JP2912897B1 - 漏れ同軸ケーブルによる列車検知装置 - Google Patents

漏れ同軸ケーブルによる列車検知装置

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JP2912897B1
JP2912897B1 JP10032282A JP3228298A JP2912897B1 JP 2912897 B1 JP2912897 B1 JP 2912897B1 JP 10032282 A JP10032282 A JP 10032282A JP 3228298 A JP3228298 A JP 3228298A JP 2912897 B1 JP2912897 B1 JP 2912897B1
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Abstract

【要約】 【課題】軌道を走行する列車の検知をレールを利用しな
いで無線で検知する。 【解決手段】列車検知地点の軌道の両側に、レール6に
沿ってレール6の高さより低く所定の長さLの送信用と
受信用の漏れ同軸ケーブル1と3を展張する。列車が到
来したとき、車両17の床面14と大地10との間隙空
間が長さLに亘って共振状態の平行導体板線路16を形
成するように送信周波数を設定しておく。列車がいない
とき送信電波はレール6でさえぎられて受信レベルが低
く、列車が来たとき共振状態の導体板線路16によって
送信電波がQ倍になって受信レベルが高くなるように構
成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軌道上を走行する
列車を検知する列車検知装置に関し、特に、軌道を検出
媒体とせず、無線電波により列車を検知する列車検知装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】軌道上を走行する列車を安全に運転する
ための運転方式としては、先行列車と続行列車が衝突し
ないように一定の距離間隔をおいて運転する閉そく運転
方式が一般的である。閉そく運転方式は、軌道上に鎖状
に設定された閉そく区間の1区間に1個の列車を原則と
し、各閉そく区間の手前に設けられた信号機の現示によ
って後続列車に先行列車の状況を知らせて列車間隔が保
たれる。各閉そく区間には軌道回路が設けられており、
例えば、交流軌道回路では、閉そく区間の終端から低周
波の交流信号電流が供給され、始端側に設置された信号
機のリレーと2本のレールが直列に接続されて閉ループ
が形成されている。列車がいないときはリレーが作動し
て信号機が進行を示す青(G)を現示しており、列車が
進入すると車軸で2本のレール間が短絡されてリレーに
電流が流れなくなり無励磁(落下)となって現示が停止
信号を示す赤(R)に変わる。
【0003】一方、鉄道と一般道路が平面交差する踏切
には、警報機,遮断機等の踏切保安設備が設置されてお
り、これらの警報機や遮断機は、踏切から所定の距離を
おいた軌道に設けられた列車検知手段によって作動す
る。この場合の列車検知手段には、例えば、軌道回路を
用いる連続制御式と、踏切制御子を用いる点制御式があ
る。連続制御式の場合は、警報開始点から踏切までの間
に自動信号区間であれば別方式の軌道回路を設備し、列
車の接近を連続的に検知して踏切の制御を行う。一方、
点制御式の場合は、軌道回路に比べて短い区間の範囲の
警報開始点,終止点に踏切制御子を設置して、その地点
を通過する列車を検知して踏切の開閉制御を行う。上
記、いずれの場合もレールに所定の信号が流れており、
列車検知は車輪とその車軸によるレール間(軌間)短絡
によってレベルあるいは周波数を変化させることによっ
て行われている。
【0004】上述のように、列車制御や踏切保安設備に
おける列車の検知は、車軸によるレール間の短絡によっ
て行われている。列車制御の場合は軌道回路のレールに
流れる交流電流が車軸で短絡されることによるレベル変
化を検出し、レールを帰還回路とする発振器とリレーが
組合わせられた踏切制御子の場合はレール間が車軸で短
絡されたときの発振周波数の変化、発振の停止を検出す
ることによって行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のレール間短
絡による列車検知の場合、軌道(レール間)抵抗値が低
く、しかも、車輪とレールとの接触抵抗値が、晴雨,湿
度等の気象条件,塩害やレール上の落葉,枯葉,砂等の
影響を受けて不安定となる場合があり、レール間の短絡
抵抗が大きいときの信号や踏切設備の不動作等の問題点
をはらんでいる。しかも、最近では、輪送力増強のた
め、列車の高速化と車両の軽量化が進み、上記従来から
潜在していた列車検知の問題点が大きくなって無視でき
なくなってきている。上記のことから、列車等の移動体
車両の検知を、レールを利用しない方式で行う技術の開
発が望まれている。本発明の目的は、上記従来の問題点
を解消するために、レールを列車検知信号の直接の媒体
としない無線式の漏れ同軸ケーブルによる列車検知装置
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の漏れ同軸ケーブ
ルによる列車検知装置は、軌道を走行する列車を所定の
検知地点で検知するために、検知地点の軌道の一方の
レールの外側に沿って該レールの高さより低く所定の長
さで展張された送信用漏れ同軸ケーブルと、該送信用漏
れ同軸ケーブルの一端に接続され連続して所定の周波数
の高周波信号を供給する送信機と、前記送信用漏れ同軸
ケーブルに対向して前記検知地点の軌道の他方のレール
の外側に沿って該レールの高さより低く展張された受信
用漏れ同軸ケーブルと、該受信用漏れ同軸ケーブルの他
端に接続され該受信用漏れ同軸ケーブルの受信レベルを
監視する受信機とが備えられ、列車が前記検知地点にい
ないときは、前記送信機から前記送信用漏れ同軸ケーブ
ルに供給される高周波信号は自由空間に放射され、前記
受信用漏れ同軸ケーブルの方向に伝搬する直接波が前記
レールによって遮られて前記受信レベルが低く、列車が
前記検知地点に到来したとき、該列車の床面と大地との
間隙空間が前記所定の長さと前記所定の周波数で空洞共
振現象を呈する平行導体板線路となり、前記送信用漏れ
同軸ケーブルと電磁結合して該空洞共振状態の平行導体
板線路に誘起した高周波信号が対向して電磁結合する前
記受信用漏れ同軸ケーブルに伝送されて前記受信レベル
が高くなるようにしたことを特徴とするものである。
【0007】さらに、前記送信用漏れ同軸ケーブルから
放射する電波は、超短波帯の微弱電波であることを特徴
とし、前記送信用漏れ同軸ケーブルの前記所定の長さ
は、検知対象列車の車両連結部分の前後の車両の一部に
重なる長さ以上で、かつ、前記所定の周波数が該車両の
床面と大地を2枚の平行導体板とした前記平行導体板線
路の等価容量と等価インダクタンスとによる等価共振回
路の基本共振周波数または高次の共振周波数となるよう
な長さに設定されたことを特徴とするものである。
【0008】また、本発明の漏れ同軸ケーブルによる列
車検知装置は、軌道を走行する列車を検知するために、
検知地点の軌道の一方のレールの外側に沿って該レール
の高さより低く複数(N)の検知ゾーンが列車の進行方
向に連接した所定の長さで展張された送信用漏れ同軸ケ
ーブルと、該送信用漏れ同軸ケーブルの一端に接続され
前記複数の検知ゾーンに対応した複数の周波数の高周波
信号を連続して供給する送信機と、前記送信用漏れ同軸
ケーブルに対向して前記検知地点の軌道の他方のレール
の外側に沿って該レールの高さより低く展張された受信
用漏れ同軸ケーブルと、該受信用漏れ同軸ケーブルの他
端、および前記検知ゾーンの区分境界位置にそれぞれ取
り付けられた(N−1)個の結合器を介してそれぞれ接
続され前記複数の周波数毎の受信レベルを監視する複数
の受信機と、該複数の受信機の受信レベルのすべてが所
定のレベルを超えたとき列車の到来を判定出力する列車
検知判定器とが備えられ、列車が到来したとき、前記送
信用漏れ同軸ケーブルから放射される複数の周波数の電
波が該列車の床面と大地との間隙空間を繰り返し反射し
前記所定の長さにわたって該床面と大地を2枚の平行導
体板として形成される平行導体板線路が前記複数の周波
数毎に共振状態となり、該共振状態の平行導体板線路に
誘導結合する前記受信用漏れ同軸ケーブルに接続された
前記複数の受信機の受信レベルが変化し前記列車検知判
定器の判定出力により列車を検知するようにしたことを
特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下図面により、まず、本発明の
第1の実施例について詳細に説明する。図1,図2,図
3及び図4はともに本発明の第1の実施例を示す説明図
であり、図1は車両なしの場合の列車検知区間の構成例
を示し、(A)は概要断面図、(B)は平面図である。
図2は車両がないときの列車検知区間の電気的等価回路
である。また、図3は車両ありの場合の列車検知区間の
概要断面図(A)と平面図(B)である。図4は車両が
あるときの列車検知区間の電気的等価回路である。
【0010】これらの図において、1は送信用漏れ同軸
ケーブル(LCX:Leakage-Coaxial Cable )、2は送
信機(TX)、3は受信用漏れ同軸ケーブル、4は受信
機(RX)、5はレベル検出器(DAT)、6は軌道
(2本のレール)、7は放射電磁波(電波)、8は誘導
結合波、9は枕木、10は軌道大地面(表層路盤)、1
1は終端器である。上記のレベル検出器5は受信機4に
含めてもよい。
【0011】ここで、送信用,受信用伝送線路の具体例
として展張する漏れ同軸ケーブルは、通信の伝送媒体と
して用いられている開放形線路のうちで、線路の周囲に
放射電磁界を形成する“放射線路”の1種であり、外部
導体にジグザグスロットが設けられた放射線路である。
【0012】まず、列車が存在しない場合について説明
する。図1(A),(B)において、送信用漏れ同軸ケ
ーブル1は、列車検知地点の軌道(2本のレール)6の
一方の外側の軌道大地面10の枕木9の上面とレール6
の上面との間の高さ(h0 )でレール6と平行になるよ
うに所定の長さLで展張されている。送信用漏れ同軸ケ
ーブル1の近端に接続された無線送信機(Tx)2の無
線出力は、送信用漏れ同軸ケーブル1を経由してケーブ
ルの周囲の自由空間に常時電波7として放射している。
【0013】受信用漏れ同軸ケーブル3は、送信用漏れ
同軸ケーブル1の展張位置と対向して、軌道6の他方の
外側の軌道大地面10の枕木9とレール6の上面との間
の高さ(h0 )でレール6と平行になるように展張され
ている。受信用漏れ同軸ケーブル3の長さは、送信用漏
れ同軸ケーブル1と同じ長さLが好ましいが、これより
短くても長くてもよい。受信用漏れ同軸ケーブル3の遠
端には無線受信機(Rx)4が接続され、その出力端に
レベル検出器5(受信機4に併合してもよい)が接続さ
れている。送信用漏れ同軸ケーブル1の遠端と受信用漏
れ同軸ケーブル3の近端にはそれぞれ終端器11が接続
されている。
【0014】送信用漏れ同軸ケーブル1から周囲の自由
空間に放射される電磁波のうち本発明で利用しようとす
る電波の放射方向を代表して7で示した。送信用漏れ同
軸ケーブル1からレール6の方向にも電波が放射される
が、送信用漏れ同軸ケーブル1と近くに並行するレール
6とは互いに誘導結合し、2本のレール6も互いに誘導
結合し、さらに、反対側のレール6とその外側に並行す
る受信用漏れ同軸ケーブル3とも互いに誘導結合する。
8はこのレール6を介した誘導結合波の方向を示す。こ
のように送信用漏れ同軸ケーブル1と2本のレール6と
受信用漏れ同軸ケーブル3とはそれぞれ誘導結合状態に
あるが、レール6が接地電位とみなされるので、この破
線で示した誘導結合波の伝搬方向8の放射エネルギは2
本のレール6によってさえぎられる。言い換えれば、2
本のレール6は、送信用漏れ同軸ケーブル1と受信用漏
れ同軸ケーブル3の間のつい立てとなり電波のスクリー
ン効果を果たしている。列車が存在しないときは受信レ
ベルが最低であることが好ましい。
【0015】無線送信機(Tx)2から給電し送信用漏
れ同軸ケーブル1によって外部へ放射する無線信号の周
波数f1 は、例えば、VHF(短波)帯であり、実験で
は100MHz〜150MHzの範囲で実験的に求めた
周波数に選定した。また、列車検知区間の長さ、すなわ
ち、送信用漏れ同軸ケーブル1と受信用漏れ同軸ケーブ
ル3の長さLは、実験では8m〜16mの範囲でテスト
し、良好な結果が得られた。この送信用漏れ同軸ケーブ
ル1の長さLは、列車を編成する複数の車両の連結部分
の間隔より長く、列車検知区間の中心に連結部分がさし
かかったとき、その前後の車両の一部が検知区間上に位
置するような長さ以上あればよい。
【0016】上記の送信用漏れ同軸ケーブル1の長さL
と使用する無線周波数f1 とは相互関係があり、使用周
波数が高いときは長さLを短くし、低いときは長さLを
長くする。詳しくは、後述の列車が到来して検知区間に
存在するときの状態によって設定される。
【0017】送信機2から送信用漏れ同軸ケーブル1に
給電される送信信号は、ケーブル周囲の自由空間に放射
方向7のように放射しながらケーブル1が展張された長
さLに沿って伝わる。送信用漏れ同軸ケーブル1の周囲
に放射される電波のうちレール6を誘導媒介して放射さ
れる誘導結合波8は、受信用漏れ同軸ケーブル3によ
り、展張された長さLにわたって受信される。図1
(A),(B)に図示したので明白であるように、放射
方向7の無線波成分は、ほとんど受信用漏れ同軸ケーブ
ル3に受信されないが、レール6を誘導媒介して再放射
される無線波成分(直接波または誘導結合波8)のみ
が、受信用漏れ同軸ケーブル3に受信される。この直接
波(誘導結合波8)の受信レベルが極めて低いレベルで
あることは本発明の必要要件であり、レール6による電
波のスクリーン効果はこの必要条件を充分に満足するも
のとなっいる。この場合、送信機(Tx)2→送信用漏
れ同軸ケーブル1→レール6(誘導結合波8)→受信用
漏れ同軸ケーブル3→受信機(Rx)4を経てレベル検
出器5で検出される受信レベルは、列車が来ない限り、
常に低いレベルE0 である。
【0018】図2は、以上述べた本発明の第1の実施例
における列車が存在しない場合の列車検知装置の電気的
等価回路図である。図において、12は送信側装置、1
3は受信側装置を示す。送信側装置12のコイルで表し
た漏れ同軸ケーブル1と近い方のレール6、及び2本の
レール6、遠い方のレール6と受信側装置13のコイル
で表した漏れ同軸ケーブル3とは、それぞれ直接波成分
の誘導結合波8によって誘導結合しているが、送信側と
受信側の漏れ同軸ケーブル1と3の間の2本のレール6
による遮蔽効果があって、2本のレール6間の直接波成
分の誘導結合波8は極めて弱いことを示している。
【0019】なお、送信機(Tx)2、受信機(Rx)
4およびレベル検出器5、終端器11は、軌道間に設置
しても、軌道の外側に設置してもよい。しかし、送信用
漏れ同軸ケーブル1,受信用漏れ同軸ケーブル3は、図
1(A),(B)に図示した要領により、軌間外のレー
ル6の高さより低くレール6に沿って展張し、列車が存
在しないとき、レール6による電波のスクリーン効果が
充分確保されるように設置しなければならない。
【0020】次に、本発明の第1の実施例における列車
が存在する場合、即ち、列車の到来を検出する場合につ
いて説明する。図3は、図1に示した本発明の第1の実
施例における列車到来の場合の説明図である。地上に設
備されている列車検知装置は図1と同じであり、同じ部
分には同じ符号を付してある。図において、17は到来
列車の車両、14はその床面、15はその車軸、h1
検出対象とする列車の車両17の床面(金属体)14の
高さ、即ち、車両の床面(金属体)14と平行する軌道
大地面10との間隔である。
【0021】図示の如く、送信用漏れ同軸ケーブル1と
受信用漏れ同軸ケーブル3が設置展張された所定の車両
検知区間Lの上に車両17の車両床面(金属体)14が
存在すると、送信用漏れ同軸ケーブル1から放射方向7
に放射された無線波は、到来車両の床面(金属体)14
と軌道大地面10とによって形成される平行間隙空間の
領域内を矢印のように反射を繰り返しながら受信用漏れ
同軸ケーブル3の方向に伝搬する。このとき、この間隙
空間は、電磁波を一方向(レール6の方向)に導波(伝
送)する導波路(伝送線路)となり、所定の長さLと所
定の周波数により空洞共振現象を呈する。
【0022】図4は図3のように列車が存在する場合の
列車検知作用を説明する電気的等価回路図である。図に
おいて、12は図2と同じく送信側装置、13は受信側
装置を示す。16は平行導体板線路(以下、導体板線路
という)である。導体板線路16は、車両17の床面
(金属体)14と間隔h1 で平行する軌道大地面10と
の2枚の平行導体板で形成された伝送線路であり、平行
2線誘導線路に対応して表現すれば、平行導体板線路と
いうことができる。
【0023】導体板線路16は、長さLに亘って2枚の
平行な導体板(車両床面(金属体)14と軌道大地面1
0)間に形成されるコンデンサ(等価容量Ceq)と、電
流の流れる長さ(L)方向のインダクタンス(等価イン
ダクタンスLeq)とで表される。この等価コンデンサC
eqと等価インダクタンスLeqとで形成される共振回路の
共振周波数(基本モードまたは高次モード)を所定の送
信周波数f1 として設定する。
【0024】図示した導体板線路16を構成する等価容
量Ceq、等価インダクタンスLeq,等価抵抗Req,等価
コンダクタンスGeq,等価Qeqはそれぞれ共振回路固有
の値を有し、図4は、送信側装置12と受信側装置13
の各ケーブル方向の伝送路と導体板線路16が互いに電
磁結合していることを表した図であるから、列車が存在
する状態の電気的等価回路であり、送信用漏れ同軸ケー
ブル1を含む送信側装置12と受信用漏れ同軸ケーブル
3を含む受信側装置13と列車によって形成された導体
板線路16の三つのレール方向の伝送路が電磁的に結合
された結合伝送路であるということができる。
【0025】我々が技術着想した導体板線路16の共振
態様は、機能的には空洞共振現象を有するから、図4の
電気的等価回路は基本共振モードと複数の高次共振モー
ドを有することは勿論である。前述した実験値、即ち、
長さ8〜16mに対応する高次共振周波数として周波数
100MHz〜150MHzの範囲で送信周波数を設定
することにより高次共振モードの存在を確認し、かつ、
それを利用できることを実験的に確かめた。
【0026】上述のように、図2の電気的等価回路で表
した列車なしのときと図4の電気的等価回路で表した列
車ありのときとの相互間には、送信側装置12から受信
側装置13への電波伝搬特性に関する大きな差異があ
る。即ち、検出対象車両17が車両検知区間Lに進入し
たとき、電気的等価回路が図2の自由空間伝搬モードか
ら図4の導波路共振モードに変わることによって生ずる
受信レベルの顕著な変化を受信機4またはレベル検出器
5で検出することによって、列車が車両検知区間Lに到
来したという情報を取得することができる。
【0027】実験によれば、車両が存在しないときの受
信レベルに対する車両が存在するときの受信レベルの差
は約20dBであり、車両が存在するときの受信レベル
が高レベル(+ΔE≒20dB)であった。即ち、導体
板線路16が所定の周波数で共振特性を有し、等価容量
Ceqの両端にQeq倍の電圧が現れるためである。
【0028】上述の第1の実施例における本発明の特徴
は、列車が到来したとき、車両床面(金属体)14と軌
道大地面10の間隙空間の領域が導体板線路16とな
り、所定の長さLとその長さLに対応する所定の周波数
1 の共振回路が形成されることに技術着目し、軌道の
両側に所定の長さLの送信用漏れ同軸ケーブル1と受信
用漏れ同軸ケーブル3を対向して展張設置し、所定の周
波数f1 の送信波を放射することによって、車両存在時
に導体線路16の共振現象を活用できるようにしたので
ある。
【0029】上述のように、本発明の列車検知装置は、
検知区間、即ち、送信用同軸ケーブル1の長さLの全長
に亘って列車(車両)が存在する状態を検知するいわば
線検知または面検知であり、従来の車軸による軌間短絡
の点検知に比べて検知確度(信頼度)が高く、第3者に
よるレール間短絡のいたずらに対しても動作せず、列車
側には何の設備も不要であり、しかも、微弱電波のため
免許を要しないため、任意の箇所に容易に設置すること
ができる。
【0030】さらに、複線区間や平行複線路の区間に
は、その所定の長さやその長さに対応する周波数を互い
に変えることにより、容易に実施することができる。
【0031】図5は本発明の第2の実施例を示す平面図
である。この第2の実施例は、受信用漏れ同軸ケーブル
(LCXR)を複数に区分(分割)し、送信用漏れ同軸
ケーブル(LCXT)の布設長に対し分割された受信用
漏れ同軸ケーブル(LCXR)を配置した場合の構成例
である。図5において、1は長さLの送信用漏れ同軸ケ
ーブルであり、図1の第1の実施例と同じである。30
は受信用漏れ同軸ケーブルであって、送信用漏れ同軸ケ
ーブル1の展張位置と対向して、軌道(2本のレール)
6の反対側に図示の如く展張し、全長Lを長さL1 ,L
2 ,L3 に区分したものである。
【0032】図5において、2は無線送信機(TX)で
あり、この第2の実施例の場合、無線周波f1 ,f2
3 の3波を送信する。41,42,43は無線周波f
1 ,f2 ,f3 の3波をそれぞれ選択受信する無線受信
機である。5は受信機41,42,43の出力レベルを
検出するレベル検出器である。このレベル検出器51,
52,53は、それぞれ受信機41,42,43に含め
てもよい。11は終端器、18は接続ケーブル、19は
列車検知判定器、20は結合器である。
【0033】この第2の実施例は、A検知ゾーン,B検
知ゾーン,C検知ゾーンが設定してあり、各検知ゾーン
毎のレベル検知器51,52,53の各出力端をケーブ
ル18を経て列車検知判定器19に接続し、列車が全検
知ゾーン(長さLの領域)に亘って存在するときに列車
の存在を検知するものである。この場合は、検知周波数
3波ダイバーシチ,検知ゾーン3分割ダイバーシチの組
合わせ機能を有する列車検知装置である。
【0034】使用周波数の設定は、前述の第1の実施例
で説明したように、まず、A検知ゾーン,B検知ゾー
ン,C検知ゾーンの全長L(=L1 +L2 +L3 )に亘
って共振状態を誘起させる第1の周波数f1 を設定す
る。次に、B検知ゾーンとC検知ゾーンの長さ(L2
3 )に亘って共振状態を誘起させる第2の周波数f2
を決める。次に、C検知ゾーンの長さL3 に亘って共振
状態を誘起させる第3の周波数f3 を決める。従って、
第1の受信機41は第1の周波数f1 の選択受信機であ
り、第2,第3の受信機42,43はそれぞれ第2,第
3の周波数f2 ,f3 の選択受信機である。列車検知判
定器19は、上記3つの受信機41,42,43の受信
レベル、またはレベル検出器51,52,53の検出レ
ベルがすべて、所定のしきい値を超えたとき、列車が存
在すると判定する。
【0035】以上の例は、3つに区分した場合である
が、2つまたは4つ以上の複数に区分しても同様の効果
が得られる。
【0036】以上の本発明の第1及び第2の実施例で
は、送信用,受信用伝送線路の具体例として“放射線
路”の1種である漏れ同軸ケーブル(LCX)を用いた
場合について記載したが、開放同軸ケーブルを用いても
同様の効果が得られることは勿論である。
【0037】本発明では、地上に送信装置と受信装置が
配置され、車両の床面による反射の有無を利用している
ので、例えば、車上にも何らかの受信手段と放射する装
置を搭載することにより、漏れ同軸ケーブルを共用した
情報伝送に応用できることは明らかである。
【0038】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明を実
施することにより次のような効果がある。 (イ)レールを検知信号の媒体として利用しない無線式
列車検知方式であり、地上設備のみで構成され、列車や
車両に取付ける車上設備は不要であり、在来の軌道回路
の設備から受ける制約がなく、設置が容易となり、必要
に応じて適宜容易に現場設置することができる。 (ロ)さらに、使用する無線電波は微弱電波であり、電
波法による免許が不要なので、手続きが不要で、緊急の
場合でも、任意の必要箇所に設置できる。 (ハ)複線区間や平行複線路の区間にも使用できるの
で、実用上の効果は極めて大きい。 (ニ)在来の軌条信号回路方式の列車検出装置が設備さ
れた箇所で、短絡不良による障害発生箇所に本発明の装
置を設置して在来設備と併用し、バックアップ用として
利用することができるので、安全性をさらに向上するこ
とができる。 (ホ)さらに、本発明の発展的効果として、車上に何か
らの受信および放射する装置を搭載することにより、本
発明の漏れ同軸ケーブルを共用して、列車と地上間の情
報伝送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における列車がいないと
きの構成例図である。
【図2】本発明の第1の実施例における列車がない場合
の電気的等価回路図である。
【図3】本発明の第1の実施例における列車が到来した
ときの構成例図である。
【図4】本発明の第1の実施例における列車が到来した
ときの電気的等価回路図である。
【図5】本発明の第2の実施例の構成例図である。
【符号の説明】
1 送信用漏れ同軸ケーブル 2 無線送信機 3 受信用漏れ同軸ケーブル 4 無線受信機 5 レベル検出器 6 軌道(2本のレール) 7 利用する無線波の放射方向 8 誘導結合波 9 枕木 10 軌道大地面 11 終端器 12 送信側装置 13 受信側装置 14 車両床面 15 車両車軸 16 平行導体板線路 17 車両 18 接続ケーブル 19 列車検知判定器 20 結合器 30,31,32,33 受信用漏れ同軸ケーブル 41,42,43 受信機 51,52,53 レベル検出器
フロントページの続き (72)発明者 角野 潤一 東京都渋谷区代々木二丁目2番2号 東 日本旅客鉄道株式会社内 (72)発明者 石井 泉 東京都あきる野市小川東一丁目25番6号 株式会社国際電気エンジニアリング内 (72)発明者 吉田 俊三 東京都あきる野市小川東一丁目25番6号 株式会社国際電気エンジニアリング内 (56)参考文献 特開 平7−2111(JP,A) 特開 昭61−193965(JP,A) 特開 昭61−178260(JP,A) 特開 昭49−64463(JP,A) 特開 平8−20339(JP,A) 特開 平6−255492(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B61L 1/00 - 23/20

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軌道を走行する列車を所定の検知地点で
    検知するために、 検知地点の軌道の一方のレールの外側に沿って該レー
    ルの高さより低く所定の長さで展張された送信用漏れ同
    軸ケーブルと、該送信用漏れ同軸ケーブルの一端に接続
    され連続して所定の周波数の高周波信号を供給する送信
    機と、前記送信用漏れ同軸ケーブルに対向して前記検知
    地点の軌道の他方のレールの外側に沿って該レールの高
    さより低く展張された受信用漏れ同軸ケーブルと、該受
    信用漏れ同軸ケーブルの他端に接続され該受信用漏れ同
    軸ケーブルの受信レベルを監視する受信機とが備えら
    れ、列車が前記検知地点にいないときは、前記送信機から前
    記送信用漏れ同軸ケーブルに供給される高周波信号は自
    由空間に放射され、前記受信用漏れ同軸ケーブルの方向
    に伝搬する直接波が前記レールによって遮られて前記受
    信レベルが低く、 列車が前記検知地点に到来したとき、該列車の床面と大
    地との間隙空間が前記所定の長さと前記所定の周波数で
    空洞共振現象を呈する平行導体板線路となり、前記送信
    用漏れ同軸ケーブルと電磁結合して該空洞共振状態の平
    行導体板線路に誘起した高周波信号が対向して電磁結合
    する前記受信用漏れ同軸ケーブルに伝送されて前記受信
    レベルが高くなるようにした漏れ同軸ケーブルによる列
    車検知装置。
  2. 【請求項2】 前記送信用漏れ同軸ケーブルから放射す
    る電波は、超短波帯の微弱電波であり、列車が前記検知
    地点にいないときレールにより直接波がさえぎられて前
    記受信レベルが低くなり列車到来のときの受信レベルと
    の差が大きくなって列車検知確度が上がることを特徴と
    する請求項1記載の漏れ同軸ケーブルによる列車検知装
    置。
  3. 【請求項3】 前記送信用漏れ同軸ケーブルの前記所定
    の長さは、検知対象列車の車両連結部分の前後の車両の
    一部に重なる長さ以上で、かつ、前記所定の周波数が該
    車両の床面と大地を2枚の平行導体板とした前記平行導
    体板線路の等価容量と等価インダクタンスとによる等価
    共振回路の基本共振周波数または高次の共振周波数とな
    るような長さに設定されたことを特徴とする請求項1及
    び請求項2記載の漏れ同軸ケーブルによる列車検知装
    置。
  4. 【請求項4】 軌道を走行する列車を検知するために、 検知地点の軌道の一方のレールの外側に沿って該レール
    の高さより低く複数(N)の検知ゾーンが列車の進行方
    向に連接した所定の長さで展張された送信用漏れ同軸ケ
    ーブルと、該送信用漏れ同軸ケーブルの一端に接続され
    前記複数の検知ゾーンに対応した複数の周波数の高周波
    信号を連続して供給する送信機と、前記送信用漏れ同軸
    ケーブルに対向して前記検知地点の軌道の他方のレール
    の外側に沿って該レールの高さより低く展張された受信
    用漏れ同軸ケーブルと、該受信用漏れ同軸ケーブルの他
    端、および前記検知ゾーンの区分境界位置にそれぞれ取
    り付けられた(N−1)個の結合器を介してそれぞれ接
    続され前記複数の周波数毎の受信レベルを監視する複数
    の受信機と、該複数の受信機の受信レベルのすべてが所
    定のレベルを超えたとき列車の到来を判定出力する列車
    検知判定器とが備えられ、 列車が到来したとき、前記送信用漏れ同軸ケーブルから
    放射される複数の周波数の電波が該列車の床面と大地と
    の間隙空間を繰り返し反射し前記所定の長さにわたって
    該床面と大地を2枚の平行導体板として形成される平行
    導体板線路が前記複数の周波数毎に共振状態となり、該
    共振状態の平行導体板線路に誘導結合する前記受信用漏
    れ同軸ケーブルに接続された前記複数の受信機の受信レ
    ベルが変化し前記列車検知判定器の判定出力により列車
    を検知するようにしたことを特徴とする漏れ同軸ケーブ
    ルによる列車検知装置。
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