補強部形成箇所に対して、固化可能な液状の補強材を吹
き付けた後、吊り込むと共に補強材を固化させて補強材
固化物とすることにより靴の補強部を形成する。従っ
て、製靴工程中に靴の補強部を形成することができ、従
来のように予め補強具を準備しておく必要がない。本発
明によれば、従来の補強具は全く不要となる。従って、
新規に靴を設計してから、短時間でその靴を製造するこ
とができる。
補強部形成箇所に対して、固化可能な液状の補強材を吹
き付けた後、吊り込むと共に補強材を固化させて補強材
固化物とすることにより靴の補強部を形成する。従っ
て、製靴工程中に靴の補強部を形成することができ、従
来のように予め補強具を準備しておく必要がない。本発
明によれば、従来の補強具は全く不要となる。従って、
新規に靴を設計してから、短時間でその靴を製造するこ
とができる。
【0038】また、吹き付けられた液状の補強材は、変
形自在であり所望するいかなる形状にも対応することが
できる。従って、液状の補強材を吹き付けた後に通常の
吊り込み工程を行うだけで、要求された形状を正確に実
現することができる。また、裏革を吊り込んだ後に補強
材を吹き付ける第2の実施形態では、極めて正確に要求
された形状を実現できる。これに対し、従来の補強具
は、その作製自体が複雑で困難である上に、使用時には
硬い状態のものを一時的にある程度軟化させ、取り付け
る部位に対して正確に位置合わせして接合するという煩
雑な作業が必要であり、さらに必ずしも要求された形状
を実現できる保証がなかった。本発明によれば、このよ
うな問題点は全て解消される。
形自在であり所望するいかなる形状にも対応することが
できる。従って、液状の補強材を吹き付けた後に通常の
吊り込み工程を行うだけで、要求された形状を正確に実
現することができる。また、裏革を吊り込んだ後に補強
材を吹き付ける第2の実施形態では、極めて正確に要求
された形状を実現できる。これに対し、従来の補強具
は、その作製自体が複雑で困難である上に、使用時には
硬い状態のものを一時的にある程度軟化させ、取り付け
る部位に対して正確に位置合わせして接合するという煩
雑な作業が必要であり、さらに必ずしも要求された形状
を実現できる保証がなかった。本発明によれば、このよ
うな問題点は全て解消される。
【0039】特に、この発明によりボロネーゼ製法で靴
を作り易くなった。ボロネーゼ製法は吊り込みのための
中底が不要で、中敷き面にアーチパッドのような立体形
状を設けた、いわゆるコンフォートシューズの製造に好
適である。また、同時に、ボロネーゼ製法は甲革だけは
中敷き革に吊り込まれるため、インジェクション式の製
法に多く見られる「スリップラスティング」のように甲
革と裏革を一緒に中敷き革と足袋状に縫合したものに靴
型を挿入するだけで、吊り込みを行わない製造方法では
得ることのできないシャープな形状のアッパーを得るこ
とが可能である。例えば、パンプスのようにシャープな
輪郭をもつアッパーに、中敷き面にアーチパッドのよう
な立体形状を設けたインジェクション式製法の靴を容易
に製造することも可能になる。
を作り易くなった。ボロネーゼ製法は吊り込みのための
中底が不要で、中敷き面にアーチパッドのような立体形
状を設けた、いわゆるコンフォートシューズの製造に好
適である。また、同時に、ボロネーゼ製法は甲革だけは
中敷き革に吊り込まれるため、インジェクション式の製
法に多く見られる「スリップラスティング」のように甲
革と裏革を一緒に中敷き革と足袋状に縫合したものに靴
型を挿入するだけで、吊り込みを行わない製造方法では
得ることのできないシャープな形状のアッパーを得るこ
とが可能である。例えば、パンプスのようにシャープな
輪郭をもつアッパーに、中敷き面にアーチパッドのよう
な立体形状を設けたインジェクション式製法の靴を容易
に製造することも可能になる。
【図1】本発明の一実施形態により、靴の爪先に補強部
を設ける作業工程を示す概略側面図であり、(A)は補
強材の吹付け工程を、(B)は吊込み工程を示す。
を設ける作業工程を示す概略側面図であり、(A)は補
強材の吹付け工程を、(B)は吊込み工程を示す。
【図2】本発明の別の実施形態により、靴の爪先に補強
部を設ける作業工程を示す概略側面図であり、(A)は
裏革のみ吊り込んだ状態での補強材の吹付工程を、
(B)は甲革の吊り込み工程を示す。
部を設ける作業工程を示す概略側面図であり、(A)は
裏革のみ吊り込んだ状態での補強材の吹付工程を、
(B)は甲革の吊り込み工程を示す。
【図3】本発明の別の実施形態により、靴の爪先に補強
部を設ける作業工程を示す概略側面図であり、(A)は
図1の形態に適用した例を示し、(B)は図2の形態に
適用した例を示す。
部を設ける作業工程を示す概略側面図であり、(A)は
図1の形態に適用した例を示し、(B)は図2の形態に
適用した例を示す。
【図4】上記の溶剤活性型と熱活性型の補強具を用いた
従来の製造方法を概略的に示す図である。
従来の製造方法を概略的に示す図である。
【符号の説明】 10 靴(アッパー部) 12 甲革 14 裏革 16 染み出し防止部材 22 スプレー装置 26 補強材 28 補強部 32 マスキング板 42 靴型 44 中底 52 補強具
Claims (7)
- 【請求項1】 甲革と裏革の間に介在する補強部を有す
る靴の製造方法において、 前記甲革と前記裏革を互いに縫合する前に該甲革もしく
は該裏革の少なくとも一方の前記補強部に対応する箇所
に対して固化可能な液状の補強材を吹付けにより塗布
し、該甲革と該裏革を互いに縫合し、該甲革と該裏革を
貼り合わせ中底に吊り込み、その後該補強材を固化させ
ることにより前記補強部を形成することを特徴とする補
強部を有する靴の製造方法。 - 【請求項2】 甲革と裏革の間に介在する補強部を有す
る靴の製造方法において、 前記甲革と前記裏革を互いに縫合した後、該甲革もしく
は該裏革の少なくとも一方の前記補強部に対応する箇所
に対して固化可能な液状の補強材を吹付けにより塗布
し、該甲革と該裏革を貼り合わせ中底に吊り込み、その
後該補強材を固化させることにより前記補強部を形成す
ることを特徴とする補強部を有する靴の製造方法。 - 【請求項3】 甲革と裏革の間に介在する補強部を有す
る靴の製造方法において、 前記甲革と前記裏革を互いに縫合した後、該裏革のみを
中底に吊り込み、該裏革の前記補強部に対応する箇所に
対して固化可能な液状の補強材を吹付けにより塗布し、
該甲革を該裏革に貼り合わせ吊り込み、その後該補強材
を固化させることにより前記補強部を形成することを特
徴とする補強部を有する靴の製造方法。 - 【請求項4】 甲革と裏革の間に介在する補強部を有す
る靴の製造方法において、 前記甲革と前記裏革を互いに縫合した後、該裏革のみを
中敷き革と足袋状に縫合したものに靴型を挿入した後、
該裏革の前記補強部に対応する箇所に対して固化可能な
液状の補強材を吹付けにより塗布し、該甲革を該裏革に
貼り合わせ吊り込み、その後該補強材を固化させること
により前記補強部を形成することを特徴とする補強部を
有する靴の製造方法。 - 【請求項5】 前記固化可能な液状の補強材を吹付によ
り塗布する場合、吹付対象箇所上に補強材の染み出しを
防止する薄膜部材を設置した後に吹付を行うことを特徴
とする請求項1〜4のいずれか記載の補強部を有する靴
の製造方法。 - 【請求項6】 前記固化可能な液状の補強材が、溶液状
態、エマルジョン状態もしくは溶融状態のモノマー、熱
硬化性樹脂もしくは熱可塑性樹脂のうちいずれかである
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の補強部
を有する靴の製造方法。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか記載の補強部を
有する靴の製造方法により製造され、吹付けにより塗布
された前記補強材の固化物である補強部を有することを
特徴とする靴。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10133633A JPH11320707A (ja) | 1998-05-15 | 1998-05-15 | 補強部を有する靴の製造方法及びその靴 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10133633A JPH11320707A (ja) | 1998-05-15 | 1998-05-15 | 補強部を有する靴の製造方法及びその靴 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11320707A true JPH11320707A (ja) | 1999-11-24 |
Family
ID=15109394
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10133633A Pending JPH11320707A (ja) | 1998-05-15 | 1998-05-15 | 補強部を有する靴の製造方法及びその靴 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11320707A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009112749A (ja) * | 2007-11-05 | 2009-05-28 | Hiroshima Kasei Ltd | 中敷一体型靴を製造する方法及び中敷一体型靴 |
JP2020065596A (ja) * | 2018-10-22 | 2020-04-30 | 創造技術株式会社 | 靴の製造方法および靴の製造方法により製造された靴 |
WO2020173532A3 (en) * | 2019-02-26 | 2020-10-22 | Ecco Sko A/S | Method of manufacturing a footwear |
JP2021040957A (ja) * | 2019-09-11 | 2021-03-18 | モリト株式会社 | スポーツシューズ用つま先カバーの形成方法及びそれを有するスポーツシューズ |
JPWO2021124541A1 (ja) * | 2019-12-20 | 2021-06-24 |
-
1998
- 1998-05-15 JP JP10133633A patent/JPH11320707A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009112749A (ja) * | 2007-11-05 | 2009-05-28 | Hiroshima Kasei Ltd | 中敷一体型靴を製造する方法及び中敷一体型靴 |
JP2020065596A (ja) * | 2018-10-22 | 2020-04-30 | 創造技術株式会社 | 靴の製造方法および靴の製造方法により製造された靴 |
WO2020173532A3 (en) * | 2019-02-26 | 2020-10-22 | Ecco Sko A/S | Method of manufacturing a footwear |
WO2021170186A1 (en) * | 2019-02-26 | 2021-09-02 | Ecco Sko A/S | Automated footwear manufacturing line and method of operating such manufacturing line |
CN115461223A (zh) * | 2019-02-26 | 2022-12-09 | 伊科斯克有限公司 | 自动鞋类生产线及操作这样的生产线的方法 |
JP2021040957A (ja) * | 2019-09-11 | 2021-03-18 | モリト株式会社 | スポーツシューズ用つま先カバーの形成方法及びそれを有するスポーツシューズ |
JPWO2021124541A1 (ja) * | 2019-12-20 | 2021-06-24 |
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