JP2921032B2 - アンモニアガスセンサ - Google Patents

アンモニアガスセンサ

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は塩基性ガス、特にNH3(アンモニアガス)の
検出に好適なガスセンサに関する。
(従来の技術) ガスの吸脱着により抵抗値が変化するSnO2等の金属酸
化物半導体に電極を接続し、抵抗値を測定することでガ
スの有無を検出するようにした半導体ガスセンサが従来
からガス漏れ警報器等として使用されている。
一方、最近ではトイレやキッチン等の住居内における
オートベンチレーション(自動換気)を行なうためのガ
スセンサの開発が要望されている。
つまり、トイレやキッチン等の悪臭成分の主なもの
は、硫化水素、アンモニア、アミン類及びメルカプタン
類であり、快適な住環境を維持するにはこれらのガス濃
度が数ppb〜数ppmの範囲で検出できるセンサが必要とさ
れる。しかしながら従来の金属酸化物半導体ガスセンサ
による検出可能濃度は数百ppm以上である。
そこで、特開昭58−79149号、特開昭62−2147号及び
特開昭63−313048号等に上記の金属酸化物半導体に更に
別の金属(通常酸化物の形態となっている)を添加し
て、ガス検出感度を高めるようにした提案がなされてい
る。
具体的には特開昭58−79149号には添加金属酸化物と
して、Sb2O3、TiO2、Al2O3、Li2O及びCr2O3が開示さ
れ、また特開昭62−2147号には添加金属として、B、A
l、Sc、Ga、Y、In及びTlが開示され、更に特開昭63−3
13048号には添加金属酸化物として、PbO、PdO及びZnOが
開示されている。
(発明が解決しようとする課題) 上述したように従来から種々の金属酸化物を添加し
て、ガス検出感度を高める試みがなされているが、いず
れも被検出ガス(NH3)に接触してから定常値になるま
での時間と、被検出ガスがなくなってからの初期値に戻
るまでの回復時間が長く、且つ5ppm程度以下のガス濃度
における感度が十分ではない。
(課題を解決するための手段) 上記課題を解決すべく本発明は、金属酸化物半導体に
対するガスの吸脱着による抵抗値の変化を利用したガス
センサにおいて、金属酸化物半導体を構成する主体とな
る金属酸化物をSnO2とし、主体となる金属酸化物に添加
する酸化物触媒をV2O5とした。
(作用) 金属酸化物半導体を構成する主体となる金属酸化物を
SnO2とし、このSnO2に、電気陰性度の大きい酸性酸化物
触媒としてV2O5を添加することで、塩基性ガスであるNH
3に対する感度が向上する。
(実施例) 以下に本発明の実施例を添加図面に基いて説明する。
第1図は本発明に係るガスセンサの一例を示す斜視図
であり、ガスセンサ1は筒状アルミナ管2に一対のPt線
3,3を巻回し、このPt線3,3を包むように金属酸化物半導
体4の層を形成している。ここで、金属酸化物半導体4
は多孔質焼結体となっており、その製法の一例を以下に
述べる。
先ず、SnCl4の水溶液をアンモニア水で中和してβ−
スズ酸を得、十分に水洗いして、濾過、乾燥した後、空
気中で600℃.5時間焼成してSnO2の粉末試料を得る。次
いで、この粉末試料にV2O5を含浸法により添加し、空気
中で600℃.5時間焼成して得た粉末をビヒクルとともに
混練して成形した後焼成することで金属酸化物半導体4
の層を形成する。尚、V2O5とともにPt等の貴金属を添加
してもよい。
第2図は本発明に係るガスセンサの他の例を示す斜視
図であり、ガスセンサ11はアルミナ基板12に一対の櫛形
Au電極13,13を焼成により形成し、このAu電極13,13が接
続する金属酸化物半導体14を同じく焼成によりアルミナ
基板12表面に形成している。
また、アルミナ等の基板に金属酸化物半導体を薄膜状
に形成せず、ある程度の厚みの金属酸化物半導体に直接
電極を埋設してもよい。
次に、上記金属酸化物半導体4、14を構成する材料と
感度等との関係を実験した結果を以下に述べる。
[表1]はSnO2に対して各種酸化物触媒及び貴金属を
単独で添加した場合のガス感度(50ppmNH3)を200℃、3
00℃、400℃及び500℃の各温度について示したものであ
る。ここで、ガス感度は空気中における抵抗Raと被検ガ
ス中(H2Sを含む空気中)における抵抗Rsとの比S=Ra/
Rsで表わすようにした。
[表1]からは、Cs2Oを除いて電気陰性度の大きい酸
性酸化物触媒を添加することで、塩基性ガスであるNH3
に対する感度が向上することが分る。また、Cs2O及びWO
3については第3図に示すようにNH3に対して高い感度を
示したが、これらはH2Sにも高い感度を示すため、ガス
選択性の点で問題があり、Agを添加した場合には感度は
向上するが、NH3との接触を断った場合の回復応答性の
点で問題があり、結局V2O5が多少感度はこれらに比べ劣
るが選択性及び回復応答性(再現性)の面で最も優れて
いることが判明した。
そこでV2O5についてNH3濃度とガス濃度との関係につ
いて実験をした。その結果を第4図に示す。この第4図
からはNH3濃度が5ppm程度であってもV2O5を5wt%の割合
で添加したセンサであれば感度2以上となるので十分に
実用に供することができるといえる。
またV2O5の添加割合としては3〜7wt%の範囲とする
のが好ましい。
(効果) 以上に説明したように本発明によれば、金属酸化物半
導体ガスセンサを構成する主体となる金属酸化物をSnO2
とし、これに添加する酸化物触媒をV2O5としたことで、
NH3に対するセンサの感度を大幅に高めることができ、
更に応答速度及び回復速度の双方に優れたガスセンサと
することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は本発明に係るアンモニアガスセンサ
の一例を示す斜視図、第3図はNH3に対する応答曲線を
示すグラフ、第4図はV2O5を添加した場合のNH3濃度と
ガス感度との関係を示すグラフである。 尚、図面中1,11はガスセンサ、2,12はアルミナ、3,13は
電極、4,14は金属酸化物半導体である。
フロントページの続き (72)発明者 安藤 正美 神奈川県茅ケ崎市本村2丁目8番1号 東陶機器株式会社茅ケ崎工場内 (56)参考文献 特開 昭58−79149(JP,A) 特開 昭52−70892(JP,A) 特開 昭53−146696(JP,A) 特開 昭52−58595(JP,A) 特開 昭63−40846(JP,A) 特開 昭63−313048(JP,A) 実開 昭47−1192(JP,U) 実開 昭59−84462(JP,U) 実開 昭51−154593(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 27/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主体となる金属酸化物に添加物を加えた金
    属酸化物半導体に対するガスの吸脱着による抵抗値の変
    化を利用したガスセンサにおいて、前記主体となる金属
    酸化物はSnO2であり、前記添加物はV2O5であることを特
    徴とするアンモニアガスセンサ。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のアンモニアガスセンサに
    おいて、前記V2O5の添加割合は3wt%以上7wt%以下であ
    ることを特徴とするアンモニアガスセンサ。
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