JP2923391B2 - 電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

電解コンデンサの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、漏れ電流を低減した電
解コンデンサの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電解コンデンサの漏れ電流の低減
のためには、様々な方法が試みられてきた。周知のよう
に、電解コンデンサは、アルミニウム、タンタル、ニオ
ブ、ハフニウム、ジルコニウム等の弁金属及びこれらの
合金若しくは複合材料の表面に陽極酸化処理等の手法で
酸化物層である誘電体層を形成させて使用するが、漏れ
電流は、陽極酸化物層の厚さの不均一さ、格子欠陥やボ
イドの存在、不純物の存在等のため均一な組成、構造と
なっていないことに起因すると言われている。
【0003】そこで、漏れ電流の低減は弁金属を陽極化
する際、熱処理煮沸等の減極処理をする方法、または駆
動用電解液を対向電極とするアルミ電解コンデンサ等で
は駆動用電解液に陽極酸化能力を持たせ、絶縁層の修復
を製品として完成してから行っている。二酸化マンガン
を対向電極とするタンタル固体電解コンデンサ、アルミ
固体電解コンデンサでも二酸化マンガンが絶縁層に対し
修復能力があることが知られており、これらの技術によ
り漏れ電流を低減している。
【0004】一方、導電性を持つ機能性高分子、電荷移
動錯体を対向電極とする電解コンデンサは、これら対向
電極に絶縁層修復能がなく、電圧印加によるヒーリング
処理で漏れ電流を低減している。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】ところで、アルミニ
ウム、タンタル等の弁金属を陽極酸化する際の熱処理、
煮沸等の減極処理では、漏れ電流が流れる部分を選択的
に処理することができず、同時に他の電気的性能を減ず
る等の問題点があった。
【0006】また、駆動用電解液に強度な酸化皮膜修復
剤を用いる方法では、使用濃度に限界があるのみなら
ず、使用初期及び使用中の信頼性にも問題があり、更
に、対向電極に導電性を持つ機能性高分子、電荷移動錯
体を使用する電解コンデンサにあっては製造初期及び使
用期間中の漏れ電流が不安定であり、信頼性の面で問題
があった。
【0007】本発明は、従来の技術が有するこのような
問題点に鑑みなされたもので、その目的とするところ
は、漏れ電流を著しく低減させることができる電解コン
デンサの製造方法を提供することにある。
【0008】
【問題点を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明は、陽極酸化皮膜の修復方法として、絶縁性
を有し、かつ柔軟性に富んだ有機薄膜を陽極酸化皮膜上
に形成する方法を採用したものである。更に説明すれ
ば、本発明は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、ハフ
ニウム、ジルコニウム等の弁金属及びこれら合金若しく
は複合材料の表面に陽極酸化等の手法によりコンデンサ
としての誘電体層を形成した後、酸化物である該誘電体
層上にトリアジンチオール誘導体を電解重合法により重
合してトリアジンチオールポリマー層を形成させ陽極体
とする構成を特徴とするものである。
【0009】本発明において用いられる電解重合は、一
般に電解液に陽極と陰極を挿入して定電流法、定電位
法、パルス法等により電流を流して行うものであり、こ
こで陽極とは、電解重合が起こる極であり、アルミニウ
ム、タンタル、ニオブ、ハフニウム、ジルコニウム等の
弁金属及びこれらの合金若しくは複合材料の表面が陽極
酸化されたものを使用し、また、陰極は、電気化学的に
不活性なものであり、導電体であれば何でもよいが、一
般にステンレス板、ニッケル板、白金板及びカーボン板
を使用することができる。電解液はトリアジンチオール
誘導体、電解質、重合促進剤等の添加剤と溶剤から成
る。
【0010】また、本発明における電解重合のモノマー
であるトリアジンチオール誘導体とは、一般式
【化2】 〔式中Rは−R1、−OR1、−SR1、−NR12
1、R2はC1からC30までのアルキル基、アルケニル
基、フェニル基、フェニルアルキル基、アルキルフェニ
ル基またはシクロアルキル基、MはH、Li、Na、
K、Ce、1/2Mg、Ca、Ba、脂肪族及びシクロ
アルキル基の第1級、第2級、第3級アミン類、または
これらの第4級アンモニウム塩とホスホニウム塩〕で表
されるトリアジンチオール誘導体を意味し、具体的には
1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール、
1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール・
モナトリウム、1,3,5−トリアジン−2,4,6−
トリチオール・ジナトリウム、1,3,5−トリアジン
−2,4,6−トリチオール・トリナトリウム、6−メ
チル−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、
6−アリル−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオ
ール、6−メトキシ−1,3,5−トリアジン−2,4
−ジチオール、6−ブトキシ−1,3,5−トリアジン
−2,4−ジチオール、6−フェノキシ−1,3,5−
トリアジン−2,4−ジチオール、6−ブチルチオ−
1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ベ
ンジルチオ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオ
ール、6−アリルチオ−1,3,5−トリアジン−2,
4−ジチオール、6−ドデシルチオ−1,3,5−トリ
アジン−2,4−ジチオール、6−アミノ−1,3,5
−トリアジン−2,4−ジチオール、6−メチルアミノ
−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−
ブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチ
オール、6−オクチルアミノ−1,3,5−トリアジン
−2,4−ジチオール、6−ステアリルアミノ−1,
3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−シクロ
ヘキシルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジ
チオール、6−ベンジルアミノ−1,3,5−リアジン
−2,4−ジチオール、6−モルホリノ−1,3,5−
トリアジン−2,4−ジチオール、6−オレインアミノ
−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−
アニリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオー
ル、6−ブチルアニリノ−1,3,5−トリアジン−
2,4−ジチオール、6−ジメチルアミノ−1,3,5
−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジエチルアミ
ノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6
−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−
ジチオール、6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリア
ジン−2,4−ジチオール・モノナトリウム、6−ジア
リルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオ
ール・モノリチウム、6−ジアリルアミノ−1,3,5
−トリアジン−2,4−ジチオール・モノカリウム、6
−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−
ジチオール・モノセシウム、6−ジブチルアミノ−1,
3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジブチ
ルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオー
ル・モノナトリウム、6−ジブチルアミノ−1,3,5
−トリアジン−2,4−ジチオール・モノトリエタノー
ルアミン、6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジ
ン−2,4−ジチオール・ジエタノールアミン、6−ジ
ブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチ
オール・モノエタノールアミン、6−ジブチルアミノ−
1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・テトラ
ブチルアンモニウム、6−ジブチルアミノ−1,3,5
−トリアジン−2,4−ジチオール・テトラブチルホス
ホニウム、6−ジオクチルアミノ−1,3,5−トリア
ジン−2,4−ジチオール、6−ジオクチルアミノ−
1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・モノナ
トリウム、6−ジドデシルアミノ−1,3,5−トリア
ジン−2,4−ジチオール等を挙げることができる。こ
れらのトリアジンチオール誘導体は溶剤に溶解して電解
質とするが、その濃度は一般に10- 5mol/Lから
10- 1mol/Lの範囲が望ましい。濃度が10- 6
ol/L以下では重合性が低く、膜の生成に長時間を要
するので望ましくない。また、10- 1mol/L以上
では溶剤に溶解し難く、また、溶解しても電解液の粘度
が高く実用に供しえない。
【0011】電解質は一般に電解重合が定常的に行われ
るように電流を流すために使用されるが、トリアジンチ
オール誘導体の場合は重合を促進する電解質もある。し
たがって、溶剤に溶解することが重要であり、溶剤によ
って使用できる電解質は異なるが、一般には水酸化リチ
ウム、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリ
ウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、酢酸ナトリ
ウム、トリフルオロ酢酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウ
ム、メタリン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、炭
酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、珪酸ナトリウ
ム、酒石酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、メタンス
ルホン酸ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、硝
酸カリウム、亜硝酸カリウム、酢酸カリウム、トリフル
オロ酢酸カリウム、ホウ酸カリウム、メタリン酸カリウ
ム、次亜リン酸カリウム、炭酸カリウム、モリブデン酸
カリウム、珪酸カリウム、酒石酸カリウム、シュウ酸カ
リウム、メタンスルホン酸カリウム、過塩素酸ナトリウ
ム等を挙げることができる。これらは溶剤やトリアジン
チオール誘導体の種類や量で異なるが、通常、10-4
ol/Lから10- 1mol/Lの範囲が望ましい。一
般に、10- 4mol/L以下では電解質としての作用
が不足し、また10- 1mol/L以上では粘度が高く
なり、陽極体を汚染したり、トリアジンチオール誘導体
の溶剤への溶解性を妨げるので好ましくない。
【0012】更に、電解重合反応を促進する目的で二酸
化マンガン、亜硝酸ナトリウム、過酸化ナトリウム、ベ
ルオキソ二硫酸ナトリウム等を10- 6mol/Lから
10-1mol/Lの範囲で添加することもある。
【0013】上記のトリアジンチオール誘導体、電解
質、促進剤等の化合物を溶剤に溶解して電解液とする
が、ここで使用される溶剤はこれらを溶解させることが
不可欠となる。例えば、水、メチルアルコール、エチル
アルコール、1,2ジメトキシエタン、ジエチレングリ
コールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエ
チルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキ
シド、ヘキサメチレンテトラミン、アセトニトリル、プ
ロピレンカーボネート、テトラヒドロフラン等を挙げる
ことができる。
【0014】上記のごとく調整される電解液に、アルミ
ニウム、タンタル、ニオブ、ハフニュウム、ジルコニウ
ム等の弁金属及びこれらの合金若しくは複合材料を陽極
酸化等の手法でコンデンサとしての誘電体層を形成した
ものを陽極として挿入し、主として定電流法や定電位法
により電気分解して電解重合を行う。
【0015】例えば、定電位法では金属の種類、酸化物
の種類及び電解液の組成等により異なるが、一般には、
0.1V vs.SCE(飽和甘コウ電極)から5V v
s.SCEの電位範囲内で1秒から60分間電解する。
これらの範囲外ではいずれも重合が起こらないか若しく
は重合速度が著しく遅く実用的ではない。また、定電流
法では0.01mA/cm2から100mA/cm2の電流密
度で電解重合することが望ましい。0.01mA/cm2
以下の電流密度では電流効率は高いが重合時間が長すぎ
て実用に供しえない。また、100mA/cm2以上の電
流密度では電流効率が低く、水の電気分解等の副反応が
起こり重合膜の緻密性等の問題が生じ、実用に供しえな
い。電解重合反応は電解液の凝固点以上沸点以下で行う
ことができ、一般には温度が高いほど重合反応は生じ易
いが、10℃から70℃の温度範囲が実用上望ましい。
【0016】このようにして、電解コンデンサの電極と
なるアルミニウム、タンタル、ニオブ、ハフニウム、ジ
ルコニウム等の弁金属及びこれらの合金若しくは複合材
料を陽極酸化等の手法でコンデンサとしての誘電体層を
形成した後、酸化物である誘電体層上にトリアジンチオ
ール誘導体を電解重合法で重合しトリアジンチオールポ
リマー層を形成する処理がなされた誘電体層を電解コン
デンサの陽極体に使用することにより著しく漏れ電流が
低減された電解コンデンサが製造ができた。
【0017】
【作用】電解コンデンサの電極となるアルミニウム、タ
ンタル、ニオブ、ハフニュウム、ジルコニウム等の弁金
属及びこれらの合金若しくは複合材料を陽極酸化等の手
法でコンデンサとしての誘電体層を形成した後、酸化物
である誘電体層上にトリアジンチオール誘導体を電解重
合法で重合し、トリアジンチオールポリマ層で誘電体層
の漏れ電流の流れ易い部分を選択的に絶縁化するので、
著しく漏れ電流が低減される(図1参照)。
【0018】
【実施例1】電気化学的に粗面化されたアルミ箔に陽極
酸化の手法で63V相当の誘電体層を設け、所定の寸法
に切断して引き出しリードを付け、再度陽極酸化の手法
で切断部分に63V相当の誘電体層を形成し陽極体とし
た後、該陽極体を陽極とし、ステンレス板を陰極とし5
×10- 4mol/Lの6−ジアリルアミノ−1,3,
5−トリアジン−2,4−ジチオール・モノナトリウム
の水溶液中にて、電流密度0.2mA/cm2で5分間電
解し、洗浄、風乾後、対向電極として導電性を持つ機能
性高分子のポリピロールを設け、引き出し電極をグラフ
ァイト、銀ペースト、リード線で形成、樹脂モールドし
た後、電圧印加処理をして電解コンデンサを製造した。
【0019】
【実施例2】電気化学的に粗面化されたアルミ箔に陽極
酸化の手法で63V相当の誘電体層を設け、所定の寸法
に切断して引き出しリードリードを付け、再度陽極酸化
の手法で切断部分に63V相当の誘電体層を形成し陽極
体とした後、該陽極体を陽極とし、ステンレス板を陰極
とし5×10- 4mol/Lの6−ジアリルアミノ−
1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・モノナ
トリウムに電解質および重合促進材として10- 3mo
l/Lの亜硝酸ナトリウムを加えた水溶液中にて、電流
密度0.2mA/cm2で1分間電解し、洗浄、風乾後、
対向電極として導電性を持つ機能性高分子のポリピロー
ルを設け、引き出し電極をグラファイト、銀ペースト、
リード線で形成、樹脂モールドした後、電圧印加処理を
して電解コンデンサを製造した。
【0020】
【実施例3】電気化学的に粗面化されたアルミ箔を陽極
酸化の手法で63V相当の誘電体層を設け、所定の寸法
に切断して引き出しリードを付け、再度陽極酸化の手法
で切断部分に63V相当の誘電体層を形成し陽極体とし
た後、該陽極体を陽極とし、ステンレス板を陰極とし、
5×10- 4mol/Lの6−ジブチルアミノ−1,
3,5−トリアジン−2,4−ジチオ−ル・モノナトリ
ウムに電解質および重合促進材として10- 3mol/
Lの亜硝酸ナトリウムを加え水溶液中にて、電流密度
0.2mA/cm2で30分間電解し、洗浄、風乾後、対
向電極として導電性を持つ機能性高分子のポリピロール
を設け、引き出し電極をグラファイト、銀ペースト、リ
ード線で形成、樹脂モールドした後、電圧印加処理をし
て電解コンデンサを製造した。
【0021】
【実施例4】電気化学的に粗面化されたアルミ箔を陽極
酸化の手法で63V相当の誘電体層を設け、所定の寸法
に切断して引き出しリードを付け、再度陽極酸化の手法
で切断部分に63V相当の誘電体層を形成し陽極体とし
た後、該陽極体を陽極とし、ステンレス板を陰極とし、
2×10- 4mol/Lの6−ジアリルアミノ−1,
3,5−トリアジン−2,4−ジチオ−ル・モノナトリ
ウムトと3×10- 4mol/Lの6−ジブチルアミノ
−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・モノ
ナトリウムに電解質および重合促進材として10- 3
ol/Lの亜硝酸ナトリウムを加えた水溶液中にて、電
流密度0.2mA/cm2で1分間電解し、洗浄、風乾
後、対向電極として導電性を持つ機能性高分子のポリピ
ロールを設け 、引き出し電極をグラファイト、銀ペー
スト、リード線で形成、樹脂モールドした後、電圧印加
処理をして電解コンデンサを製造した。
【0022】上記各実施例により得られた電解コンデン
サの電圧印加処理後の漏れ電流と、次の従来方法により
得られたそれとを比較した。
【0023】
【従来例】電気化学的に粗面化されたアルミ箔に陽極酸
化の手法で63V相当の誘電体層を設け、所定の寸法に
切断して引き出しリードを付け、再度陽極酸化の手法で
切断部分に63V相当の誘電体層を形成し陽極体とした
後、対向電極として導電性を持つ機能性高分子のポリピ
ロールを設け、引き出し電極をグラファイト、銀ペース
ト、リード線で形成、樹脂モールドした後、電圧印加処
理をして電解コンデンサを製造した。
【0024】
【比較】従来例と実施例1、実施例2、実施例3及び実
施例4で示した電解コンデンサの電圧印加処理後の漏れ
電流の比較結果を表1と図2に示す。
【0025】
【表1】
【0026】同表及び同図によっても本発明により得ら
れた電解コンデンサの漏れ電流は、従来の電解コンデン
サのそれと比して著しく低減されたものであることが判
る。
【0027】即ち、本発明による電解コンデンサの製造
方法は、陽極体を陽極として電解するので、電解時に流
れる電流は誘電体層の漏れ電流であり、水溶液中のトリ
アジンチオール誘導体は、誘電体層の漏れ電流の流れる
部分で重合され、漏れ電流の流れる部分を封止するから
である。
【0028】なお、本実施例は、トリアジンチオール誘
導体の水溶液濃度、電解時の電流密度、温度、時間等を
限定するものではなく、また、トリアジンチオール誘導
体の重合方法としては、電解重合だけではなく、被覆物
の浸漬による方法も可能であるが、電解重合がより効果
的である。
【0029】一方、実施例で使用した6−ジアリルアミ
ノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・モ
ノナトリウム、6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリ
アジン−2,4−ジチオール・モノナトリウム以外のト
リアジンチオール誘導体を使用しても同様な結果が得ら
れる。
【0030】また、本発明による電解コンデンサの製造
方法は、実施例で示した機能性高分子を対向電極とした
コンデンサだけに限らず、タンタルあるいはアルミ等の
弁金属を平板、焼結もしくは巻回してなる陽極体に駆動
用電解液、二酸化マンガン、電荷移動錯体等を対向電極
とする湿式電解コンデンサ、乾式電解コンデンサ及び固
体電解コンデンサにおいても同様に効果がある。更に、
粗面化されたアルミ箔を連続的に陽極酸化する工程にお
いて、陽極酸化後、トリアジンチオール誘導体の電解重
合物を付加することも可能である。
【0031】
【発明の効果】しかして、本発明によれば、漏れ電流が
著しく低減し、電子部品として安定した性能を示す電解
コンデンサが製造される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により得られた電解コンデンサの漏れ電
流を低減する原理的説明図である。
【図2】本発明の実施例に示した電解コンデンサの漏れ
電流と従来の電解コンデンサのそれとを比較した図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佃 和久 神奈川県秦野市室町2番44号 東和エレ クトロン株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01G 9/04 301 H01G 9/04 334

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム、タンタル、ニオブ、ハフ
    ニウム、ジルコニウムの弁金属及びこれらの合金若しく
    は複合材料の表面に陽極酸化の手法により誘電体層を形
    成し、次いで、該誘電体層上に一般式 【化1】〔式中Rは−R、−OR、−SR、−N
    ;R、RはCからC30までのアルキル
    基、アルケニル基、フェニル基、フェニルアルキル基、
    アルキルフェニル基またはシクロアルキル基、MはH、
    Li、Na、K、Ce、1/2Mg、Ca,Ba、脂肪
    族及びシクロアルキル基の第1級、第2級、第3級アミ
    ン類、またはこれらの第4級アンモニウム塩とホスホニ
    ウム塩〕で表されるトリアジンチオール誘導体を重合し
    てトリアジンチオールポリマー層を形成させて陽極体と
    する構成を特徴とする電解コンデンサの製造方法。
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