JP2914452B2 - マイクロカプセル及びその製造方法 - Google Patents

マイクロカプセル及びその製造方法

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    • B01J13/02Making microcapsules or microballoons
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、マイクロカプセル及びその製造方法に関す
るものであり、詳しくは、ポリビニルアルコールを壁膜
とするマイクロカプセル及びその製造方法に関するもの
である。
[従来の技術] 近時、マイクロカプセル化技術は、目覚ましい進歩を
遂げており、その応用分野の代表的なものとして感圧複
写紙が挙げられる。又、電子写真用トナー、接着剤、医
薬品、化粧品、農薬、液晶、香料、食品等を内包させた
マイクロカプセルの利用についても身近にみることがで
き、その利用分野は、多岐多様である。
マイクロカプセルの製造方法は、物理化学的製造方法
として、複合コアセルベーション法(USP2730456号、同
2730457等)液中硬化法(特公昭48−16183号、特開昭52
−117282号等)、化学的製造方法として、界面重合法
(特公昭42−446号、同42−11344号、同45−20885号、
同49−34302号等)、in−situ重合法(特公昭44−137
9、同46−30282号、同54−16949号、同58−55812号、同
59−35258号等)、機械による製造方法として、噴霧乾
燥法(特開昭56−64349号、同59−162943号等)が挙げ
られる。
[発明が解決しようとする課題] 上記の各種マイクロカプセルの製造方法には、ポリビ
ニルアルコール系重合体を壁膜とするマイクロカプセル
の製造方法がある。例えば、液−液相分離法(コアセル
ベーション法)として、特開昭55−15681号、同56−100
630号を挙げることができる。特開昭55−15681号では、
曇点を有するポリビニルアルコール系重合体水溶液中
に、実質的に水不溶性のカプセル芯物質を分散させ、系
全体の温度をポリビニルアルコール系重合体水溶液の曇
点以上に高めることによってポリビニルアルコール系重
合体の濃厚水溶液を前記芯物質の周囲に分離相として出
現せしめ、上記カプセル芯物質を包み込んで水で膨潤し
たポリビニルアルコール系重合体の壁を有するカプセル
壁を形成し、次いで該カプレス壁を硬化させる方法を挙
げている。又、同56−100630号では、特開昭55−15681
号に加えて、硬化剤成分AおよびB(酸およびジアルデ
ヒド化合物)を用いた方法を挙げている。これらは、い
ずれもポリビニルアルコール系重合体水溶液自体が該水
溶液の曇点以上の温度で液−液相分離するという現象を
利用するものである。このように、カプセルの製造工程
では曇点以上の温度に高めることと、壁膜の硬化に、硬
化剤を必要とすること等煩雑さがある。
又、特開昭63−252543号では、含水の親水性物質をポ
リビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールで
被覆してなる水溶性マイクロカプセルを挙げている。こ
れは、液中硬化法や噴霧乾燥法により水溶性マイクロカ
プセルを製造する方法であり。ホウ酸等の架橋剤を用い
て皮膜を形成させるが、形成されたマイクロカプセルの
壁膜は水に溶解することができる。ここでは、壁膜が、
水に溶解することを特徴とするものであり、壁膜を不溶
化させるものではない。
[課題を解決するための手段] 本発明者は、鋭意研究を行なった結果、ポリビニルア
ルコールを壁膜とするマイクロカプセル及びその製造方
法を提供するものである。
本発明によって提供されるマイクロカプセルは、ポリ
ビニルアルコール及び/又はその誘導体と塩化ジルコニ
ウムからなる混合物にアルカリ処理して不溶化させたも
のを壁膜として芯物質を内包するマイクロカプセルを特
徴とするものである。
本発明によって提供されるマイクロカプセルの製造方
法は、ポリビニルアルコール及び/又はその誘導体と塩
化ジルコニウムからなる混合物の水溶液に芯物質を乳化
又は分散させて、該乳化物又は分散物を、アルカリ雰囲
気中で噴霧乾燥、又はアルカリ水溶液中に滴下させてな
るマイクロカプセルの製造方法を特徴とするものであ
る。
又、本発明によって提供されるマイクロカプセルの製
造方法は、オリフィス法を用いたマイクロカプセルの製
造方法において、二重同心円ノズルの内側に芯物質を、
その外側にポリビニルアルコール及び/又はその誘導体
と塩化ジルコニウムからなる混合物の水溶液を充填し、
内側の該芯物質及び外側の該混合液を同時にアルカリ雰
囲気中に噴霧して乾燥、又はアルカリ水溶液中に滴下さ
せてなるマイクロカプセルの製造方法を特徴とするもの
である。
ここで、本発明の該芯物質は、水、親水性物質又はそ
の水溶液、疎水性物質又はその疎水性溶液から選ばれた
ものの少なくとも一種であることを特徴とするものであ
る。
以下、本発明について、具体的に説明する。
本発明のマイクロカプセルは、ポリビニルアルコール
を壁膜とするものである。その製造方法は、ポリビニル
アルコール及び/又はその誘導体と塩化ジルコニウムか
らなる水溶性混合物に芯物質を内包させて後、アルカリ
処理するものである。得られたポリビニルアルコール壁
膜は、不溶化して、耐熱性、耐水性、透明性を有する壁
膜となり、マイクロカプセルとしての機能を十分に満た
すものである。ポリビニルアルコールの不溶化について
は、ジルコニウムイオンに依存するものである。
ジルコニウムイオンは、配位数8(最大)で反応性に
富み、水酸基、カルボキシル基、アミン基等の官能基と
キレート結合し、熱処理により不活性物質を生成するこ
とが知られている。ポリビニルアルコールに塩化ジルコ
ニウムを混合する時、ポリビニルアルコールの持つ親水
基とジルコニウムイオンが安定な錯化合物を形成し、ア
ルカリ処理、乾燥することによりジルコニウムがポリビ
ニルアルコール分子間の架橋剤として働き、架橋構造を
形成する。更に、ジルコニウムイオンは、酸素原子を通
してポリビニルアルコールの炭素原子と結合して、不溶
化による耐熱性、耐水性、透明性の機能を発揮するもの
と考えられる。
本発明では、内包させる芯物質は、例えば、染顔料、
水、有機溶剤、医薬品、食品、香料、農薬、接着剤、酵
素等が挙げられ、親水性物質又はその水溶液、疎水性物
質又はその疎水性溶液のいずれでもよく、芯物質の種類
に応じて適宜マイクロカプセルの製造方法を選ぶことが
できる。
特に、親水性物質又はその水溶液を芯物質とするマイ
クロカプセルの製造方法としては、その工程が簡便であ
り、効果的である。
本発明に用いられるポリビニルアルコール及び/又は
その誘導体は、例えば、完全鹸化ポリビニルアルコー
ル、部分鹸化ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリ
ビニルアルコール等が挙げられる。
本発明に用いられる塩化ジルコニウムは、例えば、四
塩化ジルコニウム(ZrCl4)、塩化ジルコニル(ZrOC
l2)、塩基性塩化ジルコニル(ZrOOHCl)等のジルコニ
ウムの水溶性塩化物が挙げられる。
本発明に用いられるアルカリは、水酸化ナトリウム、
水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウ
ム、ほう酸ナトリウム、ほう酸アンモニウム、珪酸ナト
リウム、塩化アンモニウム等が挙げられる。
本発明のポリビニルアルコール及び/又はその誘導体
と塩化ジルコニウムからなる水溶性混合物において、ポ
リビニルアルコールに対する塩化ジルコニウムの混合量
は、ポリビニルアルコール100重量部当たり、塩化ジル
コニウム(Zr02として)を0.05〜35重量部、好ましく
は、0.5〜20重量部である。下限の0.05重量部未満で
は、効果なく、上限35重量部を越えるとアルカリ処理の
際に白濁し、皮膜強度も弱くなるという欠点を生ずる。
続いて、マイクロカプセルの製造方法について、説明
する。
液中硬化法 ポリビニルアルコール及び/又はその誘導体と塩化ジ
ルコニウムからなる水溶性混合物に芯物質を加えて乳化
又は分散させ、その乳化物又は分散物をオリフィス法に
よるノズルを用いてアルカリ水溶液中に噴出させ、ポリ
ビニルアルコールの壁膜を硬化させることによりマイク
ロカプセルを製造する方法。
噴霧乾燥法 ポリビニルアルコール及び/又はその誘導体と塩化ジ
ルコニウムからなる水溶性混合物に芯物質を加えて乳化
又は分散させ、その乳化物又は分散物を噴霧乾燥機(ス
プレードライ造粒装置)を用いてアルカリ雰囲気中の乾
燥室に噴霧させ、ポリビニルアルコールの壁膜を硬化、
乾燥させることによりマイクロカプセルを製造する方
法。
その他、公知の種々の手法を用いてマイクロカプセル
を製造することができる。
[作用] 本発明のマイクロカプセル及びその製造方法におい
て、壁膜としてポリビニルアルコールを用いるものがあ
るが、ポリビニルアルコールの不溶化にはポリビニルア
ルコールと塩化ジルコニウムの混合液をアルカリ雰囲気
中に落とすことにより効果を発揮するものである。ポリ
ビニルアルコールの不溶化する理由については、次のよ
うに推定される。ポリビニルアルコールに塩化ジルコニ
ウムを混合する時、ポリビニルアルコールの持つ親水基
とジルコニウムイオンが安定な錯化合物を形成し、アル
カリ処理、乾燥することによりジルコニウムがポリビニ
ルアルコール分子間の架橋剤として働き、架橋構造を形
成する。更に、ジルコニウムイオンは、酸素原子を通し
てポリビニルアルコールの炭素原子と結合して、不溶化
による耐熱性、耐水性、透明性の機能を発揮するものと
考えられる。
以上の理由から、本発明のマイクロカプセル及びその
製造方法は、従来にみられない作用をもつものである。
[実施例] 以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
実施例1 重合度2000、鹸化度95モル%のポリビニルアルコール
100重量部と、塩化ジルコニウム(化学式ZrOCl2)をZrO
2として10重量部を890重量部の水に攪拌混合して、加熱
溶解させ、これをA液とする。又、電子供与性化合物で
ある3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−フェニルア
ミノフルオラン30重量部をフェニルキシリルエタン470
重量部に溶解した液をB液とする。A液にポリオキシエ
チレンソルビタンモノラウレートからなる乳化剤(HLB1
3.3)5重量部添加し、その液にB液を投入して乳化さ
せた。この乳化液を噴霧乾燥機(アンハイドロ・スプレ
ー・ドライヤー)を使用してアンモニアガス雰囲気の乾
燥室に噴霧させた。乾燥後、サイクロンを用いてバケッ
トに補集し、粉体のマイクロカプセルを得た。得られた
マイクロカプセルは、粒径が平均8ミクロンであった。
このマイクロカプセルを感圧複写紙用下用紙(電子受容
性化合物を塗工したもの)に落して上から圧を加えたと
ころ黒色発色を呈した。
実施例2 実施例1で用いた乳化液を、10%アンモニア水溶液中
に、微細なノズルを用いて攪拌しながら滴下した。アン
モニア水溶液中には、球状のマイクロカプセルが得られ
た。
実施例3 重合度500、鹸化度80モル%のポリビニルアルコール1
00重量部と、塩化ジルコニウムを1重量部を899重量の
水に攪拌混合して、溶解させ、これをA液とした。又、
10%のタンニン酸水溶液を調製し、これをB液とした。
二重同心円型ノズルを用いて、その内側にB液を、外側
にA液を充填して、実施例1と同様にアンモニアガスの
雰囲気中に噴霧してタンニン酸水溶液を内包するマイク
ロカプセルを得た。得られたマイクロカプセルとメタバ
ナジン酸アンモニウムの粉体を合わせて加圧したとこ
ろ、キレート反応による黒色発色を呈した。
[発明の効果] 本発明のマイクロカプセル及びその製造方法は、ポリ
ビニルアルコールと塩化ジルコニウムの混合物をアルカ
リ雰囲気中に噴霧、又は滴下させることで不溶化したポ
リビニルアルコールの壁膜を得ることができ、マイクロ
カプセルとして内包させる芯物質は、親水性、疎水性を
問わず、どのような物質でも可能であり、その工程も簡
便なことから、実用滴かつ工業的な効果が極めて高いも
のである。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリビニルアルコール及び/又はその誘導
    体と塩化ジルコニウムからなる混合物にアルカリ処理し
    て不溶化させたものを壁膜として芯物質を内包するマイ
    クロカプセル。
  2. 【請求項2】ポリビニルアルコール及び/又はその誘導
    体と塩化ジルコニウムからなる混合物の水溶液に芯物質
    を乳化又は分散させて、該乳化物又は分散物を、アルカ
    リ雰囲気中で噴霧乾燥、又はアルカリ水溶液中に滴下さ
    せることによるマイクロカプセルの製造方法。
  3. 【請求項3】該芯物質が、水、親水性物質又はその水溶
    液、疎水性物質又はその疎水性溶液から選ばれたものの
    少なくとも一種であることを特徴とする請求項2記載の
    マイクロカプセルの製造方法。
  4. 【請求項4】オリフィス法を用いたマイクロカプセルの
    製造方法において、二重同心円ノズルの内側に芯物質
    を、その外側にポリビニルアルコール及び/又はその誘
    導体と塩化ジルコニウムからなる混合物の水溶液を充填
    し、内側の該芯物質及び外側の該混合液を同時にアルカ
    リ雰囲気中に噴霧して乾燥、又はアルカリ水溶液中に滴
    下させてなるマイクロカプセルの製造方法。
  5. 【請求項5】該芯物質が、水、親水性物質又はその水溶
    液、疎水性物質又はその疎水性溶液から選ばれたものの
    少なくとも一種であることを特徴とする請求項4記載の
    マイクロカプセルの製造方法。
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