JP2921877B2 - 導波路分波モジュール及びその製造方法 - Google Patents

導波路分波モジュール及びその製造方法

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【発明の詳細な説明】 目次 概要 産業上の利用分野 従来の技術 発明が解決しようとする課題 課題を解決するための手段 作用 実 施 例 発明の効果 概要 導波路型合分波モジュールにおける導波路と受光素子
の光結合構造に関し、 クロストークを改善した導波路と受光素子の光結合構
造を安価に提供することを目的とし、 導波路基板上にその一端が光ファイバに光結合し他端
が発光素子又は受光素子に光結合する主導波路を設ける
とともに、その所定長さ部分が前記主導波路又は他の副
導波路に近接するように少なくとも一つの副導波路を前
記導波路基板上に設け、該副導波路の一端に発光素子又
は受光素子を光結合するようにした、導波路型合分波モ
ジュールにおける導波路と受光素子の光結合構造におい
て、受光素子搭載部分近傍に波長選択性の透過特性を有
する誘電体多層膜を蒸着した後、該蒸着部分の主又は副
導波路を切断面の導波路端面で全反射が生じる角度で斜
めに切断し、該導波路端面で全反射された光が受光面に
結合するように前記導波路基板上に受光素子を設けて構
成する。
産業上の利用分野 本発明は導波路分波モジュールにおける導波路と受光
素子の光結合構造及びその製造方法に関する。
導波路基板上に主導波路及びこの主導波路に所定長さ
部分が近接する副導波路を形成し、主導波路の一端を光
ファイバに結合し他端を発光素子又は受光素子に結合す
るとともに、副導波路の一端を発光素子又は受光素子に
結合するようにした導波路型合分波モジュールは、従来
の一般的なバルク型の合分波モジュールに比較して、小
型化が容易であるため今後の発展が期待される。近年、
光ファイバ通信は普及期を迎え、幹線系のみならず加入
者系にも浸透しつつある。加入者系においては、通常の
電話サービスの他、データサービス、映像情報サービス
(例えばCATV等)等、多岐にわたるサービスの提供が要
求されるため、加入者系において波長多重光通信を行う
上でのキーデバイスである導波路型合分波モジュールの
性能の改善が要望されており、特にクロストーク(漏
話)の改善された導波路と受光素子の光結合構造が要望
されている。
従来の技術 従来の導波路型合分波モジュールにおける導波路と受
光素子の光結合構造は次のように構成されていた。即
ち、まず、受光面と同一平面上に電極の形成されたアバ
ランシェフォトダイオード、PINフォトダイオード等の
受光素子に、電極部分にマスクを付けてから受光面に所
定の誘電体多層膜を蒸着後、マスクを除去する。そし
て、受光素子搭載部分の導波路を切断面で全反射が生じ
るような角度で斜めに切断をし、この導波路の切断部分
に誘電体多層膜の形成された受光面を下向きにして受光
素子を搭載していた。
このような従来の導波路と受光素子の光結合構造によ
ると、導波路を伝搬してきた信号光は切断面で全反射を
して誘電体多層膜で不要な波長成分をカットされたあと
受光素子の受光面に光結合するため、クロストークの影
響をあまり受けない導波路と受光素子の光結合構造を提
供することができる。
発明が解決しようとする課題 受光素子の受光面に誘電体多層膜を直接蒸着すると、
電極部分にも誘電体多層膜が蒸着され、電極部分が絶縁
されてしまうため、従来は上述したように、電極部分に
マスクを付けて受光面に所定の誘電体多層膜を蒸着後、
マスクを除去するようにしていた。このため受光素子の
ハンドリング、マスク合わせ等に工数を要し、コスト高
になるという問題があった。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、
その目的とするところは、クロストークを改善した導波
路型合分波モジュールにおける導波路と受光素子の光結
合構造を安価に提供することである。
課題を解決するための手段 本発明の第1の構成によると、光導波路を有する導波
路基板と、前記光導波路に形成された導波路基板に垂直
の切断面と傾斜した切断面からなる導波路切断部と、前
記導波路切断部の該傾斜した切断面上に設けられた誘電
体多層膜と、前記傾斜した切断面に対応する位置の前記
導波路基板上に設けられた受光素子とを具備し、前記誘
電体多層膜で特定の波長の光のみを反射させて前記受光
素子に供給し、その他の波長の光は前記誘電体多層膜を
通過するようにしたことを特徴とする導波路分波モジュ
ールが提供される。
本発明の第2の構成によると、複数に分岐した光導波
路を有する導波路基板と、分岐した側の各光導波路に形
成された、それぞれ導波路基板に垂直の切断面と傾斜し
た切断面からなる複数の導波路切断部と、前記複数の導
波路切断部の該傾斜した切断面上にそれぞれ設けられた
同一の誘電体多層膜と、前記複数の傾斜した切断面に対
応する位置の前記導波路基板上に設けられた複数の受光
素子とを具備し、前記誘電体多層膜で特定の波長の光の
みを反射させて前記各受光素子に供給し、その他の波長
の光は前記誘電体多層膜を通過するようにしたことを特
徴とする導波路分波モジュールが提供される。
好ましくは、複数の傾斜した切断面は各受光素子で必
要とする波長に対応した波長を選択できるように、それ
ぞれ異なる傾斜角を有している。
作用 本発明は上述したように構成したので、斜めに切断さ
れた導波路端面に蒸着された誘電体多層膜により、不要
な波長の光を透過し有用な波長の信号光のみを反射させ
て受光素子に光結合することができる。
切断面の傾斜角がそれぞれ異なる場合には、光導波路
を伝搬する信号光に対する誘電体多層膜の膜厚が変化す
る。よって、誘電体多層膜の膜厚が変化すると波長選択
性の反射特性を変化させることができ、各受光素子によ
りクロストークの無い異なる波長の信号光を受光させる
ようにすることが可能である。
さらに、本発明の第2の構成によると、誘電体多層膜
を一括蒸着しているため、製造が容易で且つ低コストの
導波路分波モジュールを提供できるというメリットがあ
る。
実 施 例 以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明す
る。
第3図は本発明を適用するのに適した導波路型合分波
モジュールの概略構成図である。導波路基板2上には主
導波路4及び副導波路6,8が形成されている。副導波路
6は主導波路4に所定長さが近接するように設けられて
おり、一方、副導波路8は他の副導波路6に所定長さが
近接するように設けられている。主導波路4の一端には
信号光伝送用の光ファイバ10が光結合しており、他端に
は発光素子12が光結合している。一方、副導波路6,8の
端部には受光素子141,142がそれぞれ光結合している。
主導波路4と副導波路6の近接部分5では波長λ及び
λの光が完全結合するように導波路パラメータが設定
されており、副導波路6と副導波路8の近接部分7で
は、波長λの光が完全結合するように導波路パラメー
タが設定されている。
然して、光ファイバ10を伝送されてきた波長λ及び
λを含む信号光は主導波路4に光結合し、近接部分5
で波長λ及びλの信号光が副導波路6に取り出さ
れ、さらに近接部分7で波長λの信号光が副導波路8
に取り出されるため、副導波路6に接続された受光素子
141には波長λの信号光が受光され、副導波路8に接
続された受光素子142には波長λの信号光が受光され
る。
次に第1図を参照して、本発明の第1実施例に係る導
波路と受光素子の光結合構造について説明する。Siから
なる導波路基板2上に導波路6が形成されている。導波
路6はTiO2+SiO2から形成された導波層18をSiO2から形
成されたクラッド層16,20でサンドイッチして構成され
ている。導波路6の受光素子搭載部分に、波長選択性の
透過特性を有する誘電体多層膜22を蒸着により形成した
後、導波路6の端面23が概略45゜となるように導波路6
をダイシングソーにより切断する。次いで、導波路端面
23で全反射された光が受光面に結合するように受光素子
14を誘電体多層膜22上に搭載固定する。
誘電体多層膜22は第2図の透過特性図に示すように、
波長λの光のみを透過させる性質を有しているため、
波長λの信号光と波長λのクロストーク成分を含む
光は導波路端面23で全反射され誘電体多層膜22に入射す
るが、この誘電体多層膜22では波長λのクロストーク
成分が完全に阻止され、波長λの信号光のみが透過し
て受光素子14の受光面に結合する。このため、受光素子
14ではクロストークのない波長λの信号光のみを受光
することができる。本実施例では、波長選択性の透過特
性を有する誘電体多層膜22を導波路6上に直接形成して
いるため、従来のように電極部分にマスクをして受光素
子の受光面に誘電体多層膜を蒸着する必要がなく、クロ
ストークのない導波路と受光素子との光結合構造を安価
に提供することができる。
次に第4図を参照して上述した実施例における導波路
の製造工程の一例について説明する。まず、同図(A)
に示すように、Siからなる導波路基板2を表面酸化させ
てSiO2層16を形成する。次に、(B)に示すように、Si
O2層16上に導波層18としてTiO2をドープしたSiO2層をCV
D法、スパッタリング法等により形成する。そして、同
図(C)に示すように、導波層18の不要部分をエッチン
グにより除去して二つの導波層181,182を形成する。最
後に、同図(D)に示すように、導波層181,182の周囲
にクラッド層20としてCVD法、スパッタリング法等によ
りSiO2層を形成する。
次に第5図及び第6図を参照して、本発明の第2実施
例について説明する。
まず第6図を参照して、第2実施例の誘電体多層膜形
成方法について説明すると、同図(A)に示された受光
素子搭載部分の導波路6に、ダイシングソーを使用して
(B)に示すような概略垂直な切断面24′及び傾斜した
切断面25を有する切込みを入れる。次いで、(C)に示
すように誘電体多層膜22を蒸着し、最後に(D)に示す
ように垂直切断面24′に付着している誘電体多層膜を除
去するためにこの部分を概略垂直な切断面24で切断す
る。このように誘電体多層膜22を導波路6上に形成して
から、傾斜面25上に形成された誘電体多層膜22で反射さ
れた光が受光面に結合するように受光素子14を搭載固定
する。第5図に示された本実施例においては、第1図に
示された第1実施例と実質的に同一構成部分については
同一符号を付して示してあり、それらの説明は省略す
る。
波長λのクロストーク成分を含んだ波長λの信号
光は導波層18を伝搬し、傾斜面25に形成された誘電体多
層膜22で波長λのクロストーク成分を透過し、波長λ
の信号光のみが反射され受光素子14の受光面に結合す
る。よって受光素子14では、クロストークの改善された
信号光のみを受光することができる。
次に第7図及び第8図を参照して本発明の第3実施例
について説明する。本実施例は導波路の傾斜面に形成さ
れた誘電体多層膜の膜厚が、傾斜角に応じて変化するこ
とを利用し、誘電体多層膜の反射特性を膜厚に応じて平
行シフトするようにしたものである。
即ち、第7図(A)に示す導波路6の切断面251は傾
斜角θを有するように切断されており、同図(B)に
示す導波路8の切断面252は傾斜角θを有するように
切断されている。このような傾斜角を有する切断面251,
252上に一括して誘電体多層膜22を蒸着すると、θ
θであるため、傾斜切断面での誘電体多層膜22の膜厚
は(A)の方が(B)よりも厚くなる。膜厚に応じた誘
電体多層膜22の透過特性を第8図に示すように設定する
と、(A)の導波路6を伝搬されてきた光は、誘電体多
層膜22部分で波長λのクロストーク成分が透過され、
波長λの信号光のみが反射されて受光素子141の受光
面に結合する。一方、(B)の導波路8を伝搬されてき
た光は、傾斜面252に形成された誘電体多層膜22を波長
λのクロストーク成分が通過し、波長λの信号光の
みが誘電体多層膜22で反射されて受光素子142の受光面
に結合する。
この実施例によると、導波路を斜めに切断する際、そ
の傾斜角を変化させて切断し、これらの切断部分に誘電
体多層膜を一括蒸着することにより、傾斜切断面に形成
された誘電体多層膜に異なる波長選択性を持たせること
ができるため、導波路型合分波モジュールにおける導波
路と受光素子との光結合構造を一括して安価に提供する
ことができる。
次に第9図及び第10図を参照して、本発明の第4実施
例について説明する。第9図(A)に示すように、導波
路6は切断面23で全反射が生じるような角度で切断す
る。また、他方の導波路8については、(B)に示すよ
うに光の進行方向上流側の切断面24は概略垂直に切断
し、下流側の切断面25を所定角度で斜めに切断する。各
導波路6,8をこのように切断してからこれらの切断部分
及びその近傍に誘電体多層膜22を一括蒸着する。そし
て、導波路端面23で全反射された光が受光面に結合する
ように受光素子141を搭載固定し、傾斜切断面25上に形
成された誘電体多層膜22で反射された光が受光面に結合
するように受光素子142を搭載固定する。尚、導波路6
については、導波路上に誘電体多層膜22を蒸着した後、
導波路6を所定形状に切断するようにしても良い。
誘電体多層膜22は第10図に示したような透過特性
(A)と反射特性(B)を有している。よって、導波路
6を伝搬してきた波長λの信号光と波長λのクロス
トーク成分を含む光は斜めに切断された導波路端面23で
全反射し誘電体多層膜22に入射する。誘電体多層膜22は
第10図(A)に示すような透過特性を有しているので、
波長λを有する信号光のみがこの誘電体多層膜22を透
過し受光素子141の受光面に結合する。一方、導波路8
を伝搬してきた波長λの信号光と波長λのクロスト
ーク成分を有する光は、傾斜面25上に形成された誘電体
多層膜22部分において波長λのクロストーク成分のみ
が透過し、波長λを有する信号光は誘電体多層膜22に
より反射されて受光素子142の受光面に結合する。
発明の効果 本発明は以上詳述したように構成したので、導波路型
合分波モジュールにおける導波路と受光素子の光結合構
造を簡単な構成で安価に提供できるという効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1実施例断面図、 第2図は第1実施例における誘電体多層膜の透過特性を
示す線図、 第3図は本発明を適用するのに適した導波路型合分波モ
ジュールの概略構成図、 第4図は実施例における導波路の製造工程を示す説明
図、 第5図は本発明の第2実施例断面図、 第6図は第2実施例の誘電体多層膜形成方法を示す工程
図、 第7図は本発明の第3実施例断面図、 第8図は第3実施例における誘電体多層膜の透過特性を
示す線図、 第9図は本発明の第4実施例断面図、 第10図は第4実施例における誘電体多層膜の透過特性と
反射特性を示す線図である。 2……導波路基板、 4……主導波路、 6,8……副導波路(導波路)、 10……光ファイバ、 12……発光素子、 14,141,142……受光素子、 16,20……クラッド層、 18……導波層、 22……誘電体多層膜、 23……導波路端面(全反射面)、 25,251,252……傾斜切断面。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02B 6/28 G02B 6/42

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光導波路を有する導波路基板と、 前記光導波路に形成された導波路基板に垂直の切断面と
    傾斜した切断面からなる導波路切断部と、 前記導波路切断部の該傾斜した切断面上に設けられた誘
    電体多層膜と、 前記傾斜した切断面に対応する位置の前記導波路基板上
    に設けられた受光素子とを具備し、 前記誘電体多層膜で特定の波長の光のみを反射させて前
    記受光素子に供給し、その他の波長の光は前記誘電体多
    層膜を通過するようにしたことを特徴とする導波路分波
    モジュール。
  2. 【請求項2】複数に分岐した光導波路を有する導波路基
    板と、 分岐した側の各光導波路に形成された、それぞれ導波路
    基板に垂直の切断面と傾斜した切断面からなる複数の導
    波路切断部と、 前記複数の導波路切断部の該傾斜した切断面上にそれぞ
    れ設けられた同一の誘電体多層膜と、 前記複数の傾斜した切断面に対応する位置の前記導波路
    基板上に設けられた複数の受光素子とを具備し、 前記誘電体多層膜で特定の波長の光のみを反射させて前
    記各受光素子に供給し、その他の波長の光は前記誘電体
    多層膜を通過するようにしたことを特徴とする導波路分
    波モジュール。
  3. 【請求項3】前記複数の傾斜した切断面は各受光素子で
    必要とする波長に対応した波長を選択できるように、そ
    れぞれ傾斜角が異なることを特徴とする請求項2記載の
    導波路分波モジュール。
  4. 【請求項4】基板に光導波路を形成する工程と、 前記光導波路を中間部分で切断し、一方の切断面で該光
    導波路に対して垂直な光導波路端面を形成し、他方の切
    断面で該光導波路に対して傾斜した光導波路端面を形成
    する工程と、 前記傾斜した光導波路端面上に誘電体多層膜を設ける工
    程と、 前記誘電体多層膜で反射した光を光学的に結合する位置
    の前記基板上に受光素子を設ける工程と、 からなることを特徴とする導波路分波モジュールの製造
    方法。
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