JP2920956B2 - ニルバジピン含有持続性錠剤 - Google Patents

ニルバジピン含有持続性錠剤

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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この発明はニルバジピンまたはその光学活性体を合有
する持続性錠剤に関するものである。さらに詳しくは、
錠剤の崩壊性をヒドロキシプロピルメチルセルロースお
よび結晶セルロースを用いることにより制御し、薬物が
錠剤から持続的にかつほぼ一定の割合で放出され、この
ことによって薬効が長時間にわたって維持される、ニル
バジピンまたはその光学活性体、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロースおよび不溶性賦形剤である結晶セルロー
スからなる持続性錠剤に関するものである。
薬物が持続的に放出され薬効が長時間維持される製剤
は、患者の服用回数を減らしたり、薬物の血中濃度が一
定以上になると毒性や副作用が増大するような薬物の血
中濃度を一定値以下に制御する等の目的で従来から研究
されてきた有用な製剤である。
「従来の技術および発明が解決しようとする問題点」 特開昭61-24516には、主薬を含有する崩壊性の顆粒お
よびワックス類からなり、例えば主薬を含有する崩壊性
の顆粒表面にワックス類を施した後に打錠することによ
り、簡便に製造される持続性錠剤が開示されている。こ
の持続性錠剤によれば、主薬が錠剤から持続的かつほぼ
一定の割合で放出され、薬効が長時間にわたって維持す
ることが可能となる。しかしながら持続性は達成される
ものの、主薬の吸収性の面でやや不満が残されていた。
本発明はこれらの問題点を解決することを目的とし、
薬物放出速度が一定(0次放出)に近く、また攪拌強度
等の変化による薬物放出速度の変化が小さい製剤を提供
するものである。
「問題点を解決するための手段」 本発明は以下に詳述するように、ニルバジピンまたは
その光学活性体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース
および結晶セルロースからなり、それを単に打錠すると
いう、より簡便な方法により目的を達成するものであ
り、上記技術の欠点をも改善したものである。
この発明の持続性錠剤は、主薬である式 で表わされるニルバジピン[化学名:6−シアノ−5−メ
トキシカルボニル−2−メチル−4−(3−ニトロフェ
ニル)−1,4−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸のイ
ソプロピルエステル]を適当な有機溶媒(例えばエタノ
ール等)に完全に溶解し、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロースを加えて均一に懸濁した後、さらに水に不溶性
の賦形剤である結晶セルロースを均一に分散し、溶媒を
留去後、常法により打錠することにより、製造すること
ができる。
ニルバジピンは水は難溶性で、そのため経口投与した
場合投与量のうち実際に血中へ吸収される割合が小さい
ためにバイオアベイラビリティーが低いという欠点を有
している。
本願の発明者らはニルバジピンに水溶性高分子化合物
であるヒドロキシプロピルメチルセルロースを配合し、
固溶体とすることにより、上記欠点を克服できることを
見い出し、かつヒドロキシプロピルメチルセルロースの
ゲル形成性と結晶セルロースの添加により、水の侵入性
をおさえ、長時間過飽和溶解度を維持できる持続性錠剤
を発明した。この発明により、易吸収性と持続性とを有
する持続性錠剤を容易に製造することができる。
上記ニルバジピンは、そのジヒドロピリジン環の4位
の不斉炭素に基づく右旋性および左旋性の2種の光学活
性体およびその混合物を包含している。
本発明の持続性錠剤に用いられるヒドロキシプロピル
メチルセルロースとしては例えば信越化学製のTC-5R、
メトローズ60SH50、メトローズ60SH4000等が挙げられ、
結晶セルロースとしては旭化成工業社製のアビセル等が
挙げられる。
固溶体製造時に使用されるヒドロキシプロピルメチル
セルロースの量は、目的とする持続時間等に応じて適宜
選択することができるが、主薬1に対して、重量比で10
〜30倍量、または錠剤の全成分に対する割合で20〜80重
量%、好ましくは40〜70重量%である。
結晶セルロースの量は、目的とする持続時間に応じ
て、錠剤中への水の浸透をおさえ、打錠時の粉末特性を
適切に保ち、さらに崩壊時には錠剤の周囲に形成される
ゲル中での主薬の再結晶を防止し得る量が必要であり、
錠剤の全成分に対する割合で、10〜60重量%、好ましく
は25〜45重量%である。
このようにして得られる本発明の持続性錠剤には、必
要に応じて、着色剤、矯味剤、矯臭剤、他の賦形剤(例
えば、グラニュー糖、乳糖、デンプン、低置換度ヒドロ
キシプロピルセルロース、合成ケイ酸アルミニウム
等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)等
を配合することができる。
本発明の持続性錠剤は、さらに所望により、安定性を
増し、美感を高め、剤皮をなめらかとし、服用のしやす
さを向上させる等の目的でフイルムコート錠へと変換し
て用いることもできる。このフイルムコート錠は前記錠
剤を常法に従ってコーティングすることにより製造され
るが、ここにおけるコーティング層はヒドロキシプロピ
ルセルロース、ポリエチレングリコール(例えばPEG600
0等)、酸化チタン、黄色ベンガラ、タルク等、常用の
組成物を含有していてもよい。
本発明の持続性錠剤を溶出液に浸すと膨潤し、水溶性
のゲル層を形成することが観察される。従ってその薬物
放出機構は、溶出液の侵入によって生じる処方中のヒド
ロキシプロピルメチルセルロースの膨潤、溶解ならびに
ゲルマトリックス通過によるものと考えられる。さらに
は錠剤中に添加された結晶セルロースにより、ゲル層へ
の水の侵入を調節し、さらにゲル層に存在する主薬の再
結晶化を防止し、より良好な主薬の放出、溶解を助け、
主薬の吸収性をも高めているものと考えられる。
結晶セルロースの代わりに水溶性の賦形剤(例えば乳
糖、マンニトール等)を用いた場合、水の侵入速度が大
きいため、ゲル層が大きくなり、液中で加えられる力に
より、錠剤の形がくずれやすくなる。一方、水に不溶性
である結晶セルロースを用いた場合、水の侵入速度が小
さいので、液中で錠剤の形がくずれにくく、かつゲル層
を崩壊させる効果も有する。すなわち、消化管内で、錠
剤に働く機械的な力による錠剤のくずれが少ないので、
主薬が持続的かつほぼ一定した速度で錠剤から放出され
るという利点を有するのである。しかも水溶性賦形剤に
比べ、持続化の為に必要なヒドロキシプロピルメチルセ
ルロースの量が少なくてすむという利点もあり、製造性
等の面でも有利である。
「実施例」 以下、本発明を実施例により説明する。
実施例 1 ニルバジピン(12g)を無水エタノール(600ml)に完
全溶解し、これにTC-5R(216g)を加えて懸濁液とす
る。この懸濁液にアビセル(132g)を加え練合したの
ち、減圧下に有機溶媒を留去後、常法により打錠し、1
錠あたり以下の組成を有する錠剤を得る。
ニルバジピン 12 mg TC-5R 216 mgアビセル 132 mg 計 360 mg 実施例1と同様にして、1錠あたり以下の組成を有す
る錠剤を得る。
実施例 2 ニルバジピン 12 mg メトローズ60SH50 216 mgアビセル 132 mg 計 360 mg 実施例 3 ニルバジピン 12 mg メトローズ60SH4000 216 mgアビセル 132 mg 計 360 mg 実施例 4 ニルバジピン 12 mg メトローズ60SH50 216 mg アビセル 132 mgステアリン酸マグネシウム 1.8 mg 計 361.8 mg 実施例 5 右旋性の6−シアノ−5−メトキシカルボニル−2−メ
チル−4−(3−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピ
リジン−3−カルボン酸のイソプロピルエステル 12 mg メトローズ60SH50 216 mgアビセル 132 mg 計 360 mg 実施例 6 実施例4において得た錠剤1錠につき、下記の組成を
有するコーティング層を常法によりコーティングするこ
とにより、フイルムコート錠を得る。
コーティング層: TC-5R 8.29mg REG6000 1.3 mg 酸化チタン 2.6 mg 黄色ベンガラ 0.16mgタルク 0.65mg 計 13 mg 実施例1と同様にして、1錠あたり以下の組成を有す
る錠剤を得る。
対照例 1 ニルバジピン 12 mg メトローズ60SH50 216 mg乳糖 132 mg 計 360 mg 対照例 2 ニルバジピン 12 mg メトローズ60SH50 216 mgマンニトール 132 mg 計 360 mg 「発明の効果」 本発明の持続性錠剤においては、水の浸透は錠剤の表
層部に限られ、これに伴い表層部の膨潤、溶解により、
ゲル層が形成され、そのゲルマトリックス透過により、
薬物放出の徐放化が達成される。そしてこれが経時的に
かつほぼ一定した速度でくり返されることにより、主薬
が持続的かつほぼ一定した速度で錠剤から放出されるの
である。この特徴によって、溶出パターンが直線的であ
り、また溶出パターンおよび溶出速度が攪拌強度等によ
る影響を受けにくいという本錠剤の特性が生じるもので
ある。
以下、本発明の持続性錠剤により得られる効果を示す
ために、代表的な試験結果を挙げる。
試験錠剤 試験錠剤A:前記実施例1で得られた錠剤 試験錠剤B:前記実施例2で得られた錠剤 試験錠剤C:前記実施例3で得られた錠剤 試験錠剤D:前記実施例5で得られた錠剤 試験錠剤1:前記対照例1で得られた錠剤 試験錠剤2:前記対照例2で得られた錠剤 (1) 溶出試験(A) 試験法: 日局溶出試験第2法 (第1液900ml、200rpm) 試験結果: 各試験錠剤の溶出率は下記の通り。
上の表から明らかなように、本発明の持続性錠剤の溶
出パターンはほぼ直線(0次)となっているので、溶出
速度がほぼ一定に保たれていることが理解される。
(2) 溶出試験(B) 試験法:日局崩壊試験法 (第1液1000ml、ジスフ有) 試験結果: 各試験錠剤の溶出率は下記の通り。
上の表から明らかなように、水に不溶性の結晶セルロ
ースを用いることにより、本発明の持続性錠剤の溶出パ
ターンが、水溶性賦形剤を用いた場合より持続化され、
かつ溶出試験(A)の結果から攪拌強度にほとんど影響
をうけないことが理解される。
(3) 血中濃度試験 試験法: 一夜絶食した雄性のビーグル犬(体重8〜12kg)に、
試験錠剤投与前30分にLab.Chow(商標:ピュリナ大洋ペ
ットフード社製)100gを与えた後、各試験錠剤を一錠投
与した。投与直後に水30mlを強制投与し、以後水は自由
に与えた。試験錠剤投与後、経時的にニルバジピンまた
はその右旋性化合物の血漿中濃度をECDガスクロマトグ
ラフィーにより測定した。
試験結果: 以下に各時点における血漿中濃度(ng/ml)を、平均
値±標準誤差として示す。
前記溶出試験の結果から期待されるような血中濃度の
持続化が、本発明の製剤により達成され、かつ高い血中
濃度が(特に右旋性化合物を用いた場合に)得られるこ
とが、上記の表より明らかとなった。
以上のように、本発明における錠剤は種々のきわめて
すぐれた効果を有しており、従来技術の有していた種々
の問題点を解決したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 上條 のぶよ (56)参考文献 特開 昭60−38322(JP,A) 特開 昭62−246512(JP,A) 特開 昭63−101334(JP,A) 特開 昭63−290818(JP,A) 井口定男編「新製剤開発システム総合 技術−基剤・添加物篇」(1985),R& Dプランニング,p.432−433,437− 438 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 31/455 A61K 9/22 A61K 47/38 CA(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ニルバジピンまたはその光学活性体、主薬
    に対して重量比で、10〜30倍量、または錠剤の全成分に
    対する割合で、20〜80重量%のヒドロキシプロピルメチ
    ルセルロースおよび錠剤の全成分に対する割合で、10〜
    60重量%の結晶セルロースからなる持続性錠剤。
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WO2008070118A1 (en) 2006-12-05 2008-06-12 Landec Corporation Drug delivery
US8399007B2 (en) 2006-12-05 2013-03-19 Landec Corporation Method for formulating a controlled-release pharmaceutical formulation
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US8114883B2 (en) 2007-12-04 2012-02-14 Landec Corporation Polymer formulations for delivery of bioactive materials

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井口定男編「新製剤開発システム総合技術−基剤・添加物篇」(1985),R&Dプランニング,p.432−433,437−438

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