JP2921360B2 - 人工植栽の敷設構造 - Google Patents

人工植栽の敷設構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばサッカーグラウ
ンド等の競技場、公園の緑地、屋上階の緑地等を造成す
るのに好適な人工植栽の敷設構造、特に人工芝が敷設さ
れる土台構造を改良した技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、競技場、公園の緑地、屋上階の緑
地等を造成する方法としては、天然芝等の天然植栽を植
える方法、天然芝に代えて人工芝等の人工植栽を配置す
る方法がある。天然芝は、自然物が持つテクスチャを有
するといった人工芝にはない利点を有するものの、季節
によりまたは栽培地、栽培者により植生状態にばら付き
があるだけでなく、敷設時の植生状態が均一であったと
しても敷設後、枯れることを防止するために適度の散水
を行う必要がある一方で過剰水を除去する必要があり、
しかも病害の惧れもあって保守管理が面倒であり、さら
に緑地上を開放している場合や競技場の場合には損傷を
受けやすく、損傷を受けたときには回復するのに長期間
を要するといった問題がある。
【0003】そこで、近年、このような緑地化の手段と
して人工芝等の人工植栽を採用することが多くなってい
る。このような人工植栽の敷設方法としては、例えば図
3に示すように、コンクリート土台1の上部に人工芝シ
ート2を直接配置するのが一般的であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、天然芝
にあっては芝自体及び培土が保水機能を有しているので
問題はないが、人工芝の敷設にあたってコンクリート土
台1を構築する必要があるので、人工芝自体が保水機能
を有していないことと併せて、現在都心部等の市街地で
問題になっているヒートアイランド現象(夜間にも温度
が低下しない島状部分ができる現象)を助長することに
なる。
【0005】このような現象を回避するためには、コン
クリート土台1に貯水槽を設置し、貯水層の水を人工芝
シートから蒸散させることも考えられるが、天然芝を配
置した場合と比べて水の蒸散が著しく、天然芝に類似し
たテクスチァが得られないといった問題が生じる。
【0006】本発明は、以上の問題を解決するためにな
されたもので、保水機能を有してヒートアイランド現象
を抑えることができる人工植栽の敷設構造を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
めに、本発明は、コンクリート層の上部に土層を設け、
この土層のさらに上部に有孔の人工植栽シートを敷設し
てなることを特徴とする(請求項1)。また、土層と人
工植栽シートとの間に保水層を設けることもできる(請
求項2)。さらに、土層の厚さ寸法を5〜10cm程度
に設定することが好ましい(請求項3)。
【0008】
【作用】降雨或いは散水による水は人工植栽シートの孔
を通って土層に浸透し保水される。晴天時或いは曇天時
等には、土層の水が人工植栽シートの孔を通って徐々に
蒸散する。土層の下部に排水層を設ければ、降雨時等に
おける土層の余剰水を排水することができる。土層の厚
さ寸法を5〜10cm程度に設定すれば、人工植栽シー
トに形成された凹凸をローラ転圧により容易且つ迅速に
修復することができる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は本発明の好適な実施例を示し、土台となる
コンクリート層1は、例えば都心の公園の一部やビルの
屋上、更にはイベント会場等に構築される。そして、こ
のコンクリート層1の上部に所定厚さの排水材層3、土
層4、人工芝シート5が順に積層される。
【0010】排水材層3は余剰水の排水を促すものであ
るが、排水と保水の両機能を有する材料を用いることが
好ましく、このような条件を満足するものとして、ハイ
ドロボール(コークス、石炭等の焼成品)、珪藻土焼成
品等の軽量排水材(毛管作用部材)等が用いられる。
【0011】また、土層4はそれ自体でも良好な保水性
を有しているが、保水性の高い人工材料を混合し、或い
は主成分とすることもできる。このような保水材料とし
ては、例えば、パーライト系のものや発泡スチロールを
細かく粉砕したもの、ロックウール等が軽量で取扱いに
便利である。土層3の厚さ寸法は、例えば5〜10cm
程度に設定することが好ましい。
【0012】人工芝シート5には多数の孔5aが形成さ
れており、この多数の孔5aは、シート上に降った雨水
や散水を通過させて土層4に導くとともに土層4に保持
された水の蒸発水を徐々に放散させるものである。
【0013】次に作用を説明する。人工芝の敷設地が屋
外である場合には降雨により、屋外であっても降雨が不
十分なとき或いは敷設地が屋内である場合には適宜の散
水を施すことにより、人工芝シート5の表面に水が供給
される。これらの雨水等は人工芝シート5の孔5aを通
って土層4に浸透し、その保水作用によって保水される
とともに、余剰水は排水材層3に浸透する。排水材層3
は土層4中の余剰水の排水を促し、土層4をある一定の
保水状態に保持する。
【0014】晴天時或いは曇天時等には、土層4に保水
された水が人工芝シート5の孔5aを通って徐々に蒸散
し、これにより天然芝に類似したテクスチァを人工芝に
付与することができ、人工芝が敷設された場所のヒート
アイランドを抑止することができる。
【0015】降雨或いは散水が不十分なときには、排水
材層3の水が毛管作用により、必要量(土層4或いは排
水材層3の保水状態によって変動する)の水が土層4に
供給される。このようにして、降雨が不足或いはない場
合であっても、また散水時期の管理を充分に行わなくて
も、適当量の水分が常時土層4に供給されることで人工
芝を敷設した場所のヒートアイランド現象を確実に防止
することができる。
【0016】また、人工芝シート5の上を開放している
場合には人が歩行したり遊技を行うことにより、特に競
技場として人工芝を敷設した場合には競技者が競技をす
ることにより、人工芝シート5を介して土層4の表面に
凹凸が形成される。この凹凸はローラ転圧により修復さ
れる。上述したように、土層4の厚さ寸法を5〜10c
m程度に設定しておけば、人工芝シート5に形成された
凹凸をローラ転圧により容易且つ迅速に修復することが
できる。
【0017】図2は他の実施例を示している。この実施
例では、コンクリート層1と排水材層3との間に波板6
が設置されている。波板6には多数の孔(図示しない)
が形成され、排水材層3の余剰水が孔を通過して波板6
の空洞部6aに落滴され、波板6の空洞部6aを排水路
に連通すれば余剰水を迅速に排出することができる。
【0018】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の人工植栽
の敷設構造によれば、降雨或いは散水による水は人工植
栽シートの孔を通って土層に浸透し保水され、晴天時或
いは曇天時等には、土層の水が人工植栽シートの孔を通
って徐々に蒸散するので、天然植栽に類似したテクスチ
ァを人工植栽に付与することができ、ヒートアイランド
現象を抑止することができる。また、土層の下部に排水
層を設ければ、降雨時等における土層の余剰水を排水す
ることができ、土層の水を適度に保持することができ
る。さらに、土層の厚さ寸法を5〜10cm程度に設定
すれば、人工植栽シートに形成された凹凸をローラ転圧
により容易且つ迅速に修復することができ、保守管理が
良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す断面図である。
【図2】第2実施例を示す断面図である。
【図3】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 コンクリート層 3 排水材層 4 土層 5 人工芝シート 6 波板

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリート層の上部に土層を設け、こ
    の土層のさらに上部に有孔の人工植栽シートを敷設して
    なることを特徴とする人工植栽の敷設構造。
  2. 【請求項2】 前記土層の下部に排水層を設けたことを
    特徴とする請求項1に記載の人工植栽の敷設構造。
  3. 【請求項3】 前記土層の厚さ寸法を5〜10cm程度
    に設定したことを特徴とする請求項1または2に記載の
    人工植栽の敷設構造。
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